説明

貯蔵装置

【課題】電源内蔵型の無線センサを適用した貯蔵装置において、前記無線センサの動作は電源状態に依存するため、使用期間には限界があり、また、電源寿命の限界により前記無線センサの動作が停止した場合、信号を受信して動作する機器本体側の制御に支障をきたす課題を有していた。
【解決手段】無線センサ30の電源を監視する寿命監視手段31を備え、寿命監視手段31により無線センサ30の電源寿命が限界で停止状態になることが近いと判断した場合に、予め設定されている応急運転を行う制御動作に切替え、かつ使用者に電池交換要求を報知することにより、無線技術を適用した貯蔵装置は、無線センサ30が電源寿命の限界により起動停止した場合でも、運転を継続することができ、また使用者へ電池交換時期を適切に促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離れた位置にある制御機器の運転制御を行う情報を、前記制御機器側に設けられた受信器へ送信する電源内蔵型の無線センサを貯蔵室内に備え、前記無線センサからの送信信号によって運転が制御される貯蔵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、温度や湿度等を計測するセンサと無線送信部を一体化した無線センサが提案されている。
【0003】
従来の無線センサを利用した機器としては、複数の場所にそれぞれ無線センサを配置して得られる計測値を集中管理しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図8は特許文献1に記載された従来の無線センサを用いた機器の制御システムのブロック回路図を示すものである。
【0005】
図8に示すように、無線センサ送信機10、11、12は、それぞれ温度センサ1と湿度センサ2でセンサ部3を構成し、必要な情報を切替え器4で選択してA/D変換器5に入力する。そして、A/D変換器5からの信号を取込んだ第一のCPU6は、送信手段7へその情報信号を出力し、送信アンテナ8から送信を行う構成となっている。
【0006】
尚、各無線センサ送信機10、11、12を構成するセンサ部3、切替え器4、A/D変換器5、CPU6、無線送信部7等の各構成要素への電力供給は電池等の電源9から行われる。
【0007】
無線センサ送信機10、11、12と対をなす本体機器13には、受信アンテナ14が設置されており、無線センサ送信機10、11、12からの情報電波を受信し、無線受信部15を経由して第二のCPU16へ情報信号が入力される。第二のCPU16からは、情報により本体機器13を制御するための信号を、負荷制御装置17を経由して第一の負荷18、第二の負荷19、第三の負荷20へそれぞれ出力する。
【0008】
以上のように構成された無線センサを利用した機器について、以下その動作を説明する。
【0009】
まず、センサ部3の温度センサ1と湿度センサ2で検出された情報(温度や湿度)を切替え器4で選択し、必要な情報をアナログ信号としてA/D変換器5に入力する。
【0010】
次に、A/D変換器5では、入力した信号をアナログからデジタルに変換し、第一のCPU6に情報を出力する。第一のCPU6では、上述の情報データに無線センサ送信機10のIDコード等を付与して、送信データを送信手段7、送信アンテナ8を経由して所定周波数の電波として本体機器13に送信する。
【0011】
次に、本体機器13側では、各無線センサ送信機10、11、12から送信された情報データを受信アンテナ14で検出し、無線受信部15で電波信号をデジタル信号に変換し、第二のCPU16に出力する。第二のCPU16では、無線センサ送信機10、11、12の設置されている場所と、その情報データから機器としての最適な制御方法を判断し、負荷制御装置17を制御して各負荷18、19、20をそれぞれ動作させる。
【特許文献1】特公平8−6955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の構成では、冷蔵庫等のように配線の多い民生機器に用いると、配線を無くし、センサが自由に取付けられる等のメリットが得られる反面、無線センサ送信機10(以下、無線センサと称す)は予め第一のCPU6で決められた一定の時間周期によってセンサ部3から情報を検出し、本体機器13へ定期的にデータを送信することから、電源9は常時各構成要素に電力を供給する必要がある。
