説明

読取装置、コンピュータプログラム及び読取システム

【課題】読み取るべきでないデータが読み取られた場合であっても、必要なデータのみを採用することができる読取装置、コンピュータプログラム及び読取システムを提供する。
【解決手段】リーダライタ2により、通信可能な領域内にあるICタグ3からICタグ3に記録されたデータを非接触で繰り返し読み取る。リーダライタ2が読み取ったデータを管理装置1に送信する。管理装置1において、読取結果を時系列にした読取データを生成するし、生成した時系列データに基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成する。生成した特徴データに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類することで、ICタグ3を対象タグ又は不要タグに分類する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、読取装置の動作をコンピュータによって実現するためのコンピュータプログラム、及び読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
Radio Frequency Identification(RFID)は、タグに記憶された情報を、無線通信によってやりとりする技術である。RFIDには、タグが電池を内蔵し動作のための電力が内部的に供給されるアクティブ型と、電池を内蔵せず、リーダライタ装置から送信された高周波から供給された電力によって動作するパッシブ型がある。電池を内蔵しないパッシブ型はアクティブ型に比べ比較的低価格で提供できるため、物流分野を含めた多様な領域において利用が期待されている。また、RFIDの周波数帯として、UHF帯(860〜960MHz)を用いた場合、パッシブ型でも読取範囲が他の周波数帯に比較して広く、一度に複数のタグを読取ることができる。このため、例えば物流分野において、多数の物品に貼られた複数のタグを一括で読み取り、検品を行うことなどが可能となる。
【0003】
しかしながら、UHF帯を用いて読取り範囲を広くした場合、管理者が意図しないタグの情報を読みとる場合がある。例えば、倉庫などでの入出荷検品時、通常は検品ゲートから離れていて読めない位置に置かれている物品のタグが、フォークリフトなどが物品の近くを通過することでフォークリフトに反射した電波により、タグの情報を読み取ることがある。また、複数のゲートが併置されている場合に、隣接するゲートに侵入してきた物品のタグを読み取るという問題も起こる。
【0004】
このような場合、タグに記憶されたIDに基づくフィルタリングを行うことで、不要なタグを排除できる場合がある。例えば、IDが物品の種別(例えばパレットなのか個品なのか)によって階層化されている場合等は、事前に物品の種別を表す種別データを知っていることにより、パレットタグを示すタグIDを排除できる。また、意図しないタグ読取が電波の反射に起因する場合等は、物品に付されたタグに対して定期的に複数回の検知を実行し、タグのIDを所定回数以上連続検知できなかった場合は反射によって偶然読取れたものとして排除する方法も良く知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−275960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、対象タグと不要タグとが同種類の物品である場合、階層化されたIDに含まれる種別データによる分別はできない。また、特許文献1のように、連続検知のみでフィルタリングを行えるのは非常に限られた場合に過ぎない。その他、よく取られている対策として、意図しないタグ読取を排除するために電波吸収板などで読取り範囲を物理的に隔離する方法があるが、設置現場での作業工数が大きく増大するという問題がある。さらに、フェーズドアレイ型等のアンテナの指向性を変化させることのできるアンテナを使用することで本来の読取範囲外にあるタグを見つけて不要タグとみなす方法もあるが、読取装置が高価になるという問題が新たに発生する。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、読み取るべきでないデータが読み取られた場合であっても、必要なデータのみを採用することができる読取装置、コンピュータプログラム及び読取システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示の読取装置は、通信可能な領域内にある記録媒体から該記録媒体に記録されたデータを非接触で繰り返し読み取る読取装置において、読取結果を時系列にした時系列データを生成し、生成した時系列データに基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成し、生成した特徴データに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類する。
【0009】
本読取装置によれば、記録媒体に記録されたデータを非接触に読み取る。本読取装置によれば、読み取るべきデータを読み取ったか否かを分類するために、読み取りの時系列の結果を取得し、取得した時系列の結果に基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成する。そして、本読取装置によれば、生成した特徴パターンに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類することで、必要なデータのみを採用することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本読取装置では、読取結果の特徴を示す特徴データに基づいて、読み取ったデータが通信領域内にあっても読取対象の記録媒体に係るデータでない可能性が高いと判断できる。このような場合、読み取ったデータを不要データに分類することで、本読取装置では、必要なデータのみを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1に係る読取システムの構成例を示す模式図である。
【図2】管理装置及びリーダライタの構成例を示すブロック図である。
【図3】ICタグの構成例を示すブロック図である。
【図4】読取データを説明するための模式図である。
【図5】特徴データを説明するための模式図である。
【図6】基準データを説明するための模式図である。
【図7】実施形態1に係る管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】管理装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図9】特徴データ生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】データ分類処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施形態2に係る管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図12】アンテナ出力レベルの変化を示す図である。
【図13】無線信号の出力レベルを変化させた場合の読取データを示す模式図である。
【図14】管理装置1による処理手順を示すフローチャートである。
