超音波処置装置、並びに、超音波処置装置用超音波プローブ及びその製造方法
【課題】超音波処置装置用超音波プローブをチタン材の素材から形成するのに好適な製造方法を提供する。
【解決手段】超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、チタン材で形成されている棒状の素材58を準備する準備工程と、素材58の少なくとも一端側を減面成形金型52を用いて減面成形する減面成形工程と、を具備することを特徴とする。
【解決手段】超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、チタン材で形成されている棒状の素材58を準備する準備工程と、素材58の少なくとも一端側を減面成形金型52を用いて減面成形する減面成形工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動を利用して生体組織に各種処置を行う超音波処置装置、並びに、当該超音波処置装置に用いられる超音波プローブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波振動を利用して生体組織に各種処置を行う様々な超音波処置装置がある。このような超音波処置装置では振動伝達部材としての超音波プローブが用いられる。超音波プローブは、例えば全長400〜450mmの長尺な棒状の部材であり、超音波処置装置の筒状のシース内に挿通されている。超音波プローブの基端部は超音波処置装置に内蔵されている超音波振動子に連結されており、超音波プローブの先端部は超音波処置装置の先端部において外部に突出している。超音波振動子で発生された超音波振動は超音波プローブの基端部から先端部へと伝達され、振動状態にあるプローブの先端部を生体組織に押圧することで、生体組織に各種処置を行うことが可能である。
【0003】
このような超音波プローブを形成する材料については、音響効果が高く、生体適合性があり、さらに、ヤング率が低く高い破壊歪み及び破壊強度を保つ材料が好ましく、チタン材が用いられている。そして、チタン材の素材から超音波プローブを形成するのに、切削加工が用いられている。特許文献1には、超音波プローブを形成するのに、フライス加工を用いることが開示されている。
【特許文献1】特開平10−5237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チタン材の素材から切削加工を用いて超音波プローブを形成する場合には、多量の切削屑が発生し廃棄されることになるため、高価なチタン材を用いるにもかかわらず、材料歩留まりが極端に低下してしまう。また、チタン材は硬く加工が難しいため、加工時間が長くなり、生産性が低下してしまう。さらに、超音波プローブは長尺な棒状の部材であるため、軸方向に沿って曲がりが発生しやすく、不良率が高くなってしまう。このように、切削加工は超音波処置装置用超音波プローブの製造に必ずしも適したものではない。
【0005】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、超音波処置装置用超音波プローブをチタン材の素材から形成するのに好適な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、チタン材で形成されている棒状の素材を準備する準備工程と、前記素材の少なくとも一端側を減面成形金型を用いて減面成形する減面成形工程と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記準備工程の後、前記減面成形工程の前に、前記減面成形金型を用いて前記減面成形金型と前記素材との摩擦により前記素材を加熱する加熱工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記減面成形工程では、前記素材を冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて冷間ロータリースエージングにより減面成形する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記準備工程の後、前記減面成形工程の前に、前記冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて前記冷間ロータリースエージング用減面成形金型と前記素材との摩擦により前記素材を加熱する加熱工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記減面成形工程の後、前記素材の一端部を冷間プレス用ベンディング成形金型を用いて冷間プレスによりベンディング成形するベンディング成形工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第6実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記冷間プレス用ベンディング成形金型は、閉塞金型である、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第7実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記減面成形工程の後、前記素材の一端部を冷間プレス用多角柱成形金型を用いて冷間プレスにより多角柱状に成形する多角柱成形工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第8実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記冷間プレス用多角柱成形金型は一対の金型から形成されており、プレス成形において前記一対の金型間に素材を逃がす隙間が形成される、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第9実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記減面成形工程の後に、前記素材の少なくとも一端側において、溝成形金型を用いて減面成形により溝を成形する溝成形工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第10実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブは、チタン材で形成されている棒状の超音波処置装置用超音波プローブであって、一端側の細径部と他端側の太径部とを具備し、前記細径部の表面硬さの値は前記太径部の表面硬さの値よりも大きい、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第11実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブは、前記細径部は、前記太径部側に形成されている直線状のストレート部を有し、前記ストレート部は、超音波振動の節位置となる位置に全周にわたって形成されている溝部を有し、前記溝部の表面硬さの値は前記ストレート部の表面硬さの値よりも大きい、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第12実施態様では、超音波処置装置は、筒状のシースと、前記シースに挿通されチタン材で形成されている超音波プローブと、を具備し、前記超音波プローブは、一端側の細径部と、他端側の太径部と、を有し、前記細径部は、前記太径部側に形成されている直線状のストレート部を有し、前記ストレート部は、超音波振動の節位置となる位置に全周にわたって形成されている溝部を有し、前記ストレート部の表面硬さの値は前記太径部の表面硬さの値よりも大きく、前記溝部の表面硬さの値は前記ストレート部の表面硬さの値よりも大きい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、材料歩留まりを高く、生産性を高く、不良率を低くし、さらに、超音波プローブの表面硬さを増大することが可能となっており、超音波処置装置用超音波プローブをチタン材の素材から形成するのに好適な製造方法が実現されている。
【0019】
本発明の第2実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、金型と素材との摩擦により素材を加熱しているため、素材に好ましくない変性を招来することなく短時間で素材の加熱を完了することができ、また、減面成形金型を用いて加熱を行うことで、加熱工程と減面成形工程とを連続して行うことができ、工程を簡単化し、製造時間を短縮することが可能となっている。
【0020】
