質量分析計
セグメント化直線イオンガイドまたはイオントラップを備えるイオンガイドまたはイオントラップ1が開示される。イオンは、電極にACまたはRF電圧を印加することによってイオンガイドまたはイオントラップ1内に半径方向に閉じ込められる。イオンは、実質的に共鳴によらずにイオンガイドまたはイオントラップ1からイオンが排出されるように軸方向に振動または変調された軸方向二次ポテンシャル井戸内にトラップされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンガイドまたはイオントラップ、質量分析計、イオンをガイドまたはトラップする方法、ならびに質量分析の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のイオントラップ手法が質量分析の分野において公知である。市販の3Dまたはポールイオントラップは、例えば、多くの異なるタイプの有機分析に対して強力かつ比較的安価なツールを提供する。3Dまたはポールイオントラップは、一般に円筒対称性を有し、かつ中心円筒リング電極および2つの双曲状端部キャップ電極を備える。動作において、以下の形態のRF電圧が端部キャップ電極と中心リング電極との間に印加される。
【0003】
【数1】
【0004】
ここで、V0は、印加されたRF電圧のゼロからピークの電圧であり、σは、印加されたRF電圧の振動数である。
【0005】
電極は、二次ポテンシャルが半径および軸方向の両方に維持されるような物理的間隔および形状を有する。これらの条件下で、イオンの運動は、マチウ方程式によって規定され、安定なイオントラップについての種々の判断基準は、当業者に周知である。イオンの運動は、比較的低周波の成分永年運動、および駆動電圧が変調される周波数に直接関連する比較的高周波の振動または微小運動からなる。
【0006】
イオンは、以下によって3Dまたはポールイオントラップから質量選択的に排出され得る。すなわち、(a)印加されたRF電圧の振幅および/または周波数のいずれか一方が変更される質量選択的不安定性、(b)小さな補助RF電圧が対象イオンの永年周波数と同じ周波数を有する端部キャップまたはリング電極の一方または両方に印加される、共鳴による排出、(c)リング電極と端部キャップ電極との間において維持されるDCバイアス電圧の印加、または(d)上記手法の組み合わせである。
【0007】
イオンは、通常外部イオン源から端部キャップ電極のうちの1つにおける小さな穴を介して大半の市販の3Dまたはポールイオントラップに導入される。一旦イオントラップ内に入ると、次いでイオンは、バッファガスとの衝突によって近熱エネルギーに冷却される。これは、イオントラップのトラップ容積の中心へ向かってイオンを集中させる効果を有する。次いで、特定の質量電荷比を有するイオンは、質量選択的にイオントラップから排出され得る。排出されたイオンは、イオンをイオントラップ内へ導入するための開口を有する端部キャップ電極に対向する端部キャップ電極における小さな穴を通ってイオントラップから出射する。次いで、イオントラップから排出されたイオンは、イオン検出器を使用して検出される。
【0008】
3Dまたはポールイオントラップは、空間電荷容量が比較的低いので、ダイナミックレンジが比較的制限されるという欠点がある。さらに、イオンの損失を最小限に抑えるためにイオン導入の際に正確な条件を維持するように細心の注意を払わなければならない。3Dポールイオントラップ内にイオンを注入することが特に問題であることは、当業者の理解するところである。
【0009】
より最近になって、直線イオントラップが開発され、市販されてきた。そのようなイオントラップは、一般にRF電圧をロッドに印加することでイオンがイオントラップ内に半径方向に閉じ込められるような多重極ロッドセットを備える。半径方向におけるイオンの運動および安定性は、マチウ方程式によって規定され、周知である。イオンは、DCまたはRFトラップポテンシャルを多重極ロッドセットのいずれか一方の端部における電極に印加することによって直線イオントラップ内に軸方向に含まれ得る。イオンの排出は、イオンをイオントラップからロッドのうちの1つにおけるスロットを通して半径方向に排出するか、またはロッドの軸方向境界における固有電界歪みおよび半径方向励起の組み合わせを使用することによって軸方向に排出するかのいずれか一方により実現され得る。
【0010】
直線イオントラップは、一般に3Dまたはポールイオントラップと比較してイオントラップ容量が増加しており、したがって、直線イオントラップは、一般にダイナミックレンジが実質的により高い。直線イオントラップは、イオンがイオントラップ内に軸方向に導入され、ある場合には半径方向RF振動トラップポテンシャルに垂直な方向にイオントラップから軸方向に排出されるという重要な利点を有する。これにより、イオンがより効率よくイオントラップへまたはそこから移送されることが可能となり、感度が向上する。したがって、直線イオントラップは、感度が向上し、イオントラップ容量が比較的大きいので3Dまたはポールイオントラップよりもますます好ましくなってきている。
【0011】
軸方向排出ではなく半径方向排出を使用する直線イオントラップの最適性能は、純四重極半径方向ポテンシャル分布および正確に整形された双曲状ロッドを使用して実現され得る。しかし、例えば、ロッドの機械的な整列不良による半径方向閉じ込め電界の直線性のずれは、そのような直線イオントラップの性能をひどく損ない得る。また、半径方向排出を容易にするように直線イオントラップのロッドにスロットを設けると、半径方向電界に著しい歪みを招き得る。これらの歪みは、さらに直線イオントラップの性能を悪化させ得る。加えて、半径方向排出時に、排出されたイオンを効率よく検出するために1つより多くのイオン検出器を使用する必要があり得る。これは、イオントラップの全体的な複雑性およびコストを増加する。
【0012】
イオンを軸方向に直線イオントラップから排出することは公知である。しかし、外縁電界を使用してイオンを直線イオントラップから軸方向排出する性能は、また半径方向電界の直線性における歪みによって影響され得る。イオンの軸方向排出は、イオンを効率良く半径方向に共鳴により排出することに依存する。半径方向電界が非直線であれば、共鳴周波数は、イオン運動の半径が増加するにつれ一定でなくなる。したがって、この動作モードにおけるイオントラップの性能が損なわれる。公知の直線イオントラップから軸方向にイオンを排出することのさらなる問題は、出射側外縁電界における、またはその近傍のそれらのイオンのみが実際にはイオントラップから排出されることにある。したがって、3Dまたはポールイオントラップと比較して直線イオントラップのダイナミックレンジおよび感度における理論的なゲインは、イオンが実際に排出される比較的小さな領域により使用時に低減され得る。
【0013】
米国特許第5783824号(日立製作所)(特許文献1)は、軸方向DCまたは静電電界がイオントラップの長さに沿って維持されるような直線イオントラップを開示する。イオンは、排出したいイオンの基本振動数で振動する補助の軸方向RFポテンシャルを印加することによって、軸方向の共鳴励起により排出される。この公知の直線イオントラップは、他の形態の直線イオントラップの一般の利点を有するが、さらに、イオンをその質量電荷比の周波数特性で軸方向に強制的に振動させる。これにより、イオンをイオントラップから軸方向に共鳴により排出することが容易になる。
【0014】
米国特許第5783824号(日立製作所)(特許文献1)に開示される直線イオントラップは、共鳴励起を使用して、軸方向二次DCまたは静電ポテンシャルによって決定される単振動の基本周波数において軸方向にイオンを排出する。しかし、米国特許第5783824号(日立製作所)(特許文献1)に開示される構成を用いると、真の二次軸方向DCまたは静電ポテンシャルからのいずれのずれによっても、イオンの振動数がイオンの振動の振幅に依存することになる。これは、共鳴排出を使用するイオントラップの性能を損なうことになる。
【特許文献1】米国特許第5783824号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、改善されたイオントラップまたはイオンガイドを提供することが導き出される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一局面によると、
複数の電極と、
少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を複数の電極のうちの少なくともいくつかに印加するように構成および適合されるACまたはRF電圧手段と、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するように構成および適合される第1の手段であって、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、第1の手段と、
1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるように構成および適合される変調手段と、
第1の動作モードにおいて、少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域から実質的に共鳴によらずに排出し、同時に他のイオンはイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域域内に実質的にトラップされたままになるように構成されるように構成および適合される排出手段と
を備えるイオンガイドまたはイオントラップが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好ましくは、ACまたはRF電圧手段は、ACまたはRF電圧を複数の電極の少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に印加するように構成および適合される。好適な実施形態によると、ACまたはRF電圧手段は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を供給するように構成および適合される。好ましくは、ACまたはRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を供給するように構成および適合される。
【0018】
好適な実施形態によると、第1の手段は、イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または>10の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される。好ましくは、第1の手段は、イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に沿って1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される。
【0019】
好ましくは、第1の手段は、(i)<10V、(ii)10〜20V、(iii)20〜30V、(iv)30〜40V、(v)40〜50V、(vi)50〜60V、(vii)60〜70V、(viii)70〜80V、(ix)80〜90V、(x)90〜100V、および(xi)>100Vからなる群から選択される深さを有する1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される。好適な実施形態によると、第1の手段は、イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さに沿って第1の時間における第1の位置に位置する最小を有する1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、イオン入射口およびイオン出射口を有し、第1の位置は、イオン入射口から下流に距離Lの位置にあり、かつ/またはイオン出射口から上流に距離Lの位置にあり、Lは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される。
【0020】
好ましくは、第1の手段は、1つ以上のDC電圧を電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に供給するための1つ以上のDC電圧源を備える。好ましくは、第1の手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を提供するように構成および適合され、軸方向ポテンシャルがポテンシャル井戸の最小または中心からの距離または変位の二乗として実質的に増加する。
【0021】
好適な実施形態によると、変調手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を、イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に沿って変調または振動させるように構成および適合される。
【0022】
好ましくは、変調手段は、1つ以上のDC電圧を電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に供給するための1つ以上のDC電圧源を備える。
【0023】
好適な実施形態によると、変調手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小を実質的に周期的および/または規則的に変調または振動させるように構成および適合される。好ましくは、変調手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を第1の周波数f1を用いて、またはそれにおいて変調または振動させるように構成および適合され、f1は、(i)<5kHz、(ii)5〜10kHz、(iii)10〜15kHz、(iv)15〜20kHz、(v)20〜25kHz、(vi)25〜30kHz、(vii)30〜35kHz、(viii)35〜40kHz、(ix)40〜45kHz、(x)45〜50kHz、(xi)50〜55kHz、(xii)55〜60kHz、(xiii)60〜65kHz、(xiv)65〜70kHz、(xv)70〜75kHz、(xvi)75〜80kHz、(xvii)80〜85kHz、(xviii)85〜90kHz、(xix)90〜95kHz、(xx)95〜100kHz、および(xxi)>100kHzからなる群から選択される。
【0024】
好適な実施形態によると、変調手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を第1の周波数f1を用いて、またはそれにおいて変調または振動させるように構成および適合され、第1の周波数f1は、イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内に位置するイオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の共鳴または基本振動数よりも大きい。好ましくは、第1の周波数f1は、イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内に位置するイオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の共鳴または基本振動数よりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%だけ大きい。
【0025】
好ましくは、変調手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小を実質的に一定の周波数または実質的に一定でない周波数のいずれか一方において変調または振動させるように構成および適合される。
【0026】
好ましい実施形態によると、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を変更および/または変化および/またはスキャンするように構成および適合される。
【0027】
好ましくは、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を増加するように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を時間とともに実質的に直線的に増加するように構成および適合される。
【0028】
好適な実施形態によると、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を変更および/または変化および/またはスキャンするように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を低減するように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を時間とともに実質的に直線的に低減するように構成および適合される。
【0029】
好ましくは、排出手段は、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから質量選択的に排出するように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、第1の動作モードにおいて、第1の質量電荷比カットオフより低い質量電荷比を有する実質的にすべてのイオンがイオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域から排出されるように構成および適合される。
【0030】
好ましくは、排出手段は、第1の動作モードにおいて、第1の質量電荷比カットオフより高い質量電荷比を有する実質的にすべてのイオンがイオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域内に残るか、貯留されるか、または閉じ込められるように構成および適合される。
【0031】
好ましくは、第1の質量電荷比カットオフは、(i)<100、(ii)100〜200、(iii)200〜300、(iv)300〜400、(v)400〜500、(vi)500〜600、(vii)600〜700、(viii)700〜800、(ix)800〜900、(x)900〜1000、(xi)1000〜1100、(xii)1100〜1200、(xiii)1200〜1300、(xiv)1300〜1400、(xv)1400〜1500、(xvi)1500〜1600、(xvii)1600〜1700、(xviii)1700〜1800、(xix)1800〜1900、(xx)1900〜2000、および(xxi)>2000からなる群から選択される範囲にある。
【0032】
好適な実施形態によると、排出手段は、第1の質量電荷比カットオフを増加するように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、第1の質量電荷比カットオフを実質的に連続的および/または直線的および/または漸進的および/または規則的に増加するように構成および適合される。先の実施形態ほどではないが好ましい実施形態によると、排出手段は、第1の質量電荷比カットオフを実質的に不連続的および/または非直線的および/または非漸進的および/または不規則的に増加するように構成および適合される。
【0033】
好適な実施形態によると、排出手段は、第1の動作モードにおいて、イオンを実質的に軸方向にイオンガイドまたはイオントラップから排出するように構成および適合される。
【0034】
好適な実施形態によると、イオンは、イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内にトラップされるか、または軸方向に閉じ込められるように構成され、イオントラップ領域は長さlを有し、lは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される。
【0035】
好適な実施形態によると、イオントラップまたはイオンガイドは、直線イオントラップまたはイオンガイドを備える。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、四重極、六重極、八重極またはより高次の多重極ロッドセットなどの多重極ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップを備える。
【0036】
好ましくは、複数の電極は、(i)おおよそまたは実質的に円形状、(ii)おおよそまたは実質的に双曲状、(iii)おおよそまたは実質的に円弧状または部分円形状、および(iv)おおよそまたは実質的に長方形状または正方形状からなる群から選択される断面を有する。好ましくは、多重極ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップによって描かれる半径は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される。
【0037】
好適な実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、軸方向にセグメント化されるか、または複数の軸方向セグメントを備える。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、xの軸方向セグメントを備え、xは、(i)<10、(ii)10〜20、(iii)20〜30、(iv)30〜40、(v)40〜50、(vi)50〜60、(vii)60〜70、(viii)70〜80、(ix)80〜90、(x)90〜100、および(xi)>100からなる群から選択される。好適な実施形態によると、各軸方向セグメントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20の電極を備える。好ましくは、軸方向セグメントのうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の軸方向長さは、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される。
【0038】
好ましくは、軸方向セグメントのうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の間隔は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される。
【0039】
別の実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、複数の非伝導性、絶縁性またはセラミックのロッド、突起またはデバイスを備え得る。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20のロッド、突起またはデバイスを備える。好ましくは、複数の非伝導性、絶縁性またはセラミックのロッド、突起またはデバイスは、ロッド、突起またはデバイスの上、周辺、隣、上方または近傍に配置される1つ以上の抵抗性または伝導性のコーティング、層、電極、フィルムまたは表面をさらに備える。
【0040】
別の実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、開口を有する複数の電極を備え、イオンは、使用時に、開口を通って移送される。好ましくは、電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、実質的に同じ大きさであるか、または実質的に同じ面積である開口を有する。あるいは、電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、イオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った方向に、大きさまたは面積が漸進的により大きくなるかおよび/またはより小さくなる開口を有する。好ましくは、電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する開口を有する。
【0041】
別の実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、複数のプレートまたはメッシュ電極を備え、電極のうちの少なくともいくつかは、使用時にイオンが走行する平面内に概して配置される。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、複数のプレートまたはメッシュ電極を備え、電極のうちの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが走行する平面内に概して配置される。この実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20のプレートまたはメッシュ電極を備え得る。好ましくは、プレートまたはメッシュ電極は、(i)5mmまたはそれ未満、(ii)4.5mmまたはそれ未満、(iii)4mmまたはそれ未満、(iv)3.5mmまたはそれ未満、(v)3mmまたはそれ未満、(vi)2.5mmまたはそれ未満、(vii)2mmまたはそれ未満、(viii)1.5mmまたはそれ未満、(ix)1mmまたはそれ未満、(x)0.8mmまたはそれ未満、(xi)0.6mmまたはそれ未満、(xii)0.4mmまたはそれ未満、(xiii)0.2mmまたはそれ未満、(xiv)0.1mmまたはそれ未満、および(xv)0.25mmまたはそれ未満からなる群から選択される厚さを有する。
【0042】
プレートまたはメッシュ電極は、(i)5mmまたはそれ未満、(ii)4.5mmまたはそれ未満、(iii)4mmまたはそれ未満、(iv)3.5mmまたはそれ未満、(v)3mmまたはそれ未満、(vi)2.5mmまたはそれ未満、(vii)2mmまたはそれ未満、(viii)1.5mmまたはそれ未満、(ix)1mmまたはそれ未満、(x)0.8mmまたはそれ未満、(xi)0.6mmまたはそれ未満、(xii)0.4mmまたはそれ未満、(xiii)0.2mmまたはそれ未満、(xiv)0.1mmまたはそれ未満、および(xv)0.25mmまたはそれ未満からなる群から選択される距離だけ互いに間隔をおいて配置され得る。好ましくは、プレートまたはメッシュ電極は、ACまたはRF電圧が供給される。好ましくは、隣接するプレートまたはメッシュ電極は、ACまたはRF電圧の互いに逆の位相が供給される。好ましくは、ACまたはRF電圧は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有する。好ましくは、ACまたはRF電圧の振幅は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される。
【0043】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンガイドまたはイオントラップの第1側に配置される第1の外側プレート電極と、イオンガイドまたはイオントラップの第2側に配置される第2の外側プレート電極とをさらに備える。好ましくは、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極を、ACまたはRF電圧が印加されるプレートまたはメッシュ電極の平均電圧に対して、バイアスDC電圧にバイアスするバイアス手段が提供される。バイアス手段は、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極を、(i)<−10V、(ii)−9〜−8V、(iii)−8〜−7V、(iv)−7〜−6V、(v)−6〜−5V、(vi)−5〜−4V、(vii)−4〜−3V、(viii)−3〜−2V、(ix)−2〜−1V、(x)−1〜0V、(xi)0〜1V、(xii)1〜2V、(xiii)2〜3V、(xiv)3〜4V、(xv)4〜5V、(xvi)5〜6V、(xvii)6〜7V、(xviii)7〜8V、(xix)8〜9V、(xx)9〜10V、および(xxi)>10Vからなる群から選択される電圧にバイアスするように構成および適合され得る。
【0044】
一実施形態によると、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極は、使用時に、DCのみの電圧が供給される。別の実施形態によると、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極は、使用時に、ACまたはRFのみの電圧が供給される。さらなる実施形態によると、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極は、使用時に、DCおよびACまたはRF電圧が供給される。
【0045】
好ましくは、1つ以上の絶縁体層が複数のプレートまたはメッシュ電極の間に散在、配置、交互配置または配列される。イオンガイドまたはイオントラップは、実質的に曲線状または非直線状のイオンガイドまたはイオントラップ領域を備え得る。イオンガイドまたはイオントラップは、複数の軸方向セグメントを備え得る。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100の軸方向セグメントを備える。
【0046】
イオンガイドまたはイオントラップは、実質的に円形状、楕円状、正方形状、長方形状、規則的または不規則的断面を有し得る。イオンガイドまたはイオントラップは、イオンガイド領域に沿って大きさおよび/または形状および/または幅および/または高さおよび/または長さが変化するイオンガイド領域を有し得る。
【0047】
好ましい実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または>10の電極を備える。イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも(i)10〜20の電極、(ii)20〜30の電極、(iii)30〜40の電極、(iv)40〜50の電極、(v)50〜60の電極、(vi)60〜70の電極、(vii)70〜80の電極、(viii)80〜90の電極、(ix)90〜100の電極、(x)100〜110の電極、(xi)110〜120の電極、(xii)120〜130の電極、(xiii)130〜140の電極、(xiv)140〜150の電極、または(xv)>150の電極を備え得る。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される長さを有する。
【0048】
イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップを、(i)<1.0×10-1mbar、(ii)<1.0×10-2mbar、(iii)<1.0×10-3mbar、(iv)<1.0×10-4mbar、(v)<1.0×10-5mbar、(vi)<1.0×10-6mbar、(vii)<1.0×10-7mbar、(viii)<1.0×10-8mbar、(ix)<1.0×10-9mbar、(x)<1.0×10-10mbar、(xi)<1.0×10-11mbar、および(xii)<1.0×10-12mbarからなる群から選択される圧力に維持するように構成および適合される手段をさらに備える。
【0049】
一実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップを、(i)>1.0×10-3mbar、(ii)>1.0×10-2mbar、(iii)>1.0×10-1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)>5.0×10-3mbar、(viii)>5.0×10-2mbar、(ix)10-3〜10-2mbar、および(x)10-4〜10-1mbarからなる群から選択される圧力に維持するように構成および適合される手段をさらに備える。
【0050】
動作モードにおいて、イオンは、イオンガイドまたはイオントラップ内において、トラップされるが、実質的にフラグメンテーションされない。イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される手段をさらに備え得る。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される手段は、イオンがイオンガイドまたはイオントラップから排出される前および/または後にイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成される。
【0051】
好適な実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成および適合されるフラグメンテーション手段をさらに備え得る。好ましくは、フラグメンテーション手段は、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成および適合される。あるいは、フラグメンテーション手段は、表面誘起解離(「SID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成および適合される。
【0052】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから共鳴により、および/または質量選択的に排出するように構成および適合される。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンをイオンガイドまたはイオントラップからイオン軸方向および/または半径方向に排出するように構成および適合される。一実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、質量選択的不安定性によってイオンを排出するために、電極に印加されるACまたはRF電圧の周波数および/または振幅を調節するように構成および適合される。
【0053】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンを共鳴による排出によって排出するために、ACまたはRF補助波形または電圧を複数の電極に重ね合わせるように構成および適合される。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンを排出するために、DCバイアス電圧を複数の電極に印加するように構成および適合される。
【0054】
好適な実施形態によると、さらなる動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンが質量選択的におよび/または共鳴によらずにイオンガイドまたはイオントラップから排出されることなく、イオンを移送するか、またはイオンを格納するように構成される。好ましくは、さらなる動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンを質量フィルタリングまたは質量分析するように構成される。
【0055】
好適な実施形態によると、さらなる動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから質量選択的におよび/または共鳴によらずに排出することなく、衝突またはフラグメンテーションセルとして作用するように構成される。
【0056】
好適な実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップ内で、イオンガイドまたはイオントラップの入射口および/または中心および/または出射口に最も近い1つ以上の位置にイオンを格納またはトラップするように構成および適合される手段をさらに備える。好適な実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいてイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内にトラップし、イオンをイオンガイドまたはイオントラップの入射口および/または中心および/または出射口に向かって漸進的に移動させるように構成および適合される手段をさらに備える。
【0057】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形を最初に第1の軸方向位置において電極に印加し、1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形は、次いでその後にイオンガイドまたはイオントラップに沿って第2、次いで第3の異なる軸方向位置に与えられるように構成および適合される手段をさらに備える。
【0058】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンをイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形をイオンガイドまたはイオントラップの一端からイオンガイドまたはイオントラップの別の端部へ印加、移動または平行移動するように構成および適合される手段をさらに備える。
【0059】
好ましくは、1つ以上の過渡DC電圧は、(i)ポテンシャルの山または障壁、(ii)ポテンシャル井戸、(iii)多重極ポテンシャルの山または障壁、(iv)多重極ポテンシャル井戸、(v)ポテンシャル山または障壁およびポテンシャル井戸の組み合わせ、または(vi)多重極ポテンシャル山または障壁および多重極ポテンシャル井戸の組み合わせを生成する。1つ以上の過渡DC電圧波形は、繰り返し波形または正方形状波を備え得る。
【0060】
イオンガイドまたはイオントラップは、1つ以上のトラップ静電またはDCポテンシャルをイオンガイドまたはイオントラップの第1の端部および/または第2の端部において印加するように構成される手段をさらに備え得る。
【0061】
イオンガイドまたはイオントラップは、1つ以上のトラップ静電ポテンシャルをイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さに沿って印加するように構成される手段をさらに備え得る。
【0062】
本発明の別の局面によると、上記のようなイオンガイドまたはイオントラップを備える質量分析計が提供される。
【0063】
好ましくは、質量分析計は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源をさらに備える。好ましくは、質量分析計は、連続またはパルス化イオン源をさらに備える。
【0064】
質量分析計は、イオンガイドまたはイオントラップの上流および/または下流に配置される1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップをさらに備え得る。1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップは、1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される。好ましくは、1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップは、イオンがイオンガイドまたはイオントラップへ導入される前および/または後に1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される。
【0065】
一実施形態によると、質量分析計は、イオンを1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップからイオンガイドまたはイオントラップ内へ導入、軸方向に注入または排出、半径方向に注入または排出、移送またはパルス化するように構成および適合される手段をさらに備える。好ましくは、質量分析計は、イオンをイオンガイドまたはイオントラップ内へ導入、軸方向に注入または排出、半径方向に注入または排出、移送またはパルス化するように構成および適合される手段をさらに備える。
【0066】
好ましくは、質量分析計は、1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成および適合される手段をさらに備える。
【0067】
好ましくは、1つ以上のイオン検出器が上記好適なイオンガイドまたはイオントラップの上流および/または下流に配置される。
【0068】
