説明

誘導加熱装置

【課題】第1の誘導加熱制御部での自動調理中に鍋を第2の誘導加熱制御部に載せ換えて、自動調理を継続して行うことを可能とすること。
【解決手段】第1の誘導加熱制御部3、4、7での自動調理中に第2の誘導加熱制御部3、4、7に自動調理の切換を行う操作手段8により第1の誘導加熱制御部3、4、7で調理中の調理工程情報を第2の誘導加熱制御手段7に伝達し、鍋1を載せ換えた方の加熱コイル3に供給する電力を制御することにより調理工程を継続して実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱制御部を含む加熱制御部を複数備え、自動調理途中に使用している誘導加熱制御部を他の加熱制御部に切換て使用可能な自動調理機能を備えた誘導加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の誘導加熱装置は、図5のブロック図に示すように、加熱コイル103に電力を供給すると、加熱コイル103に誘導磁界が発生し、天板102上の鍋101が誘導加熱され、この誘導加熱によって鍋101の温度の温度が上昇し、鍋101内の図示してない被加熱物が調理される。ここで、加熱コイル103により鍋101の加熱が開始されると、鍋101の下に設けられた天板102の透過部105を鍋101から温度に応じた赤外線が透過し、この赤外線の量を下部に配置した赤外線検出手段107が検出し、制御手段109は、この赤外線量により温度換算手段108で鍋の温度を判定し、所定の温度になるようにインバータ104を制御して入力電力を制御し被加熱物の調理を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この種の誘導加熱装置は、例えば、炊飯の自動調理の場合は、米に吸水させる前炊き工程、強火で勢い良く沸騰させる炊き上げ工程、煮沸終了したご飯の澱粉のα化の進行を促進するために高温を維持する蒸らし工程といった具合に複数の工程を逐次進行させることにより被加熱物の調理を行っている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−317918号公報
【特許文献2】特開2004−105274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、制御手段109(第1の誘導加熱制御部)で自動調理を一旦開始すると制御手段109で調理終了まで調理が行われる。そのため自動調理中使用している制御手段109で別の被加熱物加熱(例えば火力が高い等の理由から)を使用したい場合には自動調理が終了してからしかできないという課題を有していた。また、図示してない複数の制御手段(第2の誘導加熱制御部)に同様の自動調理機能があった場合、調理途中で終了させて第2の誘導加熱制御部上で再度自動調理を開始させる場合には、どの工程で途中終了したかわからないため再度最初から調理工程を行う必要があるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、第1の誘導加熱制御部での自動調理途中で第2の誘導加熱制御部に鍋または被加熱物を載せ換え、自動調理を継続して行うことを可能とした誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する電力を制御する誘導加熱制御手段とをそれぞれ有する複数の誘導加熱制御部と、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に第2の誘導加熱制御部に前記自動調理を切り換えるための入力命令を受け付ける操作手段とを備え、前記第1の誘導加熱制御部の自動調理工程情報を前記第2の誘導加熱制御部に伝達するとしたものである。
【0007】
これによって、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に第2の誘導加熱制御部に切り換えて自動調理を続行することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の誘導加熱装置は、第1の誘導加熱制御部での自動調理の途中段階で第2の誘導加熱制御部に鍋を載せ換えて自動調理を継続できることにより、自動調理で使用していた第1の誘導加熱制御部を別用途に使用することができ使い勝手が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する電力を制御する誘導加熱制御手段とをそれぞれ有する複数の誘導加熱制御部