説明

貨物コンテナ輸送の速達化システム

【課題】 鉄道から鉄道へのコンテナの積替えを円滑に行い、コンテナ輸送の効率化を可能にする貨物コンテナ輸送の速達化システムを提供する。
【解決手段】 貨物コンテナ輸送の速達化システムであって、高速コンテナ鉄道貨車ターミナル4と在来コンテナ鉄道貨車ターミナル1における荷台の高さを等しくし、前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと前記在来コンテナ鉄道貨車ターミナルとの間のコンテナのスライド積替え手段を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物コンテナ輸送の速達化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図16は従来のコンテナの積替えの模式図である。
【0003】
図16において、101は荷主(工場等)からの製品を搭載したコンテナ102を搭載したトラック、103はフォークリフト、104はコンテナ鉄道貨車である。
【0004】
このように、現状のコンテナ輸送では、荷主(工場等)からの製品を搭載したコンテナ102をトラック101が集配し、コンテナターミナル等でそのコンテナ102をトラック101からコンテナ鉄道貨車104にフォークリフト103等で積替えるようにしている。
【0005】
しかしながら、フォークリフト103による積替えではコンテナ1個ずつの作業しか行えず、さらには線路上空に鉄道架線が存在する場所では作業が行えないため、非電化側線等にディーゼル機関車や入換機関車等で移動したり列車を編成したりする作業時間が必要となり、目的地に向けたコンテナ鉄道列車を仕立てるためには膨大な時間を要する。
【0006】
また、鉄道貨物列車が在来線を走行する場合、一般のコンテナ貨車であると最高速度が110km/h、専用コンテナ貨車でも最高速度は130km/hであり、トラック等による輸送との速度差が小さく、航空機輸送と比較しても時間を要している。
【0007】
このため、積替えや列車組成に要する時間、さらには列車の運行に要する時間が長い。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したように、従来の鉄道貨物コンテナ輸送方法では、非効率的であり、トラックのみによる直接輸送の需要に押されているのが現状である。
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みて、鉄道から鉄道へのコンテナの積替えを円滑に行い、コンテナ輸送の効率化を可能にする貨物コンテナ輸送の速達化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルにおける高速コンテナ鉄道貨車と在来コンテナ鉄道貨車との荷台の高さを等しくし、前記高速コンテナ鉄道貨車と前記在来コンテナ鉄道貨車間でのコンテナのスライド積替え手段を具備することを特徴とする。
【0011】
〔2〕上記〔1〕記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナのスライド積替え手段が、前記荷台とコンテナ底面との空間に差し込まれるクローラーコンベアを備えるコンテナ移動装置からなることを特徴とする。
【0012】
〔3〕上記〔2〕記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記クローラーコンベアの厚みを薄くすることによりこのクローラーコンベアを前記荷台とコンテナ底面との空間に差し込む、又は引き抜くようにし、前記クローラーコンベアの厚みを厚くすることにより前記コンテナを前記荷台から持ち上げ、このクローラーコンベアの上面上で移動可能にすることを特徴とする。
【0013】
〔4〕上記〔1〕記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナを在来コンテナ鉄道貨車から高速コンテナ鉄道貨車へ、この高速コンテナ鉄道貨車から在来コンテナ鉄道貨車へとそれぞれ前記コンテナのスライド積替え手段を用いて積替えることを特徴とする。
【0014】
〔5〕貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルとの間にコンテナ移載ステージを配置し、このコンテナ移載ステージ上に前記高速コンテナ鉄道貨車と前記在来コンテナ鉄道貨車間でのコンテナのスライド積替え手段を具備することを特徴とする。
【0015】
〔6〕上記〔5〕記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナのスライド積替え手段が、厚さが変化する荷台部を有するクローラーコンベアを備えるコンテナ移動装置からなることを特徴とする。
【0016】
〔7〕上記〔6〕記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記クローラーコンベアの荷台部の厚みを薄い状態にすることによりこのクローラーコンベアを前記荷台とコンテナ底面との空間に差し込む、又は引き抜くようにし、前記クローラーコンベアの荷台部の厚みを厚い状態にすることにより前記コンテナを荷台から持ち上げ、前記クローラーコンベアで移動可能にすることを特徴とする。
【0017】
〔8〕上記〔5〕記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルにおける高速コンテナ鉄道貨車と在来コンテナ鉄道貨車との荷台の高さを等しくすることを特徴とする。
【0018】
〔9〕上記〔5〕記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルにおける高速コンテナ鉄道貨車と在来コンテナ鉄道貨車との荷台の高さが異なり、前記コンテナ移載ステージの表面の高さを調整可能にすることを特徴とする。
【0019】
〔10〕上記〔5〕から〔9〕の何れか一項記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナ移載ステージの位置を前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルの長手方向に調整可能にすることを特徴とする。
【0020】