好ましくは、質量分析計は、イオンガイドまたはイオントラップの下流および/または上流に配置される質量分析器をさらに備える。質量分析器は、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速度飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速度飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(viii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電フーリエ変換質量分析計、および(xiii)四重極質量分析器からなる群から選択されるのが好ましい。
【0069】
本発明の別の局面によると、
複数の電極を備えるイオントラップまたはイオンガイドを準備するステップと、
少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を複数の電極のうちの少なくともいくつかに印加するステップと、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するステップであって、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、ステップと、
1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるステップと、
少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域から実質的に共鳴によらずに排出し、同時に他のイオンはイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域域内に実質的にトラップされたままになるように構成されるステップと
を含むイオンをガイドまたはトラップする方法が提供される。
【0070】
本発明の別の局面によると、上記のような方法を含む質量分析の方法が提供される。
【0071】
本発明の別の局面によると、
複数の電極と、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するように構成および適合される第1の手段であって、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、第1の手段と、
1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるように構成および適合される変調手段と
を備えるイオンガイドまたはイオントラップが提供される。
【0072】
本発明の別の局面によると、
複数の電極を備えるイオントラップまたはイオンガイドを準備するステップと、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するステップであって、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、ステップと、
1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるステップと
を含むイオンをガイドまたはトラップする方法が提供される。
【0073】
本発明の別の局面によると、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出し、同時に他のイオンは、イオンガイドまたはイオントラップ内にトラップされたままであるように構成および適合される手段を備える直線イオンガイドまたはイオントラップが提供される。
【0074】
本発明の別の局面によると、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出し、同時に他のイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内にトラップするステップを備えるイオンをガイドまたはトラップする方法が提供される。
【0075】
上記好適な実施形態は、イオンをイオンガイドまたはイオントラップの軸のまわりに半径方向に閉じ込めるためにACまたはRF電圧がイオンガイドまたはイオントラップを形成する電極に印加される直線イオンガイドまたはイオントラップに関する。
【0076】
好ましくは、二次軸方向ポテンシャル井戸は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域内の参照点のまわりに重ね合わされる。好ましくは、二次ポテンシャル井戸は、参照点から軸方向にずれたイオンを参照点に戻る方向へ加速するようにそのイオンに力を加える。
【0077】
好ましくは、軸方向ポテンシャル井戸の相対位置は、イオンを参照点の回りで有効に振動させるように経時変化または変調される。好ましくは、ポテンシャル井戸の位置は、好ましくはトラップされたイオンが参照点まわりで非共鳴周波数(すなわち、イオンの基本または第1の高調波振動数以外の周波数)で振動するように経時変化される。異なる質量電荷比を有するイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って異なる特性振幅で振動する。これにより、イオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴によらずに排出することができる。
【0078】
イオンは、イオンの軸方向振動の最大振幅を変化させるようにポテンシャル井戸を変調することによって好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出され得る。これは、比較的低い質量電荷比を有するイオンを、軸方向ポテンシャル井戸から抜け出せる程度に十分大きな振幅で軸方向に振動させることによって実現され得る。このように、これらのイオンは、軸方向に好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されるようになる。したがって、好ましくは、イオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから軸方向にかつ実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出される。すなわち、イオンは、イオンの固有基本共鳴周波数に対応する周波数を有する電圧でイオンを励起することによっては、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されない。
【0079】
好適なイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域に沿って維持されたポテンシャル井戸は、二次である。ポテンシャル井戸の位置は、好ましくは二次ポテンシャル井戸がイオンガイドまたはイオントラップに一方の側から他方の側へ軸方向イオントラップ領域を通ってまたは沿って継続して有効に通過されるように経時変化される。したがって、軸方向ポテンシャル井戸は、二次軸方向ポテンシャル井戸の最小が参照点のまわりを軸方向に振動するように変調されると考えられ得る。
【0080】
好ましくは、印加された軸方向DCまたは静電二次ポテンシャルの最小の位置は、異なる質量電荷比を有するイオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って非共鳴周波数で異なる特性振幅で振動するように実質的に周期的に変化される。次いで、好ましくは、イオンの質量選択的非共鳴軸方向排出は、例えば、軸方向二次DCポテンシャル井戸の周期的変調の周波数を変更することによって実現される。あるいは、軸方向二次ポテンシャル最小の振動振幅は、変化され得る。好ましくは、これによりイオンの軸方向振動の特性振幅を増加することができる。このように、イオンの軸方向振動の振幅は、好ましくは所望の質量電荷比を有するイオンが軸方向イオントラップ領域を離れるようにされ、したがって好ましくは軸方向に好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されるように変化され得る。イオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから順次排出され、イオン検出器によって検出され得る。これにより、質量スペクトルが生成できる。
【0081】
上記好適な実施形態によると、好ましくは、直線軸方向で重ね合わされたDC電界は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さの少なくとも一部に沿って維持される。次いで、好ましくは、軸方向ポテンシャル井戸の最小の位置は、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心である平均位置に対して軸方向に実質的に対称に変調される。したがって、好ましくは、イオンは、軸方向ポテンシャル井戸内においてこの変調の周波数および運動の周波数に関連する軸方向運動を得る。
【0082】
上記好適な実施形態によると、好ましくは、軸方向二次ポテンシャル井戸は、軸方向二次ポテンシャル井戸内にトラップされたイオンの特性基本共鳴または第1の高調波周波数よりも実質的に高い周波数で変調される。したがって、イオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから、共鳴により排出されるのではなく、共鳴によらずに排出されると考えられ得る。
【0083】
好適なイオンガイドまたはイオントラップは、多重極ロッドセットを備え得る。セグメント化四重極ロッドセットは、特に好適である。上記好適な実施形態において、好ましくは、イオンは、軸方向に好適なイオンガイドまたはイオントラップに導入される。
【0084】
当該好適なイオンガイドまたはイオントラップは、他の公知のイオントラップと比較して特に有利である。軸方向二次ポテンシャル井戸の変調は、イオンをトラップするためには必要でないが、その代わりに、イオンを軸方向に好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴によらずに排出するために使用されるのみである。好ましくは、イオンは、イオンガイドまたはイオントラップの電極に印加され、イオンを半径方向にイオンガイドまたはイオントラップ内に閉じ込めるように作用するACまたはRF電圧に直交して好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入される。これは、従来の3Dまたはポールイオントラップとは対照的である。したがって、イオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップ内へ注入することは従来の3Dまたはポールイオントラップ内へ注入するよりも簡単である。
【0085】
好適な実施形態によると、イオンは、軸方向および半径方向の両方に好適なイオンガイドまたはイオントラップトラップ内にトラップされる。次いで、イオンは、衝突ガスを好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入することによって、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内で熱エネルギーに冷却され得る。したがって、上記好適な実施形態によると、イオンは、質量選択軸方向非共鳴イオン排出の前に、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内で熱化され得る。
【0086】
好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、デバイスの軸方向の大きさについての物理的な制限は実質的にない。これにより、例えば、従来の3Dまたはポールイオントラップと比較して、はるかにより大きなポテンシャルイオントラップ容量を実現することができる。
【0087】
他の実施形態によると、より高次の多重極ロッドセットまたはイオントンネルもしくはイオンファネルイオンガイドもしくはイオントラップが使用され得る。
【0088】
好適なイオンガイドまたはイオントラップは、別の動作モードにおいて、二次軸方向DCポテンシャルが除去され得、これにより好適なイオンガイドまたはイオントラップをその別の動作モードにおいて従来のイオンガイド、イオントラップ、質量フィルタまたは質量分析器として使用できるという利点を有する。
【0089】
ここで本発明の種々の実施形態について添付の図面を参照し、あくまで例として、説明する。
【0090】
図1は、一実施形態にかかる好適なセグメント化ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップの断面図である。
【0091】
図2は、好適な実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはトラップの長さの一部に沿って維持される二次DCまたは静電ポテンシャルを示すプロットとともに示す、好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの側面図である。
【0092】
図3は、一実施形態にかかる好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに印加されるDCまたは静電ポテンシャルを示し、ここで印加されたDCまたは静電ポテンシャルは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域の境界における電界緩和効果を補償するように構成される。
【0093】
図4は、一実施形態にかかる好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに印加されるDCまたは静電ポテンシャルを示し、ここで印加されたDCまたは静電ポテンシャルは、イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域を一旦励起すると、イオンは加速されて好適なイオンガイドまたはイオントラップを出射するように構成される。
【0094】
図5は、一実施形態にかかる、3つの異なる時点において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域にわたり維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールを示す。
【0095】
図6は、一実施形態にかかる、当該3つの異なる時点において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域に沿って維持される軸方向電界を示す。
【0096】
図7は、一実施形態にかかる、3つの異なる時点において、イオンガイドまたはイオントラップに沿って維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールの例を示す。
【0097】
図8Aは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比200を有するイオンについてのイオン振動振幅を示し、図8Bは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比300を有するイオンについてのイオン振動振幅を示し、図8Cは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比400を有するイオンについてのイオン振動振幅を示す。
【0098】
図9Aは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比200を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示し、図9Bは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比300を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示し、図9Cは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比400を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示す。
【0099】
図10は、一実施形態にかかる、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の軸方向変位振幅が時間の関数としてどのようにスキャンされ得るかを示す。
【0100】
図11は、好適な実施形態にかかるイオンガイドまたはイオントラップについての簡略化された正規化安定性図を示す。
【0101】
ここで本発明の種々の実施形態を説明する。好適な実施形態によると、好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、図1に示すように構成された双曲形状の電極を有するセグメント化四重極ロッドセットを備える。好ましくは、四重極ロッドセットアセンブリ全体の一部を形成する各ロッドは、図2において示すように複数の軸方向セグメントに分割される。好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、種々のセグメントの各々に印加されるDCまたは静電ポテンシャルが、例えば、実質的に二次または近二次関数に緩和できるようにするために十分な数の軸方向セグメントを備える。
【0102】
図1は、好ましくは双曲形状の第1の電極またはロッド対1a、1bおよび双曲形状の第2の電極またはロッド対2a、2bを備える好適なイオンガイドまたはイオントラップの断面図である。好ましくは、各電極またはロッド1a、1b、2a、2bは、図2に示すように軸方向にセグメント化される。
【0103】
動作において、好ましくは、ACまたはRF電圧は、半径方向疑似ポテンシャル井戸を生成するように、好適なイオンガイドまたはイオントラップを形成する電極の各々に印加される。疑似ポテンシャル井戸は、好適なイオンガイドまたはトラップ内にイオンを半径方向(すなわち、x、y平面内)に閉じ込めるように作用する。
【0104】
好ましくは、第1のロッド対1a、1bを形成する電極に印加されるACまたはRF電圧は、以下の形態である。
【0105】
【数2】
【0106】
ここで、φ0は、ACまたはRF高電圧電源のピーク・トゥ・ピーク電圧の半分であり、tは、時間(単位:秒)であり、Ω0は、ACまたはRF電圧源の角周波数(単位:ラジアン/秒)である。
【0107】
好ましくは、第2のロッド対2a、2bを形成する電極に印加されるACまたはRF電圧は、以下の形態である。
【0108】
【数3】
【0109】
したがって、x、y方向におけるポテンシャルは、以下のとおりである。
【0110】
【数4】
【0111】
ここで、roは、2つのロッド対1a、1bおよび2a、2bによって描かれる円の半径である。
【0112】
x、y平面内のイオン運動は、マチウ方程式を使用して表現され得る。イオン運動は、イオンの質量電荷比に関する周波数を有するより大きな永年運動に重ね合されたACまたはRF駆動周波数に関する周波数を有する低振幅微小運動を備えると考えられ得る。マチウ方程式の性質は、周知であり、当業者に容易に理解されるように、安定なイオン運動となる解は、無次元のパラメータauおよびquについての安定性境界条件をプロットすることによる安定性図を使用して表され得る。
【0113】
上記の実施形態について、パラメータauおよびquは、以下のとおりである。
【0114】
【数5】
【0115】
【数6】
【0116】
ここで、mは、イオンの分子質量であり、U0は、ロッド対のうちの1つの対に印加されるDC電圧であり、qは、電荷eにイオン上の荷電数をかけたものである。
【0117】
質量分析のための従来の四重極デバイスの動作は、周知である。ACまたはRF電圧の電極への印加の時間平均効果は、半径方向の疑似ポテンシャル井戸を形成させる。疑似ポテンシャル井戸のx方向の近似は、以下によって与えられ得る。
【0118】
【数7】
【0119】
qx<0.4の値に対するポテンシャル井戸の深さは、以下のように近似される。
【0120】
【数8】
【0121】
四重極は、円筒対称であるので、疑似ポテンシャル井戸のy方向の特性について同一の式が導き出され得る。
【0122】
イオンを半径方向に閉じ込める疑似ポテンシャル井戸に加えて、軸方向二次DCポテンシャル井戸またはプロフィールは、また本発明の好適な実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さの少なくとも一部に沿って維持される。好ましくは、二次軸方向ポテンシャル井戸は、初期には、好適なイオンガイドまたはイオントラップの実質的に中心または中央に最小を有するように提供される。軸方向DCポテンシャルは、ポテンシャル井戸の最小(または好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央)からの距離または変位の二乗として増加する。
【0123】
好ましくは、軸方向二次DCポテンシャル井戸の位置は、好ましくは軸方向二次DCポテンシャル井戸の最小を軸方向またはz方向に振動させるように時間とともに変更または変調される。したがって、好ましくは、軸方向DCまたは静電ポテンシャルプロフィールは、図5を参照してより詳細に説明するように、軸方向に変調される。一実施形態によると、DCまたは静電軸方向ポテンシャル井戸の最小は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央のまわりで振動する。
【0124】
したがって、経時変化するDCまたは静電ポテンシャルは、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って維持され、好ましくは以下の形態を有する。
【0125】
【数9】
【0126】
ここで、kは、軸方向DC二次ポテンシャルの電界定数であり、aは、好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿った軸方向距離であり(二次ポテンシャルの最小はその分だけ平均位置のまわりを移動する)、Ωは、軸方向二次DCポテンシャルの変調周波数である。
【0127】
ここで、図2に示すイオンガイドまたはイオントラップに対応する実施形態をより詳細に説明する。図2に示す実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、41の軸方向セグメントを備え得る。図2に示すように、最も中心または中央の軸方向セグメントは、セグメント番号0と標識され得、その他のセグメントは、それぞれ1〜20および−1〜−20と標識され得る。好適なイオンガイドまたはイオントラップは、軸方向の全長が2Tであり、長さ2Lの好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に軸方向イオントラップ領域を有すると考えられ得る。
【0128】
また、本例示の実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って好ましくは初期に維持される図2の軸方向二次DCポテンシャルプロフィールを参照する。好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持されるDCポテンシャルは、中心または中央セグメント(すなわち、セグメント0)からセグメント番号±14までの距離または変位の二乗に比例して増加する。セグメント番号±14は、DCポテンシャル井戸の最小(および好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央)から距離±Lの位置にある。±Lよりも大きな距離においては、好適なイオンガイドまたはイオントラップの種々のセグメントに印加されるDCポテンシャルは、好ましくは一定である。したがって、軸方向二次DCポテンシャル井戸またはイオントラップ領域から逃れ、したがって±Lよりも大きな距離に変位したイオンは、ポテンシャルが変位に関係なく一定である実質的に電界のない領域に存在する。したがって、この領域内のこれらのイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの入射口または出射口に向かって自由に移動し続け、次いで好適なイオンガイドまたはイオントラップから出射する。
【0129】
好適なイオンガイドまたはイオントラップのセグメント−15〜−20およびセグメント15〜20に印加されるDCポテンシャルは、好ましくは時間の関数として実質的に一定であり、他方セグメント−14〜14に印加されるポテンシャルは、好ましくは時間の関数として変化する。したがって、距離±Lは、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内の軸方向イオントラップ領域に対する境界を定義する。軸方向二次ポテンシャル井戸または軸方向イオントラップ領域の閉じ込めからうまく逃れるイオンは、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に軸方向にもはや閉じ込められず、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップから自由に出射する。
【0130】
距離±Lにおける軸方向イオントラップ領域の境界での電界緩和により、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域のポテンシャル分布は、所望の二次に正確または完全にはならないことがある。
【0131】
電界緩和問題に対応するために、軸方向イオントラップ領域の境界における、またはその周辺の電極に印加されるDCまたは静電ポテンシャルは、歪みを補正するように変更され得る。図3は、軸方向イオントラップ領域に対する境界での電界緩和の問題に対応するように意図された実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはイオントラップの各セグメントのDCポテンシャルのプロットを示す。好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの各セグメントのDCポテンシャルは、セグメント±15〜17のポテンシャルがセグメント±18〜20のポテンシャルよりも好ましくは高いことを除いて、図2に示すものと実質的に同じである。すべてのセグメント±15〜20のDCポテンシャルは、好ましくは時間の関数として実質的に一定を維持するが、好ましさの劣る例においては、これらのポテンシャルが経時変化し得ると考えられる。
【0132】
好ましくは、図3を参照して上に示し記載した実施形態は、軸方向イオントラップ領域の境界における電界緩和および電界貫通の効果が実質的に和らげられ、より正確な、滑らかな、または連続な軸方向二次ポテンシャルプロフィールが好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域内に維持されるようになり得るという利点がある。
【0133】
図4は、中心軸方向イオントラップ領域からうまく逃れたイオンが次いで好ましくは加速されて好適なイオンガイドまたはイオントラップを出射するような別の実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはイオントラップの各セグメントのDCポテンシャルのプロットを示す。この実施形態によると、セグメント±15〜20のポテンシャルは、漸進的に低減する。好ましくは、すべてのセグメント±15〜20のDCポテンシャルは、時間の関数として実質的に一定を維持するが、好ましさの劣る例においては、これらのポテンシャルが経時変化し得ると考えられる。
【0134】
図5は、本発明の好適な実施形態にかかる軸方向二次ポテンシャル井戸の位置を変調することによって好適なイオンガイドまたはイオントラップからイオンを共鳴によらずにどのように排出し得るかの一般原理を例示する。図5は、3つの異なる時間t1、t2およびt3における好適なイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域に沿って維持される際の二次DCまたは静電軸方向ポテンシャルプロフィールを示す。中心軸方向イオントラップ領域の境界は、軸方向位置±Lによって示される。なお、領域−L〜L内に示されるポテンシャルのみが実際に好適なイオンガイドまたはイオントラップの電極に印加される。−L未満およびLより大きな距離における破線で示したポテンシャルは、実際には好適なイオンガイドまたはイオントラップの電極に印加されない。
【0135】
図5に示すような第1の時間t1における軸方向ポテンシャルプロフィールは、軸方向二次DCポテンシャル井戸が好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持されていることに対応する。ここで、二次ポテンシャル井戸の最小は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央に位置する。好ましくは、軸方向イオントラップ領域に対応する好適なイオンガイドまたはイオントラップのセグメントのDCポテンシャルは、好ましくはDC二次軸方向ポテンシャル井戸の最小が時間とともに第1の方向へ平行移動されるように連続的に経時変化される。好ましくは、DC二次ポテンシャル井戸の最小は、図5に示すようにDC二次ポテンシャル井戸の最小が後の時間t2において最大の正の変位+aに達するまで好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って平行移動される。次いで、好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップのセグメントのポテンシャルは、好ましくはまた図5に示すようにDCポテンシャル井戸の最小がさらに後の時間t3において最大の負の変位−aに達するまでDC二次軸方向ポテンシャル井戸の最小が好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って第2の反対方向へ逆に平行移動されるように経時変化される。
【0136】
好ましくは、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の位置は、DC軸方向ポテンシャル井戸の最小を好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央である所定の位置のまわりで好ましくは振動させるように、上記のような方法で連続的に変化または変調される。
【0137】
図5を参照して上記した実施形態によると、好ましくは、中心軸方向イオントラップ領域を定義する境界±Lの間に位置する軸方向セグメントのポテンシャルのみがこのように変調される。好ましくは、±Lに位置する中心軸方向イオントラップ領域の境界を超えた電極のポテンシャルは、経時的に実質的に一定を維持する。
【0138】
好ましくは、中心軸方向イオントラップ領域を軸方向またはz方向に横切って維持される電界Ezは、以下によって与えられる。
【0139】
【数10】
【0140】
図6は、時間t1、t2およびt3において好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域にわたり維持されるような(および上記方程式9に記載のとおりの)軸方向電界を示す。
【0141】
図6においてt1によって示された軸方向電界は、二次ポテンシャル井戸の最小が好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域の中心または中央に位置する時間t1において中心軸方向イオントラップ領域にわたって維持される軸方向電界を表す。図6においてt2によって示される軸方向電界は、二次ポテンシャル井戸の最小が位置+aに位置する(すなわち、中心軸方向イオントラップ領域を超える)時間t2において中心軸方向イオントラップ領域にわたって維持される軸方向電界を表す。図6においてt3によって示す軸方向電界は、二次ポテンシャル井戸の最小が位置−a(すなわち、また中心軸方向イオントラップ領域を超える)に位置する時間t3において中心軸方向イオントラップ領域にわたり維持される軸方向電界を表す。したがって、図6から分かるように、好ましくは、直線軸方向電界が、経時変化するオフセットを有すると考えられ得る軸方向イオントラップ領域にわたって設けられる。
【0142】
図7は、特定の例による、軸方向二次DCポテンシャル井戸の最小の変調の際の時間t1、t2またはt3においてイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールのグラフを示す。この特定の例において、軸方向ポテンシャルは、軸方向距離±Lに位置する境界によって定義される中心軸方向イオントラップ領域を超えると一定に維持される。中心軸方向イオントラップポテンシャル±Lの境界は、±29mmに設定され、軸方向二次DCポテンシャル井戸の最小の最大変位±aは、203mmに設定された(すなわち、中心軸方向イオントラップ領域の外側の井戸)。
【0143】
図7においてt1として示される曲線は、二次DC軸方向ポテンシャル井戸の最小が中心軸方向イオントラップ領域の中心または中央に位置する時間t1において好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールを表す。t2として示される曲線は、二次DC軸方向ポテンシャル井戸の最小が位置+aに位置する後の時間t2において好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持されるポテンシャルプロフィールを表す。t3として示される曲線は、二次DC軸方向ポテンシャル井戸の最小が位置−aに位置するさらに後の時間t3において好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持されるポテンシャルプロフィールを表す。
【0144】
中心軸方向イオントラップ領域内においてイオンにz方向にかかる力Fzは、以下によって与えられる。
【0145】
【数11】
【0146】
軸方向イオントラップ領域内のイオンの軸方向またはz軸に沿った加速度Azは、以下によって与えられる。
【0147】
【数12】
【0148】
中心軸方向イオントラップ領域内のイオンの軸方向の運動の方程式は、以下によって与えられる。
【0149】
【数13】
【0150】
当業者に理解されるように、この運動方程式は、強制直線調和振動子を記載する。この正確な解は、以下のとおりである。
【0151】
【数14】
【0152】
ここで、z1は、t=0でのイオンの初期z座標であり、Vは、t=0でのイオンのz方向の初期運動エネルギーであり、ωは、
【0153】
【数15】
【0154】
であり、イオンの単振動運動の基本周波数であり、aは、二次ポテンシャル井戸の軸方向のz方向の変調の振幅であり、Ωは、軸方向二次ポテンシャル井戸の変調の周波数である。
【0155】
この解から、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の変調の振幅がt=0において最大となると考えられる。軸方向電界の変調を異なる位相角度で開始すると異なる解が得られ得る。方程式13は、以下のように書き換えられ得る。
【0156】
【数16】
【0157】
ここで、
【0158】
【数17】
【0159】
である。
【0160】
方程式14から分かるように、中心軸方向イオントラップ領域内にトラップされたイオンは、イオンの初期運動エネルギーVおよび開始位置z1から独立した周波数の組み合わせで振動する。これらの周波数は、上記定義のような基本振動数ω、および周波数
【0161】
【数18】
【0162】
および
【0163】
【数19】
【0164】
である。
【0165】
図8A〜図8Cは、それぞれ質量電荷比200、300および400を有するイオンについての軸方向のイオン振動の振幅をプロットしたものである。DC軸方向二次ポテンシャル井戸の位置は、図7を参照して記載した特定の例に関して上記したように変調される。
【0166】
イオンの運動は、上記導出の方程式13によって規定される。この特定の例について、二次軸方向DCポテンシャル井戸についての電界定数kは、2378V/m2に設定された。二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位±aは、±202mmに設定された。二次軸方向DCポテンシャル井戸は、1秒当たり1.4×105ラジアン(22.3kHz)の周波数Ωで振動または変調するようにモデル化された。イオンは、0mmに等しい初期位置z1から開始され、0eVに等しい初期エネルギーVを有するようにモデル化された。
【0167】
図8A〜図8Cから分かるように、より低い質量電荷比を有するイオン(例えば、質量電荷比200を有するイオンに関する図8Aを参照)は、より低い質量電荷比を有するイオン(例えば、質量電荷比400を有するイオンに関する図8Cを参照)と比較して、対応のより高い振動振幅を有する。また、図8A〜図8Cから分かるように、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の高周波数変調による周波数
【0168】
【数20】
【0169】
および
【0170】
【数21】
【0171】
における比較的高い周波数運動は、基本共鳴周波数ωにおいて発生する特徴的により低い周波数の単振動に重ね合わされる。
【0172】
上記方程式12によって表される運動方程式は、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位±aが固定され、かつ軸方向二次ポテンシャル井戸の変調周波数Ωも固定されるイオンの運動を考える。軸方向DC二次ポテンシャル井戸の変調周波数Ωが一定であり、イオンの基本共鳴周波数ωよりも大きく、かつ二次軸方向ポテンシャル井戸の最大軸方向変位(a)が時間とともに漸進的に直線的に増加する場合を考えることができる。これらの条件下で、新しい運動方程式が以下のように表され得る。
【0173】
【数22】
【0174】
この方程式に対する解は、以下によって与えられる。
【0175】
【数23】
【0176】
したがって、方程式16は、二次軸方向ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位が漸進的に増加される分析スキャン中のイオンの運動を記述する。一実施形態によると、そのような分析スキャンは、イオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴によらずに排出するために数ミリ秒の期間にわたって行われ得る。そのような実施形態を、後でより詳細に説明する。
【0177】
図9A〜図9Cは、質量電荷比200、300および400を有するイオンについて、それぞれイオンの軸方向の振動振幅を時間に対してプロットしたものである。ここで、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位は、時間とともに漸進的に直線的に増加される。イオン運動は、上記のように方程式16によって規定される。二次軸方向ポテンシャルについての電界定数kは、2378V/m2に設定された。軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位±aは、8msの期間にわたり0から400mmへスキャンまたは漸進的に増加される。軸方向二次ポテンシャル井戸の変調周波数は、1秒当たり1×105ラジアン(16kHz)の周波数Ωに固定された。イオンは、0.1mmに等しい初期位置z1において0eVに等しい初期エネルギーVを有して開始するとモデル化された。
【0178】
図9A〜図9Cの比較から分かるように、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位は、時間とともに漸進的に増加し、イオンの軸方向の最大振動振幅もそれに応じて増加する。また、図9A〜図9Cの比較から明らかなように、比較的低い質量電荷比を有するイオン(例えば、質量電荷比200を有するイオンに関する図9Aを参照)は、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位が同じである場合、比較的高い質量電荷比を有するイオン(例えば、質量電荷比400を有するイオンに関する図9Cを参照)よりも振動振幅が高い。したがって、本発明の上記好適な実施形態によると、比較的低い質量電荷比を有するイオンは、比較的より高い質量電荷比を有するイオンより先に、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域から排出される。
