説明

警察車両用画像記録システム

【課題】障害があっても確実に画像情報を管理コンピュータに転送でき、制御プログラムを更新する際の手間を低減できるようにする。
【解決手段】警察車両に設けられる車載ユニット10は、可搬記録媒体50との間で制御プログラムを読み出す処理および情報を書き込む処理を実施する記録部と、制御プログラムを記憶する記憶部と、撮像装置12、14、16と、車載ユニット10を制御する制御部30とを備える。制御部30は、所定のトリガを検知すると記録部に実行させる制御を行う。管理コンピュータ60は、可搬記録媒体50に記録された情報を記録するデータ保存手段と、制御プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、可搬記録媒体50に記録された情報をデータ保存手段へ転送する転送手段と、プログラム記憶手段から可搬記録媒体50へ制御プログラムを転送するプログラム転送手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は警察車両用画像記録システムに関し、警察車両に設けられる車載ユニットの制御プログラムを更新する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、運転席もしくは助手席から、身を乗り出したりすることなく容易にシステムの入力部に手が届く操作性に優れた画像記録装置を備える警察車両に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。カメラで撮影した画像情報を記憶装置に記憶し、無線機等を介して本部(管理コンピュータ)に送信する。
【0003】
また、カメラ、データ記録装置、GPS装置を警察車両に搭載し、巡回して撮影した動画を撮影時の位置情報とともにデータ記録装置の記録媒体に記録する技術の一例が開示されている(例えば特許文献2を参照)。記録媒体に記録された画像情報は、通信ネットワークを介して管理センター(管理コンピュータ)に送信する。
【特許文献1】特開2005−231532号公報
【特許文献2】特開2002−357557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、警察車両から画像情報を送信しようとしても、送受信機や送信路等に障害がある場合には管理コンピュータに送信することができない。こうした事態を回避するためには、リムーバブルハードディスク装置等のような可搬記録媒体に画像情報を記録できる記録装置を警察車両に備えたうえで、当該可搬記録媒体を定期的に着脱し、記録されている画像情報を管理コンピュータに転送すればよい。
【0005】
ところで、警察車両には上述した撮像装置のほか、車両外部へ向けて拡声するスピーカ、速度取り締まり用のレーダ装置、警察用無線、緊急灯等のように警察業務に必要な各種の機器が搭載されている。これらの機器は車載ユニットで制御可能であり、特に撮像装置は制御プログラムに従って少なくとも姿勢や拡大縮小率等を制御可能である。こうした制御を行う制御プログラムは、機能向上や不具合解消等のために改訂されてバージョン情報が新しくなる場合があり、従来では次のようにして更新されていた。すなわち、管理コンピュータ側では新しいバージョン情報の制御プログラムを例えばUSBメモリのような可搬フラッシュメモリに手動で転送(記録)し、警察車両側では可搬フラッシュメモリに記録された制御プログラムを手動で車載ユニット(具体的には内部の記憶装置)に転送していた。したがって、制御プログラムの改訂によって更新の必要が生じた場合には、管理コンピュータ側と警察車両側の双方で新しいバージョン情報の制御プログラムを転送する作業を行わなければならず、手間(工数)を要していた。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、送受信機や送信路等に障害があっても確実に画像情報を管理コンピュータに転送でき、かつ制御プログラムを更新するにあたって手間を低減できる警察車両用画像記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、画像情報を記録するための車載ユニットを設けた警察車両を有する警察車両用画像記録システムにおいて、車載ユニットを動作させる制御プログラムを記憶させた可搬記録媒体から情報を読み出す処理および可搬記録媒体に情報を書き込む処理を実施する記録部と、制御プログラムを記憶する記憶部と、撮像装置と、前記記憶部に記憶された制御プログラムに従って車載ユニットを制御する制御部とを車載ユニットは備えており、前記制御部は、所定のトリガを検知すると、可搬記録媒体から前記記憶部へ制御プログラムを転送する動作を前記記録部に実行させる制御を行う構成であり、可搬記録媒体に記録された情報を記録(蓄積を含む。)するデータ保存手段と、車載ユニットを動作させる制御プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、可搬記録媒体に記録された情報を前記データ保存手段へ転送する転送手段と、前記プログラム記憶手段から可搬記録媒体へ制御プログラムを転送するプログラム転送手段とを有する管理コンピュータとを備えたことを要旨とする。