本発明の第3実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、冷間ロータリースエージングにより減面成形を行っており、材料歩留まりの上昇、生産性の上昇、不良率の低下、表面硬さの増大の効果が顕著に発揮される。
【0021】
本発明の第4実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、金型と素材との摩擦により素材を加熱しているため、素材に好ましくない変性を招来することなく短時間で素材の加熱を完了することができ、また、冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて加熱を行うことで、加熱工程と冷間ロータリースエージングによる減面成形工程とを連続して行うことができ、工程を簡単化し、製造時間を短縮することが可能となっている。
【0022】
本発明の第5実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、冷間プレスを用いることで、超音波プローブの一端部の湾曲形状を短時間で精密に形成することが可能となっている。
【0023】
本発明の第6実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、閉塞金型を用いることにより、超音波プローブの一端部において稜線部分を滑らかに仕上げることができ、面取り等の後工程が不要となり、生産性をさらに向上することが可能となっている。
【0024】
本発明の第7実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、冷間プレスを用いることで、超音波プローブの一端部の多角柱形状を短時間かつ精密に形成することが可能となっている。
【0025】
本発明の第8実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、多角柱形状を形成するための素材の体積を本来必要な体積よりも多めに設定することで、冷間プレス加工において素材によって金型内を確実に満たして、多角柱状部分の稜線部分を明瞭にすることが可能となっていると共に、一対の金型間に素材を逃がす隙間が形成されるようになっているため、冷間プレス加工において素材にひび割れが生じることが防止される。
【0026】
本発明の第9実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、減面成形によって溝部を形成しているため、溝部の表面硬さを増大することが可能となっている。
【0027】
本発明の第10実施態様の超音波処置装置用超音波プローブは、本発明の第1実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法によって製造するのに好適である。
【0028】
本発明の第11実施態様の超音波処置装置用超音波プローブは、本発明の第9実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法によって製造するのに好適である。
【0029】
本発明の第12実施態様の超音波処置装置では、超音波プローブにおいて、他端側の太径部よりも一端側の細径部において表面硬さの値が大きく、硬度が高くなっており、細径部においては、外径が小さい溝部ほど表面硬さの値が大きく、硬度が高くなっているため、長尺な超音波プローブであっても超音波プローブの軸方向に沿って曲がりが発生しにくく、筒状のシース内への超音波プローブの挿通性が良好な超音波処置装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1を参照して、本実施形態の超音波処置装置としての超音波処置具について説明する。
【0032】
超音波処置具では、プローブユニット20、操作ユニット22、振動子ユニット24が先端側から基端側へと相互に着脱自在に連結されている。また、超音波処置具では、例えば全長略450mmの長尺で棒状の超音波プローブ26が用いられる。超音波プローブ26は、プローブユニット20及び操作ユニット22に挿通されている。振動子ユニット24には超音波振動子28が内蔵されており、超音波振動子28に超音波プローブ26の基端部が螺着されている。プローブユニット20では、体腔内に挿入される長尺な筒状のシース30内に超音波プローブ26が挿通されている。シース30内では、超音波プローブ26に、超音波振動の節位置において、環状のゴムライニングが外挿されており、超音波プローブ26はゴムライニングを介してシース30の内面によって支持されている。シース30の先端部から、超音波プローブ26の先端部26aが突出している。また、シース30の先端部には、超音波プローブ26の先端部26aと並列して、ジョー32が配設されている。ジョー32は、操作ユニット22のハンドル34を開閉操作することにより、プローブ26の先端部26aに対して開閉作動される。プローブ26の先端部26aとジョー32とによって生体組織を挟持し、超音波振動子28で発生された超音波振動をプローブ26の基端部から先端部へと伝達して、プローブ26の先端部26aを超音波振動させることにより、生体組織に凝固、切開等の処置が行われる。
【0033】
図2を参照して、超音波プローブ26について詳細に説明する。
【0034】
超音波プローブ26は、音響効果が高く、生体適合性を有し、ヤング率が低く破壊歪み及び破壊強度が高く保たれるチタン材によって形成されている。チタン材には純チタン及びチタン合金がふくまれ、チタン材として、好ましくはα+βチタン合金、特に好ましくはJIS60種のAl6%、V4%、残部Tiのチタン合金が用いられる。
【0035】
超音波プローブ26では、基端部に太径部36が形成されている。太径部36の基端部には、超音波振動子28に螺着されるねじ部38が形成されている。太径部36よりも先端側にはテーパ部40が形成されており、テーパ部40の外径は基端側から先端側へと減少している。テーパ部40の先端側には細径部42が形成されている。細径部42では、基端側部分に直線状のストレート部44が形成されており、先端部に緩やかに湾曲するベンディング部46が形成されている。以下では、ストレート部44の長手方向を超音波プローブ26の長手方向、ベンディング部46の中心線を含む平面に直交する方向を超音波プローブ26の厚さ方向、当該長手方向及び厚さ方向に直交する方向を超音波プローブ26の幅方向と称する。また、ストレート部44では、超音波振動の節位置となる位置に、ゴムライニングが外挿される複数のライニング溝48が全周にわたって延設されている。
【0036】
ここで、太径部36の表面硬さの値よりも、細径部42のストレート部44の表面硬さの値が大きくなっている。そして、細径部42のストレート部44の表面硬さの値よりも、ライニング溝48の表面硬さの値が大きくなっている。例えば、ビッカーズ硬度で、太径部36の表面硬さが300〜310HV、細径部42のストレート部44の表面硬さが330〜340HV、ライニング溝48の表面硬さが355〜360HVとなる。
【0037】
図3から図10を参照し、超音波プローブ26の製造方法について説明する。
【0038】
図3を参照し、超音波プローブ26の製造方法に用いられる冷間ロータリースエージング装置について説明する。
【0039】
冷間ロータリースエージング装置には、所定の回転軸Oを中心として回転されるヘッダ50が配設されている。ヘッダ50には、ヘッダ50の回転軸Oから径方向外向きに、減面成形金型52、スペーサ54、ハンマーとして機能するバッカー53が順に配設されている。減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53は、ヘッダ50によって径方向に移動可能に支持されており、ヘッダ50と一体的に回転可能である。本実施形態では、ヘッダ50に、回転軸Oに対して互いに回転対称な4組の減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53が周方向に等間隔に配設されている。4つの減面成形金型52の径方向内側には、回転軸Oに沿って、挿通孔55が形成されている。冷間ロータリースエージング装置は、素材としての棒状のブランク材を挿通孔55に共軸に配置し、ブランク材を軸方向に移動可能とする図示しない移動機構を有する。一方、バッカー53の径方向外側には、多数の円柱状のローラー56が配設されている。多数のローラー56は、回転軸Oに平行に延び、周方向に並設されており、各ローラー56の中心軸を中心として回転自在である。ヘッダ50と一体的に減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53が回転される場合には、減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53は、ローラー56によってバッカー53の径方向外端部が打撃されることによる径方向内向きへの移動と、遠心力による径方向外向きへの移動とを繰り返す。ブランク材を挿通孔55に挿入した後、ヘッダ50を回転させて減面成形金型52を径方向に繰り返し往復させて、減面成形金型52によりブランク材に径方向内向きへの力を繰り返し付与しつつ、ブランク材を軸方向に移動させることで、ブランク材の外径寸法を減少させて、ブランク材の断面積を減少させる減面成形を行うことが可能である。