【0179】
図10は、イオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴によらずに排出するために、図9A〜図9Cを参照して説明した実施形態において使用されるスキャン関数のプロットを示す。y軸は、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位を示し、x軸は、時間を示す。この特定の実施形態において、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位は、8msの期間にわたり0mmから400mmまで漸進的に直線的に増加された。
【0180】
当業者に理解されるように、軸方向DC静電電圧を印加すると、また半径方向静電ポテンシャルが好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に生成される。この効果を例示するために、セグメント化円筒が考えられ得る。円筒の軸に沿って重ね合わされる、以下の形態の二次ポテンシャル:
【0181】
【数24】
【0182】
を考慮すると、x、y、zにおけるポテンシャルが以下によって与えられる。
【0183】
【数25】
【0184】
ここで、r0は、円筒の半径である。
【0185】
方程式18は、以下によって与えられるラプラス条件を満足する。
【0186】
【数26】
【0187】
したがって、方程式18から分かるように、軸方向に変調された二次DCポテンシャルを円筒の軸に沿って重ね合わせることによって、円筒の中心軸から外側電極へ向かう方向へイオンに力を与える静的な半径方向電界がまた生成される。しかし、ACまたはRF電圧を外側電極に印加することによって生成される半径方向疑似ポテンシャル井戸が、軸方向に変調された二次ポテンシャルによってイオンに与えられる半径方向の力に十分に打ち勝つならば、イオンは、半径方向に閉じ込められたままとなる。
【0188】
イオンは、イオンの振動振幅が好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域の境界±L内にイオンが留まるような程度である場合に、好適なイオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域内に軸方向に含まれるかまたは閉じ込められるのみとなる。この条件は、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内の安定なイオントラップの条件を定義するために使用され得る。以下の形態のさらなる直線軸方向DCポテンシャルDCzが軸方向イオントラップ領域にわたって印加される場合:
【0189】
【数27】
【0190】
軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の位置がずれて、イオンが不安定となる振動振幅を変化させる。したがって、この方法は、また好適なイオントラップを出射するようにイオンを漸進的にスキャンするために使用され得る。
【0191】
好適なイオンガイドまたはイオントラップについての安定性図は、変数a、b、k、m、ΩおよびLに関して生成され得る。ここで、Lは、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小から中心軸方向イオントラップ領域の各境界までの距離である。
【0192】
図11は、好適なイオンガイドまたはイオントラップについての安定性図を示し、安定性および不安定性領域を示す。y軸は、静的な直線ポテンシャルDCzを印加した結果である平均軸方向ポテンシャルの最小の軸方向変位の正規化された大きさを表す。x軸は、正規化された振動振幅を表す。Z安定と標識された安定性図の領域は、イオンが安定であり、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内にトラップされたままであることを示す。不安定と標識された領域は、イオンがトラップされたままではなく、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップを離れることを示す。+Z不安定と標識された領域は、好ましくはイオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの一端から好適なイオンガイドまたはイオントラップを離れることを示す。同様に、−Z不安定と標識された領域は、イオンが好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップの他端から好適なイオンガイドまたはイオントラップを離れることを示す。±Z不安定と標識された領域は、好ましくはイオンが両端から好適なイオンガイドまたはイオントラップを離れることを示す。
【0193】
図11に示す安定性図は、イオンがまず好適なイオンガイドまたはイオントラップ内で衝突冷却化を受け、そのイオンの振動振幅が、軸方向静電またはDC二次ポテンシャル井戸内のより低い周波数の調和振動の振幅ではなく、例えば、二次ポテンシャル井戸の位置の変調による高周波振動の振幅に主として規定されると仮定する。
【0194】
正規化された振動振幅についての式は、イオンについての異なる初期エネルギーVおよび異なる初期位置項z1を含む異なる開始条件を含むように変更され得る。式は、また軸方向二次ポテンシャル井戸の変調の初期開始位相を含むように変更され得る。
【0195】
好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域内のイオンの運動は、衝突減衰ガスを好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入することによって変更され得る。減衰ガスの存在下での運動方程式は、以下のとおりに与えられる。
【0196】
【数28】
【0197】
ここで、λは、減衰定数であり、イオンの移動度の関数である。
【0198】
イオン移動度は、イオン断面積、減衰ガス数密度、イオン電荷、イオンおよびガス分子の質量、ならびに温度の関数である。したがって、減衰ガスの存在下で運動方程式は、またイオンの移動度に依存する。したがって、これらの状況において、安定および不安定なイオン運動についての条件は、またイオン移動度に依存する。したがって、新しい運動方程式および安定性図は、異なる減衰条件について生成され得、イオンは、その質量電荷比と同様にそのイオン移動度にしたがっても分離され得る。
【0199】
上記好適な実施形態において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの各個別セグメントに印加されるDC電圧は、好ましくは個別の低電圧電源を使用して生成される。好ましくは、DC電源の出力は、プログラム可能なマイクロプロセッサによって制御される。静電ポテンシャル関数の軸方向の一般形態は、好ましくは短時間に操作され得、複雑かつ/または経時変化するポテンシャルは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向に沿って重ね合わされ得る。
【0200】
好適な実施形態において、好ましくは、イオンは、外部のイオン源から好適なイオンガイドまたはイオントラップ内へパルス状または実質的に連続に導入される。外部のイオン源から連続イオンビームを導入する際に、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップに入射するイオンの初期軸方向エネルギーは、好ましくはACまたはRF電圧を電極に印加することによって所望の範囲内の質量電荷比を有するすべてのイオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込められるように構成され得る。好ましくは、イオンは、また重ね合わされた軸方向静電ポテンシャルによって軸方向にトラップされるようになる。軸方向の初期トラップDCまたは静電ポテンシャル関数は、二次であってもよいし、そうでなくてもよく、軸方向DCトラップポテンシャルの最小は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央に対応してもよいし、そうでなくてもよい。イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入される際に、軸方向二次DCポテンシャル井戸の変調振幅は、好ましくはゼロに初期設定され得る。
【0201】
好適なイオンガイドまたはイオントラップ内のイオンの初期トラップは、冷却ガスの非存在下に実現され得、あるいは、冷却ガスの存在下に実現され得る。
【0202】
一旦イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域内に閉じ込められると、好ましくは初期エネルギーの広がりは、冷却ガスをイオン閉じ込めまたは軸方向イオントラップ領域に導入することによってか、または軸方向イオントラップ領域内にすでに存在する冷却ガスの存在によってかのいずれか一方によって低減され得る。好ましくは、冷却ガスは、10-4〜101mbarの範囲、より好ましくは10-3〜10-1mbarの範囲の圧力に維持され得る。イオンの運動エネルギーは、好ましくは冷却ガス分子との衝突により損なわれ、イオンは、好ましくは熱エネルギーに達する。好ましくは、残留ガス分子と衝突することで最終的にはイオンの振動振幅は低減し、したがってイオンは、軸方向DCポテンシャル井戸の中心または最小へ落ち込みやすくなる。しかし、イオンは、エネルギーを失うが、半径方向疑似ポテンシャル井戸によって閉じ込められたままとなるので、好適なイオンガイドまたはイオントラップから失われない。したがって、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、イオンがガス分子との衝突によって十分なエネルギーを失った場合に系に対して失われるオービトラップなどの他のイオントラップと比較して特に有利である。このため、オービトラップは、超高真空(UHV)において動作される必要があるという欠点がある。
【0203】
上記好適な実施形態によると、好ましくはイオンの空間的広がりおよびエネルギー範囲は最小化されるように、好ましくは異なる質量電荷比のイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って最低静電ポテンシャル点へ移動するようにされる。
【0204】
一実施形態によると、一旦イオンが熱的に冷却され、好ましくは軸方向ポテンシャル井戸の最小に位置すると、軸方向二次ポテンシャル井戸の位置は変調され得、振動振幅は増加され得る。好ましくは、軸方向二次ポテンシャル井戸の変調周波数は、イオンの基本共鳴周波数よりも高くに維持される。
【0205】
一実施形態によると、次いで、変調周波数Ωを実質的に一定に保持しつつ、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の軸方向変調の振幅を漸進的に増加することによって、イオンの質量選択的排出を共鳴によらずに開始させる。
【0206】
別の実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップからのイオンの質量選択的排出は、軸方向二次ポテンシャル井戸の変調振幅を一定に保持することによって、および軸方向二次ポテンシャル井戸の変調周波数Ωを漸進的に低減することによって実現され得る。
【0207】
別の実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップからの質量選択的排出は、軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の振幅および周波数Ωの両方を変化させることによって実現され得る。
【0208】
好ましさの劣る動作モードにおいて、軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の周波数および振幅の両方は、固定され得、その代わりに、軸方向ポテンシャル井戸の最小の平均位置は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの物理的な寸法に対して移動され得る。比較的低い質量電荷比を有するイオンは、軸方向の運動の振幅がより高く、したがって、好ましくは比較的高い質量電荷比を有するイオンより先に、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される。
【0209】
好ましいが先ほどではない別の動作モードにおいて、軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の周波数および振幅は、また好ましくは固定され、時間平均静電ポテンシャルの最小の位置は、また好ましくは固定される。この実施形態によると、次いで、好ましくは、軸方向二次静電ポテンシャル井戸の電界定数kは、漸進的に低下される。この実施形態において、比較的低い質量電荷比を有するイオンは、比較的高い質量電荷比を有するイオンよりも先に、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される。
【0210】
一実施形態において、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小は、好ましくはイオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの一端のみから排出されるように、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心からずらされ得る。
【0211】
好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されたイオンは、その後イオン検出器を使用して検出され得る。イオン検出器は、マイクロチャネルプレート(MCP)イオン検出器、チャネルトロンまたは離散ダイノード電子倍増管、変換ダイノード検出器などのイオン検出器を備え得る。蛍光体またはシンチレータ検出器および光倍増管がまた使用され得る。あるいは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されたイオンは、質量分析計の衝突ガスセルまたは別の構成要素に前方移送され得る。一実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されたイオンは、飛行時間質量分析器または四重極質量分析器などの質量分析器によって質量分析され得る。
【0212】
上記の質量選択的不安定性動作モードに加えて、他の実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、ある動作モードにおいて、また、例えば、イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップから軸方向に共鳴により排出されるような公知の方法で有利に動作され得る。
【0213】
一実施形態によると、イオンは、その基本振動数において共鳴により励起され得るが、好適なイオンガイドまたはイオントラップから出射するほど十分には励起されなくてもよい。その代わりに、イオンは、好ましくはイオンの基本共鳴周波数よりも実質的に高い周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の変調によるさらなる効果によって、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出され得る。
【0214】
一実施形態によると、イオン振動の振幅は、上記のように軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の振幅を増加することによって、または軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の周波数Ωを低減することによって増加され得る。しかし、特定の質量電荷比のイオンが実際に好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される前の一時点において、小量の共鳴励起が排出したいイオンの基本共鳴周波数ωに対応する周波数において印加して、その振動振幅を増加するようにし得る。しかし、イオンは部分的に共鳴により励起されるが、イオンは実際には共鳴によらない励起によって好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される。
【0215】
上記のようなMS動作モードに加えて、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、またイオンがフラグメンテーションされ、その結果得られた娘またはフラグメントイオンが次いで質量分析されるMSn実験に使用され得る。好適なイオンガイドまたはイオントラップがセグメント化四重極ロッドセットを備える上記好適な実施形態において、特定の質量電荷比を有する対象の親または前駆体イオンは、RF四重極の周知の半径方向安定性特性を使用して選択され得る。特に、双極共鳴電圧または分解DC電圧の印加を使用して、特定の質量電荷比を有するイオンを、イオンが四重極に入射する際か、またはイオンが四重極ロッドセット内に初期にトラップされた場合のいずれかにおいて、棄却する。
【0216】
別の実施形態において、前駆体または親イオンは、軸方向ポテンシャル井戸からの軸方向の共鳴による排出によって選択され得る。この場合、広帯域の励起周波数は、軸方向トラップシステムを形成する電極に同時に印加され得る。次いで、好ましくは、後で分析されるべき所望の前駆体または親イオンを除くすべてのイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される。逆フーリエ変換の方法は、特定の所望の質量電荷比を有するイオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に残しながら、広帯域のイオンを共鳴により排出させるのに適した波形を生成するために使用され得る。
【0217】
別の実施形態において、前駆体または親イオンは、軸方向静電ポテンシャル井戸からの軸方向の共鳴による排出と本発明の上記好適な実施形態にかかる質量選択的な共鳴によらない排出との組み合わせを使用して選択され得る。
【0218】
一旦所望の前駆体または親イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップ内で単離されると、衝突ガスは、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入または再導入され得る。次いで、選択された前駆体または親イオンのフラグメンテーションは、イオンの振動振幅および、したがって、イオンの速度を増加することによって実現され得る。これは、軸方向二次ポテンシャル井戸の振動振幅を増加し、静電二次ポテンシャル井戸の軸方向変調周波数Ωを低減することによって、または前駆体または親イオンの基本振動数ωに対応する周波数において励起波形を重ね合わせることによって実現され得る。
【0219】
別の実施形態によると、フラグメンテーションは、前駆体または親イオンの振動振幅および、したがって、イオンの速度を半径方向に増加することによって実現され得る。これは、好適なイオンガイドまたはイオントラップを形成する四重極ロッドまたは電極に印加されるACまたはRF電圧の周波数または振幅を変更することによって、または対象イオンの永年周波数に一致する周波数を有する1対の四重極ロッドに対して双極励起波形を半径方向に重ね合わせることによって実現され得る。これらの手法のうちのいずれかの組み合わせを使用して所望の前駆体または親イオンを励起し、フラグメンテーションされるのに十分なエネルギーを有するようにさせる。その結果得られたフラグメントまたは娘イオンは、次いで上記の方法のいずれかによって質量分析され得る。
【0220】
次いで、イオンを選択し、励起させる処理は、MSn実験が行われるように繰り返される。その結果得られたMSnイオンは、次いで上記記載の方法を使用して好適なイオンガイドまたはイオントラップから軸方向に排出され得る。
【0221】
他の実施形態によると、単極、六重極、八重極またはより高次の多重極イオンガイドまたはイオントラップがイオンを半径方向に閉じ込めるために使用され得る。より高次の多重極は、より高次の疑似ポテンシャル井戸関数を有する点で特に有利である。より高次の多重極イオンガイドまたはイオントラップが共鳴による排出の動作モードにおいて使用される場合、そのような非四重極デバイス内におけるより高次の電界は、半径方向の共鳴損失の起こりやすさを低減する。非直線半径方向電界において、半径方向永年運動の周波数は、イオンの位置に関連し、したがって、イオンは、排出される前に共鳴から外れる。さらに、より高次の多重極イオンガイド内に生成された疑似ポテンシャル井戸の底部は、四重極よりも広く、したがって、非四重極デバイスは、より大きな荷電容量を有する可能性がある。したがって、そのようなデバイスは、全ダイナミックレンジが改善される可能性がある。本発明の実施形態にかかる多重極イオンガイドまたはイオントラップのロッドは、双曲状、円形状、円弧状、長方形状または正方形状の断面を有し得る。先の実施形態ほどではないが好ましい実施形態によると、他の断面形状もまた使用され得る。
【0222】
一実施形態において、余弦または正弦関数によって記載されたもの以外の周期関数が電圧変調および、したがって、二次軸方向ポテンシャル井戸の位置の変調のために使用され得る。例えば、電圧は、デジタルプログラミングを使用して最大値間で段階的に変化され得る。
【0223】
別の実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、セグメント化ロッドセットではなく連続ロッドセットを備え得る。そのような実施形態によると、ロッドは、非伝導性材料(例えば、セラミックまたは他の絶縁体)を備え得、非均一抵抗性材料でコーティングされ得る。例えば、ロッドの中心間およびロッドの端部間に電圧を印加すると、軸方向DCポテンシャル井戸が好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域に沿って生成される。
【0224】
一実施形態によると、所望の軸方向DCポテンシャルプロフィールは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの個々のセグメントまたは電極の間に一連の固定または可変抵抗器を使用して好適なイオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに展開され得る。
【0225】
別の実施形態において、所望の軸方向DCポテンシャルプロフィールは、好適なイオンガイドまたはイオントラップを形成する電極の周辺にまたは当該電極と横並びに配置される1つ以上の補助電極によって提供され得る。1つ以上の補助電極は、例えば、セグメント化電極構成、1つ以上の抵抗性被膜電極、または他の適切な形状の電極を備え得る。好ましくは、適切な1つまたは複数の電圧を1つ以上の補助電極に印加することによって、所望の軸方向DCポテンシャルプロフィールが好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域に沿って維持されようにする。
【0226】
一実施形態において、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、イオンが使用時に移送される円形状または非円形状開口を有する複数の電極を備えるACまたはRFリングスタック構成を備える。イオントンネル構成は、例えば、イオンを半径方向に閉じ込めるために使用され得る。そのような実施形態において、好ましくは、極性を変更するACまたはRF電圧は、イオンを半径方向に閉じ込めるための半径方向疑似ポテンシャル井戸を生成するために、イオントンネルデバイスの隣接する環状リングに印加される。好ましくは、軸方向ポテンシャルは、イオントンネルイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って重ね合わされ得る。
【0227】
別の実施形態において、イオンの半径方向の閉じ込めは、プレートまたは平面電極のスタックを備えるイオンガイドを使用して実現され得る。ここで、互いに逆の位相のACまたはRF電圧が隣接するプレートまたは電極に印加される。そのようなプレートまたは電極スタックの上部または底部におけるプレートまたは電極には、イオントラップ容積が形成されるように、DCおよび/またはRFトラップ電圧が供給され得る。この閉じ込めプレートまたは電極は、それ自身がセグメント化され、軸方向トラップ静電ポテンシャル関数が好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って重ね合わされるようにし、イオンの質量選択的軸方向排出が上記好適な実施形態にかかる方法を使用して行われ得る。
【0228】
一実施形態によると、複数の軸方向DCポテンシャル井戸が、好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って維持または形成され得る。電極セグメントに印加された重ね合わせDCポテンシャルを操作することによって、イオンは、1つ以上の特定の軸方向イオントラップ領域においてトラップされ得る。次いで、好適なイオンガイドまたはイオントラップの特定の領域内のDCポテンシャル井戸内にトラップされたイオンに対して、例えば、1つ以上のイオンをポテンシャル井戸から離れるようにする質量選択的排出が行われる。次いで、1つのポテンシャル井戸から排出されたこれらのイオンは、同じ好適なイオンガイドまたはイオントラップ内の第2のまたは異なるポテンシャル井戸にその後トラップされ得る。このタイプの動作を利用して、例えば、イオン−イオン相互作用が研究され得る。この動作モードにおけるイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの一端または両端から実質的に同時に導入され得る。
【0229】
一実施形態によると、第1のポテンシャル井戸内にトラップされたイオンは、好ましくは所定の質量電荷比または所定の範囲の質量電荷比を有するイオンのみが第1のポテンシャル井戸から排出されるような共鳴による排出条件下にあり得る。次いで、好ましくは、第1のポテンシャル井戸から排出されたイオンは、第2のポテンシャル井戸へ渡る。次いで、これらのイオンをフラグメンテーションするために、第2のポテンシャル井戸内において共鳴による励起が行われ得る。その結果得られた娘またはフラグメントイオンは、次いで第2のポテンシャル井戸から順次共鳴により排出され、その後軸方向検出される。この処理を繰り返すことにより、第1のポテンシャル井戸内のすべてのイオンについてMS/MS分析が実質的に100%の効率で実行または記録されることが可能となる。
【0230】
さらなる実施形態によると、2つ以上のポテンシャル井戸が好適なイオンガイドまたはイオントラップ内の軸方向イオントラップ領域に沿って維持されることによって、より複雑となる実験を実現することができる。あるいは、この柔軟性を使用して、他の分析手法に導入するためにイオンパケットの特性を調整し得る。
【0231】
本願において、従来のように、イオンは、第1または基本共鳴周波数において励起することによって共鳴により排出されることが理解される。しかし、また、動作モードにしたがって、イオンは、基本共鳴周波数の第2またはより高次の高調波において励起することによって好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴により励起または排出され得ることが考えられる。本発明は、イオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って提供される1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置が、二次ポテンシャル井戸またはイオンガイドまたはイオントラップ内に含まれるイオンの第1または基本共鳴周波数よりも大きな周波数において変調されるような実施形態を含むことが意図される。1つ以上の二次ポテンシャル井戸の変調周波数は、二次ポテンシャル井戸またはイオンガイドまたはイオントラップ内のイオンの基本共鳴周波数の第2またはより高次の高調波周波数に対応してもよいし、しなくてもよい。
【0232】
本発明を好適な実施形態を参照して記載したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱せずに形態および詳細において種々の変更がなされ得ることが当業者に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】図1は、一実施形態にかかる好適なセグメント化ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップの断面図である。
【図2】図2は、好適な実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはトラップの長さの一部に沿って維持される二次DCまたは静電ポテンシャルを示すプロットとともに示す、好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの側面図である。
【図3】図3は、一実施形態にかかる好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに印加されるDCまたは静電ポテンシャルを示し、ここで印加されたDCまたは静電ポテンシャルは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域の境界における電界緩和効果を補償するように構成される。
【図4】図4は、一実施形態にかかる好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに印加されるDCまたは静電ポテンシャルを示し、ここで印加されたDCまたは静電ポテンシャルは、イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域を一旦励起すると、イオンは加速されて好適なイオンガイドまたはイオントラップを出射するように構成される。
【図5】図5は、一実施形態にかかる、3つの異なる時点において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域にわたり維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールを示す。
【図6】図6は、一実施形態にかかる、当該3つの異なる時点において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域に沿って維持される軸方向電界を示す。
【図7】図7は、一実施形態にかかる、3つの異なる時点において、イオンガイドまたはイオントラップに沿って維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールの例を示す。
【図8】図8Aは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比200を有するイオンについてのイオン振動振幅を示し、図8Bは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比300を有するイオンについてのイオン振動振幅を示し、図8Cは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比400を有するイオンについてのイオン振動振幅を示す。
【図9A】図9Aは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比200を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示す。
【図9B】図9Bは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比300を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示す。
【図9C】図9Cは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比400を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示す。
【図10】図10は、一実施形態にかかる、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の軸方向変位振幅が時間の関数としてどのようにスキャンされ得るかを示す。
【図11】図11は、好適な実施形態にかかるイオンガイドまたはイオントラップについての簡略化された正規化安定性図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンガイドまたはイオントラップ、質量分析計、イオンをガイドまたはトラップする方法、ならびに質量分析の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のイオントラップ手法が質量分析の分野において公知である。市販の3Dまたはポールイオントラップは、例えば、多くの異なるタイプの有機分析に対して強力かつ比較的安価なツールを提供する。3Dまたはポールイオントラップは、一般に円筒対称性を有し、かつ中心円筒リング電極および2つの双曲状端部キャップ電極を備える。動作において、以下の形態のRF電圧が端部キャップ電極と中心リング電極との間に印加される。
【0003】
【数1】
【0004】
ここで、V0は、印加されたRF電圧のゼロからピークの電圧であり、σは、印加されたRF電圧の振動数である。
【0005】
電極は、二次ポテンシャルが半径および軸方向の両方に維持されるような物理的間隔および形状を有する。これらの条件下で、イオンの運動は、マチウ方程式によって規定され、安定なイオントラップについての種々の判断基準は、当業者に周知である。イオンの運動は、比較的低周波の成分永年運動、および駆動電圧が変調される周波数に直接関連する比較的高周波の振動または微小運動からなる。
【0006】
イオンは、以下によって3Dまたはポールイオントラップから質量選択的に排出され得る。すなわち、(a)印加されたRF電圧の振幅および/または周波数のいずれか一方が変更される質量選択的不安定性、(b)小さな補助RF電圧が対象イオンの永年周波数と同じ周波数を有する端部キャップまたはリング電極の一方または両方に印加される、共鳴による排出、(c)リング電極と端部キャップ電極との間において維持されるDCバイアス電圧の印加、または(d)上記手法の組み合わせである。
【0007】
イオンは、通常外部イオン源から端部キャップ電極のうちの1つにおける小さな穴を介して大半の市販の3Dまたはポールイオントラップに導入される。一旦イオントラップ内に入ると、次いでイオンは、バッファガスとの衝突によって近熱エネルギーに冷却される。これは、イオントラップのトラップ容積の中心へ向かってイオンを集中させる効果を有する。次いで、特定の質量電荷比を有するイオンは、質量選択的にイオントラップから排出され得る。排出されたイオンは、イオンをイオントラップ内へ導入するための開口を有する端部キャップ電極に対向する端部キャップ電極における小さな穴を通ってイオントラップから出射する。次いで、イオントラップから排出されたイオンは、イオン検出器を使用して検出される。
【0008】
3Dまたはポールイオントラップは、空間電荷容量が比較的低いので、ダイナミックレンジが比較的制限されるという欠点がある。さらに、イオンの損失を最小限に抑えるためにイオン導入の際に正確な条件を維持するように細心の注意を払わなければならない。3Dポールイオントラップ内にイオンを注入することが特に問題であることは、当業者の理解するところである。
【0009】
より最近になって、直線イオントラップが開発され、市販されてきた。そのようなイオントラップは、一般にRF電圧をロッドに印加することでイオンがイオントラップ内に半径方向に閉じ込められるような多重極ロッドセットを備える。半径方向におけるイオンの運動および安定性は、マチウ方程式によって規定され、周知である。イオンは、DCまたはRFトラップポテンシャルを多重極ロッドセットのいずれか一方の端部における電極に印加することによって直線イオントラップ内に軸方向に含まれ得る。イオンの排出は、イオンをイオントラップからロッドのうちの1つにおけるスロットを通して半径方向に排出するか、またはロッドの軸方向境界における固有電界歪みおよび半径方向励起の組み合わせを使用することによって軸方向に排出するかのいずれか一方により実現され得る。
【0010】
直線イオントラップは、一般に3Dまたはポールイオントラップと比較してイオントラップ容量が増加しており、したがって、直線イオントラップは、一般にダイナミックレンジが実質的により高い。直線イオントラップは、イオンがイオントラップ内に軸方向に導入され、ある場合には半径方向RF振動トラップポテンシャルに垂直な方向にイオントラップから軸方向に排出されるという重要な利点を有する。これにより、イオンがより効率よくイオントラップへまたはそこから移送されることが可能となり、感度が向上する。したがって、直線イオントラップは、感度が向上し、イオントラップ容量が比較的大きいので3Dまたはポールイオントラップよりもますます好ましくなってきている。
【0011】
軸方向排出ではなく半径方向排出を使用する直線イオントラップの最適性能は、純四重極半径方向ポテンシャル分布および正確に整形された双曲状ロッドを使用して実現され得る。しかし、例えば、ロッドの機械的な整列不良による半径方向閉じ込め電界の直線性のずれは、そのような直線イオントラップの性能をひどく損ない得る。また、半径方向排出を容易にするように直線イオントラップのロッドにスロットを設けると、半径方向電界に著しい歪みを招き得る。これらの歪みは、さらに直線イオントラップの性能を悪化させ得る。加えて、半径方向排出時に、排出されたイオンを効率よく検出するために1つより多くのイオン検出器を使用する必要があり得る。これは、イオントラップの全体的な複雑性およびコストを増加する。
【0012】
イオンを軸方向に直線イオントラップから排出することは公知である。しかし、外縁電界を使用してイオンを直線イオントラップから軸方向排出する性能は、また半径方向電界の直線性における歪みによって影響され得る。イオンの軸方向排出は、イオンを効率良く半径方向に共鳴により排出することに依存する。半径方向電界が非直線であれば、共鳴周波数は、イオン運動の半径が増加するにつれ一定でなくなる。したがって、この動作モードにおけるイオントラップの性能が損なわれる。公知の直線イオントラップから軸方向にイオンを排出することのさらなる問題は、出射側外縁電界における、またはその近傍のそれらのイオンのみが実際にはイオントラップから排出されることにある。したがって、3Dまたはポールイオントラップと比較して直線イオントラップのダイナミックレンジおよび感度における理論的なゲインは、イオンが実際に排出される比較的小さな領域により使用時に低減され得る。
【0013】
米国特許第5783824号(日立製作所)(特許文献1)は、軸方向DCまたは静電電界がイオントラップの長さに沿って維持されるような直線イオントラップを開示する。イオンは、排出したいイオンの基本振動数で振動する補助の軸方向RFポテンシャルを印加することによって、軸方向の共鳴励起により排出される。この公知の直線イオントラップは、他の形態の直線イオントラップの一般の利点を有するが、さらに、イオンをその質量電荷比の周波数特性で軸方向に強制的に振動させる。これにより、イオンをイオントラップから軸方向に共鳴により排出することが容易になる。
【0014】
米国特許第5783824号(日立製作所)(特許文献1)に開示される直線イオントラップは、共鳴励起を使用して、軸方向二次DCまたは静電ポテンシャルによって決定される単振動の基本周波数において軸方向にイオンを排出する。しかし、米国特許第5783824号(日立製作所)(特許文献1)に開示される構成を用いると、真の二次軸方向DCまたは静電ポテンシャルからのいずれのずれによっても、イオンの振動数がイオンの振動の振幅に依存することになる。これは、共鳴排出を使用するイオントラップの性能を損なうことになる。