【図15】実施形態3に係る管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図16】実施形態3の管理装置による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下に、本発明に係る読取システムを、その実施形態1を示す図面に基づいて詳述する。図1は実施形態1に係る読取システムの構成例を示す模式図である。実施形態1に係る読取システム100は、生産、物流又は在庫の管理を行う際に用いられる。実施形態1の読取システム100は、例えば倉庫内に設置された有線または無線のLocal Area Network(LAN)等のネットワークに接続された管理装置1及びリーダライタ(読取装置)2、並びにICタグ3等を備える。なお、リーダライタ2は読取専用のリーダであっても構わない。
【0013】
ICタグ3は、データを記憶するICチップ、及び無線通信を可能にするアンテナ等を備え、例えばフォークリフト又はベルトコンベア(図示せず)等により搬送路52上を搬送される物品50に付されている。ICタグ3のICチップには、ICタグ3が付された物品を識別するための固有の識別データ(以下、Identifier(ID)と言う)が格納されている。また、物品に関する物品データ(例えば種類及び製造日等)等が格納されていてもよい。実施形態1のICタグ3は、例えば860〜960MHzの通信周波数帯域を用いた電波方式によるパッシブ型のタグであり、自ら電池を持たずリーダライタ2のアンテナから送信される高周波(要求信号)を受信することで電流を発生する。発生した電流は、整流後に調整された供給電圧としてICタグ3の各部に供給され、ICタグ3は動作可能となる。
【0014】
リーダライタ2とICタグ3との間でデータの送受信を行なう場合、リーダライタ2はまずアンテナの通信可能範囲に存在するICタグ3の探索(インベントリ)を行なう。リーダライタ2が送信した探索コマンドを受信したICタグ3は、各部に電圧が供給され動作可能となった後に、探索コマンドへの応答として自己のIDをリーダライタに対して送信する。これによって、リーダライタ2はICタグ3のIDを識別でき、リーダライタ2とICタグ3との間でデータの送受信が可能になる。
【0015】
リーダライタ2が探索コマンドを送信する際に、アンテナの通信可能範囲に複数のICタグ3が存在する場合には、複数のICタグが探索コマンドへの応答を同時に送信するために互いの応答が干渉しリーダライタ2が応答を受信できない状況(衝突)が発生しうる。これを回避するために、各種の衝突回避機能が検討され、リーダライタ2とICタグ3に実装されている。
【0016】
リーダライタ2は、リーダライタ2の下方をICタグ3が付された物品50が通過するように搬送路52の上方に配置されている。リーダライタ2は、物品50が下方を通過する際に、探索コマンドを送信し、物品50に付されたICタグ3のIDを受信した上で、必要に応じたデータの読み取り又は書き込みを行なう。
【0017】
具体的には、リーダライタ2の下方を通過する物品50が管理装置1に接続された図示しないセンサにより検知された場合、リーダライタ2は、管理装置1から指示コマンドを受信する。指示コマンドは、ICタグ3へデータの書き込みを実行する書込指示コマンド、及びICタグ3からのデータの読み取りを実行する読取指示コマンド等がある。
【0018】
リーダライタ2は、読取指示コマンドを受信した場合、高周波に乗せた探索コマンドを送信し、探索コマンドを受信したICタグ3は、必要な衝突回避動作の後に格納されているIDを発信する。ICタグ3がIDの他に上述の物品データを含む場合には、リーダライタ2とICタグ3との間でさらにデータ読み取りコマンドやデータ書き込みコマンドを送受信することで、下方を通過した物品50に関する情報を取得し、データを書き込むことができる。リーダライタ2は、取得した情報を、ネットワーク4を介して管理装置1に送信する。
【0019】
ICタグ3は、リーダライタ2からの無線信号を受信することにより電力が供給され、各種コマンドに対する応答を行なうことができる。従って、ICタグ3がリーダライタ2のアンテナの通信領域、即ち、リーダライタ2から十分に強い無線信号を受信できる範囲(読取範囲)にない場合、リーダライタ2はICタグ3のデータを読み取れない。
【0020】
実施形態1のリーダライタ2は、探索コマンドを指定された条件にしたがって繰り返し発信する。これは、管理装置1からの毎回の指示コマンドにしたがって発信してもよいし、リーダライタ2が事前設定された条件にしたがって自律的に発信してもよい。そして、ICタグ3は、探索コマンドを受信する都度、必要な衝突回避動作の後に、記憶しているデータを発信する。従って、リーダライタ2は、ICタグ3が毎回応答し、電波環境に問題がなければ、探索コマンドを発信した回数分のデータを受信することとなる。このリーダライタ2は、図1のように搬送される物品50の上方からICタグ3を読み取るようにしてもよく、物品50の側方から読み取るようにしてもよい。また、物品50は複数まとまって搬送されてもよく、一つのみが搬送されてもよい。
【0021】
管理装置1は、複数のリーダライタ2とネットワーク4を介して接続されている。管理装置1は、リーダライタ2に、読取コマンド及び書込コマンド等の指示コマンドを送信する。また、管理装置1は、リーダライタ2がICタグ3から読み取ったデータを受信する。
【0022】
リーダライタ2からデータを受信した管理装置1は、リーダライタ2がデータを読み取ったICタグ3を対象タグ又は不要タグに分類する。対象タグとは、リーダライタ2が読み取るべきICタグ3、即ち、リーダライタ2の下方を通過する物品50に付されたICタグ3である。不要タグとは、リーダライタ2がデータを本来読み取るべきでないICタグ3、即ち、リーダライタ2の下方を通過しない物品51に付されたICタグ3である。ICタグ3からデータを読み取る際にリーダライタ2が発信する無線信号は、反射等の影響により、リーダライタ2の下方を通過する物品50以外の物品51に付されたICタグ3が受信する場合がある。このため、リーダライタ2は、読取対象でない物品51に付されたICタグ3のデータを受信する場合がある。このため、管理装置1は、リーダライタ2がデータを読み取ったICタグ3を対象タグ又は不要タグに分類する。そして、管理装置1は、分類結果に基づいて物品50の管理を行う。分類方法については後に詳述する。
【0023】
図2は、管理装置1及びリーダライタ2の構成例を示すブロック図である。
【0024】
実施形態1の管理装置1は、制御部10、Read Only Memory(ROM)11、Random Access Memory(RAM)12、メモリ部13、通信部14、操作部15、表示部16及びセンサ17等を備えている。これらのハードウェア各部はバス1aを介して相互に接続されている。
【0025】
制御部10は、Central Processing Unit(CPU)又はMicro Processor Unit(MPU)等を有している。そして、所定のタイミングに従って、ROM11又はメモリ部13に予め記憶してある制御プログラムを適宜RAM12に読み出して実行すると共に、上述したハードウェア各部の動作を制御する。ROM11には、管理装置1を動作させるために必要な種々の制御プログラムが予め格納されている。RAM12はStatic RAM(SRAM)又はフラッシュメモリなどで構成されており、制御部10による制御プログラムの実行時に発生する種々のデータを一時的に記憶する。例えば、読取データ(時系列データ)12a及び特徴データ12b等を記憶する。
【0026】
