説明

警備システム

【課題】故障したセンサが存在してもそのセンサの設置箇所付近の警備を早期に行うことができる警備システムの提供を目的とする。
【解決手段】警備解除モードにおける検知器の未検知の情報を記憶して警備開始モードに変更した場合にその未検知情報を送信する警備装置28と、未検知情報を受信して未検知状態の検知器の設置箇所を重点監視箇所として判断するセンタ装置6と、重点監視情報に基づいて重点監視箇所を強制立哨する移動体30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備システムに関し、より詳しくは、検知器を備えた警備領域内を警備ロボットが移動して警備を行う警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや工場等の施設内を警備する警備システムにおいて、センサを施設内に配置するとともに、その施設内を警備ロボットによって警備させるシステムが、下記の特許文献1に記載されている。
この警備システムでは、警備ロボットが警備領域を巡回する際に、センサによる警備ロボットの検知が不審者の侵入として判断されないようにするために、警備ロボットの巡回時に巡回コースにある検知器の警備モードを解除したり、あるいは巡回コースに配置されたセンサによる異常検知信号をキャンセルするようにしている。
【0003】
また、特許文献1には、センサによる検知信号と警備ロボットの現在位置の情報とを参照し、警備ロボットが巡回によってセンサの近傍を通過する際に、センサから検知信号が出力されればそのセンサは正常に機能しているものと判断し、センサから検知信号が出力されなければセンサが正常に機能していないものと判断し、これにより、センサの故障を早期発見できることが記載されている。
【特許文献1】特開2003−288118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、警備ロボットの巡回コースに配置されたセンサの故障が早期に発見されても、センサを修理、交換するまでには時間がかかり、その間、故障したセンサの付近は警備が手薄となるため、従来の警備システムでは不審者が侵入しても対応ができない状態となる。
本発明の目的は、故障したセンサが存在してもそのセンサの設置箇所付近の警備を早期に行うことができる警備システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、警備領域内を移動警備する移動体と、前記警備領域内に配置される検知器が接続され且つ警備モード設定部を備えた警備装置と、前記警備装置及び前記移動体から送信された警備情報に基づき前記警備領域を監視するとともに前記移動体に警備情報を送信するセンタ装置とを有する警備システムであって、前記警備装置は、前記警備領域が前記モード設定部により警備解除に設定されている間に複数の前記検知器から未検知状態の検知器を抽出して未検知器情報を記憶する記憶手段と、前記未検知器情報を前記センタ装置に送信する制御手段を有し、前記センタ装置は、前記警備装置から送信された前記未検知器情報を記憶する記憶部と、前記未検知器情報を重点監視情報と判断して前記移動体に送信する送信部とを有し、前記移動体は、自身を移動させる移動手段と、前記未検知器情報に基づいて前記移動手段を動作させて前記未検知状態の検知器の設置箇所に移動する制御部と、前記設置箇所を重点監視箇所として重点監視情報を記憶するとともに巡回経路を記憶する領域を有する記憶部とを有する、ことを特徴とする警備システム。
【0006】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様の警備システムにおいて、前記警備装置の前記制御手段は、前記モード設定部による警備モード操作後の所定時間内で前記未検知状態の検知器が検知状態になった場合に、前記検知器の新たな検知情報を前記警備装置に送信する機能を有し、前記センタ装置は、前記新たな検知情報を受信した場合に前記重点監視情報の判断を解消する機能を有する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様の警備システムにおいて、前記移動体の制御部は、前記重点監視情報を前記記憶部に記憶させた後に前記重点監視箇所にて立哨する機能を有することを特徴とする。