【0008】
可搬記録媒体は、画像情報や制御プログラム等を記録可能であって、搬送可能な任意の記録媒体を適用することができる。例えば、上述したリムーバブルハードディスク装置や、光磁気ディスク、フラッシュメモリ(メモリカードを含む)、フレキシブルディスク等が該当する。バージョン情報はプログラムの版(すなわちバージョン)を特定する情報であって、例えば日時情報(すなわち改訂された日時を表す情報)や符号情報(すなわち英数字や記号等を組み合わせた情報)などが該当する。撮像装置は、撮像素子により撮像した映像や画像等を画像情報として出力可能な任意の装置を適用でき、台数を問わない。データ保存手段は、可搬記録媒体に記録された情報(特に画像情報)を記録または蓄積できれば任意の手段を適用でき、例えばデータベース、記録装置、記録媒体等が該当する。
【0009】
解決手段1によれば、警察車両側では、撮像装置で撮像した画像情報(例えば映像や画像等)や他の情報は記録部によって可搬記録媒体に記録される処理が行われる。画像情報が記録された可搬記録媒体を定期的(あるいは不定期的)に着脱し、管理コンピュータ側で可搬記録媒体に記録された画像情報を転送手段によってデータ保存手段に転送すればよい。データ保存手段は可搬記録媒体に記録された情報を記録する。よって、送受信機や送信路等に障害があっても確実に画像情報を管理コンピュータに転送できる。
また、改訂されてバージョン情報が新しくなった制御プログラムがプログラム記憶手段に記憶されると、管理コンピュータ側では可搬記録媒体に新しいバージョン情報の制御プログラムを記録し、警察車両側では制御部が記録部に実行させることにより可搬記録媒体に記録された新しいバージョン情報の制御プログラムを記憶部に転送する。よって、管理コンピュータと警察車両との間で可搬記録媒体を行き来するだけで制御プログラムの更新が自動的に行われるので、従来のような手間(工数)を低減できる。
【0010】
(2)解決手段2は、解決手段1に記載した警察車両用画像記録システムであって、車載ユニットは、制御プログラムを記憶させた可搬記録媒体を収容する収容部と、当該収容部に可搬記録媒体が収容されたか否かを検知する収容センサとを備え、トリガは、収容部に可搬記録媒体が収容されたことを収容センサが検知した信号であることを要旨とする。
【0011】
解決手段2によれば、車載ユニットにおいて、収容部に可搬記録媒体が収容されると収容センサが検知して信号を出力する。制御部はこの信号がトリガとして記録部に実行させ、可搬記録媒体に記録された新しいバージョン情報の制御プログラムを記憶部に転送する。したがって、車載ユニットの収容部に可搬記録媒体を収容するだけでよいので、手間を低減しながらも、新しいバージョン情報の制御プログラムに更新することができる。
【0012】
(3)解決手段3は、解決手段2に記載した警察車両用画像記録システムであって、管理コンピュータは、可搬記録媒体を収容する収容部と、収容部に可搬記録媒体が収容されたか否かを検知する収容センサと、プログラム記憶手段が記憶している制御プログラムのバージョン情報を管理するバージョン情報管理手段とを備え、収容部に可搬記録媒体が収容されたことを収容センサが検知すると、管理コンピュータは、バージョン情報管理手段を参照して該可搬記録媒体が記憶している制御プログラムがプログラム記憶手段が記憶している制御プログラムと同じバージョンでないと判断した場合のみ、プログラム記憶手段から該可搬記録媒体に制御プログラムを転送する処理を行うことを要旨とする。
【0013】
解決手段3によれば、管理コンピュータは、収容部に可搬記録媒体が収容されると収容センサが検知すると、可搬記録媒体が記憶している制御プログラムとプログラム記憶手段が記憶している制御プログラムとが同じバージョンでない場合にのみ、プログラム記憶手段から可搬記録媒体に制御プログラムを転送する処理を行う。したがって、管理コンピュータの収容部に可搬記録媒体を収容するだけでよいので、手間をより一層低減できる。
【0014】
(4)解決手段4は、解決手段2に記載した警察車両用画像記録システムであって、記憶部に記憶されている制御プログラムのバージョン情報が収容部に収容されている可搬記録媒体に記憶されている制御プログラムのバージョン情報よりも古いときにのみ、制御部はトリガを有効と判断することを要旨とする。
