説明

読み出し作業の間のクロスカップリング補償を有するフラッシュメモリシステム

メモリシステムのアドレス指定されたセルを読み出す方法は、メモリセルアレイ内のメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加することを含み、そのメモリセルは、アドレス指定されたメモリセルに隣接するとともにアドレス指定されたメモリセルと電場を及ぼし合う。少なくとも2つの異なる印加電圧レベルの各々において、アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧が測定される。アドレス指定されたメモリセルの測定されたしきい値電圧のうちの少なくとも2つは、アドレス指定されたメモリセル内に記憶されている1つ以上のビット値に変換される。ビット値はメモリシステムのホストに提供される。この方法を実行する装置も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してフラッシュメモリシステムに関し、より具体的には、アドレス指定されたメモリセルの読み出しの間のクロスカップリング効果の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュデバイスは、クロスカップリング効果に起因する読み出しエラーを呈する場合がある。クロスカップリング効果は、読み出されるアドレス指定されたセルと電場を及ぼし合う隣接したセルのフローティングゲート間のカップリングによって引き起こされる場合がある。フローティングゲート間のカップリング現象は、異なる時にプログラムされる隣接したメモリセルのセットの間で生じる場合がある。例えば、第1のメモリセルが、そのフローティングゲートに、1つ以上のビット値に対応する電荷のレベルを加えるようにプログラムされてよい。その後、1つ以上の隣接するメモリセルが、それらのフローティングゲートに、1つ以上のビット値に対応する電荷のレベルを加えるようにプログラムされてよい。隣接するメモリセルのうちの1つ以上がプログラムされた後では、隣接するメモリセル上の電荷が第1のメモリセルに及ぼすクロスカップリング効果の故に、第1のメモリセルから読み出される電荷レベルは、本来プログラムされたのとは異なって見えてしまう場合がある。このように、隣接するメモリセルからのクロスカップリングは、第1のメモリセルから読み出される見掛けの電荷レベルをシフトさせ得る。このシフトは、第1のメモリセル内に記憶されているデータの誤読を生じさせてしまう場合がある。
【発明の概要】
【0003】
アドレス指定されたメモリセルの状態が読み出される際に、アドレス指定されたメモリセルとその隣接するセルのうちの1つ以上との間のクロスカップリングの補償が行われてよい。従来の方法は、隣接するセルの読み出し電圧、および隣接するセルからのクロスカップリング効果に起因する予想電圧シフトに基づく、アドレス指定されたセルの読み出し電圧(またはその記憶されているビットの推定値)の補正に基づいている。これらの予想電圧シフトは、同じ相対ロケーションを有する隣接するセルおよびアドレス指定されたセルのすべての対にわたって取られた平均クロスカップリング係数に基づく。このアプローチの問題点は、フラッシュアレイの製造プロセスにおけるばらつきの故に、異なる対の間にクロスカップリング係数のばらつきが存在することである。これらのばらつきは、平均値に基づくこのようなクロスカップリング補償技法の精度の低下を招く。製作プロセスがフラッシュメモリデバイスのサイズを小さくするほど、これらのむらの変動は増大する場合がある。
【0004】
メモリシステム内のメモリダイのアドレス指定されたセルを読み出す方法は、メモリセルアレイ内のメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加することを含み、そのメモリセルは、アドレス指定されたメモリセルに隣接するとともにアドレス指定されたメモリセルと電場を及ぼし合う。少なくとも2つの異なる印加電圧レベルの各々において、アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧が測定される。アドレス指定されたメモリセルの測定されたしきい値電圧のうちの少なくとも2つは、アドレス指定されたメモリセル内に記憶されている1つ以上のビット値に変換される。ここで、少なくとも2つの測定された電圧の変換はメモリダイの外部でなされる。ビット値はメモリシステムのホストに提供される。この方法を実行する装置も開示される。
【0005】
別の態様によれば、メモリシステムのメモリダイ内のアドレス指定されたメモリセルを読み出す方法が開示される。この方法は、メモリセルアレイの複数のターゲットメモリセルについての基準電圧差を求めることを含む。アドレス指定されたメモリセルと電場を及ぼし合う隣接するメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2つの異なる電圧レベルが印加される。少なくとも2つの異なる印加電圧レベルの各々において、アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧が測定される。この方法は、隣接するメモリセルに印加される異なる電圧レベルのうちの2つにおいて測定されたアドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧の特定の電圧差を算出することをさらに含む。特定の電圧差を用い、アドレス指定されたメモリセルの測定されたしきい値電圧のうちの少なくとも1つが1つ以上のビット値に変換される。ここで、変換は特定の電圧差と基準電圧差との差に依存する。1つ以上のビット値はメモリシステムのホストシステムに提供される。
【0006】
添付の図面および詳細な説明を吟味すれば、他のシステム、方法、フィーチャおよび利点が当業者には明らかであるかまたは明らかとなる。このような追加的なシステム、方法、フィーチャおよび利点は、すべて本願明細書内に含まれ、本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
図中の構成要素は必ずしも原寸に比例しておらず、それよりも、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。さらに、図において、同じ値を有する参照符号は、異なる図すべてを通じて対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】メモリシステムのブロック図である。
