説明

赤外線検出器

【課題】工程数の削減と、製造工程での検査が容易に行える赤外線検出器を提供することにある。
【解決手段】赤外線検出器Aは、ステム1上に搭載する回路ブロック3の回路部位に対する電源供給用端子ピン19a及び検出信号出力用端子ピン19bの導電材21を用いた接合を、焦電素子Xを実装する回路ブロック3の上面で行っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体検知等に用いる赤外線検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、人体を赤外線の変化量で検出する赤外線検出素子には、焦電素子と呼ばれるものが多く使用されている。このような焦電素子を用いた赤外線検出器は、防犯用の進入検知の他、照明などの負荷制御用として使われている。この赤外線検出器としては例えば図14に示すように人体の動作により発生した赤外線を、レンズ100により焦電素子Xの受光部に集光させ、赤外線の変化に応じて発生する焦電素子Xの分極による信号を電流電圧変換回路102で電圧信号に変換した後、バンドパスアンプ103で所定の周波数帯域を選択的に増幅し、予め閾値を設定しているウィンドコンパレータ104から”H”,”L”レベルの検出信号を出力するタイプのものがあり、このウィンドコンパレータ104から出力される検出信号が負荷制御に用いられるのである。
【0003】
ところで、従来の赤外線検出器には図15(a)に示すように焦電素子Xの両端部を回路基板104上に設けた電子回路素子からなる凸状支持部105、105間に橋渡すように固定して回路基板104から焦電素子Xを浮かして焦電素子Xの受光面と背方の回路基板104との間に熱絶縁用の空間Yを設け、焦電素子Xが赤外線を受光したときに赤外線のエネルギが逃げないようにし、焦電素子Xの感度を高めているものがある。そして焦電素子Xの電荷は非常に微小なため、非常に大きな増幅をしなければならず、その影響で、焦電素子Xの出力にわずかでもノイズが入ると、後段のバンドパスアンプ103でノイズも増幅され、本来の信号とノイズとの区別が困難となる。そこで図15(a)に示すように金属製のキャップ(CAN)106と、ステム107からなる容器の中に焦電素子X及び回路基板104を封止してシールドを図ったパッケージ構造によって、外来ノイズを遮断している(例えば特許文献1)。尚図15(a)中108は出力端子、109はキャップ105の赤外線通過窓で、この赤外線通過窓109には所定の周波数域の赤外線のみを通過させるバンドパス型の光学フィルタ110が装着されている。
【0004】
ところで、特許文献1に開示されているパッケージ構造の赤外線検出器は、内部にインピーダンス変換回路のみであるため、図15(b)のような構成をとっており、プリント板111上に図15(b)に示すキャップ106とステム107からなる容器内に焦電素子Xを収納した赤外線検出器のほか、レンズ112、更にコンデンサや抵抗、ICのチップなどの外付け電子回路素子113が実装され、上述の光学フィルタやウィンドウコンパレータ、更にはタイマ、出力アンプが付加されて用いられるのが一般的である。
【0005】
一方、図16(a)〜(c)に示すように樹脂成型品で製作される3次元回路ブロック(MID基板)200に、焦電素子Xとバンドパスアンプやとウィンドウコンパレータを構成する電子回路素子201を実装し、キャップ106とステム107からなる容器内に収納して封止することにより、小型化を図った赤外線検出器が提供されている(例えば特許文献2)。この赤外線検出器に用いる3次元回路ブロック200は、表立面と裏立面とを形成した縦方向に起立する縦長のブロックとなっており、立面には電子回路素子201を実装し、上部には焦電素子Xの熱絶縁をとるための空間を作る凹部202を一体形成し、凹部202の両端間に焦電素子Xを橋渡ししてある。
【特許文献1】特開平5−332829号公報(図1、段落番号0015〜1006)
【特許文献2】特許第3211074号公報(図6〜図13及び段落番号0018〜0021)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示されているような赤外線検出器の場合、焦電素子Xが赤外線を受けたときに赤外線エネルギが逃げないようにするために焦電素子Xの受光面を回路基板104より浮かす支持部105を設けているが、この支持部105が回路基板104とは別部品であるため、別途部品実装工程が必要となりコストアップの要因となっていた。また別部品として支持部105を設ける場合、取り付け誤差により支持部105の高さが変わり、焦電素子Xの熱絶縁の効果にばらつきが発生するなどの問題があった。また特許文献1の赤外線検出器の場合、図14のような外付け回路部が必要で、そのため電子回路部品113を大きなプリント基板111に実装する構成であるため回路規模が非常に大きくなるという問題があり、昨今の小型化・薄型化の要請には答えられないという問題があり、また回路部品が外付けになると電磁ノイズの影響を受けやすくなり、ノイズ環境が悪いところでは、誤動作の要因となっていた。これを防ぐために、外付け回路部に大きなシールド板を取り付けることが必要となるという問題もあった。
【0007】
一方特許文献2に開示されている赤外線検出器のように3次元回路ブロック200を用いたものは、特許文献1に開示されている赤外線検出器の問題点を或る程度解決できる。
【0008】
