調湿装置
【課題】調湿装置のメンテナンス性能を維持し、且つ大型化および複雑化することなく、吸着熱交換器の空気流れを吸着動作時と再生動作時とで逆方向にする。
【解決手段】調湿装置(10)は、空気ユニット(11a)と調湿ユニット(11b)とを備えている。調湿ユニット(11b)は、2つの吸着熱交換器(75,76)が水平に並べて配置されている。さらに、調湿ユニット(11b)は、吸着空気と再生空気の一方を2つの吸着熱交換器(75,76)の上方に導き、他方を2つの吸着熱交換器(75,76)の下方に導くと共に、再生空気が吸着空気とは各吸着熱交換器(75,76)に対して逆方向に流れるように構成されている。
【解決手段】調湿装置(10)は、空気ユニット(11a)と調湿ユニット(11b)とを備えている。調湿ユニット(11b)は、2つの吸着熱交換器(75,76)が水平に並べて配置されている。さらに、調湿ユニット(11b)は、吸着空気と再生空気の一方を2つの吸着熱交換器(75,76)の上方に導き、他方を2つの吸着熱交換器(75,76)の下方に導くと共に、再生空気が吸着空気とは各吸着熱交換器(75,76)に対して逆方向に流れるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関し、特に、吸着熱交換器の配置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの吸着熱交換器が接続された冷媒回路を備え、室外空気や室内空気を調湿し、調湿後の空気を室内へ供給する調湿装置が知られている。特許文献1に、この種の調湿装置を示す。特許文献1の調湿装置では、冷媒回路の冷媒循環方向を可逆に切り換えることで、第1吸着熱交換器が凝縮器として第2吸着熱交換器が蒸発器としてそれぞれ機能する動作と、第1吸着熱交換器が蒸発器として第2吸着熱交換器が凝縮器としてそれぞれ機能する動作とが交互に行われる。したがって、この調湿装置では、冷媒の循環方向が可逆に切り換えられることで、一方の吸着熱交換器で吸着動作が行われ且つ他方の吸着熱交換器で再生動作が行われる状態と、一方の吸着熱交換器で再生動作が行われ且つ他方の吸着熱交換器で吸着動作が行われる状態とが交互に切り換わる。そして、調湿装置では、各吸着熱交換器を通過した空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出することにより、除湿運転または加湿運転が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−92299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような種類の調湿装置では、一の吸着熱交換器における吸着動作の空気の流れと再生動作の空気の流れとが逆方向になるのが好ましい。これは、蒸発器となる吸着熱交換器の出口側の冷媒の過熱度が過剰に高くなったり、パス毎で過熱度の付き方が不均一になってしまうのを防止することができ、上記吸着熱交換器の冷媒潜熱を有効に使うことができるからである。
【0005】
しかしながら、上記調湿装置では、一の吸着熱交換器に対する空気の流れを逆方向にすると、室外吸込口と室内吸込口の位置の何れかを背面側に設ける必要がある。この場合、室外吸込口および室内吸込口にそれぞれ対応して設けられるフィルタの交換などを正面から行うことができなくなるため、調湿装置のメンテナンス性能が低下してしまう。一方で、調湿装置のメンテナンス性能を維持した状態で吸着動作の空気流れと再生動作の空気流れとを逆方向にしようとすると、空気配管などを増やすことになる。つまり、調湿装置のメンテナンス性能を確保しつつ、空気流れを変更しようとすると装置自体の大型化および複雑化を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、調湿装置のメンテナンス性能を維持し、且つ大型化および複雑化することなく、吸着熱交換器の空気流れを吸着動作時と再生動作時とで逆方向にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、室外空間に繋がる室外吸込口(50)および室外排気口(53)と、室内空間に繋がる室内吸込口(52)および室内給気口(51)とが形成された空気ユニット(11a)と、該空気ユニット(11a)の下方に配置される一方、吸着剤を担持する2つの吸着熱交換器(75,76)が設けられた冷媒回路(70)を有し、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気との一方を吸着空気とし、他方を再生空気とし、且つ上記冷媒回路(70)の冷媒循環を可逆に切り換えて上記吸着熱交換器(75,76)の吸着剤の吸着動作と再生動作とを交互に行い、空気の湿度を調節する調湿ユニット(11b)とを備えた調湿装置である。そして、上記空気ユニット(11a)は、室外吸込口(50)と室内吸込口(52)とが前側に配置されている。上記調湿ユニット(11b)は、2つの上記吸着熱交換器(75,76)が水平に並べて配置されている。さらに、上記調湿ユニット(11b)は、上記吸着空気と再生空気の一方を2つの上記吸着熱交換器(75,76)の上方に導き、他方を2つの上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導くと共に、上記再生空気が上記吸着空気とは上記各吸着熱交換器(75,76)に対して逆方向に流れるように構成されている。
【0008】
上記第1の発明では、室外吸込口(50)から空気ユニット(11a)に吸い込まれた空気は、下方の調湿ユニット(11b)に流れる。調湿ユニット(11b)では、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気は、吸着熱交換器(75,76)によって調湿されて室内給気口(51)から室内へ供給される。一方、室内吸込口(52)から空気ユニット(11a)に吸い込まれた空気は、下方の調湿ユニット(11b)に流れる。調湿ユニット(11b)では、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気が吸着熱交換器(75,76)によって調湿されて室外排気口(53)から室外へ排気される。
【0009】
具体的に、調湿ユニット(11b)では、冷媒回路(70)の冷媒循環方向を可逆に切り換えることで、吸着剤の吸着動作と再生動作とが交互に行われる。冷媒回路(70)では、一方の吸着熱交換器(75)が放熱器(凝縮器)として機能し、且つ他方の吸着熱交換器(76)が蒸発器として機能する動作と、一方の吸着熱交換器(75)が蒸発器として機能し、且つ他方の吸着熱交換器(76)が放熱器(凝縮器)として機能する動作とが交互に行われる。
【0010】
例えば吸着動作では、冷媒回路(70)を流れる冷媒によって一方の吸着熱交換器(75,76)の吸着剤が冷却される状態となる。この吸着熱交換器(75,76)を吸着空気が通過すると、空気中の水分がこの吸着熱交換器(75,76)の吸着剤に吸着されると共に、この際に生じる吸着熱が冷媒に吸熱される。その結果、この吸着熱交換器(75,76)によって空気が除湿される。
【0011】
また、再生動作では、冷媒回路(70)を流れる冷媒によって一方の吸着熱交換器(75,76)の吸着剤が加熱される状態となる。この吸着熱交換器(75,76)を再生空気が通過すると、空気中の水分が加熱された吸着剤から水分が脱離し、脱離した水分が空気へ付与される。その結果、吸着熱交換器(75,76)によって空気が加湿される。
【0012】
したがって、この調湿装置では、冷媒の循環方向が可逆に切り換えられることで、一方の吸着熱交換器(75)で吸着動作が行われ且つ他方の吸着熱交換器(76)で再生動作が行われる状態と、一方の吸着熱交換器(75)で再生動作が行われ且つ他方の吸着熱交換器(76)で吸着動作が行われる状態とが交互に切り換わる。
【0013】
ここで、空気ユニット(11a)は、調湿ユニット(11b)の上方に配置されている。この調湿ユニット(11b)では、2つの吸着熱交換器(75,76)が水平に並べて配置されている。空気ユニット(11a)の室外吸込口(50)および室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、下方の調湿ユニット(11b)に流入する。そして、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気、および室内吸込口(52)から吸い込まれた空気の何れか一方は、2つの上記吸着熱交換器(75,76)の上方に導かれる。また、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気、および室内吸込口(52)から吸い込まれた空気の他方は、2つの上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれる。そして、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とは、吸着動作と再生動作との切り換えに対応して各吸着熱交換器(75,76)を上下に逆方向に流れる。
【0014】
例えば、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が吸着空気として吸着動作が行われる一の吸着熱交換器(75)を上方から流れた場合、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、再生空気として再生動作が行われる他の一の吸着熱交換器(76)を下方から流れる。一方、各吸着熱交換器(75,76)の吸着動作と再生動作とが切り換わると、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が吸着空気として吸着動作が行われる他の一の吸着熱交換器(76)を上方から流れ、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、再生空気として再生動作が行われる一の吸着熱交換器(75)を下方から流れる。こうすることで、調湿ユニット(11b)では、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とが各吸着熱交換器(75,76)の吸着動作と再生動作との切り換えに対応して各吸着熱交換器(75,76)を上下に逆方向に流れる。
【0015】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記調湿ユニット(11b)は、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)に上方から供給されるように構成される一方、上記調湿ユニット(11b)は、上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路(25)を備え、該空気が上記吸着熱交換器(75,76)に下方から供給されるように構成されている。
【0016】
上記第2の発明では、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が吸着熱交換器(75,76)の上方から供給される。一方、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、空気通路(25)によって吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれる。吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれた空気は、吸着熱交換器(75,76)の下方から供給される。こうすることで、各吸着熱交換器(75,76)では、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とが上下に逆方向に流れる。
【0017】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記調湿ユニット(11b)は、上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)に上方から供給されるように構成される一方、上記調湿ユニット(11b)は、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路を備え、該空気が上記吸着熱交換器(75,76)に下方から供給されるように構成されている。
【0018】
上記第3の発明では、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気が吸着熱交換器(75,76)の上方から供給される。一方、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気は、空気通路によって吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれる。吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれた空気は、吸着熱交換器(75,76)の下方から供給される。こうすることで、各吸着熱交換器(75,76)では、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気と、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気とが上下に逆方向に流れる。
【0019】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明の何れか1つにおいて、上記室外吸込口(50)と室外排気口(53)と室内吸込口(52)と室内給気口(51)とは、上記空気ユニット(11a)の上面に形成されている。
【0020】
上記第4の発明では、室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)の上面に形成したため、調湿装置が設置される部屋の天井へ延びるダクトを室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)に接続し易くなる。
【発明の効果】
【0021】
上記第1の発明では、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置し、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とが各吸着熱交換器(75,76)の吸着動作と再生動作との切り換えに対応して各吸着熱交換器(75,76)を上下に逆方向に流れるようにした。
【0022】
従来の調湿装置では、2つの吸着熱交換器が上下に並んで配置されていたため、室外吸込口および室内吸込口から吸い込まれた空気の通路をそれぞれ上下に分岐し、その後、何れか一方の空気の通路をさらに前後方向に分岐することで吸着動作時と再生動作時との空気流れが逆になるようにする必要があった。このため、これらの空気を流すための空気通路が増えて調湿装置が大型化していた。しかしながら、第1の発明では、上方又は下方から吸着熱交換器(75,76)に空気を供給するようにすることができる。このため、簡易的に吸着動作時と再生動作時との空気流れを逆にすることができる。この結果、調湿装置のメンテナンス性能を維持し、且つ調湿装置を大型化および複雑化することなく、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気の流れを吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0023】
また、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置したため、ドレンパンを1つにすることができる。つまり、従来の調湿装置では、2つの吸着熱交換器が上下に並んで配置されていたため、それぞれの吸着熱交換器に対応したドレンパンを設ける必要があった。しかしながら、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置したため、1つのドレンパンによって2つの吸着熱交換器(75,76)から結露した水分などを貯留することができる。これによって、ドレンパンを削減することができる。
【0024】
上記第2の発明によれば、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の上方から供給する一方、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の下方から供給するようにしたため、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気を吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0025】
