赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置及び赤外線センサーレンズとLEDレンズとの一体化方法
【課題】
本発明の根本的な目的は赤外線のレンズとLEDのレンズを一体・共有化させ、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを提供すること。
【解決手段】
赤外線近接センサー1において、前記赤外線近接センサー1の共振ポイント部と、前記共振ポイント部のピーク値検出する検出部1bと、ピーク値に一定の抵抗値をかける抵抗部1dと、光の全波長を通過減衰するフィルター8とを具備することを特徴とする。
本発明の根本的な目的は赤外線のレンズとLEDのレンズを一体・共有化させ、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを提供すること。
【解決手段】
赤外線近接センサー1において、前記赤外線近接センサー1の共振ポイント部と、前記共振ポイント部のピーク値検出する検出部1bと、ピーク値に一定の抵抗値をかける抵抗部1dと、光の全波長を通過減衰するフィルター8とを具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば、赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置及び赤外線センサーレンズとLEDレンズとの一体化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば便器の人体検知センサーレンズのように、通常、赤外線リモコン及び赤外線を使用する検知部のレンズには波長フィルター特性を持たせたフィルター材(パラフィルター(登録商標)等)を常識的に使用する。赤外線センサーのレンズとLEDレンズは別々であり、別々に発注され製造されているのが一般的である。
【0003】
従来では、赤外線センサのレンズに一般のLEDレンズは共有化できないというのが当業者の一般的な見解であった。この原因の一として、蛍光灯や太陽光などのセンサー窓に近接する光が赤外線センサーに誤作動を起こさせるという問題が知られていた。その解決手段として、次の三つの文献に開示される技術思想が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−112792号公報
【特許文献2】特開平6−251616号公報
【特許文献3】特開昭57−25738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2、特許文献3に提案されている干渉膜フィルターによって光ノイズを除去する方法は、半導体受光装置と干渉膜フィルターとの間に隙間が生じてしまい、蛍光灯からの光ノイズが回り込んでしまう場合があった。また、組立工程が複雑であるといった問題もあった。こういった問題を解消し、光ノイズが簡単に除去できる半導体受光素子及び半導体受光装置として特許文献1が提供された。しかしながら特許文献1に開示される技術思想では、蛍光灯の点灯直後のおよそ910nmと、点灯中の1013nmの光を遮断するのみであり、蛍光灯以外の光源、たとえばLEDが光源の場合には、波長の値は変わるものの、赤外線近接センサーに誤作動を起こすことには変わりはない。
【0006】
また特許文献1、2、3のいずれにおいても、上記の問題点を適切に解決し得ないため、赤外線近接センサーとLEDのレンズを一体的にした、共有化するというような思想は今のところ皆無である。前述のように、赤外線近接センサーとLEDレンズを一体・共有化させると、可視光がそのフィルター(レンズ)を通過しなければならない。したがってフィルター(レンズ)の外から近接の光が全て入射するため、そのような近接光・環境光に赤外線近接センサーが反応し、誤作動を起こすという問題が生じるのである。
【0007】
そもそも、蛍光灯や太陽光などの近接光・環境光が、赤外線近接センサーに誤作動を起こさせるメカニズムは、蛍光灯や太陽光が発する光の波長が、赤外線の波長(およそ0.7μm〜0.1mm)に近い場合に、赤外線近接センサーの検知部が、赤外線を受光したと勘違いを起こし、その光を電気信号に変換し、テレビ・オーディオ等が勝手に付くなどの誤作動が起きるものである。
【0008】
本発明は上述の問題点を適切に解決することを企図したもので、その根本的な目的は、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを提供することである。本発明の別の目的は、赤外線のレンズとLEDのレンズとを誤動作なく一体・共有化させる赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置及び赤外線センサーレンズとLEDレンズとの一体化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、赤外線近接センサーにおいて、前記赤外線近接センサーの共振ポイント部と、前記共振ポイント部のピーク値を検出する検出部と、前記ピーク部に一定の抵抗値をかける抵抗部と、光の全波長を通過減衰するフィルター(レンズ)とを具備して構成される。
【0010】
本発明はセンサー窓周辺の近接光から赤外線近接センサーの誤作動を防止する方法として、センサーに存在する共振ポイントのピークを見つけ出し、そのポイントに後述する一定の抵抗値をかけるものである。このセンサーが反応する独自の共振ポイントをカットアンドトライで見つけ出し、ほぼ100%の確率で誤作動を防止させることに成功した。その結果、赤外線センサーとLEDを一つの基盤の上に乗せて、共通のレンズを使用することを実現可能とするものである。
【0011】
赤外線近接センサーを制御する回路における電気抵抗定数範囲は330Ω〜約3kΩ、センシング距離(対象物から赤外線近接センサーまでの距離)は約20mm〜40mmで行うとセンサーの感度は最も良い。
【0012】
また上記定数範囲外であって、赤外線近接センサーの誤作動を防止する電気抵抗定数範囲があれば、抵抗定数範囲は330Ω〜約3kΩに限定されない。即ち、フィルター(レンズ)にパラペット(登録商標:株式会社クラレ製)を使用する場合には39kΩ〜約51kΩの定数範囲が好適である。
【0013】
また上記構成によれば、掛けられる抵抗値が大きいため、赤外線近接センサーの待機時消費電流を36μA以下に抑えることができ、バッテリーへの低負荷が実現できる。
【0014】