すなわち3次元回路ブロック200に直接焦電素子Xを浮かす凹部202を形成するためため、部品点数削減や低コスト化が可能となり、また電子回路素子201を金属製のキャップとステムからなる容器に収納するCANパッケージとすることで、小型化が可能となる上に、バンドパスアンプやウィンドコンパレータをIC化することで回路部を小型化することも可能である。また焦電素子Xとバンドパスアンプの入力部までの距離を短くすることができるため、プリント基板による外付け部品で増幅する方法より外来ノイズが入りにくくなり、ノイズに強い構成となる。更に焦電素子Xと回路部全体を金属製キャップとステムからなる容器内に収納してシールドすることにより、外来ノイズに非常に強い構成が実現できるという利点がある。
【0009】
しかしながら、この特許文献2に開示されている赤外検出器では、3次元回路ブロック200が縦長で起立して表立面と裏立面とを形成した回路部に電子部品やICを実装しているため、パッケージが縦長になるのは避けられない。
【0010】
そのため、この特許文献2に開示されている赤外線検出器を取り付ける機器の厚みに制限が発生し薄型化が困難になるなど、更なる小型化、薄型化の要請には応えられなかった。また3次元回路ブロック200を小型化して全体の大きさを小さくしようとした場合、更に以下の2つの問題が発生する。
【0011】
まずその1つ目は、実装スペースの不足の問題がある。つまり上述の3次元回路ブロック200では、従長で起立して表立面と裏立面とを形成した部分を回路スペースとしてとることができるが、3次元回路ブロック200を単純に小型化すると、回路部品を実装するスペースが確保できなくなり、小型化が実現できない点である。
【0012】
2つ目は、焦電素子Xの出力と増幅された後段出力の距離が近くなることに起因する問題である。つまり焦電素子Xの電荷の変化は非常に微弱なため、後段の回路では、フェムトアンペアレベルの電流変化を数百ミリボルトレベルに増幅している一方電源供給のための電源供給部には、供給される電圧の他に、商用電源からの重畳ノイズや携帯電話からの輻射ノイズなどの外来(外乱)ノイズも乗ってくる。これらの外来ノイズのうちの僅かな信号でも焦電素子Xに影響を及ぼさないように、焦電素子Xと最終段出力と十分離すことが必要である。しかしこの距離が1mm程度になると、焦電素子Xと最終出力段との容量結合により、発振現象や周波数特性の劣化などの現象が発生するという問題が生じる。
【0013】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは赤外線検出素子の熱絶縁のための空間部が簡単に形成でき、しかも工程数の削減と、製造工程での検査が容易に行え、薄型で且つ小型でローコストな赤外線検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、ステムと該ステム上に被着するキャップとからなるパッケージ用容器内部に熱線検出素子、電子回路要素を実装した回路ブロックを収納する赤外線検出器において、
前記回路ブロックは、上面に凹凸形状部を一体に形成して該凹凸形状部の凸部位を前記熱線検出素子の両端を支持し且つ電気的に接合する部位とし、凹部位を前記熱線検出素子の熱線検出部位の下方に設ける熱絶縁用の空間部位とした第1の樹脂層と、回路用配線パターンを形成して、前記電子回路要素を実装した回路基板を前記電子回路要素とともに埋設して前記第1の樹脂層の下方に設けられる第2の樹脂層と、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層の間に設けられ特定電位又はグランド電位を持つシールド層とを一体に備え、
前記ステムから前記キャップ内に突出している電源供給用、グランド用、検出信号出力用の何れかの端子ピンは、前記回路ブロックの下面から上面に貫通させて上端部を突出させるとともに、該上端部を前記回路ブロックの上面で回路部位に接合していることを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明によれば、回路ブロックと赤外線検出素子の熱絶縁層を形成する空間部を第1の樹脂層で簡単に一体形成することができ、また電子回路構成素子を第2の樹脂層に一体成形によって埋設することで、立設方向の小型化の障害となっていた電子回路素子を実装するためのスペース(実装面積)の確保が可能となり、大幅な薄型で且つ小型化が図れ、しかも電子回路素子を実装する回路基板として、微細なファインピッチの回路を一般の回路基板の形成方法で形成できるプリント基板や薄い銅箔を使用した基板を用いることができ、その上樹脂層及び回路基板を含めた回路ブロックをプレスによって容易に製造可能な多層基板構造とすることができ、その上、回路ブロックの回路部位に対する端子ピンの接合が熱線検出素子の実装面と同じ回路ブロックの上面で行われるため、熱線検出素子の回路ブロックへの実装及び接合と、端子ピンの回路部位への接合とを同じ工程で行えて工程数を削減でき、しかも接合状態の検査を目視により行うことが可能となるため製造工程での検査が容易となり、ローコストにより製造できるという効果があり、更にシールド層によって外来ノイズの影響を低減できる。
【0016】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記電源供給用端子ピン、前記検出信号出力用端子ピンの何れか一方若しくは両方と、前記熱線検出素子との間に、電位が前記特定電位又はグランド電位となっているシールド部を介在させていることを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明によれば、熱線検出素子と、検出信号出力用端子ピン又は電源供給用端子ピン若しくは両方との容量結合をシールド部によるシールド効果によって防ぐことができ、その結果感度劣化の防止や耐ノイズ性の向上が図れる。