【0040】
また、ヘッダ50には、減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53の径方向内側への移動を規制するストッパが配設されている。移動機構によってブランク材を挿通孔55に挿入した後、減面成形金型52をブランク材の外周面に押し付けた状態で、ストッパにより減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53の径方向内側への移動を規制し、ヘッダ50の回転により減面成形金型52を回転させることで、ブランク材と減面成形金型52との摩擦により、ブランク材を加熱することが可能である。
【0041】
図4から図10を参照し、超音波プローブ26の製造方法の各工程について説明する。
【0042】
準備工程(図4参照)
チタン材から形成されている棒状のブランク材58を準備する。ブランク材58の体積は製品の体積に対して+3%程度の余裕をもつように設定されている。このように余裕を僅か+3%程度に設定できるのは、後述するように、ブランク材58を冷間ロータリースエージング加工によって減面成形し、ブランク材58の全長を引き伸ばすようにしているため、切削屑の発生が極めて少なくなるからである。なお、切削加工によって超音波プローブを製造する場合には、ブランク材の体積として、製品の体積の10倍程度の体積が必要となる。切削加工では、少なくとも、完成品である超音波プローブ26の太径部36の外径寸法に対応する外径寸法を有するブランク材が必要となるからである。設定されたブランク材58の体積に基づいて、ブランク材58の寸法を適宜設定する。例えば、外径8mm、全長170mmのブランク材が用いられる。
ブランク材58の基端部は、超音波プローブ26の太径部36を形成する太径部準備部36jをなしている。
【0043】
加熱工程(図5参照)
ブランク材58の先端側の外周面に冷間ロータリースエージング装置の減面成形金型52を押し付けて回転させ、ブランク材58と減面成形金型52との摩擦による摩擦熱によって、ブランク材58を加熱して軟化させる。例えば、5〜10秒程度の押し付け回転により、ブランク材58を500〜600℃に加熱する。ここで、バーナー等によりブランク材58を加熱する場合には、ブランク材58にこげ等の好ましくない変性が生じる可能性があるが、摩擦による加熱ではこのような変性が防止される。また、炉等によりブランク材58を加熱する場合には、次工程である冷間ロータリースエージングによる減面成形工程への移行が面倒なものとなる。これに対して、冷間ロータリースエージング装置の減面成形金型52によりブランク材58を加熱する場合には、ストッパによる減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53の径方向内向きへの移動の規制を解除するだけで、次工程である冷間ロータリースエージングによる減面成形工程を連続して行うことが可能である。
【0044】
減面成形工程(図6Aから図6C参照)
ブランク材58の一端側を冷間ロータリースエージングによって減面成形して引き伸ばし、超音波プローブ26のテーパ部40及び細径部42となるテーパ部準備部40j及び細径部準備部42jを形成する。減面率は、20〜70%である。減面成形は一回で行ってもいいし、クラックが発生するおそれがある場合には複数回に分割して行ってもよく、複数回に分割して行う場合には、中間焼きなましを行ってもよい。例えば、外径8mm、全長170mmのブランク材58について、先端側の100mmの部分を外径2.5mmまで減面成形し、ブランク材58の全長を450mmまで引き伸ばす。
冷間ロータリースエージングによる減面成形により、加工硬化が生じ、細径部準備部42jの表面硬さは、ブランク材58の表面硬さである太径部準備部36jの表面硬さよりも硬くなる。例えば、ブランク材58即ち太径部準備部36jの表面硬さが300〜310HVであるのに対して、細径部準備部42jの表面硬さは330〜340HVとなる。また、金属組織は、ブランク材58即ち太径部準備部36jがα+球状βであるのに対して、細径部準備部42jはα+粒状βに変化する。
このような加工を切削加工により行う場合には、細径部準備部42jに曲がりが生じやすくなるが、冷間ロータリースエージングによる減面成形では、表面硬さの値が大きくなって硬度が高くなることで、軸方向に沿う曲がりがほとんど生じない。また、切削加工では数十分の加工時間が必要であるが、冷間ロータリースエージングによる減面成形では成形時間は数秒〜十数秒ですむ。
【0045】
溝成形工程(図7参照)
溝成形工程では、溝成形金型60を有する冷間ロータリースエージング装置が用いられる。4つの溝成形金型60では、各溝成形金型60の径方向内側面において、径方向内向きに突出している突起部59が回転の接線方向に延設されている。当該溝成形金型60を用いて、細径部準備部42jの一部分を冷間ロータリースエージングによって減面成形し、ライニング溝48となるライニング溝準備部48jを全周にわたって形成する。細径部準備部42jにおいて、複数のライニング溝準備部48jが、細径部準備部42jの軸方向に、超音波振動の半波長に対応する所定のピッチで形成される。
ライニング溝準備部48jの表面硬さの値は、細径部準備部42jの表面硬さの値よりも大きくなる。例えば、細径部準備部42jの表面硬さが330〜340HVであるのに対して、ライニング溝準備部48jの表面硬さは355〜360HVとなる。ライニング溝準備部48jでは、細径部準備部42jよりも外径が小さくなるが、表面硬さの値が大きく、硬度が高いため、強度が高くなり、ライニング溝準備部48jにおいて曲がりが生じにくくなる。
【0046】
多角柱成形工程(図8Aから図8C参照)
多角柱成形工程では、例えば、八角柱成形金型61u,61dを有する冷間プレス機が用いられる。八角柱成形金型61u,61dでは、上金型61u及び下金型61dの押圧方向側の各成形面に成形溝68が延設されており、成形溝68の横断面は、頂辺及び底辺が押圧方向に直交し底辺が押圧方向側に配置される台形形状をなしている。八角柱成形金型61u,61dの閉塞時には、八角柱成形金型61u,61dの成形空間は完全には閉塞されず、上金型61uの成形面と下金型61dの成形面との間に材料が逃げる隙間62が形成される。冷間プレス機では、細径部準備部42jは、細径部準備部42jの先端部が両八角柱成形金型61u,61d間に配置され、超音波プローブ26の幅方向及び長手方向となる方向が夫々八角柱成形金型61u,61dの押圧方向及び成形溝68の延設方向に一致するように配置される。
多角柱成形工程では、八角柱成形金型61u,61dによる冷間プレスにより、細径部準備部42jの先端部を八角柱状に成形する。ここで、ブランク材58の体積は製品の体積よりも余裕をもって設定されているため、プレスの際には八角柱成形金型61u,61dの成形溝68内は材料によって充分に満たされ、八角柱状部分63の稜線部分65が明瞭に形成されることになる。一方で、両八角柱成形金型61u,61dの各成形面間には材料が逃げる隙間62が形成されているため、八角柱成形金型61u,61d内の圧力が過度に上昇して八角柱状部分63にひび割れが生じることが回避される。両八角柱成形金型61u,61dの各成形面間の隙間62へと流動された余肉により、八角柱状部分63には側方に張り出すばり66が形成される。当該ばり66は打ち抜き等により適宜除去され、八角柱状部分63の2つの側面が形成される。
【0047】
ベンディング成形工程(図9Aから図9C)
ベンディング成形工程では、ベンディング成形金型64u,64dを有する冷間プレス機が用いられる。ベンディング成形金型64u,64dでは各成形面に成形溝69が延設されており、成形溝69の横断面は、頂辺及び底辺が押圧方向に直交し底辺が押圧方向側に配置される台形形状をなしている。また、各成形面は、各成形溝69が成形溝69の一端側から他端側へと上金型64uの押圧方向に緩やかに湾曲するように形成されている。そして、ベンディング成形金型64u,64dは、プレスの下死点で成形空間が隙間なく閉塞される閉塞金型である。冷間プレス機では、ベンディング部準備部46jとなる八角柱状部分63が両ベンディング成形金型64u,64d間に配置され、超音波プローブ26の幅方向及びベンディング部46の中心線方向となる方向が夫々ベンディング成形金型64u,64dの押圧方向及び成形溝69の一端側から他端側への延設方向に一致する。