また赤外線近接センサーとは、通常・一般的に流通・製造・販売されている、波長がおよそ0.7μm〜0.1mmの赤外線を検知部が受光し、電気信号に変えることで、情報を発信するものである。赤外線センサーは熱型と量子型の二種類に分けられるが、本発明は後者である。一般的に赤外線近接センサーはポリシリコン製であるが、これに限定されるわけではない。
【0015】
量子型の赤外線センサーについては、フォトトランジスタやフォトダイオード(PNフォトダイオード、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、ショットキーフォトダイオードを含む)等の半導体素子が本発明と相性がよい。また前記フォトダイオードは主にシリコン(Si)が使われるが、これに限定されない。即ちシリコン以外の材料ではGaAsP、Ge、InGaAs/InP等にも応用可能である。
【0016】
またLEDとは通常・一般的に流通・製造・販売されている、電流を流すと発光する半導体素子の一種であり、赤外線領域から可視光領域、紫外線領域まで発光するものを含む。
【0017】
電子回路とは、電子素子などを電気伝導体で接続し電流の通り道を作り、目的の動作を行わせる電気回路であり、赤外線近接センサーを制御し、上述の方法によりセンサー窓周辺の近接光による誤作動を防止させる機能を果たす。
【0018】
また通常、赤外線リモコン、及び赤外線を使用する検知レンズには赤外線と赤色を通過する、波長フィルター特性を持たせたフィルター材(パラフィルター等)が常識的に使用される。しかしパラフィルターでは、青色、緑色の可視が厳しい。
【0019】
そこで本発明は、3色のRGB−LEDと赤外線近接センサーを同じ基盤に乗せ、一つの窓でLEDと可視光の通過を可能にする。このようなことを可能にするフィルター材としては、光の全波長を通過減衰させる特徴を持った色つきPET(ポリエチレンテレフタラート)材、色つきアクリル材、色つきポリカーボネート材等によって生成・製造されるものを用いることができる。たとえば、パラペット(登録商標:クラレ社製)、ユーピロンシート(三菱エンジニアプラスチック製)、セプカルシート(信越ポリマー製)、サンテルフィー(サンデルタ製)、ファインライト(登録商標:住友ベークライト製)、サンロイド(登録商標:住友ベークライト製)、ポリカエース(登録商標:住友ベークライト製)を使用することで、本発明の機能を効率よく発揮することができる。
【0020】
また筐体内においては、光は、一般的に乱反射するものであり、さらに白色の筐体は光の乱反射を起こし易い。したがって、上述の一体的に共有するレンズをより確実に固定し、赤外線近接センサー周辺における光の乱反射防止の為に、黒色もしくは黒色に近いグレー色の、樹脂系の両面テープで固定するのが好適である。
【0021】
また、前記両面テープは、静電気対策のため、ゴム系のものを採用して構成しても構わない。
【0022】
さらに、前記筐体を黒色にする場合は、黒色もしくは黒色に近いグレー色の、ゴム系もしくは樹脂系の両面テープは特に必要ない。
【0023】
上記構成を備えることにより、赤外線近接センサーにおいて、蛍光灯や太陽光などの近接光・環境光がセンサー窓より入射すると、フィルター(レンズ)により、波長は通過減衰し、赤外線近接センサーの検知部が作動した場合、検出部は、共振ポイント部のピーク部を検出し、抵抗部はピーク部に一定の抵抗をかけると、赤外線近接センサーの誤作動は防止される。
【0024】
したがって、本発明によれば、赤外線近接センサーのレンズとLEDのレンズとが一体・共有化され、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを実現できる。
【0025】
上記構成において、前記共振ポイント部およびピーク部はカットアンドドライ方式により見つけ出すことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、赤外線近接センサーのレンズとLEDのレンズとが一体・共有化され、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを実現できる。即ち赤外線近接センサーとR(赤)G(緑)B(青)LEDを一つの基盤の上に乗せることが可能であり、複数のLEDを乗せることで、赤外線センサー装置がディスプレイとしての機能を果たすことが実現されうる。また別々に生成・製造されていた赤外線近接センサーレンズと、LEDレンズを分けて発注する必要がなくなりコスト面においても有意義である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとフィルター(レンズ)の機能構造を示す概要図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとLEDが並列された正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るパラフィルターとパラペットにおける光の透過率を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るパラペット通過後のLED光度を表す図である。
【図4A】パラフィルターPF68(色番)通過後のLED光度を表す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るレンズ濃度の高いものを示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態に係るレンズ濃度の低いものを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとフィルター(レンズ)の共有の筐体内の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る制御回路図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るオームの推奨定数を表すグラフ図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る環境光の反射模様を示す図である
【図10】従来の赤外線近接センサーを自動ドアに組み込んだ図である。
【図10A】本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサー及びLED装置を自動ドアに組み込んだ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとフィルター(レンズ)の機能構造を示す概要図である。赤外線近接センサー1は、赤外線やその他の光を受光する検知部1aと、赤外線近接センサー1に存在する共振ポイント部1cと、共振ポイント部1cのピーク値を検出する検出部1bと、ピーク値に一定の抵抗値をかける抵抗部1dと、光の全波長を通過減衰するフィルター(レンズ)8で構成される。なお、同図においては、寸法的な面においては実際を反映していない場合がある。