【0013】
一般に、電源9としてはボタン電池等を使用する場合が多く、無線センサ10の寿命は電池の消費電力に依存する構成となる。そのため、無線センサ10の使用期間には限界があり、また、電源寿命の限界により無線センサ10の動作が停止した場合、信号を受信して動作する機器本体側の制御に支障をきたす課題を有していた。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、前記無線センサの電源寿命の限界を事前に把握し、電源寿命の限界によって前記無線センサが起動停止した場合でも、機器本体側の運転を継続するようにしたものであり、無線技術の利用における信頼性の向上と、冷蔵庫等の貯蔵装置あるいは他の制御機器への無線センサの適用を可能とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来の課題を解決するために、本発明の貯蔵装置は、前記無線センサの電源を監視する寿命監視手段を備え、前記寿命監視手段により前記無線センサが電源寿命の限界により停止状態になることが近いと判断した場合に、予め設定されている応急運転を行う制御動作に切替えるようにし、また、必要に応じて使用者に電池交換要求を報知するようにしたものである。
【0016】
これによって、無線技術を適用した貯蔵装置は、前記無線センサが電源寿命の限界により起動停止した場合でも、貯蔵運転を継続することができ、また使用者へ電池交換時期を適切に促すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の貯蔵装置は、前記無線センサの電源寿命の限界を事前に把握することができ、また、電源寿命の限界によって前記無線センサからの受信ができなくなった場合であっても、貯蔵運転を継続することができるため、無線センサを備えた制御機器としての信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
請求項1に記載の発明は、扉付きの貯蔵室と、前記貯蔵室内を所定の環境条件に創出する環境創出手段と、前記貯蔵室内の環境情報を検出し、その検出結果を情報として無線出力する電源内蔵型の無線センサと、前記無線センサが送信した信号を受信して情報を読み取る受信手段と、前記受信手段が読み取った情報を取得し、前記環境創出手段を動作させ、貯蔵室内を所定の環境条件となるように制御する制御手段を具備した貯蔵装置において、前記制御手段は、前記無線センサからの情報を制御情報として前記環境創出手段の運転を制御する通常運転モードと、前記無線センサからの情報を制御情報とせず、予め設定された目標情報を制御情報として前記環境創出手段の運転を制御する応急運転モードを具備し、さらに前記無線センサに内蔵された電源の状態を監視する寿命監視手段を備え、前記寿命監視手段が、前記電源寿命の限界により無線センサの動作不良が予測されると判断した場合、前記通常運転モードを応急運転モードに切替えるようにしたものである。
【0019】
かかる構成とすることにより、前記無線センサの動作停止等に起因して受信手段での受信に不備が生じた場合は、応急運転モードにて継続して貯蔵室内の環境を維持することができ、貯蔵物の品質劣化を抑制することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、前記無線センサ内に、前記電源の電圧を検出し、データ化する変換手段を設けたものである。
【0021】
かかる構成とすることにより、無線センサは、自ら電源状態を監視し、電源状態が所定範囲にある場合、電源寿命の限界であることを前記制御手段に報知するデータの形成が可能となる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、前記無線センサの送信信号に、前記電源の電圧データを設け、前記電圧データが所定の範囲にある場合、前記無線センサの電源寿命の限界と判断するものである。
【0023】
かかる構成とすることにより、データを受信する度に電源の監視を行うことができるため、前記無線センサの電源寿命の限界を確実に検知することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、前記無線センサの電源電圧復帰後、所定時間出力の停止状態を持続するものである。