上記第3の発明によれば、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の上方から供給する一方、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の下方から供給するようにしたため、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気を吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0026】
上記第4の発明によれば、室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)の上面に形成したため、調湿装置が設置される部屋の天井へ延びるダクトを室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)に接続し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る調湿装置の概略構成図である。
【図2】実施形態に係るケーシングの内部構造を示す概略の斜視図である。
【図3】実施形態に係る調湿装置の概略構成図であり、図3(A)は上面図を示し、図3(B)は図3(A)のW−W矢視図を示し、図3(C)は図3(A)のX−X矢視図を示し、図3(D)は図3(A)のY−Y矢視図を示し、図3(E)は図3(A)のZ−Z矢視図を示している。
【図4】実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図5】実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図6】実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図7】実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図8】実施形態に吸着熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図9】実施形態に係る調湿装置の冷媒回路を示す配管系統図である。
【図10】実施形態に係る調湿装置の室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
【図11】実施形態に係る調湿装置の室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1〜図3に示すように、本発明の実施形態に係る調湿装置(10)は、室内の床面に設置されて室内の湿度調節を行う床置き型の調湿装置である。調湿装置(10)は、例えば衣服等が収納されるクローゼットの収納空間などに設置可能に構成されている。
【0030】
上記調湿装置(10)は、縦長の直方体状に形成されたケーシング(11)を備えている。尚、以下の説明における上下方向および左右方向は、図1のケーシング(11)の前面側から視たそれぞれの方向をいうものとする。上記ケーシング(11)は、上方から空気ユニット(11a)と調湿ユニット(11b)とで構成されている。
【0031】
上記ケーシング(11)は、その前面を覆うと共に、ケーシング(11)に対して着脱自在に取り付けられる前面カバー(12)を備え、後面側に背面板(15)とが取り付けられている。
【0032】
上記ケーシング(11)には、上端部に天板(16)が、下端部に底板(17)がそれぞれ取り付けられている。ケーシング(11)には、右端部に右側面板(13)が左端部に左側面板(14)がそれぞれ取り付けられている。
【0033】
上記天板(16)には、4つのダクト接続口(50〜53)が形成されている。これらのダクト接続口(50〜53)は、天板(16)の4隅に対応するように互いに隣り合って形成されている。具体的には、4つのダクト接続口(50〜53)は、天板(16)の前方左側寄りに形成される室外吸込口(50)と、天板(16)の後方右寄りに形成される室内給気口(51)と、天板(16)の前方右寄りに形成される室内吸込口(52)と、天板(16)の後方左寄りに形成される室外排気口(53)とで構成されている。つまり、ケーシング(11)の上面には、室外吸込口(50)と室内給気口(51)と室内吸込口(52)と室外排気口(53)とが集約されて形成されている。さらに、上記室外吸込口(50)と室内吸込口(52)とは、前側(正面側)に設けられている。
【0034】
各ダクト接続口(50〜53)には、それぞれ空気が流通可能なダクト(図示なし)が取り付けられている。各ダクトは、室内の天井側に向かって上方に延び、天井裏を伝って所定の空間まで配設されている。これらのダクトを介して室外吸込口(50)および室外排気口(53)は室外空間と繋がり、室内吸込口および室内給気口(51)は室内空間と繋がっている。また、上記室外吸込口(50)は、フィルタユニット(54)を介してダクトに接続されている。フィルタユニット(54)は、室外吸込口(50)の上部に設けられ、外気フィルタ(56)を収容している。つまり、ダクトを流れる室外空気は、フィルタユニット(54)の内部を流れ、外気フィルタ(56)を通過した後、室外吸込口(50)からケーシング(11)内に取り込まれる。そして、室外吸込口(50)は、室外空気(OA)をケーシング(11)の内部に導入するための開口を形成し、室内吸込口(52)は、室内空気(RA)をケーシング(11)の内部に導入するための開口を形成している。また、室外排気口(53)は、ケーシング(11)内の空気を排出空気(EA)として室外へ排出するための開口を構成し、室内給気口(51)は、ケーシング(11)内の空気を供給空気(SA)として室内へ供給するための開口を構成している。
【0035】
上記前面カバー(12)は、ケーシング(11)の前側の開放部を覆うようにケーシング(11)に取り付けられ、取り外し可能に構成されている。前面カバー(12)には、調湿装置(10)の利用者などが調湿装置(10)の運転を切り換えるための操作スイッチ(図示なし)が設けられている。また、前面カバー(12)の上部には、フィルタ(55,56)の取り出しおよび取り付けを行う開口部と、この開口部を開閉可能な開閉蓋とが設けられている。開閉蓋は、前面カバー(12)に対して着脱自在に構成されている。つまり、調湿装置(10)は、ケーシング(11)の前面側からフィルタ(55,56)の取り出しおよび取り付けなどのメンテナンスを行うものである。
【0036】
上記ケーシング(11)は、その内部に直方体状の空間が形成されている。ケーシング(11)の内部には、上部仕切板(20)と下部仕切板(21)とが上下に並んで設けられている。上部仕切板(20)および下部仕切板(21)は、矩形状の板材に形成され、ケーシング(11)の内部で水平な状態で支持されている。上記空気ユニット(11a)は、ケーシング(11)において、上部仕切板(20)より上側の部分によって構成されている。また、調湿ユニット(11b)は、ケーシング(11)において上部仕切板(20)より下側の部分によって構成されている。
【0037】
下部仕切板(21)と底板(17)との間には、扁平な直方体状の機械室(60)が区画されている。機械室(60)には、後述する冷媒回路(70)に接続される圧縮機(72)、四路切換弁(73)および制御基板(61)などが収納されている。圧縮機(72)は、縦置き型の圧縮機に構成され、ケーシング(11)の底板(17)に据え付けられている。圧縮機(72)は、例えばスクロール型又はロータリ型の圧縮機構を有して構成されている。
【0038】
また、下部仕切板(21)の上面には、各吸着熱交換器(75,76)で結露した水分を貯留するドレンパン(102)が設けられている。このドレンパン(102)は、後述する第1調湿室(27)および第2調湿室(28)に跨って形成されている。
【0039】
上記上部仕切板(20)と天板(16)との間には、扁平な直方体状の空間が区画されている。この空間には、縦仕切板(18)と横仕切板(19)とが設けられている。縦仕切板(18)は、長辺が前後方向に延びる板状に形成され、横仕切板(19)は、長辺が左右方向に延びる鉛直な状態でケーシング(11)に支持されている。縦仕切板(18)および横仕切板(19)は、上部仕切板(20)と天板(16)との間の空間を4つの部屋(45,46,47,48)に区画している。これらの4つの部屋は、第1〜第4部屋(45,46,47,48)で構成されている。上記第1室(45)は、ケーシング(11)の前方左寄りに形成され、第2室(46)は、ケーシング(11)の前方右寄りに形成されている。また、第3室(47)は、ケーシング(11)の後方右側寄りに形成され、第4室(48)は、ケーシング(11)の後方左側寄りに形成されている。
【0040】
上記縦仕切板(18)は、図3〜図7に示すように、上記第1室(45)と第2室(46)とを仕切る部分のやや後方寄りに第1開口(41)が形成され、第3室(47)と第4室(48)とを仕切る部分のやや前方寄りに第4開口(44)が形成されている。この第1開口(41)は、第1室(45)と第2室(46)とを繋ぐものであり、第4開口(44)は、第3室(47)と第4室(48)とを繋ぐものである。
【0041】
上記上部仕切板(20)には、図3〜図7に示すように、第1、第2、第7および第8流通口(31,32,37,38)と、第2および第3開口(42,43)が形成されている。第1流通口(31)は、上部仕切板(20)における第1室(45)に臨む部位に形成されている。第2開口(42)は、上部仕切板(20)における第2室(46)に臨む部位の前方側に形成されている。第2流通口(32)は、上部仕切板(20)における第2室(46)に臨む部位の後方側に形成されている。第7流通口(37)は、上部仕切板(20)における第3室(47)に臨む部位の前方側に形成されている。第3開口(43)は、上部仕切板(20)における第3室(47)に臨む部位の後方側に形成されている。第8流通口(38)は、上部仕切板(20)における第4室(48)に臨む部位に形成されている。
【0042】
上記第1室(45)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間に、取付板(29)によって取り付けられた補助熱交換器(94)が配置されている。上記取付板(29)は、前後に跨る略長方形の矩形状に形成された枠体である。取付板(29)は、第1室(45)内において斜めの状態で配置され、その下側に補助熱交換器(94)が嵌め込まれている。また、取付板(29)の側面部には、レヒート冷媒配管(85a)を補助熱交換器(94)の空気の下流側に導くための管連通部(30)が形成されている。管連通部(30)は、取付板(29)の一側面部に沿って延びる開口である。レヒート冷媒配管(85a)は、管連通部(30)を介して補助熱交換器(94)の伝熱管と接続されている。
【0043】
上記補助熱交換器(94)は、室外吸込口(50)から吸い込んだ室外の空気を予備加熱するものである。補助熱交換器(94)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。補助熱交換器(94)は、銅製の伝熱管とアルミニウム製のフィンとを備えている。補助熱交換器(94)は、矩形の枠体に形成された取付板(29)に嵌め込まれている。つまり、第1室(45)の内部は、補助熱交換器(94)および取付板(29)によって空気の上流側と下流側とに仕切られている。尚、本実施形態の補助熱交換器(94)はクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されているが、これに限定される必要はなく、例えば、プレート型の熱交換器やシェル・アンド・チューブ熱交換器で構成されていもよい。
【0044】
図2に示すように、上記第1室(45)では、取付板(29)および補助熱交換器(94)の空気の下流側には、レヒート冷媒配管(85a)、第1電動弁(95)、バイパス管(97)、および第2電動弁(98)が配置されている。
【0045】
上記第2室(46)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間の下側寄りに外気通路カバー(62)が配置されている。外気通路カバー(62)は、第1開口(41)と第2流通口(32)とに両方連通する空間を形成するものである。外気通路カバー(62)は、第1開口(41)および第2流通口(32)と、第2開口(42)とを仕切るように第2室(46)に設けられている。
【0046】
また、第2室(46)内の第2流通口(32)には、内気フィルタ(55)が設けられている。内気フィルタ(55)は、室内吸込口(52)の下側に配設されている。内気フィルタ(55)は、板状、あるいはシート状に形成され、第2流通口(32)を覆うように取り付けられている。この内気フィルタ(55)は、第2室(46)において前後方向に進退自在に構成されている。
【0047】
上記第3室(47)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間の下側寄りに排気通路カバー(63)が配置されている。排気通路カバー(63)は、第4開口(44)と第7流通口(37)との両方に連通する空間を形成するものである。排気通路カバー(63)は、第4開口(44)および第7流通口(37)と、第3開口(43)とを仕切るように第3室(47)に設けられている。
【0048】
また、第3室(47)には上記排気通路カバー(63)の上部に給気ファン(57)が設けられ、第4室(48)には排気ファン(58)が設けられている。これらのファン(57,58)は、それぞれ遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)で構成されている。給気ファン(57)は、第3開口(43)から誘引した空気を室内給気口(51)に向かって送風する。排気ファン(58)は、第7流通口(37)又は第8流通口(38)から誘引した空気を室外排気口(53)に向かって排気する。
【0049】
下部仕切板(21)と上部仕切板(20)との間には、直方体状の空間が区画されている。この空間には、前側仕切板(23)と後側仕切板(24)とが設けられている。前側仕切板(23)および後側仕切板(24)は、下部仕切板(21)から上部仕切板(20)に亘って形成され、ケーシング(11)の左右の側面板(13,14)と平行に鉛直な状態でケーシング(11)に支持されている。そして、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)は、下部仕切板(21)および上部仕切板(20)の間の空間を3つの空間に仕切っている。
【0050】
上記前側仕切板(23)には、第3および第4流通口(33,34)が形成されている。第3流通口(33)は、前側仕切板(23)の下部の左側寄りに形成され、第1吸着熱交換器(75)に対応している。第4流通口(34)は、前側仕切板(23)の下部の右側寄りに形成され、第2吸着熱交換器(76)に対応している。
【0051】
上記後側仕切板(24)には、第5および第6流通口(35,36)が形成されている。第5流通口(35)は、後側仕切板(24)の下部の左側寄りに形成されている。第5流通口(35)は、第1吸着熱交換器(75)に対応している。第6流通口(36)は、後側仕切板(24)の下部の右側寄りに形成されている。第6流通口(36)は、第2吸着熱交換器(76)に対応している。
【0052】
上記3つの空間のうち、前側寄りの空間は第1中間通路(25)を構成している。第1中間通路(25)は、前側仕切板(23)とケーシング(11)の前面カバー(12)との間に形成され、本発明に係る空気通路を構成している。また、3つの空間のうち、後側寄りの空間は第2中間通路(26)を構成している。第2中間通路(26)は、後側仕切板(24)とケーシング(11)の背面板(15)との間に形成されている。
【0053】
上記第1中間通路(25)は、その上端が第2開口(42)と連通し、その下端が下部仕切板(21)によって閉塞されている。また、第2中間通路(26)は、その上端が第3開口(43)と連通し、その下端が下部仕切板(21)によって閉塞されている。
【0054】
上記3つの空間のうちの中央の空間は、中央仕切板(22)によって左右に区画されている。そして、左右の空間のうち、左側の空間が第1調湿室(27)を構成し、右側の空間が第2調湿室(28)を構成している。つまり、第1調湿室(27)と第2調湿室(28)とは、中央仕切板(22)を挟んで互いに隣り合うように左右に並んで形成されている。
【0055】
第1調湿室(27)には、第1吸着熱交換器(75)が収納され、第2調湿室(28)には、第2吸着熱交換器(76)が収納されている。各吸着熱交換器(75,76)は、それぞれの調湿室(27,28)において水平となる状態で配置されている。第1吸着熱交換器(75)および第2吸着熱交換器(76)は、後述する冷媒回路(70)に直列に接続されている。つまり、上記各吸着熱交換器(75,76)は、上記補助熱交換器(94)の空気の下流側に配置されている。
