説明

走行制御装置

【課題】自動操舵制御中における運転者による操舵入力のフィーリングを向上させることが可能な走行制御装置を提供する。
【解決手段】自動操舵電流演算部は目標操舵角に基づいて自動操舵電流を算出する。補助操舵電流演算手段は運転者が入力し操舵トルクに基づいて補助操舵電流を算出する。要求度判定手段は、目標進路からの運転者の離脱要求の度合いを、運転者によるステアリングホイールへの操舵入力に基づいて判定する。補助操舵電流の出力割合は要求度判定手段が判定した運転者の離脱要求の度合いの高低に応じて増減する。自動操舵電流の出力割合は補助操舵電流の出力割合の増減に応じて減増する。出力割合設定手段は運転者の離脱要求の度合いが最も高く、第1の出力割合を上限の割合に設定した状態で、運転者の離脱要求の度合いが低下したと要求度判定手段が判定した場合、第1の出力割合を当該上限の割合よりも低い割合に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動操舵制御とパワーアシスト制御とを実行する車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動操舵制御とパワーアシスト制御とを実行する制御装置を備えた車両が知られている。
【0003】
特開2005−67322号公報には、車両の走行制御装置が記載されている。
【0004】
走行制御装置は、自車両の走行すべき目標進行路を設定する目標進行路設定手段と、自車位置を演算する自車位置演算手段と、自車進行路を推定する自車進行路推定手段と、自車位置と自車進行路と目標進行路とに応じて自車量の自動操舵制御を実行させる走行制御手段とを備える。走行制御手段は、前方における自車進行路の目標進行路からの距離の時間微分が増加傾向で、且つ、操舵トルクが予め設定した値を超えている場合、自車両の走行制御を中止する。
【0005】
また、特開2008−68677号公報には、車両のステアリングアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動電流を算出する自動操舵装置が記載されている。
【0006】
自動操舵装置は、自動操舵制御電流に第1補正係数を乗算したものと、パワーステアリング制御電流に第2補正係数を乗算したものとを合算することによりアクチュエータ駆動電流を算出する。運転者が入力する操舵トルクの絶対値が第1閾値未満の領域では、第1補正係数を100%に設定し、第2補正係数を0%に設定する。操舵トルクの絶対値が第1閾値以上第2閾値未満の領域では第1補正係数を100%から0%にリニアに減少させ、第2補正係数を0%から100%にリニアに増加させる。操舵トルクの絶対値が第2閾値以上の領域では、第1補正係数を0%に設定し、第2補正係数を100%に設定する。
【0007】
【特許文献1】特開2005−67322号公報
【特許文献2】特開2008−68677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特開2005−67322号公報や特開2008−68677号公報の構成では、自動操舵制御中において、所定のパラメータが閾値以上となった場合に自動操舵制御を中止してパワーステアリング制御に切り替える。このため、自動操舵制御が中止された後に再び自動操舵制御により車両を走行させるためには、その都度、自動操舵制御を開始させるスイッチを運転者が入力する必要があり、運転者の運転操作を煩雑にしてしまうおそれがあった。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、自動操舵制御中における運転者による操舵入力のフィーリングを向上させることが可能な走行制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明の走行制御装置は、車両位置検知手段と目標操舵角演算手段と自動操舵電流演算手段と操舵トルク検知手段とアシストトルク演算手段と補助操舵電流演算手段と要求度判定手段と出力割合設定手段と駆動電流出力手段とを備える。
【0011】
車両位置検知手段は、車両の現在位置を検知する。目標操舵角演算手段は、所定の目標進路と車両位置検知手段が検知した現在位置とに基づいて、車両を目標進路に従って走行させるための操舵角を目標操舵角として算出する。自動操舵電流演算手段は、目標操舵角演算手段が算出した目標操舵角に基づいて自動操舵電流を算出する。操舵トルク検知手段は、運転者によりステアリングホイールに入力された操舵トルクを検知する。アシストトルク演算手段は、操舵トルク検知手段が検知した操舵トルクに基づいてアシストトルクを算出する。補助操舵電流演算手段は、アシストトルク演算手段が算出したアシストトルクに基づいて補助操舵電流を算出する。要求度判定手段は、目標進路からの運転者の離脱要求の度合いを、当該運転者によるステアリングホイールへの操舵入力に基づいて判定する。出力割合設定手段は、要求度判定手段が判定した運転者の離脱要求の度合いの高低に応じて増減する第1の出力割合と、当該第1の出力割合の増減に応じて減増する第2の出力割合とを設定する。駆動電流出力手段は、出力割合設定手段が設定した第1の出力割合を補助操舵電流に乗じて出力補助操舵電流を算出し、出力割合設定手段が設定した第2の出力割合を自動操舵電流に乗じて出力自動操舵電流を算出し、出力自動操舵電流及び出力補助操舵電流を合算した駆動電流を、ステアリングアクチュエータへ出力する。
【0012】
出力割合設定手段は、運転者の離脱要求の度合いが最も高いと要求度判定手段が判定した場合、第1の出力割合を上限の割合に設定する。また、出力割合設定手段は、第1の出力割合を上限の割合に設定している状態で、運転者の離脱要求の度合いが低下したと要求度判定手段が判定した場合、第1の出力割合を当該上限の割合よりも低い割合に設定する。
【0013】
自動操舵電流とは、車両を目標進路に沿って走行させるためにステアリングアクチュエータを駆動する電流である。
【0014】
補助操舵電流とは、運転者のステアリング操作を補助(アシスト)するためにステアリングアクチュエータを駆動する電流である。
【0015】
運転者が目標進路から離脱する方向へステアリングホイールを操作した場合、車両を目標進路へ戻す方向へステアリングアクチュエータを駆動させる自動操舵電流を自動操舵電流演算手段が算出し、車両を目標進路から離脱させる方向へステアリングアクチュエータを駆動させる補助操舵電流を補助操舵電流演算手段が算出する。従って、自動操舵電流の値と補助操舵電流の値とは、その一方が正の値となり他方が負の値となる。このため、運転者が目標進路から離脱する方向へステアリングホイールを操作する場合、出力自動操舵電流は運転者がステアリングホイールを操作する際の抵抗力を発生させ、出力補助操舵電流はこの抵抗力に対向するアシスト力を発生させることになる。
【0016】
上記構成では、運転者の離脱要求の度合いが低い場合、補助操舵電流の出力割合である第1の割合が低くなり、自動操舵電流の出力割合である第2の割合が高くなる。
【0017】
例えば、運転者がステアリングホイールへの操舵入力を行っていない(例えば、操舵トルクが発生していない)場合、要求度判定手段が運転者の離脱要求の度合いが最も低いと判定し、出力割合設定手段が第1の出力割合をゼロパーセントに第2の出力割合を100パーセントにそれぞれ設定し、駆動電流出力手段がゼロパーセントの補助操舵電流と100パーセントの自動操舵電流とを合算した駆動電流を(実質的に自動操舵電流演算手段が算出した自動操舵電流をそのまま)出力する。従って、車両が目標進路に沿って走行する。
【0018】
