説明

誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサ

【課題】SrTiO系誘電体セラミックは一般に誘電率が低いとされるが、SrTiO系誘電体セラミックにおいて、より高い誘電率が得られるようにし、これを用いた積層セラミックコンデンサの小型化を図れるようにする。
【解決手段】誘電体セラミック層2を構成する誘電体セラミックとして、主成分が組成式:(Sr1−x−ySnBa)TiOで表わされ、かつこの組成式において、xが0.005≦x≦0.24、yが0≦y≦0.25である、誘電体セラミックを用いる。上記主成分100モルに対して、M(Mは、MnおよびVの少なくとも一方)を、MOに換算して、0.01モル〜5モル、および/または、Siを、SiOに換算して、0.2モル〜5モル含むことが好ましく、さらに、上記主成分100モルに対して、Caを、CaOに換算して、0.1モル〜25モル含むことがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)系の誘電体セラミックおよびそれを用いて構成される積層セラミックコンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
SrTiO系誘電体セラミックは、それを用いて構成したコンデンサの静電容量の温度係数の直線性が良好であるため、温度補償用コンデンサにおいて好適に用いられている。また、SrTiO系誘電体セラミックは、高耐圧コンデンサにおいても用いられている。
【0003】
しかしながら、SrTiO系誘電体セラミックは、一般に、誘電率が低いため、これを用いて構成されるコンデンサの小型化が容易ではないという欠点を有している。
【0004】
上記欠点を解消するため、たとえば特開平7‐45122号公報(特許文献1)に記載のような誘電体セラミックが提案されている。特許文献1に記載の誘電体セラミックは、SrTiO系を主成分とするものであるが、PbTiO、Biなどをさらに含んでいる。PbTiOおよびBiは、誘電体セラミックの誘電率を高くするように作用する。
【0005】
しかしながら、PbTiOおよびBiは、誘電体セラミック材料の耐還元性を低下させるため、卑金属を主成分とする内部電極を有する積層セラミックコンデンサにおける誘電体セラミック層を構成することには必ずしも適していない。このようなことから、SrTiO系誘電体セラミックは、その誘電率を高くすることが容易ではないのである。
【0006】
また、特許文献1では、SrTiO系誘電体セラミックに種々の添加物を添加することが開示されており、たとえばSnOを添加することにより、耐電圧を改善している。このSnOについては、特許文献1において、その添加量が多くなると、誘電率が低下するとされている。この点からも、SrTiO系誘電体セラミックは、その誘電率を単純には高め得ないことがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−45122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決し得る、SrTiO系の誘電体セラミックおよびそれを用いて構成される積層セラミックコンデンサを提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る誘電体セラミックは、主成分が組成式:(Sr1−x−ySnBa)TiOで表わされ、かつ上記組成式において、xが0.005≦x≦0.24、yが0≦y≦0.25であることを特徴としている。
【0010】
この発明に係る誘電体セラミックは、好ましくは、さらに、上記主成分100モルに対して、M(Mは、MnおよびVの少なくとも一方)を、MOに換算して、0.01モル〜5モル含む。
【0011】
この発明に係る誘電体セラミックは、好ましくは、さらに、Siを、SiOに換算して、0.2モル〜5モル含む。なお、上記MおよびSiについては、各々単独で含んでも、双方とも含んでもよい。
【0012】
より好ましくは、さらに、上記主成分100モルに対して、Caを、CaOに換算して、0.1モル〜25モル含む。
【0013】