〔11〕上記〔5〕から〔10〕の何れか一項記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナ移載ステージの位置を前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルの幅方向に調整可能にすることを特徴とする。
【0021】
〔12〕上記〔5〕から〔10〕の何れか一項記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナ移載ステージ上での貨物コンテナの傾斜機構を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、効率が良く、迅速で、かつ自然に優しい配送システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の貨物コンテナ輸送の速達化システムは、高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルにおける高速コンテナ鉄道貨車と在来コンテナ鉄道貨車との荷台の高さを等しくし、前記高速コンテナ鉄道貨車と前記在来コンテナ鉄道貨車間でのコンテナのスライド積替えのためにクローラーコンベア装置を具備する。よって、高速で、かつ自然に優しい配送システムを構築することができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの模式図である。
【0026】
図1において、1は在来コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル、2はそのターミナル1の在来コンテナ鉄道貨車(電車)、3はその在来コンテナ鉄道貨車2に搭載されているコンテナ、4は高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル、5はその高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)、7は在来コンテナ鉄道貨車2上方の架線、8は高速新幹線コンテナ鉄道貨車5の上方の架線、9は中継支持部、10はコンテナのスライド積替え装置、10Aはコンテナのスライド積替え装置10の制御装置、11はそのコンテナのスライド積替え装置10のクローラー(crawler)コンベアであり、制御装置10Aによりそのクローラーコンベアの高さ(厚み)を可変にでき、下面で走行しながら、上面でコンテナ(荷物)を移動させるフォークさや機能付きのクローラーコンベアである。12はそのコンテナのスライド積替え装置10の駆動車、13はクローラーコンベア11の先端部の支持部材であり、制御装置10Aにより駆動車12とクローラーコンベア11を駆動させるとともに、そのクローラーコンベア11を前後方向に移動可能である。
【0027】
このように、在来コンテナ鉄道貨車ターミナル1と高速新幹線コンテナ鉄道貨車ターミナル4における在来コンテナ鉄道貨車2と高速新幹線コンテナ鉄道貨車5の荷台の高さが等しくなるように、軌道面が構築されており、コンテナのスライド積替え装置10により、コンテナを在来コンテナ鉄道貨車2から高速新幹線コンテナ鉄道貨車5へと容易に積替えることができる。
【0028】
図2は従来の貨物コンテナ輸送方式と本発明の貨物コンテナ輸送方式の説明図である。
【0029】
まず、従来の場合は、図2(a)に示すように、工場からコンテナをトラックで工場の最寄りの在来コンテナ鉄道貨車ターミナルに運び、フォークリフトで在来コンテナ鉄道貨車に積替える。在来コンテナ鉄道貨車で配送先の最寄りの在来コンテナ鉄道貨車ターミナルへ運ばれたコンテナはフォークリフトでトラックに積替えられ、トラックにより配送先に配達される。
【0030】
一方、本発明の場合は、図2(b)に示すように、工場からコンテナをトラックで工場の最寄りの在来コンテナ鉄道貨車ターミナルに運び、コンテナのスライド積替え装置でトラックから在来コンテナ鉄道貨車にコンテナを積替える。そして在来コンテナ鉄道貨車で高速新幹線コンテナ鉄道貨車ターミナルまでコンテナを運び、コンテナのスライド積替え装置で在来コンテナ鉄道貨車から高速新幹線コンテナ鉄道貨車へコンテナを積替える。次いで、高速新幹線コンテナ鉄道貨車で所定の高速新幹線コンテナ鉄道貨車ターミナルまで運ぶと、コンテナのスライド積替え装置で高速新幹線コンテナ鉄道貨車から在来コンテナ鉄道貨車へコンテナを積替える。そして、在来コンテナ鉄道貨車で配送先の最寄りの在来コンテナ鉄道貨車ターミナルに運ぶと、コンテナのスライド積替え装置で在来コンテナ鉄道貨車からトラックへコンテナを積替え、トラックにより配送先に配達される。
【0031】
このように構成したので、本発明によれば、コンテナの積替えが容易であり、かつ在来コンテナ鉄道貨車と高速新幹線コンテナ鉄道貨車を利用して短時間で配送先へ配送することが可能となる。本発明の場合は、当然、トラックによる直接配送に比べて、トラックの排気ガスの排出量を低減することができ、自然に優しい配送システムを構築することができる。
【0032】
図3は本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送のターミナルの模式図である。
【0033】
図3において、21は高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル、22はそこに駐留する高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)、23は在来コンテナ鉄道貨車ターミナル、24はそこに駐留する在来コンテナ鉄道貨車、25は高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)22、在来コンテナ鉄道貨車24のコンテナ搭載位置に対応して駐車するコンテナトラック、26はそのコンテナトラック25を定位置に駐車させるための停止位置ストッパーである。
【0034】
このように、高速新幹線コンテナ鉄道貨車22と在来コンテナ鉄道貨車24との間の相互積替えを自在に行うことができる。
【0035】
図4は本発明の実施例を示すスライド積替え装置のクローラーコンベアの模式図であり、図4(a)は厚みを薄くした状態のクローラーコンベア、図4(b)は厚みを厚くした状態のクローラーコンベアである。
【0036】
図4(a)に示すように、厚みを薄くした状態のクローラーコンベア11′は、クローラーの内部のローラーの角度が倒れた状態にあり、図4(b)に示すように、厚み厚くした状態のクローラーコンベア11″は、クローラーの内部のローラーの角度が立ち上がった状態にある。