運転者の離脱要求の度合いが高くなると、第1の割合が増加し、第2の割合が減少する。
【0019】
例えば、運転者がステアリングホイールへの操舵入力を行わず、100パーセントの自動操舵電流(駆動電流)によってステアリングアクチュエータが駆動され、車両が目標進路に沿って自動操舵走行している状態で、運転者が目標進路に障害物を発見して、運転者が目標進路から離脱しようとステアリングホイールへの操舵入力を行った場合、出力自動操舵電流が運転者のステアリングホイールへの操舵入力に対する抵抗力として作用する。また、運転者がステアリングホイールへ操舵入力を開始した(例えば、発生していなかった操舵トルクが発生した)ことに基づいて、要求度判定手段が運転者の離脱要求の度合いが高いと判定し、出力割合設定手段が第1の出力割合をゼロパーセントから増加させるとともに第2の出力割合を100パーセントから減少させる。従って、操舵トルクの発生に応じて、出力自動操舵電流による抵抗力が減少し、ステアリングホイールを操作するために必要な力が低減され、運転者は、障害物を回避するための操舵を容易に行うことができる。また、運転者がステアリングホイールへ強く操舵入力を行った(例えば、短時間に操舵トルクが急増した)ことに基づいて、出力割合設定手段が第1の出力割合を急激に増大させるとともに第2の出力割合を急激に減少させる。従って、操舵トルクの急増に応じて、出力自動操舵電流による抵抗力が急激に減少し、出力補助操舵電流によるアシスト力が急激に増大するため、運転者は、障害物を回避するための操舵を早期かつ容易に行うことができる。
【0020】
また、運転者の離脱要求の度合いが低下することに応じて、第1の割合が減少し、第2の割合が増加する。
【0021】
例えば、運転者がステアリングホイールへの操舵入力を弱くした(例えば、操舵トルクが小さくなった)場合、要求度判定手段が運転者の離脱要求の度合いが減少していると判定し、出力割合設定手段が第1の出力割合を減少させて第2の出力割合を増加させる。
【0022】
また、運転者の離脱要求の度合いが最も高いと判定して第1の出力割合を上限の割合に設定している状態で、運転者の離脱要求の度合いが低下したと判定した場合、第1の出力割合を当該上限の割合よりも低い割合に設定する。すなわち、出力割合設定手段は、第1の出力割合を上限の割合に設定する場合であっても、出力自動操舵電流を解除しない。
【0023】
例えば、運転者の離脱要求の度合いが最も高いと要求度判定手段が判定した場合、出力割合設定手段が第1の出力割合を100パーセントに設定して第2の出力割合をゼロパーセントに設定し、駆動電流出力手段が100パーセントの補助操舵電流とゼロパーセントの自動操舵電流とを合算した駆動電流を出力する。また、例えば、運転者がステアリングホイールへ所定値以上の操舵入力を行っている(例えば、操舵トルクが所定値以上の大きさである)場合に、運転者の離脱要求の度合いが最も高いと要求度判定手段が判定する。第1の出力割合が上限の割合に設定された状態であっても、運転者がステアリングホイールへの操舵入力を止めることにより、車両が自動操舵走行して目標進路へ戻る。従って、運転者が自動操舵制御を開始させるスイッチへの入力など煩雑な操作をすることなく、運転者がステアリングホイールへの操舵入力という通常の運転操作をすることによって、100パーセントの補助操舵電流(駆動電流)によって車両が走行する状態から、100パーセントの自動操舵電流(駆動電流)によって車両が自動操舵走行する状態まで、運転者の離脱要求の度合いに応じて車両が走行するため、運転者の操舵フィーリングを向上させることができる。
【0024】
また、要求度判定手段は、目標操舵角加速度演算手段と操舵角加速度検知手段と角加速度差分演算手段とを有してもよい。
【0025】
目標操舵角加速度演算手段は、目標操舵角演算手段が算出した目標操舵角に基づいて目標操舵角加速度を算出する。操舵角加速度検知手段は、ステアリングホイールに入力する操舵角加速度を検知する。角加速度差分演算手段は、目標操舵角加速度演算手段が算出した目標操舵角加速度と操舵角加速度検知手段が検知した操舵角加速度との差分を角加速度差分として算出する。要求度判定手段は、角加速度差分演算手段が算出した角加速度差分に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する。
【0026】
上記構成では、運転者及び出力自動操舵電流によってステアリングホイールへ入力される操舵角加速度と、目標操舵角に基づいた目標操舵角加速度との差分である角加速度差分に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する。すなわち、ステアリングホイールに入力する操舵角加速度のうち、出力自動操舵電流が作用する操舵角加速度を、目標操舵角加速度により除いた値に基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する。このため、例えば、ステアリングホイールに入力する操舵角加速度のみに基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する場合と比べて、運転者が実際にステアリングホイールへ入力した操舵角加速度に近い値に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定することができる。また、例えば、ステアリングホイールに入力する操舵角速度と目標操舵角に基づいた目標操舵角速度との差分に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する場合と比べて、判定をする単位時間前の値との相対的な変化量を求めることができるため、運転者がステアリングホイールへ短時間に速く操舵入力をした場合に、角加速度差分が増大し、急激に高くなる運転者の離脱要求の度合いを要求度判定手段が判定することができる。従って、例えば、車両が目標進路に沿って自動操舵走行している状態において、危険回避などの目的で緊急に目標進路から離脱しようとする運転者の離脱要求の度合いを、補助操舵電流の出力割合に早期にかつ的確に反映させることができる。
【0027】
また、要求度判定手段は、偏差演算手段と偏差微分演算手段と操舵トルク微分演算手段とをさらに有してもよい。
【0028】
偏差演算手段は、目標進路に対する車両位置検知手段が検知した現在位置の偏差を算出する。偏差微分演算手段は、偏差演算手段が算出した偏差を時間微分することにより偏差微分を算出する。操舵トルク微分演算手段は、操舵トルク検知手段が検知した操舵トルクを時間微分することにより操舵トルク微分を算出する。要求度判定手段は、偏差微分演算手段が算出した偏差微分と、操舵トルク微分演算手段が算出した操舵トルク微分と、角加速度差分演算手段が算出した角加速度差分とに基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する。
【0029】
上記構成では、操舵トルクの時間微分である操舵トルク微分に基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する。このため、例えば、操舵トルクに基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する場合と比べて、判定をする単位時間前の値との相対的な変化量を求めることができるため、運転者が短時間に強く操舵入力をした場合に、操舵トルク微分が増大し、急激に高くなる運転者の離脱要求の度合いを要求度判定手段が判定することができる。従って、例えば、車両が目標進路に沿って自動操舵走行している状態において、危険回避などの目的で緊急に目標進路から離脱しようとする運転者の離脱要求の度合いを、補助操舵電流の出力割合に早期にかつ的確に反映させることができる。