【0015】
解決手段4によれば、車載ユニットにおいて、制御部が収容センサから出力された信号を受けた場合でも、記憶部に記憶されている制御プログラムのバージョン情報が収容部に収容されている可搬記録媒体に記憶されている制御プログラムのバージョン情報と比べて同じとき又は新しいときはトリガは無効として何も行わない。言い換えれば、古いときに限ってトリガを有効とし、可搬記録媒体に記録された新しいバージョン情報の制御プログラムを記憶部に転送する。したがって、車載ユニットの収容部に可搬記録媒体を収容するだけでよいので、無駄な転送を防止しながらも、新しいバージョン情報の制御プログラムに更新することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、可搬記録媒体を媒介として画像情報を転送するので、送受信機や送信路等に障害がある場合でも確実に画像情報を管理コンピュータに転送できる。また、管理コンピュータと警察車両との間で可搬記録媒体を行き来するだけで制御プログラムの更新が自動的に行われるので、従来のような手間(工数)を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
まず図1には、警察車両用画像記録システムの構成例を模式図で表す。警察車両用画像記録システムは大別して、例えばパトカー等のような警察車両(以下では単に「車両」と呼ぶ。)に搭載される車載ユニット10と、管理コンピュータ60とからなる。
【0019】
車載ユニット10は、撮像装置12、14、16、姿勢制御手段20、ズーム手段22、切替器24、制御部30などを有する。撮像装置12、14、16は、いずれも例えばCCD、CMOS、FOVEON−X3、LBCAST等の撮像素子を備え、撮像された映像や画像等を画像情報として出力する。撮像装置12を車両Cの屋根に搭載した一例を図2(A)に表し、撮像装置14(または撮像装置16)を車両Cの内部天井に搭載した一例を図2(B)に表す。
【0020】
図1に戻って、姿勢制御手段20は撮像装置12(あるいは撮像素子)の向きを上下や左右に変えるために姿勢を制御する。ズーム手段22は、撮像素子とレンズの間の焦点距離を変化させることによって拡大縮小率すなわち広角・望遠を切り替える。切替器24は、撮像装置14または撮像装置16のいずれかで撮像した映像や画像等の画像情報のみを制御部30に伝達するために切り替えを行う。本例では、切替器24に備えた操作部材(例えばレバーやスイッチ等)を操作することにより切り替えを行うものとする。
【0021】
制御部30は、圧縮手段32、34、CPU36、表示装置38、メモリ40、操作パネル42、収容部46などを有する。圧縮手段32、34は、撮像装置12、14、16から出力された画像情報を圧縮してCPU36に伝達する。圧縮は、画像情報が動画であれば例えばMPEG形式やH.264形式等のような動画圧縮形式で行い、画像情報が静止画(画像)であれば例えばJPEG形式等のような画像圧縮形式で行う。
【0022】
CPU36は、メモリ40に記憶された制御プログラムに従って車載ユニット10で行う全ての制御を司る。表示装置38は例えば液晶表示器等が用いられ、撮像装置12、14、16で撮像された映像や画像等を表示したり、その他の情報を表示する。メモリ40は少なくとも一部が「記憶部」に相当し、例えばフラッシュメモリ、ROM、RAM等のうちで一以上が該当する。このメモリ40には、上述した制御プログラムや、当該制御プログラムのバージョン情報(以下では単に「車載バージョン情報」と呼ぶ。)、画像情報、その他の情報を記憶する。制御プログラムには後述する転送処理を含む(図3(B)を参照)。操作パネル42には車載ユニット10で制御を行うための操作部材、例えば姿勢制御手段20やズーム手段22を作動させるためのレバーやスイッチ等を有する。
【0023】
収容部46(いわゆるスロット)は収容センサ44を有し、可搬記録媒体50を着脱自在に収容する。収容センサ44は可搬記録媒体50が収容されたか否かを検知し、検知信号としてCPU36に出力する。可搬記録媒体50が収容部46に収容(装着)されると収容センサ44が検知信号を出力するので、当該検知信号をトリガとして情報の入出力を行う。すなわち、CPU36から出力された情報を可搬記録媒体50に記録したり、可搬記録媒体50に記録された情報をCPU36に出力してメモリ40に記憶したり表示装置38に表示する。このように可搬記録媒体50から情報を読み出す処理および可搬記録媒体50に情報を書き込む処理は、記録部を具体化したプログラムであり、上記制御プログラムに含まれる。可搬記録媒体50には情報(特に画像情報)を記録可能な可搬の媒体であれば任意の媒体を適用でき、例えばリムーバブルハードディスク装置、光磁気ディスク、フラッシュメモリ(USBメモリやSDメモリカード等を含む。)、フレキシブルディスク等が該当する。
