説明

警告装置、ドライブレコーダおよび警告方法

【課題】 複数のトリガを取り込むにあたっても、実空車に最適な運転情報を取り込み、記録容量の無駄をなくす警告装置、ドライブレコーダおよび警告方法を提供する。
【解決手段】 車両3の速度、定周期記録、急加速、急減速および急ハンドルの少なくともいずれか一方の運行データに基づいて、第1CPU13が車両3の異常運転を検出すると、ブザー8によって乗務員に警告情報を通知する。この警告情報通知後、異常運転が継続している間はたとえば30秒毎に警告する。ただし第1CPU13は、センタ4から当該車両3に配車指示中ブザー8による警告を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警告装置、ドライブレコーダおよび警告方法に関し、たとえば乗務員の運転指導を実施しうる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば400MHz帯域のデジタル無線機を採用し、データ通信量を拡大して、車両位置情報および動態情報の収集精度を高めたタクシー配車システムが実用に供されている。このタクシー配車システムによれば、車両位置情報などの収集精度を高めたので、タクシー利用者の利便性を図り、配車担当者および乗務員の業務効率の向上を図ることができる。
【0003】
ところで管理者は、乗務員の運転を指導したり、タクシー利用者へのサービス向上を図る必要がある(たとえば特許文献1〜4参照)。特許文献1には、ドアの開閉を検知した旨をドア開閉検知部から受信し、さらにタクシー利用者が着座した旨を着座検知部(リヤシートスイッチ)から受信した場合に、車内の画像データを記録する技術が開示されている。特許文献2には、各座席に設けたセンサからの信号に基づいて、タクシーメータの指数などを記録する旨記載されている。特許文献3には、リヤシートスイッチからの検知信号に基づいて、車内の画像を撮影する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−64634号公報
【特許文献2】特開昭63−180188号公報
【特許文献3】特開平2−205997号公報
【特許文献4】特許第2982998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献4には、実空車メータからの実空車信号に応じて走行距離などの運行記録を行う技術が開示されている。このように、実空車に応じて画像などの運転状況を記録することによって、その当時の状況を後で分析して、タクシーの業務改善などを図る。
【0006】
一方、車両運転に関する運転情報を巡回的に記録しておき、危険運転などがあった場合には、それをトリガとして、巡回的に記録された複数の運転情報を記録媒体に記録する運転記録装置も知られている。このような装置では、複数の運転情報を切れ目なく(エンドレスで)記録するため、危険運転前の情報も記録することができる。
【0007】
ところでこのような運転記録装置に、特許文献1、4のような乗り降り(実空車)も更にトリガとして運転情報を記録するようにすると、危険運転や実空車など各種トリガを取り込むことができるが、トリガ内容に拘わらず、一定の複数の運転情報が記録される。そのため、実空車に関係のない運転情報も記録されてしまい、本来そのトリガには不要な情報も記録されてしまい、記録容量が無駄になることが考えられる。
【0008】
本発明の目的は、複数のトリガを取り込むにあたっても、実空車に最適な運転情報を取り込み、記録容量の無駄をなくす警告装置、ドライブレコーダおよび警告方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(1)は、車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告装置において、
前記車両の乗務員に配車を指示する情報を取得した場合には、前記警告を禁止する警告禁止手段とを設けたことを特徴とする警告装置である。
【0010】
また本発明(2)は、車両の運転情報を受信して記録する記録手段と、
所定の条件が成立した場合に前記記録手段に記録された運転情報を不揮発的に記録する不揮発記録手段とを備えたドライブレコーダにおいて、
前記車両の運転情報が異常であると判断すると警告を行う警告手段と、
前記車両の乗務員に配車を指示する情報を取得した場合には、前記警告を禁止する警告禁止手段とを設けたことを特徴とするドライブレコーダである。
【0011】
また本発明(3)は、車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告装置において、
前記車両の実空車情報を取得し、取得した実空車情報が実車である場合には前記警告を禁止する警告禁止手段とを設けたことを特徴とする警告装置である。
【0012】
また本発明(4)は、車両の運転情報を記録する記録手段と、
所定の条件が成立した場合に前記記録手段に記録された運転情報を不揮発的に記録する不揮発記録手段とを備えたドライブレコーダにおいて、
前記車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告手段と、
前記車両の実空車情報を取得し、取得した実空車情報が実車である場合には前記警告を禁止する警告禁止手段とを設けたことを特徴とするドライブレコーダである。
【0013】
また本発明(5)は、車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告方法において、
前記車両の乗務員に配車を指示する情報を取得する工程と、
前記工程の後、前記警告を禁止する工程とを有することを特徴とする警告方法である。
【0014】
また本発明(6)は、車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告方法において、
前記車両の実空車情報を取得する工程と、