【0037】
図5は本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す模式図(その1)、図6は本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す模式図(その2)である。
【0038】
まず、図5(a)に示すように、在来コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル1の在来コンテナ鉄道貨車(電車)2にはコンテナ3が搭載されており、高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル4の高速新幹線コンテナ鉄道貨車5は何も搭載されておらず、空となっている。在来コンテナ鉄道貨車2と高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)5の荷台の高さは等しくされている。そして、コンテナのスライド積替え装置10が在来コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル1側に配置され、そのコンテナのスライド積替え装置10のクローラーコンベア11の先端は支持部材13で支持されている。
【0039】
次に、図5(b)に示すように、コンテナのスライド積替え装置10は、駆動車12を前方に移動させて、厚みを薄くした状態のクローラーコンベア11′〔図4(a)参照〕を在来コンテナ貨車(電車)2の荷台とコンテナ3の底面との空間3′に滑り込ませる。そのクローラーコンベア11′の先端は中継支持部9に支持される。
【0040】
次に、図5(c)に示すように、クローラーコンベア11を厚みを厚くした状態のクローラーコンベア11″〔図4(b)参照〕にして、在来コンテナ貨車2の荷台からコンテナ3を持ち上げる。
【0041】
次に、図6(a)に示すように、クローラーコンベア11″を駆動させ、コンテナ3をクローラーコンベア11″の上面上で移動させ、高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル4へと進める。
【0042】
次いで、図6(b)に示すように、コンテナ3が高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)5の上部へ至ると、クローラーコンベア11の厚みを薄くした状態のクローラーコンベア11′〔図4(a)参照〕に戻し、コンテナ3を高速新幹線コンテナ鉄道貨車5の荷台に載せる。
【0043】
次に、図6(c)に示すように、コンテナのスライド積替え装置10の駆動車12を後退させて、クローラーコンベア11′を引き抜くことにより、コンテナ3の高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)5への積替えが完了する。
【0044】
図7は本発明の他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替え装置の模式図、図8は本発明の他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替装置の平面図である。
【0045】
これらの図に示すように、在来コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル31の在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33にはコンテナ34が搭載されており、その在来コンテナ鉄道貨車32の荷台33とコンテナ34との間には空間35が形成されている。その在来コンテナ鉄道貨車32の横には、コンテナ移載ステージ〔貨車の長手方向(図のy方向)に可動とする〕36が設けられている。そこでまず、このコンテナ移載ステージ36の高さと在来コンテナ鉄道貨車ターミナル31の在来コンテナ鉄道貨車32の荷台33の高さが同じになるように配置する。そのステージ36上にはx方向に移動可能なクローラー式の移載装置37が設けられている。このクローラー式の移載装置37は、クローラー37Aと荷台部37Bからなり、後述する無線装置付き端末器39の操作による無線信号を受けて、クローラー式の移載装置37の駆動制御(クローラー制御)を行うとともに、荷台部37Bの厚みの制御を行う制御部(図示なし)を搭載している。また、その荷台部37Bの厚み(高さ)は油圧等により上下に制御できるようになっている。つまり、無線装置付き端末器39の操作により、移載装置37を薄い状態と厚い状態とに制御可能であり、また、x方向に移動が可能である。そこで、その移載装置37を薄い状態にしてx方向に移動させ空間35に滑り込ませる。その後、その移載装置37の荷台部37Bの厚みを増してコンテナ34を持ち上げた状態で、クローラー37Aを駆動しコンテナ34をコンテナ移載ステージ36側に移動させ、更に、高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル41へと移載装置37をを移動させ、コンテナ34を高速新幹線鉄道貨車42の荷台43へと運ぶ。ここでは、高速新幹線コンテナ鉄道貨車ターミナル41の高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)42の荷台43の高さはコンテナ移載ステージ36の高さと同じに配置されており、かつ、荷台43には何も搭載されていない。コンテナ34を搭載した移載装置37が高速新幹線コンテナ鉄道貨車42の荷台43の所定位置に達すると、移載装置37の荷台部37Bの厚さを薄くして、コンテナ34を空の荷台43上に載せ、荷台部37Bの厚さが薄い状態のまま移載装置37を荷台43上とコンテナ34との間の空間44から引き抜いて、その移載装置37をコンテナ移載ステージ36の所定位置に戻すようにしている。なお、コンテナ移載ステージ36の制御を行う制御装置38は、操作者が携帯可能な無線装置付き端末器39の操作によって制御され、コンテナ移載ステージ36の位置制御を行うことができる。
【0046】
図9は本発明の他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す図(その1)、図10は本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す模式図(その2)、図11は本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す模式図(その3)である。