と、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に第2の誘導加熱制御部に前記自動調理を切り換えるための入力命令を受け付ける操作手段とを備え、前記第1の誘導加熱制御部の自動調理工程情報を前記第2の誘導加熱制御部に伝達するとすることにより、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に自動調理を止め、鍋を第2の誘導加熱制御部上へ移し、第2の誘導加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、特に時間がかかる様な自動調理中であっても使用したい誘導加熱制御部を自由に選択して使用することが可能となる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明に、鍋を発熱体により加熱するヒーターと、前記ヒーターに供給する電力を制御するヒーター加熱制御手段とを有するヒーター加熱制御部とを備え、誘導加熱制御部の自動調理工程情報をヒーター加熱制御部で使用できる情報に変換してヒーター加熱制御部に伝達するとすることにより、誘導加熱制御部での自動調理中に自動調理を止め、鍋をヒーター加熱制御部上へ移し、誘導加熱制御部での自動調理情報をヒーター加熱制御部用に変換して伝達し、ヒーター加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、誘導加熱制御部が1つしかない場合などにおいて、自動調理中であるために誘導加熱制御部を他の被加熱物の加熱に使用できないということがなくなり利便性の向上が可能となる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の誘導加熱制御部を、鍋または被加熱物からの熱量を検出する熱量検出手段と、前記熱量検出手段の出力から前記鍋または被加熱物の温度を換算する温度換算手段とを備え、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に第2の誘導加熱制御部に前記自動調理を切り換えた際に、前記熱量検出手段で検出した熱量より前記温度換算手段で換算した温度情報を基に加熱コイルの上部で前記鍋を載置する天板等の温度の違いを自動調理工程情報の補正に用いることとすることにより、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に止め、鍋を第2の誘導加熱制御部上へ移し、第1の誘導加熱制御部での自動調理情報を第2の誘導加熱制御部用に変換して伝達し、天板や熱量検出手段周辺の温度の差を検知し、第1と第2の誘導加熱制御部の温度の差を元にさらに自動調理工程情報の補正を行い、第2の誘導加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、切り換えても初期温度等の影響も少なく精度よく自動調理を行うことが可能となる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜3いずれか1つの発明に、第1の誘導加熱制御部に鍋または被加熱物からの熱量を検出する熱量検出手段を備え、前記第1の誘導加熱制御部での自動調理中に第2の誘導加熱制御部に前記自動調理を切り換え後、前記第2の誘導加熱制御部に前記熱量検出手段がない場合、温度制御箇所を時間制御でできるように自動調理工程情報を変更することとすることにより、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に前記自動調理を止め、鍋を第2の誘導加熱制御部上へ移し、第1の誘導加熱制御部での自動調理情報を第2の誘導加熱制御部用に温度で工程切換を行っていた箇所を簡易的に時間による工程切換に変換して伝達し、第2の誘導加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、簡易的な自動調理を行うことが可能となる。
【0013】
第5の発明は、特に、第3または第4の発明の熱量検出手段を、鍋または被加熱物から放射する赤外線を検知する赤外線検出手段とし、単位時間辺りの温度変化情報を自動調理工程情報に含んだとすることにより、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に前記自動調理を止め、鍋を第2の誘導加熱制御部へ移し、第1の誘導加熱制御部での自動調理情報を第2の誘導加熱制御部用に単位時間辺りの温度の傾きで工程切換を行っていた箇所を簡易的に時間による工程切り換えに変換して伝達し、第2の誘導加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、鍋または被加熱物の表面から放射される赤外線にて熱量を捕らえることができ、非接触で温度を精度欲知る事が可能となる。