【0056】
上記各吸着熱交換器(75,76)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。これら吸着熱交換器(75,76)は、図8に示すように、銅製の伝熱管(77)とアルミニウム製のフィン(78)とを備えている。吸着熱交換器(75,76)に設けられた複数のフィン(78)は、それぞれが長方形状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(77)は、フィン(78)の配列方向に蛇行する形状となっている。つまり、この伝熱管(77)では、各フィン(78)を貫通する直管部と、隣り合った直管部同士を接続するU字管部とが交互に構成されている。
【0057】
上記各吸着熱交換器(75,76)では、各フィン(78)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(78)の間を通過する空気がフィン(78)に担持された吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水分に対して所定の吸脱着性能を有するものが用いられている。
【0058】
尚、本実施形態の吸着熱交換器(75,76)はクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されているが、これに限定される必要はなく、例えば、プレート型の熱交換器やシェル・アンド・チューブ熱交換器で構成されていもよい。
【0059】
上述したように、上部仕切板(20)には、第1、第2、第7および第8流通口(31,32,37,38)と、第2および第3開口(42,43)が形成されている。第1流通口(31)は、第1室(45)と第1調湿室(27)とを連通させ、第2流通口(32)は、第1開口(41)を介して第2調湿室(28)と第1室(45)とを連通させ、第7流通口(37)は、第4開口(44)を介して第2調湿室(28)と第4室(48)とを連通させ、第8流通口(38)は、第1調湿室(27)と第4室(48)とを連通させている。尚、上述したように、第1開口(41)は、第1室(45)と第2室(46)とを繋ぎ、第4開口(44)は、第3室(47)と第4室(48)とを繋いでいる。
【0060】
図3〜図7に示すように、前側仕切板(23)には、第3および第4流通口(33,34)が形成されている。第3流通口(33)は、第1中間通路(25)と第1調湿室(27)とを連通させ、第4流通口(34)は、第1中間通路(25)と第2調湿室(28)とを連通させている。
【0061】
また、後側仕切板(24)には、第5および第6流通口(35,36)が形成されている。第5流通口(35)は、第2中間通路(26)と第1調湿室(27)とを連通させ、第6流通口(36)は、第2中間通路(26)と第2調湿室(28)とを連通させている。
【0062】
上記上部仕切板(20)、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)には、対応する流通口(31〜38)を開閉自在とするダンパが設けられている。具体的に、上部仕切板(20)には、第1流通口(31)を断続する第1ダンパ(D1)と、第2流通口(32)を断続する第2ダンパ(D2)と、第7流通口(37)を断続する第7ダンパ(D7)と、第8流通口(38)を断続する第8ダンパ(D8)とが設けられている。また、前側仕切板(23)には、第3流通口(33)を断続する第3ダンパ(D3)と、第4流通口(34)を断続する第4ダンパ(D4)が設けられている。さらに、後側仕切板(24)には、第5流通口(35)を断続する第5ダンパ(D5)と、第6流通口(36)を断続する第6ダンパ(D6)とが設けられている。
【0063】
各ダンパ(D1〜D8)は、例えば2枚のシャッタと、水平軸を支点として各シャッタを回転させるモータとを有している。即ち、各ダンパ(D1〜D8)では、モータの回転により2枚のシャッタが変位して対応する流通口(31〜38)を開放状態と閉鎖状態とに切り換わる。
【0064】
−冷媒回路の構成−
調湿装置(10)に搭載される冷媒回路(70)について図9を参照しながら説明する。冷媒回路(70)は、主回路(71)とバイパス回路(96)とで構成されている。
【0065】
上記主回路(71)は、第1吸着熱交換器(75)、第2吸着熱交換器(76)、圧縮機(72)、四路切換弁(73)、ブリッジ回路(88)、補助熱交換器(94)および第1電動弁(95)が互いに冷媒配管(85)によって接続された閉回路である。主回路(71)は、冷媒配管(85)の内部を冷媒が循環されることによって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。上記冷媒配管(85)のうち、補助熱交換器(94)と連通する冷媒配管(85)は、レヒート冷媒配管(85a)に構成されている。レヒート冷媒配管(85a)は、第1室(45)内において、補助熱交換器(94)の空気の下流側に配置されている。このため、室外空気が低温の場合であっても、レヒート冷媒配管(85a)の周囲には、補助熱交換器(94)で予め加熱された空気が流れることになる。
【0066】
上記圧縮機(72)は、その吐出側が四路切換弁(73)の第1ポートに、その吸入側がアキュームレータ(79)を介して四路切換弁(73)の第2ポートにそれぞれ接続されている。圧縮機(72)の吐出側と上記第1ポートを繋ぐ高圧ライン(86)には、圧縮機(72)の吐出側の冷媒の温度を検知する吐出温度センサ(80)と、圧縮機(72)の吐出側の冷媒の圧力を検知する吐出圧力センサ(81)と、圧縮機(72)の吐出圧が所定圧力よりも高圧となった場合に圧縮機(72)の運転を自動停止させる高圧遮断スイッチ(82)とが設けられている。また、圧縮機(72)の吸入側と上記第2ポートを繋ぐ低圧ライン(87)には、サーミスタ(101)と、圧縮機(72)の吸入側の冷媒の温度を検知する吸入温度センサ(83)と、圧縮機(72)の吸入側の冷媒の圧力を検知する吸入圧力センサ(84)とが設けられている。
【0067】
上記四路切換弁(73)は、第1のポートと第4のポートとが連通して第2のポートと第3のポートとが連通する第1状態と、第1のポートと第3のポートとが連通して第2のポートと第4のポートとが連通する第2状態とに切り換え可能となっている。
【0068】
また、第1吸着熱交換器(75)と、フィルタ(100)と、ブリッジ回路(88)と、補助熱交換器(94)と、第1電動弁(95)と、ストレーナ(99)と、第2吸着熱交換器(76)とが四路切換弁(73)の第3ポートから第4ポートへ向かって順に接続されている。
【0069】
上記ブリッジ回路(88)は、四路切換弁(73)の切り換え状態(第1状態または第2状態)によって、可逆の何れの方向に循環する冷媒も第1電動弁(95)に対して同一方向に通過させるよう冷媒の流れを制御するものである。
【0070】
このブリッジ回路(88)は、第1吸着熱交換器(75)と第2吸着熱交換器(76)との間の液ラインに配置されている。ブリッジ回路(88)は、ブリッジ状に接続された第1から第4までの配管(89,90,91,92)と、各配管(89,90,91,92)にそれぞれ設けられた第1から第4までの逆止弁(89a,90a,91a,92a)と、第1配管(89)および第3配管(91)の流出側と第2配管(90)および第4配管(92)の流入側とを繋ぐ一方向通路(93)とで構成されている。この一方向通路(93)は、主回路(71)を流れる冷媒のうち、両吸着熱交換器(75,76)で凝縮された冷媒が一方向に流れる冷媒通路であって、冷媒配管(85)の一部である。
【0071】
第1配管(89)の流入側および第2配管(90)の流出側は、第2吸着熱交換器(76)と接続されている。一方、第3配管(91)の流入側および第4配管(92)の流出側は、第1吸着熱交換器(75)と接続されている。また、第2配管(90)および第4配管(92)の流入側は、補助熱交換器(94)の流出側に接続されている。一方、第1配管(89)および第3配管(91)の流出側は、補助熱交換器(94)の流入側に接続されている。
【0072】
上記補助熱交換器(94)は、冷媒配管(85)を流れる気液二相の冷媒を凝縮(放熱)させて過冷却させるためのものである。補助熱交換器(94)には、ブリッジ回路(88)から流出した冷媒が流入する一方、室外吸込口(50)から取り込んだ室外空気(OA)が通過する。つまり、補助熱交換器(94)は、両吸着熱交換器(75,76)を流出した気液二相の冷媒によって通過する室外空気を加熱するよう構成されている。
【0073】
上記第1電動弁(95)は、補助熱交換器(94)を流出した冷媒を膨張させる膨張弁を構成するものである。第1電動弁(95)は、補助熱交換器(94)の冷媒の下流側に設けられ、該補助熱交換器(94)を流出した冷媒を膨張させて減圧する。
【0074】
上記バイパス回路(96)は、各吸着熱交換器(75,76)を流出した冷媒が流れて補助熱交換器(94)および第1電動弁(95)をバイパスするものである。バイパス回路(96)は、第2電動弁(98)がバイパス管(97)によって接続された回路である。
【0075】
上記バイパス管(97)は、ブリッジ回路(88)の一方向通路(93)を流れる冷媒を流すものである。バイパス管(97)は、その内部を冷媒が循環する管状に形成され、その一端がブリッジ回路(88)の第1配管(89)および第3配管(91)の流出側と補助熱交換器(94)との間に接続される一方、その他端がブリッジ回路(88)の第2配管(90)および第4配管(92)の流入側と第1電動弁(95)との間に接続されている。上記バイパス管(97)は、その途中に第2電動弁(98)が接続されている。
【0076】
上記第2電動弁(98)は、バイパス回路(96)を循環する冷媒を膨張させる膨張弁を構成している。第2電動弁(98)は、バイパス管(97)の途中に設けられている。そして、バイパス管(97)を流れる冷媒は、第2電動弁(98)で膨張した後、第2配管(90)および第4配管(92)に流入する。
【0077】
−運転動作−
上記実施形態の調湿装置(10)は、「除湿換気運転」と「加湿換気運転」とを選択的に行う。「除湿換気運転」と「加湿換気運転」では、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調整してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。以下には、これらの運転について詳細に説明する。
【0078】
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0079】
除湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(57)を運転すると、室外空気が室外吸込口(50)からケーシング(11)の内へ第1空気(吸着空気)として取り込まれる。また、排気ファン(58)を運転すると、室内空気が室内吸込口(52)からケーシング(11)内へ第2空気(再生空気)として取り込まれる。尚、通常の運転では、第1電動弁(95)が閉状態に設定され、第2電動弁(98)が制御用の弁として使用される。
【0080】
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図4および図5に示すように、この第1動作中には、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が開状態となり、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が閉状態となる。
【0081】
第1動作中の冷媒回路(70)では、図9に実線で示すように、四路切換弁(73)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(70)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(76)、ブリッジ回路(88)、バイパス管(97)、第2電動弁(98)、第1吸着熱交換器(75)の順に通過し、第2吸着熱交換器(76)が凝縮器となって、第1吸着熱交換器(75)が蒸発器となる。
【0082】
図4、図5、図10および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。外気フィルタ(56)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1流通口(31)を流れて第1調湿室(27)へ流入する。この第1空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(75)で除湿された第1空気は、第5流通口(35)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上右方に流れて第3開口(43)から第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0083】
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過する。内気フィルタ(55)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(55)を通過した第2空気は、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第4流通口(34)より第2調湿室(28)へ流入する。この第2空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第2吸着熱交換器(76)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第7流通口(37)から第3室(47)内に流入し、第4開口(44)を通過して第4室(48)内に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0084】
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図6および図7に示すように、この第2動作中には、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が開状態となり、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が閉状態となる。
【0085】
第2動作中の冷媒回路(70)では、図9に破線で示すように、四路切換弁(73)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(70)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(75)、ブリッジ回路(88)、バイパス管(97)、第2電動弁(98)、第2吸着熱交換器(76)の順に通過し、第1吸着熱交換器(75)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(76)が蒸発器となる。
【0086】
図6、図7、図10および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。外気フィルタ(56)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1開口(41)を通過して第2室(46)内へ流れ、第2流通口(32)を流れて第2調湿室(28)へ流入する。この第1空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(76)で除湿された第1空気は、第6流通口(36)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上方に流れて第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0087】
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過する。内気フィルタ(55)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(55)を通過した第2空気は、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第3流通口(33)より第1調湿室(27)へ流入する。この第2空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第1吸着熱交換器(75)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第8流通口(38)から第4室(48)内に流入に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0088】