この発明は、また、積層された複数の誘電体セラミック層、および誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成された複数の内部電極をもって構成される、コンデンサ本体と、コンデンサ本体の外表面上の互いに異なる位置に形成され、かつ内部電極の特定のものに電気的に接続される、複数の外部電極とを備える、積層セラミックコンデンサにも向けられる。
【0014】
この発明に係る積層セラミックコンデンサは、誘電体セラミック層が、上述したこの発明に係る誘電体セラミックからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る誘電体セラミックによれば、SrTiO系を主成分とするものであるにも関わらず、その誘電率を高くすることができる。これは、ABOで表わされるペロブスカイト構造化合物におけるAサイトに、Snが2価の陽イオンとして存在しているためであると推測される。前述の特許文献1に記載のように、SnOを単に添加し、大気中にて通常の焼成を行なうと、Bサイトに4価元素としてSnが存在することになる。この場合、Snは、セラミックの誘電率を向上させる効果を発揮し得ない。
【0016】
この発明に係る誘電体セラミックでは、SrTiO系の主成分のAサイトにおいて、好ましくは、Srが所定量のBaによってさらに置換されるが、このようなBaの置換により、誘電率をさらに向上させることができる。
【0017】
この発明に係る誘電体セラミックにおいて、M(Mは、MnおよびVの少なくとも一方)を所定量添加したり、Siを所定量添加したりすることにより、焼成温度をより低くすること可能となる。
【0018】
この発明に係る誘電体セラミックにおいて、Caが所定量添加されると、静電容量の温度特性を改善することができる。
【0019】
このようなことから、この発明に係る誘電体セラミックを用いて積層セラミックコンデンサを構成すれば、誘電体セラミック層の誘電率の向上によって積層セラミックコンデンサの小型化を図ることが可能となる。また、卑金属を主成分とする内部電極との一体焼成が可能となり、積層セラミックコンデンサのコストダウンを図ることができるとともに、内部電極材料の選択の幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照して、まず、この発明に係る誘電体セラミックが適用される積層セラミックコンデンサ1について説明する。
【0022】
積層セラミックコンデンサ1は、積層された複数の誘電体セラミック層2と誘電体セラミック層2間の特定の界面に沿って形成される複数の内部電極3および4とをもって構成される、コンデンサ本体5を備えている。内部電極3および4は、たとえばNiを主成分としている。
【0023】
コンデンサ本体5の外表面上の互いに異なる位置には、第1および第2の外部電極6および7が形成される。外部電極6および7は、たとえばAgまたはCuを主成分としている。図1に示した積層セラミックコンデンサ1では、第1および第2の外部電極6および7は、コンデンサ本体5の互いに対向する各端面上に形成される。内部電極3および4は、第1の外部電極6に電気的に接続される複数の第1の内部電極3と第2の外部電極7に電気的に接続される複数の第2の内部電極4とがあり、これら第1および第2の内部電極3および4は、積層方向に関して交互に配置されている。
【0024】
このような積層セラミックコンデンサ1において、誘電体セラミック層2は、主成分が組成式:(Sr1−x−ySnBa)TiOで表わされる誘電体セラミックから構成される。
【0025】
上記組成式において、xは0.005≦x0.24とされる。ここで、xが0.005未満であると、誘電率の上昇効果が得られず、他方、xが0.24を超えると、異相が析出し、この場合にも、誘電率の上昇効果が得られない。
【0026】
また、上記組成式において、yは0≦y≦0.25とされる。すなわち、SrがBaで置換されない組成(y=0)もあり得るが、上記の所定の範囲でBa置換されると、誘電率がさらに向上する。なお、yが0.25を超えると、誘電損失tanδが大きくなり、好ましくない。
【0027】
上記誘電体セラミックにおいて、SnはABOにおけるAサイトに2価の陽イオンとして存在していることが重要である。これによって、Snが誘電率の向上の効果を発揮するのである。代わりに、SnがBサイトに4価元素として存在する場合には、Snに誘電率向上の効果を期待することはできない。