【0014】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明に、第1の誘導加熱制御部の故障を検出する故障検出手段と、使用者に報知する報知手段とを備え、第1の誘導加熱制御部にて自動調理中に故障して前記第1の誘導加熱制御部での調理続行不可の場合に第2の誘導加熱制御部に切り換え、前記第2の誘導加熱制御部で自動調理が継続して行うことが可能であることを使用者に報知するとすることにより、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に故障した時にすぐに使用者に報知し、途中になっている自動調理中の被加熱物を素早く第2の誘導加熱制御部に移すこととなり、故障による調理の失敗を制限することが可能となる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置のブロック図を示すものである。
【0017】
図1において、本実施の形態の誘導加熱装置は、図示してない被加熱物を収容する鍋1と、鍋1を載せる天板2と、電磁誘導が発生し鍋1を発熱する加熱コイル(誘導加熱制御部)3と、加熱コイル3に電磁誘導させるために高周波電流を供給するインバータ(誘導加熱制御部)4と、鍋1からの赤外線信号を検出する赤外線検出手段5と、赤外線検出手段5により得た赤外線量より温度を換算する温度換算手段6と、温度換算手段6からの温度情報や操作手段8からの入力情報によりインバータ4へ供給する電力量を制御する誘導加熱制御手段(誘導加熱制御部)7と、使用者の操作による入力情報を得る操作手段8とを備えている。
【0018】
以上のように構成された誘導加熱装置について、以下その動作、作用を図2を用いて説明する。また分かりやすいように最初第1の誘導加熱制御部(左加熱制御部)で自動調理を行われた場合を例にとる。
【0019】
まず、被加熱物を入れた鍋1を第1の誘導加熱制御部上段の天板2上に載せ、操作手段8で自動調理を選択して調理を開始する(ステップS1)。調理開始させると第1の誘導加熱制御手段7を制御し加熱コイル3に高周波電流を発生させ、鍋1の加熱を行う。鍋1が加熱されると鍋1より放出する赤外線量は増え、その鍋1の底から発せられる赤外線量を熱量検出手段5で観測し、温度換算手段6で鍋1の温度を換算し、その温度を用いて調理工程移行や加熱コイル3に供給する電力を制御する(ステップS2)。自動調理中に第1の誘導加熱制御部を別の用途で使用する必要が発生した時、操作手段8にて自動調理一時停止を行う(ステップS3)。この時所定時間Tsのカウントを開始する。操作手段8にて加熱制御部切換(第1の誘導加熱制御部から第2の誘導加熱制御部(右加熱制御部)への切換)を選択する(ステップS4)。
【0020】
選択後第1の誘導加熱制御部での自動調理中の温度や出力や工程に関する情報を第2の誘導加熱制御部へ送信する(ステップS5)。操作手段8にて第2の誘導加熱制御部による自動調理再開始情報が入ると鍋1が第2の誘導加熱制御部上に載せ換えられたか否かの判定を行い、鍋1が載せかえれたと判定するまで次のステップへは移行しない(ステップS6)。
【0021】
鍋1が載せ換えられたと判断すると自動調理を停止してからどれだけ時間が経過したか判断し、所定時間Ts以上経過していた場合には自動調理を強制終了させ、経過時間が所定時間Ts未満であった場合には次のステップへ移行する(ステップS7)。
【0022】
鍋1載せ換え完了で自動調理停止より経過した時間が所定時間Ts未満であったならば先ほど第1の誘導加熱制御手段7より送られた調理工程情報を基に自動調理を再開する(ステップS8)。自動調理が再開されると以降第2の誘導加熱制御部で調理工程が進行していく(ステップS9)。調理工程が最後まで移行すると調理完了として自動調理を終了させ調理が完成する(ステップS10)。
【0023】
先ほどのステップS4にて操作手段8にて加熱制御部切換選択がなされなかった場合、操作手段8にて第1の誘導加熱制御部による自動調理再開始情報が入ると鍋1が第1の誘導加熱制御部上に載せられているか否かの判定を行い、鍋1が載せられていると判断するまで次のステップへは移行しない(ステップS11)。
【0024】