本発明の第4の態様は、前記第1乃至第3の態様のいずれかの警備システムにおいて、前記移動体の制御部は、巡回時刻になると巡回を開始し、前記記憶部に前記重点監視情報が記憶されている条件で前記重点監視箇所に強制巡回する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の警備システムにより、移動体である警備ロボットは、警備システムの検知器が故障している設置箇所を重点監視箇所として移動して立哨することができ、その箇所の監視を強化することができる。したがって、本発明の警備システムは、検知器の故障後の交換、修理の間において警備領域内の安全性、信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1から図6を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る警備システムを示す概要構成図、図2は、本発明の実施形態に係る警備システムにおける監視センタと警備ロボットの通信網を介しての通信状態を示す構成図である。
【0010】
図1において、監視用移動体である警備ロボット30が警備を管轄するビルディング、工場、倉庫などの複数の施設21〜23又はこれらを含む警備領域11内には、警備ロボット30の移動位置及び経路を確認するためのガイド手段26が配置されている。ガイド手段26として、例えば巡回コース1〜3の全長に渡り、かつ、互いの巡回コース1〜3を結ぶ道筋に沿って床の上に引かれた白線テープ26Wがあり、その白線テープ26Wの両側には長手方向に沿って所定の位置に地点指示用の四角形の指示マーカ26Mが白色で付けられている。なお、ガイド手段26としては、磁気ガイド、電磁誘導ガイド、ICタグ、その他の標識であってもよい。
【0011】
また、警備領域11内には、警備ロボット30に内蔵された後述のバッテリ40を充電するための充電設備を備えたロボットハウス25が配置されている。
さらに、施設21〜23又は警備領域11内には複数の検知器27が配置されている。検知器27として、例えば、人、動物、自転車等の移動物体の存在を検知する受動型又は能動型の赤外線検知器その他の光検知素子や、火災検知器、ガス漏れ検知器、窓の開閉センサなどが取り付けられる。
各検知器27は、施設21〜23や警備領域11に設けられた警備装置28に接続されていて、検知器27により検知された検知情報は警備装置28に送信されて警備装置28内の記憶装置(不図示)に記憶される。
【0012】
警備装置28には、施設21〜23や警備領域11における警備開始モード、警備モード、警備解除モード、巡回モード等の各種警備モードの設定、変更などを行うための入力部である操作器28aが接続されている。この操作器28aには、操作者が各種警備モードの設定、変更を有する権限を有することを確認するために、認識媒体から情報を受ける媒体認識部が設けられている。各種警備モードの設定は警備装置28に設定されたタイムスケジュールによる場合もある。なお、認識媒体として例えば磁気カードがある。
【0013】
また、警備装置28には、後述する臨時立哨や強化巡回などのために、警備ロボット30との相互間で信号を送受信するための送信部28bが接続されている。
警備装置28は、通信網7を通じて有線又は無線で監視センタ5のセンタ装置6に接続されていて、検知器27や操作器28aの信号に基づいて施設21〜23や警備領域11の警備状況の情報を所定の条件下でセンタ装置6に送信する機能や、警備モードを表示する表示機能などを有している。警備状況の情報として、例えば、上記のような警備モード情報や、侵入異常、火災異常等の異常情報などがある。
なお、図1では警備装置28が各施設21〜23に別々に設置されているが、警備領域11に1つの警備装置を設けて集中管理させてもよい。
【0014】
センタ装置6は、上記のように警備装置28との間で通信するとともに、図2に示すように警備ロボット30に通信網7を介して無線で通信する通信部8eを有し、さらに、警備装置28又は警備ロボット30から受信した信号に基づいて警備領域11内を監視することにより、警備領域11が正常状態にあるか異常状態にあるかを判定したり、警備装置28からの受信信号やマニュアル操作などに基づいて警備ロボット30に所定の動作を行わせたり、警備装置28に所定の処理を行わせたり、或いは顧客情報や巡回情報を管理するといった処理を行うための監視用のコンピュータシステム8を有している。顧客情報としては、警備ロボット30の巡回に必要な巡回スケジュール、巡回開始時刻、巡回開始位置、巡回終了位置、巡回経路情報、或いは検知器27の設置状況などがある。
