説明

調湿パネルの取付構造

【課題】調湿パネルが持つ湿度調節機能及びガス吸着(消臭)機能を十分に発揮し得る調湿パネルの取付構造を提供する。
【解決手段】調湿性を有する基材10を備えた調湿パネル1の四周を固定支持する専用枠2によって、前記調湿パネルを壁面30に取り付ける調湿パネルの取付構造であって、
前記専用枠の前側には、前記調湿パネルを固定支持する固定部20が設けられており、該固定部によって固定支持された前記調湿パネルの背面1b側には、上下にのみ開放され、気流が通じる空間部21が構成され、前記壁面との間に空隙が形成されるよう調湿パネルが取り付けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿性を有する基材を備えた調湿パネルの端部を固定支持する専用枠によって、前記調湿パネルを壁面に取り付ける調湿パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の住居においては、高断熱化、高気密化の対策が進んでいるが、これに起因して結露やカビ、ダニなどの発生が問題となり、住居内の湿度調節が次なる課題となっている。そこで、住居の内壁や間仕切り、収納部等の内装建材などに調湿パネルを配置し、湿度調節を図ったものがみられる。
【0003】
調湿パネルとしては、調湿性を備えた基材の前面側に、接着層を介してツキ板或いは化粧シート等の透湿性を備えた表層材が貼付けられたもの、或いは調湿パネルの意匠性を高めるために基材の前面側を塗装し塗装層を備えたものが知られている。
しかしながら、上記接着層や上記塗装層により、基材への単位時間あたりの水分移動量が低減してしまい、基材の吸湿性能が低下してしまうことがあった。
【0004】
このような調湿パネルは壁面に取り付けられるが、調湿パネルの背面側に両面テープを貼付けたり、或いは接着剤を塗布して壁面に直接貼付けた場合は、調湿パネルの背面側の調湿性も阻害されてしまう。すると、水分を吸湿しても、基材の前面側だけでなく、背面側の吸放湿性能も低下するので、調湿パネルを設けても住居空間の湿度調節機能及びガス吸着(消臭)性能が大きく低下してしまう。そこで、調湿パネルの取付構造の改善が求められている。
【0005】
下記特許文献1には、調湿パネルを壁面に係止具を介し専用枠(支持フレーム)によって着脱自在に且つ隣接する調湿パネルの対向端面間に隙間を存した状態で取付けた調湿パネルの取付構造が記載されている。これによれば、対向端面間の隙間を通じて背面側へ空気が円滑に流通するので、調湿パネルの背面からの吸放湿作用が良好になされるとされている。
【特許文献1】特開2006−265918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の取付構造は、支持フレームとその支持フレームに調湿パネルを取付けるための係止具を要するため、部品点数が増えてしまい、取付けの施工工数の増加に繋がる。また住居空間に生じる気流、すなわち空気の自然対流を利用すれば、より効率のよい吸放湿作用の向上が期待できるが、上記特許文献1に記載のものはその自然対流を利用したものではなかった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、調湿パネルが持つ温度調節機能及びガス吸着(消臭)性能を十分に発揮し得る調湿パネルの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る調湿パネルの取付構造は、調湿性を有する基材を備えた調湿パネルの端部を固定支持する専用枠によって、前記調湿パネルを壁面に取り付ける調湿パネルの取付構造であって、
専用枠の前側には、前記調湿パネルを固定支持する固定部が設けられており、該固定部によって固定支持された前記調湿パネルの背面側には、上下にのみ開放され、気流が通じる空間部が構成され、前記壁面との間に空隙が形成されるよう調湿パネルが取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、上記基材の前面側には、ツキ板或いは樹脂シートなどの表層材が設けられているものとしてもよい。
また前記空間部の上方或いは下方には、LED或いは蛍光灯などの照明具、ヒータ、ファンなどが設けられているものとしてもよい。
更に前記空間部の少なくとも前記気流の上流側には、通気性を備えたフィルターが設けられているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る調湿パネルの取付構造によれば、調湿パネルが空間部を備えた専用枠によって壁面に取り付けられるので、調湿パネルを壁面から浮かせた状態に取り付けることができる。また空間部は調湿パネルを固定部に組み付けた状態で上下にのみ開放され、気流が通じるように構成されている。よって、調湿パネルの背面側に気流が通じる空隙が形成され、住居空間の空気の自然対流がスムーズに空間部へ誘導されるので、調湿パネルの背面から湿気を効果的に吸放出させることができる。