【図2】図1のメモリシステムにおいて用いられてよい大容量メモリ記憶システムの1つの例のブロック図である。
【図3A】単一のフローティングゲートメモリセルの断面図である。
【図3B】メモリセルアレイの複数のフローティングゲートメモリセルのブロック図である。
【図4】図3に示されるアレイのアドレス指定されたメモリセルからビット値を抽出するために用いられてよい作業を示す図である。
【図5】アドレス指定されたメモリセルと1つ以上の隣接するメモリセルとの間のクロスカップリング効果の存在下におけるアドレス指定されたセルのしきい値を測定する代替的かつ/または補助的な方法を示す図である。
【図6】特定のクロスカップリング係数を平均クロスカップリング係数と比較し、アドレス指定されたメモリセル内のビット値を算出する作業を示す図である。
【図7】クロスカップリング効果の存在を補償し、同時に、メモリセルアレイ内の同じ相対位置にあるアドレス指定されたメモリセル内に記憶されているデータのビット値を算出するために用いられてよい作業を示す図である。
【図8】メモリセルアレイの異なる領域内のアドレス指定されたメモリセルと隣接するメモリセルとの間の相対位置を示すために複数の領域に論理的に分割されたメモリセルアレイの部分のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、大容量メモリ記憶システム105が示されている。メモリシステム105は、115において全体的に示されるホストシステムのシステムバス110に接続されてよい。ホストシステム115は、1つ以上のプロセッサ120、揮発性メモリ125、ならびに入出力デバイスまたは回路との接続を提供する入出力インターフェイス130を含んでよい。ホストシステム115は、パーソナルコンピュータ、カメラ、または大容量記憶メモリシステムを用いる任意の他のシステムであってよい。メモリシステム105は、フラッシュメモリ記憶セルアレイ、デコーダおよび制御回路を含むことができるフラッシュメモリ回路網135を含んでよい。メモリシステム105は、バス145を通じてフラッシュメモリ回路網135に接続されるコントローラ140も含んでよい。バス145はアドレスバス、制御ステータスバス、シリアル書き込みデータ線およびシリアル読み出しデータ線を含んでよい。メモリセルアレイのフラッシュメモリ回路網135およびフラッシュメモリコントローラ140、ならびにメモリシステム105の他の部分は、単一のモノリシックな集積回路チップ上に実装されてよい。代替的に、フラッシュメモリ回路網135および/またはメモリコントローラ140を形成するために2つ以上の集積回路チップまたはダイが用いられてもよい。別個の集積回路チップまたはダイ上に、同じメモリコントローラ140の制御を受けるかまたは異なるメモリコントローラの制御を受ける追加のフラッシュメモリ回路網135が含まれてもよい。
メモリシステム105はホストシステム115内に固定されてもよい。加えてまたは別の方法では、メモリシステム105は、例えばホストシステム入出力インターフェイス130を通じてホストシステム115に接続されてよい取り外し可能なカードとして実装されてもよい。
【0009】
図2は、図1の大容量メモリ記憶システム105の1つの例を示す。図2では、メモリセルアレイ205が行および列状に編成されている。メモリセルアレイ205は、コントロールゲート、少なくとも1つのフローティングゲート、ソース、およびドレインを各々含む複数のフローティングゲートトランジスタを含む。行アドレスデコーダ210が、メモリシステムアドレスバス220上のアドレスの少なくとも一部分によって指定される1本以上の行(ワード)線215を選択する。列アドレスデコーダ225が、アドレスバス220上のアドレスの別の部分によって指定される通りの1本以上の列(ビット)線230を選択する。アレイ205内のメモリセルのソース線にはソーススイッチ235が接続される。行線215はメモリセルの行のコントロールゲートに接続され、列線230はソース/ドレイン拡散に接続される。
【0010】
読み出し作業の間、選択された行および列線は、アドレス指定されたメモリセルのための電圧の特定のセットまで加圧される。これらの電圧は行および列アドレスデコーダ210および225を通じて印加され、フラッシュメモリコントローラ140によって制御されてよい。アドレス指定されたメモリセルを通った電流はセンス増幅器250に提供され、アドレス指定されたセル(単数または複数)から読み出されたデータビットはバッファに提供され、そこでそれらはデータレジスタ240によって読み込まれる。データレジスタ240は、1つ以上の線260を通じてフラッシュメモリコントローラ140からの読み出しデータ/フラッシュメモリコントローラ140への書き込みデータを提供する。
【0011】
プログラミングの間、選択された列線の電圧は、データレジスタ240によって受け取られ、書き込みバッファ245内に一時的に記憶される受信データに基づき設定される。プログラムの読み出しおよび消去作業は制御論理265によって制御/ステータスバス270上の信号に応答して制御される。制御論理265はデータレジスタ240から、データのチャンクの全ビットがうまくプログラムされたことがいつベリファイされたのかを示す1つ以上の信号も受け取る。
205において、メモリセルアレイが示されている。アレイはワード線(例えば、水平ワード線)およびビット線(例えば、垂直ビット線)の格子として構築されている。「水平」および「垂直」という用語が本願明細書において用いられるが、これらの用語は相対的なものであり、単に、メモリセルアレイを形成する例示的な格子を記述するにすぎない。
【0012】
作業時、各垂直ビット線は1つのセルのソースをその垂直に隣接するセルのドレインに接続する。各水平ワード線は、例えば読み出し作業または同様のものの間に同時にアクセスされるべきすべてのセルのコントロールゲートを接続する。このように、各ワード線はセルのコントロールゲートをその左右の隣接するセルのコントロールゲートに接続する。アレイは、消去のための基本単位として用いられるブロックに分割されてよい。各ブロックは、例えば、各ページが1本のワード線に対応する64個のページを内包してよい。ページは通例、プログラミングおよび読み出しのために用いられる基本単位である。ページ/ワード線は、例えば、情報を記憶するための64Kのセル、およびオーバーヘッド(例えば、誤り訂正符号のパリティビット)を記憶するためのいくらかの追加のセルを内包してよい。