鍋1が載せ換えられていると判断すると自動調理を停止してからどれだけ時間が経過したか判断し、所定時間Ts以上経過していた場合には自動調理を強制終了させ、経過時間が所定時間Ts未満であった場合には次のステップへ移行する(ステップS12)。
【0025】
鍋1載せられていると判断しかつ自動調理停止より経過した時間が所定時間Ts未満であったならば先ほど第1の誘導加熱制御部にて自動調理を再開する(ステップS13)。自動調理が再開されると以降第1の誘導加熱制御部で調理工程が進行していく(ステップS14)。調理工程が最後まで移行すると調理完了として自動調理を終了させ調理が完成する(ステップS15)。
【0026】
以上のように、本実施の形態においては第1の誘導加熱制御部での自動調理情報を操作手段8にて第2の誘導加熱制御部へ送信し、その自動調理情報を基に自動調理をすることにより、自動調理中に鍋1を第2の誘導加熱制御手段7に載せ換えても途中の調理工程より自動調理を行うこととなり、使用者の使い勝手が向上することができる。
【0027】
また、本実施の形態では第2の誘導加熱制御部を用いたが、第2の誘導加熱制御部をヒーター加熱制御部とし、誘導加熱制御部の自動調理工程情報をヒーター加熱制御部で使用可能な情報に変換してヒーター加熱制御部に伝達することにより、誘導加熱制御部での自動調理中に前記自動調理を止め、鍋をヒーター加熱制御部上へ移し、誘導加熱制御部の自動調理工程情報をヒーター加熱制御部で使用可能な情報に変換してヒーター加熱制御部に伝達し、ヒーター加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、誘導加熱制御部が1つしかない場合などにおいて、自動調理中であるために誘導加熱制御部を他の被加熱物の加熱に使用できないということがなくなり利便性の向上が可能となる。
【0028】
また、本実施の形態では第2の誘導加熱制御部において熱量検出手段と温度換算手段とを用いたが、熱量検出手段と温度換算手段とを用いないとし、温度で制御していた箇所を時間で制御できるように自動調理工程情報を変更することにより、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に前記自動調理を止め、鍋を第2の誘導加熱制御部上へ移し、第1の誘導加熱制御部での自動調理情報を第2の誘導加熱制御部用に温度で工程切換を行っていた箇所を簡易的に時間による工程切換に変換して伝達し、第2の誘導加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、簡易的な構成で自動調理の継続を行うことが可能となる。
【0029】
尚、誘導加熱制御部にEEPROM等の記憶手段を備え、前記記憶手段に自動調理工程情報を記憶させて、例えば、第1の誘導加熱制御手段での自動調理工程の経過を前記記憶手段に記憶させ、第2の誘導加熱手段と前記記憶手段との直接のやりとりにより第2の誘導加熱制御部で調理を継続するようにしてもよい。
【0030】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における誘導加熱装置を示すブロック図である。
【0031】
図3において、本実施の形態の誘導加熱装置は、図示してない被加熱物を収容する鍋1と、鍋1を載せる天板2と、電磁誘導が発生し鍋1を発熱する加熱コイル3と、加熱コイル3に電磁誘導させるために高周波電流を供給するインバータ4と、鍋1からの赤外線信号を検出する赤外線検出手段5と、赤外線検出手段5により得た赤外線量より温度を換算する温度換算手段6と、温度換算手段6からの温度情報や操作手段8からの入力情報によりインバータ4へ供給する電力量を制御する誘導加熱制御手段7と、使用者の操作による入力情報を得る操作手段8と、故障を検出する故障検出手段9と、第1の誘導加熱制御部で自動調理中に故障が発生した場合に使用者に故障及び第2の誘導加熱制御部で自動調理を継続することを報知する報知手段10とを備えている。
【0032】
以上のように構成された誘導加熱装置について、以下その動作、作用を図4を用いて説明する。また実施の形態1同様分かりやすいように最初第1の誘導加熱制御部(左加熱制御部)で自動調理を行われた場合を例にとる。
【0033】