【0024】
管理コンピュータ60は例えば警察本部庁舎等のような建物内に設置され、データベース62、CPU64、表示装置66、メモリ68、入力装置70、収容部74などを有する。データベース62は「データ保存手段」に相当し、少なくとも撮像装置12、14、16で撮像された映像や画像等の画像情報、その他の情報を記録(または蓄積)する。CPU64は、メモリ68に記憶された管理プログラムに従って管理コンピュータ60で行う全ての制御を司る。管理プログラムには「転送手段」「プログラム転送手段」「バージョン情報管理手段」をそれぞれ具体化したプログラムを含み、後述する記録処理(図3(A)を参照)や他の処理を実現する。表示装置66は表示装置38と同様に、各種の情報を表示する。
【0025】
メモリ68には、メモリ40と同様に例えばフラッシュメモリ、ROM、RAM等のうちで一以上を用いる。このメモリ68には、上述した管理プログラムや、制御プログラム、当該制御プログラムのバージョン情報、可搬記録媒体50を特定する媒体特定情報(例えば可搬記録媒体50ごとに固有に設定されたID等)、制御プログラムを可搬記録媒体50に記録した日時を表す記録日時情報、その他の情報を記憶する。バージョン情報はバージョン情報管理手段によって管理され、改訂された日時を表す改訂日時情報や、英数字や記号等を組み合わせた符号情報などが該当する。以下では、メモリ68に記憶されている制御プログラムが最新のバージョン情報であると仮定し、単に「改訂バージョン情報」と呼ぶ。なお、メモリ68のうちで制御プログラムを記憶する領域は「プログラム記憶手段」に相当する。
【0026】
入力装置70には、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスを用いる。収容部74は収容部46と同様に収容センサ72を有し、可搬記録媒体50を着脱自在に収容する。収容センサ72の機能は収容センサ44と同等である。よって、CPU64から出力された情報を可搬記録媒体50に記録したり、可搬記録媒体50に記録された情報をCPU36に出力してデータベース62やメモリ68に記憶したり表示装置66に表示する。
なお、メモリ68に記憶された制御プログラムを可搬記録媒体50に記録するのはプログラム転送手段を具体化したプログラムの実行で実現する。また、可搬記録媒体50に記録された画像情報をデータベース62(データ保存手段)に転送するのは転送手段を具体化したプログラムの実行で実現する。
【0027】
上述のように構成された警察車両用画像記録システムについて、制御プログラムが改訂されてバージョン情報が新しくなった場合の処理について図3を参照しながら説明する。図3(A)には管理コンピュータ60で実行される記録処理をフローチャートで表し、図3(B)には制御部30で実行される転送処理をフローチャートで表す。図3(A)の記録処理は管理コンピュータ60の電源がオンのときに繰り返し実行される。図3(B)の転送処理は記録部に相当し、制御部30の電源がオンのとき、言い換えれば車両Cのイグニッションキーがオンのときに繰り返し実行される。
【0028】
図3(A)の記録処理において、可搬記録媒体50を収容部74に収容すると収容センサ72が検知して検知信号を出力するので(ステップS10でYES)、当該検知信号を受けてバージョン情報等を取得する〔ステップS14〕。具体的には、改訂バージョン情報、媒体特定情報、記録日時情報などを取得する。
なお、ステップS14の処理と並行(または前後)して、可搬記録媒体50(具体的には後述する通常記録領域56;図4を参照)に記録されている画像情報等をデータベース62に自動的に転送してもよい〔転送手段に相当する;ステップS12〕。データベース62への画像情報等の転送は他の処理で行ってもよい。
【0029】
ステップS14で取得したバージョン情報等に基づいて可搬記録媒体50に初アクセスするか否かを判別する〔ステップS16〕。すなわち、媒体特定情報で特定される可搬記録媒体50の記録日時情報が、改訂バージョン情報に含まれる改訂日時情報と比較して古い(つまり初アクセス)か否かを判別する。もし、可搬記録媒体50に初アクセスするときは(ステップS16でYES)、メモリ68に記憶されている制御プログラムと改訂バージョン情報を可搬記録媒体50の所定領域に記録する〔プログラム転送手段に相当する;ステップS18〕。
【0030】