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0089】
加湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(57)を運転すると、室外空気が室外吸込口(50)からケーシング(11)の内へ第1空気(再生空気)として取り込まれる。また、排気ファン(58)を運転すると、室内空気が室内吸込口(52)からケーシング(11)内へ第2空気(吸着空気)として取り込まれる。尚、通常の運転では、第1電動弁(95)が制御用の弁として使用され、第2電動弁(98)が閉状態に設定される。
【0090】
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図4および図5に示すように、この第1動作中には、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が開状態となり、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が閉状態となる。また、第1動作中の冷媒回路(70)では、第1吸着熱交換器(75)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(76)が蒸発器となる。
【0091】
図4、図5、図10、および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1流通口(31)を流れて第1調湿室(27)へ流入する。この第1空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。第1吸着熱交換器(75)で加湿された第1空気は、第5流通口(35)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上右方に流れて第3開口(43)から第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0092】
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過し、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第4流通口(34)より第2調湿室(28)へ流入する。この第2空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(76)で除湿された第2空気は、第7流通口(37)から第3室(47)内に流入し、第4開口(44)を通過して第4室(48)内に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0093】
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図6および図7に示すように、この第2動作中には、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が開状態となり、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が閉状態となる。また、第2動作中の冷媒回路(70)では、第1吸着熱交換器(75)が蒸発器となって、第2吸着熱交換器(76)が凝縮器となる。
【0094】
図6、図7、図10、および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1開口(41)を通過して第2室(46)内へ流れ、第2流通口(32)を流れて第2調湿室(28)へ流入する。この第1空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。第2吸着熱交換器(76)で加湿された第1空気は、第6流通口(36)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上方に流れて第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0095】
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過し、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第3流通口(33)より第1調湿室(27)へ流入する。この第2空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸着される。第1吸着熱交換器(75)で除湿された第2空気は、第8流通口(38)から第4室(48)内に流入に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0096】
〈冬季、又は室外温度が低温の場合の運転動作〉
次に、冬季、又は室外温度が低温となった場合における除湿換気運転、又は加湿換気運転について説明する。冬季で外気温度の低い(例えば氷点下5℃以下)環境では、コントローラ等により、第1電動弁(95)が開状態に設定され、第2電動弁(98)が閉状態に設定される。
【0097】
まず、図9の実線で示すように、第1状態における冷媒回路(70)について説明する。この状態の冷媒回路(70)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が、第2吸着熱交換器(76)に流れ、周囲の空気との間で熱交換が行われる。そして、第2吸着熱交換器(76)を流出した冷媒は、ブリッジ回路(88)を経て補助熱交換器(94)に流入する。補助熱交換器(94)では、室外吸込口(50)から第1室(45)内に吸い込まれた空気と、第2吸着熱交換器(76)を流出した気液二相の冷媒との間で熱交換が行われる。そして、第1室(45)内に取り込まれた室外空気が加熱される。補助熱交換器(94)を流出した冷媒は、第1電動弁(95)、ブリッジ回路(88)、第1吸着熱交換器(75)の順に通過し、第1吸着熱交換器(75)において蒸発する。
【0098】
次に、図9の破線で示すように、第2状態における冷媒回路(70)について説明する。この状態の冷媒回路(70)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(75)に流れ、周囲の空気との間で熱交換が行われる。そして、第1吸着熱交換器(75)を流出した冷媒は、ブリッジ回路(88)を経て補助熱交換器(94)に流入する。補助熱交換器(94)では、室外吸込口(50)から第1室(45)内に吸い込まれた空気と、第1吸着熱交換器(75)を流出した気液二相の冷媒との間で熱交換が行われる。そして、第1室(45)内に取り込まれた室外空気が加熱される。補助熱交換器(94)を流出した冷媒は、第1電動弁(95)、ブリッジ回路(88)、第2吸着熱交換器(76)の順に通過し、第2吸着熱交換器(76)において蒸発する。
【0099】
−実施形態の効果−
上記実施形態では、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置し、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とが各吸着熱交換器(75,76)の吸着動作と再生動作との切り換えに対応して各吸着熱交換器(75,76)を上下に逆方向に流れるようにした。
【0100】
従来の調湿装置では、2つの吸着熱交換器が上下に並んで配置されていたため、室外吸込口および室内吸込口から吸い込まれた空気の通路をそれぞれ上下に分岐し、その後、何れか一方の空気の通路をさらに前後方向に分岐することで吸着動作時と再生動作時との空気流れが逆になるようにする必要があった。このため、これらの空気を流すための空気通路が増えて調湿装置が大型化していた。しかしながら、本実施形態では、上方又は下方から吸着熱交換器(75,76)に空気を供給するようにすることができる。このため、簡易的に吸着動作時と再生動作時との空気流れを逆にすることができる。この結果、調湿装置(10)のメンテナンス性能を維持し、且つ調湿装置(10)を大型化および複雑化することなく、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気の流れを吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。尚、蒸発器となる吸着熱交換器(75,76)では出口側の冷媒の温度が高くなる。そして、この吸着熱交換器(75,76)を流れる空気が吸着動作時と再生動作時とで同じ方向に流れると、蒸発器となる場合に吸着熱交換器(75,76)の出口側の冷媒の過熱度が過剰に高くなったり、パス毎で過熱度の付き方が不均一になってしまう。しかしながら、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気が吸着動作時と再生動作時とで逆方向に流れると、蒸発器となる吸着熱交換器(75,76)の出口側の冷媒の過熱度が過剰に高くなったり、パス毎で過熱度の付き方が不均一となるのを防止することができる。これにより、蒸発器となる吸着熱交換器(75,76)の性能を十分に使い切ることができる。この結果、上記吸着熱交換器(75,76)の冷媒潜熱を有効に使うことができる。
【0101】
また、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置したため、ドレンパン(102)を1つにすることができる。つまり、従来の調湿装置では、2つの吸着熱交換器が上下に並んで配置されていたため、それぞれの吸着熱交換器に対応したドレンパンを設ける必要があった。しかしながら、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置したため、1つのドレンパン(102)によって2つの吸着熱交換器(75,76)から結露した水分などを貯留することができる。これにより、従来よりもドランパンの数を削減することができる。
【0102】
また、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の上方から供給する一方、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の下方から供給するようにしたため、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気を吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0103】
また、室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)の上面(すなわち、天板(16))に形成したため、調湿装置が設置される部屋の天井へ延びるダクトを室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)に接続し易くすることができる。
【0104】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0105】
上記実施形態では、吸着剤としては、ゼオライトやシリカゲル等の主に水蒸気の吸着を行う材料と用いたが、本発明はこれに限られず、水蒸気の吸着と吸収の両方を行う材料(いわゆる収着剤)を用いてもよい。
【0106】
具体的には、本発明のその他の実施形態の吸着剤は、吸湿性を有する有機高分子材料が吸着剤として用いられている。吸着剤として用いられる有機高分子材料では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
【0107】
本形態の吸着剤は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
【0108】
このように、本実施形態の吸着剤では、水蒸気が吸着剤に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤には、水蒸気が収着される。また、この収着剤に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
【0109】
また、この吸着剤は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤の体積が減少する。
【0110】
また、上記実施形態では、第1中間通路(25)を設けて、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を第1および第2吸着熱交換器(75,76)の下方に導くようにしたが、本発明はこれに限られず、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を第1および第2吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路を設けるようにしてもよい。この場合は、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、上方から第1および第2吸着熱交換器(75,76)に供給される。
【0111】
本形態によれば、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の上方から供給する一方、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の下方から供給するようにしたため、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気を吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0112】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、本発明は、調湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0114】
11a 空気ユニット
11b 調湿ユニット
50 室外吸込口
51 室内給気気口
52 室内吸込口
53 室外排気口
70 冷媒回路
75 第1吸着熱交換器
76 第2吸着熱交換器
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関し、特に、吸着熱交換器の配置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの吸着熱交換器が接続された冷媒回路を備え、室外空気や室内空気を調湿し、調湿後の空気を室内へ供給する調湿装置が知られている。特許文献1に、この種の調湿装置を示す。特許文献1の調湿装置では、冷媒回路の冷媒循環方向を可逆に切り換えることで、第1吸着熱交換器が凝縮器として第2吸着熱交換器が蒸発器としてそれぞれ機能する動作と、第1吸着熱交換器が蒸発器として第2吸着熱交換器が凝縮器としてそれぞれ機能する動作とが交互に行われる。したがって、この調湿装置では、冷媒の循環方向が可逆に切り換えられることで、一方の吸着熱交換器で吸着動作が行われ且つ他方の吸着熱交換器で再生動作が行われる状態と、一方の吸着熱交換器で再生動作が行われ且つ他方の吸着熱交換器で吸着動作が行われる状態とが交互に切り換わる。そして、調湿装置では、各吸着熱交換器を通過した空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出することにより、除湿運転または加湿運転が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−92299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような種類の調湿装置では、一の吸着熱交換器における吸着動作の空気の流れと再生動作の空気の流れとが逆方向になるのが好ましい。これは、蒸発器となる吸着熱交換器の出口側の冷媒の過熱度が過剰に高くなったり、パス毎で過熱度の付き方が不均一になってしまうのを防止することができ、上記吸着熱交換器の冷媒潜熱を有効に使うことができるからである。
【0005】