ベンディング成形工程では、細径部準備部42jの先端部をベンディング成形し、ベンディング部46となるベンディング部準備部46jを形成する。ここで、ベンディング部準備部46jのスプリングバックを抑制するために、プレスの下死点で所定時間ベンディング成形金型64u,64dを停留させる。また、ベンディング成形金型64u,64dは閉塞金型であり、ベンディング成形においてベンディング部準備部46jの稜線部分65が滑らかに仕上げられる。このため、ベンディング部準備部46jの稜線部分65の面取りが不要となる。
【0048】
切削工程(図10)
切削加工機による切削加工により、太径部準備部36jの基端部に、ねじ部38となるねじ部準備部38jを形成する。
以上の工程により、棒状のブランク材58から、超音波プローブ26の完成品と同形状の超音波プローブ26の半製品が得られる。
【0049】
熱処理工程
超音波プローブ26の半製品を熱処理炉内に投入して焼きなまし処理を行い、その後、半製品を炉内に保持したまま徐々に温度を下げて常温まで冷却し、炉から取り出す。取り出された完成品の超音波プローブ26では、成形、加工により生じた残留応力が除去されている。また、細径部42において、金属組織は、α+粒状βからα+球状βに改質され、引っ張り強さ、ヤング率が増大されている。なお、製品表面が黒色、茶褐色になっている場合には、酸洗い、ブラストショット等によって、製品表面に金属光沢を回復させてもよい。
【0050】
以上述べたように、本実施形態の超音波プローブ26の製造方法では、冷間ロータリースエージングによる減面成形によって、超音波プローブ26の細径部42及びライニング溝48を形成しているため、材料歩留まりを高く、生産性を高く、不良率を低くすることが可能となっている。また、細径部42、さらに細径部42のライニング溝48の表面硬さを増大することが可能となっている。
【0051】
また、加熱工程では、減面成形金型52とブランク材58との摩擦によりブランク材58を加熱しているため、ブランク材58に好ましくない変性を招来することなく短時間でブランク材58の加熱を完了することができ、また、冷間ロータリースエージング装置の減面成形金型52を用いて加熱を行うことで、加熱工程と冷間ロータリースエージングによる減面成形工程とを連続して行うことができ、工程を簡単化し、製造時間を短縮することが可能となっている。
【0052】
さらに、冷間プレスを用いて多角柱成形工程及びベンディング成形工程を行うことで、超音波プローブ26のベンディング部46を短時間で精密に形成することが可能となっている。多角柱成形工程に用いられる八角柱成形金型61u,61dでは、八角柱状部分63を形成するためのブランク材58の体積を本来必要な体積よりも多めに設定して、八角柱状部分63の稜線部分65を明瞭に形成することが可能となっていると共に、上金型61uと下金型61dとの間の隙間62に材料を逃がすことで、八角柱状部分63にひび割れが生じるのを防止することが可能となっている。また、ベンディング成形に用いられるベンディング成形金型64u,64dは、成形品にバリを発生させないような成形空間以外に隙間のない閉塞金型であり、ベンディング部準備部46jの稜線部分65を滑らかに仕上げることができるため、稜線部分65の面取りが不要となり、生産性をさらに向上することが可能となっている。
【0053】
上述した実施形態では、冷間ロータリースエージングによって減面成形を行っているが、へら絞り、前方押出等によって減面成形を行うようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態の超音波プローブ26では、テーパ部40とベンディング部46との間で、ストレート部44の外径寸法はその軸方向の全長にわたって一定となっており、ストレート部44はライニング溝48以外に段差のない形状となっている。しかしながら、ストレート部44の外径寸法は、テーパ部40の最小外径寸法と最先端のライニング溝48の外径寸法との間で、軸方向に対して適宜変更するようにして、ストレート部44をライニング溝48以外に段差を持つ形状としてもよい。
【0055】
また、多角柱成形工程では、細径部準備部42jの先端部を八角柱状に成形したが、例えば、十角柱状等の他の多角柱状に成形してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の超音波処置具を示す側面図。
【図2】本発明の一実施形態の超音波プローブを示す上面図。
【図3】本発明の一実施形態の製造方法で用いられる冷間ロータリースエージング装置を示す模式図。
【図4】本発明の一実施形態の準備工程を示す側面図。
【図5】本発明の一実施形態の加熱工程を示す横断面図。
【図6A】本発明の一実施形態の減面成形工程を示す部分縦断面側面図。
【図6B】本発明の一実施形態の減面成形工程を開始時において示す横断面図。
【図6C】本発明の一実施形態の減面成形工程を成形途中において示す横断面図。
【図7】本発明の一実施形態の溝成形工程を示す部分縦断面側面図。
【図8A】本発明の一実施形態の多角柱成形工程を示す部分縦断面側面図。
【図8B】本発明の一実施形態の多角柱成形工程を開始時において示す横断面図。
【図8C】本発明の一実施形態の多角柱成形工程を終了時において示す横断面図。
【図9A】本発明の一実施形態のベンディング成形工程を示す部分縦断面側面図。
【図9B】本発明の一実施形態のベンディング成形工程を開始時において示す横断面図。
【図9C】本発明の一実施形態のベンディング成形工程を終了時において示す横断面図。
【図10】本発明の一実施形態の切削工程を示す側面図。
【符号の説明】
【0057】
36…太径部、42…細径部、48…溝部(ライジング溝)、52…冷間ロータリースエージング用減面成形金型、58…素材(ブランク材)、60…溝成形金型、61u,61d…冷間プレス用多角柱成形金型、62…隙間、64u,64d…冷間プレス用ベンディング成形金型。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動を利用して生体組織に各種処置を行う超音波処置装置、並びに、当該超音波処置装置に用いられる超音波プローブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波振動を利用して生体組織に各種処置を行う様々な超音波処置装置がある。このような超音波処置装置では振動伝達部材としての超音波プローブが用いられる。超音波プローブは、例えば全長400〜450mmの長尺な棒状の部材であり、超音波処置装置の筒状のシース内に挿通されている。超音波プローブの基端部は超音波処置装置に内蔵されている超音波振動子に連結されており、超音波プローブの先端部は超音波処置装置の先端部において外部に突出している。超音波振動子で発生された超音波振動は超音波プローブの基端部から先端部へと伝達され、振動状態にあるプローブの先端部を生体組織に押圧することで、生体組織に各種処置を行うことが可能である。
【0003】
このような超音波プローブを形成する材料については、音響効果が高く、生体適合性があり、さらに、ヤング率が低く高い破壊歪み及び破壊強度を保つ材料が好ましく、チタン材が用いられている。そして、チタン材の素材から超音波プローブを形成するのに、切削加工が用いられている。特許文献1には、超音波プローブを形成するのに、フライス加工を用いることが開示されている。
【特許文献1】特開平10−5237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チタン材の素材から切削加工を用いて超音波プローブを形成する場合には、多量の切削屑が発生し廃棄されることになるため、高価なチタン材を用いるにもかかわらず、材料歩留まりが極端に低下してしまう。また、チタン材は硬く加工が難しいため、加工時間が長くなり、生産性が低下してしまう。さらに、超音波プローブは長尺な棒状の部材であるため、軸方向に沿って曲がりが発生しやすく、不良率が高くなってしまう。このように、切削加工は超音波処置装置用超音波プローブの製造に必ずしも適したものではない。
