説明

警報装置

【課題】異常状態を検知して警報を出力する警報装置において、警報装置の周辺に存在する人に確実に警報を知らせることができるとともに、できるだけ消費電力の抑制が可能な技術を提供する。
【解決手段】駆動電力を供給する電源部8と、検知対象の異常状態を検知する検知手段4と、異常状態を検知して警報を出力する警報出力手段5とを備えた警報装置100であって、警報出力手段5の出力状態を、標準電力消費状態と当該標準電力消費状態よりも消費電力を抑えた省電力消費状態との間で切り替え可能な出力状態切替手段6と、人の存在又は不在を示す存否情報を自動検出する存否情報検出手段7とを備え、警報出力手段5が、存否情報検出手段7により検出された存否情報に基づいて出力状態切替手段6を動作制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象の異常状態を検知して警報を出力する警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の警報装置は、監視領域における検知対象の異常状態を検知し、その異常状態を検知したときに、スピーカーによりビープ音や音声メッセージ等の異常状態に応じた警報音声を出力させる形態、LEDにより点灯・点滅等、LCDによりメッセージ・アイコン等の異常状態に応じた警報表示を出力させる形態、有線又は無線により異常状態に応じた警報外部信号を出力させる形態で、警報を出力するように構成されている。
【0003】
また、かかる警報装置としては、例えば、メタン濃度が判定用閾値を超えたときにガス漏れの発生を通知するためのガス漏れ警報を出力するガス漏れ警報装置、CO濃度が判定用閾値を超えたときに不完全燃焼の発生を通知するための不完全燃焼警報を出力する不完全燃焼警報装置、煙が発生したとき又は室内温度が判定用閾値を超えたときに火災の発生を通知するための火災警報を出力する火災警報装置などがある。なお、本願において、上記ガス漏れ、上記不完全燃焼、上記火災を、単に「異常」と呼ぶ場合がある。
【0004】
上記ガス漏れ警報装置として、例えば、特許文献1には、ガスを検知するセンサ部と、電源の投入やガスの検知を示すLEDからなる表示部と、ガスを検知するとブザー音や音声などの警報音を出力する警報部と、警報音が発生中に操作することでこの警報音を変化させるスイッチ部とを備えたものが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−234695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ガス漏れ警報装置は、警報出力時に比較的大きな電力が消費される。そのため、特に電池駆動型の警報装置では、実用上十分に長い電池寿命を得ることができない場合があり、内蔵電池の交換サイクルが短くなるという問題がある。
一方、特許文献1に開示のガス漏れ警報装置では、センサ部でガスが検知されて、大音量の警報音等が周辺に存在する人に警報として出力された場合に、スイッチ部の操作により、音量を低下させたり、異なる音色にしたりするなど警報音を変化させて、不快感を低減できるように構成されている。
しかしながら、このガス漏れ警報装置では、人がスイッチ部を操作しない限り警報音を変化(例えば音量を低下させるなど)させることができず、ガス漏れ警報装置の周辺に人が存在しない場合にはこの大音量の警報音を出力し続けて、余計な電力を消費してしまうという問題がある。すなわち、センサ部でガスが検知されると、人が存在するか否かに関わらず同様の警報を出力して、余計な電力を消費してしまうという問題がある。
したがって、警報装置、特に電池駆動による警報装置においては、ガス漏れを検知した場合等警報を出力する際において、警報装置の周辺に存在する人に確実に警報を知らせることができるとともに、できるだけ省消費電力とすることが必要である。
【0007】
本発明の目的は、異常状態を検知して警報を出力する警報装置において、警報装置の周辺に存在する人に確実に警報を知らせることができるとともに、できるだけ消費電力の抑制が可能な技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る駆動電力を供給する電源部と、検知対象の異常状態を検知する検知手段と、前記異常状態を検知して警報を出力する警報出力手段とを備えた警報装置の第1特徴構成は、
前記警報出力手段の出力状態を、標準電力消費状態と当該標準電力消費状態よりも消費電力を抑えた省電力消費状態との間で切り替え可能な出力状態切替手段と、
人の存在又は不在を示す存否情報を自動検出する存否情報検出手段とを備え、