ここで、可搬記録媒体50の領域区分例を図4に表す。可搬記録媒体50は、バージョン情報を記録するバージョン情報記録領域52と、制御プログラムを記録する制御プログラム記録領域54、画像情報、その他の情報を記録する通常記録領域56と区分されている。ただし、バージョン情報記録領域52および制御プログラム記録領域54はオペレーティングシステム等からアクセス不能な領域となるように設定する。
【0031】
図3(A)に戻ってステップS18では、図4の区分に従って制御プログラムを制御プログラム記録領域54に記録し、改訂バージョン情報をバージョン情報記録領域52に記録する。一方、可搬記録媒体50を収容部74に収容していないときは収容センサ72が検知せず(ステップS10でNO)、可搬記録媒体50に記録されている制御プログラムのバージョン情報(以下では単に「媒体バージョン情報」と呼ぶ。)が改訂バージョン情報と同じか新しい(バージョンが同等以上)ときは(ステップS16でNO)、いずれもそのまま記録処理を終える。
【0032】
図3(B)の転送処理において、可搬記録媒体50を収容部46に収容すると収容センサ44が検知して検知信号を出力するので(ステップS20でYES)、当該検知信号をトリガとしてバージョン情報等を取得する〔ステップS24〕。具体的には、可搬記録媒体50のバージョン情報記録領域52に記録されている媒体バージョン情報と、メモリ40に記憶されている車載バージョン情報とを取得する。
なお、ステップS24の処理と並行(または前後)して、メモリ40に記録されている画像情報等を可搬記録媒体50の通常記録領域56に自動的に記録してもよい〔ステップS22〕。可搬記録媒体50への画像情報等の記録は他の処理で行ってもよい。
【0033】
車載バージョン情報が媒体バージョン情報よりも古いときに限って(ステップS26で「古い」)、バージョン情報記録領域52に記憶されている制御プログラムと媒体バージョン情報をメモリ40に転送して記憶する〔ステップS30〕。制御プログラムや媒体バージョン情報等を記憶するメモリ40の記憶領域には、例えばフラッシュメモリ等のような不揮発メモリを用いる。
一方、車載バージョン情報が媒体バージョン情報よりも新しいときは(ステップS26で「新しい」)、制御プログラムを転送するか否かを問い合わせる〔ステップS28〕。この問い合わせに対して転送を指示された場合に限って(ステップS28でYES)、バージョン情報記録領域52に記憶されている制御プログラムと媒体バージョン情報をメモリ40に転送して記憶する〔ステップS30〕。
【0034】
なお、可搬記録媒体50を収容部46に収容していないために収容センサ44が検知しないときや(ステップS20でNO)、車載バージョン情報が媒体バージョン情報と同じとき(ステップS26でNO)、問い合わせに対して転送しない旨が指示されたときは(ステップS28でNO)、いずれもその時点で転送処理を終える。
【0035】
上述した実施の形態によれば、以下に表す各効果を得ることができる。
(1)車載ユニット10側では、撮像装置12、14、16で撮像した映像や画像等の画像情報は制御プログラムによって可搬記録媒体50に記録される。画像情報が記録された可搬記録媒体50を定期的(あるいは不定期的)に着脱するだけで、管理コンピュータ60側で可搬記録媒体50に記録された画像情報がデータベース62に転送される。よって、送受信機や送信路等に障害があっても確実に画像情報を管理コンピュータ60に転送できる。また、制御プログラムが改訂されて新しいバージョン情報になると、管理コンピュータ60側では可搬記録媒体50に制御プログラムを自動的に記録し、車載ユニット10側では制御部30が可搬記録媒体50に記録された制御プログラムを自動的にメモリ40に転送する(図3を参照)。よって、管理コンピュータ60と車載ユニット10との間で可搬記録媒体50を行き来するだけで(図1における破線を参照)、制御プログラムの更新を自動的に行えるので、従来のような手間を低減できる。
【0036】
(2)車載ユニット10側では、収容部46に可搬記録媒体50が収容されると収容センサ44が検知して検知信号を出力する。制御部30はこの信号をトリガとして制御プログラム(記録部)を実行させ、可搬記録媒体50に記録された新しいバージョン情報の制御プログラムをメモリ40に転送する(図3(B)を参照)。したがって、車載ユニット10の収容部46に可搬記録媒体50を収容するだけでよいので、手間を低減しながらも、新しいバージョン情報の制御プログラムに更新することができる。
【0037】
(3)管理コンピュータ60側では、収容部74に可搬記録媒体50が収容されたことを収容センサ72が検知すると、可搬記録媒体50が記憶している制御プログラムとメモリ68が記憶している制御プログラムとが同じバージョンでない場合にのみ、すなわち可搬記録媒体50に対して初アクセスを行う場合にのみメモリ68から可搬記録媒体50に制御プログラムを転送する処理を行う(図3(B)を参照)。したがって、管理コンピュータ60の収容部74に可搬記録媒体50を収容するだけでよいので、手間をより一層低減できる。