【0030】
また、目標進路に対する現在位置の偏差の時間微分である偏差微分に基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する。つまり、運転者によるステアリングホイールへの操舵入力に加えて、車両の状態によっても運転者の離脱要求の度合いを判定する。偏差微分は、短時間に大きく目標進路から現在位置が外れた場合に増大する値であり、例えば、角加速度差分や操舵トルク微分に基づいて運転者の離脱要求の度合いが高いと判定したことに応じて第1の割合を増大して車両が走行した結果として増大する値である。また、偏差微分に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定することにより、例えば、目標進路に対する現在位置の偏差に基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する場合と比べて、判定を実行する単位時間前の値との相対的な変化量を求めることができる。このため、例えば、車両が目標進路に沿って自動操舵走行している状態において、危険回避などの目的で緊急に目標進路から離脱しようとする運転者の離脱要求の度合いを、補助操舵電流の出力割合に早期にかつ的確に反映させることができる。
【0031】
また、偏差微分と操舵トルク微分と角加速度差分とに基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定するため、それぞれ単一の値に基づいて判定する場合に比べて、運転者の離脱要求の度合いの判定の正確性を向上させることができる。
【0032】
また、要求度判定手段は、重み付け設定手段と要求度演算手段とをさらに有してもよい。
【0033】
重み付け設定手段は、偏差微分演算手段が算出した偏差微分と、操舵トルク微分演算手段が算出した操舵トルク微分と、角加速度差分演算手段が算出した角加速度差分とにそれぞれ重み付けを設定する。要求度演算手段は、重み付け手段がそれぞれに重み付けを設定した偏差微分と操舵トルク微分と角加速度差分とを合算して運転者の離脱要求の度合いを算出する。重み付け設定手段は、角加速度差分には偏差微分よりも大きい重み付けを設定する
上記構成では、例えば、車両が目標進路に沿って自動操舵走行している状態において、危険回避などの目的で運転者がステアリングホイールへ操舵入力した場合に、角加速度差分は、偏差微分よりも早期に値が変化する。また、例えば、角加速度差分は、偏差微分よりも車両に対する風などの外乱で変化し難い。このため、角加速度差分には偏差微分よりも大きい重み付けを設定することにより、運転者による離脱要求の度合いの判定の正確性を向上させることができ、運転者による操舵入力のフィーリングを向上させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、自動操舵制御中における運転者による操舵入力のフィーリングを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0036】
図1は本発明の実施形態に係る走行制御装置を備えた車両の模式図であり、図2は図1の走行制御装置のブロック構成図であり、図3は車速と操舵力補助係数との関係を示すマップの例であり、図4は自動操舵電流演算処理のフローチャートであり、図5は補助操舵電流演算処理のフローチャートであり、図6は出力割合設定処理のフローチャートである。
【0037】
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、ステアリングホイール2と、センサ部3と、コントローラ4と、駆動電流出力部5と、ステアリングアクチュエータ6とを備える。センサ部3とコントローラ4と駆動電流出力部5とは、走行制御装置を構成する。
【0038】
ステアリングホイール2は、車両1の運転室内に設けられ、運転者が操舵入力を行う。
【0039】
図2に示すように、センサ部3は、カメラ31と、トルクセンサ32と、ヨーレートセンサ33と、ハンドル角度センサ34と、車速センサ35と、自動操舵スイッチ36とを備える。
【0040】
カメラ31は、CCDカメラであり、車両1の進行方向の路面を撮像し、撮像した撮像信号をコントローラ4へ出力する。
【0041】
本実施形態では、車両1の進行路の両側に形成された白線の間の目標進路を自動操舵により走行するため、カメラ31は、進行方向の路面に形成された白線を撮像する。
【0042】
トルクセンサ32は、操舵トルク検知手段を構成し、運転者によりステアリングホイール2に入力された操舵トルクThを検出し、検出した操舵トルクThをコントローラ4へ出力する。
【0043】
ヨーレートセンサ33は、旋回走行時に車両1に発生するヨーレートφ’(回転角速度:rad/s)を(左回転を正方向として)検出し、検出したヨーレートφ’をコントローラ4へ出力する。
【0044】
ハンドル角度センサ34は、ステアリングホイール2に入力する操舵角θ(rad)を検出し、検出した操舵角θをコントローラ4へ出力する。
【0045】
車速センサ35は、車両1の車速V(m/s)を検出し、検出した車速Vをコントローラ4へ出力する。
【0046】
自動操舵スイッチ36は、車両1の運転室内に設けられ、オン信号とオフ信号とをコントローラ4へ出力する。自動操舵スイッチ36は、電源投入による初期設定時にはオフが設定され、運転者によってオンに設定される。自動操舵スイッチ36がオフである場合、補助操舵電流iassが常時、100パーセントの出力割合でステアリングアクチュエータ6へ出力する。また、自動操舵スイッチ36が運転者によってオンに設定された場合、自動操舵電流iautoと補助操舵電流iassとが算出され、それぞれの出力割合が設定される。以下、本実施形態では、自動操舵スイッチ36がオンに設定されている状態を説明する。
【0047】
図2に示すように、コントローラ4は、目標進路検知部41と車両位置検知部42と目標操舵角演算部43と自動操舵電流演算部44とアシストトルク演算部45と補助操舵電流演算部46とヨーレート演算部47と要求度判定部7と出力割合設定部8とを有するCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。コントローラ4には、センサ部3から各種信号が逐次入力する。
【0048】
目標進路検知部41は、路面の目標進路を検知する。目標進路とは、車両1が自動操舵によって走行する走行進路のことであり、路面には、目標進路の両側にそれぞれ沿って白線が付されている。目標進路検知部41は、カメラ31が撮像した撮像信号を解析して路面の白線を検出し、検出した白線に基づいて、進行方向の白線と白線との間の中央の位置(進路)を目標進路として検知する。
【0049】
車両位置検知部42は、車両位置検知手段を構成し、車両1の現在位置を検知する。車両位置検知部42は、目標進路検知部41が検知した目標進路に対する相対的な車両1の現在の位置を現在位置として判定する。
【0050】
なお、本実施形態では、目標進路と現在位置とを検知するために、カメラ31が撮像した撮像信号を使用するが、目標進路と現在位置とを検知するためには、カメラ31の撮像信号に限らず、位置を特定できる他の情報を使用してもよい。例えば、GPSによって検知された情報を受信して、受信した情報に基づいて目標進路と現在位置とを検知してもよい。また、路面に目標進路に沿って予め情報発生装置を設け、当該情報発生装置から目標進路の位置情報を取得して目標進路と現在位置とを検知してもよい。