前記警報出力手段が、前記存否情報検出手段により検出された存否情報に基づいて前記出力状態切替手段を動作制御する点にある。
【0009】
上記第1特徴構成によれば、上記出力状態切替手段により、警報を確実に知らしめることができる範囲内で、適宜、警報出力手段の出力状態を標準電力消費状態から省電力消費状態に切り替えて、警報装置における消費電力をできるだけ軽減することができる。特に、出力状態切替手段による標準電力消費状態と省電力消費状態との間での切り替えは、存否情報検出手段が自動的に検出した存否情報に基づいて行われるので、人の存在又は不在に適切に対応して適宜、省電力消費状態で警報を出力することができる。この際には、当然、警報装置の周辺に存在する人が何らかの操作(スイッチを押すなどの操作)をする必要なしに、異常状態の検知に応じて存否情報が自動的に検出され、警報出力手段の出力状態の切り替えが行われるため、人が不在であっても確実に警報出力手段の出力状態を変化させることができる。
よって、異常状態を検知して警報を出力する警報装置において、警報装置の周辺に存在する人に確実に警報を知らせることができるとともに、できるだけ消費電力の抑制が可能となる。
【0010】
本発明に係る警報装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記存否情報検出手段が、人感センサである点にある。
【0011】
上記第2特徴構成によれば、存否情報検出手段が人感センサであるので、警報装置の周辺に人の存在又は不在を示す存否情報を迅速、かつ正確に自動検出することができ、当該存否情報に基づく警報出力手段の出力状態の切り替えを迅速、かつ正確に行うことができる。
【0012】
本発明に係る警報装置の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記警報出力手段が、前記警報を、警報表示、警報音声及び外部信号の相互間で変更する形態で、前記出力状態切替手段を動作制御する点にある。
【0013】
上記第3特徴構成によれば、警報出力手段が警報を、警報表示、警報音声及び外部信号とする出力状態として、それぞれ個別の、若しくはそれぞれ併用した出力状態にすることが可能であり、警報装置の周辺に存在する人に視覚、聴覚を通じて確実に警報を知らせることができ、また、外部機器を利用して確実に警報を知らせることができる。さらに、警報出力手段は、消費電力の異なる各警報の出力状態を相互間で適宜変更することによって、警報の出力状態を、例えば警報音声を出力する標準電力状態と、例えば警報音声を出力するよりも消費電力が少ない警報表示や外部信号を出力する省電力消費状態との間で切り替えることができ、適宜省電力化を図ることができる。
【0014】
本発明に係る警報装置の第4特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記省電力消費状態が、前記警報が警報表示である場合には、当該警報表示を表示しない状態若しくは当該警報表示の明るさを前記標準電力消費状態における警報表示の明るさよりも暗くする状態で、前記警報が警報音声である場合には、当該警報音声を発声しない状態若しくは当該警報音声の発声間隔を前記標準電力消費状態における警報音声の発声間隔よりも長くする状態であり、
前記警報出力手段が、前記存否情報検出手段により人の不在を検出した場合に、前記出力状態切替手段により前記出力状態を前記省電力消費状態に切り替える点にある。
【0015】
上記第4特徴構成によれば、存否情報検出手段により人の不在を検出した場合に出力状態を省電力消費状態に切り替えるので、警報装置の周辺に人が不在であると標準電力消費状態での警報が無駄になってしまう可能性が高い場合でも、警報の出力状態を省電力消費状態として、省消費電力化を図ることができる。具体的には、省電力消費状態として、警報が警報表示である場合には、この警報表示を表示しない状態若しくはこの警報表示の明るさを標準電力消費状態における警報表示の明るさよりも暗くする状態とすること、また、警報が警報音声である場合には、この警報音声を発声しない状態若しくはこの警報音声の発声間隔を標準電力消費状態における警報音声の発声間隔よりも長くする状態とすることにより、電力消費を少なくする方向に出力状態を切り替えて、人が不在であっても、標準電力消費状態よりも電力消費をできるだけ抑制することができる。
【0016】
本発明に係る警報装置の第5特徴構成は、前記省電力消費状態が、前記警報が警報表示である場合には、当該警報表示の明るさを前記標準電力消費状態における警報表示の明るさよりも暗くする状態で、前記警報が警報音声である場合には、当該警報音声の音量を前記標準電力消費状態における警報音声の音量よりも小さくする状態で、前記警報が外部信号である場合には、当該外部信号を送信しない状態であり、