【0015】
センタ装置6のコンピュータシステム8は、図2に示すように、液晶モニタやCRTなどで構成される表示部8aと、キーボード8bと、ジョイスティック、ポインティングデバイスなどのその他の入力部8cと、CPU8f、記憶装置8g等を備えたコンピュータ本体8dとを有している。また、センタ装置6は、警備装置28から警備モードの信号を受信する際に、警備装置28から警備解除モード時の検知器の検知情報を取得して記憶装置8gに格納し、未検知の検知器27を抽出するとともに、抽出した検知器27の地点に移動する強制移動指令信号を警備ロボット30に送信するように構成されている。
【0016】
次に警備ロボット30の構成について図3に基づいて説明する。
警備ロボット30は、その底部に取り付けられた移動手段31と、移動手段31を制御する移動制御部33と、警備領域11内のガイド手段26を検出するガイド手段検出部32と、自己の位置を検出する自己位置検出部34と、各種検出部の出力情報に基づいて、又は画像処理により警備情報を収集する第1の警備情報収集手段35と、画像処理により警備情報を収集する画像処理部である第2の警備情報収集手段36と、異常事態の発生を判定する異常判定部37と、各処理に使用される情報やプログラムを格納する記憶部38と、警備装置28及びセンタ装置6との相互間で信号を送受信する通信部39と、必要な電気エネルギーを各部に供給するバッテリ40と、現在時刻を検出するとともに所定の時間を計時する計時部41と、それらの要素を制御する制御部42とを有している。
【0017】
移動手段31は、例えば、警備ロボットの底部又はその近傍に取り付けられた前後左右の4つの車輪31tと、それらの車輪31tのうち左右を独立に駆動する第1、第2のモータ31a、31bとを有している。
ガイド手段検出部32は、警備ロボット30の底面に設置されて白線テープ26W及びその周囲を撮影する撮像装置を備えたガイド手段検出器32aと、ガイド手段検出器32aにより取得された画像情報から警備領域11内の路面情報を抽出して制御部42に出力する画像情報処理機能を有する路面情報抽出部32bとを有している。なお、ガイド手段26が磁気ガイド、電磁誘導ガイド、ICタグなどの場合には、ガイド手段検出器32aはその情報を読み取るセンサを備えることになる。
【0018】
移動制御部33は、ガイド手段検出部32からの検知出力に応じて例えばPID制御などにより白線テープ26W、指示マーカ26Mなどのガイド手段26に沿って警備ロボット30を移動、停止させるように、移動手段31の第1、第2のモータ31a、31bを独立して制御して車輪31tの回転、停止を行わせる構成を有している。
【0019】
自己位置検出部34は、第1、第2のモータ31a、31bの各回転軸の位置を検出するとともにそれらの回転軸の回転量を算出する第1、第2の回転検出手段34a、34bと、第1、第2の回転検出手段34a、34bにより算出される回転量に基づいて車輪34tの左右のそれぞれの回転量を算出して警備領域11の地図における現在の警備ロボット30の位置座標を算出する位置算出部34cとを有している。
【0020】
第1の警備情報収集手段35は、障害物検出部35a、警備センサ35d及び撮像ユニット35eを有している。障害物検出部35aは、警備ロボット30に対する障害物の相対位置を検出するために警備ロボット30の複数箇所に取り付けられた障害物センサ35bと、障害物センサ35bの出力により障害物の相対位置を算出して制御部42に出力する障害物判定部35cとを有している。
【0021】
また、警備センサ35dは、警備領域11における防災/防犯の異常を検出する手段であり、例えば火災を検知する火災検知器がある。さらに、撮像ユニット35eは、警備ロボット30に搭載されてその周囲を撮像する撮像手段、例えばパンチルトズームカメラ、全方位監視カメラであって、撮像により取得した画像情報を制御部42に出力するように構成されている。
【0022】
第2の警備情報収集手段36は、画像処理部であって、制御部42の指令により撮像ユニット35eから出力された画像情報を取得し、その画像情報を画像処理することにより例えば移動ロボット30周囲の移動物体を検出するように構成されている。
【0023】