【0028】
なお、Snの価数を求めるため、たとえば、XANES測定を、Sn‐K吸収端において透過法で実施し、吸収端のケミカルシフトから価数を評価する方法がある。一般的に価数が大きくなると、高エネルギー側に吸収端がシフトし、このシフトとリファレンスのSnO(2価)およびSnO(4価)の各々と比較することにより価数を同定することができる。ペロブスカイトの場合、Snが2価ならAサイト、4価ならBサイトというように一義的に決定される。
【0029】
上述した方法に限らず、たとえばTEM‐EELSやESRなど、価数を同定することができる他の方法を用いてもよい。
【0030】
上述したようにSnを2価の陽イオンとしてAサイトに位置させた誘電体セラミックを得るには、その焼成時において、還元性雰囲気を適用することが好ましい。より好ましくは、Sr化合物とTi化合物とを仮焼してペロブスカイトSrTiOを生成する際、Sn化合物をSr化合物とTi化合物とに予め混ぜておき、仮焼時の雰囲気をも還元性雰囲気とすることが行なわれる。
【0031】
なお、誘電体セラミックの主成分を組成式:(Sr1−x−ySnBaTiOで表わしたとき、通常、mの値は1前後となるが、絶縁抵抗に関して十分な特性を得るためには、mは0.99≦m≦1.15の範囲に選ばれることが好ましい。
【0032】
誘電体セラミック層2を構成する誘電体セラミックは、さらに、上記主成分100モルに対して、M(Mは、MnおよびVの少なくとも一方)を、MOに換算して、0.01モル〜5モル含むことが好ましい。また、誘電体セラミックは、上記Mに加えて、またはMに代えて、主成分100モルに対して、Siを、SiOに換算して、0.2モル〜5モル含むことが好ましい。このようなMおよび/またはSiの添加によって、耐還元性を低下させずに、誘電体セラミックを焼結させるための焼成温度を低くすることができる。よって、内部電極3および4がNiのような卑金属を主成分とする場合であっても、問題なく、内部電極3および4との同時焼成が可能となる。
【0033】
なお、主成分100モルに対して、Mが、MOに換算して、0.01モル未満であると、低温焼結の効果が十分に表われず、他方、5モルを超えると、絶縁抵抗が低下する。また、主成分100モルに対して、Siが、SiOに換算して、0.2モル未満であると、焼成温度の低下効果が十分に得られず、他方、5モルを超えると、異相が発生し、絶縁抵抗が低下する。
【0034】
また、上記誘電体セラミックは、さらに、主成分100モルに対して、Caを、CaOに換算して、0.1モル〜25モル含むことが好ましい。これによって、誘電体セラミックの温度特性を改善することができる。このCaの添加には、Caの酸化物を用いても、Caの炭酸物を用いてもよい。
【0035】
なお、主成分100モルに対して、Caが、CaOに換算して、0.1モル未満であると、温度特性の改善効果が十分に得られず、他方、25モルを超えると、耐還元性が低下し、絶縁抵抗が低下する。
【0036】
以下に、この発明に基づいて実施した実験例について説明する。
【0037】
[実験例1]
まず、出発原料として、TiO、SrCOおよびSnOの各粉末を用意した。これら粉末を、組成式:(Sr1-xSnTiOにおいて、表1に示したxおよびmの各値を示す組成になるよう調合した。次に、この調合粉をボールミルにて混合粉砕し、乾燥の後、混合粉体を得た。
【0038】
次に、この混合粉体を、N混合ガスからなる酸素分圧10−10MPaの雰囲気中にて、1050℃の温度にて2時間熱処理し、(Sr1-xSnTiOを主成分とする粉末を得た。この粉末を乾式粉砕し、セラミック原料粉末とした。
【0039】
次に、この原料粉末に、ポリビニルブチラール系バインダとエタノールを含む有機溶剤とを加えて、ボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを調製した。
【0040】
次に、このセラミックスラリーをドクターブレード法によりシート成形し、厚み12μmのセラミックグリーンシートを得た。次に、このセラミックグリーンシート上に、Niを主体とする導電性ペーストを印刷し、内部電極を構成するための導電性ペースト膜を形成した。
【0041】
次に、セラミックグリーンシートを、上述の導電性ペースト膜の引き出されている側が互い違いになるように複数枚積層し、コンデンサ本体となるべき生の積層体を得た。