【0030】
図2は本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとRGB−LEDが並列された態様における正面図である。近接センサー1の右隣にはRGB−LEDが配置される。また、赤外線近接センサー1とRGB−LEDを支持するのは、(同図では図示されない)基盤である。なお、これらの位置関係は特にこれに限定されることはなく、可能な範囲で詰めたり、広げたりすることを妨げない。たとえば、LEDの複数個使用すれば、赤外線近接センサー及びLED装置はフルカラーディスプレイとしても機能する。
【0031】
図3は本発明の一実施形態に係る、パラフィルター(登録商標)とパラペット(登録商標)における光の透過率を示す図である。パラペット(PP)(登録商標)は透過率10%〜53%程度の範囲に収まるグラフ、パラフィルター(PF)(登録商標)は透過率0%〜約90%程度の範囲に収まるグラフで示される。パラペット(登録商標)は、光の全波長を通過減衰させるメタクリル樹脂の成形材料である。またパラフィルター(登録商標)は、株式会社クラレのフィルターグレード製品である。パラペットの波長の透過率は61nm〜670nmでは10%〜50%、670nm以上では50%〜55%で一定である。対して、パラフィルターの波長の透過率は、820nm〜850nmでは10%、850nm〜880nmでは10%〜80%であり、880nmから透過率80%以上の数値を維持する。50%の透過率でも、赤外線近接センサー1は十分に反応する。限界としてのおよそ30%まで赤外線近接センサー1は反応する。しかし、透過率が減少するにつれて、赤外線近接センサー1と対象物までの距離も縮まる。また、同図における数値は、任意に選定する光の全波長を通過減衰させるフィルター材を使用することにより、変化するものであるので、これに限定されない。
【0032】
パラペット(登録商標)に代わるフィルター材としてほかに、色つきPET(ポリエチレンテレフタラート)材、色つきアクリル材、色つきポリカーボネート材では、ユーピロンシート(三菱エンジニアプラスチック)、セプカルシート(信越ポリマー)、サンテルフィー(サンデルタ)、ファインライト(住友ベークライト)、サンロイド(住友ベークライト)、ポリカエース(住友ベークライト)等を用いることができる。
【0033】
図4は本発明の一実施形態に係るフィルター通過後のLED光度を表す図である。パラペット(登録商標)通過後のLED光度を表している。対して、図4Aに示すのは、パラフィルターPF68(色番)(登録商標)通過後のLED光度を表すものである。パラフィルター(登録商標)では材料配分で通過波長を調整しており、赤外線に波長が近い赤が可視可能であるが、青色は可視が困難である。また緑も青色ほどではないが、可視の困難性が見られる。これに対してパラペットでは、図示のとおり、赤、緑、青のいずれのも色も明確に見られることが認められる。
【0034】
図5、5Aは本発明の一実施形態に係るレンズ濃度の高低差を表す図である。図5はレンズ濃度が高いものを示し、図5Aはレンズ濃度が低いものを示す図である。レンズに使用されるフィルター材としては上記の通りである。
【0035】
図6は本発明の一実施形態に係る赤外線センサー1とフィルター(レンズ)8の共有の筐体内の構造を示す断面図である。この筐体内には、赤外線近接センサー1と、光が入出射するセンサー窓6と、前記筐体を覆う外カバー7と、内カバー7Aと、フィルター(レンズ)8と、レンズをカバーする両面テープ9と、メイン基盤10と、スペーサー11と、ネジ12と、アンテナ基盤13と、リードフレーム14とが図示のように組み合わされて具備される。センサー窓6は略8mmの幅を開けられているが、これに限定されるわけではない。また検知軸のセンターと赤外線近接センサー1の寸法上のセンターは約1.2mm開いているが、これに限定されない。また外カバー7、内カバー7A共に白色であり、筐体内における光の乱射防止や熱の吸収をするために、両面テープ9は黒色、もしくは黒色に近い色のものが好まれる。またこの両面テープ9は絶縁体としてゴム系のものが採用されているが、他には樹脂系のものが好まれる。カバーが黒色か濃いグレーならば、黒色両面テープは必要なくなる。また同図ではLEDの表示は省かれている。またコストダウンのためメイン基盤10を省いても構わない。
【0036】
同図は、本発明の一例にすぎないものであるので、筐体内における各部品の位置関係、数量、種類はこれに限定されない。
【0037】
図7は本発明の一実施形態に係る制御回路図である。回路図25のR1とはプルアップ抵抗20である。プルアップ抵抗とは回路を、抵抗器を挿んでVddに接続するときの抵抗器である。赤外線近接センサー1の出力端子に約3.3ボルトの電源電圧に470kΩのプルアップ抵抗を接続したものである。R2は赤外線近接センサーの調整用抵抗20Aである。C12はノイズ吸収用コンデンサ21である。C13もノイズ吸収用コンデンサ21Aであるが、C12は高周波領域を吸収し、C13は低周波領域を吸収する。またA−LEDはアノードLED、GNDはグラウンド、OUTは出力、progはセンサー調整用の端子、Vddは電源電圧であり、その脇にナンバーが振ってあるのは、ピンの配置ナンバーである。
【0038】
330Ω〜約3kΩの各抵抗値における電圧と電流のパラメータを表したものが図8である。縦軸がIdd、つまり単位μAの電流であり、横軸がVdd、電圧である。赤外線近接センサー1が2.4V〜3.6Vまで使用可能な電圧である。330、470、2kはいずれも抵抗値であり、infは限界ポイントである。抵抗値が高くなるほど流れる電流の値は小さくなるので、消費電力を抑えることが可能となる。
【0039】
次に、上記のように構成される本発明の動作について詳しく説明する。
【0040】
図1に示すように、近接光・環境光がフィルター(レンズ)8を通過すると、光の波長は減衰する。減衰した光は検知部1aが受光し、その中でも赤外線近接センサー1の誤作動を起こす共振ポイント部1cのピーク値に抵抗部1dが一定の抵抗をかけて誤作動を防止する。
【0041】