異常判定部37は、制御部42の指令により障害物検出部35aや警備センサ35dの出力情報を取得して警備領域11内に侵入した物体などを検出して異常事態の有無を判定する手段であり、例えば記憶部38に記憶された警備領域11内の施設21〜23等の既設物の存在位置を示す既設物情報と障害物検出部35aの検出結果とを比較して異常事態発生の有無を判定し、異常事態が発生したと判定した時点で制御部42に異常信号を出力するように構成されている。
【0024】
記憶部38は、半導体記憶装置、ハードディスク装置などの記憶装置で構成されており、センタ装置6から受信した強制移動信号に基づいて巡回時又は警備中の監視を重点的に行うための重点監視箇所情報や検知器27の故障情報を記憶する重点監視箇所情報記憶領域38aと、警備領域11における施設21〜23とその他の既設物の情報を含んだ環境地図を記憶する地図記憶領域38bと、センタ装置6から受信した巡回経路情報に基づいて巡回経路を記憶する巡回経路記憶領域38cと、センタ装置6から受信した巡回経路情報に基づいて巡回のスケジュール、開始時刻などの巡回スケジュール情報を記憶する巡回スケジュール記憶領域38dと、巡回開始位置及び停止位置を記憶する巡回開始・終了記憶領域38e、警備ロボット30内の各部を制御するためのプログラムを格納するプログラムファイル38f、その他の処理に使用される情報を記憶する領域(不図示)とを有している。
【0025】
通信部39は、図2に示したように、通信網7に接続された無線基地局9との間で無線通信する無線通信手段である。また、通信部39は、例えば通信網7に接続された警備装置28やセンタ装置6との相互間を無線で送受信して警備ロボット30による巡回に関する信号を送信したり、撮像ユニット35eが撮影した画像を画像処理部36により圧縮して自己位置検出部14が検出する位置情報とともにセンタ装置6に送信したり、異常判定部37が出力した異常信号をセンタ装置6に送信したり、センタ装置6から受信した各種の信号を復調して制御部42等に出力したり、その他の通信処理を行う機能を有している。
【0026】
制御部42は、警備ロボット30の各部構成を制御する手段であり、CPU、メモリ、記憶装置等を備えたコンピュータで構成され、その記憶装置の一部により上記の記憶部38が構成されることもある。警備ロボット30内の処理の少なくとも一部がその制御部42により実行され、例えば、記憶部38の巡回記憶スケジュール記憶領域38dに記憶された巡回開始時刻が計時部41の時刻と一致した時に移動制御部32に信号を出して移動手段31を駆動させ、巡回開始・終了位置記憶領域38eに記憶された巡回開始位置に移動ロボット30を移動させ、さらに巡回経路記憶領域38cに記憶された巡回経路の情報を地図記憶領域38b内の警備領域11の地図座標と比較し巡回経路に含まれるガイド手段26を検出しながら指定の巡回コースに沿った経路で移動手段31を駆動して警備ロボット30を移動させたり、記憶部38の重点監視箇所情報記憶領域38a内の情報に基づいて特定された検知器27の設置地点に移動手段31を駆動して強制移動する、などの各種動作を行わせる。
【0027】
次に、センタ装置6からタイムスケジュール以外の強制移動信号を受信した場合の警備ロボット30の制御を図4のフローチャートを参照して動作とともに説明する。なお、フローチャートは、記憶部8g,38fに格納されたプログラムに従って実現される。
【0028】
まず、警備領域11における所定の施設3内の各検知器27に接続された警備装置28が警備モードの場合には各検知器27による所定の警備を続ける一方で、操作者により警備解除されたかどうか、或いはタイムスケジュールにより警備解除されたかどうかを常に判断する(図4のS1)。そして、警備装置28が警備解除モードに設定されると、警備装置28は、警備解除モードに変更された旨の信号をセンタ装置6に送信するとともに、検知器27による検知情報を常時受信して、その検知情報から未検知の状態の検出器を抽出して当該検知器情報を記憶装置に記憶する(図4のS2)。
【0029】
そして、警備装置28が操作器28aにより警備開始モードに設定されると(図4のS3)、警備装置28は、接続されている検知器27のそれぞれが警戒可能状態となっているかどうかを判断する(図4のS4)。ここで、例えば施設3の家に設けられる検知器27が窓の開放状態を検知した場合には、その旨を警備装置28が表示し、操作者にその窓の閉鎖を促す。これにより操作者は窓を閉鎖するとともに、再び警備開始モードの設定を行う(図4のS5、S3)。
【0030】