【特許文献1】米国特許第5783824号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、改善されたイオントラップまたはイオンガイドを提供することが導き出される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一局面によると、
複数の電極と、
少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を複数の電極のうちの少なくともいくつかに印加するように構成および適合されるACまたはRF電圧手段と、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するように構成および適合される第1の手段であって、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、第1の手段と、
1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるように構成および適合される変調手段と、
第1の動作モードにおいて、少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域から実質的に共鳴によらずに排出し、同時に他のイオンはイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域域内に実質的にトラップされたままになるように構成されるように構成および適合される排出手段と
を備えるイオンガイドまたはイオントラップが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好ましくは、ACまたはRF電圧手段は、ACまたはRF電圧を複数の電極の少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に印加するように構成および適合される。好適な実施形態によると、ACまたはRF電圧手段は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を供給するように構成および適合される。好ましくは、ACまたはRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を供給するように構成および適合される。
【0018】
好適な実施形態によると、第1の手段は、イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または>10の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される。好ましくは、第1の手段は、イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に沿って1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される。
【0019】
好ましくは、第1の手段は、(i)<10V、(ii)10〜20V、(iii)20〜30V、(iv)30〜40V、(v)40〜50V、(vi)50〜60V、(vii)60〜70V、(viii)70〜80V、(ix)80〜90V、(x)90〜100V、および(xi)>100Vからなる群から選択される深さを有する1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される。好適な実施形態によると、第1の手段は、イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さに沿って第1の時間における第1の位置に位置する最小を有する1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、イオン入射口およびイオン出射口を有し、第1の位置は、イオン入射口から下流に距離Lの位置にあり、かつ/またはイオン出射口から上流に距離Lの位置にあり、Lは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される。
【0020】
好ましくは、第1の手段は、1つ以上のDC電圧を電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に供給するための1つ以上のDC電圧源を備える。好ましくは、第1の手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を提供するように構成および適合され、軸方向ポテンシャルがポテンシャル井戸の最小または中心からの距離または変位の二乗として実質的に増加する。
【0021】
好適な実施形態によると、変調手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を、イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に沿って変調または振動させるように構成および適合される。
【0022】
好ましくは、変調手段は、1つ以上のDC電圧を電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に供給するための1つ以上のDC電圧源を備える。
【0023】
好適な実施形態によると、変調手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小を実質的に周期的および/または規則的に変調または振動させるように構成および適合される。好ましくは、変調手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を第1の周波数f1を用いて、またはそれにおいて変調または振動させるように構成および適合され、f1は、(i)<5kHz、(ii)5〜10kHz、(iii)10〜15kHz、(iv)15〜20kHz、(v)20〜25kHz、(vi)25〜30kHz、(vii)30〜35kHz、(viii)35〜40kHz、(ix)40〜45kHz、(x)45〜50kHz、(xi)50〜55kHz、(xii)55〜60kHz、(xiii)60〜65kHz、(xiv)65〜70kHz、(xv)70〜75kHz、(xvi)75〜80kHz、(xvii)80〜85kHz、(xviii)85〜90kHz、(xix)90〜95kHz、(xx)95〜100kHz、および(xxi)>100kHzからなる群から選択される。
【0024】
好適な実施形態によると、変調手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を第1の周波数f1を用いて、またはそれにおいて変調または振動させるように構成および適合され、第1の周波数f1は、イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内に位置するイオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の共鳴または基本振動数よりも大きい。好ましくは、第1の周波数f1は、イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内に位置するイオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の共鳴または基本振動数よりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%だけ大きい。
【0025】
好ましくは、変調手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小を実質的に一定の周波数または実質的に一定でない周波数のいずれか一方において変調または振動させるように構成および適合される。
【0026】
好ましい実施形態によると、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を変更および/または変化および/またはスキャンするように構成および適合される。
【0027】
好ましくは、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を増加するように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を時間とともに実質的に直線的に増加するように構成および適合される。
【0028】
好適な実施形態によると、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を変更および/または変化および/またはスキャンするように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を低減するように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を時間とともに実質的に直線的に低減するように構成および適合される。
【0029】
好ましくは、排出手段は、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから質量選択的に排出するように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、第1の動作モードにおいて、第1の質量電荷比カットオフより低い質量電荷比を有する実質的にすべてのイオンがイオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域から排出されるように構成および適合される。
【0030】
好ましくは、排出手段は、第1の動作モードにおいて、第1の質量電荷比カットオフより高い質量電荷比を有する実質的にすべてのイオンがイオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域内に残るか、貯留されるか、または閉じ込められるように構成および適合される。
【0031】
好ましくは、第1の質量電荷比カットオフは、(i)<100、(ii)100〜200、(iii)200〜300、(iv)300〜400、(v)400〜500、(vi)500〜600、(vii)600〜700、(viii)700〜800、(ix)800〜900、(x)900〜1000、(xi)1000〜1100、(xii)1100〜1200、(xiii)1200〜1300、(xiv)1300〜1400、(xv)1400〜1500、(xvi)1500〜1600、(xvii)1600〜1700、(xviii)1700〜1800、(xix)1800〜1900、(xx)1900〜2000、および(xxi)>2000からなる群から選択される範囲にある。
【0032】
好適な実施形態によると、排出手段は、第1の質量電荷比カットオフを増加するように構成および適合される。好ましくは、排出手段は、第1の質量電荷比カットオフを実質的に連続的および/または直線的および/または漸進的および/または規則的に増加するように構成および適合される。先の実施形態ほどではないが好ましい実施形態によると、排出手段は、第1の質量電荷比カットオフを実質的に不連続的および/または非直線的および/または非漸進的および/または不規則的に増加するように構成および適合される。
【0033】
好適な実施形態によると、排出手段は、第1の動作モードにおいて、イオンを実質的に軸方向にイオンガイドまたはイオントラップから排出するように構成および適合される。
【0034】
好適な実施形態によると、イオンは、イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内にトラップされるか、または軸方向に閉じ込められるように構成され、イオントラップ領域は長さlを有し、lは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される。
【0035】
好適な実施形態によると、イオントラップまたはイオンガイドは、直線イオントラップまたはイオンガイドを備える。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、四重極、六重極、八重極またはより高次の多重極ロッドセットなどの多重極ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップを備える。
【0036】
好ましくは、複数の電極は、(i)おおよそまたは実質的に円形状、(ii)おおよそまたは実質的に双曲状、(iii)おおよそまたは実質的に円弧状または部分円形状、および(iv)おおよそまたは実質的に長方形状または正方形状からなる群から選択される断面を有する。好ましくは、多重極ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップによって描かれる半径は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される。
【0037】
好適な実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、軸方向にセグメント化されるか、または複数の軸方向セグメントを備える。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、xの軸方向セグメントを備え、xは、(i)<10、(ii)10〜20、(iii)20〜30、(iv)30〜40、(v)40〜50、(vi)50〜60、(vii)60〜70、(viii)70〜80、(ix)80〜90、(x)90〜100、および(xi)>100からなる群から選択される。好適な実施形態によると、各軸方向セグメントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20の電極を備える。好ましくは、軸方向セグメントのうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の軸方向長さは、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される。
【0038】
好ましくは、軸方向セグメントのうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の間隔は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される。
【0039】
別の実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、複数の非伝導性、絶縁性またはセラミックのロッド、突起またはデバイスを備え得る。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20のロッド、突起またはデバイスを備える。好ましくは、複数の非伝導性、絶縁性またはセラミックのロッド、突起またはデバイスは、ロッド、突起またはデバイスの上、周辺、隣、上方または近傍に配置される1つ以上の抵抗性または伝導性のコーティング、層、電極、フィルムまたは表面をさらに備える。
【0040】
別の実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、開口を有する複数の電極を備え、イオンは、使用時に、開口を通って移送される。好ましくは、電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、実質的に同じ大きさであるか、または実質的に同じ面積である開口を有する。あるいは、電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、イオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った方向に、大きさまたは面積が漸進的により大きくなるかおよび/またはより小さくなる開口を有する。好ましくは、電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する開口を有する。
【0041】
別の実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、複数のプレートまたはメッシュ電極を備え、電極のうちの少なくともいくつかは、使用時にイオンが走行する平面内に概して配置される。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、複数のプレートまたはメッシュ電極を備え、電極のうちの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが走行する平面内に概して配置される。この実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20のプレートまたはメッシュ電極を備え得る。好ましくは、プレートまたはメッシュ電極は、(i)5mmまたはそれ未満、(ii)4.5mmまたはそれ未満、(iii)4mmまたはそれ未満、(iv)3.5mmまたはそれ未満、(v)3mmまたはそれ未満、(vi)2.5mmまたはそれ未満、(vii)2mmまたはそれ未満、(viii)1.5mmまたはそれ未満、(ix)1mmまたはそれ未満、(x)0.8mmまたはそれ未満、(xi)0.6mmまたはそれ未満、(xii)0.4mmまたはそれ未満、(xiii)0.2mmまたはそれ未満、(xiv)0.1mmまたはそれ未満、および(xv)0.25mmまたはそれ未満からなる群から選択される厚さを有する。
【0042】
プレートまたはメッシュ電極は、(i)5mmまたはそれ未満、(ii)4.5mmまたはそれ未満、(iii)4mmまたはそれ未満、(iv)3.5mmまたはそれ未満、(v)3mmまたはそれ未満、(vi)2.5mmまたはそれ未満、(vii)2mmまたはそれ未満、(viii)1.5mmまたはそれ未満、(ix)1mmまたはそれ未満、(x)0.8mmまたはそれ未満、(xi)0.6mmまたはそれ未満、(xii)0.4mmまたはそれ未満、(xiii)0.2mmまたはそれ未満、(xiv)0.1mmまたはそれ未満、および(xv)0.25mmまたはそれ未満からなる群から選択される距離だけ互いに間隔をおいて配置され得る。好ましくは、プレートまたはメッシュ電極は、ACまたはRF電圧が供給される。好ましくは、隣接するプレートまたはメッシュ電極は、ACまたはRF電圧の互いに逆の位相が供給される。好ましくは、ACまたはRF電圧は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有する。好ましくは、ACまたはRF電圧の振幅は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される。
【0043】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンガイドまたはイオントラップの第1側に配置される第1の外側プレート電極と、イオンガイドまたはイオントラップの第2側に配置される第2の外側プレート電極とをさらに備える。好ましくは、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極を、ACまたはRF電圧が印加されるプレートまたはメッシュ電極の平均電圧に対して、バイアスDC電圧にバイアスするバイアス手段が提供される。バイアス手段は、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極を、(i)<−10V、(ii)−9〜−8V、(iii)−8〜−7V、(iv)−7〜−6V、(v)−6〜−5V、(vi)−5〜−4V、(vii)−4〜−3V、(viii)−3〜−2V、(ix)−2〜−1V、(x)−1〜0V、(xi)0〜1V、(xii)1〜2V、(xiii)2〜3V、(xiv)3〜4V、(xv)4〜5V、(xvi)5〜6V、(xvii)6〜7V、(xviii)7〜8V、(xix)8〜9V、(xx)9〜10V、および(xxi)>10Vからなる群から選択される電圧にバイアスするように構成および適合され得る。
【0044】
一実施形態によると、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極は、使用時に、DCのみの電圧が供給される。別の実施形態によると、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極は、使用時に、ACまたはRFのみの電圧が供給される。さらなる実施形態によると、第1の外側プレート電極および/または第2の外側プレート電極は、使用時に、DCおよびACまたはRF電圧が供給される。
【0045】
好ましくは、1つ以上の絶縁体層が複数のプレートまたはメッシュ電極の間に散在、配置、交互配置または配列される。イオンガイドまたはイオントラップは、実質的に曲線状または非直線状のイオンガイドまたはイオントラップ領域を備え得る。イオンガイドまたはイオントラップは、複数の軸方向セグメントを備え得る。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100の軸方向セグメントを備える。
【0046】
イオンガイドまたはイオントラップは、実質的に円形状、楕円状、正方形状、長方形状、規則的または不規則的断面を有し得る。イオンガイドまたはイオントラップは、イオンガイド領域に沿って大きさおよび/または形状および/または幅および/または高さおよび/または長さが変化するイオンガイド領域を有し得る。
【0047】
好ましい実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または>10の電極を備える。イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも(i)10〜20の電極、(ii)20〜30の電極、(iii)30〜40の電極、(iv)40〜50の電極、(v)50〜60の電極、(vi)60〜70の電極、(vii)70〜80の電極、(viii)80〜90の電極、(ix)90〜100の電極、(x)100〜110の電極、(xi)110〜120の電極、(xii)120〜130の電極、(xiii)130〜140の電極、(xiv)140〜150の電極、または(xv)>150の電極を備え得る。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される長さを有する。
【0048】
イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップを、(i)<1.0×10-1mbar、(ii)<1.0×10-2mbar、(iii)<1.0×10-3mbar、(iv)<1.0×10-4mbar、(v)<1.0×10-5mbar、(vi)<1.0×10-6mbar、(vii)<1.0×10-7mbar、(viii)<1.0×10-8mbar、(ix)<1.0×10-9mbar、(x)<1.0×10-10mbar、(xi)<1.0×10-11mbar、および(xii)<1.0×10-12mbarからなる群から選択される圧力に維持するように構成および適合される手段をさらに備える。
【0049】
一実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップを、(i)>1.0×10-3mbar、(ii)>1.0×10-2mbar、(iii)>1.0×10-1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)>5.0×10-3mbar、(viii)>5.0×10-2mbar、(ix)10-3〜10-2mbar、および(x)10-4〜10-1mbarからなる群から選択される圧力に維持するように構成および適合される手段をさらに備える。
【0050】
動作モードにおいて、イオンは、イオンガイドまたはイオントラップ内において、トラップされるが、実質的にフラグメンテーションされない。イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される手段をさらに備え得る。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される手段は、イオンがイオンガイドまたはイオントラップから排出される前および/または後にイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成される。
【0051】
好適な実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成および適合されるフラグメンテーション手段をさらに備え得る。好ましくは、フラグメンテーション手段は、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成および適合される。あるいは、フラグメンテーション手段は、表面誘起解離(「SID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成および適合される。
【0052】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから共鳴により、および/または質量選択的に排出するように構成および適合される。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンをイオンガイドまたはイオントラップからイオン軸方向および/または半径方向に排出するように構成および適合される。一実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、質量選択的不安定性によってイオンを排出するために、電極に印加されるACまたはRF電圧の周波数および/または振幅を調節するように構成および適合される。
【0053】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンを共鳴による排出によって排出するために、ACまたはRF補助波形または電圧を複数の電極に重ね合わせるように構成および適合される。好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンを排出するために、DCバイアス電圧を複数の電極に印加するように構成および適合される。
【0054】
好適な実施形態によると、さらなる動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンが質量選択的におよび/または共鳴によらずにイオンガイドまたはイオントラップから排出されることなく、イオンを移送するか、またはイオンを格納するように構成される。好ましくは、さらなる動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンを質量フィルタリングまたは質量分析するように構成される。
【0055】
好適な実施形態によると、さらなる動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから質量選択的におよび/または共鳴によらずに排出することなく、衝突またはフラグメンテーションセルとして作用するように構成される。
【0056】
好適な実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいて、イオンガイドまたはイオントラップ内で、イオンガイドまたはイオントラップの入射口および/または中心および/または出射口に最も近い1つ以上の位置にイオンを格納またはトラップするように構成および適合される手段をさらに備える。好適な実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、動作モードにおいてイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内にトラップし、イオンをイオンガイドまたはイオントラップの入射口および/または中心および/または出射口に向かって漸進的に移動させるように構成および適合される手段をさらに備える。
【0057】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形を最初に第1の軸方向位置において電極に印加し、1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形は、次いでその後にイオンガイドまたはイオントラップに沿って第2、次いで第3の異なる軸方向位置に与えられるように構成および適合される手段をさらに備える。
【0058】
好ましくは、イオンガイドまたはイオントラップは、イオンをイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形をイオンガイドまたはイオントラップの一端からイオンガイドまたはイオントラップの別の端部へ印加、移動または平行移動するように構成および適合される手段をさらに備える。
【0059】
好ましくは、1つ以上の過渡DC電圧は、(i)ポテンシャルの山または障壁、(ii)ポテンシャル井戸、(iii)多重極ポテンシャルの山または障壁、(iv)多重極ポテンシャル井戸、(v)ポテンシャル山または障壁およびポテンシャル井戸の組み合わせ、または(vi)多重極ポテンシャル山または障壁および多重極ポテンシャル井戸の組み合わせを生成する。1つ以上の過渡DC電圧波形は、繰り返し波形または正方形状波を備え得る。
【0060】
イオンガイドまたはイオントラップは、1つ以上のトラップ静電またはDCポテンシャルをイオンガイドまたはイオントラップの第1の端部および/または第2の端部において印加するように構成される手段をさらに備え得る。
【0061】
イオンガイドまたはイオントラップは、1つ以上のトラップ静電ポテンシャルをイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さに沿って印加するように構成される手段をさらに備え得る。
【0062】
本発明の別の局面によると、上記のようなイオンガイドまたはイオントラップを備える質量分析計が提供される。
【0063】
好ましくは、質量分析計は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源をさらに備える。好ましくは、質量分析計は、連続またはパルス化イオン源をさらに備える。
【0064】
質量分析計は、イオンガイドまたはイオントラップの上流および/または下流に配置される1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップをさらに備え得る。1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップは、1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される。好ましくは、1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップは、イオンがイオンガイドまたはイオントラップへ導入される前および/または後に1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される。
【0065】
一実施形態によると、質量分析計は、イオンを1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップからイオンガイドまたはイオントラップ内へ導入、軸方向に注入または排出、半径方向に注入または排出、移送またはパルス化するように構成および適合される手段をさらに備える。好ましくは、質量分析計は、イオンをイオンガイドまたはイオントラップ内へ導入、軸方向に注入または排出、半径方向に注入または排出、移送またはパルス化するように構成および適合される手段をさらに備える。
【0066】
好ましくは、質量分析計は、1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成および適合される手段をさらに備える。
【0067】
好ましくは、1つ以上のイオン検出器が上記好適なイオンガイドまたはイオントラップの上流および/または下流に配置される。
【0068】
好ましくは、質量分析計は、イオンガイドまたはイオントラップの下流および/または上流に配置される質量分析器をさらに備える。質量分析器は、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速度飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速度飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(viii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電フーリエ変換質量分析計、および(xiii)四重極質量分析器からなる群から選択されるのが好ましい。
【0069】
本発明の別の局面によると、
複数の電極を備えるイオントラップまたはイオンガイドを準備するステップと、
少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を複数の電極のうちの少なくともいくつかに印加するステップと、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するステップであって、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、ステップと、
1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるステップと、
少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域から実質的に共鳴によらずに排出し、同時に他のイオンはイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域域内に実質的にトラップされたままになるように構成されるステップと
を含むイオンをガイドまたはトラップする方法が提供される。
【0070】
本発明の別の局面によると、上記のような方法を含む質量分析の方法が提供される。
【0071】
本発明の別の局面によると、
複数の電極と、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するように構成および適合される第1の手段であって、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、第1の手段と、
1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるように構成および適合される変調手段と
を備えるイオンガイドまたはイオントラップが提供される。
【0072】
本発明の別の局面によると、
複数の電極を備えるイオントラップまたはイオンガイドを準備するステップと、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するステップであって、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、ステップと、
1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるステップと
を含むイオンをガイドまたはトラップする方法が提供される。
【0073】
本発明の別の局面によると、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出し、同時に他のイオンは、イオンガイドまたはイオントラップ内にトラップされたままであるように構成および適合される手段を備える直線イオンガイドまたはイオントラップが提供される。
【0074】
本発明の別の局面によると、イオンをイオンガイドまたはイオントラップから実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出し、同時に他のイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内にトラップするステップを備えるイオンをガイドまたはトラップする方法が提供される。
【0075】
上記好適な実施形態は、イオンをイオンガイドまたはイオントラップの軸のまわりに半径方向に閉じ込めるためにACまたはRF電圧がイオンガイドまたはイオントラップを形成する電極に印加される直線イオンガイドまたはイオントラップに関する。
【0076】
好ましくは、二次軸方向ポテンシャル井戸は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域内の参照点のまわりに重ね合わされる。好ましくは、二次ポテンシャル井戸は、参照点から軸方向にずれたイオンを参照点に戻る方向へ加速するようにそのイオンに力を加える。
【0077】
好ましくは、軸方向ポテンシャル井戸の相対位置は、イオンを参照点の回りで有効に振動させるように経時変化または変調される。好ましくは、ポテンシャル井戸の位置は、好ましくはトラップされたイオンが参照点まわりで非共鳴周波数(すなわち、イオンの基本または第1の高調波振動数以外の周波数)で振動するように経時変化される。異なる質量電荷比を有するイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って異なる特性振幅で振動する。これにより、イオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴によらずに排出することができる。
【0078】
イオンは、イオンの軸方向振動の最大振幅を変化させるようにポテンシャル井戸を変調することによって好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出され得る。これは、比較的低い質量電荷比を有するイオンを、軸方向ポテンシャル井戸から抜け出せる程度に十分大きな振幅で軸方向に振動させることによって実現され得る。このように、これらのイオンは、軸方向に好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されるようになる。したがって、好ましくは、イオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから軸方向にかつ実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出される。すなわち、イオンは、イオンの固有基本共鳴周波数に対応する周波数を有する電圧でイオンを励起することによっては、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されない。
【0079】
好適なイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域に沿って維持されたポテンシャル井戸は、二次である。ポテンシャル井戸の位置は、好ましくは二次ポテンシャル井戸がイオンガイドまたはイオントラップに一方の側から他方の側へ軸方向イオントラップ領域を通ってまたは沿って継続して有効に通過されるように経時変化される。したがって、軸方向ポテンシャル井戸は、二次軸方向ポテンシャル井戸の最小が参照点のまわりを軸方向に振動するように変調されると考えられ得る。
【0080】
好ましくは、印加された軸方向DCまたは静電二次ポテンシャルの最小の位置は、異なる質量電荷比を有するイオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って非共鳴周波数で異なる特性振幅で振動するように実質的に周期的に変化される。次いで、好ましくは、イオンの質量選択的非共鳴軸方向排出は、例えば、軸方向二次DCポテンシャル井戸の周期的変調の周波数を変更することによって実現される。あるいは、軸方向二次ポテンシャル最小の振動振幅は、変化され得る。好ましくは、これによりイオンの軸方向振動の特性振幅を増加することができる。このように、イオンの軸方向振動の振幅は、好ましくは所望の質量電荷比を有するイオンが軸方向イオントラップ領域を離れるようにされ、したがって好ましくは軸方向に好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されるように変化され得る。イオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから順次排出され、イオン検出器によって検出され得る。これにより、質量スペクトルが生成できる。