【0047】
まず、図9(a)に示すように、在来コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル31の在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33とコンテナ34との間の空間35に、コンテナ移載ステージ36上の移載装置37を滑り込ませる準備を行う。つまり、まず、移載装置37を厚さが薄い状態にし、次に、コンテナ移載ステージ36の位置を制御してコンテナ34と厚さが薄い状態の移載装置37とのy方向の位置合わせを行う。
【0048】
次に、図9(b)に示すように、厚さが薄い状態の移載装置37をx方向に移動させて在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33とコンテナ34との間の空間35内に滑り込ませて所定位置で停止させる。ここで、コンテナ移載ステージ36の表面の高さと、荷台33の表面の高さは同じに設定されているので移載装置37は問題なく荷台33上に移動することができる。
【0049】
次に、図10(a)に示すように、移載装置37の厚さを薄い状態から厚い状態にして、コンテナ34を在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33から持ち上げて、移載装置37上に載せる。
【0050】
次に、図10(b)に示すように、移載装置37を−x方向に移動させて、コンテナ移載ステージ36上に移動させる。
【0051】
次に、図11(a)に示すように、更に、移載装置37を−x方向に移動させて高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル41の高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)42の荷台43の所定位置に至ると停止させる。ここで、コンテナ移載ステージ36の表面と、高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)42の荷台43の表面の高さは同じになるようにしているので、移載装置37は円滑に荷台43に移動することができる。
【0052】
最後に、図11(b)に示すように、移載装置37の厚さを薄い状態にして、コンテナ34を高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)42の荷台43に積替えて、薄い状態の移載装置37をx方向に移動させて荷台43とコンテナ34との空間44から引き抜き、コンテナ移載ステージ36の初期位置に戻す。
【0053】
この作業が終了したら、コンテナ移載ステージ36をy方向に移動させて、次の在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33に積まれているコンテナの位置に移動させて、前記と同様に、高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)42の荷台43へと積替えを行う。
【0054】
図12は本発明の更なる他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムのコンテナの積替えの態様を示す図(その1)、図13は本発明の更なる他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムのコンテナの積替えの態様を示す模式図(その2)、図14は本発明の更なる他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムのコンテナの積替えの態様を示す模式図(その3)である。
【0055】
この実施例では、在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33と高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)62の荷台63との高さが異なる場合にも、積替えを行うことができるように構成したものである。
【0056】
まず、図12(a)に示すように、在来コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル31の在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33とコンテナ34との間の空間35に、コンテナ移載ステージ51上の移載装置37を滑り込ませる準備を行う。つまり、まず、移載装置37を厚さが薄い状態にし、次に、コンテナ移載ステージ51の位置を制御してコンテナ34と厚さが薄い状態の移載装置37とのy方向の位置合わせを行う。このコンテナ移載ステージ51はz方向の高さ調整機構を備えている。
【0057】
次に、図12(b)に示すように、厚さが薄い状態の移載装置37をx方向に移動させて在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33とコンテナ34との間の空間35内に滑り込ませて所定位置で停止させる。ここで、コンテナ移載ステージ51の表面の高さと、荷台33の表面の高さは同じに設定されているので移載装置37は問題なく荷台33上に移動することができる。
【0058】
次いで、図13(a)に示すように、移載装置37の厚さを薄い状態から厚い状態にして、コンテナ34を在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33から持ち上げて、移載装置37上に載せる。
【0059】
次に、図13(b)に示すように、移載装置37を−x方向に移動させて、コンテナ移載ステージ51上に移動させる。
【0060】
次に、図14(a)に示すように、コンテナ移載ステージ51の表面と、高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)62の荷台63の表面の高さが異なっているので、コンテナ移載ステージ51の表面と、高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)62の荷台63の表面の高さが同じになるように、コンテナ移載ステージ51の高さを調整する。そして、このように、移載装置37を−x方向に移動させて高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル61の高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)62の荷台63の所定位置に至ると停止させる。そこで、移載装置37は円滑に高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)62の荷台63に移動することができる。