そして本発明の取付構造を採用することにより、調湿パネルの調湿性能を維持、向上させることができるので、断熱性、気密性の高い室内であっても、湿度調整及びガス吸着(消臭)ができ、結露やカビ、ダニなどの発生を防いで快適な住居空間を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の第1の実施形態〜第6の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図1(a)のX−X線矢視断面図、図2は本発明の第1の実施形態に係る調湿パネルの取付構造に採用される調湿パネルが固定支持された専用枠の斜視図、図3(a)は本発明の第2の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図3(a)のX−X線矢視断面図、図4(a)は本発明の第3の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図4(a)のX−X線矢視断面図、図5(a)は本発明の第4の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図5(a)のX−X線矢視断面図、図6(a)は本発明の第5の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図6(a)のX−X線矢視断面図、図7(a)は本発明の第6の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図7(a)のX−X線矢視断面図である。
ここに示す調湿パネル1は、住居内の壁面30に取付けられる内装建材として用いられた例を示している。
【0012】
まずは図1、図2(a)及び(b)を参照しながら、第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態による調湿パネル1の取付構造は、調湿パネル1の端部を固定支持する専用枠2によって、調湿パネル1を壁面パネル3の壁面30に取り付ける構造であって、固定部20によって固定支持された調湿パネル1の背面1b側には、上下にのみ開放され、気流が通じる空間部21が構成され、壁面30との間に空隙が形成されるよう調湿パネル1が取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
調湿パネル1は、調湿性を備えた基材10と基材10の前面に貼付けられた表層材11とを備えている。
基材10は、調湿性、すなわち水分の吸放湿性を有し、湿度の調節が可能な基材であれば、どのようなものでもよく、石膏を主材とする石膏ボード、或いは、ロックウールやスラグウール、ミネラルウール、グラスウール等の人造鉱物繊維を主材とする人造鉱物繊維板などの無機系ボードとしてもよい。または、木材等の繊維を主材とする木質繊維板や木材等の小片を主材とするパーティクルボードなどの木質系ボードとしてもよい。または、植物の靭皮から採取される靭皮繊維材(例えば、ケナフ、亜麻、ラミー、大麻、ジュート等の麻類植物の靭皮から採取される繊維)や、マニラ麻、サイザル麻等の麻類植物の茎又は端の筋から採取される繊維、油ヤシやココヤシ等のヤシ科植物から採取される繊維を主材とする非木質系繊維ボードとしてもよい。さらには、上記した各種ボードを構成する上記主材を組み合わせて形成した複合ボードとしてもよい。
【0014】
表層材11は、どのようなものでもよく、天然木を薄くスライスしたもの或いはMDF(中密度繊維板)などのツキ板や、塩化ビニル樹脂シート、印刷紙、不織布、クロスシート(壁紙)などの従来公知のいわゆる化粧シートが挙げられ、透湿性を備えてものであれば、調湿パネル1の前面1aの吸湿性を確保できる。
基材10と表層材11とは接着剤によって接着されており、接着剤としては、酢酸ビニル、合成ゴム等の水エマルジョンタイプのもの、ユリア樹脂系、ユリア・メラミン共縮合樹脂系、フェノール樹脂系及びイソシアネート樹脂系等の熱硬化性樹脂接着剤を用いることができる。
ここでは調湿パネル1として基材10の前面に表層材11を備えたものを記載しているが、これに限定されず、意匠性を高めるために塗装層を備えたものとしてもよい。もちろん調湿パネル1は基材10のみからなるものとしてもよく、この場合は基材10の前面側の調湿性を阻害する要因がなくなるので、後記する効果と相乗して、より一層調湿パネル1の調湿性能を発揮することができる。
尚、基材10の背面は、湿度調節機能及びガス吸着(消臭)機能を保持するため、表層材或いは塗装層は備えていないものとする。
【0015】
専用枠2は、上述のような木質系素材或いは、金属材製、樹脂材製などからなるものとすることができ、調湿パネル1の四周端部を支持できるよう前面が額縁状に形成されており、調湿パネル1の端部を支持する固定部20と、調湿パネル1を固定部20に組み付けた状態で上下にのみ開放され、気流が通じる空間部21とを備えている。
専用枠2の左右の両側部20cは、専用枠2の左右からの気流の侵入を閉塞するよう設けられている。これにより、住居内の自然対流を空間部21に取り込みやすくなり、図1(a)に矢印9のように空間部21に気流が通じるようになる。
専用枠2の上下の両側部20dは、専用枠2の上下の両側に設けられ、空間部21を閉塞することがないよう開口部20daが形成されている。調湿パネル1の組み付けが容易になされるよう上方の側部20dは取外し可能な蓋状となっている。
固定部20は調湿パネル1の前面1a、背面1bを塞ぐことがないよう、調湿パネル1の前面四周端部を支持する前面凸部20aと、調湿パネル1の背面四周端部を支持する背面凸部20bとを備えている。これにより、調湿パネル1の前面1aは専用枠2の前面側にその大半が露出した状態となり、背面1bは空間部21側にその大半が露出した状態となる。