抵抗部1dかける一定の抵抗値は図7に示すとおりである。即ち、まず推奨定数範囲330Ω〜3kΩで使用するのが好まれる。しかしフィルター(レンズ)8の材料としてパラペット(登録商標)4を採用する場合には、39kΩ〜51kΩで使用するのが望ましい。また抵抗値が大きいため、消費電力も小さくなる。具体的には100μA〜30μAまで減少する。またセンシング距離とはもともと赤外線近接センサー1が持つ性能であるが、対象物から赤外線近接センサー1までの距離である。それが20mm〜40mmである。これにカバーやレンズをつけるとセンシング距離は約5mm〜10mmと変化する。Nとはここでは基盤の数をさす。N=10とは即ち、基盤の数が10個ということであり、その数において実験してもほぼ100%の確率で成功する。また気温−20℃〜45度での正常な動作が認められる。
【0042】
図9は本発明の一実施形態に係る赤外線の反射の様子を概念的に示す図である。基盤10に積層されたもののうち、「E」と表示されるものは赤外線の発光ブロック1Aである。「D」と表示されるものが赤外線を受光するブロック1Bである。環境光は赤や橙や黄色の、比較的赤外線に近い波長の近接光であり、本来であれば、この光を受けた受光ブロック1Bは誤作動を起こしてしまうが、本発明の構造だとそれがおこらない。またクロストークとは、受光ブロック1B上に入射した赤外線が、基板10を伝搬していく現象で、その伝搬した熱が、隣接する反対の極性を有する受光ブロック1Bに到達すると、本来の受光ブロック1Bから発生する出力を打ち消す方向に働く現象のことである。
【0043】
図10は本発明の一実施形態に係る従来の赤外線近接センサーを自動ドアに組み込んだ場合の様子を概念的に示す正面図で、図10Aは赤外線近接センサー及びLED装置(図示しない)を自動ドアに組み込んだ場合の様子を概念的に示す正面図である。図10において、利用者から発せられる赤外線を赤外線近接センサー1が感知するが、表示板は赤色を表示するのみである。対して、図10Aにおいては、利用者から発せられる赤外線を赤外線近接センサー1が感知し、その際、RGB−LEDによる多彩な表示方法によって、利用者により分かり易くメッセージを表現することが可能となる。
【0044】
以上説明したように、本発明によれば、赤外線近接センサーのレンズとLEDのレンズが一体・共有化され、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを実現できる。
【0045】
また本発明によれば、赤外線近接センサーとR(赤)G(緑)B(青)LEDを一つの基盤の上に乗せることが可能であり、複数のLEDを乗せることで、赤外線センサー装置がディスプレイとしての機能を果たすことが実現されうる。
【0046】
また本発明によれば、従来別々に生成・製造されていた赤外線近接センサーレンズと、LEDレンズを分けて発注する必要がなくなりコスト面においても有意義である。
【0047】
本願発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、その技術思想の同一及び等価に及ぶ範囲において上述した実施形態への様々な変形、追加、置換、拡大、縮小等を許容するものである。さらに、上述したものは本願に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本願に係る技術思想を適用することが可能である。
【0048】
さらにまた、本発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に搭載されて商品化された場合であっても、本発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上述したように本発明によれば、赤外線近接センサーに使用されるレンズと、LEDに使用されるレンズとの共有化、一体化が実現できる。つまり、たとえば、テレビやパソコンも液晶画面が赤外線近接センサーを備えることで、画面自体が受信機になることが可能となる。特にシンプルなデザインを追及する企業にとって、センサー窓やランプ表示を付加するのか、もしくは付加しないのかは死活問題であるので、非常に需要が高いといえる。これまで別々にされていたものを一つにしたもの、たとえばノートパソコンや、録画機能付きテレビなどが、社会的に与えた影響は計り知れない。つまり、元来別々なものを一つにすることで、さまざまな可能性が広がり、今後、赤外線センサー業界、ディスプレイ業界で本発明がスタンダードになる可能性が高い。
【0050】
したがって、本願は、赤外線センサー業界のみならず、ディスプレイ・モニターを扱うシーンが発生し得る一般家庭を含めたあらゆる場で、或いは携帯音楽プレイヤーに携帯電話を含めたあらゆる機械器具において、さらにはテレビ業界、国・地方自治体レベルでの各種イベントから遠隔地間の企業におけるTV会議の機会や、おもちゃ業界、広告業界、ホテル・観光業界、造船業界、自動車業界等の各種業界で、または宇宙開発プロジェクト等の各プロジェクトにおいてなど、様々な業界・機会で利用可能性が非常に高いものである。
【符号の説明】
【0051】
1 赤外線近接センサー
1a 検知部
1b 検出部
1c 共振ポイント部
1d 抵抗部
1A 発光ブロック
1B 受光ブロック
2 RGB−LED
3 基盤
6 センサー窓
7 筐体を覆う外カバー
7A 内カバー
8 フィルター(レンズ)
9 両面テープ
10 メイン基盤
11 スペーサー
12 ネジ
13 アンテナ基盤
14 リードフレーム
20 プルアップ抵抗
20A 調整用抵抗
21 ノイズ吸収用コンデンサ
21A ノイズ吸収用コンデンサ
25 回路図
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば、赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置及び赤外線センサーレンズとLEDレンズとの一体化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば便器の人体検知センサーレンズのように、通常、赤外線リモコン及び赤外線を使用する検知部のレンズには波長フィルター特性を持たせたフィルター材(パラフィルター(登録商標)等)を常識的に使用する。赤外線センサーのレンズとLEDレンズは別々であり、別々に発注され製造されているのが一般的である。
【0003】
従来では、赤外線センサのレンズに一般のLEDレンズは共有化できないというのが当業者の一般的な見解であった。この原因の一として、蛍光灯や太陽光などのセンサー窓に近接する光が赤外線センサーに誤作動を起こさせるという問題が知られていた。その解決手段として、次の三つの文献に開示される技術思想が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−112792号公報
【特許文献2】特開平6−251616号公報