【0018】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記シールド部を介在させている位置は、前記回路ブロックの内方であることを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明によれば、回路ブロックの内方での容量結合を防ぐことができる。
【0020】
請求項4の発明では、請求項2の発明において、前記電源供給用端子ピン、前記検出信号出力用端子ピンの何れか一方若しくは両方の前記回路ブロック上面での接合部位と、前記熱線検出素子との間の空間に介在するように、電位が前記特定電位又はグランド電位となっているシールド部を設けていることを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明によれば、回路ブロックの外方での容量結合を防ぐことができる。
【0022】
請求項5の発明では、請求項2の発明において、前記シールド部を介在させている位置は、回路ブロックの内方から前記接合部位と前記熱線検出素子との間に亘る空間であることを特徴とする。
【0023】
請求項5の発明によれば、回路ブロックの内方から外方に亘って容量結合が防げる。
【0024】
請求項6の発明では、請求項2乃至5の何れかの1項の発明において、前記シールド部は、前記接合部位と、前記熱線検出素子の検出出力部位との間の位置に、前記シールド層に対して垂直方向に且つ前記熱線検出素子の支持面より上方へ向けて突出させたシールド部材からなり、該シールド部材の電位を前記特定電位又はグランド電位としていることを特徴とする。
【0025】
請求項6の発明によれば、請求項2乃至5の何れかの発明の作用効果に加え、シールド部材の配設と、熱線検出素子の実装とを同じ工程で行え、そのため、工数の削減が図れ、更なるローコスト化が可能となる。
【0026】
請求項7の発明では、請求項6の発明において、前記シールド部材は、前記第1の樹脂層の上面から前記シールド層に至る垂直穴部に下部を挿着して、該垂直穴部から突出する部位の上端を前記熱線検出素子の上面より上方に配置していることを特徴とする。
【0027】
請求項7の発明によれば、熱線検出素子を実装している面より上方での検出信号出力用端子ピン又は電源供給用端子ピン若しくは両方との容量結合を防ぐことができるため、シールド部材によるシールド効果を一層向上させることができ、その上シールド部材を垂直穴部で支え且つシールド層の電位に接続することができる。
【0028】
請求項8の発明では、請求項2乃至5の何れか1項の発明において、前記シールド部は、前記接合部位と、前記熱線検出素子の検出出力部位との間に位置する前記第1の樹脂層内に前記シールド層に対して垂直方向となるようにシールド部材を内蔵し、該シールド部材の電位を前記特定電位又はグランド電位としていることを特徴とする。
【0029】
請求項8の発明によれば、請求項2乃至5の何れかの発明の作用効果に加え、シールド部材を第1の樹脂層に内蔵することで、樹脂層形成時の加熱プレスと同時にシールド部材の樹脂層内蔵が行え、そのため工程数の削減が図れ、またシールド部材を第1の樹脂層に内蔵することで、シールド部材の状態を機械的に安定させることができる。
内方での容量結合を防げることができる。
【0030】
請求項9の発明では、請求項8の発明において、前記シールド部材を内蔵している第1の樹脂層の部位を上方に膨出させるとともに、前記シールド部材の上端部を膨出部位内に延出させて該上端部の先端位置を前記熱線検出素子の上面以上としていることを特徴とする。
【0031】
請求項9の発明よれば、熱線検出素子を実装している面より上方での検出信号出力用端子ピン又は電源供給用端子ピン若しくは両方との容量結合を防ぐことができるため、請求項4の発明におけるシールド部材によるシールド効果を一層向上させることができ、膨出部位でシールド部材の上端部を保護できる。
【0032】
請求項10の発明では、請求項2乃至5の何れか1項の発明において、前記シール部は、前記接合部位と、前記熱線検出素子の検出出力部位との間の位置に前記第1の樹脂層の立ち上がり壁面からなるシールド壁で形成されていることを特徴とする。
【0033】
請求項10の発明によれば、請求項2乃至5の何れかの発明の作用効果に加え、検回路ブロックを成形する際に第1の樹脂層にシールド壁を形成することが可能となり、そのため工程の削減が図れ、更なるローコスト化が図れる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、回路ブロックと赤外線検出素子の熱絶縁層を形成する空間部を第1の樹脂層で簡単に一体形成することができ、また電子回路構成素子を第2の樹脂層に一体成形によって埋設することで、立設方向の小型化の障害となっていた電子回路素子を実装するためのスペース(実装面積)の確保が可能となり、大幅な薄型で且つ小型化が図れ、しかも電子回路素子を実装する回路基板として、微細なファインピッチの回路を一般の回路基板の形成方法で形成できるプリント基板や薄い銅箔を使用した基板を用いることができ、その上樹脂層及び回路基板を含めた回路ブロックをプレスによって容易に製造可能な多層基板構造とすることができ、その上、回路ブロックの回路部位に対する端子ピンの接合が熱線検出素子の実装面と同じ回路ブロックの上面で行われるため、熱線検出素子の回路ブロックへの実装及び接合と、端子ピンの回路部位への接合とを同じ工程で行えて工程数を削減でき、しかも接合状態の検査を目視により行うことが可能となるため製造工程での検査が容易となり、ローコストにより製造できるという効果があり、更にシールド層によって外来ノイズの影響を低減できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下本発明を実施形態により説明する。