【0005】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、超音波処置装置用超音波プローブをチタン材の素材から形成するのに好適な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、チタン材で形成されている棒状の素材を準備する準備工程と、前記素材の少なくとも一端側を減面成形金型を用いて減面成形する減面成形工程と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記準備工程の後、前記減面成形工程の前に、前記減面成形金型を用いて前記減面成形金型と前記素材との摩擦により前記素材を加熱する加熱工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記減面成形工程では、前記素材を冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて冷間ロータリースエージングにより減面成形する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記準備工程の後、前記減面成形工程の前に、前記冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて前記冷間ロータリースエージング用減面成形金型と前記素材との摩擦により前記素材を加熱する加熱工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記減面成形工程の後、前記素材の一端部を冷間プレス用ベンディング成形金型を用いて冷間プレスによりベンディング成形するベンディング成形工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第6実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記冷間プレス用ベンディング成形金型は、閉塞金型である、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第7実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記減面成形工程の後、前記素材の一端部を冷間プレス用多角柱成形金型を用いて冷間プレスにより多角柱状に成形する多角柱成形工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第8実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記冷間プレス用多角柱成形金型は一対の金型から形成されており、プレス成形において前記一対の金型間に素材を逃がす隙間が形成される、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第9実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブの製造方法は、前記減面成形工程の後に、前記素材の少なくとも一端側において、溝成形金型を用いて減面成形により溝を成形する溝成形工程をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第10実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブは、チタン材で形成されている棒状の超音波処置装置用超音波プローブであって、一端側の細径部と他端側の太径部とを具備し、前記細径部の表面硬さの値は前記太径部の表面硬さの値よりも大きい、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第11実施態様では、超音波処置装置用超音波プローブは、前記細径部は、前記太径部側に形成されている直線状のストレート部を有し、前記ストレート部は、超音波振動の節位置となる位置に全周にわたって形成されている溝部を有し、前記溝部の表面硬さの値は前記ストレート部の表面硬さの値よりも大きい、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第12実施態様では、超音波処置装置は、筒状のシースと、前記シースに挿通されチタン材で形成されている超音波プローブと、を具備し、前記超音波プローブは、一端側の細径部と、他端側の太径部と、を有し、前記細径部は、前記太径部側に形成されている直線状のストレート部を有し、前記ストレート部は、超音波振動の節位置となる位置に全周にわたって形成されている溝部を有し、前記ストレート部の表面硬さの値は前記太径部の表面硬さの値よりも大きく、前記溝部の表面硬さの値は前記ストレート部の表面硬さの値よりも大きい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、材料歩留まりを高く、生産性を高く、不良率を低くし、さらに、超音波プローブの表面硬さを増大することが可能となっており、超音波処置装置用超音波プローブをチタン材の素材から形成するのに好適な製造方法が実現されている。
【0019】
本発明の第2実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、金型と素材との摩擦により素材を加熱しているため、素材に好ましくない変性を招来することなく短時間で素材の加熱を完了することができ、また、減面成形金型を用いて加熱を行うことで、加熱工程と減面成形工程とを連続して行うことができ、工程を簡単化し、製造時間を短縮することが可能となっている。
【0020】
本発明の第3実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、冷間ロータリースエージングにより減面成形を行っており、材料歩留まりの上昇、生産性の上昇、不良率の低下、表面硬さの増大の効果が顕著に発揮される。
【0021】
本発明の第4実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、金型と素材との摩擦により素材を加熱しているため、素材に好ましくない変性を招来することなく短時間で素材の加熱を完了することができ、また、冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて加熱を行うことで、加熱工程と冷間ロータリースエージングによる減面成形工程とを連続して行うことができ、工程を簡単化し、製造時間を短縮することが可能となっている。
【0022】
本発明の第5実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、冷間プレスを用いることで、超音波プローブの一端部の湾曲形状を短時間で精密に形成することが可能となっている。
【0023】
本発明の第6実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、閉塞金型を用いることにより、超音波プローブの一端部において稜線部分を滑らかに仕上げることができ、面取り等の後工程が不要となり、生産性をさらに向上することが可能となっている。
【0024】
本発明の第7実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、冷間プレスを用いることで、超音波プローブの一端部の多角柱形状を短時間かつ精密に形成することが可能となっている。
【0025】
本発明の第8実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、多角柱形状を形成するための素材の体積を本来必要な体積よりも多めに設定することで、冷間プレス加工において素材によって金型内を確実に満たして、多角柱状部分の稜線部分を明瞭にすることが可能となっていると共に、一対の金型間に素材を逃がす隙間が形成されるようになっているため、冷間プレス加工において素材にひび割れが生じることが防止される。
【0026】
本発明の第9実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法では、減面成形によって溝部を形成しているため、溝部の表面硬さを増大することが可能となっている。
【0027】
本発明の第10実施態様の超音波処置装置用超音波プローブは、本発明の第1実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法によって製造するのに好適である。
【0028】
本発明の第11実施態様の超音波処置装置用超音波プローブは、本発明の第9実施態様の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法によって製造するのに好適である。
【0029】
本発明の第12実施態様の超音波処置装置では、超音波プローブにおいて、他端側の太径部よりも一端側の細径部において表面硬さの値が大きく、硬度が高くなっており、細径部においては、外径が小さい溝部ほど表面硬さの値が大きく、硬度が高くなっているため、長尺な超音波プローブであっても超音波プローブの軸方向に沿って曲がりが発生しにくく、筒状のシース内への超音波プローブの挿通性が良好な超音波処置装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1を参照して、本実施形態の超音波処置装置としての超音波処置具について説明する。