【特許文献3】特開昭57−25738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2、特許文献3に提案されている干渉膜フィルターによって光ノイズを除去する方法は、半導体受光装置と干渉膜フィルターとの間に隙間が生じてしまい、蛍光灯からの光ノイズが回り込んでしまう場合があった。また、組立工程が複雑であるといった問題もあった。こういった問題を解消し、光ノイズが簡単に除去できる半導体受光素子及び半導体受光装置として特許文献1が提供された。しかしながら特許文献1に開示される技術思想では、蛍光灯の点灯直後のおよそ910nmと、点灯中の1013nmの光を遮断するのみであり、蛍光灯以外の光源、たとえばLEDが光源の場合には、波長の値は変わるものの、赤外線近接センサーに誤作動を起こすことには変わりはない。
【0006】
また特許文献1、2、3のいずれにおいても、上記の問題点を適切に解決し得ないため、赤外線近接センサーとLEDのレンズを一体的にした、共有化するというような思想は今のところ皆無である。前述のように、赤外線近接センサーとLEDレンズを一体・共有化させると、可視光がそのフィルター(レンズ)を通過しなければならない。したがってフィルター(レンズ)の外から近接の光が全て入射するため、そのような近接光・環境光に赤外線近接センサーが反応し、誤作動を起こすという問題が生じるのである。
【0007】
そもそも、蛍光灯や太陽光などの近接光・環境光が、赤外線近接センサーに誤作動を起こさせるメカニズムは、蛍光灯や太陽光が発する光の波長が、赤外線の波長(およそ0.7μm〜0.1mm)に近い場合に、赤外線近接センサーの検知部が、赤外線を受光したと勘違いを起こし、その光を電気信号に変換し、テレビ・オーディオ等が勝手に付くなどの誤作動が起きるものである。
【0008】
本発明は上述の問題点を適切に解決することを企図したもので、その根本的な目的は、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを提供することである。本発明の別の目的は、赤外線のレンズとLEDのレンズとを誤動作なく一体・共有化させる赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置及び赤外線センサーレンズとLEDレンズとの一体化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、赤外線近接センサーにおいて、前記赤外線近接センサーの共振ポイント部と、前記共振ポイント部のピーク値を検出する検出部と、前記ピーク部に一定の抵抗値をかける抵抗部と、光の全波長を通過減衰するフィルター(レンズ)とを具備して構成される。
【0010】
本発明はセンサー窓周辺の近接光から赤外線近接センサーの誤作動を防止する方法として、センサーに存在する共振ポイントのピークを見つけ出し、そのポイントに後述する一定の抵抗値をかけるものである。このセンサーが反応する独自の共振ポイントをカットアンドトライで見つけ出し、ほぼ100%の確率で誤作動を防止させることに成功した。その結果、赤外線センサーとLEDを一つの基盤の上に乗せて、共通のレンズを使用することを実現可能とするものである。
【0011】
赤外線近接センサーを制御する回路における電気抵抗定数範囲は330Ω〜約3kΩ、センシング距離(対象物から赤外線近接センサーまでの距離)は約20mm〜40mmで行うとセンサーの感度は最も良い。
【0012】
また上記定数範囲外であって、赤外線近接センサーの誤作動を防止する電気抵抗定数範囲があれば、抵抗定数範囲は330Ω〜約3kΩに限定されない。即ち、フィルター(レンズ)にパラペット(登録商標:株式会社クラレ製)を使用する場合には39kΩ〜約51kΩの定数範囲が好適である。
【0013】
また上記構成によれば、掛けられる抵抗値が大きいため、赤外線近接センサーの待機時消費電流を36μA以下に抑えることができ、バッテリーへの低負荷が実現できる。
【0014】
また赤外線近接センサーとは、通常・一般的に流通・製造・販売されている、波長がおよそ0.7μm〜0.1mmの赤外線を検知部が受光し、電気信号に変えることで、情報を発信するものである。赤外線センサーは熱型と量子型の二種類に分けられるが、本発明は後者である。一般的に赤外線近接センサーはポリシリコン製であるが、これに限定されるわけではない。
【0015】
量子型の赤外線センサーについては、フォトトランジスタやフォトダイオード(PNフォトダイオード、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、ショットキーフォトダイオードを含む)等の半導体素子が本発明と相性がよい。また前記フォトダイオードは主にシリコン(Si)が使われるが、これに限定されない。即ちシリコン以外の材料ではGaAsP、Ge、InGaAs/InP等にも応用可能である。
【0016】
またLEDとは通常・一般的に流通・製造・販売されている、電流を流すと発光する半導体素子の一種であり、赤外線領域から可視光領域、紫外線領域まで発光するものを含む。
【0017】
電子回路とは、電子素子などを電気伝導体で接続し電流の通り道を作り、目的の動作を行わせる電気回路であり、赤外線近接センサーを制御し、上述の方法によりセンサー窓周辺の近接光による誤作動を防止させる機能を果たす。
【0018】
また通常、赤外線リモコン、及び赤外線を使用する検知レンズには赤外線と赤色を通過する、波長フィルター特性を持たせたフィルター材(パラフィルター等)が常識的に使用される。しかしパラフィルターでは、青色、緑色の可視が厳しい。
【0019】
そこで本発明は、3色のRGB−LEDと赤外線近接センサーを同じ基盤に乗せ、一つの窓でLEDと可視光の通過を可能にする。このようなことを可能にするフィルター材としては、光の全波長を通過減衰させる特徴を持った色つきPET(ポリエチレンテレフタラート)材、色つきアクリル材、色つきポリカーボネート材等によって生成・製造されるものを用いることができる。たとえば、パラペット(登録商標:クラレ社製)、ユーピロンシート(三菱エンジニアプラスチック製)、セプカルシート(信越ポリマー製)、サンテルフィー(サンデルタ製)、ファインライト(登録商標:住友ベークライト製)、サンロイド(登録商標:住友ベークライト製)、ポリカエース(登録商標:住友ベークライト製)を使用することで、本発明の機能を効率よく発揮することができる。
【0020】
また筐体内においては、光は、一般的に乱反射するものであり、さらに白色の筐体は光の乱反射を起こし易い。したがって、上述の一体的に共有するレンズをより確実に固定し、赤外線近接センサー周辺における光の乱反射防止の為に、黒色もしくは黒色に近いグレー色の、樹脂系の両面テープで固定するのが好適である。