通信部14は、ネットワーク4を介してリーダライタ2とのデータ通信を可能にする。通信部14は、リーダライタ2へ指示コマンドを送信し、リーダライタ2からICタグ3のデータを受信する。操作部15は、管理者が管理装置1を操作するために必要な各種の入力装置(キーボード、マウスなど)を備えている。管理者により入力装置が操作された場合、操作部15は操作された入力に対応した制御信号を制御部10へ送出し、制御部10は取得した制御信号に対応した処理を実行する。表示部16は、例えば液晶ディスプレイで構成され、制御部10からの指示に従って、管理装置1の動作状況、操作部15を介して入力された情報、管理者に対して通知すべき情報などを表示する。
【0027】
センサ17は、光学センサ又は触感センサなどであって、リーダライタ2の下方を通過する物品50を検知する。センサ17が物品50を検知した場合、管理装置1は、リーダライタ2に対して読取指示コマンド及び書込指示コマンド等の指示コマンドを送信する。
【0028】
メモリ部13は、ハードディスク又はフラッシュメモリのような不揮発性の記憶装置である。メモリ部13には、管理装置1を動作させるために必要な種々の制御プログラム、及びリーダライタ2が読み取ったデータ等が格納されている。また、メモリ部13には、基準データ13aが格納される。
【0029】
図4は、読取データ12aを説明するための模式図である。
【0030】
読取データ12aは、管理装置1が読取指示コマンドを発行した回数と、リーダライタ2からICタグ3のデータを受信したか否かの結果とを対応付けしている。上述のように、リーダライタ2は、指定された条件にしたがって探索コマンドを繰り返し発信する。実施形態1では、リーダライタ2が管理装置1から読取指示コマンドを受信する度に一度探索コマンドが発信される。従って、管理装置1は、読取指示コマンドをリーダライタ2に送信する都度、リーダライタ2から、リーダライタ2が受信する探索コマンドへの応答であるICタグ3のデータを受信し、受信したデータをRAM12に記憶する。読取データ12aでは、発行した読取指示コマンドに対して、管理装置1がリーダライタ2からICタグ3のデータを受信したか否か、即ち、リーダライタ2がICタグ3のデータを読み取れたか否かの結果(読取結果)を対応付けている。図4において、「1」は読み取りできた場合、「0」は読み取りできなかった場合を示す。なお、他の実施形態では、リーダライタ2が繰り返し探索コマンドを発行したのちに各探索コマンドに対するICタグ3の読取結果をまとめて管理装置1に返却する場合もある。この場合は、読取データ12aはリーダライタ2が発行した各探索コマンドに対して読取結果が対応付けられることが望ましい。
【0031】
管理装置1は、一連の読取指示コマンドの発行の中で新たなタグIDが最初に読み取れた時に該タグIDのデータを取得し、その後はそれまでに取得された各IDに対応する読取データ12aを生成する。即ち、図4において、最初に発行された読取指示コマンド(すなわち、コマンド発行回数が「1」の場合)によって読み取れた各IDは読取結果が「0」とはならない。また、図4の読取データ12aでは、読取指示コマンドの発行回数と読取結果とを対応付けているが、読取指示コマンドや探索コマンドが応答を受信した時刻(読取時刻)が取得できる場合、読取時刻と読取結果とを対応付けしたデータとしてもよい。
【0032】
図5は、特徴データ12bを説明するための模式図である。
【0033】
特徴データは、図4に示す読取データ12aに基づいて生成され、リーダライタ2がデータを読み取ったICタグ3を対象タグ又は不要タグに分類する際に用いられる。特徴データは、読取データ12aから最大連続読取回数とブロック数、及び連続読取率が抽出され、データのIDと対応付けられている。最大連続読取回数とは、同じIDを有する物品データが連続して読み取りできた回数のうち、最大の数を表す。ブロック数とは、同じIDに対して連続して読み取りが成功したブロックが存在する数を表す。連続読取率は読取データ中最大の最大連続読取回数によってID毎の最大連続読取回数を除した値を表す。また、連続読取回数の決定には平準化パラメータという予め決定された数値が用いられる。平準化パラメータは、何らかの影響で一時的に読み取れなかった場合であっても読み取れたと判断するための閾値であり、平準化パラメータ以下の非読取回数であれば連続して検出されているとみなす。
【0034】
例えば、図4のID1に係る読取データ12aにおいて、平準化パラメータを「1」とし、連続読取回数が取得される。コマンド発行回数が「3」において、読取結果が「0」とされているが、平準化パラメータが「1」であるため、コマンド発行回数「3」の読取結果は無視される。一方、コマンド発行回数が「8」及び「9」では、読取結果が「0」が2回連続しており、平準化パラメータ「1」を超えているため、図4では、コマンド発行回数「1」から「7」までが連続して読み取れたと判定される。同様にコマンド発行回数「10」から「11」までが連続して読み取れたと判定される。従って、図4に示す読取データ12aから、連続読取回数「7」及び「2」が取得され、最大読取回数は「7」となる。また、ブロック数は「2」となる。連続読取率は、表の中で最大の最大連続読取回数10によって各IDに対応する最大連続読取回数を割った数であるので、ID1の場合は0.7、ID2の場合が1、ID3の場合が0.3のように計算される。
【0035】
平準化パラメータを用いることにより、リーダライタ2が偶然にICタグ3のデータを読み取れなかった場合に、読み取ったデータを破棄する等の管理ミスを低減できる。なお、平準化パラメータの設定値は、読取環境等により適宜変更可能である。
【0036】
図6は、基準データ13aを説明するための模式図である。
【0037】
基準データ13aは、特徴データ12bを生成する際、及び生成した特徴データ12bを必要データ又は不要データに分類する際に基準とするデータである。必要データとは、読み取るべきICタグ3をリーダライタ2が読み取った結果をもとに生成された特徴データである。不要データとは、読み取るべきでないICタグ3をリーダライタ2が読み取った結果をもとに生成された特徴データである。即ち、特徴データ12bを必要データ又は不要データに分類することで、ICタグ3を対象タグ又は不要タグに分類することができる。
【0038】
基準データ13aには、特徴データ12bを生成する際に用いる平準化パラメータ、並びに、特徴データ12bを分類する際に用いる連続読取率の下限値、上限値及びブロック数上限値が予め設定されている。例えば、図6では、平準化パラメータが「1」、連続読取率の下限値を「0.7」、上限値を「1」、ブロック数の上限値を「4」としている。そして、平準化パラメータ「1」を用いて図5に示す特徴データ12bが生成された場合、特徴データ12bの連続読取率が「0.7」から「1」の範囲に入り、ブロック数が「4」以下であるかが判定される。そして、これら条件を満たす場合に、特徴データ12bに対応するICタグ3のデータは、必要データに分類される。一方、条件を満たさない場合は不要データに分類される。基準データ13aでは、連続読取率に替えて最大連続読取回数の上限値と下限値を指定することもできる。しかし、連続読取回数は移動するICタグの移動速度や同時に読取るタグ枚数に影響を受ける可能性があるため、移動速度やタグ枚数が一定ではない場合には連続読取率を使用する方がより適切な分類が可能になる。
【0039】
実施形態1のリーダライタ2は、図2に示すように、制御部20、ROM21、RAM22、送受信部23、及び通信部24等を備えている。
【0040】