【0016】
以上の専用枠2の形状、構造は特に限定されるものではなく、要は、調湿パネル1を固定支持する固定部20と、調湿パネル1を固定部20に組み付けた状態で上下にのみ開放され、気流が通じる空間部21が構成されるものであればよい。またここでは図示していないが、空間部21の気流の上流側或いは上流側及び下流側に、不織布などからなる通気性を備えたフィルターを設け、空間部21にホコリなどのゴミの侵入を阻止するものとしてもよい(図3(a)及び(b)参照)。更に図中9の矢印方向は、気流(空気の流れ)を概略的に示したものであり、住居内の温度と空間部21内の温度の状況によっては、必ずしも下方から上方へ流れるわけではない。例えば図1(a)の矢印方向と逆向きに気流が生じる場合もある。本発明の取付構造は調湿パネル1の背面に気流が生じる空隙を備えた点に特徴があるものであるから、気流の向きはいずれでも効果は同様である。
【0017】
専用枠2を壁面パネル3の所定位置にビスなどで固定した後、調湿パネル1を専用枠2の固定部20に組み付ける。すると調湿パネル1と壁面30との間に空隙が形成され、調湿パネル1を壁面30から浮かして取り付けることができる。
これによれば、調湿パネル1の背面1b側に気流が通じる空隙が形成され、住居空間の空気の自然対流がスムーズに空間部21へ誘導されるので、基材10の前面側に表層材11(或いは塗装層)が設けられていても、基材10の単位時間あたりの水分移動量が低減することがなく、吸湿性能が低下してしまうことを防止できる。また基材10によって吸湿した水分は背面から放湿できるので、放湿性能も低下してしまうことがない。よって、調湿パネル1が持つ湿度調節機能及びガス吸着(消臭)機能を十分に発揮し得、断熱性、気密性の高い室内であっても、湿度調整及びガス吸着(消臭)ができ、結露やカビ、ダニなどの発生を防いで快適な住居空間を実現することができる。
【0018】
続く、第2の実施形態〜第6の実施形態に示す調湿パネル1の取付構造は、いずれも第1の実施形態の変形例であり、空間部21に温度差を生じさせ、これを利用して気流を与えるもの(第2の実施形態〜第4の実施形態、第6の実施形態)、或いは気流の向きをコントロールするもの(第5の実施形態)が開示されている。いずれも、空間部21に気流を生じさせることにより、調湿パネル1が持つ温度調節機能及びガス吸着(消臭)性能をより一層十分に発揮させようというものである。空間部21に気流を生じさせる手段はこれらに限定されるものではないが、以下の通り、種々考えられる。
尚、以下実施形態では、第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、共通する構成、効果については説明を割愛する。
【0019】
図3を参照しながら、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、空間部21に温度差を生じさせ、これを利用して気流を生じさせる手段として、照明具5を用いたものである。
空間部21の上方、すなわち専用枠2の上方における側部20dの開口部20daの近傍にLED、或いは蛍光灯などの照明具5を固定設置する。照明具5が設けられた前方には、専用枠2の前面凸部20aの一部に透光部材からなる窓部20eが設けられている。この窓部20eから、照明具5の点灯、消灯状況を視認することができる。用いられる照明具5は特に限定するものではないが、LEDのように消費電力の少ない照明具5が望ましい。
このように照明具5を空間部21の上方に設けることにより、狭小の空間部21内に温度差が生じる。照明具5の近傍が照明具5の点灯によって温かくなり、温まった空気は上へ上へと上昇する。よって、住居空間の空気の温度が照明具5の周辺より低い場合は、図3(a)に示すように下方から上方へ気流が生じることになる。
【0020】
空間部21を通じる気流の上流側及び下流側には、不織布などからなる通気性を備えたフィルター4が設けられている。これによれば、照明具5を設けることにより、空間部21の気流が効果的に流通することになっても、空間部21にホコリなどのゴミの侵入を阻止することができる。よって調湿パネル1の背面空間を清潔に保つことができるので、調湿パネル1の背面1bの湿気の吸放湿を侵入するホコリなどによって阻害されることがない。
以上のように、空間部21に照明具5を設けることにより、温度差を生じさせ、気流が与えることにより、調湿パネル1が持つ温度調節機能及びガス吸着(消臭)性能をより一層十分に発揮させることができる。
尚、ここではフィルター4を気流の上流側及び下流側の両側に設けた例を示しているが、これに限定されず、少なくともフィルター4を気流の上流側に設ければ、効果的にホコリなどのゴミの侵入を阻止することができる。
【0021】
図4を参照しながら、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、空間部21に温度差を生じさせ、これを利用して気流を生じさせる手段として、照明具5を用いた点は第2の実施形態と同様であるが、この照明具5を空間部21の下方に設けた点で第2の実施形態と異なるものである。