【0025】
かかることにより、使用者が電池交換等のメンテナンスを行い、無線センサを所定の位置へ設置までの間に動作することがなく、不必要な検知情報の送信が防止できる。そのため、貯蔵装置の不適切な運転を防ぐとともに、前記受信手段が前記無線センサの信号を受信することで、前記無線センサが停止状態から再度復帰したことを検知することができるため、応急運転の動作から通常運転の動作へ切替えることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、前記無線センサの電源電圧復帰後、検知情報が所定範囲であるときに送信動作を行うものである。
【0027】
かかる構成とすることにより、前記無線センサが送信動作を行うときは、適切な情報を検知送信しているときであり、応急運転の動作から通常運転の動作へ切替えることができる。
【0028】
請求項6に記載の発明は、前記寿命監視手段が、前記無線センサの動作不良が予測されると判断した場合に動作する報知手段を設けたものである。
【0029】
かかる構成とすることにより、使用者に動作不良であること、あるいは電池交換要求を適切に促すことができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例で説明した構成要件と同一の構成要件については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。尚、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態1においては、無線センサを貯蔵装置で代表される冷蔵庫に用いた場合を例に説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の概略制御構成を示すブロック回路図である。図2は、同実施の形態1における無線センサの制御構成を示すブロック回路図である。図3は、同実施の形態1における無線センサから送信されるデータ内容を示す構成図である。図4は、同実施の形態1における無線センサの継続使用に伴う電源電圧の変動状態を示す特性図である。図5は、同実施の形態1における寿命監視手段の動作内容を示すフロー図である。
【0033】
まず、図1により冷蔵庫の概略構成について説明する。
【0034】
図1において、冷蔵庫21は、周知の構造からなる断熱筐体を主体とし、内部に、仕切り壁(図示せず)によって仕切られた複数の冷蔵室22と、各冷蔵室22を閉塞する開閉可能な断熱扉(図示せず)と、制御回路部および前記制御回路部によってその運転が制御される制御機器を設けた制御部23が設けられている。
【0035】
ここで、前述の如く冷蔵室22は、複数設けられた構成であるが、ここでは、便宜上一つの冷蔵室22について説明する。
【0036】
冷蔵室22には、無線センサ30が適宜箇所に設けられている。また、制御部23は、無線センサ30の送信手段からの無線(電波)信号を受信する受信手段24と、受信手段24からの信号をマイクロコンピュータ等によって演算処理し、制御機器の運転を制御する制御手段25を具備している。
【0037】
また、前記制御機器としては、圧縮機等を具備した周知の構成からなる冷凍サイクル26と、冷蔵室22内への冷気の供給を制御する送風ファンあるいはダンパー装置等の冷気循環手段27が相当する。その他、制御機器としては、湿度制御を行う手段、ガス濃度を制御する手段(いずれも図示せず)が相当するが、ここでは、説明の便宜上温度を制御する冷凍サイクル26と冷気循環手段27を対象としている。さらに、制御手段25の中には、無線センサ30の通信状態と寿命の監視を行う寿命監視手段31が設けられている。
【0038】
ここで、制御手段25は、通常運転モードと応急運転モードを具備しており、前記通常運転モードは、所謂使用者が選択した運転モード(例えば、強運転モード等)で、寿命監視手段31で確認された受信データの温度と前記選択された運転モードの目標温度の比較を行い、冷蔵室22内がその目標温度に到達するように冷凍サイクル26および冷気循環手段27の運転を制御するものである。
【0039】