【0051】
目標操舵角演算部43は、目標操舵角演算手段を構成し、目標進路検知部41が検知した目標進路と車両位置検知部42が検知した現在位置とに基づいて、車両1を目標進路に従って走行させるための操舵角を目標操舵角δとして算出する。具体的には、目標操舵角演算部43は、目標進路のうち車両1前方の所定距離の位置と車両1の中心を結ぶ第1のラインを算出するとともに、車両1の車幅方向中心から車両1前方へ延ばした第2のラインを算出し、第1のラインと第2のラインとの水平面における角度を算出し、算出した角度と車速センサ35が検出する速度Vに基づいて、目標操舵角δを算出する。
【0052】
ヨーレート演算部47は、ヨーレートセンサ33から入力したヨーレートφ’を所定時間毎に積分してヨーレート積分φを算出する。また、ヨーレート演算部47は、ヨーレートセンサ33から入力したヨーレートφ’を所定時間毎に微分してヨーレート微分φ’’を算出する。ヨーレート演算部47は、ヨーレート積分φとヨーレート微分φ’’とを自動操舵電流演算部44へ出力する。
【0053】
自動操舵電流演算部44は、自動操舵電流演算手段を構成し、自動操舵電流iautoを算出する。具体的には、目標操舵角演算部43が算出した目標操舵角δと、車速センサ35が検出した車速Vと、ヨーレートセンサ33が検出したヨーレートφ’と、ヨーレート演算部47が算出したヨーレート積分φ及びヨーレート微分φ’’と、後述する偏差演算部74が算出した道路偏差yと、後述する偏差微分演算部75が算出した偏差微分y’及び偏差二回微分y’’とに基づいて自動操舵電流iautoを算出する。自動操舵電流演算部44は、目標操舵角δにステアリングホイール2を駆動するために、ステアリングアクチュエータ6に対して、左右どちらの方向にどれくらいの電流の量が必要であるか算出する。自動操舵電流iautoとは、車両1を目標進路に沿って走行させるためにステアリングアクチュエータ6を駆動する電流である。自動操舵電流演算部44が算出した自動操舵電流iautoが駆動電流出力部5に入力する。
【0054】
アシストトルク演算部45は、アシストトルク演算手段を構成し、トルクセンサ32が検知した操舵トルクThに基づいてアシストトルクTaを算出する。具体的には、アシストトルク演算部45は、ROMに記憶されたマップ(図3に示す)に基づいて、車速センサ35から入力する車速Vに対応した操舵力補助係数kを求める。ここで、アシストトルクTaと操舵トルクThと操舵力補助係数kとにTa=k×Thの関係があるため、アシストトルク演算部45は、この数式に基づいて、アシストトルクTaを算出する。
【0055】
補助操舵電流演算部46は、補助操舵電流演算手段を構成し、アシストトルク演算部45が算出したアシストトルクTaに基づいて補助操舵電流iassを算出する。具体的には、補助操舵電流演算部46は、ステアリングホイール2を駆動してアシストトルクTaを発生させるために、左右どちらの方向にどれくらいの電流の量が必要であるか算出する。補助操舵電流iassとは、運転者のステアリング操作を補助(アシスト)するためにステアリングアクチュエータ6を駆動する電流である。補助操舵電流演算部46が算出した補助操舵電流iassが、駆動電流出力部5に入力する。
【0056】
要求度判定部7は、要求度判定手段を構成し、目標進路からの運転者の離脱要求の度合いを、運転者によるステアリングホイール2への操舵入力に基づいて判定する。
【0057】
要求度判定部7は、目標操舵角加速度演算部71と、操舵角加速度演算部72と、角加速度差分演算部73と、偏差演算部74と、偏差微分演算部75と、操舵トルク微分演算部76と、重み付け設定部77と、要求度演算部78と、離脱要求判定部79とを有する。
【0058】
目標操舵角加速度演算部71は、目標操舵角加速度演算手段を構成し、目標操舵角演算部43が算出した目標操舵角δに基づいて目標操舵角加速度δ’’を算出する。具体的には、目標操舵角加速度演算部71は、所定時間毎に、目標操舵角δを時間微分して目標操舵角速度δ’を算出し、また、目標操舵角速度δ’を時間微分して目標操舵角加速度δ’’を算出する。
【0059】
操舵角加速度演算部72は、ハンドル角度センサ34とともに操舵角加速度検知手段を構成し、ハンドル角度センサ34から入力した操舵角θに基づいてステアリングホイール2に入力する操舵角加速度θ’’を算出する。具体的には、操舵角加速度演算部72は、所定時間毎に、操舵角θを時間微分して操舵角速度θ’を算出するとともに、操舵角速度θ’を時間微分して操舵角加速度θ’’を算出する。
【0060】
角加速度差分演算部73は、角加速度差分演算手段を構成し、目標操舵角加速度演算部71が算出した目標操舵角加速度δ’’と、操舵角加速度演算部72が算出した操舵角加速度θ’’との差分を角加速度差分として算出する。
【0061】
偏差演算部74は、偏差演算手段を構成し、目標進路検知部41が検知した目標進路に対する、車両位置検知部42が検知した現在位置の道路偏差yを算出する。道路偏差yは、目標進路のうち現在位置に近い位置とから外れている割合であり、車両1の車幅方向両側方の路面の白線と車両1の現在位置とに基づいて算出する。具体的には、目標進路と現在位置とが重なった場合にゼロパーセントの道路偏差yであると算出し、進行方向左側の白線以上左方向へずれた場合に左側100パーセントの道路偏差yであると算出し、進行方向右側の白線以上右方向へずれた場合に右側100パーセントの道路偏差yである算出する。なお、本実施形態では、道路偏差yを外れている割合で算出するが、目標進路に対する距離に基づいて道路偏差yを算出してもよい。
【0062】
偏差微分演算部75は、偏差微分演算手段を構成し、偏差演算部74が算出した道路偏差yを所定時間毎に時間微分することにより偏差微分y’を算出する。また、偏差微分演算部は、偏差微分y’を所定時間毎に時間微分することにより偏差二回微分y’’を算出する。
【0063】
操舵トルク微分演算部76は、操舵トルク微分演算手段を構成し、トルクセンサ32が検知した操舵トルクThを、所定時間毎に時間微分することにより操舵トルク微分Th’を算出する。
【0064】
重み付け設定部77は、重み付け設定手段を構成し、角加速度差分演算部73が算出した角加速度差分と、偏差微分演算部75が算出した偏差微分y’と、操舵トルク微分演算部76が算出した操舵トルク微分Th’とにそれぞれ重み付けを設定する。具体的には、それぞれに対して重み付けの値を乗算する。重み付けの値は予めROMに記憶されている。
【0065】
ROMに記憶されている重み付けの値は、偏差微分y’に設定するものよりも、角速度差分に設定するものが大きく、重み付け設定部77は、角加速度差分には偏差微分y’よりも大きい重み付けを設定する。具体的には、偏差微分y’に設定する重み付けが操舵トルク微分Th’に設定する重み付けよりも小さく設定され、角加速度差分に設定する重み付けが操舵トルク微分Th’に設定する重み付けよりも大きく設定する。
【0066】
なお、本実施形態では、重み付け設定部77が偏差微分y’と操舵トルク微分Th’と角加速度差分とに重み付けを設定するが、重み付けを設定しなくてもよい。また、重み付け設定部77が設定する重み付けの値は、定数に限らず、車両1の状態に応じて変化させてもよい。
【0067】
要求度演算部78は、要求度演算手段を構成し、重み付け設定部77がそれぞれに重み付けを設定した偏差微分y’と操舵トルク微分Th’と角加速度差分とを合算して運転者の離脱要求の度合いを算出する。
【0068】