【0032】
超音波処置具では、プローブユニット20、操作ユニット22、振動子ユニット24が先端側から基端側へと相互に着脱自在に連結されている。また、超音波処置具では、例えば全長略450mmの長尺で棒状の超音波プローブ26が用いられる。超音波プローブ26は、プローブユニット20及び操作ユニット22に挿通されている。振動子ユニット24には超音波振動子28が内蔵されており、超音波振動子28に超音波プローブ26の基端部が螺着されている。プローブユニット20では、体腔内に挿入される長尺な筒状のシース30内に超音波プローブ26が挿通されている。シース30内では、超音波プローブ26に、超音波振動の節位置において、環状のゴムライニングが外挿されており、超音波プローブ26はゴムライニングを介してシース30の内面によって支持されている。シース30の先端部から、超音波プローブ26の先端部26aが突出している。また、シース30の先端部には、超音波プローブ26の先端部26aと並列して、ジョー32が配設されている。ジョー32は、操作ユニット22のハンドル34を開閉操作することにより、プローブ26の先端部26aに対して開閉作動される。プローブ26の先端部26aとジョー32とによって生体組織を挟持し、超音波振動子28で発生された超音波振動をプローブ26の基端部から先端部へと伝達して、プローブ26の先端部26aを超音波振動させることにより、生体組織に凝固、切開等の処置が行われる。
【0033】
図2を参照して、超音波プローブ26について詳細に説明する。
【0034】
超音波プローブ26は、音響効果が高く、生体適合性を有し、ヤング率が低く破壊歪み及び破壊強度が高く保たれるチタン材によって形成されている。チタン材には純チタン及びチタン合金がふくまれ、チタン材として、好ましくはα+βチタン合金、特に好ましくはJIS60種のAl6%、V4%、残部Tiのチタン合金が用いられる。
【0035】
超音波プローブ26では、基端部に太径部36が形成されている。太径部36の基端部には、超音波振動子28に螺着されるねじ部38が形成されている。太径部36よりも先端側にはテーパ部40が形成されており、テーパ部40の外径は基端側から先端側へと減少している。テーパ部40の先端側には細径部42が形成されている。細径部42では、基端側部分に直線状のストレート部44が形成されており、先端部に緩やかに湾曲するベンディング部46が形成されている。以下では、ストレート部44の長手方向を超音波プローブ26の長手方向、ベンディング部46の中心線を含む平面に直交する方向を超音波プローブ26の厚さ方向、当該長手方向及び厚さ方向に直交する方向を超音波プローブ26の幅方向と称する。また、ストレート部44では、超音波振動の節位置となる位置に、ゴムライニングが外挿される複数のライニング溝48が全周にわたって延設されている。
【0036】
ここで、太径部36の表面硬さの値よりも、細径部42のストレート部44の表面硬さの値が大きくなっている。そして、細径部42のストレート部44の表面硬さの値よりも、ライニング溝48の表面硬さの値が大きくなっている。例えば、ビッカーズ硬度で、太径部36の表面硬さが300〜310HV、細径部42のストレート部44の表面硬さが330〜340HV、ライニング溝48の表面硬さが355〜360HVとなる。
【0037】
図3から図10を参照し、超音波プローブ26の製造方法について説明する。
【0038】
図3を参照し、超音波プローブ26の製造方法に用いられる冷間ロータリースエージング装置について説明する。
【0039】
冷間ロータリースエージング装置には、所定の回転軸Oを中心として回転されるヘッダ50が配設されている。ヘッダ50には、ヘッダ50の回転軸Oから径方向外向きに、減面成形金型52、スペーサ54、ハンマーとして機能するバッカー53が順に配設されている。減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53は、ヘッダ50によって径方向に移動可能に支持されており、ヘッダ50と一体的に回転可能である。本実施形態では、ヘッダ50に、回転軸Oに対して互いに回転対称な4組の減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53が周方向に等間隔に配設されている。4つの減面成形金型52の径方向内側には、回転軸Oに沿って、挿通孔55が形成されている。冷間ロータリースエージング装置は、素材としての棒状のブランク材を挿通孔55に共軸に配置し、ブランク材を軸方向に移動可能とする図示しない移動機構を有する。一方、バッカー53の径方向外側には、多数の円柱状のローラー56が配設されている。多数のローラー56は、回転軸Oに平行に延び、周方向に並設されており、各ローラー56の中心軸を中心として回転自在である。ヘッダ50と一体的に減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53が回転される場合には、減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53は、ローラー56によってバッカー53の径方向外端部が打撃されることによる径方向内向きへの移動と、遠心力による径方向外向きへの移動とを繰り返す。ブランク材を挿通孔55に挿入した後、ヘッダ50を回転させて減面成形金型52を径方向に繰り返し往復させて、減面成形金型52によりブランク材に径方向内向きへの力を繰り返し付与しつつ、ブランク材を軸方向に移動させることで、ブランク材の外径寸法を減少させて、ブランク材の断面積を減少させる減面成形を行うことが可能である。
【0040】
また、ヘッダ50には、減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53の径方向内側への移動を規制するストッパが配設されている。移動機構によってブランク材を挿通孔55に挿入した後、減面成形金型52をブランク材の外周面に押し付けた状態で、ストッパにより減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53の径方向内側への移動を規制し、ヘッダ50の回転により減面成形金型52を回転させることで、ブランク材と減面成形金型52との摩擦により、ブランク材を加熱することが可能である。
【0041】
図4から図10を参照し、超音波プローブ26の製造方法の各工程について説明する。
【0042】
準備工程(図4参照)
チタン材から形成されている棒状のブランク材58を準備する。ブランク材58の体積は製品の体積に対して+3%程度の余裕をもつように設定されている。このように余裕を僅か+3%程度に設定できるのは、後述するように、ブランク材58を冷間ロータリースエージング加工によって減面成形し、ブランク材58の全長を引き伸ばすようにしているため、切削屑の発生が極めて少なくなるからである。なお、切削加工によって超音波プローブを製造する場合には、ブランク材の体積として、製品の体積の10倍程度の体積が必要となる。切削加工では、少なくとも、完成品である超音波プローブ26の太径部36の外径寸法に対応する外径寸法を有するブランク材が必要となるからである。設定されたブランク材58の体積に基づいて、ブランク材58の寸法を適宜設定する。例えば、外径8mm、全長170mmのブランク材が用いられる。
ブランク材58の基端部は、超音波プローブ26の太径部36を形成する太径部準備部36jをなしている。
【0043】
加熱工程(図5参照)
ブランク材58の先端側の外周面に冷間ロータリースエージング装置の減面成形金型52を押し付けて回転させ、ブランク材58と減面成形金型52との摩擦による摩擦熱によって、ブランク材58を加熱して軟化させる。例えば、5〜10秒程度の押し付け回転により、ブランク材58を500〜600℃に加熱する。ここで、バーナー等によりブランク材58を加熱する場合には、ブランク材58にこげ等の好ましくない変性が生じる可能性があるが、摩擦による加熱ではこのような変性が防止される。また、炉等によりブランク材58を加熱する場合には、次工程である冷間ロータリースエージングによる減面成形工程への移行が面倒なものとなる。これに対して、冷間ロータリースエージング装置の減面成形金型52によりブランク材58を加熱する場合には、ストッパによる減面成形金型52、スペーサ54、バッカー53の径方向内向きへの移動の規制を解除するだけで、次工程である冷間ロータリースエージングによる減面成形工程を連続して行うことが可能である。
【0044】
減面成形工程(図6Aから図6C参照)