(実施形態1)
本実施形態の赤外線検出器Aは、図1(a)〜(c)に示すように円盤状の金属製のステム1と、金属製のキャップ2とからなるキャンパッケージ用の容器内に、例えば焦電素子Xのような熱線検出素子等を実装した回路ブロック3を収納して構成されたものである。尚焦電素子X以外にサーモパイルやボロメータ等の熱線検出素子を用いても良い。
【0036】
ステム1は中央部を周辺部より一段上方へ突出させて回路ブロック3を絶縁材からなるスペーサ6を介して搭載する搭載部1aを形成し、キャップ2は下部が開口し、天井部の中央には特定の周波数域の赤外線だけをキャップ2内に入射させるバンドパス型の光学フィルタ5を装着した矩形の赤外線通過窓4を開口している。ここで赤外線検出器Aの使用用途が人体検知の場合には、光学フィルタ5としておおよそ4μm以上の波長の光を通し、それより低い赤外線をカットするようにコーティングを施したものを使用する。
【0037】
ステム1は、搭載部1aの周辺の環状段部1b上にキャップ2の下端周縁に突出形成した鍔部2aを載せて固定することでキャップ2を被着し、キャップ2に内蔵する回路ブロック3を封止するとともに電磁シールドを行うようになっている。
【0038】
回路ブロック3は、図2で示すように、ガラスエポキシ等から形成された回路基板7と、この回路基板7上に積層される第2の樹脂層体8と、この樹脂層体8上に積層される金属板からなるシールド層体9と、このシールド層体9上に積層される第1の樹脂層体10とからなる多層構造の基板ユニットから構成され、第1,第2の樹脂層体10,8は後述する工法を用いて回路基板7,シールド層体9に一体化されるもので、下面から上面にかけて一定間隔で3つの端子ピン貫挿用孔15を穿設するとともに、焦電素子Xの検出出力部位と回路基板7上の回路部との電気的接続を図るとともに、シールド層体9のシールド層を所定の電位部位に接続するための電気的接続用のスルーホール14を穿設してある。
【0039】
ここで最上層の樹脂層体10は中央部に形成した長円孔からなる凹部11と、この凹部11の周辺上面(凸部)とで回路ブロック3の上面部を凹凸形状部とするもので、凹部11は焦電素子Xの熱線検知部を空中に浮かすことによって熱絶縁をとるための空間部を構成し、また凹部11の両側上面部位には焦電素子Xの両側の検出出力部位である電極を支持し且つ焦電素子Xの検出出力部位を接合するランド12a、12aを設け、また端子ピン貫挿用孔15の開口周縁には端子ピン接合用のランド12(図示せず)を設けてある。
【0040】
上述の空間部は、焦電素子Xの熱線検知部(受光面)とシールド層体9との間に熱絶縁のための空気層を確保することで、非常に感度の高い測定を可能とするものである。
【0041】
また各ランド12aは樹脂層体10の上面に夫々に対応して形成された各配線パターン13の一端に設けられるもので、各配線パターン13は樹脂層体10の上下面に貫通し、内面にスルーホールメッキを施したスルーホール14に電気的に接続されている。
【0042】
シールド層体9は、焦電素子Xの出力と後段の増幅部(電流増幅回路やバンドパスアンプ)との容量結合などによる発振現象を防ぐための金属箔(例えば銅箔)により形成したシールド層9aをガラスエポキシ基板の上面(又は下面若しくは両面)に形成したものからなり、グランド電位若しくは何らかの特定の電位を持たせ、シールドの機能を果たすようになっている。
【0043】
最下層となる回路基板7は下面にバンドパスアンプやウィンドウコンパレータを構成する信号処理用のIC16を実装し、上面にはチップ状電子部品17を実装する面を構成し、夫々の面にはこれら電子回路素子を接続することで赤外線検出器として必要な回路部を構成するための配線パターンを形成してある。
【0044】
チップ状電子部品17はリフロー半田18により配線パターンに接続実装され、IC16はフリップチップにより配線パターンに実装される。
【0045】
回路基板7の上部とシールド層体9との間に配置形成される樹脂層体8は、回路基板7の上面側に実装されたチップ状電子部品17を回路基板7とともに内蔵する(埋め込む)ことで多層基板ユニット構造である回路ブロック3全体の薄型化を図るものである。
【0046】
上述のように多層基板ユニット構造の回路ブロック3が形成されることにより、焦電素子Xの出力は上述の樹脂層10のスルーホール14を、シールド層体9のスルーホール14、樹脂層体8のスルーホール14と、回路基板7の配線パターンとを介して、回路基板7上のIC16及び電子部品17から構成される回路部に接続され、またシールド層体9のシールド層9aが所定の電位部位(例えばグランド電位や特定電位の部位)に接続されることになる。
【0047】
次に、上述した多層基板ユニット構造の回路ブロック3を形成するプロセスについて、図3により簡単に説明する。
【0048】