前記工程で取得した実空車情報が実車である場合には前記警告を禁止する工程とを有することを特徴とする警告方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明(1)によれば、車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う。ただし車両の乗務員に配車を指示する情報を取得すると、前記警告を禁止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るドライブレコーダ1と制御装置2との関係を表す斜視図である。図2は、ドライブレコーダ1を部分的に変更した変更形態の斜視図である。図3は、車両3へのカメラ取付け位置を説明するための図である。図4は、センタ4を表す図であり、図4(a)はセンタ機器構成を表す図であり、図4(b)は、ディスプレイ4aに車両3の走行軌跡、撮像画像およびGセンサ計測値を出力した一態様を表す図である。第1の実施形態では、車両3に予め搭載される運行管理の制御装置2(AVM−ECU2という場合がある)に、ドライブレコーダ1が電気的に接続されて設けられる。たとえば400MHz帯域のデジタル式無線周波数を用いて、制御装置2から車両3の位置、時間および動態情報をセンタ4へ送信可能であり、センタ4は、これらの情報に基づいて、複数の車両3のうち特定車両に配車指示を行うようになっている。またセンタ4は、前記無線周波数などを用いて、制御装置2を介してドライブレコーダ1に画像撮影要求を実施する。ただし適用する無線周波数は400MHz帯域に必ずしも限定されるものではない。たとえば携帯電話機用に割り当てられた周波数帯域を適用する場合もある。デジタル式無線周波数ではなく、アナログ式無線周波数を適用する場合もあり得る。
【0018】
第1の実施形態に係る運転情報記録装置としてのドライブレコーダ1(第1ドラレコ1と称す)は、制御装置2からの車両3の位置、時間および動態情報(これらを情報等と称す)を記録するとともに、予め定める条件が成立した場合に、前記情報等と関連付けて画像および音声情報を記録するように構成されている。センタ機器は、第1ドラレコ1に記録されたこれらの情報を解析可能かつ出力可能に構成されている。
【0019】
第1ドラレコ1は、ドライブレコーダ本体5(ドラレコ本体5と称す)、撮像手段であるカメラ6、車室内の音声情報を取得する音声情報取得手段であるマイク7および警告情報を発する情報出力手段であるブザー8を有する。カメラ6およびマイク7は、ドラレコ本体5に電気的に接続されて別体に設けられ、ブザー8はドラレコ本体5に一体に設けられる。当該車両3には少なくとも一台のカメラ6が設けられる。カメラ6はCCDカメラ(CCD:Charge Coupled Device)によって実現される。このカメラ6は、図3の矢符D1で表記する車両前方方向を撮影すべくたとえばルームミラー裏のフロントガラス3aに、図示外のブラケットを介して貼り付けられる。つまりこのカメラ6は車両前方に向けて固定される。第1ドラレコ1では、オプションとして、当該車両3に二台目または三台目のカメラ6を設けることが可能であり、具体的には車室3内の撮影用カメラ6A、または車両後方の撮影用カメラ6Bを設けることも可能である。ドラレコ本体5には、これらのカメラ6を撮像するための撮影スイッチ9が電気的に接続されて別体に設けられる場合もある。
【0020】
また図2に示すように、ドラレコ本体5に、GPS(GPS:Global Positioning
System)アンテナ10および図示外のGPSレシーバなどが付加されたドライブレコーダ1Aを車両に適用することも可能である。
【0021】
図5はドライブレコーダ1の斜視図であり、図6はドライブレコーダ1の正面図である。ドラレコ本体5には、記録媒体であるCFカード11(CF:Compact Flash)が挿抜可能に構成されている。このCFカード11は、通電しなくても記憶が消えないフラッシュメモリと、外部との入出力を受け持つコントローラ回路とを一枚のカードにまとめた構造になっている。ドラレコ本体5のうち後述する第1RAM12(RAM:Random
Access Memory)に、車両周辺画像、車室内のマイクからの音声情報、位置、個人、時間および実空車情報を含む運転情報がエンドレスで順次記録される。予め定める条件が成立した場合に前記CFカード11に、これらの情報の少なくとも一部が記録される。特に、後述する実空車のトリガの場合は、複数の運転情報のうち、音声および実空車情報のみがCFカード11に記録されるようになっている。
【0022】
図7は、ドライブレコーダ1、制御装置2およびセンタ4の電気的構成を表すブロック図である。図8は、ドライブレコーダ1の電気的構成を表すブロック図である。図9は、制御装置2の電気的構成を表すブロック図である。ドラレコ本体5は、制御手段としての第1CPU13(CPU:Central Processing Unit)と、第1ROM14(ROM:
Read Only Memory)と、記憶手段としての前記第1RAM12と、CFカードインターフェース15と、JPEG IC16(JPEG:Joint Photographic coding Experts
Group、IC:Integrated Circuit)と、ビデオスイッチ17と、発光ダイオード18(略称LED:Light Emitting Diode、図5参照)とを有する。ドラレコ本体5は、USBホスト機能を有する手段であるUSB HOST19(USB:Universal Serial Bus)と、USBインタフェース20と、制御装置2との間で情報のやりとりを行う第1通信用ドライバ21と、LCD操作器コネクタ22(LCD:Liquid Crystal Display)と、第1バッファ23と、制御装置2からの電源起動信号を検出する第1回路24と、ウォッチドッグ機能を有する第1ウォッチドッグIC25と、第1電源部26と、Gセンサ27と、車速パルスを集計する図示外のカウンタとをさらに有する。LCD操作器コネクタ22には、後述するメンテナンスモード用のLCD操作器28が接続可能に構成されている。Gセンサ27は、車両3の前後方向および左右方向に作用する重力加速度いわゆるGセンサ出力値を検出するセンサである。当該車両3の運転席に着座した乗務員の正面方向およびその後方を前後方向とし、当該車両3に着座した乗務員の左および右方向を左右方向とする。前後および左右方向に直交する方向を上下方向とする。前記前後方向をY軸方向と定義し、前記左右方向をX軸方向と定義する。X軸方向のGセンサ出力値とY軸方向のGセンサ出力値とは、独立して検出されて記録される。
【0023】