しかしながら、上記調湿装置では、一の吸着熱交換器に対する空気の流れを逆方向にすると、室外吸込口と室内吸込口の位置の何れかを背面側に設ける必要がある。この場合、室外吸込口および室内吸込口にそれぞれ対応して設けられるフィルタの交換などを正面から行うことができなくなるため、調湿装置のメンテナンス性能が低下してしまう。一方で、調湿装置のメンテナンス性能を維持した状態で吸着動作の空気流れと再生動作の空気流れとを逆方向にしようとすると、空気配管などを増やすことになる。つまり、調湿装置のメンテナンス性能を確保しつつ、空気流れを変更しようとすると装置自体の大型化および複雑化を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、調湿装置のメンテナンス性能を維持し、且つ大型化および複雑化することなく、吸着熱交換器の空気流れを吸着動作時と再生動作時とで逆方向にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、室外空間に繋がる室外吸込口(50)および室外排気口(53)と、室内空間に繋がる室内吸込口(52)および室内給気口(51)とが形成された空気ユニット(11a)と、該空気ユニット(11a)の下方に配置される一方、吸着剤を担持する2つの吸着熱交換器(75,76)が設けられた冷媒回路(70)を有し、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気との一方を吸着空気とし、他方を再生空気とし、且つ上記冷媒回路(70)の冷媒循環を可逆に切り換えて上記吸着熱交換器(75,76)の吸着剤の吸着動作と再生動作とを交互に行い、空気の湿度を調節する調湿ユニット(11b)とを備えた調湿装置である。そして、上記空気ユニット(11a)は、室外吸込口(50)と室内吸込口(52)とが前側に配置されている。上記調湿ユニット(11b)は、2つの上記吸着熱交換器(75,76)が水平に並べて配置されている。さらに、上記調湿ユニット(11b)は、上記吸着空気と再生空気の一方を2つの上記吸着熱交換器(75,76)の上方に導き、他方を2つの上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導くと共に、上記再生空気が上記吸着空気とは上記各吸着熱交換器(75,76)に対して逆方向に流れるように構成されている。
【0008】
上記第1の発明では、室外吸込口(50)から空気ユニット(11a)に吸い込まれた空気は、下方の調湿ユニット(11b)に流れる。調湿ユニット(11b)では、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気は、吸着熱交換器(75,76)によって調湿されて室内給気口(51)から室内へ供給される。一方、室内吸込口(52)から空気ユニット(11a)に吸い込まれた空気は、下方の調湿ユニット(11b)に流れる。調湿ユニット(11b)では、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気が吸着熱交換器(75,76)によって調湿されて室外排気口(53)から室外へ排気される。
【0009】
具体的に、調湿ユニット(11b)では、冷媒回路(70)の冷媒循環方向を可逆に切り換えることで、吸着剤の吸着動作と再生動作とが交互に行われる。冷媒回路(70)では、一方の吸着熱交換器(75)が放熱器(凝縮器)として機能し、且つ他方の吸着熱交換器(76)が蒸発器として機能する動作と、一方の吸着熱交換器(75)が蒸発器として機能し、且つ他方の吸着熱交換器(76)が放熱器(凝縮器)として機能する動作とが交互に行われる。
【0010】
例えば吸着動作では、冷媒回路(70)を流れる冷媒によって一方の吸着熱交換器(75,76)の吸着剤が冷却される状態となる。この吸着熱交換器(75,76)を吸着空気が通過すると、空気中の水分がこの吸着熱交換器(75,76)の吸着剤に吸着されると共に、この際に生じる吸着熱が冷媒に吸熱される。その結果、この吸着熱交換器(75,76)によって空気が除湿される。
【0011】
また、再生動作では、冷媒回路(70)を流れる冷媒によって一方の吸着熱交換器(75,76)の吸着剤が加熱される状態となる。この吸着熱交換器(75,76)を再生空気が通過すると、空気中の水分が加熱された吸着剤から水分が脱離し、脱離した水分が空気へ付与される。その結果、吸着熱交換器(75,76)によって空気が加湿される。
【0012】
したがって、この調湿装置では、冷媒の循環方向が可逆に切り換えられることで、一方の吸着熱交換器(75)で吸着動作が行われ且つ他方の吸着熱交換器(76)で再生動作が行われる状態と、一方の吸着熱交換器(75)で再生動作が行われ且つ他方の吸着熱交換器(76)で吸着動作が行われる状態とが交互に切り換わる。
【0013】
ここで、空気ユニット(11a)は、調湿ユニット(11b)の上方に配置されている。この調湿ユニット(11b)では、2つの吸着熱交換器(75,76)が水平に並べて配置されている。空気ユニット(11a)の室外吸込口(50)および室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、下方の調湿ユニット(11b)に流入する。そして、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気、および室内吸込口(52)から吸い込まれた空気の何れか一方は、2つの上記吸着熱交換器(75,76)の上方に導かれる。また、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気、および室内吸込口(52)から吸い込まれた空気の他方は、2つの上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれる。そして、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とは、吸着動作と再生動作との切り換えに対応して各吸着熱交換器(75,76)を上下に逆方向に流れる。
【0014】
例えば、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が吸着空気として吸着動作が行われる一の吸着熱交換器(75)を上方から流れた場合、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、再生空気として再生動作が行われる他の一の吸着熱交換器(76)を下方から流れる。一方、各吸着熱交換器(75,76)の吸着動作と再生動作とが切り換わると、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が吸着空気として吸着動作が行われる他の一の吸着熱交換器(76)を上方から流れ、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、再生空気として再生動作が行われる一の吸着熱交換器(75)を下方から流れる。こうすることで、調湿ユニット(11b)では、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とが各吸着熱交換器(75,76)の吸着動作と再生動作との切り換えに対応して各吸着熱交換器(75,76)を上下に逆方向に流れる。
【0015】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記調湿ユニット(11b)は、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)に上方から供給されるように構成される一方、上記調湿ユニット(11b)は、上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路(25)を備え、該空気が上記吸着熱交換器(75,76)に下方から供給されるように構成されている。
【0016】
上記第2の発明では、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が吸着熱交換器(75,76)の上方から供給される。一方、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、空気通路(25)によって吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれる。吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれた空気は、吸着熱交換器(75,76)の下方から供給される。こうすることで、各吸着熱交換器(75,76)では、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とが上下に逆方向に流れる。
【0017】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記調湿ユニット(11b)は、上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)に上方から供給されるように構成される一方、上記調湿ユニット(11b)は、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路を備え、該空気が上記吸着熱交換器(75,76)に下方から供給されるように構成されている。
【0018】
上記第3の発明では、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気が吸着熱交換器(75,76)の上方から供給される。一方、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気は、空気通路によって吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれる。吸着熱交換器(75,76)の下方に導かれた空気は、吸着熱交換器(75,76)の下方から供給される。こうすることで、各吸着熱交換器(75,76)では、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気と、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気とが上下に逆方向に流れる。
【0019】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明の何れか1つにおいて、上記室外吸込口(50)と室外排気口(53)と室内吸込口(52)と室内給気口(51)とは、上記空気ユニット(11a)の上面に形成されている。
【0020】
上記第4の発明では、室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)の上面に形成したため、調湿装置が設置される部屋の天井へ延びるダクトを室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)に接続し易くなる。
【発明の効果】
【0021】
上記第1の発明では、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置し、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とが各吸着熱交換器(75,76)の吸着動作と再生動作との切り換えに対応して各吸着熱交換器(75,76)を上下に逆方向に流れるようにした。
【0022】
従来の調湿装置では、2つの吸着熱交換器が上下に並んで配置されていたため、室外吸込口および室内吸込口から吸い込まれた空気の通路をそれぞれ上下に分岐し、その後、何れか一方の空気の通路をさらに前後方向に分岐することで吸着動作時と再生動作時との空気流れが逆になるようにする必要があった。このため、これらの空気を流すための空気通路が増えて調湿装置が大型化していた。しかしながら、第1の発明では、上方又は下方から吸着熱交換器(75,76)に空気を供給するようにすることができる。このため、簡易的に吸着動作時と再生動作時との空気流れを逆にすることができる。この結果、調湿装置のメンテナンス性能を維持し、且つ調湿装置を大型化および複雑化することなく、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気の流れを吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0023】
また、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置したため、ドレンパンを1つにすることができる。つまり、従来の調湿装置では、2つの吸着熱交換器が上下に並んで配置されていたため、それぞれの吸着熱交換器に対応したドレンパンを設ける必要があった。しかしながら、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置したため、1つのドレンパンによって2つの吸着熱交換器(75,76)から結露した水分などを貯留することができる。これによって、ドレンパンを削減することができる。
【0024】
上記第2の発明によれば、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の上方から供給する一方、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の下方から供給するようにしたため、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気を吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0025】
上記第3の発明によれば、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の上方から供給する一方、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の下方から供給するようにしたため、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気を吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0026】
上記第4の発明によれば、室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)の上面に形成したため、調湿装置が設置される部屋の天井へ延びるダクトを室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)に接続し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る調湿装置の概略構成図である。
【図2】実施形態に係るケーシングの内部構造を示す概略の斜視図である。
【図3】実施形態に係る調湿装置の概略構成図であり、図3(A)は上面図を示し、図3(B)は図3(A)のW−W矢視図を示し、図3(C)は図3(A)のX−X矢視図を示し、図3(D)は図3(A)のY−Y矢視図を示し、図3(E)は図3(A)のZ−Z矢視図を示している。
【図4】実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図5】実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図6】実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図7】実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図8】実施形態に吸着熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図9】実施形態に係る調湿装置の冷媒回路を示す配管系統図である。
【図10】実施形態に係る調湿装置の室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
【図11】実施形態に係る調湿装置の室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1〜図3に示すように、本発明の実施形態に係る調湿装置(10)は、室内の床面に設置されて室内の湿度調節を行う床置き型の調湿装置である。調湿装置(10)は、例えば衣服等が収納されるクローゼットの収納空間などに設置可能に構成されている。
【0030】
上記調湿装置(10)は、縦長の直方体状に形成されたケーシング(11)を備えている。尚、以下の説明における上下方向および左右方向は、図1のケーシング(11)の前面側から視たそれぞれの方向をいうものとする。上記ケーシング(11)は、上方から空気ユニット(11a)と調湿ユニット(11b)とで構成されている。
【0031】
上記ケーシング(11)は、その前面を覆うと共に、ケーシング(11)に対して着脱自在に取り付けられる前面カバー(12)を備え、後面側に背面板(15)とが取り付けられている。
【0032】
上記ケーシング(11)には、上端部に天板(16)が、下端部に底板(17)がそれぞれ取り付けられている。ケーシング(11)には、右端部に右側面板(13)が左端部に左側面板(14)がそれぞれ取り付けられている。
【0033】