また、応急運転モードは、一例として、寿命監視手段31で確認される温度を無視して、冷蔵室22が予め固定設定された目標温度になるように冷凍サイクル26および冷気循環手段27を運転する制御内容が相当する。前記固定された目標温度は、設計時点等で決定される見做し値であり、冷凍サイクル26および冷機循環手段27を、予め設定した断続運転とすることによってその温度が形成されるよう制御されるものである。かかる応急運転モードの内容は、周知の制御でよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0040】
そして、制御手段25は、寿命監視手段31の受信不可状態を検出した場合に動作する報知器38を具備している。報知器38は、本発明の報知手段に相当するもので、音あるいは光点滅等の手段にて使用者に、前述の受信不可状態であること、および応急運転モードでの運転中であること等を報知する。
【0041】
次に、図2により無線センサ30の構成について説明する。
【0042】
図2において、無線センサ30は、従来の無線センサと同様に、室内情報としての温度を検出する温度センサ1に加えて湿度を検出する湿度センサ2、および冷蔵室22内の貯蔵物(図示せず)から発生するガス濃度を検出するガス濃度センサ2aを具備したセンサ部3と、センサ部3の電気信号(アナログ信号)を適宜デジタル化し、出力するA/D変換器5と、A/D変換器5の信号を演算処理する演算処理部のCPU6と、CPU6からのデータ信号を出力する無線送信部7と、無線送信部7のデータ信号を発する送信アンテナ8、および前記各構成要素を駆動するための電池あるいは充電式電池等からなる電源9を具備した構成となっている。電源9は、後のメンテナンス等を考慮すると、交換可能なように着脱できる取付けが好ましい。
【0043】
ここで、無線センサ30は、センサ部3で複数の情報を検出する構成であるが、以下については、便宜上その情報を温度として説明するものの、他の情報についても同様に処理され、制御されるものとする。また、A/D変換器5と、CPU6、無線送信部7等は、マイクロコンピュータを具備する論理回路で構成されている。
【0044】
無線センサ30について詳述すると、無線センサ30は、A/D変換器5に入力されている温度センサ1による室内温度と電源9からの電圧(または電流)をアナログ信号からデジタル信号に変換し、CPU6にて、図3に示す構成のデータ信号を無線送信部7へ出力する。すなわち、前記データ信号は、データの始まりを示すスタートビット32と、複数の無線センサが設けられた場合の各々を識別するためのセンサID33と、検知した温度を示す温度データ34と、電源部9の電源電圧を示す電圧データ35と、データの終わりを示すストップビット36を付加して、一つのシリアルデータ構造とされたもので、かかるデータ信号が無線送信部7へ入力され、送信アンテナ8より所定の周期毎にデータとして電波を媒体に送信する。前記所定の周期としては、一例として電源9の消耗速度抑制を考慮すると、数秒から1分程度の範囲が好ましい。
【0045】
換言すると、A/D変換器5とCPU6は、電源9の電圧値を検出しデータ化する本発明のデータ変換手段に相当する。
【0046】
また、無線センサ30における電源9の電力は、温度センサ1やA/D変換器5およびCPU6の動作によって消費される。そのため、コイン型のリチウム電池に代表される電源9の電圧特性は、図4のように示すことができる。すなわち、電源電圧の初期は初期電圧Veに近い値を持続し、温度検知やデータ送信が繰返し行われると、電力が消耗し、ある時点で電圧が低下し始め、出力電圧の限界値Vxとなると、無線センサ30は起動停止となる。
【0047】
以上のように構成された冷蔵庫21は、制御手段25内に備える寿命監視手段31により、無線センサ30の通信状態と電源9の寿命の監視を行うことで、図4の例えば区間8tで示すように、無線通信環境による一時的な通信不良もしくは同図の右端の区間2tで示すように電源9の電圧の低下に起因した無線センサ30の不安定起動等による一時的な通信不可状態であるか、さらに停止電圧Vx到達による恒久的な通信不可状態であるかを認識することができる。
【0048】
したがって、図4における前記右端の区間t2付近の電圧を、寿命監視手段31に、停止電圧Vxが近い警告電圧範囲Va―Vbであると認識させることにより、未然に無線センサ30の動作不良による弊害を防止することができる。警告電圧範囲Va―Vbの電圧値は、事前に設定し、寿命監視手段31に記憶させることができる。