前記警報出力手段が、前記存否情報検出手段により人の存在を検出した場合に、前記出力状態切替手段により前記出力状態を前記省電力消費状態に切り替える点にある。
【0017】
上記第5特徴手段によれば、存否情報検出手段により人の存在を検出した場合に出力状態を省電力消費状態に切り替えるので、警報装置の周辺に人が存在すると標準電力消費状態での警報が無駄になってしまう可能性が高い場合でも、警報の出力状態を省電力消費状態として、省消費電力化を図ることができる。具体的には、省電力消費状態として、警報が警報表示である場合には、この警報表示の明るさを標準電力消費状態における警報表示の明るさよりも暗くする状態とすること、また、警報が警報音声である場合には、この警報音声の音量を標準電力消費状態における警報音声の音量よりも小さくする状態とすること、警報が外部信号である場合には、この外部信号を送信しない状態とすることにより、電力消費を少なくする方向に出力状態を切り替えて、人が存在する場合であっても、標準電力消費状態よりも電力消費をできるだけ抑制することができる。
【0018】
本発明に係る警報装置の第6特徴構成は、上記第1から第5特徴構成の何れか一つに加えて、前記電源部が、内蔵電池から駆動電力を供給するように構成されている点にある。
【0019】
上記第6特徴構成によれば、警報装置は内蔵された電池により駆動するので、上述のように存否情報に基づいて警報出力手段の出力状態を切り替えて省電力消費状態とすることが可能であると、電池の使用可能期間を延長して同一の電池を長期間使用できるとともに、電池交換の必要性がなくなり、利便性を向上できる。よって、電池により長期間駆動可能な警報装置を得ることができ、当該警報装置の設置場所が制限されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る警報装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、警報装置100の立面図、図2は、警報装置100の構成を示すブロック図、図3は、警報装置100の異常監視モードの処理を示すフロー図である。
【0021】
図1、図2に示す警報装置100は、利用者にガス漏れ、不完全燃焼、火災などの異常が発生したことを報知するものである。この警報装置100は、検知対象の異常状態を検知する検知手段4と、異常状態を検知して警報を出力する警報出力手段5と、警報出力手段の出力状態を切り替え可能な出力状態切替手段6と、人の存在又は不在を示す存否情報を自動検出する存否情報検出手段7と、駆動電力を供給する内蔵電池8aと、上記警報出力手段5及び出力状態切替手段7として機能するCPU9と、記憶部としての不揮発性メモリ(EEPROM)20とを備える。
【0022】
検知手段4は、筐体1の前面に形成された通気孔2の内部に設けられメタンの濃度を検知するメタンセンサ4a、同通気孔2の内部に設けられCO(一酸化炭素)の濃度を検知するCOセンサ4b、及び、筐体1の前面に形成された突出通気孔3の内部に設けられ室内温度を検知する熱センサ4cにより構成されている。
【0023】
メタンセンサ4aは、図示は省略するが公知の半導体式のセンサ素子と当該センサ素子を制御する制御回路とを有し、警報出力手段5からの信号に応答して周囲のメタン濃度に応じた信号を警報出力手段5に発信する。
COセンサ4bは、図示は省略するが公知の半導体式のセンサ素子と当該センサ素子を制御する制御回路とを有し、警報出力手段5からの信号に応答して周囲のCO濃度に応じた信号を警報出力手段5に発信する。
熱センサ4cは、公知の熱電対からなり、室内温度に応じた信号を警報出力手段5に発信する。
これらメタンセンサ4a、COセンサ4b、熱センサ4cによる異常状態の検知は、例えば、30秒間間隔等の所定の検知間隔で実行するように構成されている。
なお、後述するように本願に係る警報装置100が、内蔵された電池8aからの電力により駆動するため、上記半導体式のセンサ素子はパルス通電され、当該パルス通電された状態にあるセンサ素子の電気的信号に基づいて検知対象ガスの存在及び濃度を検出可能に構成されている。
【0024】
CPU9が機能する警報出力手段5は、メタンセンサ4a、COセンサ4b、又は、熱センサ4cで検知されたメタン濃度、CO濃度、又は、室内温度が、それぞれ所定の遅延時間継続して所定の判定用閾値を超えた状態を異常状態と判定し、異常状態と判定した場合に警報を出力する。また、警報出力手段5は、人感センサ7aにより検出された存否情報を受信して、当該存否情報に基づいて出力状態切替手段6を、標準電力消費状態と省電力消費状態との間で切り替え可能な制御指令を出力状態切替手段6に出力可能に構成されている。