前記第1RAM12は第1のSD−RAM29(SD−RAM:Synchronous DRAM)および第2のSD−RAM30を備え、第1のSD−RAM29は、カメラで撮影した生の画像を一旦記録するもので、記録した画像がJPEG形式の画像データに変換される。第2のSD−RAM30は、JPEG形式に変換された画像データ、前記Gセンサ27からのGセンサ出力値および音声などをエンドレスで巡回的に記録するように構成されている。第1CPU13に、第1ROM14、第2のSD−RAM30、CFカードインターフェース15がそれぞれ電気的に接続され、第1CPU13に、JPEG IC16を介して第1のSD−RAM29およびビデオスイッチ17が電気的に接続されている。前記ビデオスイッチ17は、複数のカメラ6,6A(6B)が設けられる場合に所定時間間隔で撮像するカメラ6,6A(6B)を切り換えるための切換えスイッチである。第1CPU13には、USB HOST19を介してUSBインタフェース20が電気的に接続されるとともに、通信用ドライバ21、LCD操作器コネクタ22、第1バッファ23、第1ウォッチドッグIC25、Gセンサ27がそれぞれ電気的に接続されている。第1バッファ23は前記第1回路24に電気的に接続される。第1ウォッチドッグIC25には、第1電源部26が電気的に接続される。また第1CPU13は、制御装置2からの電源オン情報に基づいて、主電源である第1電源部26を立ち上げるように構成される。また制御装置2から電源起動信号が得られない場合、制御装置2とは接続されていないものとして、通信用ドライバ21からの入力をスイッチでGPSアンテナ側への入力に切替える。これによって、制御装置2からの位置情報の代わりに単独でGPSからの位置を検出できる。
【0024】
制御装置2は、AVM用の第2CPU31、第2ROM32および第2RAM33を備えるマイクロコンピュータと、第2バッファ34と、GPS(GPS:Global
Positioning System)レシーバ35と、GPSアンテナ36と、ASIC37(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)と、第2通信用ドライバ38と、LCD操作器39と、第3バッファ40と、車両3からのHi/Lo信号を検出する第2回路41と、第2ウォッチドッグIC42と、第2電源部43とを有する。第2CPU31に、第2ROM32、第2RAM33がそれぞれ電気的に接続されるとともに、第2バッファ40を介してPCMCIA規格に準拠したカードMが電気的に接続される。第2CPU31に、ASIC37を介して第2通信用ドライバ38が電気的に接続され、この第2通信用ドライバ38に400MHz帯域のデジタル式無線周波数で送受信可能なデジタル無線機45が電気的に接続されている。ところで第1の実施形態では、制御装置2にGPSレシーバ35およびGPSアンテナ36が設けられる構成になっているが、図2に示すように、ドラレコ本体5にGPSレシーバおよびGPSアンテナ10が設けられる構成にすることも可能である。
【0025】
位置情報、時間情報はGPSアンテナ36およびGPSレシーバ35を用いて取得され、乗務員データはLCD操作器39から入力可能になっている。実空車情報は、運転者で操作がなされる実空車操作手段としての実車/空車メータ44から取得される。実車/空車メータ44には、運転者操作によって作動するスイッチが設けられている。乗客が車内に入り、行き先を確認した時点で運転者により実車側にスイッチのスイッチング状態が操作される。目的地に到着すると、運転者により空車側にスイッチのスイッチング状態が操作され、精算がなされる。
【0026】
これら位置情報や時間情報、乗務員データおよび実空車情報は、一旦第2RAM33に記憶される。センタ4からデジタル無線機45を介して情報送信の要求があると、第2RAM33に記憶されたこれらの情報を、デジタル無線機45を介してセンタ4へ送信する。また定期的に制御装置2が自発的にセンタ4へ送信してもよい。さらに制御装置2はセンタ4からデジタル無線機45を介して配車要求があると、その旨をスピーカSPを介して運転手に伝える。
【0027】
このような基本的な機能を元々制御装置2は有しているので、制御装置2は、得られた位置情報や時間情報、乗務員データおよび実空車情報をドライバ38を介してドライブレコーダ1へシリアル通信ラインSLで送信する。ドライブレコーダ1は、それらの情報を第1通信用ドライバ21を介して受信し、第2のSD−RAM30に記憶する。
【0028】
図10は、制御装置2の要部の電気的構成を表すブロック図である。図11は、ドライブレコーダ1の要部の電気的構成を表すブロック図である。図12は、ウォッチドッグパルスが停止または規定の周期で動作しない場合、ハードウェアによりリセットをかける遅延回路を説明する図である。図10に示すように、制御装置2において、論理和回路46つまりOR回路46の入力側一方46aに車両3のアクセサリー電源が接続され、前記OR回路46の入力側他方46bに第2CPU31からの制御信号が供給される。前記OR回路46、第2CPU31間に接続される第2電源部43から、ドライブレコーダ1側に電源オン信号S1が供給される。すなわち図11に示すように、ドライブレコーダ1において、OR回路47の入力側一方47aにアクセサリー電源が接続され、前記OR回路47の入力側他方47bに前記電源オン信号S1が供給される。
【0029】
ドライブレコーダ1は、アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンまたは制御装置2の電源オンで起動する。またドライブレコーダ1は、ACC信号がオフでかつ、制御装置2の第2電源部43がオフ(図12の立ち下がり信号)になっても、データ記録を実施できるように、ソフトウェアにより終了制御するようになっている。図12に示すように、制御装置2の動作中ソフトウェアでウォッチドッグパルス(図12でWDパルスと表記する)を発生させ、該ウォッチドッグパルスが停止または規定の周期で動作しない場合、ハードウェアによりリセットをかけるようになっている。本実施形態では、第2ウォッチドッグIC42および第2CPU31が遅延回路に相当する。
【0030】
図13は、ドライブレコーダ1を部分的に変更した変更形態に係る、要部の電気的構成を表すブロック図である。本実施形態では、ドライブレコーダ1においてOR回路47の入力側に、ACC信号、電源オン信号S1が供給されるようになっているが必ずしもこの形態に限定されるものではない。つまり図13に示すように、ドライブレコーダ1においてOR回路47の入力側に、ACC信号、電源オン信号および第1CPU13からの制御信号S2が供給される形態であってもよい。この変更形態であっても、ドライブレコーダ1の動作中ソフトウェアでウォッチドッグパルスを発生させ、該ウォッチドッグパルスが停止または規定の周期で動作しない場合、ハードウェアによりリセットをかけることが可能となる。変更形態では、第1ウォッチドッグIC25および第1CPU13が遅延回路に相当する。
【0031】