制御部20は、CPU又はMPU等を有している。そして、制御部20は、所定のタイミングに従って、ROM21に予め記憶してある制御プログラムを適宜RAM22に読み出して実行すると共に、上述したハードウェア各部の動作を制御する。ROM21には、リーダライタ2を動作させるために必要な種々の制御プログラムが予め格納されている。RAM22はSRAM又はフラッシュメモリなどで構成されており、制御部20による制御プログラムの実行時に発生する種々のデータを一時的に記憶する。
【0041】
送受信部23は、アンテナ23aを介してICタグ3とデータ通信する。例えば、送受信部23は、制御部20の指示に従って、発行された探索コマンドに対応する無線信号を発信する。そして、送受信部23は、無線信号を受信したICタグ3が発信するデータを受信する。受信したデータは、制御部20が必要な処理を行った上で、通信部24からネットワーク4を介して管理装置1に送信される。
【0042】
図3は、ICタグ3の構成例を示すブロック図である。実施形態1におけるICタグ3はパッシブ型である。
【0043】
ICタグ3は、制御部30、整流部31、送受信部33、アンテナ33a、及びメモリ部34等を備えている。
【0044】
制御部30は、FPGA(Field Programmable Gate Array)のようなプログラム可能な集積回路、または事前に動作ロジックを組み込まれた集積回路や大規模集積回路(LSI)等を有しており、予めプログラムされ、または組み込まれた制御ロジックに従ってICタグ3の動作を制御する。
【0045】
送受信部33は、アンテナ33aを介してリーダライタ2と信号の送受信を行うために、各信号を変調又は復調する。アンテナ33aが高周波を受信すること発生した電流は、整流部31によって整流処理を施された後に制御部またはメモリ部への電力として供給される。これにより、ICタグ3は、電池を持たずに、利用可能となる。
【0046】
メモリ部34は、FRAMのような不揮発性のメモリを持つ。メモリ部34は、ICタグ3それぞれに割り当てられたID34a及びICタグ3が付された物品に関する物品データ34b等を格納している。
【0047】
以下に、上述した構成の読取システム100において、管理装置1の制御部10がROM11又はメモリ部13に格納されている制御プログラムを実行することによって実現される機能について説明する。図7は、実施形態1に係る管理装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0048】
実施形態1の管理装置1は、送受信部40、データ記憶部41、データ分類部42、コマンド発行部43、トリガ監視部44及び結果返却部45等を含む。管理装置1は、制御部10がROM11又はメモリ部13に格納されている制御プログラムを実行することによって、上述の各機能を有する。
【0049】
送受信部40は、リーダライタ2とデータの送受信を行う。例えば、送受信部40は、リーダライタ2に指示コマンドを送信する。指示コマンドは、コマンド発行部43により発行される。コマンド発行部43は、例えば、センサ17の動作を監視するトリガ監視部44が物品50を検知した場合、リーダライタ2にICタグ3のデータの読み取りを実行させる読取コマンドを発行する。
【0050】
また、送受信部40は、リーダライタ2が読み取ったデータをリーダライタ2から受信する。リーダライタ2が読み取ったデータは、データ記憶部41に記憶される。記憶制御部41は、データに含まれるID34aと物品データとを対応付けて記憶する。
【0051】
データ分類部42は、データ記憶部41に記憶されたデータに基づいて、データの分類を行う。データ分類部42は、読取データ生成部420、読取データ記憶部421、特徴データ生成部422、特徴データ分類部423、及び分類基準記憶部424等を含む。
【0052】
読取データ生成部420は、データ記憶部41に記憶されたデータから、図4で説明した読取データを生成する。読取データ記憶部421は、読取データ生成部420が生成した読取データを記憶する。
【0053】
分類基準記憶部424は、図6で説明した基準データ13aを記憶する。特徴データ生成部422は、分類基準記憶部424に記憶される基準データ13aの平準化パラメータ、及び読取データ記憶部421に記憶された読取データに基づいて、図5で説明した特徴データを生成する。そして、特徴データ分類部423は、分類基準記憶部424に記憶される基準データ13aに基づいて、特徴データ生成部422が生成した特徴データを必要データ又は不要データに分類する。特徴データ分類部423によって分類された結果は、結果返却部45に出力される。特徴データ生成部422が特徴データを分類することで、リーダライタ2がデータを読み取ったICタグ3を必要タグ又は不要タグに分類することができる。
【0054】
次に、読取システム100の管理装置1及びリーダライタ2の動作について説明する。
【0055】
図8は、管理装置1による処理手順を示すフローチャートである。
【0056】
制御部10は、センサ17がリーダライタ2の下方を通過する物品50を検知したか否かを判定する(S1)。センサ17が物品50を検知していない場合(S1:NO)、制御部10は、物品を検知するまで待機する。センサ17が物品50を検知した場合(S1:YES)、制御部10は、読取指示コマンドを発行し、リーダライタ2に対して送信する(S2)。
【0057】
制御部10は、リーダライタ2からICタグ3のデータを受信したか否かを判定する(S3)。そして、リーダライタ2からデータを受信した場合(S3:YES)、制御部10は、受信したデータをメモリ部13に記憶する(S4)。なお、制御部10は、受信したデータを、そのデータが有するID毎に記憶する。その後、制御部10は、S5の処理を実行する。また、データをリーダライタ2から受信していない場合(S3:NO)、制御部10は、S5の処理を実行する。
【0058】
次に、制御部10は、終了するか、即ち、読取処理を継続するか否かを判定する(S5)。制御部10は、センサ17が物品50を検知してから所定時間経過したかを判定する。また、別途終了センサが用意されている場合には終了センサが物品50を検知したか否かによって読取処理を終了するか継続するかを判定してもよい。
【0059】
終了しない場合(S5:NO)、即ち読取処理を継続する場合、制御部10は、S2以降の処理を実行し、所定時間経過するまで繰り返す。終了する場合(S5:YES)、制御部10は、メモリ部13に記憶したデータから読取データを生成する(S6)。制御部10は、生成した読取データに基づいて特徴データ12bを生成する処理を実行する(S7)。制御部10は、生成した特徴データ12bに基づいてデータを分類する処理を実行する(S8)。そして、制御部10は、本動作を終了する。S7及びS8の特徴データ生成処理及びデータ分類処理については後述する。
【0060】
図9は、特徴データ生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0061】
制御部10は、メモリ部13から基準データ13aを取得し、基準データ13aに含まれる平準化パラメータSを取得する(S101)。制御部10は、各ID毎に生成されている読取データ12aのIDリストから特徴データ12bを抽出するIDを選択する(S102)。
【0062】
制御部10は、変数を初期値に設定する(S103)。変数は、連続読取回数d、ブロック数b、平準化チェッカs及び発行回数i等がある。連続読取回数d、ブロック数b及び平準化チェッカsは、初期値「0」に設定される。発行回数iは、初期値「1」に設定される。連続読取回数dは、リーダライタ2が連続してICタグ3のデータを読み取れた回数、即ち、図4の読取データにおいて「1」が連続する回数である。平準化チェッカsは、平準化パラメータSと比較し、読み取れなかった場合であっても読み取れたと判断するための値である。発行回数iは、管理装置1が読取コマンドを発行した回数である。