当該警報出力手段5は、上記出力状態が警報表示である場合にはこれを警報として表示する表示部10と、上記出力状態が警報音声である場合にはこれを警報として出力する音声出力部11と、上記出力状態が外部信号である場合にはこれを警報として外部機器18に出力する外部信号出力部12とを備える。
表示部10は、出力状態切替手段6において出力状態が切り替えられた警報表示を、LCD14において表示可能とする信号として変換し出力する表示回路13と、当該表示回路13からの信号を各種警報表示として実際に表示するLCD14とにより構成される。警報表示としては、「ガス漏れ発生、危険」、「火災発生、危険」などの文字の表示、LCD14の背景(バックライト等の光源)を明るく点灯する表示、LCD14を特定の色彩にする表示、などが挙げられる。なお、LCD14は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)を意味する略語である。
音声出力部11は、出力状態切替手段6において出力状態が切り替えられた警報音声を、スピーカー16において発声可能とする信号として変換し出力する音声回路15と、当該音声回路15からの信号を各種警報音声として実際に発声するスピーカー16とにより構成される。警報音声としては、「ガス漏れ発生、換気して下さい」、「火災発生、非難して下さい」などの案内音声、一定の周波数の音や周波数を変化させた音などが挙げられる。
外部信号出力部12は、出力状態切替手段6において出力状態が切り替えられた外部信号を、外部機器18において各種動作(上記警報表示、上記警報音声など)を実行可能とする外部信号として変換し無線出力する外部信号出力回路17により構成される。外部機器18は、本願に係る警報装置100の外部に設置される機器であり、無線により外部出力回路17と通信可能に構成されている。例えば、この外部機器18としては、警報装置100と無線通信可能な、ディスプレイやスピーカーを備えた集中監視盤、インターホン親機及びインターホン子機等が例示できる。なお、外部信号は、外部機器18を動作させるための信号である。
【0025】
CPU9が機能する出力状態切替手段6は、上記警報出力手段5からの制御を受けて、警報の出力状態を、標準電力消費状態と省電力消費状態との間で切り替え可能に構成されている。
警報の出力状態は、警報表示、警報音声及び外部信号であり、これらをそれぞれ個別に、若しくはそれぞれ併用した出力状態とすることができる。具体的には、警報表示と警報音声とを併せた出力状態としたり、警報表示単独の出力状態とすることができる。また、警報表示自体を明るくしたり暗くしたり、警報表示自体を省略する出力状態とすることもできる。出力状態は、後述する存否情報に応じて適宜選択することができる。
上記のように、警報の出力状態を切り替えた後、当該出力状態が、警報表示である場合には表示部10(LCD14)から、警報音声である場合には音声出力部11(スピーカー16)から、外部信号である場合には外部信号出力部12(外部信号出力回路17)から、それぞれ警報が出力される。
【0026】
存否情報検出手段7は、警報装置100の周辺での人の存在又は不在を示す存否情報を自動的に検出可能に構成され、当該存否情報を警報出力手段5に発信するように構成されている。具体的には、存否情報検出手段7は赤外線やCCDカメラを用いた公知の人感センサ7aにより構成され、警報装置100の周辺において、所定時間内に人の存在を感知していれば存在、所定時間内に継続して人の存在を感知していなければ不在と判断するように存否情報を自動的に検出することができる。この際、検知手段4の検知結果から警報出力手段5により検知対象が異常状態であると判定された場合にのみ、人感センサ7aにより存否情報を自動的に検出させることが好ましい。このようにすると、発生することが稀な異常状態の場合にのみ、人感センサ7aを作動させることとなり、人感センサ7aの消費電力をできるだけ低減して、省電力消費化を図ることができる。
【0027】
電源部8としての内蔵電池8aは、公知の乾電池を用いることができるが、警報装置100で消費される駆動電力の全てを供給する電源であるため、例えば、容積が小さく高性能なリチウム電池を用いる。また、交換可能な電池8aを用いることとしてもよい。
【0028】
尚、上記EEPROM20には、警報出力手段5による異常状態の判定で利用されるガス漏れ判定用閾値、不完全燃焼判定用閾値、及び、火災判定用閾値の夫々についての判定用閾値が記憶されており、例えば、メタンセンサ4aの場合にはガス漏れ判定用閾値が、例えばメタン濃度5000ppm時のメタンセンサ4aの出力値に設定されており、COセンサ4bの場合には不完全燃焼判定用閾値が、例えばCO濃度500ppm時のCOセンサ4bの出力値に設定されており、熱センサ4cの場合には火災判定用閾値が、例えば室内温度65℃時の熱センサ4cの出力値に設定されている。