【0061】
最後に、図14(b)に示すように、移載装置37の厚さを薄い状態にして、コンテナ34を高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)62の荷台63に載せ、薄い状態の移載装置37をx方向に移動させて荷台63とコンテナ34との空間64から引き抜き、コンテナ移載ステージ51の初期位置に戻すとともに、コンテナ移載ステージ51の表面の高さを、在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33の表面の高さと同じになるように低くする。この作業が終了したら、コンテナ移載ステージ51をy方向に移動させて、次の在来コンテナ鉄道貨車(電車)32の荷台33に積まれているコンテナの位置に移動させて、前記と同様に、高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)62の荷台63へと積替えを行うことができる。
【0062】
この実施例においては、コンテナ移載ステージの表面の高さを調整することにより、高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルにおける高速コンテナ鉄道貨車と在来コンテナ鉄道貨車との荷台の高さを等しくしなくとも、コンテナの移動を円滑に行うことができるように構成することができる。
【0063】
なお、本発明の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいては、コンテナ移載ステージの位置を高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルの幅方向に調整可能にするようにしてもよい。その場合には、コンテナ移載ステージの底部に駆動装置(図示なし)を配置して、その駆動装置を無線装置付き端末器39の操作によりターミナルの幅方向へ調整可能にすることができる。
【0064】
また、高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルとの間にコンテナ移載ステージを配置し、このコンテナ移載ステージ上に前記高速コンテナ鉄道貨車と前記在来コンテナ鉄道貨車間でのコンテナのスライド積替え手段として、図15に示すように、コンテナ71の下部の切欠部72に横(幅方向)移動可能なローラ73を設けておき、このコンテナ71をクローラコンベア74上に配置して、クローラコンベア74を傾斜させることにより、コンテナ71の重力によりターミナルの横(幅)方向へ容易に移動させるように構成することができる。すなわち、コンテナ71の傾斜とコロ作用により容易にコンテナ71を横移動させることができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の貨物コンテナ輸送の速達化システムは、電化が図られた鉄道輸送を主体とした高速で、自然に優しい配送システムとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの模式図である。
【図2】従来の貨物コンテナ輸送方式と本発明の貨物コンテナ輸送方式の説明図である。
【図3】本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送のターミナルの模式図である。
【図4】本発明の実施例を示すスライド積替え装置のクローラーコンベアの模式図である。
【図5】本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す模式図(その1)である。
【図6】本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す模式図(その2)である。
【図7】本発明の他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替え装置の模式図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替装置の平面図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す図(その1)である。
【図10】本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す模式図(その2)である。
【図11】本発明の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムの積替えの態様を示す模式図(その3)である。
【図12】本発明の更なる他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムのコンテナの積替えの態様を示す図(その1)である。
【図13】本発明の更なる他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムのコンテナの積替えの態様を示す模式図(その2)である。
【図14】本発明の更なる他の実施例を示す貨物コンテナ輸送の速達化システムのコンテナの積替えの態様を示す模式図(その3)である。
【図15】本発明の更なる他の実施例を示す貨物コンテナの傾斜機構を有する例を示す図である。
【図16】従来のコンテナの積替えの模式図である。
【符号の説明】
【0068】
1,23,31 在来コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル
2,24,32 在来コンテナ鉄道貨車(電車)
3,34,71 コンテナ
4,21,41,61 高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)ターミナル
5,22,42,62 高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)
7 在来コンテナ鉄道貨車上方の架線