【0063】
制御部10は、S102で選択したIDの読取データ12aにおいて、発行回数iに対応する読取結果を取得し(S104)、読取結果が「1」であるか否かを判定する(S105)。読取結果が「1」の場合(S105:YES)、即ち、リーダライタ2が発行回数iにおけるタイミングでICタグ3のデータを読み取れた場合には、連続読取回数dに「1」を加算する(S106)。そして、制御部10は、発行回数iに「1」を加算し(S107)、次の発行回数について処理を行う。
【0064】
発行回数iに対応する読取結果が「1」でない場合(S105:NO)、即ち、リーダライタ2が発行回数iにおけるタイミングでICタグ3のデータを読み取れなかった場合には、連続読取回数dが「0」かどうかを確認し(S108)、「0」であれば(S108:YES)発行回数iに「1」を加算し(S107)、次の発行回数について処理を行う。連続読取回数dが「0」でない場合(S108:NO)は、平準化チェッカsに「1」を加算する(S109)。そして、制御部10は、加算した結果が、平準化パラメータSを超えているか否かを判定する(S110)。平準化パラメータSを超えていない場合(S110:NO)、制御部10は、S106以降の処理を実行する。即ち、発行回数iに対応する読取結果が「0」であるが、偶然読み取れなかったと判断し、制御部10は、連続読取回数dに仮の値として「1」を加算する(S106)。
【0065】
平準化パラメータSを超えた場合(S110:YES)、制御部10は、連続読取が終了したとみなし、連続読取回数dから仮に加算していた回数を減らすために平準化パラメータSを減じ(S111)、連続読取回数dの値をRAM12等に記憶する(S112)。さらに、制御部10は、ブロック数bに「1」を加算する(S113)。そして、制御部10は、連続読取回数d及び平準化チェッカsを初期値「0」に戻し(S114)、S107以降の処理を実行する。
【0066】
S107において、制御部10は、発行回数iに「1」を加算し(S107)、全ての発行タイミングに対して、S104からS114の処理を行ったか否かを判定する(S115)。例えば、図4の読取データの場合、制御部10は、発行回数iが「12」を超えたか否かを判定する。終了していない場合(S115:NO)、制御部10は、S104以降の処理を再び実行する。終了した場合(S115:YES)、制御部10は、ブロック数bと、RAM12に記憶した連続読取回数dから最大値(最大連続読取回数)Mとを生成する(S116)。そして、制御部10は、読取データの全IDについて、ブロック数と最大連続読取回数Mとを生成したかを判定する(S117)。全IDについてブロック数と最大連続読取回数Mとを生成していない場合(S117:NO)、制御部10は、S102以降の処理を実行し、残りのIDについてブロック数と最大連続読取回数Mを生成する。全IDについてブロック数と最大連続読取回数Mとを生成した場合(S117:YES)、最大連続読取回数Mのうち最大の値を選択し、その値で各IDに対応する最大連続読取回数を割ることによってID毎の連続読取率を計算する(S118)。その後、制御部10は、本動作を終了し、図8のS8を実行する。
【0067】
図10は、データ分類処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
制御部10は、メモリ部13の基準データ13aから連続読取回数の上限値P及び下限値Qを取得する(S201)。次に、制御部10は、基準データ13aからブロック数の上限値Rを取得する(S202)。図8のS7で生成した特徴データ12bは、ID毎に生成されており、制御部10は、分類する特徴データ12bのIDを選択する(S203)。そして、制御部10は、選択したIDに係る特徴データ12bに含まれる連続読取率が、下限値Q以上、上限値P以下であるか否かを判定する(S204)。
【0069】
連続読取率が、下限値Q以上、上限値P以下である場合(S204:YES)、制御部10は、特徴データ12bに含まれるブロック数bが上限値R以下であるか否かを判定する(S205)。上限値R以下である場合(S205:YES)、特徴データ12bを必要データに分類する(S206)。これにより、制御部10は、リーダライタ2がデータを読み取ったICタグ3を対象タグに分類することができる。その後、制御部10は、S208に処理を移す。
【0070】
連続読取率が、下限値Q以上、上限値P以下でない場合(S204:NO)、及びブロック数bが上限値R以下でない場合(S205:NO)、制御部10は、特徴データ12bを不要データに分類する(S207)。これにより、制御部10は、リーダライタ2がデータを読み取ったICタグ3を不要タグに分類することができる。その後、制御部10は、S208に処理を移す。
【0071】
制御部10は、生成した全ての特徴データ12bに対して上述の処理を終了したか否かを判定する(S208)。終了していない場合(S208:NO)、制御部10は、他のIDを選択し(S203)、選択したIDに係る特徴データ12bに対してS204以降の処理を実行する。終了した場合(S208:YES)、制御部10は、本動作を終了し、図8に戻る。
【0072】
制御部20は、管理装置1から指示コマンドを受信したか否かを判定する。受信していない場合、制御部20は、受信するまで待機する。指示コマンドを受信した場合、制御部20は、指示コマンドの種別に従って必要な動作を行なう。
【0073】
制御部20は、指示コマンドの種別に従った無線信号を送信するよう命令を出す。そして、制御部20は、無線信号を受信したICタグ3からの応答を受信したか否かを判定する。応答を受信した場合、制御部20は、受信した応答の内容に従って必要なデータを管理装置1に送信するよう命令を出す。指示コマンドが探索指示コマンドである場合には、応答に含まれるICタグ3のIDを管理装置1に送信する。そして、制御部20は、本動作を終了する。
【0074】
応答を受信していない場合、制御部20は必要なリトライ回数分の再送信などを行う。再送信によって応答が受信できた場合は、受信した応答の内容に従って必要なデータを管理装置1に送信するよう指示する。リトライ回数分の再送信を行なっても応答を受信できない場合は、エラー通知を管理装置1に送信するよう指示し、本動作を終了する。
【0075】
上述のように、実施形態1の管理装置1では、読取結果を時系列にした読取データ12aから生成した特徴データ12bを基準データ13aに基づいて必要データ又は不要データに分類する。そして、特徴データ12bを分類することで、ICタグ3を対象タグ又は不要タグに分類している。このように、読み取ったデータの内容ではなく、読取結果の特徴を示す特徴データ12bに基づいて、ICタグ3を分類することで、電波吸収板等を設置することなく、簡単にICタグ3の分類を行うことができる。
【0076】
また、実施形態1の管理装置1では、読取データ12aを、読取結果を時系列としたデータとし、読取結果の特徴を抽出している。リーダライタ2は、搬送路52上に設置されているため、特徴データ12bはICタグ3のデータに関係なく略同じようなデータとなる。従って、読み取ったICタグ3のデータの内容が一致しているかを判定する処理を行う必要がなくなる。
【0077】
(実施形態2)
以下に、本発明に係る読取装置の実施形態2を示す図面に基づいて詳述する。なお、実施形態2の管理装置1は、上述した実施形態1の管理装置1と同様の構成によって実現することができるので、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