【0029】
次に、上記のような構成を備えた本願に係る警報装置100の動作について、以下に説明する。
【0030】
本願に係る警報装置100においては、電池8aによる通電駆動が開始され、メタンセンサ4a、COセンサ4b、熱センサ4cが異常を検知可能な状態となると、以下で説明する異常監視モードを繰り返し実行する。
【0031】
図3に示すように、異常監視モードは、メタンセンサ4a、COセンサ4b、熱センサ4cからのメタン濃度、CO濃度、室内温度に応じた信号のいずれかが上記各判定用閾値を超えた場合に、警報出力手段5において異常状態と判定する(ステップ♯1)。
判定の結果、異常状態と判定しない場合には(ステップ♯1:No)、異常監視モードの最初の状態に戻り、所定時間経過後に上記メタンセンサ4a等からの信号が判定用閾値を超えて異常状態か否かの判定を再び行う。したがって、警報出力手段5において所定の周期で異常状態の判定が行われる。
一方、判定の結果、異常状態と判定した場合には(ステップ♯1:Yes)、人感センサ7aが警報装置100周辺の人の存在又は不在を示す存否情報を検出する。したがって、異常状態と判定した場合にのみ、人感センサ7aを動作させることとなり、当該人感センサ7aを駆動させるための電力消費を抑制することができる。
次に、この存否情報が人の存在を示す場合には(ステップ♯2:No)、警報出力手段5が出力状態切替手段6を制御して、警報の出力状態を標準電力消費状態に切り替え(ステップ♯3)、一方、存否情報が人の不在を示す場合には(ステップ♯2:Yes)、同様に、警報の出力状態を省電力消費状態に切り替える(ステップ♯4)。これにより、警報を出力する際において、人が存在する場合には比較的電力を消費するものの確実に警報を報知することができ、人が不在である場合にはできるだけ電力消費を抑えることができる。
ここで、表1に示すように、標準電力消費状態では人に確実に警報を報知できる出力状態とし、省電力消費状態ではできるだけ電力消費を抑えられる出力状態となるように、警報出力手段5により出力状態切替手段6の切り替えが制御される。
【0032】
【表1】

【0033】
具体的には、警報出力手段5は、標準電力消費状態とする場合には、警報としての警報表示や警報音声を、特に電力消費を考慮しない状態でLCD14に比較的明るい状態で表示させたり(表1中では、「表示あり」「明るい」と記載)、スピーカー16から比較的短い繰り返し間隔で発声させたり(表1中では、「音声あり」「短い」と記載)する切り替えを行う。この切り替えに基づいて、出力状態切替手段6が出力状態を切り替えた後、例えば、実際に「ガス漏れ危険」とLCD14に比較的明るい状態で表示させたり、「ピッ、ピッ、ピッ、ガスが漏れていませんか。」とスピーカー16から比較的短い繰り返し間隔で音声案内させたりする(ステップ♯5)。
一方、警報出力手段5は、省電力消費状態とする場合には、警報としての警報表示を、LCD14の明るさを標準電力消費状態の場合のLCD14の明るさよりも暗くした状態としたり(表1中では、「暗い」と記載)、警報としての警報音声を、スピーカー16から発声される音声案内の繰り返し間隔を標準電力消費状態の場合の繰り返し間隔よりも長くした状態(表1中では、「長い」と記載)とすることなどにより(ステップ♯5)、標準電力消費状態の場合と比較して、相対的に省消費電力化を図ることができる。なお、例えば、省電力消費状態において警報表示や警報音声を出力した後、所定時間経過したか否かを判断し、経過していない場合には上記ステップ♯5に戻って当該出力を継続することもでき、一方、所定時間経過している場合には当該出力を停止して異常監視モードを最初から繰り返すこともできる。この際には、所定時間内のみ警報を行い、その後は警報を行わないこととして、省消費電力化を図ることができる。
【0034】
したがって、人感センサ7aにより人の不在を検出した場合に出力状態を省電力消費状態に切り替えるので、警報装置100の周辺に人が不在であって警報表示や警報音声などの警報が無駄になってしまう可能性が高い場合において、警報表示や警報音声などの出力状態を省電力消費状態とし、省消費電力化を図ることができる。
【0035】