図14は、画像情報の一部と位置情報等との関係を表す図である。図15は、Gセンサ出力値に基づいて、静止画像情報が一定間隔δおきにCFカード11に記録される態様を表す図である。第1CPU13は、カメラ6で撮像されドラレコ本体5に入力された入力画像をJPEG IC16によってJPEG変換画像に変換し、その後第1CPU13は、JPEG変換画像を第2のSD−RAM30にエンドレスで順次記録する。このとき一枚の静止画像は、たとえば「画像*.jpg」という形式で記録される。ただし前記「*」は整数である。記録された静止画像の付加情報として、当該車両3のGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速センサ50からの車速情報と、マイク7からの音声情報とを、第2のSD−RAM30にエンドレスで順次記録する。
【0032】
予め定める記録条件を満たした場合、第1CPU13は、ブザー8に記録開始の合図を出力させる。これとともに第1CPU13は、第2のSD−RAM30に記録されたJPEG変換画像、Gセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速センサ50からの車速情報をCFカード11に記録させる。本実施形態では、たとえば1秒間に10枚の静止画像が記録され、1イベント最大30秒間で300枚の静止画像がCFカード11に記録可能に構成されている。1イベントとは、予め定める記録条件を満たした一つの状態と同義である。
【0033】
記録条件などについて説明する。図16は、閾値を超過したGセンサ出力値48と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。記録条件としてGセンサ出力値48が閾値Gmax.またはGmin.を超過すると、閾値超過時点を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAMにエンドレスで記録されたJPEG変換画像、そのGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。閾値超過時点をトリガ発生時という場合がある。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。トリガ発生前5秒以上25秒以下、トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
【0034】
図17は、Gセンサ出力値の閾値判定方法を説明するための図である。図7、図8も参照しつつ説明する。第1CPU13は、Gセンサの出力を取得し、閾値Gabeを超えたか否かを判定する。Gセンサ27は、前述のようにX、Y軸方向の二軸タイプであり、車両3の前後方向および左右方向の重力加速度を検出可能に構成されている。したがって前後方向の衝突事故だけでなく、左右方向の衝突事故をも確実に検出することができ、その原因を分析することが可能となる。閾値判定は、前後方向の重力加速度と、左右方向の重力加速度とのベクトル和で実施する。この閾値は、設定により任意の値に変更可能になっている。
【0035】
本実施形態では、Gセンサ27を内蔵するドラレコ本体5を完全に水平に設置できない状況が考えられるので、Gセンサ27の前後および左右方向のオフセットを補正する処理を行うようになっている。つまり図5に示すように、LCD操作器28をLCD操作器コネクタ22に接続すると、ドラレコ本体5は通常モードから、該ドラレコ本体5を設定、検査するためのメンテナンスモードに移行する。このメンテナンスモードにおいて、Gセンサ27の前後および左右方向のオフセットを補正する処理を実行するようになっている。当該車両3において悪路走行時には、上下方向の振動が不所望に大きくなり、Gセンサ27で前後および左右方向にも重力加速度が検出されることが予想される。したがって悪路走行での上下振動を観測し、誤反応を軽減させる処理をGセンサ出力値に施すようになっている。
【0036】
図18は、撮影スイッチ9のオン信号S3と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。記録条件として、乗務員が撮影スイッチ9をオンにして、そのスイッチング態様を切換えると、撮影スイッチオン時点TR1(トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAM30にエンドレスで記録されたJPEG変換画像、その撮影スイッチオン時点のGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。ただし撮影スイッチ9をトリガとしてJPEG変換画像などをCFカード11に記録する場合には、そのスイッチ操作回数を制限し、所定の操作回数に達すると、以後撮影スイッチ9を操作してもCFカード11に記録しないようにドラレコ本体5を設定することも可能である。
【0037】
図19は、通信による撮影要求コマンド受信と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。図7も参照しつつ説明する。記録条件として、センタ4から制御装置2に無線周波数による画像撮影要求があると、ドラレコ本体5の第1CPU13はその信号をコマンド受信する。そうすると、コマンド受信時TR2(トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAM30にエンドレスで記録されたJPEG変換画像、そのコマンド受信時のGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。たとえば運行データの一つである車速パルスに基づいて求められる当該車両3の速度が、予め定める規定速度よりも大となることをセンタ4が判断すると、センタ4からの画像記録要求が実施される。なお前記トリガ発生に起因するパラメータは、車速パルスだけに限定されるものではない。たとえば定周期記録、急加速、急減速および急ハンドルの少なくともいずれか一方の運行データに基づいて、センタ4から画像記録要求が実施される場合もあり得る。これら複数の運行データを用いることで、センタ4において、乗務員個人の詳細な運転指導を実施することが可能となる。
【0038】
図20は、実車/空車メータ44からのHi/Lo信号S4に基づいて、CFカード11に記録される音声情報の記録範囲が規定される態様を表す図である。この音声情報の記録条件として、空車状態から実車状態に切換わるHi信号が出力されると、このHi信号が出力される時点TR3よりもTbef秒(Tbef秒は、たとえば数十秒)前から、取得手段である第2のSD−RAM30に記録された音声情報、実空車および車速情報をCFカード11に記録していく。この記録状態で実車状態から空車状態に切換わるLo信号が出力されると、このLo信号が出力された時点TR4よりもTaft秒(Taft秒は、たとえば数十秒)経過した時点まで音声情報などをCFカード11に記録する。実車/空車メータ44からの信号は、制御装置2が検出しているので、制御装置2とのシリアル通信によりドライブレコーダ1はその実空車状態を検出することができる。なお制御装置2と連携していない場合は、ドライブレコーダ1の外部スイッチとして実車/空車メータ44のメータのオン/オフ信号を取り込むようにすればよい。