ブランク材58の一端側を冷間ロータリースエージングによって減面成形して引き伸ばし、超音波プローブ26のテーパ部40及び細径部42となるテーパ部準備部40j及び細径部準備部42jを形成する。減面率は、20〜70%である。減面成形は一回で行ってもいいし、クラックが発生するおそれがある場合には複数回に分割して行ってもよく、複数回に分割して行う場合には、中間焼きなましを行ってもよい。例えば、外径8mm、全長170mmのブランク材58について、先端側の100mmの部分を外径2.5mmまで減面成形し、ブランク材58の全長を450mmまで引き伸ばす。
冷間ロータリースエージングによる減面成形により、加工硬化が生じ、細径部準備部42jの表面硬さは、ブランク材58の表面硬さである太径部準備部36jの表面硬さよりも硬くなる。例えば、ブランク材58即ち太径部準備部36jの表面硬さが300〜310HVであるのに対して、細径部準備部42jの表面硬さは330〜340HVとなる。また、金属組織は、ブランク材58即ち太径部準備部36jがα+球状βであるのに対して、細径部準備部42jはα+粒状βに変化する。
このような加工を切削加工により行う場合には、細径部準備部42jに曲がりが生じやすくなるが、冷間ロータリースエージングによる減面成形では、表面硬さの値が大きくなって硬度が高くなることで、軸方向に沿う曲がりがほとんど生じない。また、切削加工では数十分の加工時間が必要であるが、冷間ロータリースエージングによる減面成形では成形時間は数秒〜十数秒ですむ。
【0045】
溝成形工程(図7参照)
溝成形工程では、溝成形金型60を有する冷間ロータリースエージング装置が用いられる。4つの溝成形金型60では、各溝成形金型60の径方向内側面において、径方向内向きに突出している突起部59が回転の接線方向に延設されている。当該溝成形金型60を用いて、細径部準備部42jの一部分を冷間ロータリースエージングによって減面成形し、ライニング溝48となるライニング溝準備部48jを全周にわたって形成する。細径部準備部42jにおいて、複数のライニング溝準備部48jが、細径部準備部42jの軸方向に、超音波振動の半波長に対応する所定のピッチで形成される。
ライニング溝準備部48jの表面硬さの値は、細径部準備部42jの表面硬さの値よりも大きくなる。例えば、細径部準備部42jの表面硬さが330〜340HVであるのに対して、ライニング溝準備部48jの表面硬さは355〜360HVとなる。ライニング溝準備部48jでは、細径部準備部42jよりも外径が小さくなるが、表面硬さの値が大きく、硬度が高いため、強度が高くなり、ライニング溝準備部48jにおいて曲がりが生じにくくなる。
【0046】
多角柱成形工程(図8Aから図8C参照)
多角柱成形工程では、例えば、八角柱成形金型61u,61dを有する冷間プレス機が用いられる。八角柱成形金型61u,61dでは、上金型61u及び下金型61dの押圧方向側の各成形面に成形溝68が延設されており、成形溝68の横断面は、頂辺及び底辺が押圧方向に直交し底辺が押圧方向側に配置される台形形状をなしている。八角柱成形金型61u,61dの閉塞時には、八角柱成形金型61u,61dの成形空間は完全には閉塞されず、上金型61uの成形面と下金型61dの成形面との間に材料が逃げる隙間62が形成される。冷間プレス機では、細径部準備部42jは、細径部準備部42jの先端部が両八角柱成形金型61u,61d間に配置され、超音波プローブ26の幅方向及び長手方向となる方向が夫々八角柱成形金型61u,61dの押圧方向及び成形溝68の延設方向に一致するように配置される。
多角柱成形工程では、八角柱成形金型61u,61dによる冷間プレスにより、細径部準備部42jの先端部を八角柱状に成形する。ここで、ブランク材58の体積は製品の体積よりも余裕をもって設定されているため、プレスの際には八角柱成形金型61u,61dの成形溝68内は材料によって充分に満たされ、八角柱状部分63の稜線部分65が明瞭に形成されることになる。一方で、両八角柱成形金型61u,61dの各成形面間には材料が逃げる隙間62が形成されているため、八角柱成形金型61u,61d内の圧力が過度に上昇して八角柱状部分63にひび割れが生じることが回避される。両八角柱成形金型61u,61dの各成形面間の隙間62へと流動された余肉により、八角柱状部分63には側方に張り出すばり66が形成される。当該ばり66は打ち抜き等により適宜除去され、八角柱状部分63の2つの側面が形成される。
【0047】
ベンディング成形工程(図9Aから図9C)
ベンディング成形工程では、ベンディング成形金型64u,64dを有する冷間プレス機が用いられる。ベンディング成形金型64u,64dでは各成形面に成形溝69が延設されており、成形溝69の横断面は、頂辺及び底辺が押圧方向に直交し底辺が押圧方向側に配置される台形形状をなしている。また、各成形面は、各成形溝69が成形溝69の一端側から他端側へと上金型64uの押圧方向に緩やかに湾曲するように形成されている。そして、ベンディング成形金型64u,64dは、プレスの下死点で成形空間が隙間なく閉塞される閉塞金型である。冷間プレス機では、ベンディング部準備部46jとなる八角柱状部分63が両ベンディング成形金型64u,64d間に配置され、超音波プローブ26の幅方向及びベンディング部46の中心線方向となる方向が夫々ベンディング成形金型64u,64dの押圧方向及び成形溝69の一端側から他端側への延設方向に一致する。
ベンディング成形工程では、細径部準備部42jの先端部をベンディング成形し、ベンディング部46となるベンディング部準備部46jを形成する。ここで、ベンディング部準備部46jのスプリングバックを抑制するために、プレスの下死点で所定時間ベンディング成形金型64u,64dを停留させる。また、ベンディング成形金型64u,64dは閉塞金型であり、ベンディング成形においてベンディング部準備部46jの稜線部分65が滑らかに仕上げられる。このため、ベンディング部準備部46jの稜線部分65の面取りが不要となる。
【0048】
切削工程(図10)
切削加工機による切削加工により、太径部準備部36jの基端部に、ねじ部38となるねじ部準備部38jを形成する。
以上の工程により、棒状のブランク材58から、超音波プローブ26の完成品と同形状の超音波プローブ26の半製品が得られる。
【0049】
熱処理工程
超音波プローブ26の半製品を熱処理炉内に投入して焼きなまし処理を行い、その後、半製品を炉内に保持したまま徐々に温度を下げて常温まで冷却し、炉から取り出す。取り出された完成品の超音波プローブ26では、成形、加工により生じた残留応力が除去されている。また、細径部42において、金属組織は、α+粒状βからα+球状βに改質され、引っ張り強さ、ヤング率が増大されている。なお、製品表面が黒色、茶褐色になっている場合には、酸洗い、ブラストショット等によって、製品表面に金属光沢を回復させてもよい。
【0050】
以上述べたように、本実施形態の超音波プローブ26の製造方法では、冷間ロータリースエージングによる減面成形によって、超音波プローブ26の細径部42及びライニング溝48を形成しているため、材料歩留まりを高く、生産性を高く、不良率を低くすることが可能となっている。また、細径部42、さらに細径部42のライニング溝48の表面硬さを増大することが可能となっている。
【0051】
また、加熱工程では、減面成形金型52とブランク材58との摩擦によりブランク材58を加熱しているため、ブランク材58に好ましくない変性を招来することなく短時間でブランク材58の加熱を完了することができ、また、冷間ロータリースエージング装置の減面成形金型52を用いて加熱を行うことで、加熱工程と冷間ロータリースエージングによる減面成形工程とを連続して行うことができ、工程を簡単化し、製造時間を短縮することが可能となっている。
【0052】
さらに、冷間プレスを用いて多角柱成形工程及びベンディング成形工程を行うことで、超音波プローブ26のベンディング部46を短時間で精密に形成することが可能となっている。多角柱成形工程に用いられる八角柱成形金型61u,61dでは、八角柱状部分63を形成するためのブランク材58の体積を本来必要な体積よりも多めに設定して、八角柱状部分63の稜線部分65を明瞭に形成することが可能となっていると共に、上金型61uと下金型61dとの間の隙間62に材料を逃がすことで、八角柱状部分63にひび割れが生じるのを防止することが可能となっている。また、ベンディング成形に用いられるベンディング成形金型64u,64dは、成形品にバリを発生させないような成形空間以外に隙間のない閉塞金型であり、ベンディング部準備部46jの稜線部分65を滑らかに仕上げることができるため、稜線部分65の面取りが不要となり、生産性をさらに向上することが可能となっている。
【0053】