また、上記省電力消費状態の場合に、警報表示や警報音声を省略して省消費電力化を図ることもできる。すなわち、省電力消費状態の場合には、電力消費を抑制するためLCD14に警報表示を表示させず(表1中では、「表示なし」と記載)、スピーカー16から警報音声を発声させない(表1中では、「音声なし」と記載)制御を行う。警報装置100の周辺に人が不在であると警報表示や警報音声が無駄になってしまう可能性が高いため、このような場合(人が警報装置100の周辺に不在である場合)には音声案内等を行うことなく省略することとし、省消費電力化を図るものである。この場合、図3において、ステップ♯4で省電力表示状態に切り替えられることにより、警報表示等を省略することとなるため、ステップ♯5を行う必要がない。
【0036】
[別実施形態]
(1)上記実施形態では、存否情報が人の不在を示す場合に、警報出力手段が出力状態切替手段を動作制御して省電力消費状態に切り替えたが、省消費電力化を図ることができる構成であれば、存否情報が人の存在を示す場合に、省電力消費状態に切り替える構成とすることもできる。当該構成について、以下に説明するが、本別実施形態の警報装置の基本的な構成は上記実施形態と同様であるので、詳細は省略する。
【0037】
本願に係る別実施形態の警報装置200においては、電池8aによる通電駆動が開始され、メタンセンサ4a、COセンサ4b、熱センサ4cが異常を検知可能な状態となると、異常監視モードを繰り返し実行する。
【0038】
図4に示すように、異常監視モードは、メタンセンサ4a、COセンサ4b、熱センサ4cからのメタン濃度、CO濃度、室内温度に応じた信号のいずれかが上記各判定用閾値を超えた場合に、警報出力手段5において異常状態と判定する(ステップ♯11)。
判定の結果、異常状態と判定しない場合には(ステップ♯11:No)、異常監視モードの最初の状態に戻り、所定時間経過後に上記メタンセンサ4a等からの信号が判定用閾値を超えて異常状態か否かの判定を再び行う。したがって、所定の周期で異常状態の検知が行われる。
一方、判定の結果、異常状態と判定した場合には(ステップ♯11:Yes)、人感センサ7aが警報装置100周辺の人の存在又は不在を示す存否情報を検出する。したがって、異常状態と判定した場合にのみ、人感センサ7aを動作させることとなり、当該人感センサ7aを駆動させるための電力消費を抑制することができる。
次に、この存否情報が人の不在を示す場合には(ステップ♯12:No)、警報出力手段5が出力状態切替手段6を制御して、警報の出力状態を標準電力消費状態に切り替え(ステップ♯13)、一方、存否情報が人の存在を示す場合には(ステップ♯12:Yes)、同様に、警報の出力状態を省電力消費状態に切り替える(ステップ♯14)。これにより、警報を出力する際において、警報装置の周辺に人が存在すると標準電力消費状態での警報が無駄になってしまう可能性が高い場合でも、警報の出力状態を省電力消費状態として、省消費電力化を図ることができ、また、人が不在である場合には通常と同様の電力を消費するものの、できるだけ異常状態を人(警報器200の周辺には不在であるが、屋内の玄関や、屋外にいる人など警報器200から遠い場所にいる人)に報知することができる。
ここで、表2に示すように、標準電力消費状態では人(警報器200の周辺には不在であるが、屋内の玄関や、屋外にいる人など警報器200から遠い場所にいる人)に確実に警報を報知できる出力状態とし、省電力消費状態ではできるだけ電力消費を抑えられる出力状態となるように、警報出力手段5により出力状態切替手段6の切り替えが制御される。
【0039】
【表2】

【0040】
具体的には、警報出力手段5は、標準電力消費状態とする場合には警報としての警報表示、警報音声を、特に電力消費を考慮しない状態でLCD14に比較的明るい状態で表示させたり(表2中では、「明るい」と記載)、スピーカー16から比較的大きい音量で発声させたり(表2中では、「大きい」と記載)する切り替えを行う。この切り替えに基づいて、出力状態切替手段6が出力状態を切り替えた後、例えば、実際に「ガス漏れ危険」とLCD14に比較的明るい状態で表示させたり、「ピッ、ピッ、ピッ、ガスが漏れていませんか。」とスピーカー16から比較的大きい音量で音声案内をさせたりする(ステップ♯15)。
一方、警報出力手段5は、省電力消費状態とする場合には、警報としての警報表示を、LCD14の明るさを標準電力消費状態の場合のLCD14の明るさよりも暗くした状態としたり(表2中では、「暗い」と記載)、警報としての警報音声を、スピーカー16から発声される音声案内の音量を標準電力消費状態の場合の音量よりも小さくした状態(表2中では、「小さい」と記載)とするなどにより、標準電力消費状態の場合と比較して、相対的に省消費電力化を図ることができる(ステップ♯15)。なお、例えば、省電力消費状態において警報表示や警報音声を出力した後、所定時間経過したか否かを判断し、経過していない場合には上記ステップ♯15に戻って当該出力を継続することもでき、一方、所定時間経過している場合には当該出力を停止して異常監視モードを最初から繰り返すこともできる。この際には、所定時間内のみ警報を行い、その後は警報を行わないこととして、省消費電力化を図ることができる。