これらにより、重み付け設定部77と要求度演算部78とは、具体的には、式(1)において、hに偏差微分y’を代入し、hに操舵トルク微分Th’を代入し、hに角加速度微分を代入し、eに偏差微分y’の重み付けを代入し、eに操舵トルク微分Th’の重み付けを代入し、eに角加速度微分の重み付けを代入することによって、運転者の離脱要求の度合いEを算出する。
【0069】
【数1】

なお、eとeとeとは、e<e<eの関係を有する。
【0070】
離脱要求判定部79は、要求度演算部78が算出した値に基づいて、目標進路からの運転者の離脱要求の度合いを判定する。離脱要求判定部79は、運転者の離脱要求の度合いを、最も低い度合いから最も高い度合いまで、複数段階で判定する。本実施形態では、要求度演算部78が算出する値と、運転者の離脱要求の度合いとの関係が、予めROMに記憶されている。なお、離脱要求判定部79が判定する運転者の離脱要求の度合いは、これに限らず、要求度演算部78が算出した値に基づいた段階的な度合いや、ROMに記憶されたテーブルに基づいた線形な度合いや、ファジィ理論に基づいた度合いなど、様々な方法で判定することができる。また、本実施形態では、運転者によるステアリングホイール2への操舵入力である操舵トルク微分Th’と角加速度差分とを使用するとともに、車両1の状態である偏差微分を使用することによって、運転者によるステアリングホイール2への操舵入力と、車両1の状態とに基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する。なお、本実施形態では、離脱要求判定部79は、偏差微分y’と操舵トルク微分Th’と角加速度差分とに基づいて、目標進路からの運転者の離脱要求の度合いを判定するが、これに限らず、例えば、角加速度差分のみに基づいて、簡易的に運転者の離脱要求の度合いを判定してもよい。
【0071】
出力割合設定部8は、出力割合設定手段を構成し、離脱要求判定部79が判定した運転者の離脱要求の度合いの高低に応じて増減する第1の出力割合と、当該第1の出力割合の増減に応じて減増する第2の出力割合とを設定する。
【0072】
本実施形態では、離脱要求判定部79が判定した運転者の離脱要求の度合いに対する第1の出力割合の関係がROMに記憶されており、出力割合設定部8は、ROMに記憶されている運転者の離脱要求の度合いと第1の出力割合との関係に基づいて、第1の割合を設定する。第1の割合は、ゼロから1までの値(ゼロパーセントから100パーセントの値)である。
【0073】
これらにより、運転者の離脱要求の度合いを要求度演算部78が算出し、当該運転者の離脱要求の度合いを離脱要求判定部79が判定し、離脱要求判定部79の判定に基づいて、出力割合設定部8が第1の出力割合を設定する。具体的には、ROMに記憶されている運転者の離脱要求の度合いと第1の出力割合との関係は、複数段階で記憶される。要求度演算部78が算出した運転者の離脱要求の度合いが第1の閾値以上の場合、離脱要求判定部79が運転者の離脱要求が最も高いと判定し、出力割合設定部8が第1の出力割合を上限の割合に設定する。例えば、偏差微分y’の大きさにかかわらず、角加速度差分が大きく、操舵トルク微分Th’が大きい場合に運転者の離脱要求の度合いが第1の閾値以上となる。また、要求度演算部78が算出した運転者の離脱要求の度合いが高い場合、離脱要求判定部79が運転者の離脱要求が高いと判定し、出力割合設定部8が第1の出力割合を高く設定する。また、要求度演算部78が算出した運転者の離脱要求の度合いが中程度の場合、離脱要求判定部79が運転者の離脱要求が中程度であると判定し、出力割合設定部8が第1の出力割合を50パーセントに設定する。また、要求度演算部78が算出した運転者の離脱要求の度合いが低い場合、離脱要求判定部79が運転者の離脱要求が低いと判定し、出力割合設定部8が第1の出力割合を低く設定する。また、要求度演算部78が算出した運転者の離脱要求の度合いが最も低い(要求度演算部78が算出した算出値が第2の閾値以下である)場合、離脱要求判定部79が運転者の離脱要求が最も低いと判定し、出力割合設定部8が第1の出力割合をゼロパーセントに設定する。例えば、偏差微分y’が所定の値以下であり、角加速度差分がゼロであり、操舵トルク微分Th’がゼロである場合に運転者の離脱要求の度合いが第2の閾値以下となる。
【0074】
また、出力割合設定部8は、第2の割合を、1マイナス第1の割合によって、ゼロから1までの割合(ゼロパーセントから100パーセントの値)に設定する。
【0075】
また、出力割合設定部8は、第1の出力割合を上限の割合に設定している状態で、運転者の離脱要求の度合いが低下したと離脱要求判定部79が判定した場合、第1の出力割合を当該上限の割合よりも低い割合に設定する。すなわち、出力割合設定部8は、運転者の離脱要求の度合いが最も高いと離脱要求判定部79が判定した場合、単に、最も高い運転者の離脱要求に応じて第1の出力割合を上限の割合に設定するだけであり、その他、特別な状態への切り換え(例えば、その後に第1の出力割合を上限の割合に設定し続けること)はしない。
【0076】
なお、本実施形態では、出力割合設定部8は、第1の出力割合と第2の出力割合とを、ゼロパーセントから100パーセントの値に設定するが、これに限らず、第1の出力割合と第2の出力割合とを、例えば、ゼロパーセントより大きく100パーセント未満の値に設定してゼロパーセントと100パーセントの値にならない構成であってもよい。また、本実施形態では、第1の出力割合と第2の出力割合とを足すと100パーセントになるが、これに限らず、100パーセント以外になってもよい。
【0077】
駆動電流出力部5には、自動操舵電流演算部44が算出した自動操舵電流iautoと、補助操舵電流演算部46が算出した補助操舵電流iassとがそれぞれ別々に入力する。駆動電流出力部5は、入力する補助操舵電流iassに出力割合設定部8が設定した第1の出力割合を乗じた出力補助操舵電流と、入力する自動操舵電流iautoに出力割合設定部8が設定した第2の出力割合を乗じた出力自動操舵電流とを合算した駆動電流iacを、ステアリングアクチュエータ6へ出力する。なお、本実施形態では、駆動電流出力部5に自動操舵電流iautoと補助操舵電流iassとが入力するが、これに限らず、自動操舵電流演算部44が算出した計算値と補助操舵電流演算部46が算出した計算値とに基づいて駆動電流iacの計算値を算出し、算出した駆動電流iacの計算値に基づいた電流をステアリングアクチュエータ6へ出力してもよい。
【0078】
ステアリングアクチュエータ6は、駆動電流出力部5から入力した駆動電流iacによって駆動する。また、ステアリングアクチュエータ6が駆動すると、ステアリングホイール2が連動する。
【0079】
次に、本実施形態の走行制御装置による走行制御処理について説明する。
【0080】
走行制御処理では、自動操舵電流演算処理と、補助操舵電流演算処理と、出力割合設定処理とを実行する。
【0081】
まず、自動操舵電流iautoを算出する自動操舵電流演算処理について、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0082】
以下の説明において使用する記号の定義は以下の通りである。
I:車両1の慣性モーメント(kg・m2
M:車両1の質量(kg)
:前輪コーナリングパワー(N/rad)
:後輪コーナリングパワー(N/rad)
:車両重心点から前輪軸までの距離(m)
:車両重心点から後輪軸までの距離(m)
まず、ステップS11では、コントローラ4が必要なパラメータを読み込む。
【0083】