【0013】
メモリセルのフローティングゲート上の電荷の量は、メモリセルを通じた伝導を制御する。メモリセルのデータビット値を読み出すために、そのソースおよびドレイン間に電圧が印加され、同時にそのコントロールゲートに電圧が固定電圧で印加される。セル内に記憶されているデータは、セルが電流を伝導し始める、セルのコントロールゲートに印加される電圧に基づき確認される。
【0014】
図3Aは、単一のビットメモリセル350の例である。メモリセル350は、p形基板等の、ドープされた基板357内に形成されたソース353およびドレイン355を含む。コントロールゲート360およびフローティングゲート363がインターポリ酸化物365内に封入されている。フローティングゲート363はトンネル酸化膜367によってソース353、ドレイン355、および基板357から隔離されている。
【0015】
プログラミング作業の際には、フラッシュメモリコントローラ140の制御を受ける電圧がメモリセル350に印加され、そのため、トンネル酸化膜367を通じて電荷がフローティングゲート363に置かれるかまたはそこから除去される。読み出し作業の間は、ソース353およびドレイン355間に電圧が印加され、同時に、フローティングゲート363にさらなる電圧が印加される。フローティングゲート363がしきい値電圧に達すると、ソース353とドレイン355との間に電流が流れる。電流が流れる電圧はフローティングゲート363上の電荷に依存する。フローティングゲート363上の電荷が、ひいては、メモリセル350内に記憶されている論理データビットに対応する。この構造は、セル構造内に離散ビットを記憶するために多数の互いに異なる電荷レベルが用いられるマルチビットセルに用いられてもよい。
【0016】
図3Bは、メモリセルアレイ205の複数のフローティングゲートメモリセルを示す。アレイ205内で互いに隣接するメモリセルは互いに電場を及ぼし合う。このため、メモリセルは、メモリセル同士の間の破線の矢印によって示されるように、互いにクロスカップリングする。例えば、図3Bのメモリセル305は隣接するメモリセル310〜345とクロスカップリングしてよい。クロスカップリング補償はメモリセル305からのデータの読み出しに関して説明されるが、クロスカップリング補償は、アレイ205の各メモリセルを読み出すために用いられてよい。
【0017】
クロスカップリング係数は、アドレス指定されたセルの読み出し電圧に対して誘起される電圧シフトを、アドレス指定されたセルがそのプログラミング作業を終えた後の隣接するセルのしきい値電圧の変化の関数として求める。従って、アドレス指定されたセルと隣接するセルとの間の実際のクロスカップリング係数を測定するために、隣接するセルの電圧しきい値を変化させてよく、結果として生じる、アドレス指定されたセルのしきい値電圧の変化が測定されてよい。しかし、このアプローチは、クロスカップリング係数のオンライン推定には適さない場合がある。というのも、隣接するセルの電圧しきい値を変化させることが隣接するセル内に記憶されている情報を損なうからである(この情報はセルの電圧しきい値によって表されるため)。
【0018】
本願明細書において開示される方法および装置は、アドレス指定されたセルおよびその隣接するセルのクロスカップリング係数のオンライン推定を利用する。オンライン推定は、隣接するセルのフローティングゲートとアドレス指定されたセルのフローティングゲートとの間のクロスカップリング係数が隣接するセルのコントロールゲートとアドレス指定されたセルのフローティングゲートとの間のクロスカップリング係数と高い相関性があるという観察に基づく。これは、セルのコントロールゲートおよびフローティングゲートが極近接しているためである。この観察に基づけば、コントロールゲートとフローティングゲート間のクロスカップリング係数の推定値がフローティングゲート間のクロスカップリング係数のための推定値の役割を果たすことができる。クロスカップリング係数の推定値が、隣接するセル内に記憶されている情報を損なわない非破壊的な方法で得られてよい。この推定値は、隣接するセルのコントロールゲートに印加される電圧を、そのフローティングゲート内に蓄えられている電荷に影響を及ぼすことなく(すなわち、そのしきい値電圧を変化させることなく)変化させることに基づく。図4に、図3Bと関連して1つの実施形態が示されている。
【0019】
図3Bを参照すると、メモリセルアレイ205のメモリセル305が、図2に示される回路網を用いてアドレス指定されるべきものとなっている。図4の405において、コントローラ140を用いてデコーダ210および225を制御し、アドレス指定されたメモリセルに隣接するメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加する。410において、アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧が2つの異なる印加電圧において測定される。415において、測定されたしきい値電圧のうちの少なくとも2つが、アドレス指定されたメモリセル内に記憶されているデータに対応する1つ以上のビット値に変換される。1つの実施形態では、コントローラ140は、アドレス指定されたメモリセルがあるメモリダイの外部に配置され、測定されたしきい値のうちの少なくとも2つをメモリダイの外部で1つ以上のビット値に変換する。420において、ビット値はメモリシステムのホストに提供される。ビット値は、ホストシステムにアクセス可能であるバッファに提供されてよく、かつ/またはホストシステムによる即時利用のためにデータバスに沿って直接伝送されてよい。プロセスは、推定をベリファイするため、かつ/またはアドレス指定されたメモリセルの実際のしきい値電圧のより良い推定を達成するために、再度または必要に応じて別の時に繰り返すことができる。1つの実施形態では、少なくとも2つの測定しきい値電圧をすべて用いて、ビット値のただ1つのセットを総合して生成する。
【0020】