上記天板(16)には、4つのダクト接続口(50〜53)が形成されている。これらのダクト接続口(50〜53)は、天板(16)の4隅に対応するように互いに隣り合って形成されている。具体的には、4つのダクト接続口(50〜53)は、天板(16)の前方左側寄りに形成される室外吸込口(50)と、天板(16)の後方右寄りに形成される室内給気口(51)と、天板(16)の前方右寄りに形成される室内吸込口(52)と、天板(16)の後方左寄りに形成される室外排気口(53)とで構成されている。つまり、ケーシング(11)の上面には、室外吸込口(50)と室内給気口(51)と室内吸込口(52)と室外排気口(53)とが集約されて形成されている。さらに、上記室外吸込口(50)と室内吸込口(52)とは、前側(正面側)に設けられている。
【0034】
各ダクト接続口(50〜53)には、それぞれ空気が流通可能なダクト(図示なし)が取り付けられている。各ダクトは、室内の天井側に向かって上方に延び、天井裏を伝って所定の空間まで配設されている。これらのダクトを介して室外吸込口(50)および室外排気口(53)は室外空間と繋がり、室内吸込口および室内給気口(51)は室内空間と繋がっている。また、上記室外吸込口(50)は、フィルタユニット(54)を介してダクトに接続されている。フィルタユニット(54)は、室外吸込口(50)の上部に設けられ、外気フィルタ(56)を収容している。つまり、ダクトを流れる室外空気は、フィルタユニット(54)の内部を流れ、外気フィルタ(56)を通過した後、室外吸込口(50)からケーシング(11)内に取り込まれる。そして、室外吸込口(50)は、室外空気(OA)をケーシング(11)の内部に導入するための開口を形成し、室内吸込口(52)は、室内空気(RA)をケーシング(11)の内部に導入するための開口を形成している。また、室外排気口(53)は、ケーシング(11)内の空気を排出空気(EA)として室外へ排出するための開口を構成し、室内給気口(51)は、ケーシング(11)内の空気を供給空気(SA)として室内へ供給するための開口を構成している。
【0035】
上記前面カバー(12)は、ケーシング(11)の前側の開放部を覆うようにケーシング(11)に取り付けられ、取り外し可能に構成されている。前面カバー(12)には、調湿装置(10)の利用者などが調湿装置(10)の運転を切り換えるための操作スイッチ(図示なし)が設けられている。また、前面カバー(12)の上部には、フィルタ(55,56)の取り出しおよび取り付けを行う開口部と、この開口部を開閉可能な開閉蓋とが設けられている。開閉蓋は、前面カバー(12)に対して着脱自在に構成されている。つまり、調湿装置(10)は、ケーシング(11)の前面側からフィルタ(55,56)の取り出しおよび取り付けなどのメンテナンスを行うものである。
【0036】
上記ケーシング(11)は、その内部に直方体状の空間が形成されている。ケーシング(11)の内部には、上部仕切板(20)と下部仕切板(21)とが上下に並んで設けられている。上部仕切板(20)および下部仕切板(21)は、矩形状の板材に形成され、ケーシング(11)の内部で水平な状態で支持されている。上記空気ユニット(11a)は、ケーシング(11)において、上部仕切板(20)より上側の部分によって構成されている。また、調湿ユニット(11b)は、ケーシング(11)において上部仕切板(20)より下側の部分によって構成されている。
【0037】
下部仕切板(21)と底板(17)との間には、扁平な直方体状の機械室(60)が区画されている。機械室(60)には、後述する冷媒回路(70)に接続される圧縮機(72)、四路切換弁(73)および制御基板(61)などが収納されている。圧縮機(72)は、縦置き型の圧縮機に構成され、ケーシング(11)の底板(17)に据え付けられている。圧縮機(72)は、例えばスクロール型又はロータリ型の圧縮機構を有して構成されている。
【0038】
また、下部仕切板(21)の上面には、各吸着熱交換器(75,76)で結露した水分を貯留するドレンパン(102)が設けられている。このドレンパン(102)は、後述する第1調湿室(27)および第2調湿室(28)に跨って形成されている。
【0039】
上記上部仕切板(20)と天板(16)との間には、扁平な直方体状の空間が区画されている。この空間には、縦仕切板(18)と横仕切板(19)とが設けられている。縦仕切板(18)は、長辺が前後方向に延びる板状に形成され、横仕切板(19)は、長辺が左右方向に延びる鉛直な状態でケーシング(11)に支持されている。縦仕切板(18)および横仕切板(19)は、上部仕切板(20)と天板(16)との間の空間を4つの部屋(45,46,47,48)に区画している。これらの4つの部屋は、第1〜第4部屋(45,46,47,48)で構成されている。上記第1室(45)は、ケーシング(11)の前方左寄りに形成され、第2室(46)は、ケーシング(11)の前方右寄りに形成されている。また、第3室(47)は、ケーシング(11)の後方右側寄りに形成され、第4室(48)は、ケーシング(11)の後方左側寄りに形成されている。
【0040】
上記縦仕切板(18)は、図3〜図7に示すように、上記第1室(45)と第2室(46)とを仕切る部分のやや後方寄りに第1開口(41)が形成され、第3室(47)と第4室(48)とを仕切る部分のやや前方寄りに第4開口(44)が形成されている。この第1開口(41)は、第1室(45)と第2室(46)とを繋ぐものであり、第4開口(44)は、第3室(47)と第4室(48)とを繋ぐものである。
【0041】
上記上部仕切板(20)には、図3〜図7に示すように、第1、第2、第7および第8流通口(31,32,37,38)と、第2および第3開口(42,43)が形成されている。第1流通口(31)は、上部仕切板(20)における第1室(45)に臨む部位に形成されている。第2開口(42)は、上部仕切板(20)における第2室(46)に臨む部位の前方側に形成されている。第2流通口(32)は、上部仕切板(20)における第2室(46)に臨む部位の後方側に形成されている。第7流通口(37)は、上部仕切板(20)における第3室(47)に臨む部位の前方側に形成されている。第3開口(43)は、上部仕切板(20)における第3室(47)に臨む部位の後方側に形成されている。第8流通口(38)は、上部仕切板(20)における第4室(48)に臨む部位に形成されている。
【0042】
上記第1室(45)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間に、取付板(29)によって取り付けられた補助熱交換器(94)が配置されている。上記取付板(29)は、前後に跨る略長方形の矩形状に形成された枠体である。取付板(29)は、第1室(45)内において斜めの状態で配置され、その下側に補助熱交換器(94)が嵌め込まれている。また、取付板(29)の側面部には、レヒート冷媒配管(85a)を補助熱交換器(94)の空気の下流側に導くための管連通部(30)が形成されている。管連通部(30)は、取付板(29)の一側面部に沿って延びる開口である。レヒート冷媒配管(85a)は、管連通部(30)を介して補助熱交換器(94)の伝熱管と接続されている。
【0043】
上記補助熱交換器(94)は、室外吸込口(50)から吸い込んだ室外の空気を予備加熱するものである。補助熱交換器(94)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。補助熱交換器(94)は、銅製の伝熱管とアルミニウム製のフィンとを備えている。補助熱交換器(94)は、矩形の枠体に形成された取付板(29)に嵌め込まれている。つまり、第1室(45)の内部は、補助熱交換器(94)および取付板(29)によって空気の上流側と下流側とに仕切られている。尚、本実施形態の補助熱交換器(94)はクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されているが、これに限定される必要はなく、例えば、プレート型の熱交換器やシェル・アンド・チューブ熱交換器で構成されていもよい。
【0044】
図2に示すように、上記第1室(45)では、取付板(29)および補助熱交換器(94)の空気の下流側には、レヒート冷媒配管(85a)、第1電動弁(95)、バイパス管(97)、および第2電動弁(98)が配置されている。
【0045】
上記第2室(46)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間の下側寄りに外気通路カバー(62)が配置されている。外気通路カバー(62)は、第1開口(41)と第2流通口(32)とに両方連通する空間を形成するものである。外気通路カバー(62)は、第1開口(41)および第2流通口(32)と、第2開口(42)とを仕切るように第2室(46)に設けられている。
【0046】
また、第2室(46)内の第2流通口(32)には、内気フィルタ(55)が設けられている。内気フィルタ(55)は、室内吸込口(52)の下側に配設されている。内気フィルタ(55)は、板状、あるいはシート状に形成され、第2流通口(32)を覆うように取り付けられている。この内気フィルタ(55)は、第2室(46)において前後方向に進退自在に構成されている。
【0047】
上記第3室(47)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間の下側寄りに排気通路カバー(63)が配置されている。排気通路カバー(63)は、第4開口(44)と第7流通口(37)との両方に連通する空間を形成するものである。排気通路カバー(63)は、第4開口(44)および第7流通口(37)と、第3開口(43)とを仕切るように第3室(47)に設けられている。
【0048】
また、第3室(47)には上記排気通路カバー(63)の上部に給気ファン(57)が設けられ、第4室(48)には排気ファン(58)が設けられている。これらのファン(57,58)は、それぞれ遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)で構成されている。給気ファン(57)は、第3開口(43)から誘引した空気を室内給気口(51)に向かって送風する。排気ファン(58)は、第7流通口(37)又は第8流通口(38)から誘引した空気を室外排気口(53)に向かって排気する。
【0049】
下部仕切板(21)と上部仕切板(20)との間には、直方体状の空間が区画されている。この空間には、前側仕切板(23)と後側仕切板(24)とが設けられている。前側仕切板(23)および後側仕切板(24)は、下部仕切板(21)から上部仕切板(20)に亘って形成され、ケーシング(11)の左右の側面板(13,14)と平行に鉛直な状態でケーシング(11)に支持されている。そして、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)は、下部仕切板(21)および上部仕切板(20)の間の空間を3つの空間に仕切っている。
【0050】
上記前側仕切板(23)には、第3および第4流通口(33,34)が形成されている。第3流通口(33)は、前側仕切板(23)の下部の左側寄りに形成され、第1吸着熱交換器(75)に対応している。第4流通口(34)は、前側仕切板(23)の下部の右側寄りに形成され、第2吸着熱交換器(76)に対応している。
【0051】
上記後側仕切板(24)には、第5および第6流通口(35,36)が形成されている。第5流通口(35)は、後側仕切板(24)の下部の左側寄りに形成されている。第5流通口(35)は、第1吸着熱交換器(75)に対応している。第6流通口(36)は、後側仕切板(24)の下部の右側寄りに形成されている。第6流通口(36)は、第2吸着熱交換器(76)に対応している。
【0052】
上記3つの空間のうち、前側寄りの空間は第1中間通路(25)を構成している。第1中間通路(25)は、前側仕切板(23)とケーシング(11)の前面カバー(12)との間に形成され、本発明に係る空気通路を構成している。また、3つの空間のうち、後側寄りの空間は第2中間通路(26)を構成している。第2中間通路(26)は、後側仕切板(24)とケーシング(11)の背面板(15)との間に形成されている。
【0053】
上記第1中間通路(25)は、その上端が第2開口(42)と連通し、その下端が下部仕切板(21)によって閉塞されている。また、第2中間通路(26)は、その上端が第3開口(43)と連通し、その下端が下部仕切板(21)によって閉塞されている。
【0054】
上記3つの空間のうちの中央の空間は、中央仕切板(22)によって左右に区画されている。そして、左右の空間のうち、左側の空間が第1調湿室(27)を構成し、右側の空間が第2調湿室(28)を構成している。つまり、第1調湿室(27)と第2調湿室(28)とは、中央仕切板(22)を挟んで互いに隣り合うように左右に並んで形成されている。
【0055】
第1調湿室(27)には、第1吸着熱交換器(75)が収納され、第2調湿室(28)には、第2吸着熱交換器(76)が収納されている。各吸着熱交換器(75,76)は、それぞれの調湿室(27,28)において水平となる状態で配置されている。第1吸着熱交換器(75)および第2吸着熱交換器(76)は、後述する冷媒回路(70)に直列に接続されている。つまり、上記各吸着熱交換器(75,76)は、上記補助熱交換器(94)の空気の下流側に配置されている。
【0056】
上記各吸着熱交換器(75,76)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。これら吸着熱交換器(75,76)は、図8に示すように、銅製の伝熱管(77)とアルミニウム製のフィン(78)とを備えている。吸着熱交換器(75,76)に設けられた複数のフィン(78)は、それぞれが長方形状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(77)は、フィン(78)の配列方向に蛇行する形状となっている。つまり、この伝熱管(77)では、各フィン(78)を貫通する直管部と、隣り合った直管部同士を接続するU字管部とが交互に構成されている。
【0057】
上記各吸着熱交換器(75,76)では、各フィン(78)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(78)の間を通過する空気がフィン(78)に担持された吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水分に対して所定の吸脱着性能を有するものが用いられている。
【0058】
尚、本実施形態の吸着熱交換器(75,76)はクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されているが、これに限定される必要はなく、例えば、プレート型の熱交換器やシェル・アンド・チューブ熱交換器で構成されていもよい。
【0059】
上述したように、上部仕切板(20)には、第1、第2、第7および第8流通口(31,32,37,38)と、第2および第3開口(42,43)が形成されている。第1流通口(31)は、第1室(45)と第1調湿室(27)とを連通させ、第2流通口(32)は、第1開口(41)を介して第2調湿室(28)と第1室(45)とを連通させ、第7流通口(37)は、第4開口(44)を介して第2調湿室(28)と第4室(48)とを連通させ、第8流通口(38)は、第1調湿室(27)と第4室(48)とを連通させている。尚、上述したように、第1開口(41)は、第1室(45)と第2室(46)とを繋ぎ、第4開口(44)は、第3室(47)と第4室(48)とを繋いでいる。
【0060】
図3〜図7に示すように、前側仕切板(23)には、第3および第4流通口(33,34)が形成されている。第3流通口(33)は、第1中間通路(25)と第1調湿室(27)とを連通させ、第4流通口(34)は、第1中間通路(25)と第2調湿室(28)とを連通させている。
【0061】
また、後側仕切板(24)には、第5および第6流通口(35,36)が形成されている。第5流通口(35)は、第2中間通路(26)と第1調湿室(27)とを連通させ、第6流通口(36)は、第2中間通路(26)と第2調湿室(28)とを連通させている。
【0062】
上記上部仕切板(20)、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)には、対応する流通口(31〜38)を開閉自在とするダンパが設けられている。具体的に、上部仕切板(20)には、第1流通口(31)を断続する第1ダンパ(D1)と、第2流通口(32)を断続する第2ダンパ(D2)と、第7流通口(37)を断続する第7ダンパ(D7)と、第8流通口(38)を断続する第8ダンパ(D8)とが設けられている。また、前側仕切板(23)には、第3流通口(33)を断続する第3ダンパ(D3)と、第4流通口(34)を断続する第4ダンパ(D4)が設けられている。さらに、後側仕切板(24)には、第5流通口(35)を断続する第5ダンパ(D5)と、第6流通口(36)を断続する第6ダンパ(D6)とが設けられている。
【0063】