【0049】
以下、無線センサ30の電圧監視動作およびそれに伴う制御内容について図5を用いて説明する。
【0050】
無線センサ30は、図4に示すように、所定の間隔tでデータを送信している。
【0051】
図5において、ステップ1では、そのデータの受信間隔tが予め設定したTa〜Tbの範囲内であるかの判定を行う。
【0052】
次に、所定の間隔(Ta〜Tbの間)の範囲内である場合(ステップ1でYesのとき)、受信漏れがなく正常に受信ができていると判断し、受信した温度データ33を冷蔵庫21の備えるメモリ(図示せず)に入力し(ステップ2)、制御手段25がその温度データに適した冷凍サイクル26および冷気循環手段27の制御を行う。
【0053】
また、ステップ1の判定にて受信間隔がTa〜Tbより長い場合(ステップ1でNoのとき)、一時的な受信漏れであるかを判断するため、ステップ3にてさらに受信間隔がTc(Tbより長い時間)以下であるかを判定する。
【0054】
このステップ3の判定にて受信間隔がTc以下(例えば図4での2t0)である場合(ステップ3のYesのとき)、一時的な受信漏れと判断し、前述のステップ2の処理が行なわれる。
【0055】
また、ステップ3の判定にて受信間隔がTcより長くなった場合(ステップ3のNoのときで、例えば図4での8t)、ステップ4において、冷蔵庫21の最適運転に必要な通信が不可状態であることを使用者に警告する。この警告は、報知器38を動作させ、LEDや液晶による表示、ブザー音等で警告する。この場合は、予め決めてある応急モード運転の制御動作を行う。
【0056】
次に、前述の如く、寿命監視手段31での正常な送受信が確認でき、通常運転モードが継続されている場合は、ステップ2からステップ5へ移行する。
【0057】
すなわち、ステップ2で、受信した温度データ34を冷蔵庫21の備えるメモリに入力した後、まずステップ5で、電源9の電圧が保持され、無線センサ30の動作が十分継続可能な状態であるか判断される。一例として、同じく受信したデータの中の電圧データ35が図4に示す警告電圧範囲の上限電圧Vbより大きい値であるか判定を行う。この上限電圧Vbより大きい値であると(ステップ5のYesのとき)、ステップ6へ移行し、寿命限界の指標として設けた寿命カウンタをリセット(0のまま)して、スタートへ戻る。
【0058】
ここで、受信不良等でステップ4へ移行し、応急運転モードを実行している場合において、再スタート後、前記応急運転モードとなった要因を確認し、一時的な受信不良と判断できた場合は、通常運転モードに復帰させるようにしてもよい。その判断基準は、電源9の電圧で確認でき、通常運転復帰後、正常に受信が継続できれば通常運転モードが継続でき、電源9の警告電圧範囲Va―Vbを越える電圧低下、あるいは他の故障要因で受信不可となれば応急運転モードで貯蔵物の品質確保が可能となる。
【0059】
また、ステップ5にて電圧データ35が上限電圧Vb以下であると判定した場合(ステップ5のNoのとき)、ステップ7で電圧データ35が図4に示す警告電圧Va―Vb(停止電圧Vxより高い電圧で設けた範囲)の範囲内にあるか否かの判定を行う。受信した電圧データ35が警告電圧範囲Va―Vbの範囲内にある場合(ステップ7のYesのとき)、ステップ8へ移行し、寿命カウンタをカウントアップする。
【0060】
その後、ステップ9へ移行し、前記寿命カウンタによるカウント数が所定回数αに到達するまでステップ1に戻り、これまでの処理が継続される。
【0061】
そして、受信した電圧データ35が連続して警告電圧範囲Va―Vbの範囲にある場合、寿命カウンタのカウントアップが続き、ステップ9において、寿命カウンタが所定回数αまで達したかの判定を行う。ここで、寿命カウンタが所定回数α以上となった場合は(ステップ9のNoのとき)、ステップ10に移行し、冷蔵庫21の制御手段25が、無線センサ30の電源電圧が停止電圧Vxに近いことを認識し、無線センサ30の寿命限界として使用者に電池の交換を警告する。
【0062】
この警告以降は、無線センサ30からの受信データはキャンセルし、ステップ4と同様、応急運転の制御動作を行う。
【0063】
一方、ステップ9に至る前段階のステップ7での判定で警告電圧範囲Va―Vb外が判定された場合(ステップ7のNoのとき)、電源電圧はVa以下であるため、停止電圧Vxに近く停止寸前と判断し、寿命カウンタのカウントアップを行わず、ステップ10の処理を行う。