図3Bでは、アドレス指定されたメモリセル305に隣接するとともにアドレス指定されたメモリセル305と電場を及ぼし合うメモリセルとしてメモリセル310〜345がある。図4の405および410において示される作業は、各メモリセル310〜345に関連して適用されてよい。代替的に、メモリセル310〜345のうちの1つ以上が、405および410において示される作業の適用のために選択されてもよい。例えば、アドレス指定されたメモリセル305に対して最も影響のあるクロスカップリング効果を有することが分かっている1つ以上の隣接するメモリセルが作業の適用のために選択されてよい。この目的のために、選択は、メモリ記憶システム105の製作中に行われるクロスカップリングの測定に基づいてよい。加えてまたは代替的に、選択は、フラッシュメモリ135の特定のアーキテクチャに共通の周知のクロスカップリング効果に基づいてもよい。
【0021】
他の選択基準が用いられてもよい。図4には、アドレス指定されたメモリセルと、アドレス指定されたメモリセルのワード線に隣接するワード線内に配置される近隣のメモリセルとの間のクロスカップリング係数を推定するための作業の1つのセットが示されている。アドレス指定されたメモリセルはセル305であると仮定すると、その場合、作業は、メモリセル310、315または320とのクロスカップリング係数を推定するために用いることができる。しかし、それは、アドレス指定されたメモリセルと同じワード線上に配置されるセル325または345とのクロスカップリング係数の推定に必ずしも適用できるとは限らない。この理由は、既存のメモリアレイ構造における電圧は、隣接するセル345のコントロールゲート上およびアドレス指定されたセル305のコントロールゲート上に独立して印加することができないためである。というのも、これらの2つのセルのコントロールゲートは共通のワード線を通じて接続されているからである。
【0022】
410において示される作業は多数の異なる様式で実装されてよい。例えば、アドレス指定されたメモリセルのコントロールゲート上の電圧は、そのソースおよびドレイン間に所与の電圧をかけた状態で、細かいステップで増加させてもよいしあるいは連続的に増やしてもよい。このようにコントロールゲート上の電圧が変更されると、アドレス指定されたメモリセルを通じて流れる電流が検知される。アドレス指定されたメモリセルを通じた電流が所定のレベルに達するときの、アドレス指定されたメモリセルのコントロールゲート上の電圧が、隣接するメモリセルに印加されている電圧レベルにおける、アドレス指定されたメモリセルについてのしきい値電圧となる。
【0023】
読み出しプロセスは、アドレス指定されたメモリセル、および隣接するメモリセルのうちの1つ以上がユーザデータを包含するリアルタイムプロセスである場合がある。それ故、アドレス指定されたメモリセルが読み出される際には、隣接するメモリセル内に記憶されているデータに対する改変を防ぐことが望まれてよい。このような場合には、読み出しプロセスの間、隣接するセルに印加される電圧レベルはコントロールゲートに印加され、隣接するメモリセルのフローティングゲートには印加されず、電圧レベルは、隣接するメモリセル内に記憶されているデータを乱さない範囲に限ることができる。
【0024】
メモリセルの対の間の特定のクロスカップリング係数はオンラインで算出されてもよいしまたはオフラインで算出されてもよい。オンラインプロセスでは、メモリセルの対の間のクロスカップリング係数は、実質的にメモリセルがアドレス指定される度にフラッシュメモリコントローラ140によって算出される。オフラインプロセスでは、クロスカップリング係数がフラッシュメモリコントローラ140によって算出される頻度はより少なくてもよいしまたは1度だけであってもよい。いずれの場合でも、クロスカップリング係数はフラッシュメモリコントローラ140によってメモリシステム105内にローカル(一時的にまたは永久的)に記憶されてよい。係数は記憶される前に圧縮されてよい。
明解にするために、この方法を説明するために用いられるモデルは、ターゲットセルに対する1つの隣接するセルの効果のみを考慮する。しかし、このモデルは複数の隣接セルに外挿されてよい。
【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】
1つ以上の隣接するメモリセルとのクロスカップリング効果の存在下におけるアドレス指定されたセルのしきい値を測定する代替的かつ/または補助的な方法が用いられてもよい。図5および6に、1つの方法が示されている。この実施例では、505において、フラッシュメモリコントローラ140を用いてフラッシュメモリ135の種々の構成要素を制御し、第1のワード線上のメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加する。第1のワード線上のメモリセルは、第2のワード線上のアドレス指定されるべきメモリセルに隣接する。510において、第2のワード線上のメモリセルのしきい値電圧が、少なくとも2つの異なる電圧レベルの各々において測定される。515において、第1のワード線上のメモリセルの、第2のワード線上のメモリセルに対する平均クロスカップリング係数が算出される。ここで、平均クロスカップリング係数は、第1のワード線に印加される2つの異なる電圧レベルにおける第2のワード線の読み出し値の差の平均の関数として計算されてよい。代替的に、平均クロスカップリング係数は、例えば特定のフラッシュメモリ技術の定性測定に基づき、あるいは製造中にフラッシュメモリダイ毎、ブロック毎もしくはワード線毎、またはセルの任意の群毎に、オフラインで計算し、記憶することができる。平均クロスカップリング係数についてなされるようなこうしたオフラインのクロスカップリング推定は、セル毎の特定のクロスカップリング係数の推定値を用いる場合には、特定のセル毎のクロスカップリング係数群を記憶するために必要とされる高い記憶要求の故に、経費が非常に高くなる場合がある。従って、セル毎の特定のクロスカップリング係数のためには、オンライン推定が、必須ではないものの望ましい。520において、第2のワード線上のアドレス指定されたメモリセルの読み出し作業が実行されると、第2のワード線の隣接するメモリセルに対する特定のクロスカップリング係数が算出される。ここで、特定のクロスカップリング係数は、2つの異なる電圧レベルにおけるアドレス指定されたセルの読み出し値の差の関数として計算されてよい。
【0030】