コントローラ4は、カメラ31、トルクセンサ32、ヨーレートセンサ33、車速センサ35などから各種信号を読み込む。また、読み込んだパラメータに基づいて、時間微分や積分などの必要な演算を行う。
【0084】
次に、ステップS12では、目標進路検知部41が目標進路を検知する。
【0085】
次に、ステップS13では、車両位置検知部42が現在位置を検知する。
【0086】
次に、ステップS14では、目標操舵角演算部43が目標操舵角δを算出する。
【0087】
ここで、操舵系の状態方程式として、式(2)が導出されている。
【0088】
【数2】

また、車線追従規則として、式(3)の評価関数が得られている。
【0089】
【数3】

式(3)の評価関数Jを最小化するレギュレータへの最適な目標操舵角δ入力は、式4
で表わされる。
【数4】

Kはゲインを示す定数である。
【0090】
次に、ステップS15では、自動操舵電流演算部44が、自動操舵電流iautoを算出する。
【0091】
ここで、目標操舵角δには、式(5)に示すように、ステアリングアクチュエータ6への自動操舵電流iaoutoと2次遅れ系の関係がある。
【0092】
【数5】

自動操舵電流演算部44は、式(5)に基づいて、自動操舵電流iautoを算出する。
【0093】
次にステップS16では、自動操舵電流演算部44が、自動操舵電流iautoを駆動電流出力部5へ出力し、本処理を終了する。
【0094】
次に、補助操舵電流iassを算出する補助操舵電流演算処理について、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0095】
先ず、ステップS21では、アシストトルク演算部45が、ROMに記憶されたマップ(図3に示す)に基づいて車速センサ35から入力する車速Vに対応した操舵力補助係数kを求める。
【0096】
次に、ステップS22では、アシストトルク演算部45が、トルクセンサ32から入力する操舵トルクThを取得する。
【0097】
次に、ステップS23では、アシストトルク演算部45が、アシストトルクTaを算出する。アシストトルクTaと操舵トルクThと操舵力補助係数kとには、Ta=k×Thの関係があるため、かかる数式に基づいて、アシストトルクTaを算出する。
【0098】
なお、路面から操舵系への反力によるトルクをTとすると、操舵トルクThとアシストトルクTaとの関係から、T=Th+Ta=(1+k)Thの関係となっている。
【0099】
次に、ステップS24では、補助操舵電流演算部46が、補助操舵電流iassを算出する。ここで、補助トルクTaは、補助操舵電流iassに対して、式(6)に示す1次遅れの関数によって表される。
【0100】
【数6】

なお、Kはゲインであり、Tは応答時間である。
【0101】
補助操舵電流演算部46は、数式6に基づいて、補助操舵電流iassを算出する。
【0102】
次に、ステップS25では、算出した補助操舵電流iassを、駆動電流出力部5へ出力して本処理を終了する。
【0103】
次に、第1の出力割合と第2の出力割合と設定する出力割合設定処理について、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0104】
まず、ステップS31では、目標操舵角加速度演算部71が、目標操舵角加速度δ’’を算出する。
【0105】
次に、ステップS32では、操舵角加速度演算部72が、操舵角加速度θ’’を算出する。
【0106】
次に、ステップS33では、角加速度差分演算部73が、ステップS31で算出した目標操舵角加速度δ’’と、ステップS32で算出した操舵角加速度θ’’との差分である角加速度差分を算出する。
【0107】
次に、ステップS34では、操舵トルク微分演算部76が、操舵トルク微分Th’を算出する。
【0108】
次に、ステップS35では、偏差演算部74が、道路偏差yを算出する。
【0109】
次に、ステップS36では、偏差微分演算部75が、偏差微分y’を算出する。
【0110】
次に、ステップS37では、重み付け設定部77が、ステップS33で算出した角加速度差分と、ステップS34で算出した操舵トルク微分Th’と、ステップS36で算出した偏差微分y’とにそれぞれ、ROMに記憶されている重み付けを設定する。
【0111】
次に、ステップS38では、要求度演算部78が、ステップS37で重み付けが設定された角加速度差分と操舵トルク微分Th’と偏差微分y’とを合算して、目標進路に対する運転者の離脱要求の度合いを算出する。
【0112】
次に、ステップS39では、離脱要求判定部79が、ステップS38で要求度演算部78が算出した値に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する。
【0113】
次に、ステップS40では、出力割合設定部8が、ステップS39で離脱要求判定部79が判定した運転者の離脱要求の度合いに応じて、第1の割合を求める。これにより、第1の出力割合が、最小の割合であるゼロパーセントから最大の割合である100パーセントまでの変化範囲で設定される。
【0114】
次に、ステップS41では、出力割合設定部8が、1マイナス第1の割合により、第2の割合を求める。
【0115】
次に、ステップS42では、駆動電流出力部5が、駆動電流iacを、ステアリングアクチュエータ6へ出力する。駆動電流出力部5は、ステップS40で求めた第1の出力割合を補助操舵電流iassに乗じて出力補助操舵電流を算出し、ステップS41で求めた第2の出力割合を自動操舵電流iautoに乗じて出力自動操舵電流を算出し、出力自動操舵電流及び出力補助操舵電流を合算した駆動電流iacを、ステアリングアクチュエータ6へ出力する。
【0116】
本実施形態では、運転者が目標進路から離脱する方向へステアリングホイール2を操作した場合、車両1を目標進路へ戻す方向へステアリングアクチュエータ6を駆動させる自動操舵電流iautoを自動操舵電流演算部44が算出し、車両1を目標進路から離脱させる方向へステアリングアクチュエータ6を駆動させる補助操舵電流iassを補助操舵電流演算部46が算出する。従って、自動操舵電流iautoの値と補助操舵電流iassの値とは、その一方が正の値となり他方が負の値となる。このため、運転者が目標進路から離脱する方向へステアリングホイール2を操作する場合、出力自動操舵電流は運転者がステアリングホイール2を操作する際の抵抗力を発生させ、出力補助操舵電流はこの抵抗力に対向するアシスト力を発生させることになる。
【0117】
また、運転者が目標進路から離脱する方向へステアリングホイール2を操作した状態において、出力自動操舵電流の絶対値が出力補助操舵電流の絶対値よりも大きい場合、ステアリングアクチュエータ6が車両1を目標進路へ戻す方向へ駆動し、出力自動操舵電流の絶対値が出力補助操舵電流の絶対値よりも小さい場合、ステアリングアクチュエータ6が車両1を目標進路から離脱する方向へ駆動する。
【0118】
運転者の離脱要求の度合いが低い場合、補助操舵電流iassの出力割合である第1の割合が低くなり、自動操舵電流iautoの出力割合である第2の割合が高くなる。
【0119】
運転者がステアリングホイール2への操舵入力を行っていない場合(偏差微分が所定の値以下であり、角加速度差分がゼロであり、操舵トルク微分Th’がゼロである場合)、要求度演算部78が算出した運転者の離脱要求の度合いが第2の閾値以下であり、離脱要求判定部79が運転者の離脱要求の度合いが最も低いと判定し、出力割合設定部8が第1の出力割合をゼロパーセントに第2の出力割合を100パーセントにそれぞれ設定し、駆動電流出力部5がゼロパーセントの補助操舵電流iassと100パーセントの自動操舵電流iautoとを合算した駆動電流iacを(実質的に自動操舵電流演算部44が算出した自動操舵電流iautoをそのまま)ステアリングアクチュエータ6へ出力する。従って、車両1が目標進路に沿って自動操舵走行する。