まず図3(a)に示すように予め上面にチップ状電子部品17を半田18で固定実装した回路基板7と、シールド層体9とを準備し、回路基板7とシールド層体9との間に、Bステージ状態のエポキシ樹脂材にシリカ(SiO)のような無機フィラーを高充填(例えば85wt%)し、高い伸びと引張強度を持ち、常温では強靱性があって破れ難いシート状の樹脂材20を複数枚(例えば3枚)、回路基板7上に重ね、またその樹脂材20上にシールド層体9を重ね、更にこのシールド層体9の上に上述の樹脂材20を2枚重ねた状態でプレスの金型内に投入し、この投入した状態で真空引きしながら加熱(例えば100℃)して樹脂材…を熱溶解させ、一定時間加圧(例えば3Mpa)する。この加熱プレスにより回路基板7上のチップ状電子部品17の凹凸及びその下部の隙間に溶解樹脂が流れ込むことになる。そしてその後所定の温度(例えば175℃)で昇温して完全硬化させる。この硬化によって回路基板7上ではチップ状電子部品17を内蔵した樹脂層体8が回路基板7と一体となって形成され、また樹脂層体8の上部ではこの樹脂層体8と最上層で硬化形成された樹脂層体10との間でシールド層体9が挟まれる形で図3(b)に示すように一体化されることになる。また金型により樹脂層体10に上述の凹部11を同時に形成する。このようにしてシールド層体9、樹脂層体8、回路基板7の一体化した後、ルータで各層を貫通するスルーホール14及び端子ピン貫挿用孔15を形成する。
【0049】
次に樹脂層体10の上面にランド12a及び配線パターン13を一般的な無電解メッキにより形成するとともに、上述のスルーホール14及び端子ピン貫挿用孔15の内面に層間接続用のスルーホールメッキを施し、このメッキ後、一般的なパターニング方法でエッチングをすることで、最下層の回路基板7下面の配線パターンや樹脂層体10のランド12aや端子ピン貫挿用孔15の開口周縁のランドや配線パターン13を形成すれば、IC16及び焦電素子Xを実装する前の回路ブロック3の基板ユニットが図3(b)のように完成することになる。
【0050】
尚熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、シアネート樹脂などで良く、また無機フィラーとしては、シリカ以外に酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)等を1種類若しくは2種類以上混合しても良い。
【0051】
以上のようにして完成した回路ブロック3の下面にIC16を実装した後、ステム1の搭載部1a上にスペーサ6を介して回路ブロック3を搭載するとともに回路ブロック3とスペーサ6との間やスペーサ6と搭載部1aとの間は接着剤で固定する。尚スペーサ6の中央孔6aはIC16の収納スペースを構成する。
【0052】
ここで本実施形態に用いるステム1は電源供給用端子ピン19aと、検出信号出力用端子ピン19bと、グランド用端子ピン19cと、これら端子ピン19a、19b、19cを貫通させて保持した金属製(SPC,コバールなど)のベース部とで構成されており、端子ピン19a、19bを貫通させるベース部の孔はガラス材22で封止するとともにガラス材22で端子ピン19a、19bを支持することでベース部に対して電気的に絶縁してある。またグランド用端子ピン19を貫通させるベース部の孔は金属材で封止するとともに金属材でグランド用端子ピン19cを接合することでステム1の電位と端子ピン19cの電位とを同じ電位としている。
【0053】
而してこれら端子ピン19a〜19cは、回路ブロック3をステム1の搭載部1a上にスペーサ6を介して上述のように搭載した際に、スペーサ6の側周部に開口させた切欠孔6bと、回路ブロック3に夫々に対応させて穿設してある端子ピン貫挿用孔15を介して回路ブロック3の上面側に上端を突出することになる。
【0054】
さて回路ブロック3をステム1上に上述のように搭載固定した工程が終了後、次の工程では、樹脂層体10の凹部11の両側のランド12a,12a間に焦電素子Xを橋渡し、この状態で焦電素子Xの電極をランド12a、12aに導電ペース(銀ペースト等)の導電材(図示せず)により電気的に接合するとともに、樹脂層体10の上面に突出した各端子ピン19a〜19cの上端部を導電ペースト(銀ペースト)等の導電材21により端子ピン貫挿用孔15の開口周縁のランドに接合する。
【0055】
これにより焦電素子Xの検出出力部位たる電極は配線パターン13と各層10,9,8を貫通するスルーホール14のスルーホールメッキとを介して回路基板7の回路部に接続される。また各端子ピン19a〜19cは貫挿用孔15のスルーホールメッキを介して回路基板7の配線パターンと接続され、電源供給用端子ピン19aとグランド用端子ピン19cとを介して外部から動作電源の供給を受け、検出信号出力用端子ピン19bとランド用端子ピン19cとで外部へ検出信号を出力することができるようになる。
【0056】
このようにして焦電素子Xを回路ブロック3に実装するとともに回路ブロック3に対して端子ピン19a〜19cを接合する工程の後、これらの接合状態の検査を目視により行った後、キャップ2の鍔部2aをステム1の環状段部1b上に載置した状態で溶接することで、キャップ2とステム1とからなる容器内を封止して気密構造とした所望の赤外線検出器Aが図1(c)に示すように完成することになる。
【0057】
尚赤外線検出器Aの回路部の構成は基本的には図12の従来例と同様な回路構成からなり、図4に示すようにグランドレベルに対して正、負の何れかの方向のレベルを持つ焦電素子Xの検出出力を増幅する電流増幅回路100と、ノイズ成分を除去するためのバンドパスフィルタ101と、このバンドパスフィルタ101から出力される検出出力のレベルと閾値とを比較することで検出信号Sを出力するウィンドコンパレータ102とで構成される。尚図4における電源入力端、検出信号出力端、グランド接続端には夫々に対応する端子ピンの符号を付している。
【0058】
以上のように構成された本実施形態の赤外線検出器Aは、回路ブロック3と各端子ピン19a〜19cとの接合が回路ブロック3の上面で行われるため、焦電素子Xの回路ブロック3への実装及び接合と、端子ピンの回路ブロックへの接合とを同じ工程で行えて工程数を削減でき、また接合状態の検査を目視により行うことが可能となるため製造工程での検査が容易に行える。