【0081】
上記好適な実施形態によると、好ましくは、直線軸方向で重ね合わされたDC電界は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さの少なくとも一部に沿って維持される。次いで、好ましくは、軸方向ポテンシャル井戸の最小の位置は、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心である平均位置に対して軸方向に実質的に対称に変調される。したがって、好ましくは、イオンは、軸方向ポテンシャル井戸内においてこの変調の周波数および運動の周波数に関連する軸方向運動を得る。
【0082】
上記好適な実施形態によると、好ましくは、軸方向二次ポテンシャル井戸は、軸方向二次ポテンシャル井戸内にトラップされたイオンの特性基本共鳴または第1の高調波周波数よりも実質的に高い周波数で変調される。したがって、イオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから、共鳴により排出されるのではなく、共鳴によらずに排出されると考えられ得る。
【0083】
好適なイオンガイドまたはイオントラップは、多重極ロッドセットを備え得る。セグメント化四重極ロッドセットは、特に好適である。上記好適な実施形態において、好ましくは、イオンは、軸方向に好適なイオンガイドまたはイオントラップに導入される。
【0084】
当該好適なイオンガイドまたはイオントラップは、他の公知のイオントラップと比較して特に有利である。軸方向二次ポテンシャル井戸の変調は、イオンをトラップするためには必要でないが、その代わりに、イオンを軸方向に好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴によらずに排出するために使用されるのみである。好ましくは、イオンは、イオンガイドまたはイオントラップの電極に印加され、イオンを半径方向にイオンガイドまたはイオントラップ内に閉じ込めるように作用するACまたはRF電圧に直交して好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入される。これは、従来の3Dまたはポールイオントラップとは対照的である。したがって、イオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップ内へ注入することは従来の3Dまたはポールイオントラップ内へ注入するよりも簡単である。
【0085】
好適な実施形態によると、イオンは、軸方向および半径方向の両方に好適なイオンガイドまたはイオントラップトラップ内にトラップされる。次いで、イオンは、衝突ガスを好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入することによって、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内で熱エネルギーに冷却され得る。したがって、上記好適な実施形態によると、イオンは、質量選択軸方向非共鳴イオン排出の前に、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内で熱化され得る。
【0086】
好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、デバイスの軸方向の大きさについての物理的な制限は実質的にない。これにより、例えば、従来の3Dまたはポールイオントラップと比較して、はるかにより大きなポテンシャルイオントラップ容量を実現することができる。
【0087】
他の実施形態によると、より高次の多重極ロッドセットまたはイオントンネルもしくはイオンファネルイオンガイドもしくはイオントラップが使用され得る。
【0088】
好適なイオンガイドまたはイオントラップは、別の動作モードにおいて、二次軸方向DCポテンシャルが除去され得、これにより好適なイオンガイドまたはイオントラップをその別の動作モードにおいて従来のイオンガイド、イオントラップ、質量フィルタまたは質量分析器として使用できるという利点を有する。
【0089】
ここで本発明の種々の実施形態について添付の図面を参照し、あくまで例として、説明する。
【0090】
図1は、一実施形態にかかる好適なセグメント化ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップの断面図である。
【0091】
図2は、好適な実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはトラップの長さの一部に沿って維持される二次DCまたは静電ポテンシャルを示すプロットとともに示す、好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの側面図である。
【0092】
図3は、一実施形態にかかる好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに印加されるDCまたは静電ポテンシャルを示し、ここで印加されたDCまたは静電ポテンシャルは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域の境界における電界緩和効果を補償するように構成される。
【0093】
図4は、一実施形態にかかる好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに印加されるDCまたは静電ポテンシャルを示し、ここで印加されたDCまたは静電ポテンシャルは、イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域を一旦励起すると、イオンは加速されて好適なイオンガイドまたはイオントラップを出射するように構成される。
【0094】
図5は、一実施形態にかかる、3つの異なる時点において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域にわたり維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールを示す。
【0095】
図6は、一実施形態にかかる、当該3つの異なる時点において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域に沿って維持される軸方向電界を示す。
【0096】
図7は、一実施形態にかかる、3つの異なる時点において、イオンガイドまたはイオントラップに沿って維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールの例を示す。
【0097】
図8Aは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比200を有するイオンについてのイオン振動振幅を示し、図8Bは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比300を有するイオンについてのイオン振動振幅を示し、図8Cは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比400を有するイオンについてのイオン振動振幅を示す。
【0098】
図9Aは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比200を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示し、図9Bは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比300を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示し、図9Cは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比400を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示す。
【0099】
図10は、一実施形態にかかる、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の軸方向変位振幅が時間の関数としてどのようにスキャンされ得るかを示す。
【0100】
図11は、好適な実施形態にかかるイオンガイドまたはイオントラップについての簡略化された正規化安定性図を示す。
【0101】
ここで本発明の種々の実施形態を説明する。好適な実施形態によると、好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、図1に示すように構成された双曲形状の電極を有するセグメント化四重極ロッドセットを備える。好ましくは、四重極ロッドセットアセンブリ全体の一部を形成する各ロッドは、図2において示すように複数の軸方向セグメントに分割される。好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、種々のセグメントの各々に印加されるDCまたは静電ポテンシャルが、例えば、実質的に二次または近二次関数に緩和できるようにするために十分な数の軸方向セグメントを備える。
【0102】
図1は、好ましくは双曲形状の第1の電極またはロッド対1a、1bおよび双曲形状の第2の電極またはロッド対2a、2bを備える好適なイオンガイドまたはイオントラップの断面図である。好ましくは、各電極またはロッド1a、1b、2a、2bは、図2に示すように軸方向にセグメント化される。
【0103】
動作において、好ましくは、ACまたはRF電圧は、半径方向疑似ポテンシャル井戸を生成するように、好適なイオンガイドまたはイオントラップを形成する電極の各々に印加される。疑似ポテンシャル井戸は、好適なイオンガイドまたはトラップ内にイオンを半径方向(すなわち、x、y平面内)に閉じ込めるように作用する。
【0104】
好ましくは、第1のロッド対1a、1bを形成する電極に印加されるACまたはRF電圧は、以下の形態である。
【0105】
【数2】
【0106】
ここで、φ0は、ACまたはRF高電圧電源のピーク・トゥ・ピーク電圧の半分であり、tは、時間(単位:秒)であり、Ω0は、ACまたはRF電圧源の角周波数(単位:ラジアン/秒)である。
【0107】
好ましくは、第2のロッド対2a、2bを形成する電極に印加されるACまたはRF電圧は、以下の形態である。
【0108】
【数3】
【0109】
したがって、x、y方向におけるポテンシャルは、以下のとおりである。
【0110】
【数4】
【0111】
ここで、roは、2つのロッド対1a、1bおよび2a、2bによって描かれる円の半径である。
【0112】
x、y平面内のイオン運動は、マチウ方程式を使用して表現され得る。イオン運動は、イオンの質量電荷比に関する周波数を有するより大きな永年運動に重ね合されたACまたはRF駆動周波数に関する周波数を有する低振幅微小運動を備えると考えられ得る。マチウ方程式の性質は、周知であり、当業者に容易に理解されるように、安定なイオン運動となる解は、無次元のパラメータauおよびquについての安定性境界条件をプロットすることによる安定性図を使用して表され得る。
【0113】
上記の実施形態について、パラメータauおよびquは、以下のとおりである。
【0114】
【数5】
【0115】
【数6】
【0116】
ここで、mは、イオンの分子質量であり、U0は、ロッド対のうちの1つの対に印加されるDC電圧であり、qは、電荷eにイオン上の荷電数をかけたものである。
【0117】
質量分析のための従来の四重極デバイスの動作は、周知である。ACまたはRF電圧の電極への印加の時間平均効果は、半径方向の疑似ポテンシャル井戸を形成させる。疑似ポテンシャル井戸のx方向の近似は、以下によって与えられ得る。
【0118】
【数7】
【0119】
qx<0.4の値に対するポテンシャル井戸の深さは、以下のように近似される。
【0120】
【数8】
【0121】
四重極は、円筒対称であるので、疑似ポテンシャル井戸のy方向の特性について同一の式が導き出され得る。
【0122】
イオンを半径方向に閉じ込める疑似ポテンシャル井戸に加えて、軸方向二次DCポテンシャル井戸またはプロフィールは、また本発明の好適な実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さの少なくとも一部に沿って維持される。好ましくは、二次軸方向ポテンシャル井戸は、初期には、好適なイオンガイドまたはイオントラップの実質的に中心または中央に最小を有するように提供される。軸方向DCポテンシャルは、ポテンシャル井戸の最小(または好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央)からの距離または変位の二乗として増加する。
【0123】
好ましくは、軸方向二次DCポテンシャル井戸の位置は、好ましくは軸方向二次DCポテンシャル井戸の最小を軸方向またはz方向に振動させるように時間とともに変更または変調される。したがって、好ましくは、軸方向DCまたは静電ポテンシャルプロフィールは、図5を参照してより詳細に説明するように、軸方向に変調される。一実施形態によると、DCまたは静電軸方向ポテンシャル井戸の最小は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央のまわりで振動する。
【0124】
したがって、経時変化するDCまたは静電ポテンシャルは、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って維持され、好ましくは以下の形態を有する。
【0125】
【数9】
【0126】
ここで、kは、軸方向DC二次ポテンシャルの電界定数であり、aは、好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿った軸方向距離であり(二次ポテンシャルの最小はその分だけ平均位置のまわりを移動する)、Ωは、軸方向二次DCポテンシャルの変調周波数である。
【0127】
ここで、図2に示すイオンガイドまたはイオントラップに対応する実施形態をより詳細に説明する。図2に示す実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、41の軸方向セグメントを備え得る。図2に示すように、最も中心または中央の軸方向セグメントは、セグメント番号0と標識され得、その他のセグメントは、それぞれ1〜20および−1〜−20と標識され得る。好適なイオンガイドまたはイオントラップは、軸方向の全長が2Tであり、長さ2Lの好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に軸方向イオントラップ領域を有すると考えられ得る。
【0128】
また、本例示の実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って好ましくは初期に維持される図2の軸方向二次DCポテンシャルプロフィールを参照する。好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持されるDCポテンシャルは、中心または中央セグメント(すなわち、セグメント0)からセグメント番号±14までの距離または変位の二乗に比例して増加する。セグメント番号±14は、DCポテンシャル井戸の最小(および好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央)から距離±Lの位置にある。±Lよりも大きな距離においては、好適なイオンガイドまたはイオントラップの種々のセグメントに印加されるDCポテンシャルは、好ましくは一定である。したがって、軸方向二次DCポテンシャル井戸またはイオントラップ領域から逃れ、したがって±Lよりも大きな距離に変位したイオンは、ポテンシャルが変位に関係なく一定である実質的に電界のない領域に存在する。したがって、この領域内のこれらのイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの入射口または出射口に向かって自由に移動し続け、次いで好適なイオンガイドまたはイオントラップから出射する。
【0129】
好適なイオンガイドまたはイオントラップのセグメント−15〜−20およびセグメント15〜20に印加されるDCポテンシャルは、好ましくは時間の関数として実質的に一定であり、他方セグメント−14〜14に印加されるポテンシャルは、好ましくは時間の関数として変化する。したがって、距離±Lは、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内の軸方向イオントラップ領域に対する境界を定義する。軸方向二次ポテンシャル井戸または軸方向イオントラップ領域の閉じ込めからうまく逃れるイオンは、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に軸方向にもはや閉じ込められず、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップから自由に出射する。
【0130】
距離±Lにおける軸方向イオントラップ領域の境界での電界緩和により、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域のポテンシャル分布は、所望の二次に正確または完全にはならないことがある。
【0131】
電界緩和問題に対応するために、軸方向イオントラップ領域の境界における、またはその周辺の電極に印加されるDCまたは静電ポテンシャルは、歪みを補正するように変更され得る。図3は、軸方向イオントラップ領域に対する境界での電界緩和の問題に対応するように意図された実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはイオントラップの各セグメントのDCポテンシャルのプロットを示す。好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの各セグメントのDCポテンシャルは、セグメント±15〜17のポテンシャルがセグメント±18〜20のポテンシャルよりも好ましくは高いことを除いて、図2に示すものと実質的に同じである。すべてのセグメント±15〜20のDCポテンシャルは、好ましくは時間の関数として実質的に一定を維持するが、好ましさの劣る例においては、これらのポテンシャルが経時変化し得ると考えられる。
【0132】
好ましくは、図3を参照して上に示し記載した実施形態は、軸方向イオントラップ領域の境界における電界緩和および電界貫通の効果が実質的に和らげられ、より正確な、滑らかな、または連続な軸方向二次ポテンシャルプロフィールが好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域内に維持されるようになり得るという利点がある。
【0133】
図4は、中心軸方向イオントラップ領域からうまく逃れたイオンが次いで好ましくは加速されて好適なイオンガイドまたはイオントラップを出射するような別の実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはイオントラップの各セグメントのDCポテンシャルのプロットを示す。この実施形態によると、セグメント±15〜20のポテンシャルは、漸進的に低減する。好ましくは、すべてのセグメント±15〜20のDCポテンシャルは、時間の関数として実質的に一定を維持するが、好ましさの劣る例においては、これらのポテンシャルが経時変化し得ると考えられる。
【0134】
図5は、本発明の好適な実施形態にかかる軸方向二次ポテンシャル井戸の位置を変調することによって好適なイオンガイドまたはイオントラップからイオンを共鳴によらずにどのように排出し得るかの一般原理を例示する。図5は、3つの異なる時間t1、t2およびt3における好適なイオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域に沿って維持される際の二次DCまたは静電軸方向ポテンシャルプロフィールを示す。中心軸方向イオントラップ領域の境界は、軸方向位置±Lによって示される。なお、領域−L〜L内に示されるポテンシャルのみが実際に好適なイオンガイドまたはイオントラップの電極に印加される。−L未満およびLより大きな距離における破線で示したポテンシャルは、実際には好適なイオンガイドまたはイオントラップの電極に印加されない。
【0135】
図5に示すような第1の時間t1における軸方向ポテンシャルプロフィールは、軸方向二次DCポテンシャル井戸が好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持されていることに対応する。ここで、二次ポテンシャル井戸の最小は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央に位置する。好ましくは、軸方向イオントラップ領域に対応する好適なイオンガイドまたはイオントラップのセグメントのDCポテンシャルは、好ましくはDC二次軸方向ポテンシャル井戸の最小が時間とともに第1の方向へ平行移動されるように連続的に経時変化される。好ましくは、DC二次ポテンシャル井戸の最小は、図5に示すようにDC二次ポテンシャル井戸の最小が後の時間t2において最大の正の変位+aに達するまで好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って平行移動される。次いで、好ましくは、好適なイオンガイドまたはイオントラップのセグメントのポテンシャルは、好ましくはまた図5に示すようにDCポテンシャル井戸の最小がさらに後の時間t3において最大の負の変位−aに達するまでDC二次軸方向ポテンシャル井戸の最小が好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って第2の反対方向へ逆に平行移動されるように経時変化される。
【0136】
好ましくは、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の位置は、DC軸方向ポテンシャル井戸の最小を好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央である所定の位置のまわりで好ましくは振動させるように、上記のような方法で連続的に変化または変調される。
【0137】
図5を参照して上記した実施形態によると、好ましくは、中心軸方向イオントラップ領域を定義する境界±Lの間に位置する軸方向セグメントのポテンシャルのみがこのように変調される。好ましくは、±Lに位置する中心軸方向イオントラップ領域の境界を超えた電極のポテンシャルは、経時的に実質的に一定を維持する。
【0138】
好ましくは、中心軸方向イオントラップ領域を軸方向またはz方向に横切って維持される電界Ezは、以下によって与えられる。
【0139】
【数10】
【0140】
図6は、時間t1、t2およびt3において好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域にわたり維持されるような(および上記方程式9に記載のとおりの)軸方向電界を示す。
【0141】
図6においてt1によって示された軸方向電界は、二次ポテンシャル井戸の最小が好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域の中心または中央に位置する時間t1において中心軸方向イオントラップ領域にわたって維持される軸方向電界を表す。図6においてt2によって示される軸方向電界は、二次ポテンシャル井戸の最小が位置+aに位置する(すなわち、中心軸方向イオントラップ領域を超える)時間t2において中心軸方向イオントラップ領域にわたって維持される軸方向電界を表す。図6においてt3によって示す軸方向電界は、二次ポテンシャル井戸の最小が位置−a(すなわち、また中心軸方向イオントラップ領域を超える)に位置する時間t3において中心軸方向イオントラップ領域にわたり維持される軸方向電界を表す。したがって、図6から分かるように、好ましくは、直線軸方向電界が、経時変化するオフセットを有すると考えられ得る軸方向イオントラップ領域にわたって設けられる。
【0142】
図7は、特定の例による、軸方向二次DCポテンシャル井戸の最小の変調の際の時間t1、t2またはt3においてイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールのグラフを示す。この特定の例において、軸方向ポテンシャルは、軸方向距離±Lに位置する境界によって定義される中心軸方向イオントラップ領域を超えると一定に維持される。中心軸方向イオントラップポテンシャル±Lの境界は、±29mmに設定され、軸方向二次DCポテンシャル井戸の最小の最大変位±aは、203mmに設定された(すなわち、中心軸方向イオントラップ領域の外側の井戸)。
【0143】
図7においてt1として示される曲線は、二次DC軸方向ポテンシャル井戸の最小が中心軸方向イオントラップ領域の中心または中央に位置する時間t1において好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールを表す。t2として示される曲線は、二次DC軸方向ポテンシャル井戸の最小が位置+aに位置する後の時間t2において好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持されるポテンシャルプロフィールを表す。t3として示される曲線は、二次DC軸方向ポテンシャル井戸の最小が位置−aに位置するさらに後の時間t3において好適なイオンガイドまたはイオントラップに沿って維持されるポテンシャルプロフィールを表す。
【0144】
中心軸方向イオントラップ領域内においてイオンにz方向にかかる力Fzは、以下によって与えられる。
【0145】
【数11】
【0146】
軸方向イオントラップ領域内のイオンの軸方向またはz軸に沿った加速度Azは、以下によって与えられる。
【0147】
【数12】
【0148】
中心軸方向イオントラップ領域内のイオンの軸方向の運動の方程式は、以下によって与えられる。
【0149】
【数13】
【0150】
当業者に理解されるように、この運動方程式は、強制直線調和振動子を記載する。この正確な解は、以下のとおりである。
【0151】
【数14】
【0152】
ここで、z1は、t=0でのイオンの初期z座標であり、Vは、t=0でのイオンのz方向の初期運動エネルギーであり、ωは、
【0153】
【数15】
【0154】
であり、イオンの単振動運動の基本周波数であり、aは、二次ポテンシャル井戸の軸方向のz方向の変調の振幅であり、Ωは、軸方向二次ポテンシャル井戸の変調の周波数である。
【0155】
この解から、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の変調の振幅がt=0において最大となると考えられる。軸方向電界の変調を異なる位相角度で開始すると異なる解が得られ得る。方程式13は、以下のように書き換えられ得る。
【0156】
【数16】
【0157】
ここで、
【0158】
【数17】
【0159】
である。
【0160】
方程式14から分かるように、中心軸方向イオントラップ領域内にトラップされたイオンは、イオンの初期運動エネルギーVおよび開始位置z1から独立した周波数の組み合わせで振動する。これらの周波数は、上記定義のような基本振動数ω、および周波数
【0161】
【数18】
【0162】
および
【0163】
【数19】
【0164】
である。
【0165】
図8A〜図8Cは、それぞれ質量電荷比200、300および400を有するイオンについての軸方向のイオン振動の振幅をプロットしたものである。DC軸方向二次ポテンシャル井戸の位置は、図7を参照して記載した特定の例に関して上記したように変調される。
【0166】
イオンの運動は、上記導出の方程式13によって規定される。この特定の例について、二次軸方向DCポテンシャル井戸についての電界定数kは、2378V/m2に設定された。二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位±aは、±202mmに設定された。二次軸方向DCポテンシャル井戸は、1秒当たり1.4×105ラジアン(22.3kHz)の周波数Ωで振動または変調するようにモデル化された。イオンは、0mmに等しい初期位置z1から開始され、0eVに等しい初期エネルギーVを有するようにモデル化された。
【0167】
図8A〜図8Cから分かるように、より低い質量電荷比を有するイオン(例えば、質量電荷比200を有するイオンに関する図8Aを参照)は、より低い質量電荷比を有するイオン(例えば、質量電荷比400を有するイオンに関する図8Cを参照)と比較して、対応のより高い振動振幅を有する。また、図8A〜図8Cから分かるように、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の高周波数変調による周波数
【0168】
【数20】
【0169】
および
【0170】
【数21】
【0171】
における比較的高い周波数運動は、基本共鳴周波数ωにおいて発生する特徴的により低い周波数の単振動に重ね合わされる。
【0172】
上記方程式12によって表される運動方程式は、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位±aが固定され、かつ軸方向二次ポテンシャル井戸の変調周波数Ωも固定されるイオンの運動を考える。軸方向DC二次ポテンシャル井戸の変調周波数Ωが一定であり、イオンの基本共鳴周波数ωよりも大きく、かつ二次軸方向ポテンシャル井戸の最大軸方向変位(a)が時間とともに漸進的に直線的に増加する場合を考えることができる。これらの条件下で、新しい運動方程式が以下のように表され得る。
【0173】
【数22】
【0174】
この方程式に対する解は、以下によって与えられる。
【0175】
【数23】
【0176】
したがって、方程式16は、二次軸方向ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位が漸進的に増加される分析スキャン中のイオンの運動を記述する。一実施形態によると、そのような分析スキャンは、イオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴によらずに排出するために数ミリ秒の期間にわたって行われ得る。そのような実施形態を、後でより詳細に説明する。
【0177】
図9A〜図9Cは、質量電荷比200、300および400を有するイオンについて、それぞれイオンの軸方向の振動振幅を時間に対してプロットしたものである。ここで、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位は、時間とともに漸進的に直線的に増加される。イオン運動は、上記のように方程式16によって規定される。二次軸方向ポテンシャルについての電界定数kは、2378V/m2に設定された。軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位±aは、8msの期間にわたり0から400mmへスキャンまたは漸進的に増加される。軸方向二次ポテンシャル井戸の変調周波数は、1秒当たり1×105ラジアン(16kHz)の周波数Ωに固定された。イオンは、0.1mmに等しい初期位置z1において0eVに等しい初期エネルギーVを有して開始するとモデル化された。
【0178】
図9A〜図9Cの比較から分かるように、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位は、時間とともに漸進的に増加し、イオンの軸方向の最大振動振幅もそれに応じて増加する。また、図9A〜図9Cの比較から明らかなように、比較的低い質量電荷比を有するイオン(例えば、質量電荷比200を有するイオンに関する図9Aを参照)は、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位が同じである場合、比較的高い質量電荷比を有するイオン(例えば、質量電荷比400を有するイオンに関する図9Cを参照)よりも振動振幅が高い。したがって、本発明の上記好適な実施形態によると、比較的低い質量電荷比を有するイオンは、比較的より高い質量電荷比を有するイオンより先に、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域から排出される。
【0179】
図10は、イオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴によらずに排出するために、図9A〜図9Cを参照して説明した実施形態において使用されるスキャン関数のプロットを示す。y軸は、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位を示し、x軸は、時間を示す。この特定の実施形態において、DC軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の最大軸方向変位は、8msの期間にわたり0mmから400mmまで漸進的に直線的に増加された。
【0180】
当業者に理解されるように、軸方向DC静電電圧を印加すると、また半径方向静電ポテンシャルが好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に生成される。この効果を例示するために、セグメント化円筒が考えられ得る。円筒の軸に沿って重ね合わされる、以下の形態の二次ポテンシャル:
【0181】
【数24】
【0182】
を考慮すると、x、y、zにおけるポテンシャルが以下によって与えられる。
【0183】
【数25】
【0184】
ここで、r0は、円筒の半径である。
【0185】
方程式18は、以下によって与えられるラプラス条件を満足する。
【0186】
【数26】
【0187】
したがって、方程式18から分かるように、軸方向に変調された二次DCポテンシャルを円筒の軸に沿って重ね合わせることによって、円筒の中心軸から外側電極へ向かう方向へイオンに力を与える静的な半径方向電界がまた生成される。しかし、ACまたはRF電圧を外側電極に印加することによって生成される半径方向疑似ポテンシャル井戸が、軸方向に変調された二次ポテンシャルによってイオンに与えられる半径方向の力に十分に打ち勝つならば、イオンは、半径方向に閉じ込められたままとなる。
【0188】
イオンは、イオンの振動振幅が好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域の境界±L内にイオンが留まるような程度である場合に、好適なイオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域内に軸方向に含まれるかまたは閉じ込められるのみとなる。この条件は、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内の安定なイオントラップの条件を定義するために使用され得る。以下の形態のさらなる直線軸方向DCポテンシャルDCzが軸方向イオントラップ領域にわたって印加される場合:
【0189】
【数27】
【0190】
軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の位置がずれて、イオンが不安定となる振動振幅を変化させる。したがって、この方法は、また好適なイオントラップを出射するようにイオンを漸進的にスキャンするために使用され得る。
【0191】
好適なイオンガイドまたはイオントラップについての安定性図は、変数a、b、k、m、ΩおよびLに関して生成され得る。ここで、Lは、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小から中心軸方向イオントラップ領域の各境界までの距離である。
【0192】
図11は、好適なイオンガイドまたはイオントラップについての安定性図を示し、安定性および不安定性領域を示す。y軸は、静的な直線ポテンシャルDCzを印加した結果である平均軸方向ポテンシャルの最小の軸方向変位の正規化された大きさを表す。x軸は、正規化された振動振幅を表す。Z安定と標識された安定性図の領域は、イオンが安定であり、好適なイオンガイドまたはイオントラップ内にトラップされたままであることを示す。不安定と標識された領域は、イオンがトラップされたままではなく、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップを離れることを示す。+Z不安定と標識された領域は、好ましくはイオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの一端から好適なイオンガイドまたはイオントラップを離れることを示す。同様に、−Z不安定と標識された領域は、イオンが好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップの他端から好適なイオンガイドまたはイオントラップを離れることを示す。±Z不安定と標識された領域は、好ましくはイオンが両端から好適なイオンガイドまたはイオントラップを離れることを示す。
【0193】
図11に示す安定性図は、イオンがまず好適なイオンガイドまたはイオントラップ内で衝突冷却化を受け、そのイオンの振動振幅が、軸方向静電またはDC二次ポテンシャル井戸内のより低い周波数の調和振動の振幅ではなく、例えば、二次ポテンシャル井戸の位置の変調による高周波振動の振幅に主として規定されると仮定する。
【0194】
正規化された振動振幅についての式は、イオンについての異なる初期エネルギーVおよび異なる初期位置項z1を含む異なる開始条件を含むように変更され得る。式は、また軸方向二次ポテンシャル井戸の変調の初期開始位相を含むように変更され得る。
【0195】
好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域内のイオンの運動は、衝突減衰ガスを好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入することによって変更され得る。減衰ガスの存在下での運動方程式は、以下のとおりに与えられる。
【0196】
【数28】
【0197】
ここで、λは、減衰定数であり、イオンの移動度の関数である。
【0198】
イオン移動度は、イオン断面積、減衰ガス数密度、イオン電荷、イオンおよびガス分子の質量、ならびに温度の関数である。したがって、減衰ガスの存在下で運動方程式は、またイオンの移動度に依存する。したがって、これらの状況において、安定および不安定なイオン運動についての条件は、またイオン移動度に依存する。したがって、新しい運動方程式および安定性図は、異なる減衰条件について生成され得、イオンは、その質量電荷比と同様にそのイオン移動度にしたがっても分離され得る。
【0199】
上記好適な実施形態において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの各個別セグメントに印加されるDC電圧は、好ましくは個別の低電圧電源を使用して生成される。好ましくは、DC電源の出力は、プログラム可能なマイクロプロセッサによって制御される。静電ポテンシャル関数の軸方向の一般形態は、好ましくは短時間に操作され得、複雑かつ/または経時変化するポテンシャルは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向に沿って重ね合わされ得る。
【0200】
好適な実施形態において、好ましくは、イオンは、外部のイオン源から好適なイオンガイドまたはイオントラップ内へパルス状または実質的に連続に導入される。外部のイオン源から連続イオンビームを導入する際に、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップに入射するイオンの初期軸方向エネルギーは、好ましくはACまたはRF電圧を電極に印加することによって所望の範囲内の質量電荷比を有するすべてのイオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込められるように構成され得る。好ましくは、イオンは、また重ね合わされた軸方向静電ポテンシャルによって軸方向にトラップされるようになる。軸方向の初期トラップDCまたは静電ポテンシャル関数は、二次であってもよいし、そうでなくてもよく、軸方向DCトラップポテンシャルの最小は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心または中央に対応してもよいし、そうでなくてもよい。イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入される際に、軸方向二次DCポテンシャル井戸の変調振幅は、好ましくはゼロに初期設定され得る。