【0021】
また、前記両面テープは、静電気対策のため、ゴム系のものを採用して構成しても構わない。
【0022】
さらに、前記筐体を黒色にする場合は、黒色もしくは黒色に近いグレー色の、ゴム系もしくは樹脂系の両面テープは特に必要ない。
【0023】
上記構成を備えることにより、赤外線近接センサーにおいて、蛍光灯や太陽光などの近接光・環境光がセンサー窓より入射すると、フィルター(レンズ)により、波長は通過減衰し、赤外線近接センサーの検知部が作動した場合、検出部は、共振ポイント部のピーク部を検出し、抵抗部はピーク部に一定の抵抗をかけると、赤外線近接センサーの誤作動は防止される。
【0024】
したがって、本発明によれば、赤外線近接センサーのレンズとLEDのレンズとが一体・共有化され、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを実現できる。
【0025】
上記構成において、前記共振ポイント部およびピーク部はカットアンドドライ方式により見つけ出すことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、赤外線近接センサーのレンズとLEDのレンズとが一体・共有化され、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを実現できる。即ち赤外線近接センサーとR(赤)G(緑)B(青)LEDを一つの基盤の上に乗せることが可能であり、複数のLEDを乗せることで、赤外線センサー装置がディスプレイとしての機能を果たすことが実現されうる。また別々に生成・製造されていた赤外線近接センサーレンズと、LEDレンズを分けて発注する必要がなくなりコスト面においても有意義である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとフィルター(レンズ)の機能構造を示す概要図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとLEDが並列された正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るパラフィルターとパラペットにおける光の透過率を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るパラペット通過後のLED光度を表す図である。
【図4A】パラフィルターPF68(色番)通過後のLED光度を表す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るレンズ濃度の高いものを示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態に係るレンズ濃度の低いものを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとフィルター(レンズ)の共有の筐体内の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る制御回路図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るオームの推奨定数を表すグラフ図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る環境光の反射模様を示す図である
【図10】従来の赤外線近接センサーを自動ドアに組み込んだ図である。
【図10A】本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサー及びLED装置を自動ドアに組み込んだ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとフィルター(レンズ)の機能構造を示す概要図である。赤外線近接センサー1は、赤外線やその他の光を受光する検知部1aと、赤外線近接センサー1に存在する共振ポイント部1cと、共振ポイント部1cのピーク値を検出する検出部1bと、ピーク値に一定の抵抗値をかける抵抗部1dと、光の全波長を通過減衰するフィルター(レンズ)8で構成される。なお、同図においては、寸法的な面においては実際を反映していない場合がある。
【0030】
図2は本発明の一実施形態に係る赤外線近接センサーとRGB−LEDが並列された態様における正面図である。近接センサー1の右隣にはRGB−LEDが配置される。また、赤外線近接センサー1とRGB−LEDを支持するのは、(同図では図示されない)基盤である。なお、これらの位置関係は特にこれに限定されることはなく、可能な範囲で詰めたり、広げたりすることを妨げない。たとえば、LEDの複数個使用すれば、赤外線近接センサー及びLED装置はフルカラーディスプレイとしても機能する。
【0031】
図3は本発明の一実施形態に係る、パラフィルター(登録商標)とパラペット(登録商標)における光の透過率を示す図である。パラペット(PP)(登録商標)は透過率10%〜53%程度の範囲に収まるグラフ、パラフィルター(PF)(登録商標)は透過率0%〜約90%程度の範囲に収まるグラフで示される。パラペット(登録商標)は、光の全波長を通過減衰させるメタクリル樹脂の成形材料である。またパラフィルター(登録商標)は、株式会社クラレのフィルターグレード製品である。パラペットの波長の透過率は61nm〜670nmでは10%〜50%、670nm以上では50%〜55%で一定である。対して、パラフィルターの波長の透過率は、820nm〜850nmでは10%、850nm〜880nmでは10%〜80%であり、880nmから透過率80%以上の数値を維持する。50%の透過率でも、赤外線近接センサー1は十分に反応する。限界としてのおよそ30%まで赤外線近接センサー1は反応する。しかし、透過率が減少するにつれて、赤外線近接センサー1と対象物までの距離も縮まる。また、同図における数値は、任意に選定する光の全波長を通過減衰させるフィルター材を使用することにより、変化するものであるので、これに限定されない。
【0032】
パラペット(登録商標)に代わるフィルター材としてほかに、色つきPET(ポリエチレンテレフタラート)材、色つきアクリル材、色つきポリカーボネート材では、ユーピロンシート(三菱エンジニアプラスチック)、セプカルシート(信越ポリマー)、サンテルフィー(サンデルタ)、ファインライト(住友ベークライト)、サンロイド(住友ベークライト)、ポリカエース(住友ベークライト)等を用いることができる。