(実施形態2)
本実施形態の赤外線検知器Aは、実施形態1の構成に加えて、図5(a),(b)に示すように電源供給用端子ピン19aの突出部位と焦電素子Xの間及び検出信号出力用端子ピン19bの突出部位と焦電素子Xとの間に鉄、銅などの金属板材からなるシールド部材23を配設してこれら端子ピン19a、19bの突出部位と焦電素子Xとの間の容量結合を防ぐようにしてある。このシールド部材23は、例えばグランド電位(若しくは特定の電位)の部位に接続されるもので、この接続と固定のために、例えば導電ペースト(銀ペース)や半田を用いて配設位置に固定される。尚グランド電位に接続する場合には、配設位置まで例えばグランド用の接続ピン19cの接合部位と配設部位との間に配線パターンを形成しておく。またシールド効果を高めるために、シールド部材23をシールド層9aに対して垂直方向に立設し、且つ端子ピン19a、19bを接合する導電材21の高さ及び焦電素子Xの上面の高さよりも高くするとともに、端子ピン19a、19bの接合部位が焦電素子Xに対向しないような幅を持たせある。
【0059】
その他の構成は実施形態1と同じであるので、分解斜視図,回路構成図の図示及び説明は省略する。
【0060】
而して本実施形態の赤外線検知器Aは、焦電素子Xの検出出力部位と、電源供給用端子ピン19a、19bとの容量結合をシールド部材23によるシールド効果によって防ぐことができ、その結果感度劣化の防止や耐ノイズ性の向上が図れ、しかもシールド部材23の配設と、焦電素子Xの実装面とを同じとすることで、同じ工程で配設、実装が行える。
【0061】
尚本実施形態では、端子ピン19a、19bの両方に対応してシールド部材23を配設しているが、何れか一方に対応してシールド部材23を配設しても良い。またシールド部材23として、樹脂層体10の上面に嵩高に盛り上げた導電ペースや半田を用いても良い。
(実施形態3)
実施形態2に用いるシールド部材23は樹脂層体10の上面に配設した金属板材か,盛り上げた導電ペースや半田により構成しているが、本実施形態では、シールド部材23を配設する部位に対応して図6(a)に示すように樹脂層体10の上面から下面に貫通する垂直穴部24を設け、この垂直穴部24内に金属板材からなるシールド部材23を図6(b)に示すように挿入してシールド部材23をシールド層9aに電気的に接続するとともに固定する点に特徴があり、使用するシールド部材23は垂直穴部24に挿入固定した状態で樹脂層体10の上面から突出する部位の高さが端子ピン19a、19bを接合する導電材21の高さ及び焦電素子Xの高さよりも高くなるように形成した金属板材が用いられている。図7(a)は本実施形態の分解斜視図、図7(b)はシールド部材23の挿入前の状態を示す斜視図、図7(c)は挿入状態を示す斜視図である。尚シールド部材23の配設構成以外は実施形態1と同じであるので、同じ構成要素には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0062】
而して本実施形態の赤外線検出器Aは、焦電素子Xの検出出力部位と、電源供給用端子ピン19a、検出信号出力用端子ピン19との容量結合をシールド部材23によるシールド効果で防ぐことができる。
【0063】
尚本実施形態では、端子ピン19a、19bの両方に対応してシールド部材23を配設しているが、何れか一方に対応してシールド部材23を配設しても良い。またシールド部材23として、嵩高に盛り上げた導電ペースや半田を用いても良い。
【0064】
(実施形態4)
実施形態3ではシールド部材23を樹脂層体10に設けた垂直穴部24に挿入固定するものであったが、本実施形態では回路ブロック3を加熱プレスで形成する工程において、図8(a)に示すようにシールド層体9の上面の所定位置にシールド部材23を配設して半田付けや導電ペースト(銀ペースト)で予め接合した状態で実施形態1の場合と同様な加熱プレスを行うことで、シールド部材23を樹脂層8に内蔵した点に特徴がある。そして加熱プレスの工程で得られた回路ブロック3の上面からは図8(b)に示すようにシールド部材23の上端部が突出するのである。これにより図9(a)に示すように樹脂層体10の上面から突出する部位の高さが端子ピン19a、19bを接合する導電材21の高さ及び焦電素子Xの高さよりも高くなって、電源供給用端子ピン19a、検出信号出力用端子ピン19と焦電素子Xの容量結合を防ぐことができるのである。図9(b)は本実施形態の分解斜視図を示す。尚シールド部材23の配設構成以外は実施形態3と同じであるので、同じ構成要素には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0065】
而して本実施形態の赤外線検出器Aは、電源供給用端子ピン19a、検出信号出力用端子ピン19bと焦電素子Xとの容量結合をシールド部材23によるシールド効果によって防ぐことができ、その結果感度劣化の防止や耐ノイズ性の向上が図れ、しかもシールド部材23を樹脂層体10に内蔵することで、樹脂層形成時の加熱プレスと同時にシールド部材23の樹脂層内蔵が行え、そのため工程数の削減が図れ、またシールド部材23を樹脂層体8に内蔵することで、シールド部材23の状態を機械的に安定させることができる。
【0066】
尚本実施形態では、端子ピン19a、19bの両方に対応してシールド部材23を配設しているが、何れか一方に対応してシールド部材23を配設しても良い。またシールド部材23として、嵩高に盛り上げた導電ペースや半田を用いても良い。
(実施形態5)