まず、被加熱物を入れた鍋1を第1の誘導加熱制御部上段の天板2上に載せ、操作手段8で自動調理を選択して調理を開始する(ステップS101)。調理開始させると第1の誘導加熱制御手段7を制御し加熱コイル3に高周波電流を発生させ、鍋1の加熱を行う。鍋1が加熱されると鍋1より放出する赤外線量は増え、その鍋1の底から発せられる赤外線量を熱量検出手段5で観測し、温度換算手段6で鍋1の温度を換算し、その温度を用いて調理工程移行や加熱コイル3に供給する電力を制御する(ステップS102)。調理中第1の誘導加熱制御部関連での故障の有無を常に判定していて、故障が検出された場合はステップS104へ移行し、故障していない場合は逐次調理工程が進んでいく(ステップS103)。
【0034】
調理中第1の誘導加熱制御部関連で故障発生と判定した場合、自動調理を第2の誘導加熱制御部(右加熱制御部)に切換可能か判定をする(ステップS104)。第2の誘導加熱制御部で自動調理がなされていれば第2の誘導加熱制御部への加熱制御部切換ができないので第1の誘導加熱制御部にて自動調理を終了させる(ステップS113)。
【0035】
故障判定後、第2の誘導加熱制御部での自動調理移行が可能であると判断した場合には第1の誘導加熱制御手段7で自動調理を停止させ、直後より所定時間Tsのカウントを開始する(ステップS105)。自動調理停止後、報知手段10で使用者へ第1の誘導加熱制御部関係で故障が発生したこと及び第1の誘導加熱制御部で行っていた自動調理を第2の誘導加熱制御部で続きを行うことが可能であることを報知する(ステップS106)。故障直前まで第1の誘導加熱制御部で自動調理が行われていた時の温度や出力や工程に関する情報を第2の誘導加熱制御部へ送信する(ステップS107)。操作手段8にて第2の誘導加熱制御部による自動調理再開始情報が入ると鍋1が第2の誘導加熱制御部上に載せ換えられたか否かの判定を行い、鍋1が載せ換えられたと判定するまで次のステップへは移行しない(ステップS108)。
【0036】
鍋1が載せ換えられたと判断すると自動調理を停止してからどれだけ時間が経過したか判断し、所定時間Ts以上経過していた場合には自動調理を強制終了させ、経過時間が所定時間Ts未満であった場合には次のステップへ移行する(ステップS109)。
【0037】
鍋1載せ換え完了で自動調理停止より経過した時間が所定時間Ts未満であったならば先ほど第1の誘導加熱制御手段7より送られた調理工程情報を基に自動調理を再開する(ステップS110)。自動調理が再開されると以降第2の誘導加熱制御部で調理工程が進行していく(ステップS111)。調理工程が最後まで移行すると調理完了として自動調理を終了させ調理が完成する(ステップS112)。
【0038】
以上のように、本実施の形態においては第1の誘導加熱制御部で自動調理中に故障検出手段9で故障を検出した時点で第1の誘導加熱制御部で行っていた自動調理を第2の誘導加熱制御部で継続可能であることを報知し、実際に調理工程の継続可能とすることにより、自動調理中途中で使用中の第1の誘導加熱制御部関連で故障が発生したとしても自動調理工程を途中終了させることがなく第2の誘導加熱制御部で自動調理を継続して行うこととなり、故障時における調理の失敗を低減することができる。
【0039】
また、本実施の形態では第2の誘導加熱制御部を用いたが、第2の誘導加熱制御部をヒーター加熱制御部とし、誘導加熱制御部の自動調理工程情報をヒーター加熱制御部で使用可能な情報に変換してヒーター加熱制御部に伝達することにより、誘導加熱制御部での自動調理中に前記自動調理を止め、鍋をヒーター加熱制御部上へ移し、誘導加熱制御部の自動調理工程情報をヒーター加熱制御部で使用可能な情報に変換してヒーター加熱制御部に伝達し、ヒーター加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、誘導加熱制御部が1つしかない場合などにおいて、自動調理中であるために誘導加熱制御部を他の被加熱物の加熱に使用できないということがなくなり利便性の向上が可能となる。
【0040】
また、本実施の形態では第2の誘導加熱制御部において熱量検出手段と温度換算手段とを用いたが、熱量検出手段と温度換算手段とを用いないとし、温度で制御していた箇所を時間で制御できるように自動調理工程情報を変更することにより、第1の誘導加熱制御部にて自動調理中に前記自動調理を止め、鍋を第2の誘導加熱制御部上へ移し、第1の誘導加熱制御部での自動調理情報を第2の誘導加熱制御部用に温度で工程切換を行っていた箇所を簡易的に時間による工程切換に変換して伝達し、第2の誘導加熱制御部にて自動調理を再開させ自動調理の続きを継続してできることとなり、簡易的な構成で自動調理の継続を行うことが可能となる。
【0041】