図11は、実施形態2に係る管理装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0079】
実施形態2の管理装置1は、実施形態1の管理装置1が有する機能の他に、アンテナ出力制御部46をさらに含む。アンテナ出力制御部46は、リーダライタ2のアンテナ23aから送信される無線信号の出力レベルを指定するアンテナ出力制御パラメータを生成する。そして、送受信部40は、コマンド発行部43が発行したコマンドをリーダライタ2に送信する際に、アンテナ出力制御部46が生成したアンテナ出力制御パラメータを同時に送信する。リーダライタ2は、受信したアンテナ出力制御パラメータに基づいた空中線電力で無線信号を送信する。実施形態2では、アンテナ出力制御部46は、空中線電力を10[dBm]から27[dBm]まで指定可能とする。なお、実施形態2では管理装置1がアンテナ出力制御部を持つが、リーダライタ2にアンテナ出力制御の機能を持たせてもよい。
【0080】
図12は、アンテナ出力レベルの変化を示す図である。
【0081】
アンテナ出力制御部46は、コマンド発行部43がコマンドを発行する毎に、予め設定されたアンテナ出力設定値にしたがって「27,23,20,17,14,17,20,23」となるアンテナ出力制御パラメータを生成する。これにより、リーダライタ2から送信される無線信号の出力レベルは、図12(a)に示すように強弱を繰り返す。
【0082】
また、アンテナ出力制御部46は、異なるアンテナ出力設定値が設定されることにより「27,27,27」と「14,14,14」とを交互に繰り返すアンテナ出力制御パラメータを生成することもできる。これにより、無線信号の出力レベルは、図12(b)に示すように強弱を繰り返す。
【0083】
読取対象となるICタグ3と読取対象でないICタグ3との配置によっては、読取パターン13aに大きな差がでない場合がある。この場合、上述のようにリーダライタ2から送信する無線信号の出力レベルを変化させることで、読取結果の違いを際立たせることができる。
【0084】
図13は、無線信号の出力レベルを変化させた場合の読取データを示す模式図である。
【0085】
図13に示すように、連続した読取コマンドの発行により8個のIDが検出できている。この場合において、リーダライタ2からの位置が遠いために出力レベルが弱められたことによって応答できなくなったICタグ3(例えば、ID4及びID6)が存在する。この結果、管理装置1は、ID4及びID6のICタグ3は、読取対象のICタグではないと判断できる。
【0086】
なお、出力レベルが低下することにより、読取データ12aにおける連続して読み取りできたブロックが複数に存在する。従って、基準データ13aにおいて、連続読取率の上限値及び下限値を設定しなくとも、ブロック数上限値を「1」とすることで、出力レベル低下により読めなくなるIDに係る特徴データ12bを不要データと分類することができる。
【0087】
次に、実施形態2の管理装置1の動作について説明する。
【0088】
図14は、管理装置1による処理手順を示すフローチャートである。
【0089】
制御部10は、センサ17がリーダライタ2の下方を通過する物品50を検知したか否かを判定する(S301)。センサ17が物品50を検知していない場合(S301:NO)、制御部10は、物品を検知するまで待機する。センサ17が物品50を検知した場合(S301:YES)、制御部10は、読取指示コマンド及びアンテナ出力制御部46の設定にしたがってアンテナ出力制御パラメータを発行し、リーダライタ2に対して送信する(S302)。なお、S302において、制御部10は、特に指定されていない場合は、事前に与えられた標準値のアンテナ出力制御パラメータを生成し、読取指示コマンドと共に送信する。
【0090】
制御部10は、リーダライタ2からICタグ3のデータを受信したか否かを判定する(S303)。そして、リーダライタ2からデータを受信した場合(S303:YES)、制御部10は、受信したデータをメモリ部13に記憶する(S304)。その後、制御部10は、S5の処理を実行する。また、データをリーダライタ2から受信していない場合(S303:NO)、S305の処理を実行する。
【0091】
次に、制御部10は、終了するか、即ち読取処理を継続するか否かを判定する(S305)。制御部10は、センサ17が物品50を検知してから所定時間経過したかを判定する。また、別途終了センサが用意されている場合には終了センサが物品50を検知したか否かによって読取処理を終了するか継続するかを判定してもよい。
【0092】
終了していない場合(S305:NO)、制御部10は、リーダライタ2からの無線信号の出力レベルを変更し(S309)、S302以降の処理を実行し、所定時間経過するまで繰り返す。所定時間経過し、終了する場合(S305:YES)、制御部10は、メモリ部13に記憶したデータから読取データを生成する(S306)。制御部10は、生成した読取データに基づいて特徴データ12bを生成する処理を実行する(S307)。制御部10は、生成した特徴データ12bに基づいてデータを分類する処理を実行する(S308)。そして、制御部10は、本動作を終了する。S307及びS308の特徴データ生成処理及びデータ分類処理は、実施形態1と同様である。
【0093】
上述のように、リーダライタ2からの無線信号の出力レベルに強弱をつけて変化させることで、ICタグ3を対象タグ又は不要タグにより明確に分類することができる。例えば、リーダライタ2から離れた位置に置かれた物品に付されたICタグ3は、無線信号の出力レベルが強い場合は無線信号を受信できる。無線信号の出力レベルを弱くした場合は受信できない場合がある。一方、リーダライタ2の下方を通過する物品に付されたICタグ3は、無線信号の出力レベルに関係なく無線信号を受信できる。このため、読取結果が不安定なICタグ3は不要タグに分類し、読取結果が安定しているICタグ3は対象タグに分類することができる。
【0094】
(実施形態3)
以下に、本発明に係る読取装置の実施形態3を示す図面に基づいて詳述する。なお、実施形態3の管理装置1は、上述した実施形態1の管理装置1と同様の構成によって実現することができるので、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
図15は、実施形態3に係る管理装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0096】
実施形態3の管理装置1は、実施形態1の管理装置1が有する機能の他に、データ分類部42は、検出済ID記憶部428等をさらに含む。
【0097】
検出済ID記憶部428は、特徴データ分類部423が分類した分類結果を記憶する。リーダライタ2がICタグ3のデータを読み取った場合、読取データ生成部420は、データのIDが検出済ID記憶部428に不要タグとして記憶されている場合には、読取データを生成することなく、不要タグとして分類する。
【0098】
図16は、実施形態3の管理装置1による処理手順を示すフローチャートである。
【0099】
制御部10は、センサ17がリーダライタ2の下方を通過する物品50を検知したか否かを判定する(S401)。センサ17が物品50を検知していない場合(S401:NO)、制御部10は、物品を検知するまで待機する。センサ17が物品50を検知した場合(S401:YES)、制御部10は、読取指示コマンドを発行し、リーダライタ2に対して送信する(S402)。
【0100】