【0038】
(4)車載ユニット10側では、制御部30が収容センサ44から出力された信号を受けた場合でも、メモリ40に記憶されている制御プログラムのバージョン情報が収容部46に収容されている可搬記録媒体50に記憶されている制御プログラムのバージョン情報と比べて同じとき又は新しいときはトリガは無効として何も行わなかった。すなわち古いときに限ってトリガを有効として、可搬記録媒体50に記録された新しいバージョン情報の制御プログラムをメモリ40に転送した(図3(A)を参照)。したがって、車載ユニット10の収容部46に可搬記録媒体50を収容するだけでよいので、無駄な転送を防止しながらも、新しいバージョン情報の制御プログラムに更新することができる。
【0039】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0040】
(1)上述した実施の形態では、バージョン情報記録領域52と制御プログラム記録領域54とを別個の領域に区分した(図4を参照)。この形態に代えて、制御プログラム内における所定位置(すなわち所定のアドレス)に情報としてバージョン情報を格納する構成としてもよい。こうすればバージョン情報記録領域52が不要となり、制御プログラム記録領域54のみを設定すればよい。よって可搬記録媒体50の管理が容易になる。
【0041】
(2)上述した実施の形態では、可搬記録媒体50に記録されている画像情報をデータベース62に転送する構成とした(図1を参照)。この形態に代えて(あるいは加えて)、データベース以外の記録装置(例えばハードディスク装置等)や記録媒体(例えば光磁気ディスク等)に転送して記録する構成としてもよい。あるいは、管理コンピュータ60の外部に設置されたデータベース、記録装置、記録媒体等に転送して記録する構成としてもよい。いずれにせよ、画像情報を確実に記録保存することができる。
【0042】
(3)上述した実施の形態では、収容センサ44が可搬記録媒体50の収容を検知するとバージョン情報を検査した(図3(B)を参照)。すなわち図3(B)の転送処理は車両Cのイグニッションキーがオンである間に繰り返し実行する構成とした。この形態に代えて、車両Cのイグニッションキーがオフからオンになって制御部30で実行される初期化処理の一つとして図3(B)の転送処理を実行してもよい。可搬記録媒体50を収容部46に収容してから車両Cのイグニッションキーをオンにすることが多いので、初期化処理とともに転送処理を実行するだけでも確実に制御プログラムの更新を行える。
【0043】
(4)上述した実施の形態では、切替器24に備えた操作部材を操作することにより切り替えを行う構成とした。この形態に代えて、制御部30から出力される切替信号(図1では二点鎖線で表す)に従って切り替えるように切替器24を構成してもよい。こうすれば操作パネル42から撮像装置14、16の切り替えを行えるようになるので、操作パネル42で集中して操作が行える。
【0044】
(5)上述した実施の形態では、ズーム手段22は、撮像素子とレンズの間の焦点距離を変化させることによって拡大縮小率を切り替える構成とした。この構成に代えて、撮像装置の所定部位(全体や中央部分等)で撮影した画像を拡大または縮小し、必要に応じて補間処理を行う構成としてもよい。この場合も撮像した画像の拡大縮小が行え、撮像素子とレンズの間の焦点距離を変化させるための機構が不要になるのでコストを抑えられる。
【0045】
(6)上述した実施の形態では、可搬記録媒体50に対して初アクセスを行う場合にのみメモリ68から可搬記録媒体50に制御プログラムを転送する処理を行った(図3(A)を参照)。この形態に代えて、ステップS14では改訂バージョン情報と媒体バージョン情報を取得し、ステップS16では媒体バージョン情報が改訂バージョン情報よりも古いか否かを判別し、媒体バージョン情報が改訂バージョン情報よりも古いときにのみステップS18でメモリ68に記憶されている制御プログラムと改訂バージョン情報を可搬記録媒体50の所定領域に記録する構成としてもよい。あるいは、媒体バージョン情報の如何にかかわらず、メモリ68に記憶されている制御プログラムと改訂バージョン情報を可搬記録媒体50の所定領域に記録する構成としてもよい。いずれにせよ、メモリ68に記憶されている制御プログラムを可搬記録媒体50に確実に記録することができる。
【0046】