検知器27の全てが警戒可能状態になっていると警備装置28が判定した時には、警備装置28内では、計時手段が起動し、計時手段による計時時間が所定時間を経過した時に、警備装置28は警備開始モードを警備モードに切り換える。そして、検知器27は通信網7を介して警備モード設定信号をセンタ装置6に送信するとともに、未検知状態の検知器27を特定する検知情報をセンサ装置6に送信する(図4のS6)。
警備開始モードから警備モードへの移行期間内に、未検知の検知器27による感知が行われた場合には、警備装置28は未検知の検知器27が既検知となったと判定してその検知情報をセンタ装置6に送信して既に送信し記憶されている未検知器情報から削除させる。
【0031】
センタ装置6は、警備装置28から受信した警備解除モード時の未検知器情報を記憶する。そして、未検知器27の存在を確認した場合には、その未検知器情報とともに強制移動信号を警備ロボット30に送信する。なお、未検知状態の検知器27が存在しない場合には、センタ装置6は予め設定されていた通常の警備モードによりタイムスケジュールに従って警備ロボット6を巡回させる。
【0032】
未検知器情報と強制移動信号を受信した警備ロボット30は、その未検知器情報を記憶部38の重点監視箇所情報記憶領域38aに記憶させるとともに、地図記憶領域38bに記憶された情報などに基づいて未検知状態の検知器27の設置箇所を特定し、移動手段31を駆動してガイド手段26に沿ってその地点まで移動する(図4のS7)。
【0033】
その後に、警備装置28は、図示しない計時手段により計時される所定時間内において、未検知状態の検知器27が警備ロボット30を検知したら(図4のS8)、その検知器27による検知情報をセンタ装置6に送信する(図4のS9、S11)。
【0034】
そして、その検知器27の検知情報が既検知となった場合には検知器27は正常と判断し、センタ装置6は警備ロボット30を所定場所、例えば巡回開始位置、ロボットハウス25などに移動させ、巡回スケジュールに従って巡回させる(図4のS11)。
【0035】
一方、所定時間が経過し、その検知器27の検知情報が未検知である場合には検知器27は異常と判断する。そして、センタ装置6は、未検知の検知器27が管轄している領域を重点監視箇所と認定して、警備装置28と移動ロボット30に重点監視箇所情報を送信するとともに(図4のS10)。この情報は警備ロボット30の記憶部38の重点監視箇所情報記憶領域38aに記憶される。
【0036】
次に、そのような重点監視箇所情報を受信した警備ロボット30による臨時立哨について図5のフローチャートに基づいて説明する。
警備ロボット30は、前述したように、重点監視箇所情報を受信、記憶すると(図5のS21、22)、警備装置28に警備開始となる警備モードを送信して警備ロボット30の存在を告知する(図5のS23)。
そして、警備ロボット30は、重点監視箇所にて臨時立哨(図5のS24)を開始する。警備ロボット30は、臨時立哨として所定時間その地点で停止し、警備センサ35dを起動し(図5のS25)、撮像ユニット35eを作動させて周囲の状況を撮像する(図5のS26)。撮像ユニット35eにて取得される撮像画像情報は、記憶部38に一時記憶するとともにセンタ装置6に送信される(図5のS27)。これにより、警備ロボット30は、検知器27の代わりに当該箇所を警備する。
【0037】
警備ロボット30は、警備装置28又はセンタ装置6から警備解除信号を受信した場合、臨時立哨の監視動作を停止して(図5のS28、S29)、所定の位置へ戻り待機する(図5のS30)。
本実施形態では、警備ロボット30の臨時立哨は警備解除信号により解除されることで説明したが、警備領域11内での警備期間中に定期的に所定時間、臨時立哨するようにしてもよい。これは、警備ロボット30のバッテリ40の消費状況によって決定すればよい。
【0038】
次に、警備ロボット30による強化巡回について図6に示すフローチャートを参照して説明する。
警備ロボット30は、予め設定された巡回時刻になるまで所定の位置に待機するように巡回スケジュール記憶領域38dに記憶される(図6のS41)。そして、予め設定された巡回時刻となると、警備ロボット30は警備装置28に対し巡回モード信号を送信する(図6のS41、S42)。これによって、警備装置28は、警備ロボット30が巡回を開始することを確認する。
【0039】