【0120】
運転者の離脱要求の度合いが高くなると、第1の割合が増加し、第2の割合が減少する。
【0121】
運転者がステアリングホイール2への操舵入力を行わず、100パーセントの自動操舵電流iauto(駆動電流iac)によって車両1が目標進路に沿って自動操舵走行している状態で、運転者が目標進路に障害物を発見して、運転者が目標進路から離脱しようとステアリングホイール2への操舵入力を行った場合、出力自動操舵電流が運転者のステアリングホイール2への操舵入力に対する抵抗力として作用する。また、運転者がステアリングホイール2へ操舵入力を開始した(例えば、角加速度差分がゼロより大きくなり、操舵トルク微分Th’がゼロより大きくなった)ことに基づいて、離脱要求判定部79が運転者の離脱要求の度合いが高いと判定し、出力割合設定部8が第1の出力割合をゼロパーセントから増加させるとともに第2の出力割合を100パーセントから減少させる。従って、角加速度差分や操舵トルク微分Th’の発生に応じて、出力自動操舵電流による抵抗力が減少し、ステアリングホイール2を操作するために必要な力が低減され、運転者は、障害物を回避するための操舵を容易に行うことができる。また、運転者がステアリングホイール2へ強く操舵入力を行った(例えば、短時間に角加速度差分と操舵トルク微分Th’とが急増した)ことに基づいて、出力割合設定部8が第1の出力割合を急激に増大させるとともに第2の出力割合を急激に減少させる。従って、操舵トルクの急増に応じて、出力自動操舵電流による抵抗力が急激に減少し、出力補助操舵電流によるアシスト力が急激に増大するため、運転者は、障害物を回避するための操舵を早期にかつ容易に行うことができる。
【0122】
また、運転者の離脱要求の度合いが低下することに応じて、第1の割合が減少し、第2の割合が増加する。
【0123】
運転者がステアリングホイール2への操舵入力を弱くした(角加速度差分が小さくなり、操舵トルク微分Th’が小さくなった)場合、離脱要求判定部79が運転者の離脱要求の度合いが減少していると判定し、出力割合設定部8が第1の出力割合を減少させて第2の出力割合を増加させる。
【0124】
また、運転者の離脱要求の度合いが最も高いと判定して第1の出力割合を上限の割合に設定している状態で、運転者の離脱要求の度合いが低下したと判定した場合、第1の出力割合を当該上限の割合よりも低い割合に設定する。すなわち、出力割合設定部8は、第1の出力割合を上限の割合に設定する場合であっても、出力自動操舵電流を解除しない。
【0125】
運転者の離脱要求の度合いが最も高いと離脱要求判定部79が判定した場合、出力割合設定部8が第1の出力割合を100パーセントに設定して第2の出力割合をゼロパーセントに設定し、駆動電流出力部5が100パーセントの補助操舵電流iassとゼロパーセントの自動操舵電流iautoとを合算した駆動電流iacを出力する。また、運転者がステアリングホイール2へ所定値以上の操舵入力を行っている場合(偏差微分の大きさにかかわらず、角加速度差分が大きく、操舵トルク微分Th’が大きい場合)に、運転者の離脱要求の度合いが最も高いと離脱要求判定部79が判定する。第1の出力割合が上限の割合に設定された状態であっても、運転者がステアリングホイール2への操舵入力を止めることにより、車両1が自動操舵走行して目標進路へ戻る。従って、運転者が自動操舵制御を開始させるスイッチへの入力など煩雑な操作をすることなく、運転者がステアリングホイール2への操舵入力という通常の運転操作をすることによって、100パーセントの補助操舵電流iass(駆動電流iac)によって車両1が走行する状態から、100パーセントの自動操舵電流iauto(駆動電流iac)によって車両1が自動操舵走行する状態まで、運転者の離脱要求の度合いに応じて車両1が走行するため、運転者の操舵フィーリングを向上させることができる。
【0126】
また、運転者及び出力自動操舵電流によってステアリングホイール2へ入力される操舵角加速度と、目標操舵角に基づいた目標操舵角加速度との差分である角加速度差分に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する。すなわち、ステアリングホイール2に入力する操舵角加速度のうち、出力自動操舵電流が作用する操舵角加速度を、目標操舵角加速度により除いた値に基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する。このため、例えば、ステアリングホイール2に入力する操舵角加速度のみに基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する場合と比べて、運転者が実際にステアリングホイール2へ入力した操舵角加速度に近い値に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定することができる。また、例えば、ステアリングホイール2に入力される操舵角速度と目標操舵角に基づいた目標操舵角速度との差分に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する場合と比べて、判定をする単位時間前の値との相対的な変化量を求めることができるため、運転者がステアリングホイール2へ短時間に速く操舵入力をした場合に、角加速度差分が増大し、急激に高くなる運転者の離脱要求の度合いを離脱要求判定部79が判定することができる。従って、例えば、車両1が目標進路に沿って自動操舵走行している状態において、危険回避などの目的で緊急に目標進路から離脱しようとする運転者の離脱要求の度合いを、補助操舵電流iassの出力割合に早期にかつ的確に反映させることができる。
【0127】
また、操舵トルクの時間微分である操舵トルク微分Th’に基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する。このため、例えば、操舵トルクThに基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する場合と比べて、判定をする単位時間前の値との相対的な変化量を求めることができるため、運転者が短時間に強く操舵入力をした場合に、操舵トルク微分Th’が増大し、急激に高くなる運転者の離脱要求の度合いを離脱要求判定部79が判定することができる。従って、例えば、車両1が目標進路に沿って自動操舵走行している状態において、危険回避などの目的で緊急に目標進路から離脱しようとする運転者の離脱要求の度合いを、補助操舵電流iassの出力割合に早期にかつ的確に反映させることができる。
【0128】
また、目標進路に対する現在位置の偏差の時間微分である偏差微分に基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する。つまり、運転者によるステアリングホイール2への操舵入力に加えて、車両1の状態によっても運転者の離脱要求の度合いを判定する。偏差微分は、短時間に大きく目標進路から現在位置が外れた場合に増大する値であり、例えば、角加速度差分や操舵トルク微分Th’に基づいて運転者の離脱要求の度合いが高いと判定したことに応じて第1の割合を増大して車両1が走行した結果として増大する値である。また、偏差微分に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定することにより、例えば、目標進路に対する現在位置の偏差に基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定する場合と比べて、判定を実行する単位時間前の値との相対的な変化量を求めることができる。このため、例えば、車両1が目標進路に沿って自動操舵走行している状態において、危険回避などの目的で緊急に目標進路から離脱しようとする運転者の離脱要求の度合いを、補助操舵電流iassの出力割合に早期にかつ的確に反映させることができる。