制御部10は、リーダライタ2からICタグ3のデータを受信したか否かを判定する(S403)。そして、リーダライタ2からデータを受信した場合(S403:YES)、制御部10は、受信したデータをメモリ部13に記憶する(S404)。その後、制御部10は、S405の処理を実行する。また、データをリーダライタ2から受信していない場合(S403:NO)、制御部10は、S405の処理を実行する。
【0101】
次に、制御部10は、終了するか、即ち読取処理を継続するか否かを判定する(S405)。制御部10は、センサ17が物品50を検知してから所定時間経過したかを判定する。また、別途終了センサが用意されている場合には終了センサが物品50を検知したか否かによって読取処理を終了するか継続するかを判定してもよい。
【0102】
終了しない場合(S405:NO)、制御部10は、S402以降の処理を実行し、所定時間経過するまで繰り返す。所定時間経過し、終了する場合(S405:YES)、制御部10は、リーダライタ2から受信したICタグ3のデータのIDが、メモリ部13に記憶されているか否かを判定する(S406)。記憶されている場合には(S406:YES)、制御部10は、受信したデータのICタグ3は既に不要タグに分類されてあると判定し、制御部10は、本動作を終了する。
【0103】
記憶されていない場合には(S406:NO)、制御部10は、メモリ部13に記憶したデータから読取データを生成する(S407)。制御部10は、生成した読取データに基づいて特徴データ12bを生成する処理を実行する(S408)。制御部10は、生成した特徴データ12bに基づいてデータを分類する処理を実行する(S409)。S408及びS409の特徴データ生成処理及びデータ分類処理については実施形態1と同様である。
【0104】
制御部10は、S409において不要タグに分類されたICタグ3があるか否かを判定する(S410)。不要タグに分類されたICタグ3がある場合(S410:YES)、制御部10は、そのICタグ3のIDをメモリ部13に記憶する(S411)。これにより、管理装置1が以降同じIDを有するデータを受信した場合であっても、S408及びS409の特徴データ生成処理及びデータ分類処理などを実行せずに、ICタグ3を不要データと分類できる。その後、制御部10は、本動作を終了する。また、不要タグに分類されたICタグ3がない場合も(S410:NO)、制御部10は、本動作を終了する。
【0105】
リーダライタ2付近に物品が置かれている場合、リーダライタ2は、読み取りを実行する都度、置かれた物品のICタグ3のデータを受信する可能性が高い。このため、一度不要タグと分類したICタグ3のデータを受信した場合に、読取データ等を生成する前に不要タグと分類することで、処理の負担を軽減することができる。
【0106】
なお、上述の実施形態1から3では、管理装置1とリーダライタ2とを別個にもうけているが、各装置の機能を一つの装置で実行させるようにしてもよい。また、リーダライタ2は、携帯型としてもよい。また、本発明のプログラムは、DVD−ROM、CD−ROM、FD(フレキシブルディスク)、その他任意の記録媒体に記憶することも可能である。
【0107】
その他、具体的構成などは、適宜設計変更可能であり、発明の実施形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0108】
また、本願に開示の読取装置は、記録媒体にデータを発信させる要求信号を送信する送信手段と、要求信号を受信した記録媒体から発信されたデータを受信する受信手段とをさらに備え、第1生成手段は、送信手段が送信した要求信号に対して、記録媒体に記録されたデータを読み取れたか否かを時系列にした時系列データを生成し、第2生成手段は、該第1生成手段が生成した時系列データに基づいて読取結果の特徴を示す特徴データを生成し、第1分類手段は、事前に与えられた規準にしたがってデータを必要データに分類する、という構成とすることもできる。このような構成によれば、読取の時系列データから特徴データを生成し、特徴データに基づく分類を行なうという働きにより、記録媒体の移動速度などの個別の条件に依存しない分類が可能になるということ等が期待できる。
【0109】
また、本願に開示の読取装置は、要求信号の出力レベルを強弱変化させる制御手段を備えてもよい。このような構成によれば、出力レベルの強弱によって記録媒体が応答できる距離に違いが出るという働きにより、分類対象となる記録媒体の動作が同じでも読取装置からの距離が異なる場合に分類が可能になるということ等が期待できる。
【0110】
また、本願に開示の読取装置は、読み取ったデータに含まれており、該データを記録した記録媒体を識別する識別データを取得する取得手段と、第1分類手段が不要データと分類したデータの識別データを記憶する記憶手段と、データを読み取った際に取得手段が取得した識別データが記憶手段に記憶されているか否かを判定する判定手段と、該判定手段が記憶されていると判定した場合、読み取ったデータを不要データに分類する第2分類手段とをさらに備える、という構成とすることもできる。このような構成によれば、事前に不要データと分類された記録媒体を第1分類手段によらずとも不要データと分類することが可能という働きにより、事前に不要データと分類された記録媒体が引き続き読取装置の範囲内に残留していたとしても第1分類手段によらずに効率的に不要データと分類ができるということ等が期待できる。
【0111】
以上の実施形態1〜3を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0112】
(付記1)
通信可能な領域内にある記録媒体から該記録媒体に記録されたデータを非接触で繰り返し読み取る読取装置において、
読取結果を時系列にした時系列データを生成する第1生成手段と、
該第1生成手段が生成した時系列データに基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成する第2生成手段と、
該第2生成手段が生成した特徴データに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類する第1分類手段と
を備える読取装置。
【0113】
(付記2)
記録媒体にデータを発信させる要求信号を送信する送信手段と、
前記要求信号を受信した記録媒体から発信されたデータを受信する受信手段と
をさらに備え、
前記第1生成手段は、
前記送信手段が送信した要求信号に対して、前記記録媒体に記録されたデータを読み取れたか否かを時系列にした時系列データを生成し、
前記第1分類手段は、
所定回数連続してデータを読み取った場合に、データを必要データに分類する構成としてある
付記1に記載の読取装置。
【0114】
(付記3)
要求信号の出力レベルを強弱変化させる制御手段
をさらに備える付記2に記載の読取装置。
【0115】
(付記4)
読み取ったデータに含まれており、該データを記録した記録媒体を識別する識別データを取得する取得手段と、
前記第1分類手段が不要データと分類したデータの識別データを記憶する記憶手段と、
データを読み取った際に前記取得手段が取得した識別データが前記記憶手段に記憶されているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段が記憶されていると判定した場合、読み取ったデータを不要データに分類する第2分類手段と
をさらに備える付記1から3の何れか一つに記載の読取装置。
【0116】
(付記5)