【0042】
次に、この生の積層体を、N雰囲気にて350℃の温度で加熱し、バインダを燃焼させた後、酸素分圧10-10〜10-12MPaのH−N−HOガスからなる還元雰囲気中において、表1に示す焼成温度で2時間焼成し、焼結したコンデンサ本体を得た。
【0043】
次に、焼成後の積層体の両端面にB-SiO-BaO系ガラスフリットを含有する銀ペーストを塗布し、N雰囲気中において600℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成し、試料となる積層セラミックコンデンサを得た。
【0044】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、幅1.0mm、長さ2.0mm、厚さ0.5mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みが10μmであった。また、有効誘電体セラミック層の層数は5層であり、セラミック層1層あたりの内部電極の対向面積は1.3×10−6であった。
【0045】
次に、得られた積層セラミックコンデンサについて、次のように電気特性を評価した。
【0046】
静電容量および誘電損失(tanδ)を、自動ブリッジ式測定器を用いながら、−55〜125℃の範囲で0.2kVrms/mmの条件で測定した。得られた静電容量から誘電率を求めた。
【0047】
また、絶縁抵抗計を用い、25℃の温度下で30kV/mmの直流電圧を1分間印加して絶縁抵抗を求め、この絶縁抵抗から比抵抗(logρ)を算出した。
【0048】
以上のようにして求めた誘電率、tanδおよびlogρが以下の表1に示されている。
【0049】
【表1】

【0050】
表1からわかるように、Sn置換量xが0.005≦x≦0.24の条件を満たす試料3〜8および11〜13によれば、Sn置換量xが「0」である試料1に比べて、誘電率を100以上高めることができる。
【0051】
上記の0.005≦x≦0.24の条件を満たす試料3〜8および11〜13について、積層セラミックコンデンサに備える誘電体セラミック層に含まれるSnの価数を評価するため、XANES測定による価数の評価をSn-K吸収端において透過法で実施し、吸収端のケミカルシフトから価数の評価したところ、Snの価数は2価であることがわかった。このことは、SnがABOにおけるAサイトに2価の陽イオンとして存在していることを示している。
【0052】
これらに対して、Sn置換量xが0.005未満の試料2では、Sn置換量xが「0」である試料1に対する誘電率の上昇幅が70というように、100未満に留まっている。
【0053】
また、Sn置換量xが0.24を超える試料9および10では、異相が析出し、Sn置換量xが「0」である試料1に対する誘電率の上昇幅が100未満に留まっている。
【0054】
[実験例2]
実験例1において作製した、組成式:(Sr1-xSnTiOにおいて、x=0.100、m=1.00である試料6の組成を主成分とし、この主成分100モルに対して、表2に示すように、MO(Mは、MnまたはV)をaモル、SiOをbモル添加した組成の誘電体セラミックについて、実験例1の場合と同様の評価を実施した。その結果が表2に示されている。
【0055】
【表2】

【0056】
表2からわかるように、主成分100モルに対して、M(MnまたはV)O添加量aが0.01モル〜5モルである試料103〜108および115〜118、あるいはSiO添加量bが0.2モル〜5モルである試料111〜118によれば、MO添加量aおよびSiO添加量bのいずれもが「0」である試料101に比べて、誘電体セラミックを焼結させるための焼成温度を低くすることができる。
【0057】
これらに対して、主成分100モルに対して、MO添加量aが0.01モル未満であり、かつSiO添加量bが0.2モル未満である試料102および110では、MO添加量aおよびSiO添加量bのいずれもが「0」である試料101に比べて、焼成温度を低くする効果が現れていない。
【0058】
なお、MO添加量aが5モルを超えると、絶縁抵抗が低下し、また、SiO添加量bが5モルを超えると、異相が発生し、絶縁抵抗が低下することが確認されている。
【0059】
[実験例3]