【0201】
好適なイオンガイドまたはイオントラップ内のイオンの初期トラップは、冷却ガスの非存在下に実現され得、あるいは、冷却ガスの存在下に実現され得る。
【0202】
一旦イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域内に閉じ込められると、好ましくは初期エネルギーの広がりは、冷却ガスをイオン閉じ込めまたは軸方向イオントラップ領域に導入することによってか、または軸方向イオントラップ領域内にすでに存在する冷却ガスの存在によってかのいずれか一方によって低減され得る。好ましくは、冷却ガスは、10-4〜101mbarの範囲、より好ましくは10-3〜10-1mbarの範囲の圧力に維持され得る。イオンの運動エネルギーは、好ましくは冷却ガス分子との衝突により損なわれ、イオンは、好ましくは熱エネルギーに達する。好ましくは、残留ガス分子と衝突することで最終的にはイオンの振動振幅は低減し、したがってイオンは、軸方向DCポテンシャル井戸の中心または最小へ落ち込みやすくなる。しかし、イオンは、エネルギーを失うが、半径方向疑似ポテンシャル井戸によって閉じ込められたままとなるので、好適なイオンガイドまたはイオントラップから失われない。したがって、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、イオンがガス分子との衝突によって十分なエネルギーを失った場合に系に対して失われるオービトラップなどの他のイオントラップと比較して特に有利である。このため、オービトラップは、超高真空(UHV)において動作される必要があるという欠点がある。
【0203】
上記好適な実施形態によると、好ましくはイオンの空間的広がりおよびエネルギー範囲は最小化されるように、好ましくは異なる質量電荷比のイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿って最低静電ポテンシャル点へ移動するようにされる。
【0204】
一実施形態によると、一旦イオンが熱的に冷却され、好ましくは軸方向ポテンシャル井戸の最小に位置すると、軸方向二次ポテンシャル井戸の位置は変調され得、振動振幅は増加され得る。好ましくは、軸方向二次ポテンシャル井戸の変調周波数は、イオンの基本共鳴周波数よりも高くに維持される。
【0205】
一実施形態によると、次いで、変調周波数Ωを実質的に一定に保持しつつ、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の軸方向変調の振幅を漸進的に増加することによって、イオンの質量選択的排出を共鳴によらずに開始させる。
【0206】
別の実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップからのイオンの質量選択的排出は、軸方向二次ポテンシャル井戸の変調振幅を一定に保持することによって、および軸方向二次ポテンシャル井戸の変調周波数Ωを漸進的に低減することによって実現され得る。
【0207】
別の実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップからの質量選択的排出は、軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の振幅および周波数Ωの両方を変化させることによって実現され得る。
【0208】
好ましさの劣る動作モードにおいて、軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の周波数および振幅の両方は、固定され得、その代わりに、軸方向ポテンシャル井戸の最小の平均位置は、好適なイオンガイドまたはイオントラップの物理的な寸法に対して移動され得る。比較的低い質量電荷比を有するイオンは、軸方向の運動の振幅がより高く、したがって、好ましくは比較的高い質量電荷比を有するイオンより先に、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される。
【0209】
好ましいが先ほどではない別の動作モードにおいて、軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の周波数および振幅は、また好ましくは固定され、時間平均静電ポテンシャルの最小の位置は、また好ましくは固定される。この実施形態によると、次いで、好ましくは、軸方向二次静電ポテンシャル井戸の電界定数kは、漸進的に低下される。この実施形態において、比較的低い質量電荷比を有するイオンは、比較的高い質量電荷比を有するイオンよりも先に、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される。
【0210】
一実施形態において、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小は、好ましくはイオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの一端のみから排出されるように、好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心からずらされ得る。
【0211】
好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されたイオンは、その後イオン検出器を使用して検出され得る。イオン検出器は、マイクロチャネルプレート(MCP)イオン検出器、チャネルトロンまたは離散ダイノード電子倍増管、変換ダイノード検出器などのイオン検出器を備え得る。蛍光体またはシンチレータ検出器および光倍増管がまた使用され得る。あるいは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されたイオンは、質量分析計の衝突ガスセルまたは別の構成要素に前方移送され得る。一実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出されたイオンは、飛行時間質量分析器または四重極質量分析器などの質量分析器によって質量分析され得る。
【0212】
上記の質量選択的不安定性動作モードに加えて、他の実施形態によると、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、ある動作モードにおいて、また、例えば、イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップから軸方向に共鳴により排出されるような公知の方法で有利に動作され得る。
【0213】
一実施形態によると、イオンは、その基本振動数において共鳴により励起され得るが、好適なイオンガイドまたはイオントラップから出射するほど十分には励起されなくてもよい。その代わりに、イオンは、好ましくはイオンの基本共鳴周波数よりも実質的に高い周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の変調によるさらなる効果によって、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出され得る。
【0214】
一実施形態によると、イオン振動の振幅は、上記のように軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の振幅を増加することによって、または軸方向二次ポテンシャル井戸の軸方向変調の周波数Ωを低減することによって増加され得る。しかし、特定の質量電荷比のイオンが実際に好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される前の一時点において、小量の共鳴励起が排出したいイオンの基本共鳴周波数ωに対応する周波数において印加して、その振動振幅を増加するようにし得る。しかし、イオンは部分的に共鳴により励起されるが、イオンは実際には共鳴によらない励起によって好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される。
【0215】
上記のようなMS動作モードに加えて、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、またイオンがフラグメンテーションされ、その結果得られた娘またはフラグメントイオンが次いで質量分析されるMSn実験に使用され得る。好適なイオンガイドまたはイオントラップがセグメント化四重極ロッドセットを備える上記好適な実施形態において、特定の質量電荷比を有する対象の親または前駆体イオンは、RF四重極の周知の半径方向安定性特性を使用して選択され得る。特に、双極共鳴電圧または分解DC電圧の印加を使用して、特定の質量電荷比を有するイオンを、イオンが四重極に入射する際か、またはイオンが四重極ロッドセット内に初期にトラップされた場合のいずれかにおいて、棄却する。
【0216】
別の実施形態において、前駆体または親イオンは、軸方向ポテンシャル井戸からの軸方向の共鳴による排出によって選択され得る。この場合、広帯域の励起周波数は、軸方向トラップシステムを形成する電極に同時に印加され得る。次いで、好ましくは、後で分析されるべき所望の前駆体または親イオンを除くすべてのイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップから排出される。逆フーリエ変換の方法は、特定の所望の質量電荷比を有するイオンを好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に残しながら、広帯域のイオンを共鳴により排出させるのに適した波形を生成するために使用され得る。
【0217】
別の実施形態において、前駆体または親イオンは、軸方向静電ポテンシャル井戸からの軸方向の共鳴による排出と本発明の上記好適な実施形態にかかる質量選択的な共鳴によらない排出との組み合わせを使用して選択され得る。
【0218】
一旦所望の前駆体または親イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップ内で単離されると、衝突ガスは、好ましくは好適なイオンガイドまたはイオントラップ内に導入または再導入され得る。次いで、選択された前駆体または親イオンのフラグメンテーションは、イオンの振動振幅および、したがって、イオンの速度を増加することによって実現され得る。これは、軸方向二次ポテンシャル井戸の振動振幅を増加し、静電二次ポテンシャル井戸の軸方向変調周波数Ωを低減することによって、または前駆体または親イオンの基本振動数ωに対応する周波数において励起波形を重ね合わせることによって実現され得る。
【0219】
別の実施形態によると、フラグメンテーションは、前駆体または親イオンの振動振幅および、したがって、イオンの速度を半径方向に増加することによって実現され得る。これは、好適なイオンガイドまたはイオントラップを形成する四重極ロッドまたは電極に印加されるACまたはRF電圧の周波数または振幅を変更することによって、または対象イオンの永年周波数に一致する周波数を有する1対の四重極ロッドに対して双極励起波形を半径方向に重ね合わせることによって実現され得る。これらの手法のうちのいずれかの組み合わせを使用して所望の前駆体または親イオンを励起し、フラグメンテーションされるのに十分なエネルギーを有するようにさせる。その結果得られたフラグメントまたは娘イオンは、次いで上記の方法のいずれかによって質量分析され得る。
【0220】
次いで、イオンを選択し、励起させる処理は、MSn実験が行われるように繰り返される。その結果得られたMSnイオンは、次いで上記記載の方法を使用して好適なイオンガイドまたはイオントラップから軸方向に排出され得る。
【0221】
他の実施形態によると、単極、六重極、八重極またはより高次の多重極イオンガイドまたはイオントラップがイオンを半径方向に閉じ込めるために使用され得る。より高次の多重極は、より高次の疑似ポテンシャル井戸関数を有する点で特に有利である。より高次の多重極イオンガイドまたはイオントラップが共鳴による排出の動作モードにおいて使用される場合、そのような非四重極デバイス内におけるより高次の電界は、半径方向の共鳴損失の起こりやすさを低減する。非直線半径方向電界において、半径方向永年運動の周波数は、イオンの位置に関連し、したがって、イオンは、排出される前に共鳴から外れる。さらに、より高次の多重極イオンガイド内に生成された疑似ポテンシャル井戸の底部は、四重極よりも広く、したがって、非四重極デバイスは、より大きな荷電容量を有する可能性がある。したがって、そのようなデバイスは、全ダイナミックレンジが改善される可能性がある。本発明の実施形態にかかる多重極イオンガイドまたはイオントラップのロッドは、双曲状、円形状、円弧状、長方形状または正方形状の断面を有し得る。先の実施形態ほどではないが好ましい実施形態によると、他の断面形状もまた使用され得る。
【0222】
一実施形態において、余弦または正弦関数によって記載されたもの以外の周期関数が電圧変調および、したがって、二次軸方向ポテンシャル井戸の位置の変調のために使用され得る。例えば、電圧は、デジタルプログラミングを使用して最大値間で段階的に変化され得る。
【0223】
別の実施形態によると、イオンガイドまたはイオントラップは、セグメント化ロッドセットではなく連続ロッドセットを備え得る。そのような実施形態によると、ロッドは、非伝導性材料(例えば、セラミックまたは他の絶縁体)を備え得、非均一抵抗性材料でコーティングされ得る。例えば、ロッドの中心間およびロッドの端部間に電圧を印加すると、軸方向DCポテンシャル井戸が好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域に沿って生成される。
【0224】
一実施形態によると、所望の軸方向DCポテンシャルプロフィールは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの個々のセグメントまたは電極の間に一連の固定または可変抵抗器を使用して好適なイオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに展開され得る。
【0225】
別の実施形態において、所望の軸方向DCポテンシャルプロフィールは、好適なイオンガイドまたはイオントラップを形成する電極の周辺にまたは当該電極と横並びに配置される1つ以上の補助電極によって提供され得る。1つ以上の補助電極は、例えば、セグメント化電極構成、1つ以上の抵抗性被膜電極、または他の適切な形状の電極を備え得る。好ましくは、適切な1つまたは複数の電圧を1つ以上の補助電極に印加することによって、所望の軸方向DCポテンシャルプロフィールが好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域に沿って維持されようにする。
【0226】
一実施形態において、好適なイオンガイドまたはイオントラップは、イオンが使用時に移送される円形状または非円形状開口を有する複数の電極を備えるACまたはRFリングスタック構成を備える。イオントンネル構成は、例えば、イオンを半径方向に閉じ込めるために使用され得る。そのような実施形態において、好ましくは、極性を変更するACまたはRF電圧は、イオンを半径方向に閉じ込めるための半径方向疑似ポテンシャル井戸を生成するために、イオントンネルデバイスの隣接する環状リングに印加される。好ましくは、軸方向ポテンシャルは、イオントンネルイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って重ね合わされ得る。
【0227】
別の実施形態において、イオンの半径方向の閉じ込めは、プレートまたは平面電極のスタックを備えるイオンガイドを使用して実現され得る。ここで、互いに逆の位相のACまたはRF電圧が隣接するプレートまたは電極に印加される。そのようなプレートまたは電極スタックの上部または底部におけるプレートまたは電極には、イオントラップ容積が形成されるように、DCおよび/またはRFトラップ電圧が供給され得る。この閉じ込めプレートまたは電極は、それ自身がセグメント化され、軸方向トラップ静電ポテンシャル関数が好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って重ね合わされるようにし、イオンの質量選択的軸方向排出が上記好適な実施形態にかかる方法を使用して行われ得る。
【0228】
一実施形態によると、複数の軸方向DCポテンシャル井戸が、好適なイオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って維持または形成され得る。電極セグメントに印加された重ね合わせDCポテンシャルを操作することによって、イオンは、1つ以上の特定の軸方向イオントラップ領域においてトラップされ得る。次いで、好適なイオンガイドまたはイオントラップの特定の領域内のDCポテンシャル井戸内にトラップされたイオンに対して、例えば、1つ以上のイオンをポテンシャル井戸から離れるようにする質量選択的排出が行われる。次いで、1つのポテンシャル井戸から排出されたこれらのイオンは、同じ好適なイオンガイドまたはイオントラップ内の第2のまたは異なるポテンシャル井戸にその後トラップされ得る。このタイプの動作を利用して、例えば、イオン−イオン相互作用が研究され得る。この動作モードにおけるイオンは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの一端または両端から実質的に同時に導入され得る。
【0229】
一実施形態によると、第1のポテンシャル井戸内にトラップされたイオンは、好ましくは所定の質量電荷比または所定の範囲の質量電荷比を有するイオンのみが第1のポテンシャル井戸から排出されるような共鳴による排出条件下にあり得る。次いで、好ましくは、第1のポテンシャル井戸から排出されたイオンは、第2のポテンシャル井戸へ渡る。次いで、これらのイオンをフラグメンテーションするために、第2のポテンシャル井戸内において共鳴による励起が行われ得る。その結果得られた娘またはフラグメントイオンは、次いで第2のポテンシャル井戸から順次共鳴により排出され、その後軸方向検出される。この処理を繰り返すことにより、第1のポテンシャル井戸内のすべてのイオンについてMS/MS分析が実質的に100%の効率で実行または記録されることが可能となる。
【0230】
さらなる実施形態によると、2つ以上のポテンシャル井戸が好適なイオンガイドまたはイオントラップ内の軸方向イオントラップ領域に沿って維持されることによって、より複雑となる実験を実現することができる。あるいは、この柔軟性を使用して、他の分析手法に導入するためにイオンパケットの特性を調整し得る。
【0231】
本願において、従来のように、イオンは、第1または基本共鳴周波数において励起することによって共鳴により排出されることが理解される。しかし、また、動作モードにしたがって、イオンは、基本共鳴周波数の第2またはより高次の高調波において励起することによって好適なイオンガイドまたはイオントラップから共鳴により励起または排出され得ることが考えられる。本発明は、イオンガイドまたはイオントラップの長さに沿って提供される1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置が、二次ポテンシャル井戸またはイオンガイドまたはイオントラップ内に含まれるイオンの第1または基本共鳴周波数よりも大きな周波数において変調されるような実施形態を含むことが意図される。1つ以上の二次ポテンシャル井戸の変調周波数は、二次ポテンシャル井戸またはイオンガイドまたはイオントラップ内のイオンの基本共鳴周波数の第2またはより高次の高調波周波数に対応してもよいし、しなくてもよい。
【0232】
本発明を好適な実施形態を参照して記載したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱せずに形態および詳細において種々の変更がなされ得ることが当業者に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】図1は、一実施形態にかかる好適なセグメント化ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップの断面図である。
【図2】図2は、好適な実施形態にかかる好適なイオンガイドまたはトラップの長さの一部に沿って維持される二次DCまたは静電ポテンシャルを示すプロットとともに示す、好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの側面図である。
【図3】図3は、一実施形態にかかる好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに印加されるDCまたは静電ポテンシャルを示し、ここで印加されたDCまたは静電ポテンシャルは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域の境界における電界緩和効果を補償するように構成される。
【図4】図4は、一実施形態にかかる好適なセグメント化イオンガイドまたはイオントラップの各セグメントに印加されるDCまたは静電ポテンシャルを示し、ここで印加されたDCまたは静電ポテンシャルは、イオンが好適なイオンガイドまたはイオントラップの中心軸方向イオントラップ領域を一旦励起すると、イオンは加速されて好適なイオンガイドまたはイオントラップを出射するように構成される。
【図5】図5は、一実施形態にかかる、3つの異なる時点において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域にわたり維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールを示す。
【図6】図6は、一実施形態にかかる、当該3つの異なる時点において、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸方向イオントラップ領域に沿って維持される軸方向電界を示す。
【図7】図7は、一実施形態にかかる、3つの異なる時点において、イオンガイドまたはイオントラップに沿って維持される軸方向DCポテンシャルプロフィールの例を示す。
【図8】図8Aは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比200を有するイオンについてのイオン振動振幅を示し、図8Bは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比300を有するイオンについてのイオン振動振幅を示し、図8Cは、好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った、質量電荷比400を有するイオンについてのイオン振動振幅を示す。
【図9A】図9Aは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比200を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示す。
【図9B】図9Bは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比300を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示す。
【図9C】図9Cは、固定変調周波数における軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の変位振幅をスキャンする際の、質量電荷比400を有するイオンについての時間に対する好適なイオンガイドまたはイオントラップの軸に沿ったイオン運動の計算された振幅のプロットを示す。
【図10】図10は、一実施形態にかかる、軸方向二次ポテンシャル井戸の最小の軸方向変位振幅が時間の関数としてどのようにスキャンされ得るかを示す。
【図11】図11は、好適な実施形態にかかるイオンガイドまたはイオントラップについての簡略化された正規化安定性図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極と、
少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を前記複数の電極のうちの少なくともいくつかに印加するように構成および適合されるACまたはRF電圧手段と、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するように構成および適合される第1の手段であって、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、第1の手段と、
前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるように構成および適合される変調手段と、
前記第1の動作モードにおいて、少なくともいくつかのイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域から実質的に共鳴によらずに排出し、同時に他のイオンは前記イオンガイドまたはイオントラップの前記トラップ領域域内に実質的にトラップされたままになるように構成されるように構成および適合される排出手段と
を備えるイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項2】
前記ACまたはRF電圧手段は、ACまたはRF電圧を前記複数の電極の少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に印加するように構成および適合される、請求項1に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項3】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を供給するように構成および適合される、請求項1または2に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項4】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を供給するように構成および適合される、請求項1、2または3に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項5】
前記第1の手段は、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または>10の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項6】
前記第1の手段は、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に沿って1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項7】
前記第1の手段は、(i)<10V、(ii)10〜20V、(iii)20〜30V、(iv)30〜40V、(v)40〜50V、(vi)50〜60V、(vii)60〜70V、(viii)70〜80V、(ix)80〜90V、(x)90〜100V、および(xi)>100Vからなる群から選択される深さを有する1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項8】
前記第1の手段は、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さに沿って第1の時間における第1の位置に位置する最小を有する1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項9】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、イオン入射口およびイオン出射口を有し、前記第1の位置は、前記イオン入射口から下流に距離Lの位置にあり、かつ/または前記イオン出射口から上流に距離Lの位置にあり、Lは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される、請求項8に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項10】
前記第1の手段は、1つ以上のDC電圧を前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に供給するための1つ以上のDC電圧源を備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項11】
前記第1の手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を提供するように構成および適合され、軸方向ポテンシャルがポテンシャル井戸の最小または中心からの距離または変位の二乗として実質的に増加する、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項12】
前記変調手段は、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に沿って変調または振動させるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項13】
前記変調手段は、1つ以上のDC電圧を前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に供給するための1つ以上のDC電圧源を備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項14】
前記変調手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小を実質的に周期的および/または規則的に変調または振動させるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項15】
前記変調手段は、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を第1の周波数f1を用いて、または第1の周波数f1において変調または振動させるように構成および適合され、f1は、(i)<5kHz、(ii)5〜10kHz、(iii)10〜15kHz、(iv)15〜20kHz、(v)20〜25kHz、(vi)25〜30kHz、(vii)30〜35kHz、(viii)35〜40kHz、(ix)40〜45kHz、(x)45〜50kHz、(xi)50〜55kHz、(xii)55〜60kHz、(xiii)60〜65kHz、(xiv)65〜70kHz、(xv)70〜75kHz、(xvi)75〜80kHz、(xvii)80〜85kHz、(xviii)85〜90kHz、(xix)90〜95kHz、(xx)95〜100kHz、および(xxi)>100kHzからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項16】
前記変調手段は、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を第1の周波数f1を用いて、または第1の周波数f1において変調または振動させるように構成および適合され、前記第1の周波数f1は、前記イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内に位置するイオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の共鳴または基本振動数よりも大きい、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項17】
前記第1の周波数f1は、前記イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内に位置するイオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の共鳴または基本振動数よりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%だけ大きい、請求項16に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項18】
前記変調手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小を実質的に一定の周波数または実質的に一定でない周波数のいずれか一方において変調または振動させるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項19】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を変更および/または変化および/またはスキャンするように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項20】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を増加するように構成および適合される、請求項19に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項21】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を時間とともに実質的に直線的に増加するように構成および適合される、請求項20に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項22】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を変更および/または変化および/またはスキャンするように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項23】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を低減するように構成および適合される、請求項22に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項24】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を時間とともに実質的に直線的に低減するように構成および適合される、請求項23に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項25】
前記排出手段は、イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップから質量選択的に排出するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項26】
前記排出手段は、前記第1の動作モードにおいて、第1の質量電荷比カットオフより低い質量電荷比を有する実質的にすべてのイオンが前記イオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域から排出されるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項27】
前記排出手段は、前記第1の動作モードにおいて、第1の質量電荷比カットオフより高い質量電荷比を有する実質的にすべてのイオンが前記イオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域内に残るか、貯留されるか、または閉じ込められるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項28】
前記第1の質量電荷比カットオフは、(i)<100、(ii)100〜200、(iii)200〜300、(iv)300〜400、(v)400〜500、(vi)500〜600、(vii)600〜700、(viii)700〜800、(ix)800〜900、(x)900〜1000、(xi)1000〜1100、(xii)1100〜1200、(xiii)1200〜1300、(xiv)1300〜1400、(xv)1400〜1500、(xvi)1500〜1600、(xvii)1600〜1700、(xviii)1700〜1800、(xix)1800〜1900、(xx)1900〜2000、および(xxi)>2000からなる群から選択される範囲にある、請求項26または27に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項29】
前記排出手段は、前記第1の質量電荷比カットオフを増加するように構成および適合される、請求項26、27または28に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項30】
前記排出手段は、前記第1の質量電荷比カットオフを実質的に連続的および/または直線的および/または漸進的および/または規則的に増加するように構成および適合される、請求項29に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項31】
前記排出手段は、前記第1の質量電荷比カットオフを実質的に不連続的および/または非直線的および/または非漸進的および/または不規則的に増加するように構成および適合される、請求項29に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項32】
前記排出手段は、前記第1の動作モードにおいて、イオンを実質的に軸方向に前記イオンガイドまたはイオントラップから排出するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項33】
イオンは、前記イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内にトラップされるか、または軸方向に閉じ込められるように構成され、前記イオントラップ領域は長さlを有し、lは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項34】
前記イオントラップまたはイオンガイドは、直線イオントラップまたはイオンガイドを備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項35】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、多重極ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップを備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項36】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、四重極、六重極、八重極またはより高次の多重極ロッドセットを備える、請求項35に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項37】
前記複数の電極は、(i)おおよそまたは実質的に円形状、(ii)おおよそまたは実質的に双曲状、(iii)おおよそまたは実質的に円弧状または部分円形状、および(iv)おおよそまたは実質的に長方形状または正方形状からなる群から選択される断面を有する、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項38】