【0039】
図21は、実車/空車メータ44からのHi信号が出力される時点の前後にわたって画像情報が記録され、Lo信号が出力される時点の前後にわたって画像情報が記録される態様を表す図である。記録条件として、空車状態から実車状態に切換わるHi信号が出力されると、このHi信号が出力される時点TR3(第1トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAM30にエンドレスで記録された情報のうち、音声情報、実空車情報をCFカード11に記録する。第1トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、第1トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間Rh(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。第1トリガ発生前5秒以上25秒以下、第1トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
【0040】
さらに記録条件として、実車状態から空車状態に切換わるLo信号が出力されると、このLo信号が出力される時点TR4(第2トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAM30に記録された情報のうち、音声情報、実空車情報をCFカード11に記録する。第2トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、第2トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間Rh(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。第2トリガ発生前5秒以上25秒以下、第2トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
【0041】
図22は、ドライブレコーダ1において、トリガの各種とりこみについて説明するブロック図である。本実施形態では、ドライブレコーダ1は、実空車情報を該ドライブレコーダ1に付設のスイッチなどで直接入力するのではなく、制御装置2からのシリアル通信から取得し、それをトリガとして記録する。したがってトリガ入力は、Gセンサ27、通信(センタ4、実空車)、撮影スイッチおよび外部スイッチ49となる。
【0042】
制御装置2からの情報は定期的に送信され、時間軸上では定期的に監視している状態となる。ただし通信では、割り込みとしてのトリガとなる。つまりセンタ4からのトリガ、実空車のトリガは割り込みとなる。外部スイッチ49入力は、他のスイッチのオンオフ信号を入力可能であるので、実空車スイッチのオンオフ信号を当該外部スイッチ入力として採用してもよいし、また、撮影スイッチ(運転者による強制スイッチ)のオンオフ信号を当該外部スイッチ入力として採用してもよい。外部スイッチ入力はトリガおよび状態の両方を検知できる。たとえば実空車の場合、実空車の変化をトリガとして入力するとともに、その実空車の状態を記録のために取り込むことができる。
【0043】
図23は、運行データの閾値に基づいて警告情報を発する態様を表す図である。当該車両3の速度、定周期記録、急加速、急減速および急ハンドルの少なくともいずれか一方の運行データに基づいて、第1CPU13が当該車両3の異常運転を検出すると、ブザー8によって乗務員に警告情報を通知する。この警告情報通知後、異常運転が継続している間はたとえば30秒毎に警告する。ただし第1CPU13は、センタ4から当該車両3に配車指示中ブザー8による警告を禁止する。異常運転であるか否かの判定基準は、予めCFカード11で指定する。図23に示すように、異常検出閾値の上限E1および下限E2、異常判定時間Teがパラメータとして規定される。上限オーバは、予め定める「異常判定時間」以上継続したときに、異常運転であると判断する。本実施形態ではブザー8によって警告情報を通知しているが、これに限定されるものではない。制御装置2または第1ドラレコ1に情報出力手段としてスピーカSP(図7参照)を設け、該スピーカSPから音声合成出力(たとえば「規定の速度を超過しています。減速してください」などの音声合成出力)をすることも可能である。
【0044】
急加速、急減速に基づいて異常運転を検知する場合について説明する。第1CPU13は、たとえば0.1秒毎に車速パルスによって当該車両3の速度つまり車速を取得し、1秒間の加速度にて判定する。第1CPU13は、この加速度が判定値を超えた場合に、ブザー8によって乗務員に警告情報を通知し、該加速度をCFカード11に記録する。第1CPU13は、指定の加速度以上の場合には「急加速」と判定し、指定の減速度以上の場合には「急減速」と判定する。判定基準となる加速度、減速度は、実車/空車毎の二種類を設定可能になっている。
【0045】
速度超過によって異常運転を検知する場合について説明する。第1CPU13は、たとえば0.1秒毎に車速パルスによって車速を取得し、規定の速度オーバ判定速度を超えてかつ規定の警告開始時間を経過した場合に、ブザー8によって乗務員に警告情報を通知する。車速が規定の速度オーバ判定速度を超え、異常判定時間Teを経過を経過した場合には、ブザー8によって警告情報を通知するとともに、該車速3をCFカード11に記録する。車速が速度オーバ判定速度以下になったが、一般道路か高速道路かの道路区分がいずれか一方から他方に変わったとき、速度オーバを解除するようになっている。判定速度、警告開始時間は、前記道路区分毎の二種類を設定可能になっている。
【0046】
図24は、Gセンサ出力値と検知時間との関係を表す図である。図25は、Gセンサ出力値の大小とその検知時間との関係に基づく傾向を表す図表である。第1CPU13は、CFカード11の記録容量に必要十分な空き容量がなく、該CFカード11にすでに記録したGセンサ出力値が新たに検出されるGセンサ出力値よりも小さいとき、すでに記録したGセンサ出力値を消去し、該検出されるGセンサ出力値をCFカード11に記録させる制御を行う。CFカード11の記録容量の空き容量が必要十分であれば、CFカード11にすでに記録したGセンサ出力値が新たに検出されるGセンサ出力値よりも小さいときであっても、すでに記録したGセンサ出力値を消去することなく、該検出されるGセンサ出力値をCFカード11に記録させるようになっている。