8 高速新幹線コンテナ鉄道貨車上方の架線
9 中継支持部
10 コンテナのスライド積替え装置
10A,38 制御装置
11,74 クローラーコンベア
11′ 厚みを薄くした状態のクローラーコンベア
11″ 厚みを厚くした状態のクローラーコンベア
12 コンテナのスライド積替え装置の駆動車
13 クローラーコンベアの先端部の支持部材
25 コンテナトラック
26 停止位置ストッパー
33 在来コンテナ鉄道貨車(電車)の荷台
35 在来コンテナ鉄道貨車(電車)の荷台とコンテナとの間の空間
36,51 コンテナ移載ステージ
37 クローラー式の移載装置
37A クローラー
37B 荷台部
39 無線装置付き端末器
43,63 高速新幹線コンテナ鉄道貨車(電車)の荷台
44,64 高速新幹線コンテナ鉄道貨車の荷台とコンテナとの間の空間
72 切欠部
73 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルにおける高速コンテナ鉄道貨車と在来コンテナ鉄道貨車との荷台の高さを等しくし、前記高速コンテナ鉄道貨車と前記在来コンテナ鉄道貨車間でのコンテナのスライド積替え手段を具備することを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項2】
請求項1記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナのスライド積替え手段が、前記荷台とコンテナ底面との空間に差し込まれるクローラーコンベアを備えるコンテナ移動装置からなることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項3】
請求項2記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記クローラーコンベアの厚みを薄くすることにより該クローラーコンベアを前記荷台とコンテナ底面との空間に差し込む、又は引き抜くようにし、前記クローラーコンベアの厚みを厚くすることにより前記コンテナを前記荷台から持ち上げ、該クローラーコンベアの上面上で移動可能にすることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項4】
請求項1記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナを在来コンテナ鉄道貨車から高速コンテナ鉄道貨車へ、該高速コンテナ鉄道貨車から在来コンテナ鉄道貨車へとそれぞれ前記コンテナのスライド積替え手段を用いて積替えることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項5】
高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルとの間にコンテナ移載ステージを配置し、このコンテナ移載ステージ上に前記高速コンテナ鉄道貨車と前記在来コンテナ鉄道貨車間でのコンテナのスライド積替え手段を具備することを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項6】
請求項5記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナのスライド積替え手段が、厚さが変化する荷台部を有するクローラーコンベアを備えるコンテナ移動装置からなることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項7】
請求項6記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記クローラーコンベアの荷台部の厚みを薄い状態にすることによりこのクローラーコンベアを前記荷台とコンテナ底面との空間に差し込む、又は引き抜くようにし、前記クローラーコンベアの荷台部の厚みを厚い状態にすることにより前記コンテナを前記荷台から持ち上げ、前記クローラーコンベアで移動可能にすることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項8】
請求項5記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルにおける高速コンテナ鉄道貨車と在来コンテナ鉄道貨車との荷台の高さを等しくすることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項9】
請求項5記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルにおける高速コンテナ鉄道貨車と在来コンテナ鉄道貨車との荷台の高さが異なり、前記コンテナ移載ステージの表面の高さを調整可能にすることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項10】
請求項5から9の何れか一項記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナ移載ステージの位置を前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルの長手方向に調整可能にすることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項11】
請求項5から10の何れか一項記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナ移載ステージの位置を前記高速コンテナ鉄道貨車ターミナルと在来コンテナ鉄道貨車ターミナルの幅方向に調整可能にすることを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。
【請求項12】
請求項5から10の何れか一項記載の貨物コンテナ輸送の速達化システムにおいて、前記コンテナ移載ステージ上での貨物コンテナの傾斜機構を具備することを特徴とする貨物コンテナ輸送の速達化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−273569(P2006−273569A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99806(P2005−99806)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】