【0064】
以上のように、本実施の形態1においては、無線センサ30から検知データ(例えば温度)と、無線センサ30自身の状態を表すデータ(例えば電源9の電圧)を送信させ、冷蔵庫の制御手段25に、無線センサ30の通信状態と電源寿命の監視を行う寿命監視手段31を備えることで、通信状態を監視すると共に、無線センサ30の電源寿命の低下に起因する起動停止での通信不可状態が間近であることを事前に認識することができ、無線センサ30の停止が間近である場合、無線センサ30からの受信動作を止め、予め設定した条件での応急運転モードによる制御へ切替えることで、無線センサ30の起動停止状態においても、冷却運転を継続することができ、無線技術の利用した冷蔵庫として信頼性の向上を図ることができる。
【0065】
なお、本実施の形態1においては、冷蔵室22を中心に説明したが、冷蔵室22に加えて設けられた冷凍室の場合であっても応急運転モードの内容は異なるが、同様に制御することができる。
【0066】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の概略制御構成を示すブロック回路図である。図7は、同実施の形態2における冷蔵庫の復帰監視手段の動作内容を示すフロー図である。ここで、先の実施の形態1と同一の構成要件については、同一の符号を付して説明する。
【0067】
本実施の形態2では、先の実施の形態1において受信不良、あるいは電源9の寿命に伴い、応急運転モードを実施している中で、受信の正常化、あるいは電池交換による復帰動作を中心に説明する。
【0068】
図7において、本実施の形態2の冷蔵庫21において、制御手段25は、実施の形態1の構成に示す寿命監視手段31に加えて無線センサ30の異常検知後において、無線センサ30の復帰を監視する復帰監視手段37を備えたものである。
【0069】
以上のように構成された冷蔵庫において、図7により復帰監視手段37を中心とする復帰動作について説明する。
【0070】
図7において、無線センサ30は電池交換を行うと、ステップ11とステップ12にて、起動カウントを開始し、電池交換を行ってから所定時間(例えば10分)経過したかの判定を行う。次に所定時間経過後(ステップ12のYesのとき)、ステップ13にて、室内情報の検知と送信動作を開始し、以降定期的な検知および送信動作を行うことで、無線センサ30は復帰する。
【0071】
一方、実施の形態1の図5にて説明したように、電池寿命の限界にて応急運転の制御動作に切替わった後、本実施の形態2においては、復帰監視手段37のもとで応急運転が管理され、ステップ14にて、無線センサ30からの信号の受信があるか否かの判定が行われる。
【0072】
受信が無ければ(ステップ14のNoのとき)、ステップ15にて、応急運転が継続される。また、受信が確認された場合(ステップ14のYesのとき)、実施の形態1(図5)で示したように、無線センサ30からの信号を受信しながらの通常運転の制御へ切替える。
【0073】
復帰監視手段37の動作は、受信不良に起因して応急運転となり、その後の正常受信が確認された場合も同様に動作する。
【0074】
以上のように、本実施の形態2においては、まず、無線センサ30の電池交換からの復帰動作として、所定時間経過後に起動することで、電池交換のメンテナンス時に、所定の設置箇所から一度他の場所へ移し、再度、所定の設置個所へ戻すことができるので、電池交換した瞬間の不必要なデータ送信および冷蔵庫側の受信を防ぐことができる。
【0075】
したがって、冷蔵庫の不適切な運転を防ぐことができる。また、冷蔵庫として無線センサ30の復帰を検知する時に、応急運転を行いながら、データ受信の有無を判定することで、運転を止めることなく、無線センサ30の復帰時に、応急運転から通常運転に切替えることができる。
【0076】
また、本実施の形態2においては、無線センサ30の復帰動作として、電池交換後において所定時間経過に、所定の設置個所へ設置されていると判断したが、電池交換後に検知動作だけを行い、検知情報が所定範囲であるときに、送信動作を行う手段をとることもできる。
【0077】
なお、上記実施の形態1および2においては、無線センサ30を備えた制御機器として、冷蔵庫を例に説明したが、冷温貯蔵が可能な貯蔵装置、あるいは所定空間内の環境を所定の条件に維持するハウス設備等においても同様に適用できるものである。