(7)上述した実施の形態では、収容部46に可搬記録媒体50が収容されたときに収容センサ44が出力する検知信号をトリガとして、制御部30は可搬記録媒体50に記録されている制御プログラムをメモリ40に転送した(図3(B)を参照)。この形態に代えて、他の信号をトリガとして可搬記録媒体50に記録されている制御プログラムをメモリ40に転送する構成としてもよい。他の信号としては、例えばCPU36から収容部46や可搬記録媒体50に対してリクエスト信号を定期的(または不定期的)に出力し、当該リクエスト信号に対応して出力された応答信号が該当する。このように他の信号をトリガとしても可搬記録媒体50に記録されている制御プログラムをメモリ40に確実に転送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】警察車両用画像記録システムの構成例を表す模式図である。
【図2】警察車両に搭載した撮像装置の一例を表す図である。
【図3】記録処理および転送処理をそれぞれ表すフローチャートである。
【図4】可搬記録媒体の領域区分例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0048】
C 車両(警察車両)
10 車載ユニット
12、14、16 撮像装置
20 姿勢制御手段
22 ズーム手段
24 切替器
30 制御部
32、34 圧縮手段
36、64 CPU
38、66 表示装置
40、68 メモリ
42 操作パネル
44、72 収容センサ
46、74 収容部
50 可搬記録媒体
52 バージョン情報記録領域
54 制御プログラム記録領域
56 通常記録領域
60 管理コンピュータ
62 データベース
70 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を記録するための車載ユニットを設けた警察車両を有する警察車両用画像記録システムにおいて、
車載ユニットを動作させる制御プログラムを記憶させた可搬記録媒体から情報を読み出す処理および可搬記録媒体に情報を書き込む処理を実施する記録部と、制御プログラムを記憶する記憶部と、撮像装置と、前記記憶部に記憶された制御プログラムに従って車載ユニットを制御する制御部とを車載ユニットは備えており、
前記制御部は、所定のトリガを検知すると、可搬記録媒体から前記記憶部へ制御プログラムを転送する動作を前記記録部に実行させる制御を行う構成であり、
可搬記録媒体に記録された情報を記録するデータ保存手段と、
車載ユニットを動作させる制御プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、可搬記録媒体に記録された情報を前記データ保存手段へ転送する転送手段と、前記プログラム記憶手段から可搬記録媒体へ制御プログラムを転送するプログラム転送手段とを有する管理コンピュータとを備えた警察車両用画像記録システム。
【請求項2】
請求項1に記載した警察車両用画像記録システムであって、
車載ユニットは、制御プログラムを記憶させた可搬記録媒体を収容する収容部と、当該収容部に可搬記録媒体が収容されたか否かを検出する収容センサとを備え、
トリガは、収容部に可搬記録媒体が収容されたことを収容センサが検出した信号である警察車両用画像記録システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した警察車両用画像記録システムであって、
管理コンピュータは、可搬記録媒体を収容する収容部と、収容部に可搬記録媒体が収容されたか否かを検出する収容センサと、プログラム記憶手段が記憶している制御プログラムのバージョン情報を管理するバージョン情報管理手段とを備え、
収容部に可搬記録媒体が収容されたことを収容センサが検知すると、管理コンピュータは、バージョン情報管理手段を参照して該可搬記録媒体が記憶している制御プログラムがプログラム記憶手段が記憶している制御プログラムと同じバージョンでないと判断した場合のみ、プログラム記憶手段から該可搬記録媒体に制御プログラムを転送する処理を行う警察車両用画像記録システム。
【請求項4】
請求項2に記載した警察車両用画像記録システムであって、
記憶部に記憶されている制御プログラムのバージョン情報が収容部に収容されている可搬記録媒体に記憶されている制御プログラムのバージョン情報よりも古いときにのみ、制御部はトリガを有効と判断する警察車両用画像記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−100169(P2009−100169A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268910(P2007−268910)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(391006348)株式会社タイテック (79)
【Fターム(参考)】