【0047】
前記Gセンサ出力値が小さく(たとえば0.4G以上2G未満)、その検知時間が短い(たとえば数十ミリsec)場合には、当該車両3が段差または悪路などを通過したことを意味する。Gセンサ出力値が小さく、その検知時間が長い(たとえば100ミリsec以上)場合には、当該車両3が急ブレーキをかけたことを意味する。そしてGセンサ出力値が大きく(たとえば2G以上)、その検知時間が短い場合には、当該車両3が事故を起こしたことを意味する。本件出願人は、このようなGセンサ出力値の大小とその検知時間との関係に基づく傾向のデータを実験などによって、センタ機器のメモリなどにストアしている。
【0048】
図26は、Gセンサと外部スイッチ検出による基本動作を表すフローチャートである。図27は、Gセンサ出力の閾値とその判定時間との関係を表す図である。図28は、Hi/Lo信号とその判定時間との関係を表すタイミングチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンまたは制御装置2の電源オンとなる条件で、本フローが開始する。開始後ステップa1において、第1CPU13は、Gセンサ27の定期的な感知タイミングt1(t1は、たとえば10ミリsec)経過したか否かを判断する(図27参照)。「否」との判断でステップa2に移行する。t1経過したとの判断でステップa3に移行して、第1CPU13は、Gセンサ出力値を第2のSD−RAM30に記録させ、ステップa4にてそのGセンサ出力値が閾値よりも大か否かを判断する。「否」との判断でステップa2に戻る。
【0049】
「否」との判断でステップa5に移行し、第1CPU13は、予め定める閾値判定時間Tg経過したか否かを判断する。閾値判定時間Tgは、感知タイミングt1よりも大きく設定される。Gセンサ出力値が閾値を超えた時点から閾値判定時間Tgの計時が開始され、閾値を超えている連続時間が時間Tgに達すると、閾値判定時間Tg経過したと判断する。閾値判定時間Tg経過していないと判断されると、ステップa2に戻る。閾値判定時間Tg経過したと判断されると、ステップa6に移行する。ここで第1CPU13は、当該車両3が危険運転をしている旨検知する。次にステップa7に移行して第1CPU13は、第2のSD−RAM30に記録された画像情報をCFカード11に記録させる。その後ステップa1に戻る。このような閾値判定時間Tgを設けることで、ノイズ等の誤動作を防止することができる。
【0050】
ステップa2において、第1CPU13は、外部スイッチ49の定期的な感知タイミングt2(t2は、たとえば100ミリsec)経過したか否かを判断する(図28参照)。「否」との判断でステップa1に戻る。t2経過したとの判断でステップa8に移行して、第1CPU13は外部スイッチ49がオンしたか否かを判断し、「否」との判断でステップa1に戻る。オンしたと判断されるとステップa9に移行し、第1CPU13は、予め定める信号判定時間Tswしたか否かを判断する。この信号判定時間Tswは、感知タイミングt2よりも大きく設定される。オフからオンに切換えられた時点から信号判定時間Tswの計時が開始され、オンとなっている連続時間が時間Tswに達すると、信号判定時間Tsw経過したと判断する。信号判定時間Tsw経過していないと判断されると、ステップa1に戻る。信号判定時間Tsw経過したと判断されると、ステップa10に移行して第1CPU13は外部スイッチ49を検知した後、ステップa7に移行する。前記信号判定時間Tswを設けることで、ノイズ等の誤動作を防止することができる。
【0051】
図29は、音声データを記録する処理を表すフローチャートであり、図29(a)は、実空車変化前後にわたって音声データを記録する処理を表すフローチャート、図29(b)は、実車中の音声データを記録する処理を表すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンまたは制御装置2の電源オンとなる条件で、本フローが開始する。図29(a)に示すように、開始後ステップb1で第1CPU13は、音声データ(音声情報と同義)を第2のSD−RAM30にエンドレスで記録させる。次にステップb2に移行して、第1CPU13は制御装置2からの信号に基づき実空車スイッチのオンオフを検出する。つまり制御装置2からは実/空車状態しか送ってこないので、ドライブレコーダ1側で実車、空車が変化したことを検出する。
【0052】
ドライブレコーダ1ではステータスを監視するので、あるタイミングでは空車を検出したなら、これを記憶しておき、その次のタイミングで実車を検出したなら、記憶しておいた「空車」の情報と、今回検出した「実車」の情報との比較により、「空車から実車」に変化したことをドライブレコーダ1が検出できる。このようにしてドライブレコーダ1は、間接的に実空車スイッチのオンオフを検出可能になっている。
【0053】
ステップb2において「否」との判断でステップb1に戻る。変化したとの判断でステップb3に移行し、第1CPU13は、実車と判断された時点より前の空車時間(Tbef秒)と実車後時間(Taft秒)とを含む経過時間であって、実/空スイッチ44のスイッチング態様の変化前後x秒(x秒は、たとえば30秒)経過したか否かを判断する。「否」との判断でステップb1に戻る。経過したとの判断で、第1CPU13は、前記変化前後x秒(つまり図21で表記する時間Rh)にわたる第2のSD−RAM30に記憶された音声データをCFカード11に記録させる。その後ステップb1に戻る。
【0054】
実車中の音声データをCFカード11に記録させる処理を実行する場合もある。図29(b)に示すように、前記と同じ開始条件でステップc1に移行して、音声データを第2のSD−RAM30にエンドレスで記録させる。次にステップc2で、第1CPU13は制御装置2からの信号に基づき実空車スイッチのオンオフを検出する。つまり制御装置2からは実/空車状態しか送ってこないので、前記ステップb2と同様にドライブレコーダ1側で実車、空車が変化したことを検出する。
【0055】
ステップc2で「否」との判断でステップc1に戻る。空車から実車に変化したとの判断でステップc3に移行する。ここで第1CPU13は、空車状態から実車状態に切換わる信号が出力される時点よりもx1秒(図20ではTbef秒前から第2のSD−RAM30にエンドレスで記録された音声データをCFカード11に記録させる。次にステップc4で第1CPU13は、CFカード11に実車判断後の音声データを継続的に追加記録させる。次にステップc5において、第1CPU13は実車、空車が変化したか否かを判断する。「否」との判断でステップc4に戻る。ステップc5で実車、空車が変化したとの判断でステップc6に移行し、第1CPU13は、CFカード11に空車判断後の音声データを追加記録させる。その後ステップc7に移行して、第1CPU13は、実車状態から空車状態に切換わる信号が出力される時点よりもx2秒(図20ではTaft秒)経過したか否かを判断する。「否」との判断でステップc6に戻る。x2秒経過したとの判断でステップc1に戻る。