実施形態4ではシールド部材23の上端部を樹脂層体10の上面より突出させているが、本実施形態は図10(a)、(b)に示すように樹脂層体108の一部を上方に膨出させるように加熱プレス加工し、この膨出部10a内にシールド部材23の上端部を内蔵させて点に特徴がある。尚シールド部材23の上端部の内蔵構成以外は実施形態4と同じであるので、同じ構成要素には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0067】
而して本実施形態の赤外線検出器Aは、実施形態4と同様に電源供給用端子ピン19a及び検出信号出力用端子ピン19bと焦電素子Xの検出出力部位との容量結合をシールド部材23によるシールド効果によって防ぐことができ、その結果感度劣化の防止や耐ノイズ性の向上が図れ、しかもシールド部材23を樹脂層体10に内蔵することで、樹脂層形成時の加熱プレスと同時にシールド部材23の樹脂層内蔵が行え、そのため工程数の削減が図れ、またシールド部材23全体を樹脂層体10に内蔵することで、シールド部材23の状態を機械的に安定させることができる。
【0068】
尚本実施形態では、端子ピン19a、19bの両方に対応してシールド部材23を配設しているが、何れか一方に対応してシールド部材23を配設しても良い。またシールド部材23として、嵩高に盛り上げた導電ペースや半田を用いても良い。
(実施形態6)
上述の実施形態1〜5はシールド部材23を樹脂層体10の上面より上方に突出させて端子ピン19a、19bの接合と、焦電素子Xの実装とを同じ工程で可能とするとともに外部から視認検査ができるようにしたものであるが、本実施形態は例えば電源供給用端子ピン19aの接合をシールド層体9の上面で行うために、加熱プレスによって回路ブロック3を形成する際に、上述の接合部位に対応する樹脂層10の側周壁部位の立ち上がり位置を図11(a)〜(c)に示すように接合部位の位置と焦電素子Xとの間となるように形成することで、電源供給用端子ピン19a〜19cの接合と焦電素子Xの実装とを同じ工程で行えるようにしている。また上述の側周壁部位の表面にメッキ等によりシールド層25aを形成して該側周壁部位をシールド壁25とし、このシールド壁25によって電源供給用端子ピン19aの接合部位と、焦電素子Xの検出出力部位との間の容量結合を防ぐようにしている。
【0069】
上述の構成以外は実施形態1と基本的には同じであるので、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0070】
而して、本実施形態では電源供給用端子ピン19aと焦電素子Xとの容量結合をシールド壁25によるシールド効果によって防ぐことができ、その結果感度劣化の防止や耐ノイズ性の向上が図れ、しかも加熱プレスによって回路ブロック3を形成する際に、樹脂層10にシールド壁24とする立ち上がり壁面を同時に形成することが可能となり、そのため工程の削減が図れる。
【0071】
尚図12(a)、(b)に示すように各端子ピン19a〜19cの接合をシールド層体9の上面部位で行う場合には、回路ブロック3の形成する際にこれら接合を回路ブロック3の上面側から行えるようにざぐり状の穴部26を形成し、焦電素子Xの回路ブロック3の上面側に端子ピン19a〜19cの暴露させるとともに、この穴部26の内周面にシールド層25aを形成してこの内周面をシールド壁25とすることで、接合部位と焦電素子Xの検出出力部位との間の容量結合を防ぐようにしても良い。
(実施形態7)
ところで実施形態1乃至6は、IC16を回路基板7にフリップ実装するものであったが、本実施形態はIC16をワイヤボンディング31により実装したものである。
【0072】
本実施形態の場合、図13(a)に示すように回路基板7の下面にIC16を実装し、電子部品17を樹脂層体8に埋設して回路ブロック3を形成している。そしてステム1上に回路ブロック3を実装する際には、図13(b)に示すようにIC16を実装した面側にスペーサ6を載置してスペーサ6の中央孔6aにIC16を収めるとともに、スペーサ6を回路基板7に接着固定し、この接着固定後、図13(c)に示すように中央孔6aに樹脂30を充填して封止し、その後接着固定したスペーサ6を介して回路ブロック3をステム1の搭載部1aに搭載してスペーサ6を搭載部1aに接着固定するのである。
【0073】
尚その他の構成等は実施形態1〜実施形態6の何れの構成でも良いので、ここでは、図示及び説明を省略し、また同じ構成要素には同じ符号を付す。また樹脂層体8にIC16を埋設する場合にあっても加熱プレス時にワイヤが断線しなければ、実施形態1の構成にも採用しても勿論良い。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)は実施形態1の分解斜視図、(b)は実施形態1のキャップを外した状態の斜視図、(c)は実施形態1の全体斜視図である。
【図2】実施形態1の一部省略した回路ブロックの断面図である。
【図3】実施形態1の回路ブロックの製造工程の説明図である。
【図4】実施形態1の回路構成図である。
【図5】(a)は実施形態2のキャップを外した状態の斜視図、(b)は実施形態2の一部省略した回路ブロックの断面図である。
【図6】(a)は実施形態3のシールド部材の挿着前の一部省略した回路ブロックの断面図、(b)は実施形態3のシールド部材の挿着後の一部省略した回路ブロックの断面図である。
【図7】(a)は実施形態3の分解斜視図、(b)は実施形態3のキャップを外し且つシールド部材を外した状態の分解斜視図、(c)は実施形態3のキャップを外し且つシールド部材の挿着後の斜視図である。
【図8】実施形態4の製造工程の説明図である。
【図9】(a)は実施形態4の一部省略した回路ブロックの断面図、(b)は実施形態4の分解斜視図である。