各ダンパ(D1〜D8)は、例えば2枚のシャッタと、水平軸を支点として各シャッタを回転させるモータとを有している。即ち、各ダンパ(D1〜D8)では、モータの回転により2枚のシャッタが変位して対応する流通口(31〜38)を開放状態と閉鎖状態とに切り換わる。
【0064】
−冷媒回路の構成−
調湿装置(10)に搭載される冷媒回路(70)について図9を参照しながら説明する。冷媒回路(70)は、主回路(71)とバイパス回路(96)とで構成されている。
【0065】
上記主回路(71)は、第1吸着熱交換器(75)、第2吸着熱交換器(76)、圧縮機(72)、四路切換弁(73)、ブリッジ回路(88)、補助熱交換器(94)および第1電動弁(95)が互いに冷媒配管(85)によって接続された閉回路である。主回路(71)は、冷媒配管(85)の内部を冷媒が循環されることによって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。上記冷媒配管(85)のうち、補助熱交換器(94)と連通する冷媒配管(85)は、レヒート冷媒配管(85a)に構成されている。レヒート冷媒配管(85a)は、第1室(45)内において、補助熱交換器(94)の空気の下流側に配置されている。このため、室外空気が低温の場合であっても、レヒート冷媒配管(85a)の周囲には、補助熱交換器(94)で予め加熱された空気が流れることになる。
【0066】
上記圧縮機(72)は、その吐出側が四路切換弁(73)の第1ポートに、その吸入側がアキュームレータ(79)を介して四路切換弁(73)の第2ポートにそれぞれ接続されている。圧縮機(72)の吐出側と上記第1ポートを繋ぐ高圧ライン(86)には、圧縮機(72)の吐出側の冷媒の温度を検知する吐出温度センサ(80)と、圧縮機(72)の吐出側の冷媒の圧力を検知する吐出圧力センサ(81)と、圧縮機(72)の吐出圧が所定圧力よりも高圧となった場合に圧縮機(72)の運転を自動停止させる高圧遮断スイッチ(82)とが設けられている。また、圧縮機(72)の吸入側と上記第2ポートを繋ぐ低圧ライン(87)には、サーミスタ(101)と、圧縮機(72)の吸入側の冷媒の温度を検知する吸入温度センサ(83)と、圧縮機(72)の吸入側の冷媒の圧力を検知する吸入圧力センサ(84)とが設けられている。
【0067】
上記四路切換弁(73)は、第1のポートと第4のポートとが連通して第2のポートと第3のポートとが連通する第1状態と、第1のポートと第3のポートとが連通して第2のポートと第4のポートとが連通する第2状態とに切り換え可能となっている。
【0068】
また、第1吸着熱交換器(75)と、フィルタ(100)と、ブリッジ回路(88)と、補助熱交換器(94)と、第1電動弁(95)と、ストレーナ(99)と、第2吸着熱交換器(76)とが四路切換弁(73)の第3ポートから第4ポートへ向かって順に接続されている。
【0069】
上記ブリッジ回路(88)は、四路切換弁(73)の切り換え状態(第1状態または第2状態)によって、可逆の何れの方向に循環する冷媒も第1電動弁(95)に対して同一方向に通過させるよう冷媒の流れを制御するものである。
【0070】
このブリッジ回路(88)は、第1吸着熱交換器(75)と第2吸着熱交換器(76)との間の液ラインに配置されている。ブリッジ回路(88)は、ブリッジ状に接続された第1から第4までの配管(89,90,91,92)と、各配管(89,90,91,92)にそれぞれ設けられた第1から第4までの逆止弁(89a,90a,91a,92a)と、第1配管(89)および第3配管(91)の流出側と第2配管(90)および第4配管(92)の流入側とを繋ぐ一方向通路(93)とで構成されている。この一方向通路(93)は、主回路(71)を流れる冷媒のうち、両吸着熱交換器(75,76)で凝縮された冷媒が一方向に流れる冷媒通路であって、冷媒配管(85)の一部である。
【0071】
第1配管(89)の流入側および第2配管(90)の流出側は、第2吸着熱交換器(76)と接続されている。一方、第3配管(91)の流入側および第4配管(92)の流出側は、第1吸着熱交換器(75)と接続されている。また、第2配管(90)および第4配管(92)の流入側は、補助熱交換器(94)の流出側に接続されている。一方、第1配管(89)および第3配管(91)の流出側は、補助熱交換器(94)の流入側に接続されている。
【0072】
上記補助熱交換器(94)は、冷媒配管(85)を流れる気液二相の冷媒を凝縮(放熱)させて過冷却させるためのものである。補助熱交換器(94)には、ブリッジ回路(88)から流出した冷媒が流入する一方、室外吸込口(50)から取り込んだ室外空気(OA)が通過する。つまり、補助熱交換器(94)は、両吸着熱交換器(75,76)を流出した気液二相の冷媒によって通過する室外空気を加熱するよう構成されている。
【0073】
上記第1電動弁(95)は、補助熱交換器(94)を流出した冷媒を膨張させる膨張弁を構成するものである。第1電動弁(95)は、補助熱交換器(94)の冷媒の下流側に設けられ、該補助熱交換器(94)を流出した冷媒を膨張させて減圧する。
【0074】
上記バイパス回路(96)は、各吸着熱交換器(75,76)を流出した冷媒が流れて補助熱交換器(94)および第1電動弁(95)をバイパスするものである。バイパス回路(96)は、第2電動弁(98)がバイパス管(97)によって接続された回路である。
【0075】
上記バイパス管(97)は、ブリッジ回路(88)の一方向通路(93)を流れる冷媒を流すものである。バイパス管(97)は、その内部を冷媒が循環する管状に形成され、その一端がブリッジ回路(88)の第1配管(89)および第3配管(91)の流出側と補助熱交換器(94)との間に接続される一方、その他端がブリッジ回路(88)の第2配管(90)および第4配管(92)の流入側と第1電動弁(95)との間に接続されている。上記バイパス管(97)は、その途中に第2電動弁(98)が接続されている。
【0076】
上記第2電動弁(98)は、バイパス回路(96)を循環する冷媒を膨張させる膨張弁を構成している。第2電動弁(98)は、バイパス管(97)の途中に設けられている。そして、バイパス管(97)を流れる冷媒は、第2電動弁(98)で膨張した後、第2配管(90)および第4配管(92)に流入する。
【0077】
−運転動作−
上記実施形態の調湿装置(10)は、「除湿換気運転」と「加湿換気運転」とを選択的に行う。「除湿換気運転」と「加湿換気運転」では、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調整してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。以下には、これらの運転について詳細に説明する。
【0078】
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0079】
除湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(57)を運転すると、室外空気が室外吸込口(50)からケーシング(11)の内へ第1空気(吸着空気)として取り込まれる。また、排気ファン(58)を運転すると、室内空気が室内吸込口(52)からケーシング(11)内へ第2空気(再生空気)として取り込まれる。尚、通常の運転では、第1電動弁(95)が閉状態に設定され、第2電動弁(98)が制御用の弁として使用される。
【0080】
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図4および図5に示すように、この第1動作中には、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が開状態となり、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が閉状態となる。
【0081】
第1動作中の冷媒回路(70)では、図9に実線で示すように、四路切換弁(73)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(70)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(76)、ブリッジ回路(88)、バイパス管(97)、第2電動弁(98)、第1吸着熱交換器(75)の順に通過し、第2吸着熱交換器(76)が凝縮器となって、第1吸着熱交換器(75)が蒸発器となる。
【0082】
図4、図5、図10および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。外気フィルタ(56)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1流通口(31)を流れて第1調湿室(27)へ流入する。この第1空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(75)で除湿された第1空気は、第5流通口(35)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上右方に流れて第3開口(43)から第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0083】
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過する。内気フィルタ(55)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(55)を通過した第2空気は、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第4流通口(34)より第2調湿室(28)へ流入する。この第2空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第2吸着熱交換器(76)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第7流通口(37)から第3室(47)内に流入し、第4開口(44)を通過して第4室(48)内に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0084】
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図6および図7に示すように、この第2動作中には、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が開状態となり、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が閉状態となる。
【0085】
第2動作中の冷媒回路(70)では、図9に破線で示すように、四路切換弁(73)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(70)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(75)、ブリッジ回路(88)、バイパス管(97)、第2電動弁(98)、第2吸着熱交換器(76)の順に通過し、第1吸着熱交換器(75)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(76)が蒸発器となる。
【0086】
図6、図7、図10および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。外気フィルタ(56)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1開口(41)を通過して第2室(46)内へ流れ、第2流通口(32)を流れて第2調湿室(28)へ流入する。この第1空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(76)で除湿された第1空気は、第6流通口(36)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上方に流れて第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0087】
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過する。内気フィルタ(55)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(55)を通過した第2空気は、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第3流通口(33)より第1調湿室(27)へ流入する。この第2空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第1吸着熱交換器(75)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第8流通口(38)から第4室(48)内に流入に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0088】
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0089】
加湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(57)を運転すると、室外空気が室外吸込口(50)からケーシング(11)の内へ第1空気(再生空気)として取り込まれる。また、排気ファン(58)を運転すると、室内空気が室内吸込口(52)からケーシング(11)内へ第2空気(吸着空気)として取り込まれる。尚、通常の運転では、第1電動弁(95)が制御用の弁として使用され、第2電動弁(98)が閉状態に設定される。
【0090】
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図4および図5に示すように、この第1動作中には、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が開状態となり、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が閉状態となる。また、第1動作中の冷媒回路(70)では、第1吸着熱交換器(75)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(76)が蒸発器となる。
【0091】
図4、図5、図10、および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1流通口(31)を流れて第1調湿室(27)へ流入する。この第1空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。第1吸着熱交換器(75)で加湿された第1空気は、第5流通口(35)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上右方に流れて第3開口(43)から第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0092】
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過し、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第4流通口(34)より第2調湿室(28)へ流入する。この第2空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(76)で除湿された第2空気は、第7流通口(37)から第3室(47)内に流入し、第4開口(44)を通過して第4室(48)内に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0093】
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図6および図7に示すように、この第2動作中には、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が開状態となり、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が閉状態となる。また、第2動作中の冷媒回路(70)では、第1吸着熱交換器(75)が蒸発器となって、第2吸着熱交換器(76)が凝縮器となる。
【0094】