【0033】
図4は本発明の一実施形態に係るフィルター通過後のLED光度を表す図である。パラペット(登録商標)通過後のLED光度を表している。対して、図4Aに示すのは、パラフィルターPF68(色番)(登録商標)通過後のLED光度を表すものである。パラフィルター(登録商標)では材料配分で通過波長を調整しており、赤外線に波長が近い赤が可視可能であるが、青色は可視が困難である。また緑も青色ほどではないが、可視の困難性が見られる。これに対してパラペットでは、図示のとおり、赤、緑、青のいずれのも色も明確に見られることが認められる。
【0034】
図5、5Aは本発明の一実施形態に係るレンズ濃度の高低差を表す図である。図5はレンズ濃度が高いものを示し、図5Aはレンズ濃度が低いものを示す図である。レンズに使用されるフィルター材としては上記の通りである。
【0035】
図6は本発明の一実施形態に係る赤外線センサー1とフィルター(レンズ)8の共有の筐体内の構造を示す断面図である。この筐体内には、赤外線近接センサー1と、光が入出射するセンサー窓6と、前記筐体を覆う外カバー7と、内カバー7Aと、フィルター(レンズ)8と、レンズをカバーする両面テープ9と、メイン基盤10と、スペーサー11と、ネジ12と、アンテナ基盤13と、リードフレーム14とが図示のように組み合わされて具備される。センサー窓6は略8mmの幅を開けられているが、これに限定されるわけではない。また検知軸のセンターと赤外線近接センサー1の寸法上のセンターは約1.2mm開いているが、これに限定されない。また外カバー7、内カバー7A共に白色であり、筐体内における光の乱射防止や熱の吸収をするために、両面テープ9は黒色、もしくは黒色に近い色のものが好まれる。またこの両面テープ9は絶縁体としてゴム系のものが採用されているが、他には樹脂系のものが好まれる。カバーが黒色か濃いグレーならば、黒色両面テープは必要なくなる。また同図ではLEDの表示は省かれている。またコストダウンのためメイン基盤10を省いても構わない。
【0036】
同図は、本発明の一例にすぎないものであるので、筐体内における各部品の位置関係、数量、種類はこれに限定されない。
【0037】
図7は本発明の一実施形態に係る制御回路図である。回路図25のR1とはプルアップ抵抗20である。プルアップ抵抗とは回路を、抵抗器を挿んでVddに接続するときの抵抗器である。赤外線近接センサー1の出力端子に約3.3ボルトの電源電圧に470kΩのプルアップ抵抗を接続したものである。R2は赤外線近接センサーの調整用抵抗20Aである。C12はノイズ吸収用コンデンサ21である。C13もノイズ吸収用コンデンサ21Aであるが、C12は高周波領域を吸収し、C13は低周波領域を吸収する。またA−LEDはアノードLED、GNDはグラウンド、OUTは出力、progはセンサー調整用の端子、Vddは電源電圧であり、その脇にナンバーが振ってあるのは、ピンの配置ナンバーである。
【0038】
330Ω〜約3kΩの各抵抗値における電圧と電流のパラメータを表したものが図8である。縦軸がIdd、つまり単位μAの電流であり、横軸がVdd、電圧である。赤外線近接センサー1が2.4V〜3.6Vまで使用可能な電圧である。330、470、2kはいずれも抵抗値であり、infは限界ポイントである。抵抗値が高くなるほど流れる電流の値は小さくなるので、消費電力を抑えることが可能となる。
【0039】
次に、上記のように構成される本発明の動作について詳しく説明する。
【0040】
図1に示すように、近接光・環境光がフィルター(レンズ)8を通過すると、光の波長は減衰する。減衰した光は検知部1aが受光し、その中でも赤外線近接センサー1の誤作動を起こす共振ポイント部1cのピーク値に抵抗部1dが一定の抵抗をかけて誤作動を防止する。
【0041】
抵抗部1dかける一定の抵抗値は図7に示すとおりである。即ち、まず推奨定数範囲330Ω〜3kΩで使用するのが好まれる。しかしフィルター(レンズ)8の材料としてパラペット(登録商標)4を採用する場合には、39kΩ〜51kΩで使用するのが望ましい。また抵抗値が大きいため、消費電力も小さくなる。具体的には100μA〜30μAまで減少する。またセンシング距離とはもともと赤外線近接センサー1が持つ性能であるが、対象物から赤外線近接センサー1までの距離である。それが20mm〜40mmである。これにカバーやレンズをつけるとセンシング距離は約5mm〜10mmと変化する。Nとはここでは基盤の数をさす。N=10とは即ち、基盤の数が10個ということであり、その数において実験してもほぼ100%の確率で成功する。また気温−20℃〜45度での正常な動作が認められる。
【0042】
図9は本発明の一実施形態に係る赤外線の反射の様子を概念的に示す図である。基盤10に積層されたもののうち、「E」と表示されるものは赤外線の発光ブロック1Aである。「D」と表示されるものが赤外線を受光するブロック1Bである。環境光は赤や橙や黄色の、比較的赤外線に近い波長の近接光であり、本来であれば、この光を受けた受光ブロック1Bは誤作動を起こしてしまうが、本発明の構造だとそれがおこらない。またクロストークとは、受光ブロック1B上に入射した赤外線が、基板10を伝搬していく現象で、その伝搬した熱が、隣接する反対の極性を有する受光ブロック1Bに到達すると、本来の受光ブロック1Bから発生する出力を打ち消す方向に働く現象のことである。
【0043】
図10は本発明の一実施形態に係る従来の赤外線近接センサーを自動ドアに組み込んだ場合の様子を概念的に示す正面図で、図10Aは赤外線近接センサー及びLED装置(図示しない)を自動ドアに組み込んだ場合の様子を概念的に示す正面図である。図10において、利用者から発せられる赤外線を赤外線近接センサー1が感知するが、表示板は赤色を表示するのみである。対して、図10Aにおいては、利用者から発せられる赤外線を赤外線近接センサー1が感知し、その際、RGB−LEDによる多彩な表示方法によって、利用者により分かり易くメッセージを表現することが可能となる。
【0044】
以上説明したように、本発明によれば、赤外線近接センサーのレンズとLEDのレンズが一体・共有化され、フィルター(レンズ)に可視光が入射して、検知部に届いても誤作動を起こさない赤外線近接センサーを実現できる。
【0045】
また本発明によれば、赤外線近接センサーとR(赤)G(緑)B(青)LEDを一つの基盤の上に乗せることが可能であり、複数のLEDを乗せることで、赤外線センサー装置がディスプレイとしての機能を果たすことが実現されうる。
【0046】
また本発明によれば、従来別々に生成・製造されていた赤外線近接センサーレンズと、LEDレンズを分けて発注する必要がなくなりコスト面においても有意義である。