次に、図6に示されるように、特定のクロスカップリング係数を平均クロスカップリング係数と比較する1つ以上の作業がコントローラ140によって実行されてよい。605において、特定のクロスカップリング係数と平均クロスカップリング係数との差の大きさは第1の値以下であるかどうかの判定が行われる。この差が第1の値以下であれば、610において補正ファクタは必要なく、612において、アドレス指定されたメモリセル内のビット値は、ビット値が614においてホストシステムに送られる前に算出されてよい。その差が第1の値よりも大きければ、615において、特定のクロスカップリング係数と平均クロスカップリング係数との差が第1の値と第2の値との間にあるかどうかの判定が行われる。差の大きさが第1の値と第2の値との間にあれば、620において、特定のクロスカップリング係数に第1の補正ファクタ等の第1の計算規則が適用される。612において、コントローラ140によって、補正されたクロスカップリング係数が用いられ、アドレス指定されたメモリセル内のビット値を、ビット値が614においてホストシステムに送られる前に算出する。差の大きさが第1の値と第2の値との間になければ、625において、特定のクロスカップリング係数と平均クロスカップリング係数との差の大きさが第2の値と第3の値との間にあるかどうかの判定が行われる。そうであれば、630において、特定のクロスカップリング係数に第2の補正ファクタ等の第2の計算規則が適用される。612において、補正された特定のクロスカップリング係数が用いられ、アドレス指定されたメモリセル内のビット値を、ビット値が614においてホストシステムに送られる前に算出する。
【0031】
特定のクロスカップリング係数と平均クロスカップリング係数との差の大きさが第3の値よりも大きければ、630において、特定のクロスカップリング係数に第3の補正ファクタ等の第3の計算規則が適用されてよい。612において、補正されたクロスカップリング係数が用いられ、アドレス指定されたメモリセル内のビット値を、614においてホストシステムに送る前に算出する。一般的に、特定の電圧差と平均電圧差との差が増すほど、特定のセルはその隣接するセルとより高いクロスカップリングを有することを示し、従って、その読み出し電圧のクロスカップリングにより誘起されたシフトを補償するために、その読み出ししきい値電圧により大きい補正ファクタが適用されなければならない。それ故、1つの実施形態では、第1、第2および第3の計算規則はそれぞれ、特定のクロスカップリング係数に適用されるより大きい補正ファクタとなってよい。代替的に、差が、特定のクロスカップリング係数および平均クロスカップリング係数のいずれかまたは両方を正しく算出できなかったことを示す大きさを越えるかどうかを判定するためにさらなる比較が行われてよい。第3の大きさを越える場合にはハードウェア障害が示されてよく、637において中止作業が実行されてよい。障害の場合には、大容量記憶システム105の運用に対する適切な処置が実行されてよい。例えば、影響を受けたセルはシステムの論理アドレステーブル内で、破損していると標識されてよい。
【0032】
この場合も先と同様に、クロスカップリング係数の計算はコントローラ140によってオンラインまたはオフライン算出プロセスにおいて実行されてよい。その結果得られる算出されたクロスカップリング係数は、対応するアドレス指定されたセルの読み出しの間の利用のためにメモリシステム105内に記憶されてよい。メモリセルの対についてのクロスカップリング係数はオンラインまたはオフラインプロセスにおいて算出され、それぞれのメモリセルがアドレス指定されるたびに利用するためにメモリ105内に記憶されてよい。1つの実施形態では、平均クロスカップリング係数はオフラインで計算され(それらは係数が少数である故に記憶要求が小さいため)、特定のセル毎のクロスカップリング係数は、読み出しの間、読み出されるセルのしきい値電圧を推定するためにオンラインで計算され、用いられる(かくして、セル毎の係数を記憶する必要を回避する)。加えてまたは代替的に、メモリシステム105内に記憶されているクロスカップリング係数は、選択された基準に基づき更新されてよい。例えば、メモリセルの多数の読み出しの後、隣接するメモリセルへの書き込み作業の後、および/またはアドレス指定されたメモリセルに関連付けられるクロスカップリング係数に影響を及ぼす同様の作業の後に更新が行われてよい。その後、更新されたクロスカップリング係数は、対応するアドレス指定されたメモリセル内に記憶されているビット値を算出するために用いられてよい。
【0033】

【0034】
前述したクロスカップリング係数の作業は、セル当たり複数ビット(MBC)のメモリセル構造からビット値を得るために用いられてもよい。MBC構造は、メモリセル内に記憶されているビット値を特定するために複数のしきい値を用いる。例えば、第1のしきい値はビット値00に対応してよい。第2のしきい値はビット値01に対応してよい。第3のしきい値はビット値10に対応してよい。第4のしきい値はビット値11に対応してよい。所望の場合には、アドレス指定されたメモリセルの複数のビット値状態に対する、隣接するメモリセルの複数のビット値状態のクロスカップリング効果に対応するクロスカップリング係数が算出されてよい。N個のレベルを有するアドレス指定されたセルを読み出す場合には、アドレス指定されたセルに少なくともN−1個の読み出し電圧が印加されてよい。
【0035】
アドレス指定されたセルと1つ以上の隣接するセルとの間のクロスカップリングが処理されてよい別の例が図7および8に関連して示されている。図8を参照すると、アレイ205は複数のメモリセルを含む。領域805内のメモリセルは第1および第2のワード線810および815上にそれぞれ配置されてよい。同様に、領域820内のメモリセルは第3および第4のワード線825および830上にそれぞれ配置されてよい。領域805のメモリセル間のクロスカップリングは、図3に示されているクロスカップリングの矢印に対応してよいが、図8は、別個のワード線810および815上で互いにすぐ隣接するメモリセル間のクロスカップリングのみを示している。同様に、図8には、別個のワード線825および830上で互いにすぐ隣接するメモリセル間のクロスカップリングのみが示されている。
【0036】