巡回モード信号の送信後、警備ロボット30は、巡回時に障害物検出部35aを作動させて周囲の空間を走査させたり、警備センサ35dを作動させて侵入者や火災の有無を監視する監視機能を稼動させたりする(図6のS43)。監視機能を稼動させた後、警備ロボット30のガイド手段検出部33には、路面情報などが抽出・入力され、移動制御部32により移動手段31を駆動制御して、白線テープ26Wに沿って巡回経路の移動を開始する(図6のS44)。
【0040】
この巡回経路の走行中に、障害物検出部35aや警備センサ35dからの入力に基づき、異常判定部37が異常発生と判定すると、警備ロボット30は走行を停止して、センタ装置30に異常信号を送信する(図6のS45、S46)。さらに、撮像ユニット35eを作動させて周囲の状況を撮像する。撮像ユニット35eにて取得される撮像画像は、記憶部38に記憶されてセンタ装置28に送信される。この異常信号と撮像画像によって、警備装置28は施設内での異常を確認できる。異常信号送信後、警備ロボット30は、再び施設内の巡回を開始し、異常がなくなるまで繰り返される。
【0041】
一方で、警備ロボット30が施設21〜23、警備領域11内を巡回中、異常が発生していないことを確認すると(図6のS45)、重点監視箇所情報記憶領域38aに重点監視箇所情報が登録されているか否かを確認し、当該情報が登録されていない場合には(図5のS47)、強化巡回は行われない。
【0042】
当該情報が登録されている場合には(図6のS47)、警備ロボット30は、移動手段31によりその重点監視箇所に向かって移動し、施設21〜23、警備領域11内での自己の現在位置が重点監視箇所に到達したか否かを判断し、重点監視箇所に到達した場合には(図6のS48)、警備ロボット30は所定時間が経過するまでその地点で停止して強化巡回監視を行い、撮像ユニット35eを作動させて周囲の状況を撮像するなどの処理を行う(図6のS49、S50)。
【0043】
撮像ユニット35eにて取得される撮像画像は、記憶部38に一時記憶するとともにセンタ装置6に送信する。センタ装置6を監視している監視員は、当該重点監視箇所の警備状況を撮像画像で確認する。尚、警備ロボット30が重点監視箇所で監視している所定時間で、警備装置28に対して警備モードに設定するようにしてもよい。これは、警備ロボット30が重点監視箇所に停止しているために、正常な検知器27により重点監視箇所以外の領域を警備しても警備ロボット30を検知することはないからである。
警備ロボット30は所定持間経過すると(図6のS50)、巡回を再開して所定の巡回経路を巡回する(図6のS51)。
なお、警備装置28又はセンタ装置6によって、巡回中の警備ロボット30の巡回経路に配置された検知器27による検知は解消されるか、検知既27による異常検知信号がキャンセルされる。
【0044】
警備ロボット30は、自己の現在位置が設定された巡回経路の終了位置に到達しているか否かを判定する(図6のS51)。当該位置が終了位置でない場合(図6のS52)、巡回を続ける(図6のS44)。
【0045】
警備ロボット30は、自己の現在位置が設定された巡回経路の終了位置に到達した場合(図6のS52)、移動を停止して障害物検出部15、警備センサ16や撮像ユニット17の作動を停止し(図6のS53)、巡回を終了し、巡回終了信号を通信部39と送受信部22を介して警備装置28に送信する。
【0046】
そして、警備ロボット30は所定の位置に待機する(図6のS54)。このとき、通信部39から警備装置28に巡回終了信号を送信する。これにより、警備装置28は警備領域11〜14の警備モードを巡回モードの前モードである警備モードに移行する。
【0047】
本実施形態については、警備ロボット30に重点監視箇所が登録された場合、臨時立哨と強化巡回を別々に説明したが、所定時間、臨時立哨を行い、その後強化巡回を行うよう組み合わせるようにしてもよい。また、本実施形態では、警備システムを通信網7を介して遠隔のセンタ装置6に送信する警備システムで説明したが、センタ装置6は例えば同じ建物内にある防災センタであってもよい。