前記多重極ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップによって描かれる半径は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される、請求項35、36または37のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項39】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、軸方向にセグメント化されるか、または複数の軸方向セグメントを備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項40】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、xの軸方向セグメントを備え、xは、(i)<10、(ii)10〜20、(iii)20〜30、(iv)30〜40、(v)40〜50、(vi)50〜60、(vii)60〜70、(viii)70〜80、(ix)80〜90、(x)90〜100、および(xi)>100からなる群から選択される、請求項39に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項41】
各軸方向セグメントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20の電極を備える、請求項39または40に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項42】
前記軸方向セグメントのうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の軸方向長さは、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される、請求項39、40または41に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項43】
前記軸方向セグメントのうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の間隔は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される、請求項39〜42のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項44】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、複数の非伝導性、絶縁性またはセラミックのロッド、突起またはデバイスを備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項45】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20のロッド、突起またはデバイスを備える、請求項44に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項46】
前記複数の非伝導性、絶縁性またはセラミックのロッド、突起またはデバイスは、前記ロッド、突起またはデバイスの上、周辺、隣、上方または近傍に配置される1つ以上の抵抗性または伝導性のコーティング、層、電極、フィルムまたは表面をさらに備える、請求項44または45に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項47】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、開口を有する複数の電極を備え、イオンは、使用時に、前記開口を通って移送される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項48】
前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、実質的に同じ大きさであるか、または実質的に同じ面積である開口を有する、請求項47に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項49】
前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った方向に、大きさまたは面積が漸進的により大きくなるかおよび/またはより小さくなる開口を有する、請求項47に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項50】
前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する開口を有する、請求項47、48または49に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項51】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、複数のプレートまたはメッシュ電極を備え、前記電極のうちの少なくともいくつかは、使用時にイオンが走行する平面内に概して配置される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項52】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、複数のプレートまたはメッシュ電極を備え、前記電極のうちの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが走行する平面内に概して配置される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項53】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20のプレートまたはメッシュ電極を備える、請求項51または52に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項54】
前記プレートまたはメッシュ電極は、(i)5mmまたはそれ未満、(ii)4.5mmまたはそれ未満、(iii)4mmまたはそれ未満、(iv)3.5mmまたはそれ未満、(v)3mmまたはそれ未満、(vi)2.5mmまたはそれ未満、(vii)2mmまたはそれ未満、(viii)1.5mmまたはそれ未満、(ix)1mmまたはそれ未満、(x)0.8mmまたはそれ未満、(xi)0.6mmまたはそれ未満、(xii)0.4mmまたはそれ未満、(xiii)0.2mmまたはそれ未満、(xiv)0.1mmまたはそれ未満、および(xv)0.25mmまたはそれ未満からなる群から選択される厚さを有する、請求項51、52または53のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項55】
前記プレートまたはメッシュ電極は、(i)5mmまたはそれ未満、(ii)4.5mmまたはそれ未満、(iii)4mmまたはそれ未満、(iv)3.5mmまたはそれ未満、(v)3mmまたはそれ未満、(vi)2.5mmまたはそれ未満、(vii)2mmまたはそれ未満、(viii)1.5mmまたはそれ未満、(ix)1mmまたはそれ未満、(x)0.8mmまたはそれ未満、(xi)0.6mmまたはそれ未満、(xii)0.4mmまたはそれ未満、(xiii)0.2mmまたはそれ未満、(xiv)0.1mmまたはそれ未満、および(xv)0.25mmまたはそれ未満からなる群から選択される距離だけ互いに間隔をおいて配置される、請求項51〜54のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項56】
前記プレートまたはメッシュ電極は、ACまたはRF電圧が供給される、請求項51〜55のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項57】
隣接するプレートまたはメッシュ電極は、前記ACまたはRF電圧の互いに逆の位相が供給される、請求項56に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項58】
前記ACまたはRF電圧は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有する、請求項56または57に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項59】
前記ACまたはRF電圧の振幅は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される、請求項56、57または58に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項60】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記イオンガイドまたはイオントラップの第1側に配置される第1の外側プレート電極と、前記イオンガイドまたはイオントラップの第2側に配置される第2の外側プレート電極とをさらに備える、請求項51〜59のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項61】
前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極を、ACまたはRF電圧が印加される前記プレートまたはメッシュ電極の平均電圧に対して、バイアスDC電圧にバイアスするバイアス手段をさらに備える、請求項60に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項62】
前記バイアス手段は、前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極を、(i)<−10V、(ii)−9〜−8V、(iii)−8〜−7V、(iv)−7〜−6V、(v)−6〜−5V、(vi)−5〜−4V、(vii)−4〜−3V、(viii)−3〜−2V、(ix)−2〜−1V、(x)−1〜0V、(xi)0〜1V、(xii)1〜2V、(xiii)2〜3V、(xiv)3〜4V、(xv)4〜5V、(xvi)5〜6V、(xvii)6〜7V、(xviii)7〜8V、(xix)8〜9V、(xx)9〜10V、および(xxi)>10Vからなる群から選択される電圧にバイアスするように構成および適合される、請求項61に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項63】
前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極は、使用時に、DCのみの電圧が供給される、請求項60、61または62に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項64】
前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極は、使用時に、ACまたはRFのみの電圧が供給される、請求項60に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項65】
前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極は、使用時に、DCおよびACまたはRF電圧が供給される、請求項60、61または62のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項66】
前記複数のプレートまたはメッシュ電極の間に散在、配置、交互配置または配列される1つ以上の絶縁体層をさらに備える、請求項51〜65のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項67】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、実質的に曲線状または非直線状のイオンガイドまたはイオントラップ領域を備える、請求項51〜66のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項68】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、複数の軸方向セグメントを備える、請求項51〜67のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項69】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100の軸方向セグメントを備える、請求項68に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項70】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、実質的に円形状、楕円状、正方形状、長方形状、規則的または不規則的断面を有する、請求項51〜69のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項71】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記イオンガイド領域に沿って大きさおよび/または形状および/または幅および/または高さおよび/または長さが変化するイオンガイド領域を有する、請求項51〜70のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項72】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または>10の電極を備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項73】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも(i)10〜20の電極、(ii)20〜30の電極、(iii)30〜40の電極、(iv)40〜50の電極、(v)50〜60の電極、(vi)60〜70の電極、(vii)70〜80の電極、(viii)80〜90の電極、(ix)90〜100の電極、(x)100〜110の電極、(xi)110〜120の電極、(xii)120〜130の電極、(xiii)130〜140の電極、(xiv)140〜150の電極、または(xv)>150の電極を備える、請求項1〜71のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項74】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される長さを有する、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項75】
動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップを、(i)<1.0×10-1mbar、(ii)<1.0×10-2mbar、(iii)<1.0×10-3mbar、(iv)<1.0×10-4mbar、(v)<1.0×10-5mbar、(vi)<1.0×10-6mbar、(vii)<1.0×10-7mbar、(viii)<1.0×10-8mbar、(ix)<1.0×10-9mbar、(x)<1.0×10-10mbar、(xi)<1.0×10-11mbar、および(xii)<1.0×10-12mbarからなる群から選択される圧力に維持するように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項76】
動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップを、(i)>1.0×10-3mbar、(ii)>1.0×10-2mbar、(iii)>1.0×10-1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)>5.0×10-3mbar、(viii)>5.0×10-2mbar、(ix)10-3〜10-2mbar、および(x)10-4〜10-1mbarからなる群から選択される圧力に維持するように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項77】
動作モードにおいて、イオンは、前記イオンガイドまたはイオントラップ内において、トラップされるが、実質的にフラグメンテーションされない、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項78】
動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項79】
前記イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される手段は、イオンが前記イオンガイドまたはイオントラップから排出される前および/または後にイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成される、請求項78に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項80】
前記イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成および適合されるフラグメンテーション手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項81】
前記フラグメンテーション手段は、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成および適合される、請求項80に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項82】
前記フラグメンテーション手段は、表面誘起解離(「SID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成および適合される、請求項80または81に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項83】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップから共鳴により、および/または質量選択的に排出するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項84】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップからイオン軸方向および/または半径方向に排出するように構成および適合される、請求項83に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項85】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記第2の動作モードにおいて、質量選択的不安定性によってイオンを排出するために、前記電極に印加されるACまたはRF電圧の周波数および/または振幅を調節するように構成および適合される、請求項83または84に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項86】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記第2の動作モードにおいて、イオンを共鳴による排出によって排出するために、ACまたはRF補助波形または電圧を前記複数の電極に重ね合わせるように構成および適合される、請求項83、84または85のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項87】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記第2の動作モードにおいて、イオンを排出するために、DCバイアス電圧を前記複数の電極に印加するように構成および適合される、請求項83〜86のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項88】
さらなる動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップは、イオンが質量選択的におよび/または共鳴によらずに前記イオンガイドまたはイオントラップから排出されることなく、前記イオンを移送するか、または前記イオンを格納するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項89】
さらなる動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップは、イオンを質量フィルタリングまたは質量分析するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項90】
さらなる動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップは、イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップから質量選択的におよび/または共鳴によらずに排出することなく、衝突またはフラグメンテーションセルとして作用するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項91】
動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップ内で、前記イオンガイドまたはイオントラップの入射口および/または中心および/または出射口に最も近い1つ以上の位置にイオンを格納またはトラップするように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項92】
動作モードにおいてイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップ内にトラップし、前記イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップの入射口および/または中心および/または出射口に向かって漸進的に移動させるように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項93】
1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形を最初に第1の軸方向位置において前記電極に印加し、前記1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形は、次いでその後に前記イオンガイドまたはイオントラップに沿って第2、次いで第3の異なる軸方向位置に与えられるように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項94】
イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形を前記イオンガイドまたはイオントラップの一端から前記イオンガイドまたはイオントラップの別の端部へ印加、移動または平行移動するように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項95】
前記1つ以上の過渡DC電圧は、(i)ポテンシャルの山または障壁、(ii)ポテンシャル井戸、(iii)多重極ポテンシャルの山または障壁、(iv)多重極ポテンシャル井戸、(v)ポテンシャル山または障壁およびポテンシャル井戸の組み合わせ、または(vi)多重極ポテンシャル山または障壁および多重極ポテンシャル井戸の組み合わせを生成する、請求項93または94に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項96】
前記1つ以上の過渡DC電圧波形は、繰り返し波形または正方形状波を備える、請求項93、94または95に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項97】
1つ以上のトラップ静電またはDCポテンシャルを前記イオンガイドまたはイオントラップの第1の端部および/または第2の端部において印加するように構成される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項98】
1つ以上のトラップ静電ポテンシャルを前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さに沿って印加するように構成される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項99】
先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップを備える質量分析計。
【請求項100】
(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源をさらに備える、請求項99に記載の質量分析計。
【請求項101】
連続またはパルス化イオン源をさらに備える、請求項99または100に記載の質量分析計。
【請求項102】
前記イオンガイドまたはイオントラップの上流および/または下流に配置される1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップをさらに備える、請求項99、100または101のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項103】
前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップは、前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される、請求項102に記載の質量分析計。
【請求項104】
前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップは、イオンが前記イオンガイドまたはイオントラップへ導入される前および/または後に前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される、請求項103に記載の質量分析計。
【請求項105】
イオンを前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップから前記イオンガイドまたはイオントラップ内へ導入、軸方向に注入または排出、半径方向に注入または排出、移送またはパルス化するように構成および適合される手段をさらに備える、請求項102、103または104に記載の質量分析計。
【請求項106】
イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップ内へ導入、軸方向に注入または排出、半径方向に注入または排出、移送またはパルス化するように構成および適合される手段をさらに備える、請求項102〜105のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項107】
前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成および適合される手段をさらに備える、請求項102〜106のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項108】
前記イオンガイドまたはイオントラップの上流および/または下流に配置される1つ以上のイオン検出器をさらに備える、請求項100〜107のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項109】
前記イオンガイドまたはイオントラップの下流および/または上流に配置される質量分析器をさらに備える、請求項100〜108のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項110】
前記質量分析器は、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速度飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速度飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(viii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電フーリエ変換質量分析計、および(xiii)四重極質量分析器からなる群から選択される、請求項109に記載の質量分析計。
【請求項111】
複数の電極を備えるイオントラップまたはイオンガイドを準備するステップと、
少なくともいくつかのイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を前記複数の電極のうちの少なくともいくつかに印加するステップと、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するステップであって、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、ステップと、
前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるステップと、
少なくともいくつかのイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域から実質的に共鳴によらずに排出し、同時に他のイオンは前記イオンガイドまたはイオントラップの前記トラップ領域域内に実質的にトラップされたままになるように構成されるステップと
を含むイオンをガイドまたはトラップする方法。
【請求項112】
請求項111に記載の方法を含む質量分析の方法。
【請求項113】
複数の電極と、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するように構成および適合される第1の手段であって、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、第1の手段と、
前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるように構成および適合される変調手段と
を備えるイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項114】
複数の電極を備えるイオントラップまたはイオンガイドを準備するステップと、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するステップであって、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、ステップと、
前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるステップと
を含むイオンをガイドまたはトラップする方法。
【請求項115】
イオンをイオンガイドまたはイオントラップから実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出し、同時に他のイオンは、前記イオンガイドまたはイオントラップ内にトラップされたままであるように構成および適合される手段を備える直線イオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項116】
イオンをイオンガイドまたはイオントラップから実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出し、同時に他のイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップ内にトラップするステップを含む、イオンをガイドまたはトラップする方法。
【請求項1】
複数の電極と、
少なくともいくつかのイオンをイオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を前記複数の電極のうちの少なくともいくつかに印加するように構成および適合されるACまたはRF電圧手段と、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するように構成および適合される第1の手段であって、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、第1の手段と、
前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるように構成および適合される変調手段と、
前記第1の動作モードにおいて、少なくともいくつかのイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域から実質的に共鳴によらずに排出し、同時に他のイオンは前記イオンガイドまたはイオントラップの前記トラップ領域域内に実質的にトラップされたままになるように構成されるように構成および適合される排出手段と
を備えるイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項2】
前記ACまたはRF電圧手段は、ACまたはRF電圧を前記複数の電極の少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に印加するように構成および適合される、請求項1に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項3】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を供給するように構成および適合される、請求項1または2に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項4】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を供給するように構成および適合される、請求項1、2または3に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項5】
前記第1の手段は、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または>10の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項6】
前記第1の手段は、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に沿って1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項7】
前記第1の手段は、(i)<10V、(ii)10〜20V、(iii)20〜30V、(iv)30〜40V、(v)40〜50V、(vi)50〜60V、(vii)60〜70V、(viii)70〜80V、(ix)80〜90V、(x)90〜100V、および(xi)>100Vからなる群から選択される深さを有する1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項8】
前記第1の手段は、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さに沿って第1の時間における第1の位置に位置する最小を有する1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を維持するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項9】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、イオン入射口およびイオン出射口を有し、前記第1の位置は、前記イオン入射口から下流に距離Lの位置にあり、かつ/または前記イオン出射口から上流に距離Lの位置にあり、Lは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される、請求項8に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項10】
前記第1の手段は、1つ以上のDC電圧を前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に供給するための1つ以上のDC電圧源を備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項11】
前記第1の手段は、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を提供するように構成および適合され、軸方向ポテンシャルがポテンシャル井戸の最小または中心からの距離または変位の二乗として実質的に増加する、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項12】
前記変調手段は、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に沿って変調または振動させるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項13】
前記変調手段は、1つ以上のDC電圧を前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%に供給するための1つ以上のDC電圧源を備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項14】
前記変調手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小を実質的に周期的および/または規則的に変調または振動させるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項15】
前記変調手段は、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を第1の周波数f1を用いて、または第1の周波数f1において変調または振動させるように構成および適合され、f1は、(i)<5kHz、(ii)5〜10kHz、(iii)10〜15kHz、(iv)15〜20kHz、(v)20〜25kHz、(vi)25〜30kHz、(vii)30〜35kHz、(viii)35〜40kHz、(ix)40〜45kHz、(x)45〜50kHz、(xi)50〜55kHz、(xii)55〜60kHz、(xiii)60〜65kHz、(xiv)65〜70kHz、(xv)70〜75kHz、(xvi)75〜80kHz、(xvii)80〜85kHz、(xviii)85〜90kHz、(xix)90〜95kHz、(xx)95〜100kHz、および(xxi)>100kHzからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項16】
前記変調手段は、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小を第1の周波数f1を用いて、または第1の周波数f1において変調または振動させるように構成および適合され、前記第1の周波数f1は、前記イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内に位置するイオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の共鳴または基本振動数よりも大きい、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項17】
前記第1の周波数f1は、前記イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内に位置するイオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の共鳴または基本振動数よりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%だけ大きい、請求項16に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項18】