図6、図7、図10、および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1開口(41)を通過して第2室(46)内へ流れ、第2流通口(32)を流れて第2調湿室(28)へ流入する。この第1空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。第2吸着熱交換器(76)で加湿された第1空気は、第6流通口(36)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上方に流れて第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0095】
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過し、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第3流通口(33)より第1調湿室(27)へ流入する。この第2空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸着される。第1吸着熱交換器(75)で除湿された第2空気は、第8流通口(38)から第4室(48)内に流入に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0096】
〈冬季、又は室外温度が低温の場合の運転動作〉
次に、冬季、又は室外温度が低温となった場合における除湿換気運転、又は加湿換気運転について説明する。冬季で外気温度の低い(例えば氷点下5℃以下)環境では、コントローラ等により、第1電動弁(95)が開状態に設定され、第2電動弁(98)が閉状態に設定される。
【0097】
まず、図9の実線で示すように、第1状態における冷媒回路(70)について説明する。この状態の冷媒回路(70)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が、第2吸着熱交換器(76)に流れ、周囲の空気との間で熱交換が行われる。そして、第2吸着熱交換器(76)を流出した冷媒は、ブリッジ回路(88)を経て補助熱交換器(94)に流入する。補助熱交換器(94)では、室外吸込口(50)から第1室(45)内に吸い込まれた空気と、第2吸着熱交換器(76)を流出した気液二相の冷媒との間で熱交換が行われる。そして、第1室(45)内に取り込まれた室外空気が加熱される。補助熱交換器(94)を流出した冷媒は、第1電動弁(95)、ブリッジ回路(88)、第1吸着熱交換器(75)の順に通過し、第1吸着熱交換器(75)において蒸発する。
【0098】
次に、図9の破線で示すように、第2状態における冷媒回路(70)について説明する。この状態の冷媒回路(70)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(75)に流れ、周囲の空気との間で熱交換が行われる。そして、第1吸着熱交換器(75)を流出した冷媒は、ブリッジ回路(88)を経て補助熱交換器(94)に流入する。補助熱交換器(94)では、室外吸込口(50)から第1室(45)内に吸い込まれた空気と、第1吸着熱交換器(75)を流出した気液二相の冷媒との間で熱交換が行われる。そして、第1室(45)内に取り込まれた室外空気が加熱される。補助熱交換器(94)を流出した冷媒は、第1電動弁(95)、ブリッジ回路(88)、第2吸着熱交換器(76)の順に通過し、第2吸着熱交換器(76)において蒸発する。
【0099】
−実施形態の効果−
上記実施形態では、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置し、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と室内吸込口(52)から吸い込まれた空気とが各吸着熱交換器(75,76)の吸着動作と再生動作との切り換えに対応して各吸着熱交換器(75,76)を上下に逆方向に流れるようにした。
【0100】
従来の調湿装置では、2つの吸着熱交換器が上下に並んで配置されていたため、室外吸込口および室内吸込口から吸い込まれた空気の通路をそれぞれ上下に分岐し、その後、何れか一方の空気の通路をさらに前後方向に分岐することで吸着動作時と再生動作時との空気流れが逆になるようにする必要があった。このため、これらの空気を流すための空気通路が増えて調湿装置が大型化していた。しかしながら、本実施形態では、上方又は下方から吸着熱交換器(75,76)に空気を供給するようにすることができる。このため、簡易的に吸着動作時と再生動作時との空気流れを逆にすることができる。この結果、調湿装置(10)のメンテナンス性能を維持し、且つ調湿装置(10)を大型化および複雑化することなく、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気の流れを吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。尚、蒸発器となる吸着熱交換器(75,76)では出口側の冷媒の温度が高くなる。そして、この吸着熱交換器(75,76)を流れる空気が吸着動作時と再生動作時とで同じ方向に流れると、蒸発器となる場合に吸着熱交換器(75,76)の出口側の冷媒の過熱度が過剰に高くなったり、パス毎で過熱度の付き方が不均一になってしまう。しかしながら、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気が吸着動作時と再生動作時とで逆方向に流れると、蒸発器となる吸着熱交換器(75,76)の出口側の冷媒の過熱度が過剰に高くなったり、パス毎で過熱度の付き方が不均一となるのを防止することができる。これにより、蒸発器となる吸着熱交換器(75,76)の性能を十分に使い切ることができる。この結果、上記吸着熱交換器(75,76)の冷媒潜熱を有効に使うことができる。
【0101】
また、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置したため、ドレンパン(102)を1つにすることができる。つまり、従来の調湿装置では、2つの吸着熱交換器が上下に並んで配置されていたため、それぞれの吸着熱交換器に対応したドレンパンを設ける必要があった。しかしながら、2つの吸着熱交換器(75,76)を水平に並べて配置したため、1つのドレンパン(102)によって2つの吸着熱交換器(75,76)から結露した水分などを貯留することができる。これにより、従来よりもドランパンの数を削減することができる。
【0102】
また、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の上方から供給する一方、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の下方から供給するようにしたため、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気を吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0103】
また、室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)の上面(すなわち、天板(16))に形成したため、調湿装置が設置される部屋の天井へ延びるダクトを室外吸込口(50)、室外排気口(53)、室内吸込口(52)および室内給気口(51)を空気ユニット(11a)に接続し易くすることができる。
【0104】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0105】
上記実施形態では、吸着剤としては、ゼオライトやシリカゲル等の主に水蒸気の吸着を行う材料と用いたが、本発明はこれに限られず、水蒸気の吸着と吸収の両方を行う材料(いわゆる収着剤)を用いてもよい。
【0106】
具体的には、本発明のその他の実施形態の吸着剤は、吸湿性を有する有機高分子材料が吸着剤として用いられている。吸着剤として用いられる有機高分子材料では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
【0107】
本形態の吸着剤は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
【0108】
このように、本実施形態の吸着剤では、水蒸気が吸着剤に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤には、水蒸気が収着される。また、この収着剤に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
【0109】
また、この吸着剤は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤の体積が減少する。
【0110】
また、上記実施形態では、第1中間通路(25)を設けて、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を第1および第2吸着熱交換器(75,76)の下方に導くようにしたが、本発明はこれに限られず、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を第1および第2吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路を設けるようにしてもよい。この場合は、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気は、上方から第1および第2吸着熱交換器(75,76)に供給される。
【0111】
本形態によれば、室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の上方から供給する一方、室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を吸着熱交換器(75,76)の下方から供給するようにしたため、吸着熱交換器(75,76)を流れる空気を吸着動作時と再生動作時とで逆にすることができる。
【0112】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、本発明は、調湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0114】
11a 空気ユニット
11b 調湿ユニット
50 室外吸込口
51 室内給気気口
52 室内吸込口
53 室外排気口
70 冷媒回路
75 第1吸着熱交換器
76 第2吸着熱交換器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外空間に繋がる室外吸込口(50)および室外排気口(53)と、室内空間に繋がる室内吸込口(52)および室内給気口(51)とが形成された空気ユニット(11a)と、
該空気ユニット(11a)の下方に配置される一方、吸着剤を担持する2つの吸着熱交換器(75,76)が設けられた冷媒回路(70)を有し、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気との一方を吸着空気とし、他方を再生空気とし、且つ上記冷媒回路(70)の冷媒循環を可逆に切り換えて上記吸着熱交換器(75,76)の吸着剤の吸着動作と再生動作とを交互に行い、空気の湿度を調節する調湿ユニット(11b)とを備えた調湿装置であって、
上記空気ユニット(11a)は、室外吸込口(50)と室内吸込口(52)とが前側に配置され、
上記調湿ユニット(11b)は、2つの上記吸着熱交換器(75,76)が水平に並べて配置される一方、
上記調湿ユニット(11b)は、上記吸着空気と再生空気の一方を2つの上記吸着熱交換器(75,76)の上方に導き、他方を2つの上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導くと共に、上記再生空気が上記吸着空気とは上記各吸着熱交換器(75,76)に対して逆方向に流れるように構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記調湿ユニット(11b)は、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)に上方から供給されるように構成される一方、
上記調湿ユニット(11b)は、上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路(25)を備え、該空気が上記吸着熱交換器(75,76)に下方から供給されるように構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記調湿ユニット(11b)は、上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)に上方から供給されるように構成される一方、
上記調湿ユニット(11b)は、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路を備え、該空気が上記吸着熱交換器(75,76)に下方から供給されるように構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つにおいて、
上記室外吸込口(50)と室外排気口(53)と室内吸込口(52)と室内給気口(51)とは、上記空気ユニット(11a)の上面に形成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項1】
室外空間に繋がる室外吸込口(50)および室外排気口(53)と、室内空間に繋がる室内吸込口(52)および室内給気口(51)とが形成された空気ユニット(11a)と、
該空気ユニット(11a)の下方に配置される一方、吸着剤を担持する2つの吸着熱交換器(75,76)が設けられた冷媒回路(70)を有し、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気と上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気との一方を吸着空気とし、他方を再生空気とし、且つ上記冷媒回路(70)の冷媒循環を可逆に切り換えて上記吸着熱交換器(75,76)の吸着剤の吸着動作と再生動作とを交互に行い、空気の湿度を調節する調湿ユニット(11b)とを備えた調湿装置であって、
上記空気ユニット(11a)は、室外吸込口(50)と室内吸込口(52)とが前側に配置され、
上記調湿ユニット(11b)は、2つの上記吸着熱交換器(75,76)が水平に並べて配置される一方、
上記調湿ユニット(11b)は、上記吸着空気と再生空気の一方を2つの上記吸着熱交換器(75,76)の上方に導き、他方を2つの上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導くと共に、上記再生空気が上記吸着空気とは上記各吸着熱交換器(75,76)に対して逆方向に流れるように構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記調湿ユニット(11b)は、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)に上方から供給されるように構成される一方、
上記調湿ユニット(11b)は、上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気を上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路(25)を備え、該空気が上記吸着熱交換器(75,76)に下方から供給されるように構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記調湿ユニット(11b)は、上記室内吸込口(52)から吸い込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)に上方から供給されるように構成される一方、
上記調湿ユニット(11b)は、上記室外吸込口(50)から吸い込まれた空気を上記吸着熱交換器(75,76)の下方に導く空気通路を備え、該空気が上記吸着熱交換器(75,76)に下方から供給されるように構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つにおいて、
上記室外吸込口(50)と室外排気口(53)と室内吸込口(52)と室内給気口(51)とは、上記空気ユニット(11a)の上面に形成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−64590(P2013−64590A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181991(P2012−181991)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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