【0078】
また、被測定情報についても、温度に限らず、湿度、ガス等のように電気信号に変換できる物質を対象とする測定体であれば同様に検出、制御ができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明にかかる無線センサは、変化を電気信号に変換できる被測定物であればその用途への適用が可能であり、またその無線センサを備える制御機器についても、冷蔵庫等の物品貯蔵装置、あるいは空気調和装置等の熱源関係に限らず、火災、ガス洩れ等のセキュリティシステム等、幅広い設備機器に応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の概略制御構成を示すブロック回路図
【図2】同実施の形態1における無線センサの制御構成を示すブロック回路図
【図3】同実施の形態1における無線センサから送信されるデータ内容を示す構成図
【図4】同実施の形態1における無線センサの継続使用に伴う電源電圧の変動状態を示す特性図
【図5】同実施の形態1における寿命監視手段の動作内容を示すフロー図
【図6】本発明の実施の形態2における冷蔵庫の概略制御構成を示すブロック回路図
【図7】同実施の形態2における冷蔵庫の復帰監視手段の動作内容を示すフロー図
【図8】従来例を示す無線センサを用いた機器の制御システムのブロック回路図
【符号の説明】
【0081】
1 温度センサ
5 A/D変換器(変換手段)
6 CPU(変換手段)
7 無線送信部
9 電源
21 冷蔵庫
22 冷蔵室
23 制御部
24 受信手段
25 制御手段
26 冷凍サイクル(環境創出手段)
27 冷気循環手段(環境創出手段)
30 無線センサ
31 寿命監視手段
32 スタートビット
33 センサID
34 温度データ
35 電圧データ
36 ストップビット
37 復帰監視手段
38 報知器(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉付きの貯蔵室と、前記貯蔵室内を所定の環境条件に創出する環境創出手段と、前記貯蔵室内の環境情報を検出し、その検出結果を情報として無線出力する電源内蔵型の無線センサと、前記無線センサが送信した信号を受信して情報を読み取る受信手段と、前記受信手段が読み取った情報を取得し、前記環境創出手段を動作させ、貯蔵室内を所定の環境条件となるように制御する制御手段を具備した貯蔵装置において、前記制御手段は、前記無線センサからの情報を制御情報として前記環境創出手段の運転を制御する通常運転モードと、前記無線センサからの情報を制御情報とせず、予め設定された目標情報を制御情報として前記環境創出手段の運転を制御する応急運転モードを具備し、さらに前記無線センサに内蔵された電源の状態を監視する寿命監視手段を備え、前記寿命監視手段が、前記電源寿命の限界により無線センサの動作不良が予測されると判断した場合、前記通常運転モードを応急運転モードに切替えるようにした貯蔵装置。
【請求項2】
前記無線センサ内に、前記電源の電圧を検出し、データ化する変換手段を設けた請求項1に記載の貯蔵装置。
【請求項3】
前記無線センサの送信信号に、前記電源の電圧データを設け、前記電圧データが所定の範囲にある場合、前記無線センサの電源寿命の限界と判断する請求項1または2に記載の貯蔵装置。
【請求項4】
前記無線センサの電源電圧復帰後、所定時間出力の停止状態を持続する請求項1から3のいずれか一項に記載の貯蔵装置。
【請求項5】
前記無線センサの電源電圧復帰後、検知情報が所定範囲であるときに送信動作を行う請求項1から3のいずれか一項に記載の貯蔵装置。
【請求項6】
前記寿命監視手段が、前記無線センサの動作不良が予測されると判断した場合に動作する報知手段を設けた請求項1から5のいずれか一項に記載の貯蔵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−39196(P2008−39196A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209675(P2006−209675)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】