前記変調手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小を実質的に一定の周波数または実質的に一定でない周波数のいずれか一方において変調または振動させるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項19】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を変更および/または変化および/またはスキャンするように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項20】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を増加するように構成および適合される、請求項19に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項21】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の振幅を時間とともに実質的に直線的に増加するように構成および適合される、請求項20に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項22】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を変更および/または変化および/またはスキャンするように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項23】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を低減するように構成および適合される、請求項22に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項24】
前記排出手段は、前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の二次ポテンシャル井戸の最小の位置の変調または振動の周波数を時間とともに実質的に直線的に低減するように構成および適合される、請求項23に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項25】
前記排出手段は、イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップから質量選択的に排出するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項26】
前記排出手段は、前記第1の動作モードにおいて、第1の質量電荷比カットオフより低い質量電荷比を有する実質的にすべてのイオンが前記イオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域から排出されるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項27】
前記排出手段は、前記第1の動作モードにおいて、第1の質量電荷比カットオフより高い質量電荷比を有する実質的にすべてのイオンが前記イオンガイドまたはイオントラップのイオントラップ領域内に残るか、貯留されるか、または閉じ込められるように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項28】
前記第1の質量電荷比カットオフは、(i)<100、(ii)100〜200、(iii)200〜300、(iv)300〜400、(v)400〜500、(vi)500〜600、(vii)600〜700、(viii)700〜800、(ix)800〜900、(x)900〜1000、(xi)1000〜1100、(xii)1100〜1200、(xiii)1200〜1300、(xiv)1300〜1400、(xv)1400〜1500、(xvi)1500〜1600、(xvii)1600〜1700、(xviii)1700〜1800、(xix)1800〜1900、(xx)1900〜2000、および(xxi)>2000からなる群から選択される範囲にある、請求項26または27に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項29】
前記排出手段は、前記第1の質量電荷比カットオフを増加するように構成および適合される、請求項26、27または28に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項30】
前記排出手段は、前記第1の質量電荷比カットオフを実質的に連続的および/または直線的および/または漸進的および/または規則的に増加するように構成および適合される、請求項29に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項31】
前記排出手段は、前記第1の質量電荷比カットオフを実質的に不連続的および/または非直線的および/または非漸進的および/または不規則的に増加するように構成および適合される、請求項29に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項32】
前記排出手段は、前記第1の動作モードにおいて、イオンを実質的に軸方向に前記イオンガイドまたはイオントラップから排出するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項33】
イオンは、前記イオンガイドまたはイオントラップ内のイオントラップ領域内にトラップされるか、または軸方向に閉じ込められるように構成され、前記イオントラップ領域は長さlを有し、lは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項34】
前記イオントラップまたはイオンガイドは、直線イオントラップまたはイオンガイドを備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項35】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、多重極ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップを備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項36】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、四重極、六重極、八重極またはより高次の多重極ロッドセットを備える、請求項35に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項37】
前記複数の電極は、(i)おおよそまたは実質的に円形状、(ii)おおよそまたは実質的に双曲状、(iii)おおよそまたは実質的に円弧状または部分円形状、および(iv)おおよそまたは実質的に長方形状または正方形状からなる群から選択される断面を有する、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項38】
前記多重極ロッドセットイオンガイドまたはイオントラップによって描かれる半径は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される、請求項35、36または37のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項39】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、軸方向にセグメント化されるか、または複数の軸方向セグメントを備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項40】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、xの軸方向セグメントを備え、xは、(i)<10、(ii)10〜20、(iii)20〜30、(iv)30〜40、(v)40〜50、(vi)50〜60、(vii)60〜70、(viii)70〜80、(ix)80〜90、(x)90〜100、および(xi)>100からなる群から選択される、請求項39に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項41】
各軸方向セグメントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20の電極を備える、請求項39または40に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項42】
前記軸方向セグメントのうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の軸方向長さは、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される、請求項39、40または41に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項43】
前記軸方向セグメントのうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の間隔は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、および(xi)>10mmからなる群から選択される、請求項39〜42のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項44】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、複数の非伝導性、絶縁性またはセラミックのロッド、突起またはデバイスを備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項45】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20のロッド、突起またはデバイスを備える、請求項44に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項46】
前記複数の非伝導性、絶縁性またはセラミックのロッド、突起またはデバイスは、前記ロッド、突起またはデバイスの上、周辺、隣、上方または近傍に配置される1つ以上の抵抗性または伝導性のコーティング、層、電極、フィルムまたは表面をさらに備える、請求項44または45に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項47】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、開口を有する複数の電極を備え、イオンは、使用時に、前記開口を通って移送される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項48】
前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、実質的に同じ大きさであるか、または実質的に同じ面積である開口を有する、請求項47に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項49】
前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、前記イオンガイドまたはイオントラップの軸に沿った方向に、大きさまたは面積が漸進的により大きくなるかおよび/またはより小さくなる開口を有する、請求項47に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項50】
前記電極のうちの少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する開口を有する、請求項47、48または49に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項51】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、複数のプレートまたはメッシュ電極を備え、前記電極のうちの少なくともいくつかは、使用時にイオンが走行する平面内に概して配置される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項52】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、複数のプレートまたはメッシュ電極を備え、前記電極のうちの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが走行する平面内に概して配置される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項53】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または>20のプレートまたはメッシュ電極を備える、請求項51または52に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項54】
前記プレートまたはメッシュ電極は、(i)5mmまたはそれ未満、(ii)4.5mmまたはそれ未満、(iii)4mmまたはそれ未満、(iv)3.5mmまたはそれ未満、(v)3mmまたはそれ未満、(vi)2.5mmまたはそれ未満、(vii)2mmまたはそれ未満、(viii)1.5mmまたはそれ未満、(ix)1mmまたはそれ未満、(x)0.8mmまたはそれ未満、(xi)0.6mmまたはそれ未満、(xii)0.4mmまたはそれ未満、(xiii)0.2mmまたはそれ未満、(xiv)0.1mmまたはそれ未満、および(xv)0.25mmまたはそれ未満からなる群から選択される厚さを有する、請求項51、52または53のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項55】
前記プレートまたはメッシュ電極は、(i)5mmまたはそれ未満、(ii)4.5mmまたはそれ未満、(iii)4mmまたはそれ未満、(iv)3.5mmまたはそれ未満、(v)3mmまたはそれ未満、(vi)2.5mmまたはそれ未満、(vii)2mmまたはそれ未満、(viii)1.5mmまたはそれ未満、(ix)1mmまたはそれ未満、(x)0.8mmまたはそれ未満、(xi)0.6mmまたはそれ未満、(xii)0.4mmまたはそれ未満、(xiii)0.2mmまたはそれ未満、(xiv)0.1mmまたはそれ未満、および(xv)0.25mmまたはそれ未満からなる群から選択される距離だけ互いに間隔をおいて配置される、請求項51〜54のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項56】
前記プレートまたはメッシュ電極は、ACまたはRF電圧が供給される、請求項51〜55のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項57】
隣接するプレートまたはメッシュ電極は、前記ACまたはRF電圧の互いに逆の位相が供給される、請求項56に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項58】
前記ACまたはRF電圧は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有する、請求項56または57に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項59】
前記ACまたはRF電圧の振幅は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される、請求項56、57または58に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項60】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記イオンガイドまたはイオントラップの第1側に配置される第1の外側プレート電極と、前記イオンガイドまたはイオントラップの第2側に配置される第2の外側プレート電極とをさらに備える、請求項51〜59のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項61】
前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極を、ACまたはRF電圧が印加される前記プレートまたはメッシュ電極の平均電圧に対して、バイアスDC電圧にバイアスするバイアス手段をさらに備える、請求項60に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項62】
前記バイアス手段は、前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極を、(i)<−10V、(ii)−9〜−8V、(iii)−8〜−7V、(iv)−7〜−6V、(v)−6〜−5V、(vi)−5〜−4V、(vii)−4〜−3V、(viii)−3〜−2V、(ix)−2〜−1V、(x)−1〜0V、(xi)0〜1V、(xii)1〜2V、(xiii)2〜3V、(xiv)3〜4V、(xv)4〜5V、(xvi)5〜6V、(xvii)6〜7V、(xviii)7〜8V、(xix)8〜9V、(xx)9〜10V、および(xxi)>10Vからなる群から選択される電圧にバイアスするように構成および適合される、請求項61に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項63】
前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極は、使用時に、DCのみの電圧が供給される、請求項60、61または62に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項64】
前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極は、使用時に、ACまたはRFのみの電圧が供給される、請求項60に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項65】
前記第1の外側プレート電極および/または前記第2の外側プレート電極は、使用時に、DCおよびACまたはRF電圧が供給される、請求項60、61または62のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項66】
前記複数のプレートまたはメッシュ電極の間に散在、配置、交互配置または配列される1つ以上の絶縁体層をさらに備える、請求項51〜65のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項67】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、実質的に曲線状または非直線状のイオンガイドまたはイオントラップ領域を備える、請求項51〜66のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項68】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、複数の軸方向セグメントを備える、請求項51〜67のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項69】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100の軸方向セグメントを備える、請求項68に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項70】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、実質的に円形状、楕円状、正方形状、長方形状、規則的または不規則的断面を有する、請求項51〜69のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項71】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記イオンガイド領域に沿って大きさおよび/または形状および/または幅および/または高さおよび/または長さが変化するイオンガイド領域を有する、請求項51〜70のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項72】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または>10の電極を備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項73】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、少なくとも(i)10〜20の電極、(ii)20〜30の電極、(iii)30〜40の電極、(iv)40〜50の電極、(v)50〜60の電極、(vi)60〜70の電極、(vii)70〜80の電極、(viii)80〜90の電極、(ix)90〜100の電極、(x)100〜110の電極、(xi)110〜120の電極、(xii)120〜130の電極、(xiii)130〜140の電極、(xiv)140〜150の電極、または(xv)>150の電極を備える、請求項1〜71のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項74】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、および(xi)>200mmからなる群から選択される長さを有する、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項75】
動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップを、(i)<1.0×10-1mbar、(ii)<1.0×10-2mbar、(iii)<1.0×10-3mbar、(iv)<1.0×10-4mbar、(v)<1.0×10-5mbar、(vi)<1.0×10-6mbar、(vii)<1.0×10-7mbar、(viii)<1.0×10-8mbar、(ix)<1.0×10-9mbar、(x)<1.0×10-10mbar、(xi)<1.0×10-11mbar、および(xii)<1.0×10-12mbarからなる群から選択される圧力に維持するように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項76】
動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップを、(i)>1.0×10-3mbar、(ii)>1.0×10-2mbar、(iii)>1.0×10-1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)>5.0×10-3mbar、(viii)>5.0×10-2mbar、(ix)10-3〜10-2mbar、および(x)10-4〜10-1mbarからなる群から選択される圧力に維持するように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項77】
動作モードにおいて、イオンは、前記イオンガイドまたはイオントラップ内において、トラップされるが、実質的にフラグメンテーションされない、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項78】
動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項79】
前記イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される手段は、イオンが前記イオンガイドまたはイオントラップから排出される前および/または後にイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成される、請求項78に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項80】
前記イオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成および適合されるフラグメンテーション手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項81】
前記フラグメンテーション手段は、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成および適合される、請求項80に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項82】
前記フラグメンテーション手段は、表面誘起解離(「SID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成および適合される、請求項80または81に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項83】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップから共鳴により、および/または質量選択的に排出するように構成および適合される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項84】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、第2の動作モードにおいて、イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップからイオン軸方向および/または半径方向に排出するように構成および適合される、請求項83に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項85】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記第2の動作モードにおいて、質量選択的不安定性によってイオンを排出するために、前記電極に印加されるACまたはRF電圧の周波数および/または振幅を調節するように構成および適合される、請求項83または84に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項86】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記第2の動作モードにおいて、イオンを共鳴による排出によって排出するために、ACまたはRF補助波形または電圧を前記複数の電極に重ね合わせるように構成および適合される、請求項83、84または85のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項87】
前記イオンガイドまたはイオントラップは、前記第2の動作モードにおいて、イオンを排出するために、DCバイアス電圧を前記複数の電極に印加するように構成および適合される、請求項83〜86のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項88】
さらなる動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップは、イオンが質量選択的におよび/または共鳴によらずに前記イオンガイドまたはイオントラップから排出されることなく、前記イオンを移送するか、または前記イオンを格納するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項89】
さらなる動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップは、イオンを質量フィルタリングまたは質量分析するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項90】
さらなる動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップは、イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップから質量選択的におよび/または共鳴によらずに排出することなく、衝突またはフラグメンテーションセルとして作用するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項91】
動作モードにおいて、前記イオンガイドまたはイオントラップ内で、前記イオンガイドまたはイオントラップの入射口および/または中心および/または出射口に最も近い1つ以上の位置にイオンを格納またはトラップするように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項92】
動作モードにおいてイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップ内にトラップし、前記イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップの入射口および/または中心および/または出射口に向かって漸進的に移動させるように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項93】
1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形を最初に第1の軸方向位置において前記電極に印加し、前記1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形は、次いでその後に前記イオンガイドまたはイオントラップに沿って第2、次いで第3の異なる軸方向位置に与えられるように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項94】
イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形を前記イオンガイドまたはイオントラップの一端から前記イオンガイドまたはイオントラップの別の端部へ印加、移動または平行移動するように構成および適合される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項95】
前記1つ以上の過渡DC電圧は、(i)ポテンシャルの山または障壁、(ii)ポテンシャル井戸、(iii)多重極ポテンシャルの山または障壁、(iv)多重極ポテンシャル井戸、(v)ポテンシャル山または障壁およびポテンシャル井戸の組み合わせ、または(vi)多重極ポテンシャル山または障壁および多重極ポテンシャル井戸の組み合わせを生成する、請求項93または94に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項96】
前記1つ以上の過渡DC電圧波形は、繰り返し波形または正方形状波を備える、請求項93、94または95に記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項97】
1つ以上のトラップ静電またはDCポテンシャルを前記イオンガイドまたはイオントラップの第1の端部および/または第2の端部において印加するように構成される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項98】
1つ以上のトラップ静電ポテンシャルを前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さに沿って印加するように構成される手段をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項99】
先行する請求項のいずれかに記載のイオンガイドまたはイオントラップを備える質量分析計。
【請求項100】
(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源をさらに備える、請求項99に記載の質量分析計。
【請求項101】
連続またはパルス化イオン源をさらに備える、請求項99または100に記載の質量分析計。
【請求項102】
前記イオンガイドまたはイオントラップの上流および/または下流に配置される1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップをさらに備える、請求項99、100または101のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項103】
前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップは、前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される、請求項102に記載の質量分析計。
【請求項104】
前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップは、イオンが前記イオンガイドまたはイオントラップへ導入される前および/または後に前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを衝突冷却または実質的に熱化するように構成および適合される、請求項103に記載の質量分析計。
【請求項105】
イオンを前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップから前記イオンガイドまたはイオントラップ内へ導入、軸方向に注入または排出、半径方向に注入または排出、移送またはパルス化するように構成および適合される手段をさらに備える、請求項102、103または104に記載の質量分析計。
【請求項106】
イオンを前記イオンガイドまたはイオントラップ内へ導入、軸方向に注入または排出、半径方向に注入または排出、移送またはパルス化するように構成および適合される手段をさらに備える、請求項102〜105のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項107】
前記1つ以上のさらなるイオンガイドまたはイオントラップ内においてイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成および適合される手段をさらに備える、請求項102〜106のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項108】
前記イオンガイドまたはイオントラップの上流および/または下流に配置される1つ以上のイオン検出器をさらに備える、請求項100〜107のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項109】
前記イオンガイドまたはイオントラップの下流および/または上流に配置される質量分析器をさらに備える、請求項100〜108のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項110】
前記質量分析器は、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速度飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速度飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(viii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電フーリエ変換質量分析計、および(xiii)四重極質量分析器からなる群から選択される、請求項109に記載の質量分析計。
【請求項111】
複数の電極を備えるイオントラップまたはイオンガイドを準備するステップと、
少なくともいくつかのイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を前記複数の電極のうちの少なくともいくつかに印加するステップと、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するステップであって、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、ステップと、
前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるステップと、
少なくともいくつかのイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップのトラップ領域から実質的に共鳴によらずに排出し、同時に他のイオンは前記イオンガイドまたはイオントラップの前記トラップ領域域内に実質的にトラップされたままになるように構成されるステップと
を含むイオンをガイドまたはトラップする方法。
【請求項112】
請求項111に記載の方法を含む質量分析の方法。
【請求項113】
複数の電極と、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸をイオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するように構成および適合される第1の手段であって、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、第1の手段と、
前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるように構成および適合される変調手段と
を備えるイオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項114】
複数の電極を備えるイオントラップまたはイオンガイドを準備するステップと、
第1の動作モードにおいて、1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って維持するステップであって、前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸は最小を有する、ステップと、
前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の位置および/または前記1つ以上の実質的に二次のポテンシャル井戸の最小の位置を前記イオンガイドまたはイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って変調または振動させるステップと
を含むイオンをガイドまたはトラップする方法。
【請求項115】
イオンをイオンガイドまたはイオントラップから実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出し、同時に他のイオンは、前記イオンガイドまたはイオントラップ内にトラップされたままであるように構成および適合される手段を備える直線イオンガイドまたはイオントラップ。
【請求項116】
イオンをイオンガイドまたはイオントラップから実質的に共鳴によらずに質量選択的に排出し、同時に他のイオンを前記イオンガイドまたはイオントラップ内にトラップするステップを含む、イオンをガイドまたはトラップする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−527664(P2008−527664A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550854(P2007−550854)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000155
【国際公開番号】WO2006/075189
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000155
【国際公開番号】WO2006/075189
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】
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