【0056】
図30は、AVM−ECUで合成音声を出力する第1の処理を表すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンまたは制御装置2の電源オンとなる条件で、本フローが開始する。開始後ステップd1において、第1CPU13が当該車両3の危険運転を検知すると、ステップd2に移行して第1CPU13は、制御装置2の第2CPU31に警告音声出力要求を行う。
【0057】
制御装置2側において、ステップE1で第2CPU31が警告音声出力要求を受信すると、ステップEoutにおいて、第2CPU31はスピーカSP(図7参照)に音声合成(たとえば「規定の速度を超過しています。減速してください」などの音声合成)を出力させる。当該車両3がセンタ4から配車指示受信中(ステップE2:YES)は、第2CPU31はスピーカSPに音声を出力させることなく本処理を終了する。配車指示受信中でなければスピーカSPに音声合成を出力させる。
【0058】
図31は、AVM−ECUで合成音声を出力する第2の処理を表すフローチャートである。制御装置2側において、ステップE1で第2CPU31が警告音声出力要求を受信するとステップEmに移行し、第2CPU31は、実車/空車メータ44から現在実車中か否かを判断する。「否」との判断でステップEoutに移行し、第2CPU31はスピーカSPに音声合成を出力させる。ステップEmで実車中と判断されると、第2CPU31はスピーカSPに音声を出力させることなく本処理を終了する。
【0059】
以上説明した本実施形態に係るドライブレコーダ1によれば、第2のSD−RAM30に複数の運転情報(画像、G値、位置、時間、実空車、車速、音声など)をエンドレスで記録する。実空車以外のトリガ(Gセンサなど)の場合は、画像、G値、位置、時間、実空車、車速、音声をカードに記録する。実空車のトリガの場合は、そのうち、音声・実空車のみをCFカード11に記録する。つまり実空車では、乗客に対する運転者の接客態度を見るため、必要とする運転情報は車内のマイクからの運転者の音声、実空車情報で充分であり、画像や車速などは不要である。なぜなら、実空車変化時の運転者の乗客に対する接客態度は、運転者の音声でわかるためである。したがってCFカード11の空き容量を極力確保できる。このように複数のトリガをCFカード11に取り込むにあたっても、実空車に最適な運転情報を取り込み、記録容量の無駄をなくすことが可能となる。
【0060】
ただしカメラが車内、つまり運転者に向けられている場合は、画像もCFカード11に記録する。すなわち、複数のトリガを取り込んで複数の運転情報を記録する際、そのトリガの内容に応じた適切な運転情報を記録することができる。実空車時は、実車時および空車時の両方を必須とするものではなく、実車時あるいは空車時のどちらかを適用してもよい。空車時から実車時への変化時に、実車時の運転者の接客態度のみ記録するようにしてもよい。実車時から空車時への変化時に、運転者の接客態度のみ記録するようにしてもよい。このような場合には、CFカード11の空き容量を一層確保でき、記録容量の無駄をなくすことが可能となる。乗客の乗り降りに対応した乗客に対する接客態度に関する情報などを確実に記録できるので、運転者の運転指導を効果的に行うことができる。
【0061】
ドライブレコーダ1によれば、実車中車両3の室内の音声を記録するが、実車前x1秒の音声データをCFカード11に記録するうえ、空車後x2秒経過後の音声データもCFカード11に記録するので、次のような効果を奏する。タクシーを運行管理する管理者は、実車/空車メータ44を実車にする前から乗客に対して規律ある態度で乗客の希望するサービスを実施するように乗務員を運転指導することができる。管理者は、実車/空車メータ44を空車にした後も、同様のサービスを実施するように乗務員を運転指導することができる。
【0062】
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)車両運転に関する運転情報を記憶手段に巡回して記憶しておき、車両が所定の状態になったことをトリガとして、当該記憶手段に記憶された複数の運転情報を記録媒体に記録する運転情報記録装置において、当該車両の実空車情報を取得する実空車情報取得手段と、前記実空車情報取得手段で取得された実空車の状態に変化があった場合には、前記巡回的に記憶された複数の運転情報のうち、実空車時における運転者の接客態度にかかる運転情報を前記記録媒体に記録するよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする運転情報記録装置。
【0063】
当該車両の実空車情報を実空車情報取得手段で取得する。制御手段は、前記取得された実空車の状態に変化があった場合には、巡回的に記憶された複数の運転情報のうち、実空車時における運転者の接客態度にかかる情報を、記録媒体に記録するよう制御する。特に、実空車時における運転者の接客態度にかかる運転情報を、記録媒体に記録しておき検証できる。トリガ内容に応じた適切な情報を記録媒体に記録でき、その記録容量を無駄にすることがない。乗客の乗り降りに対応した乗客に対する接客態度に関する重要度の高い情報を確実に記録できるので、運転者の運転指導を効果的に行うことができる。したがって複数のトリガを取り込むにあたっても、実空車に最適な運転情報を取り込み、記録容量の無駄をなくすことが可能となる。
【0064】
(2)前記制御手段は、実車時前後の前記運転情報を、前記記録媒体に記録するよう制御することを特徴とする運転情報記録装置。
【0065】
記録媒体には、実車時前後の運転情報が記録されるので、次のような効果を奏する。実車時前後にわたり、タクシー利用客へのドアの開閉操作、挨拶および目的地を尋ねる態度など、最重要の高い運転情報を得ることができる。
【0066】
(3)前記制御手段は、空車時前後の前記運転情報を、前記記録媒体に記録するよう制御することを特徴とする運転情報記録装置。
【0067】
記録媒体には、空車時前後の運転情報が記録されるので、次のような効果を奏する。降車時前後にわたり、運賃精算、挨拶およびドアの開閉操作など、最重要の高い運転情報を得ることができる。したがって運転者の運転指導を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るドライブレコーダ1と制御装置2との関係を表す斜視図である。