【0047】
本願発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、その技術思想の同一及び等価に及ぶ範囲において上述した実施形態への様々な変形、追加、置換、拡大、縮小等を許容するものである。さらに、上述したものは本願に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本願に係る技術思想を適用することが可能である。
【0048】
さらにまた、本発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に搭載されて商品化された場合であっても、本発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上述したように本発明によれば、赤外線近接センサーに使用されるレンズと、LEDに使用されるレンズとの共有化、一体化が実現できる。つまり、たとえば、テレビやパソコンも液晶画面が赤外線近接センサーを備えることで、画面自体が受信機になることが可能となる。特にシンプルなデザインを追及する企業にとって、センサー窓やランプ表示を付加するのか、もしくは付加しないのかは死活問題であるので、非常に需要が高いといえる。これまで別々にされていたものを一つにしたもの、たとえばノートパソコンや、録画機能付きテレビなどが、社会的に与えた影響は計り知れない。つまり、元来別々なものを一つにすることで、さまざまな可能性が広がり、今後、赤外線センサー業界、ディスプレイ業界で本発明がスタンダードになる可能性が高い。
【0050】
したがって、本願は、赤外線センサー業界のみならず、ディスプレイ・モニターを扱うシーンが発生し得る一般家庭を含めたあらゆる場で、或いは携帯音楽プレイヤーに携帯電話を含めたあらゆる機械器具において、さらにはテレビ業界、国・地方自治体レベルでの各種イベントから遠隔地間の企業におけるTV会議の機会や、おもちゃ業界、広告業界、ホテル・観光業界、造船業界、自動車業界等の各種業界で、または宇宙開発プロジェクト等の各プロジェクトにおいてなど、様々な業界・機会で利用可能性が非常に高いものである。
【符号の説明】
【0051】
1 赤外線近接センサー
1a 検知部
1b 検出部
1c 共振ポイント部
1d 抵抗部
1A 発光ブロック
1B 受光ブロック
2 RGB−LED
3 基盤
6 センサー窓
7 筐体を覆う外カバー
7A 内カバー
8 フィルター(レンズ)
9 両面テープ
10 メイン基盤
11 スペーサー
12 ネジ
13 アンテナ基盤
14 リードフレーム
20 プルアップ抵抗
20A 調整用抵抗
21 ノイズ吸収用コンデンサ
21A ノイズ吸収用コンデンサ
25 回路図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線近接センサーにおいて、前記赤外線近接センサーの共振ポイント部と、前記共振ポイント部のピーク値を検出する検出部と、前記ピーク部に一定の抵抗値をかける抵抗部と、光の全波長を通過減衰するフィルターとを具備することを特徴とする赤外線近接センサー。
【請求項2】
請求項1記載の赤外線近接センサーと、複数若しくは単数のLED(発光ダイオード)とを具備することを特徴とする赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置。
【請求項3】
フォトダイオード、フォトトランジスタ等を含めた半導体素子をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の赤外線近接センサーレンズ兼用LED装置。
【請求項4】
前記全波長を通過減衰するフィルターは、色つきPET(ポリエチレンテレフタラート)材、色つきアクリル材、色つきポリカーボネート材の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の赤外線近接センサー。
【請求項5】
前記全波長を通過減衰するフィルターは、色つきPET材(ポリエチレンテレフタラート)、色つきアクリル材、色つきポリカーボネート材の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置。
【請求項1】
赤外線近接センサーにおいて、前記赤外線近接センサーの共振ポイント部と、前記共振ポイント部のピーク値を検出する検出部と、前記ピーク部に一定の抵抗値をかける抵抗部と、光の全波長を通過減衰するフィルターとを具備することを特徴とする赤外線近接センサー。
【請求項2】
請求項1記載の赤外線近接センサーと、複数若しくは単数のLED(発光ダイオード)とを具備することを特徴とする赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置。
【請求項3】
フォトダイオード、フォトトランジスタ等を含めた半導体素子をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の赤外線近接センサーレンズ兼用LED装置。
【請求項4】
前記全波長を通過減衰するフィルターは、色つきPET(ポリエチレンテレフタラート)材、色つきアクリル材、色つきポリカーボネート材の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の赤外線近接センサー。
【請求項5】
前記全波長を通過減衰するフィルターは、色つきPET材(ポリエチレンテレフタラート)、色つきアクリル材、色つきポリカーボネート材の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサーレンズ兼用LED表示装置。
【図1】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【公開番号】特開2011−53079(P2011−53079A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202128(P2009−202128)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(507419873)株式会社アール・アンド・デー・アソシエイツ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(507419873)株式会社アール・アンド・デー・アソシエイツ (1)
【Fターム(参考)】
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