空間部21の下方、すなわち専用枠2の下方における側部20dの開口部20daの近傍にLED、或いは蛍光灯などの照明具5を固定設置する。照明具5が設けられた前方には、専用枠2の前面凸部20aの一部に透光部材からなる窓部20eが設けられている。この窓部20eから、照明具5の点灯、消灯状況を視認することができる。用いられる照明具5は特に限定するものではないが、LEDのように消費電力の少ない照明具5が望ましい。
このように照明具5を空間部21の下方に設けても、狭小の空間部21内に温度差が生じる。照明具5の近傍が照明具5の点灯によって温かくなり、温まった空気は上へ上へと上昇する。よって、住居空間の空気の温度が照明具5の周辺より低い場合は、この実施形態においても図4(a)に示すように下方から上方へ気流が生じることになる。
【0022】
空間部21を通じる気流の上流側及び下流側には、不織布などからなる通気性を備えたフィルター4が設けられており、上述の第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上のように、空間部21に照明具5を設けることにより、温度差を生じさせ、気流が与えることにより、調湿パネル1が持つ温度調節機能及びガス吸着(消臭)性能をより一層十分に発揮させることができる。
【0023】
図5を参照しながら、第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態は、空間部21に温度差を生じさせ、これを利用して気流を生じさせる手段として、ヒーター6を用いた点で上述の実施形態と異なるものである。
空間部21の下方、すなわち専用枠2の下方における側部20dの開口部20daの近傍に円筒形状とした面状ヒーター、ハロゲンランプを用いたハロゲンヒーターなどのヒーター6を固定設置する。
ヒーター6をつけることにより、その近傍が加熱され、温まった空気は上へ上へと上昇する。よって、住居空間の空気の温度がヒーター6の周辺より低い場合は、図5(a)に示すように下方から上方へ気流が生じることになる。
ヒーター6の設置位置は、図例に限定されず、図3(a)に示す照明具5と同様に空間部21の上方に設置してもよい。
【0024】
空間部21を通じる気流の上流側及び下流側には、不織布などからなる通気性を備えたフィルター4が設けられており、上述の第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上のように、空間部21にヒーター6を設けることにより、温度差を生じさせ、気流が与えることにより、調湿パネル1が持つ温度調節機能及びガス吸着(消臭)性能をより一層十分に発揮させることができる。
【0025】
図6を参照しながら、第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態は、空間部21の気流の向きをコントロールする手段として、ファン7を用いた点で上述の実施形態と異なるものである。
空間部21の下方、すなわち専用枠2の下方における側部20dの開口部20daの近傍に小型の横流ファンなどのファン7を固定設置する。
ここで用いられるファン7は特に限定するものではないが、空間部21の横方向に広い範囲で一定方向に送風を行なえるものが望ましい。
ファン7を稼動させることにより、空気が一定方向に送風される。図6(a)の例は空気を上へ上へと送り出すことができるファン7を示している。
ファン7の設置位置は、図例に限定されず、図3(a)に示す照明具5と同様に空間部21の上方に設置してもよいが、ファン7の場合は、上述の照明具5、ヒータ6のように空気の温度差を生じさせて気流を生じさせるものではないため、下方に設置する方が効果的である。
【0026】
空間部21を通じる気流の上流側及び下流側には、不織布などからなる通気性を備えたフィルター4が設けられており、上述の第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上のように、空間部21にファン7を設けることにより、気流の向きをコントロールすることにより、調湿パネル1が持つ温度調節機能及びガス吸着(消臭)性能をより一層十分に発揮させることができる。
【0027】
図7を参照しながら、第6の実施形態について説明する。
第7の実施形態は、壁面パネル3の一部を熱交換性が高くなる構成として、外気との熱交換を行い、空間部21に温度差を生じさせ、これを利用して気流を生じさせる点で上述の実施形態と異なるものである。
図中8は、壁面パネル3の一部を熱交換性の高くなるよう構成された熱交換部を示している。
外気との熱交換を行い、空間部21に温度差を生じさせる例としては、壁面パネル3の中に断熱材が埋設されている場合は、その断熱材を一部取り除き、ここを熱交換部8として外気との熱交換を行うものが挙げられる。熱交換部8は、図7(a)に示すように空間部21の下方側に対応する箇所、或いは空間部21の上方側に対応する箇所に設けられる。
また外気との熱交換を行い、空間部21に温度差を生じさせる例としては、熱交換部8内、すなわち壁面パネル3の内部(例えば石膏ボードなどからなる内壁と外壁との間)に金属材を入れたものとしてもよい。具体的には、メタルウール、アルミ、銅などからなる薄箔を丸めたものを壁面パネル3の内部に入れてもよいし、外壁から内壁へ橋渡しするように板状の金属材を取付けたものとしてもよい。