領域805内のメモリセルとアレイ205の領域820内のメモリセルとの間には種々の幾何学的関係が存在する。例えば、メモリ領域805のメモリセル835および840は、メモリ領域820のメモリセル845および850と同じ相対位置をメモリセルアレイ205内で互いの間に有する。同様に、領域805のメモリセル855および860は、メモリセル865および870と同じ相対位置をメモリセルアレイ205内で有する。場合によっては、アドレス指定されたセルはフラッシュメモリアレイの同じワード線上にあってよい一方で、別の場合では、アドレス指定されたセルは異なるワード線上にあってよい。
【0037】
図8の幾何学的関係は、図7に示される作業において利用される。705において示されるように、メモリセルアレイ205の第1の領域805内に配置されたアドレス指定されたセルおよび隣接するセルの対の間の第1のクロスカップリング係数が算出される。710において、メモリセルアレイ205の第2の領域820内に配置されたアドレス指定されたセルおよび隣接するセルの対の間の第2のクロスカップリング係数が算出される。ここで、第1の領域805内のアドレス指定されたセルと隣接するセルとの間の相対位置は第2の領域820内のアドレス指定されたセルおよび隣接するセルと同じ相対位置を有する。第1の領域805内に配置されたアドレス指定されたセル内のビット値は715において隣接するセルに対する第1のクロスカップリング係数を用いて求められる。第2の領域820内に配置されたアドレス指定されたセル内のビット値は725において第2のクロスカップリング係数を用いて求められる。ここで、第2のクロスカップリング係数は、第1のクロスカップリング係数とは異なる値を有する。
【0038】

【0039】
図4〜7において開示されている作業は、フラッシュメモリコントローラ140による、バス145を通じて提供される電気信号を用いた、フラッシュメモリ135の種々の構成要素の操作を通して遂行されてよい。この操作はフラッシュメモリコントローラ140によるコードの実行に基づくものであってよい。ここで、コードはメモリ125内に記憶されている。加えてまたは代替的に、操作は、フラッシュメモリコントローラ140内に実装されるステートマシンに基づくものであってよい。同様に、算出作業はフラッシュメモリコントローラ140によって、バス145を通じて提供される論理データおよび/またはアナログ信号に基づき実行されてよい。このように、作業の各々は自動的に実行される。
【0040】
他の実施形態では、平均クロスカップリング係数およびアドレス指定されたセルについての特定のクロスカップリング係数を求めるために用いられる測定は、異なる時に行われてよい。同様に、アドレス指定されたセルについての平均クロスカップリング係数を求めるために実際の測定を行うのではなく、アレイのための設計パラメータに基づき理論的算出が行われてよく、平均クロスカップリングを測定する代わりにその理論的基準値または既定値が用いられてよい。さらに他の実施例では、実際のアドレス指定されたセルがあるアレイとは全く異なるセルのアレイ内の既定または「ダミー」のアドレス指定されたセル上の測定結果を用いて平均クロスカップリング係数が求められてよい。加えて、特定の係数の算出は完全に省かれてよく、既知の条件(例えば、隣接するセルのコントロールゲートに2つの既知の電圧を印加する)の下における2度の(または2度を越える)読み出し作業を遂行する場合の、アレイ内のセルについての平均しきい値電圧差を表す基準または既定電圧差が、既知の条件の下における2度の(または2度を越える)読み出し作業を遂行することによってオンラインで測定されてよい特定の電圧差と併せて用いられてよい。基準電圧差は、アドレス指定されたメモリセルと同じアレイ上の実際の測定値によって求められてもよいし、アドレス指定されたメモリセルのものとは異なるアレイ上の実際の測定値によって求められてもよいし、または理論的算出を通じて求められてもよい。
【0041】
本発明の種々の実施形態が記載されているが、さらに多くの実施形態および実施例が本発明の範囲内で可能であることは当業者には明らかである。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物に鑑みる以外には、限定されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリシステムのメモリダイ内のアドレス指定されたメモリセルを読み出す方法であって、
メモリセルアレイ内のメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加するステップであって、前記メモリセルが前記アドレス指定されたメモリセルに隣接するとともに前記アドレス指定されたメモリセルと電場を及ぼし合うステップと、
少なくとも2つの異なる印加電圧レベルの各々において、前記アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧を測定するステップと、
前記アドレス指定されたメモリセルの測定されたしきい値電圧のうちの少なくとも2つを1つ以上のビット値に変換するステップであって、前記変換するステップが前記メモリダイの外部でなされるステップと、
1つ以上のビット値を前記メモリシステムのホストに提供するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記変換するステップは、
前記アドレス指定されたメモリセルの測定されたしきい値電圧のうちの少なくとも2つを前記アドレス指定されたメモリセルの調整されたしきい値電圧に変換することと、
調整されたしきい値電圧を1つ以上のビット値に変換することと、
を含む方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
隣接したメモリセルは、少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加する間、実質的に不変のままであるしきい値電圧を有する方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加する間、隣接したメモリセル内に1つ以上のデータビットを記憶するステップをさらに含む方法。
【請求項5】
請求項2記載の方法において、
前記アドレス指定されたメモリセルの測定されたしきい値電圧のうちの少なくとも2つをアドレス指定されたメモリセルの調整されたしきい値電圧値に変換することは、
2つの異なる印加電圧レベルにおける測定されたしきい値電圧の差を算出することと、