実験例1において作製した、組成式:(Sr1-xSnTiOにおいて、x=0.100、m=1.00である試料6の組成を主成分とし、この主成分100モルに対して、表3に示すように、MnOの添加量aを0.500モルとし、SiOの添加量bを2.0モルとするとともに、CaOをcモル添加した組成の誘電体セラミックについて、表3に示すように、ΔC(−55)およびΔC(125)を評価した。
【0060】
なお、ΔC(−55)は、25℃の静電容量を基準とした、−55℃での静電容量の変化率(%)であり、ΔC(125)は、25℃の静電容量を基準とした、125℃での静電容量の変化率(%)である。
【0061】
【表3】

【0062】
表3からわかるように、主成分100モルに対して、CaO添加量cが0.1モル〜25モルである試料202〜205によれば、CaO添加量cが「0」である試料201に比べて、静電容量の変化率を低くすることができ、誘電体セラミックの温度特性を改善することができる。
【0063】
なお、主成分100モルに対して、Caが、CaOに換算して、0.1モル未満であると、温度特性の改善効果が十分に得られず、他方、25モルを超えると、耐還元性が低下し、絶縁抵抗が低下することが確認されている。
【0064】
[実験例4]
まず、出発原料として、TiO、SrCOおよびSnOの各粉末に加えて、BaCO粉末を用意した。これら粉末を、組成式:(Sr1-xーySnBaTiOにおいて、表4に示したx、yおよびmの各値を示す組成になるよう調合した。次に、この調合粉をボールミルにて混合粉砕し、乾燥の後、混合粉体を得た。
【0065】
次に、この混合粉体を、N混合ガスからなる酸素分圧10−10MPaの雰囲気中にて、1050℃の温度にて2時間熱処理し、(Sr1-xーySnBaTiOを主成分とする粉末を得た。この粉末を乾式粉砕し、セラミック原料粉末とした。
【0066】
その後、実験例1の場合と同様の操作を実施して、試料となる積層セラミックコンデンサを作製し、実験例1の場合と同様の評価を実施した。その結果が表4に示されている。
【0067】
【表4】

【0068】
表4からわかるように、(Sr1−x−ySnBa)TiOおけるBa置換量yが「0」である試料301に比べて、Ba置換されている試料302〜310では、より高い誘電率が得られている。
【0069】
なお、Ba置換量yが0.25を超えると、誘電損失tanδが大きくなりすぎることが確認されている。
【符号の説明】
【0070】
1 積層セラミックコンデンサ
2 誘電体セラミック層
3,4 内部電極
5 コンデンサ本体
6,7 外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分が組成式:(Sr1−x−ySnBa)TiOで表わされ、かつ前記組成式において、xが0.005≦x≦0.24、yが0≦y≦0.25である、誘電体セラミック。
【請求項2】
さらに、前記主成分100モルに対して、M(Mは、MnおよびVの少なくとも一方)を、MOに換算して、0.01モル〜5モル含む、請求項1に記載の誘電体セラミック。
【請求項3】
さらに、前記主成分100モルに対して、Siを、SiOに換算して、0.2モル〜5モル含む、請求項1または2に記載の誘電体セラミック。
【請求項4】
さらに、前記主成分100モルに対して、Caを、CaOに換算して、0.1モル〜25モル含む、請求項2または3に記載の誘電体セラミック。
【請求項5】
積層された複数の誘電体セラミック層、および前記誘電体セラミック層間の特定の界面に沿って形成された複数の内部電極をもって構成される、コンデンサ本体と、
前記コンデンサ本体の外表面上の互いに異なる位置に形成され、かつ前記内部電極の特定のものに電気的に接続される、複数の外部電極と
を備え、
前記誘電体セラミック層は、請求項1ないし4のいずれかに記載の誘電体セラミックからなる、
積層セラミックコンデンサ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−163321(P2010−163321A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7190(P2009−7190)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】