熱交換部8の構成は上述に限定されるものではなく、要するに壁面パネル3の一部の熱伝導性をよくして、外気との熱交換を行い、空間部21内に温度差が生じるようにできればよい。
【0028】
これにより、夏場などの住居内より、外気の温度が高いときは、熱交換部8に熱が伝わり、熱交換部8を通じて空間部21内が暑くなる。そこで温まった空気は上へ上へと上昇し、図7(a)の矢印9aで示すように下方から上方へ気流が生じることになる。
また冬場などの住居内より、外気の温度が低いときは、熱交換部8が冷やされ、熱交換部8を通じて空間部21内も冷やされる。そこで冷やされた空気は下へ流れるので、図7(a)の矢印9bで示すように上方から下方へ気流が生じることになる。
【0029】
空間部21を通じる気流の上流側及び下流側には、不織布などからなる通気性を備えたフィルター4が設けられており、上述の第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上のように、壁面パネル3の一部を熱交換性が高くなる構成とすることにより、空間部21内に温度差を生じさせ、気流が与えることにより、調湿パネル1が持つ温度調節機能及びガス吸着(消臭)性能をより一層十分に発揮させることができる。
【0030】
尚、調湿パネル1及び専用枠2の形状、構成は図例のものに限定されるものではない。またひとつの専用枠2内に複数の調湿パネル1を固定支持できる構成としてもよい。更に調湿パネル1は必ずしもその四周端部が固定支持されている必要はなく、少なくとも調湿パネル1の左右端部が固定支持されていればよく、専用枠2の上方の側部20dの構造も図例のものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図1(a)のX−X線矢視断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る調湿パネルの取付構造に採用される調湿パネルが固定支持された専用枠の斜視図である。
【図3】(a)は本発明の第2の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図3(a)のX−X線矢視断面図である。
【図4】(a)は本発明の第3の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図4(a)のX−X線矢視断面図である。
【図5】(a)は本発明の第4の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図5(a)のX−X線矢視断面図である。
【図6】(a)は本発明の第5の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図6(a)のX−X線矢視断面図である。
【図7】(a)は本発明の第6の実施形態に係る調湿パネルの取付構造を説明するための概略的縦断面図であり、(b)は図7(a)のX−X線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 調湿パネル
1a 前面
10 基材
11 表層材
2 専用枠
20 固定部
21 空間部
3 壁面パネル
30 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調湿性を有する基材を備えた調湿パネルの端部を固定支持する専用枠によって、前記調湿パネルを壁面に取り付ける調湿パネルの取付構造であって、
前記専用枠の前側には、前記調湿パネルを固定支持する固定部が設けられており、該固定部によって固定支持された前記調湿パネルの背面側には、上下にのみ開放され、気流が通じる空間部が構成され、前記壁面との間に空隙が形成されるよう調湿パネルが取り付けられていることを特徴とする調湿パネルの取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
上記基材の前面側には、表層材が設けられていることを特徴とする調湿パネルの取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記空間部の上方或いは下方には、照明具が設けられていることを特徴とする調湿パネルの取付構造。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
前記空間部の上方或いは下方には、ヒーターが設けられていることを特徴とする調湿パネルの取付構造。
【請求項5】
請求項1又は請求項2において、
前記空間部の上方或いは下方には、ファンが設けられていることを特徴とする調湿パネルの取付構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項において、
前記空間部の少なくとも上記気流の上流側には、通気性を備えたフィルターが設けられていることを特徴とする調湿パネルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−31494(P2010−31494A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193035(P2008−193035)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】