その差を用いて、前記アドレス指定されたメモリセルの調整されたしきい値電圧値を算出することと、
を含む方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
クロスカップリング係数を算出するステップをさらに含み、
前記アドレス指定されたメモリセルの調整されたしきい値電圧値を算出することは、クロスカップリング係数も用いる方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記変換するステップは、
前記メモリセルアレイの複数のメモリセルの各々についてのクロスカップリング係数を算出することであって、所与のメモリセルについてのクロスカップリング係数が、所与のセルに隣接するとともに所与のセルと電場を及ぼし合うメモリセルに印加される2つの異なる電圧レベルにおいて測定された、所与のメモリセルのしきい値電圧の差に対応することと、
前記メモリセルアレイの複数のメモリセルの測定されたクロスカップリング係数を用いて前記メモリセルアレイの複数のメモリセルについての平均クロスカップリング係数を求めることと、
前記アドレス指定されたメモリセルについて、前記アドレス指定されたセルに隣接するとともに前記アドレス指定されたセルと電場を及ぼし合うメモリセルに印加される2つの異なる電圧レベルにおいて測定されたしきい値電圧の差に対応する特定のクロスカップリング係数を算出することと、
補正ファクタを求めるべく平均クロスカップリング係数および特定のクロスカップリング係数を比較することと、
補正ファクタを用いて1つ以上のビット値を生成することと、
を含む方法。
【請求項8】
メモリシステムのメモリダイ内のアドレス指定されたメモリセルを読み出す方法であって、
メモリセルアレイの複数のターゲットメモリセルについての基準電圧差を求めるステップと、
前記アドレス指定されたメモリセルと電場を及ぼし合う隣接するメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加するステップと、
少なくとも2つの異なる印加電圧レベルの各々において、前記アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧を測定するステップと、
前記隣接するメモリセルに印加される異なる電圧レベルのうちの2つにおいて測定された前記アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧の特定の電圧差を算出するステップと、
その特定の電圧差を用いて、前記アドレス指定されたメモリセルの測定されたしきい値電圧のうちの少なくとも1つを1つ以上のビット値に変換するステップであって、前記変換するステップが特定の電圧差と基準電圧差との差に依存するステップと、
1つ以上のビット値を前記メモリシステムのホストシステムに提供するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、
前記変換するステップは、特定の電圧差と基準電圧差との差が第1の大きさよりも大きいが第2の大きさ未満である場合には、第1の計算規則を用い、特定の電圧差と基準電圧差との差が第2の大きさよりも大きい場合には、第1の計算規則とは異なる第2の計算規則を用いることを含む方法。
【請求項10】
メモリシステムを運用する方法であって、
第1のメモリセルの、第2のメモリセルに対するクロスカップリング効果を示す第1のクロスカップリング係数を算出するステップであって、前記第1のメモリセルがメモリセルアレイ内で前記第2のメモリセルに隣接するとともに前記第2のメモリセルと電場を及ぼし合うステップと、
前記第2のメモリセルのしきい値電圧を測定するステップと、
第3のメモリセルの、第4のメモリセルに対するクロスカップリング効果を示す第2のクロスカップリング係数を算出するステップであって、前記第3のメモリセルがメモリセルアレイ内で前記第4のメモリセルに隣接するとともに前記第4のメモリセルと電場を及ぼし合い、第2のクロスカップリング係数は第1のクロスカップリング係数とは異なるステップと、
前記第4のメモリセルのしきい値電圧を測定するステップと、
第1のクロスカップリング係数を用いて、前記第2のメモリセルの測定されたしきい値を、前記第2のメモリセル内に記憶されている1つ以上のビット値に変換するステップと、
第2のクロスカップリング係数を用いて、前記第4のメモリセルの測定されたしきい値を、前記第4のメモリセル内に記憶されている1つ以上のビット値に変換するステップと、
前記第2および第4のメモリセルの1つ以上のビット値を前記メモリシステムのホストに提供するステップと、を含み、
前記第1および第2のメモリセルは、前記第3および第4のメモリセルの、メモリセルアレイ内の相対的幾何学的位置と同じである、メモリセルアレイ内の相対的幾何学的位置を有する方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、
前記第2および第4のメモリセルは、前記メモリセルアレイ内で同じワード線上に配置される方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法において、
前記メモリセルアレイ内の隣接するメモリセルについての複数の特定のクロスカップリング係数値を算出するステップと、
係数値の圧縮セットを提供するべく複数のクロスカップリング係数値を圧縮するステップと、
係数値の圧縮セットを前記メモリシステム内に記憶するステップと、
をさらに含む方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、
前記第1のクロスカップリング係数を算出するステップは、
前記第1のメモリセルのコントロールゲートに第1の電圧レベルを印加しつつ前記第2のメモリセルのしきい値電圧の第1の読み出し値を取ることと、
前記第1のメモリセルのコントロールゲートに第2の電圧レベルを印加しつつ前記第2のメモリセルのしきい値電圧の第2の読み出し値を取ることと、
前記第2のメモリセルの第1および第2のしきい値電圧の読み出し値のうちの少なくとも1つを用いて、第1のクロスカップリング係数を算出することと、
を含む方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
前記第1のクロスカップリング係数を算出するステップは、