【0041】
したがって、警報装置の周辺に人が存在すると標準電力消費状態での警報が無駄になってしまう可能性が高い場合でも、警報の出力状態を省電力消費状態に切り替えるので、省消費電力化を図ることができ、人が不在である場合には通常と同様の電力を消費するものの、できるだけ異常状態を人(警報器200の周辺には不在であるが、屋内の玄関や、屋外にいる人など警報器200から遠い場所にいる人)に報知することができる。
【0042】
また、上記省電力消費状態の場合に、外部信号を省略して省消費電力化を図ることもできる。すなわち、標準電力消費状態の場合には外部機器18としてのインターホン親機等に警報動作(警報表示、警報音声など)を実行可能な外部信号を無線出力させて(表2中では、「信号あり」と記載)、当該インターホン親機に、「ガス漏れ警報」と表示させるとともに「ピッ、ピッ、ピッ、ガスが漏れていませんか。」と警報動作を実行させることとする一方で、省電力消費状態の場合には、電力消費を抑制するため外部機器18に外部信号を無線送信せず(表2中では、「信号なし」と記載)、外部機器18から警報表示等実行させない切り替えを行う。この場合でも、省電力消費状態の場合に、無線送信を省略して省消費電力化を図ることができる。この場合、図4において、ステップ♯14で省電力表示状態に切り替えられることにより、無線送信(警報表示等)を省略することとなるため、ステップ♯15を行う必要がない。
なお、上記標準電力消費状態の場合には、外部機器18としてのインターホン子機に警報動作(警報表示、警報音声など)を実行可能な外部信号(鳴動用信号)を無線出力させて、当該インターホン子機からビープ音などで呼び出して警報を報知することもでき、また、当該インターホンによる呼び出しに応じて通話を行うと、「ガス漏れです、換気して下さい」などの警報音声を発声させて、警報を報知することもできる。
【0043】
(2)上記実施形態では、警報出力手段5が出力状態切替手段6を、警報表示自体や警報音声自体の出力状態を標準電力消費状態と省電力消費状態との間で切り替え可能に動作制御したが、省消費電力化を図ることができる構成であればこれに限定されず、警報表示、警報音声及び外部信号の相互間で変更して、出力状態を標準電力消費状態と省電力消費状態との間で切り替えるように動作制御することもできる。すなわち、警報を出力する際に、存否情報に応じて、消費電力が比較的小さい出力状態を省電力消費状態にし、消費電力が比較的大きい出力状態を標準電力消費状態とすることにより、省電力化を図ることができる。
具体的には、例えば、比較的消費電力が大きい警報音声の出力状態を標準電力消費状態とし、比較的消費電力が小さい警報表示の出力状態を省電力消費状態として、これらを存否情報に応じて適宜切り替えることにより、警報を出力する際の消費電力をできるだけ軽減することができる。また、同様に、比較的消費電力が大きい警報表示の出力状態を標準電力消費状態とし、比較的消費電力が小さい外部信号の出力状態を省電力消費状態とすることもでき、さらに、比較的消費電力が大きい警報音声の出力状態を標準電力消費状態とし、比較的消費電力が小さい外部信号の出力状態を省電力消費状態とすることもできる。
【0044】
(3)上記実施形態では、警報装置は内蔵電池8aにより駆動電力を供給することとしたが、設置性を特に問題としない場合、例えば、交流電源が警報装置の近傍に存在する場合などには、当該交流電源を電源部として駆動電力を供給する構成としてもよい。
【0045】
(4)上記実施形態では、表示部において実際に警報表示を表示する機器としてLCDを用いたが、適切に警報を報知することができる機器であって、低電力消費の機器であれば、特に制限なく用いることができ、例えば、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)を用いることもできる。当該LEDにおいて警報表示をする際には、例えば、異常ではない状態では緑色に点灯しているものを、異常状態においては赤色で点灯させることにより、警報表示とすることができる。
なお、複数のLEDを用いることもでき、LEDとLCDを併用することもできる。
具体的には、LEDとLCDを併用する際には、省電力消費状態の場合には、LEDにより警報表示(上記赤色点灯など)を表示することとし、標準電力消費状態の場合には、LCDにより警報表示(上記文字表示など)をすることにより、適宜省消費電力化を図ることができる。
【0046】