尚、誘導加熱制御部にEEPROM等の記憶手段を備え、前記記憶手段に自動調理工程情報を記憶させて、例えば、第1の誘導加熱制御手段での自動調理工程の経過を前記記憶手段に記憶させ、第1の誘導加熱制御手段が故障(暴走等)してやり取りができない場合に、第2の誘導加熱手段と前記記憶手段との直接のやりとりにより第2の誘導加熱制御部で調理を継続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明にかかる誘導加熱装置は、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に鍋を第2の誘導加熱制御部に載せ換えて、工程を途中終了させることなく最後まで調理することが可能であるので、自動調理機能を搭載する加熱調理器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導加熱装置を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態2における誘導加熱装置を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態2における誘導加熱装置の動作を示すフローチャート
【図5】従来例における誘導加熱装置を示すブロック図
【符号の説明】
【0044】
1 鍋
2 天板
3 加熱コイル(誘導加熱制御部)
4 インバータ(誘導加熱制御部)
5 熱量検出手段
6 温度換算手段
7 誘導加熱制御手段(誘導加熱制御部)
8 操作手段
9 故障検出手段
10 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する電力を制御する誘導加熱制御手段とをそれぞれ有する複数の誘導加熱制御部と、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に第2の誘導加熱制御部に前記自動調理を切り換えるための入力命令を受け付ける操作手段とを備え、前記操作手段に入力された命令に応じて前記第1の誘導加熱制御部の有する自動調理工程情報を前記第2の誘導加熱制御部に伝達する誘導加熱装置。
【請求項2】
鍋を発熱体により加熱するヒーターと、前記ヒーターに供給する電力を制御するヒーター加熱制御手段とを有するヒーター加熱制御部とを備え、誘導加熱制御部の自動調理工程情報を前記ヒーター加熱制御部で使用できる情報に変換して前記ヒーター加熱制御部に伝達する請求項1の誘導加熱装置。
【請求項3】
誘導加熱制御部は、鍋または被加熱物からの熱量を検出する熱量検出手段と、前記熱量検出手段の出力から前記鍋または被加熱物の温度を換算する温度換算手段とを備え、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に第2の誘導加熱制御部に前記自動調理を切り換えた際に、前記熱量検出手段で検出した熱量より前記温度換算手段で換算した温度情報を基に加熱コイルの上部で前記鍋を載置する天板等の温度の違いを自動調理工程情報の補正に用いることを特徴とした請求項1または2項に記載の誘導加熱装置。
【請求項4】
第1の誘導加熱制御部に鍋または被加熱物からの熱量を検出する熱量検出手段を備え、前記第1の誘導加熱制御部での自動調理に第2の誘導加熱制御部に前記自動調理を切り換え後、前記第2の誘導加熱制御部に前記熱量検出手段がない場合に温度で制御していた箇所を時間で制御できるように自動調理工程情報を変更することを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
【請求項5】
熱量検出手段は、鍋または被加熱物から放射する赤外線を検知する赤外線検出手段とし、単位時間辺りの温度変化情報を自動調理工程情報に含んだ請求項3または4に記載の誘導加熱装置。
【請求項6】
第1の誘導加熱制御部の故障を検出する故障検出手段と、使用者に報知する報知手段とを備え、第1の誘導加熱制御部での自動調理中に故障して前記第1の誘導加熱制御部での調理続行不可の場合に第2の誘導加熱制御部に前記自動調理を切り換え、前記第2の誘導加熱制御部で自動調理が継続して行うことが可能であることを使用者に報知することを特徴とした請求請求項1〜5のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−134796(P2006−134796A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324818(P2004−324818)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】