【図10】(a)は実施形態5の一部省略した回路ブロックの断面図、(b)は実施形態4のキャップを外した状態の斜視図である。
【図11】(a)は実施形態6のキャップを外した状態の斜視図、(b)は実施形態6のキャップを外した状態の上面図、(c)は実施形態6の回路ブロックの断面図である。
【図12】(a)は実施形態6の別の例のキャップを外した状態の斜視図、(b)は実施形態6の別の例のキャップを外した状態の上面図である。
【図13】(a)は実施形態7に用いる回路基板の斜視図、(b)〜(d)は実施形7に用いる回路ブロックのステムへの搭載工程説明図である。
【図14】赤外線検出器の回路構成図である。
【図15】(a)は従来例の断面図、(b)は従来例の実使用時の分解斜視図である。
【図16】(a)は別の従来例の3次元回路ブロックの分解斜視図、(b)は別の従来例のキャップを外した状態の斜視図、(c)は別の従来例の斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1 ステム
2 キャップ
3 回路ブロック
4 赤外線通過窓
5 光学フィルタ
6 スペーサ
7 回路基板
8 樹脂層体
9 シールド層体
9a シールド層
10 樹脂層体
11 凹部
16 IC
19a 電源供給用端子ピン
19b 検出信号出力用端子ピン
19c グランド用端子ピン
21 導電材
A 赤外線検出器
X 焦電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムと該ステム上に被着するキャップとからなるパッケージ用容器内部に熱線検出素子、電子回路要素を実装した回路ブロックを収納する赤外線検出器において、
前記回路ブロックは、上面に凹凸形状部を一体に形成して該凹凸形状部の凸部位を前記熱線検出素子の両端を支持し且つ電気的に接合する部位とし、凹部位を前記熱線検出素子の熱線検出部位の下方に設ける熱絶縁用の空間部位とした第1の樹脂層と、回路用配線パターンを形成して、前記電子回路要素を実装した回路基板を前記電子回路要素とともに埋設して前記第1の樹脂層の下方に設けられる第2の樹脂層と、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層の間に設けられ特定電位又はグランド電位を持つシールド層とを一体に備え、
前記ステムから前記キャップ内に突出している電源供給用、グランド用、検出信号出力用の何れかの端子ピンは、前記回路ブロックの下面から上面に貫通させて上端部を突出させるとともに、該上端部を前記回路ブロックの上面で回路部位に接合していることを特徴とする赤外線検出器。
【請求項2】
前記電源供給用端子ピン、前記検出信号出力用端子ピンの何れか一方若しくは両方と、前記熱線検出素子との間に、電位が前記特定電位又はグランド電位となっているシールド部を介在させていることを特徴とする請求項1記載の赤外線検出器。
【請求項3】
前記シールド部を介在させている位置は、前記回路ブロックの内方であることを特徴とする請求項2記載の赤外線検出器。
【請求項4】
前記電源供給用端子ピン、前記検出信号出力用端子ピンの何れか一方若しくは両方の前記回路ブロック上面での接合部位と、前記熱線検出素子との間の空間に介在するように、電位が前記特定電位又はグランド電位となっているシールド部を設けていることを特徴とする請求項2記載の赤外線検出器。
【請求項5】
前記シールド部を介在させている位置は、回路ブロックの内方から前記接合部位と前記熱線検出素子との間に亘る空間であることを特徴とする請求項2記載の赤外線検出器。
【請求項6】
前記シールド部は、前記接合部位と、前記熱線検出素子の検出出力部位との間の位置に、前記シールド層に対して垂直方向に且つ前記熱線検出素子の支持面より上方へ向けて突出させたシールド部材からなり、該シールド部材の電位を前記特定電位又はグランド電位としていることを特徴とする請求項請求項2乃至5の何れか1記載の赤外線検出器。
【請求項7】
前記シールド部材は、前記第1の樹脂層の上面から前記シールド層に至る垂直穴部に下部を挿着して、該垂直穴部から突出する部位の上端を前記熱線検出素子の上面より上方に配置していることを特徴とする請求項6記載の赤外線検出器。
【請求項8】
前記シールド部は、前記接合部位と、前記熱線検出素子の検出出力部位との間に位置する前記第1の樹脂層内に前記シールド層に対して垂直方向となるようにシールド部材を内蔵し、該シールド部材の電位を前記特定電位又はグランド電位としていることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項記載の赤外線検出器。
【請求項9】
前記シールド部材を内蔵している第1の樹脂層の部位を上方に膨出させるとともに、前記シールド部材の上端部を膨出部位内に延出させて該上端部の先端位置を前記熱線検出素子の上面以上としていることを特徴とする請求項8記載の赤外線検出器。
【請求項10】
前記シール部は、前記接合部位と、前記熱線検出素子の検出出力部位との間の位置に前記第1の樹脂層の立ち上がり壁面からなるシールド壁で形成されていることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項記載の赤外線検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−20420(P2008−20420A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194745(P2006−194745)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】