(5)上記実施形態では、メタンセンサ、COセンサとして半導体式のセンサ素子を用いてメタンガス、COガスを検知したが、特に、薄膜型の半導体式センサ素子を用いることもできる。薄膜型の半導体式センサ素子を用いてメタンガス等を検知する場合には、ガス感応部である半導体の熱容量が小さいため、当該半導体の温度を検知に最適な温度(200℃〜500℃程度)に低消費電力で加熱することができ、特に電池により駆動する警報装置においては、電力消費を抑制できる点において有効である。
【0047】
(6)上記実施形態では、メタンセンサ、COセンサ、熱センサを設けて構成したが、さらに公知の煙センサを設けて、火災を検出するように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、異常状態を検知して警報を出力するにあたり、警報装置の周辺に存在する人に確実に警報を知らせることができるとともに、できるだけ消費電力の抑制が可能な警報装置として有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】警報装置の立面図
【図2】警報装置の構成を示すブロック図
【図3】本願に係る警報装置の異常監視モードの処理を示すフロー図
【図4】本願の別実施形態に係る警報装置の異常監視モードの処理を示すフロー図
【符号の説明】
【0050】
4 検知手段
5 警報出力手段
6 出力状態切替手段
7 存否情報検出手段
7a 人感センサ(存否情報検出手段)
8 電源部
8a 内蔵電池(電源部)
10 表示部
11 音声出力部
12 外部信号出力部
100、200 警報装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電力を供給する電源部と、
検知対象の異常状態を検知する検知手段と、
前記異常状態を検知して警報を出力する警報出力手段とを備えた警報装置であって、
前記警報出力手段の出力状態を、標準電力消費状態と当該標準電力消費状態よりも消費電力を抑えた省電力消費状態との間で切り替え可能な出力状態切替手段と、
人の存在又は不在を示す存否情報を自動検出する存否情報検出手段とを備え、
前記警報出力手段が、前記存否情報検出手段により検出された存否情報に基づいて前記出力状態切替手段を動作制御する警報装置。
【請求項2】
前記存否情報検出手段が、人感センサである請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記警報出力手段が、前記警報を、警報表示、警報音声及び外部信号の相互間で変更する形態で、前記出力状態切替手段を動作制御する請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記省電力消費状態が、前記警報が警報表示である場合には、当該警報表示を表示しない状態若しくは当該警報表示の明るさを前記標準電力消費状態における警報表示の明るさよりも暗くする状態で、前記警報が警報音声である場合には、当該警報音声を発声しない状態若しくは当該警報音声の発声間隔を前記標準電力消費状態における警報音声の発声間隔よりも長くする状態であり、
前記警報出力手段が、前記存否情報検出手段により人の不在を検出した場合に、前記出力状態切替手段により前記出力状態を前記省電力消費状態に切り替える請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項5】
前記省電力消費状態が、前記警報が警報表示である場合には、当該警報表示の明るさを前記標準電力消費状態における警報表示の明るさよりも暗くする状態で、前記警報が警報音声である場合には、当該警報音声の音量を前記標準電力消費状態における警報音声の音量よりも小さくする状態で、前記警報が外部信号である場合には、当該外部信号を送信しない状態であり、
前記警報出力手段が、前記存否情報検出手段により人の存在を検出した場合に、前記出力状態切替手段により前記出力状態を前記省電力消費状態に切り替える請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項6】
前記電源部が、内蔵電池から駆動電力を供給するように構成されている請求項1から5の何れか一項に記載の警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−211301(P2009−211301A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52368(P2008−52368)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)
【Fターム(参考)】