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の警備システムにより、警備ロボットは、警備システムのセンサが故障していることを判別でき、また、警備モードでは当該センサの設置箇所を重点監視箇所として警備ロボットに記憶させているため、故障したセンサの設置箇所付近を強化監視ができ産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る警備システムを示す概要構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る警備システムにおける監視センタと警備ロボットの通信網を介しての通信経路を示す構成図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る警備システムの警備ロボットの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る警備システムのセンタ装置及び警備装置の重点監視確認動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る警備システムの警備ロボットの臨時立哨動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る警備システムの強化巡回を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1,2,3 巡回コース
5 監視センタ
6 センタ装置
7 通信網
8 コンピュータ
9 無線基地局
11 警備領域
21、22、23 施設
26 ガイド手段
27 検知器
28 警備装置
28a モード設定部
28b 媒体入力部
30 警備ロボット
31 移動手段
32 ガイド手段検出部
33 移動制御部
34 自己位置検出部
35 第1の警備情報収集手段
36 第2の警備情報収集手段
37 異常判定部
38 記憶部
39 通信部
40 バッテリ
41 計時部
42 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備領域内を移動警備する移動体と、前記警備領域内に配置される検知器が接続され且つ警備モード設定部を備えた警備装置と、前記警備装置及び前記移動体から送信された警備情報に基づき前記警備領域を監視するとともに前記移動体に警備情報を送信するセンタ装置とを有する警備システムであって、
前記警備装置は、前記警備領域が前記モード設定部により警備解除に設定されている間に複数の前記検知器から未検知状態の検知器を抽出して未検知器情報を記憶する記憶手段と、前記未検知器情報を前記センタ装置に送信する制御手段とを有し、
前記センタ装置は、前記警備装置から送信された前記未検知器情報を記憶する記憶部と、前記未検知器情報を重点監視情報と判断して前記移動体に送信する送信部とを有し、
前記移動体は、自身を移動させる移動手段と、前記未検知器情報に基づいて前記移動手段を動作させて前記未検知状態の検知器の設置箇所に移動する制御部と、前記設置箇所を重点監視箇所として重点監視情報を記憶するとともに巡回経路を記憶する領域を有する記憶部とを有する、
ことを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記警備装置の前記制御手段は、前記モード設定部による警備モード操作後の所定時間内で前記未検知状態の検知器が検知状態になった場合に、前記検知器の新たな検知情報を前記警備装置に送信する機能を有し、
前記センタ装置は、前記新たな検知情報を受信した場合に前記重点監視情報の判断を解消する機能を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の警備システム。
【請求項3】
前記移動体の制御部は、前記重点監視情報を前記記憶部に記憶させた後に前記重点監視箇所にて立哨する機能を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の警備システム。
【請求項4】
前記移動体の制御部は、巡回時刻になると巡回を開始し、前記記憶部に前記重点監視情報が記憶されている条件で前記重点監視箇所に強制巡回する機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の警備システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−179270(P2007−179270A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376508(P2005−376508)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】