【0129】
また、偏差微分と操舵トルク微分Th’と角加速度差分とに基づいて運転者の離脱要求の度合いを判定するため、それぞれ単一の値に基づいて判定する場合に比べて、運転者の離脱要求の度合いの判定の正確性を向上させることができる。
【0130】
また、例えば、車両1が目標進路に沿って自動操舵走行している状態において、危険回避などの目的で運転者がステアリングホイール2へ操舵入力した場合に、角加速度差分は、偏差微分よりも早期に値が変化する。また、例えば、角加速度差分は、偏差微分よりも車両1に対する風などの外乱で変化し難い。このため、角加速度差分には偏差微分よりも大きい重み付けを設定することにより、運転者による離脱要求の度合いの判定の正確性を向上させることができ、運転者による操舵入力のフィーリングを向上させることができる。
【0131】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の実施形態に係る走行制御装置を備えた車両の模式図である。
【図2】図1の走行制御装置のブロック構成図である。
【図3】車速と操舵力補助係数との関係を示すマップの例である。
【図4】自動操舵電流演算処理のフローチャートである。
【図5】補助操舵電流演算処理のフローチャートである。
【図6】出力割合設定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0133】
1:車両
2:ステアリングホイール
6:ステアリングアクチュエータ
7:要求度判定部(要求度判定手段)
32:トルクセンサ(操舵トルク検知手段)
34:ハンドル角度センサ(操舵角加速度検知手段)
42:車両位置検知部(車両位置検知手段)
43:目標操舵角演算部(目標操舵角演算手段)
44:自動操舵電流演算部(自動操舵電流演算手段)
45:アシストトルク演算部(アシストトルク演算手段)
46:補助操舵電流演算部(補助操舵電流演算手段)
71:目標操舵角加速度演算部(目標操舵角加速度演算手段)
72:操舵角加速度演算部(操舵角加速度検知手段)
73:角加速度差分演算部(角加速度差分演算手段)
74:偏差演算部(偏差演算手段)
75:偏差微分演算部(偏差微分演算手段)
76:操舵トルク微分演算部(操舵トルク微分演算手段)
77:重み付け設定部(重み付け設定手段)
78:要求度演算部(要求度演算手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検知する車両位置検知手段と、
所定の目標進路と前記車両位置検知手段が検知した現在位置とに基づいて、前記車両を前記目標進路に従って走行させるための操舵角を目標操舵角として算出する目標操舵角演算手段と、
前記目標操舵角演算手段が算出した目標操舵角に基づいて自動操舵電流を算出する自動操舵電流演算手段と、
運転者によりステアリングホイールに入力された操舵トルクを検知する操舵トルク検知手段と、
前記操舵トルク検知手段が検知した操舵トルクに基づいてアシストトルクを算出するアシストトルク演算手段と、
前記アシストトルク演算手段が算出したアシストトルクに基づいて補助操舵電流を算出する補助操舵電流演算手段と、
前記目標進路からの運転者の離脱要求の度合いを、当該運転者による前記ステアリングホイールへの操舵入力に基づいて判定する要求度判定手段と、
前記要求度判定手段が判定した運転者の離脱要求の度合いの高低に応じて増減する第1の出力割合と、当該第1の出力割合の増減に応じて減増する第2の出力割合とを設定する出力割合設定手段と、
前記出力割合設定手段が設定した第1の出力割合を前記補助操舵電流に乗じて出力補助操舵電流を算出し、前記出力割合設定手段が設定した第2の出力割合を前記自動操舵電流に乗じて出力自動操舵電流を算出し、当該出力自動操舵電流及び当該出力補助操舵電流を合算した駆動電流を、ステアリングアクチュエータへ出力する駆動電流出力手段と、を備え、
前記出力割合設定手段は、
運転者の離脱要求の度合いが最も高いと前記要求度判定手段が判定した場合、第1の出力割合を上限の割合に設定し、
第1の出力割合を前記上限の割合に設定している状態で、運転者の離脱要求の度合いが低下したと前記要求度判定手段が判定した場合、第1の出力割合を当該上限の割合よりも低い割合に設定する
ことを特徴とする走行制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走行制御装置であって、
前記要求度判定手段は、
前記目標操舵角演算手段が算出した目標操舵角に基づいて目標操舵角加速度を算出する目標操舵角加速度演算手段と、
前記ステアリングホイールに入力する操舵角加速度を検知する操舵角加速度検知手段と、
前記目標操舵角加速度演算手段が算出した目標操舵角加速度と前記操舵角加速度検知手段が検知した操舵角加速度との差分を角加速度差分として算出する角加速度差分演算手段と、を有し、
前記角加速度差分演算手段が算出した角加速度差分に基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する
ことを特徴とする走行制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の走行制御装置であって、
前記要求度判定手段は、
前記目標進路に対する前記車両位置検知手段が検知した現在位置の偏差を算出する偏差演算手段と、
前記偏差演算手段が算出した偏差を時間微分することにより偏差微分を算出する偏差微分演算手段と、
前記操舵トルク検知手段が検知した操舵トルクを時間微分することにより操舵トルク微分を算出する操舵トルク微分演算手段と、をさらに有し、
前記偏差微分演算手段が算出した偏差微分と、前記操舵トルク微分演算手段が算出した操舵トルク微分と、前記角加速度差分演算手段が算出した角加速度差分とに基づいて、運転者の離脱要求の度合いを判定する
ことを特徴とする走行制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の走行制御装置であって、
前記要求度判定手段は、
前記偏差微分演算手段が算出した偏差微分と、前記操舵トルク微分演算手段が算出した操舵トルク微分と、前記角加速度差分演算手段が算出した角加速度差分とにそれぞれ重み付けを設定する重み付け設定手段と、
前記重み付け手段がそれぞれに重み付けを設定した前記偏差微分と前記操舵トルク微分と前記角加速度差分とを合算して運転者の離脱要求の度合いを算出する要求度演算手段と、をさらに有し、
前記重み付け設定手段は、前記角加速度差分には前記偏差微分よりも大きい重み付けを設定する
ことを特徴とする走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−23682(P2010−23682A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187748(P2008−187748)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】