前記第2のメモリセルの第1および第2のしきい値電圧の読み出し値の差の値を算出することと、
その差の値を用いて、第1のクロスカップリング係数を算出することと、
を含む方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、
前記第1のメモリセルは、前記第1のメモリセルのコントロールゲートへ第1および第2の電圧レベルを印加する間、実質的に不変のままであるしきい値電圧を有する方法。
【請求項16】
メモリシステムであって、
コントロールゲートをそれぞれ含む行および列状に編成されるメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの1つ以上の行を選択するように適合されるワード線デコーダと、
前記メモリセルアレイの1つ以上の列を選択するように適合される列デコーダと、
前記列デコーダと通信し、前記メモリセルアレイの選択されたメモリセルを通る電流の流れを検出する検知回路と、
前記ワード線デコーダ、前記列デコーダ、および前記検知回路と通信するプロセッサと、を備え、
前記ワード線デコーダおよび前記列デコーダは、選択されたメモリセルを読み出すために前記メモリセルアレイの電気線を加圧し、
前記プロセッサ、前記ワード線デコーダ、前記列デコーダ、および前記検知回路は、
前記メモリセルアレイ内のメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加することであって、前記メモリセルがアドレス指定されたメモリセルに隣接するとともにアドレス指定されたメモリセルと電場を及ぼし合うことと、
少なくとも2つの異なる印加電圧レベルの各々における前記アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧を測定することと、
少なくとも、測定されたしきい値電圧のうちの1つおよび印加電圧レベルのうちの2つを、前記アドレス指定されたセル内に記憶されている1つ以上のビット値に変換することと、
1つ以上のビット値を前記メモリシステムのホストに提供することと、を含む作業を協働して実行するシステム。
【請求項17】
請求項16記載のシステムにおいて、
隣接したメモリセルは、少なくとも2つの異なる電圧レベルを印加する間、実質的に不変のままであるしきい値電圧を有するシステム。
【請求項18】
請求項16記載のシステムにおいて、
前記メモリセルアレイのメモリセルは、セル当たり複数ビットのメモリセルを含むシステム。
【請求項19】
請求項18記載のシステムにおいて、
前記メモリセルアレイの各メモリセルは、N個のビットを記憶し、
前記アドレス指定されたメモリセルのしきい値電圧を測定する作業は、前記メモリセルアレイ内のアドレス指定されたメモリセルのコントロールゲートに少なくとも2N −1個の電圧レベルを印加することを含むシステム。
【請求項20】
メモリシステムであって、
コントロールゲートをそれぞれ含む行および列状に編成されるメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの1つ以上の行を選択するように適合されるワード線デコーダと、
前記メモリセルアレイの1つ以上の列を選択するように適合される列デコーダと、
前記列デコーダと通信し、前記メモリセルアレイのメモリセルを通る電流の流れを検出する検知回路と、
前記ワード線デコーダ、前記列デコーダ、および前記検知回路と通信するプロセッサと、を備え、
前記ワード線デコーダおよび前記列デコーダは、選択されたメモリセルを読み出し、かつプログラムするために前記メモリセルアレイの電気線を加圧し、
前記プロセッサ、前記ワード線デコーダ、前記列デコーダ、および前記検知回路は、
第1のメモリセルの、第2のメモリセルに対するクロスカップリング効果を示す第1のクロスカップリング係数を算出することであって、前記第1のメモリセルが前記メモリセルアレイ内の第2のメモリセルに隣接するとともに第2のメモリセルと電場を及ぼし合うことと、
前記第2のメモリセルのしきい値電圧を測定することと、
前記第1のクロスカップリング係数を用い、前記第2のメモリセルの測定されたしきい値電圧を1つ以上のビット値に変換することと、
第3のメモリセルの、第4のメモリセルに対するクロスカップリング効果を示す第2のクロスカップリング係数を算出することであって、前記第3のメモリセルが前記メモリセルアレイ内で第4のメモリセルに隣接するとともに第4のメモリセルと電場を及ぼし合い、第2のクロスカップリング係数は第1のクロスカップリング係数とは異なることと、
前記第4のメモリセルのしきい値電圧を測定することと、
第2のクロスカップリング係数を用いて、前記第4のメモリセルのしきい値電圧を1つ以上のビット値に変換することと、を含む作業を協働して実行するように構成され、
前記第1および第2のメモリセルは、前記第3および第4のメモリセルの、前記メモリセルアレイ内の相対的幾何学的位置と同じである、前記メモリセルアレイ内の相対的幾何学的位置を有するシステム。
【請求項21】
請求項20記載のシステムにおいて、
前記第2および第4のメモリセルは、前記メモリセルアレイ内で同じワード線上に配置されるシステム。
【請求項22】
請求項20記載のシステムにおいて、
前記プロセッサ、前記ワード線デコーダ、前記列デコーダ、および前記検知回路は、
前記メモリセルアレイ内の隣接したメモリセルについての複数のクロスカップリング係数値を算出することと、
係数値の圧縮セットを提供するべく複数のクロスカップリング係数値を圧縮することと、
係数値の圧縮セットを前記メモリシステム内に記憶することと、を含むさらなる作業を協働して実行するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−516722(P2013−516722A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546514(P2012−546514)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003338
【国際公開番号】WO2011/080564
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(508159260)サンディスク アイエル リミテッド (33)
【Fターム(参考)】