【図2】ドライブレコーダ1を部分的に変更した変更形態の斜視図である。
【図3】車両3へのカメラ取付け位置を説明するための図である。
【図4】センタ4を表す図であり、図4(a)はセンタ機器構成を表す図であり、図4(b)は、ディスプレイ4aに車両3の走行軌跡、撮像画像およびGセンサ計測値を出力した一態様を表す図である。
【図5】ドライブレコーダ1の斜視図である。
【図6】ドライブレコーダ1の正面図である。
【図7】ドライブレコーダ1、制御装置2およびセンタ4の電気的構成を表すブロック図である。
【図8】ドライブレコーダ1の電気的構成を表すブロック図である。
【図9】制御装置2の電気的構成を表すブロック図である。
【図10】制御装置2の要部の電気的構成を表すブロック図である。
【図11】ドライブレコーダ1の要部の電気的構成を表すブロック図である。
【図12】ウォッチドッグパルスが停止または規定の周期で動作しない場合、ハードウェアによりリセットをかける遅延回路を説明する図である。
【図13】ドライブレコーダ1を部分的に変更した変更形態に係る、要部の電気的構成を表すブロック図である。
【図14】画像情報の一部と位置情報等との関係を表す図である。
【図15】Gセンサ出力値に基づいて、静止画像情報が一定間隔δおきにCFカード11に記録される態様を表す図である。
【図16】閾値を超過したGセンサ出力値48と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。
【図17】Gセンサ出力値の閾値判定方法を説明するための図である。
【図18】撮影スイッチ9のオン信号S3と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。
【図19】通信による撮影要求コマンド受信と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。
【図20】実車/空車メータ44からのHi/Lo信号S4に基づいて、CFカード11に記録される音声情報の記録範囲が規定される態様を表す図である。
【0069】
【図21】実車/空車メータ44からのHi信号が出力される時点の前後にわたって画像情報が記録され、Lo信号が出力される時点の前後にわたって画像情報が記録される態様を表す図である。
【図22】ドライブレコーダ1において、トリガの各種とりこみについて説明するブロック図である。
【図23】運行データの閾値に基づいて警告情報を発する態様を表す図である。
【図24】Gセンサ出力値と検知時間との関係を表す図である。
【図25】Gセンサ出力値の大小とその検知時間との関係に基づく傾向を表す図表である。
【図26】Gセンサと外部スイッチ検出による基本動作を表すフローチャートである。
【図27】Gセンサ出力の閾値とその判定時間との関係を表す図である。
【図28】Hi/Lo信号とその判定時間との関係を表すタイミングチャートである。
【図29】音声データを記録する処理を表すフローチャートであり、図29(a)は、実空車変化前後にわたって音声データを記録する処理を表すフローチャート、図29(b)は、実車中の音声データを記録する処理を表すフローチャートである。
【図30】制御装置で合成音声を出力する第1の処理を表すフローチャートである。
【図31】制御装置で合成音声を出力する第2の処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 ドライブレコーダ
2 制御装置
3 車両
5 ドライブレコーダ本体
6 カメラ
7 マイク
11 CFカード
12 第1RAM
13 第1CPU
44 実車/空車メータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告装置において、
前記車両の乗務員に配車を指示する情報を取得した場合には、前記警告を禁止する警告禁止手段とを設けたことを特徴とする警告装置。
【請求項2】
車両の運転情報を受信して記録する記録手段と、
所定の条件が成立した場合に前記記録手段に記録された運転情報を不揮発的に記録する不揮発記録手段とを備えたドライブレコーダにおいて、
前記車両の運転情報が異常であると判断すると警告を行う警告手段と、
前記車両の乗務員に配車を指示する情報を取得した場合には、前記警告を禁止する警告禁止手段とを設けたことを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項3】
車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告装置において、
前記車両の実空車情報を取得し、取得した実空車情報が実車である場合には前記警告を禁止する警告禁止手段とを設けたことを特徴とする警告装置。
【請求項4】
車両の運転情報を記録する記録手段と、
所定の条件が成立した場合に前記記録手段に記録された運転情報を不揮発的に記録する不揮発記録手段とを備えたドライブレコーダにおいて、
前記車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告手段と、
前記車両の実空車情報を取得し、取得した実空車情報が実車である場合には前記警告を禁止する警告禁止手段とを設けたことを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項5】
車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告方法において、
前記車両の乗務員に配車を指示する情報を取得する工程と、
前記工程の後、前記警告を禁止する工程とを有することを特徴とする警告方法。
【請求項6】
車両の運転状態が異常であると判断すると警告を行う警告方法において、
前記車両の実空車情報を取得する工程と、
前記工程で取得した実空車情報が実車である場合には前記警告を禁止する工程とを有することを特徴とする警告方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−141213(P2007−141213A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228332(P2006−228332)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【分割の表示】特願2005−329523(P2005−329523)の分割
【原出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】