コンピュータに、通信可能な領域内にある記録媒体から該記録媒体に記録されたデータを非接触で繰り返し読み取らせるコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
読取結果を時系列にした時系列データを生成する第1生成手段、
該第1生成手段が生成した時系列データに基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成する第2生成手段、
該第2生成手段が生成した特徴データに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類する第1分類手段
として機能させるコンピュータプログラム。
【0117】
(付記6)
前記第1生成手段は、
記録媒体にデータを発信させる要求信号の送信に対して、記録媒体に記録されたデータを受信したか否かを時系列にした時系列データを生成し、
前記第1分類手段は、
所定回数連続してデータを受信した場合に、データを必要データに分類するようにしてある
付記5に記載のコンピュータプログラム。
【0118】
(付記7)
前記コンピュータを、
要求信号の出力レベルを強弱変化させる制御手段
としてさらに機能させる付記6に記載のコンピュータプログラム。
【0119】
(付記8)
前記コンピュータを、
前記第1分類手段が不要データと分類したデータを記録していた記録媒体を識別する識別データを記憶手段に記憶させる記憶制御手段、
データを読み取った際に、該データを記録していた記録媒体を識別する識別データが前記記憶手段に記憶されているか否かを判定する判定手段、及び、
該判定手段が記憶されていると判定した場合、読み取ったデータを不要データに分類する第2分類手段
としてさらに機能させる付記5から7の何れか一つに記載のコンピュータプログラム。
【0120】
(付記9)
通信可能な領域内にある記録媒体から該記録媒体に記録されたデータを非接触で繰り返し読み取る読取システムにおいて、
読取結果を時系列にした時系列データを生成する第1生成手段と、
該第1生成手段が生成した時系列データに基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成する第2生成手段と、
該第2生成手段が生成した特徴データに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類する第1分類手段と
を備える読取システム。
【符号の説明】
【0121】
1 管理装置
2 リーダライタ
3 ICタグ
4 ネットワーク
10 制御部
13 メモリ部
12a 読取データ
12b 特徴データ
13a 基準データ
100 読取システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信可能な領域内にある記録媒体から該記録媒体に記録されたデータを非接触で繰り返し読み取る読取装置において、
読取結果を時系列にした時系列データを生成する第1生成手段と、
該第1生成手段が生成した時系列データに基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成する第2生成手段と、
該第2生成手段が生成した特徴データに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類する第1分類手段と
を備える読取装置。
【請求項2】
記録媒体にデータを発信させる要求信号を送信する送信手段と、
前記要求信号を受信した記録媒体から発信されたデータを受信する受信手段と
をさらに備え、
前記第1生成手段は、
前記送信手段が送信した要求信号に対して、前記記録媒体に記録されたデータを読み取れたか否かを時系列にした時系列データを生成し、
前記第1分類手段は、
所定回数連続してデータを読み取った場合に、データを必要データに分類する構成としてある
請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
要求信号の出力レベルを強弱変化させる制御手段
をさらに備える請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
読み取ったデータに含まれており、該データを記録した記録媒体を識別する識別データを取得する取得手段と、
前記第1分類手段が不要データと分類したデータの識別データを記憶する記憶手段と、
データを読み取った際に前記取得手段が取得した識別データが前記記憶手段に記憶されているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段が記憶されていると判定した場合、読み取ったデータを不要データに分類する第2分類手段と
をさらに備える請求項1から3の何れか一つに記載の読取装置。
【請求項5】
コンピュータに、通信可能な領域内にある記録媒体から該記録媒体に記録されたデータを非接触で繰り返し読み取らせるコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
読取結果を時系列にした時系列データを生成する第1生成手段、
該第1生成手段が生成した時系列データに基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成する第2生成手段、
該第2生成手段が生成した特徴データに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類する第1分類手段
として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記第1生成手段は、
記録媒体にデータを発信させる要求信号の送信に対して、記録媒体に記録されたデータを受信したか否かを時系列にした時系列データを生成し、
前記第1分類手段は、
所定回数連続してデータを受信した場合に、データを必要データに分類するようにしてある
請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
要求信号の出力レベルを強弱変化させる制御手段
としてさらに機能させる請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記第1分類手段が不要データと分類したデータを記録していた記録媒体を識別する識別データを記憶手段に記憶させる記憶制御手段、
データを読み取った際に、該データを記録していた記録媒体を識別する識別データが前記記憶手段に記憶されているか否かを判定する判定手段、及び、
該判定手段が記憶されていると判定した場合、読み取ったデータを不要データに分類する第2分類手段
としてさらに機能させる請求項5から7の何れか一つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
通信可能な領域内にある記録媒体から該記録媒体に記録されたデータを非接触で繰り返し読み取る読取システムにおいて、
読取結果を時系列にした時系列データを生成する第1生成手段と、
該第1生成手段が生成した時系列データに基づいて、読取結果の特徴を示す特徴データを生成する第2生成手段と、
該第2生成手段が生成した特徴データに基づいて、読み取ったデータを必要データ又は不要データに分類する第1分類手段と
を備える読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−259232(P2009−259232A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66054(P2009−66054)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】