上述した実施形態では、冷間ロータリースエージングによって減面成形を行っているが、へら絞り、前方押出等によって減面成形を行うようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態の超音波プローブ26では、テーパ部40とベンディング部46との間で、ストレート部44の外径寸法はその軸方向の全長にわたって一定となっており、ストレート部44はライニング溝48以外に段差のない形状となっている。しかしながら、ストレート部44の外径寸法は、テーパ部40の最小外径寸法と最先端のライニング溝48の外径寸法との間で、軸方向に対して適宜変更するようにして、ストレート部44をライニング溝48以外に段差を持つ形状としてもよい。
【0055】
また、多角柱成形工程では、細径部準備部42jの先端部を八角柱状に成形したが、例えば、十角柱状等の他の多角柱状に成形してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の超音波処置具を示す側面図。
【図2】本発明の一実施形態の超音波プローブを示す上面図。
【図3】本発明の一実施形態の製造方法で用いられる冷間ロータリースエージング装置を示す模式図。
【図4】本発明の一実施形態の準備工程を示す側面図。
【図5】本発明の一実施形態の加熱工程を示す横断面図。
【図6A】本発明の一実施形態の減面成形工程を示す部分縦断面側面図。
【図6B】本発明の一実施形態の減面成形工程を開始時において示す横断面図。
【図6C】本発明の一実施形態の減面成形工程を成形途中において示す横断面図。
【図7】本発明の一実施形態の溝成形工程を示す部分縦断面側面図。
【図8A】本発明の一実施形態の多角柱成形工程を示す部分縦断面側面図。
【図8B】本発明の一実施形態の多角柱成形工程を開始時において示す横断面図。
【図8C】本発明の一実施形態の多角柱成形工程を終了時において示す横断面図。
【図9A】本発明の一実施形態のベンディング成形工程を示す部分縦断面側面図。
【図9B】本発明の一実施形態のベンディング成形工程を開始時において示す横断面図。
【図9C】本発明の一実施形態のベンディング成形工程を終了時において示す横断面図。
【図10】本発明の一実施形態の切削工程を示す側面図。
【符号の説明】
【0057】
36…太径部、42…細径部、48…溝部(ライジング溝)、52…冷間ロータリースエージング用減面成形金型、58…素材(ブランク材)、60…溝成形金型、61u,61d…冷間プレス用多角柱成形金型、62…隙間、64u,64d…冷間プレス用ベンディング成形金型。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン材で形成されている棒状の素材を準備する準備工程と、
前記素材の少なくとも一端側を減面成形金型を用いて減面成形する減面成形工程と、
を具備することを特徴とする超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項2】
前記準備工程の後、前記減面成形工程の前に、前記減面成形金型を用いて前記減面成形金型と前記素材との摩擦により前記素材を加熱する加熱工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項3】
前記減面成形工程では、前記素材を冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて冷間ロータリースエージングにより減面成形する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項4】
前記準備工程の後、前記減面成形工程の前に、前記冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて前記冷間ロータリースエージング用減面成形金型と前記素材との摩擦により前記素材を加熱する加熱工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項5】
前記減面成形工程の後、前記素材の一端部を冷間プレス用ベンディング成形金型を用いて冷間プレスによりベンディング成形するベンディング成形工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項6】
前記冷間プレス用ベンディング成形金型は、閉塞金型である、
ことを特徴とする請求項5に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項7】
前記減面成形工程の後、前記素材の一端部を冷間プレス用多角柱成形金型を用いて冷間プレスにより多角柱状に成形する多角柱成形工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項8】
前記冷間プレス用多角柱成形金型は一対の金型から形成されており、プレス成形において前記一対の金型間に素材を逃がす隙間が形成される、
ことを特徴とする請求項7に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項9】
前記減面成形工程の後に、前記素材の少なくとも一端側において、溝成形金型を用いて減面成形により溝を成形する溝成形工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項10】
チタン材で形成されている棒状の超音波処置装置用超音波プローブであって、
一端側の細径部と他端側の太径部とを具備し、
前記細径部の表面硬さの値は前記太径部の表面硬さの値よりも大きい、
ことを特徴とする超音波処置装置用超音波プローブ。
【請求項11】
前記細径部は、前記太径部側に形成されている直線状のストレート部を有し、
前記ストレート部は、超音波振動の節位置となる位置に全周にわたって形成されている溝部を有し、
前記溝部の表面硬さの値は前記ストレート部の表面硬さの値よりも大きい、
ことを特徴とする請求項10に記載の超音波処置装置用超音波プローブ。
【請求項12】
筒状のシースと、前記シースに挿通されチタン材で形成されている超音波プローブと、を具備し、
前記超音波プローブは、一端側の細径部と、他端側の太径部と、を有し、
前記細径部は、前記太径部側に形成されている直線状のストレート部を有し、
前記ストレート部は、超音波振動の節位置となる位置に全周にわたって形成されている溝部を有し、
前記ストレート部の表面硬さの値は前記太径部の表面硬さの値よりも大きく、
前記溝部の表面硬さの値は前記ストレート部の表面硬さの値よりも大きい、
ことを特徴とする超音波処置装置。
【請求項1】
チタン材で形成されている棒状の素材を準備する準備工程と、
前記素材の少なくとも一端側を減面成形金型を用いて減面成形する減面成形工程と、
を具備することを特徴とする超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項2】
前記準備工程の後、前記減面成形工程の前に、前記減面成形金型を用いて前記減面成形金型と前記素材との摩擦により前記素材を加熱する加熱工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項3】
前記減面成形工程では、前記素材を冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて冷間ロータリースエージングにより減面成形する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項4】
前記準備工程の後、前記減面成形工程の前に、前記冷間ロータリースエージング用減面成形金型を用いて前記冷間ロータリースエージング用減面成形金型と前記素材との摩擦により前記素材を加熱する加熱工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項5】
前記減面成形工程の後、前記素材の一端部を冷間プレス用ベンディング成形金型を用いて冷間プレスによりベンディング成形するベンディング成形工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項6】
前記冷間プレス用ベンディング成形金型は、閉塞金型である、
ことを特徴とする請求項5に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項7】
前記減面成形工程の後、前記素材の一端部を冷間プレス用多角柱成形金型を用いて冷間プレスにより多角柱状に成形する多角柱成形工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項8】
前記冷間プレス用多角柱成形金型は一対の金型から形成されており、プレス成形において前記一対の金型間に素材を逃がす隙間が形成される、
ことを特徴とする請求項7に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項9】
前記減面成形工程の後に、前記素材の少なくとも一端側において、溝成形金型を用いて減面成形により溝を成形する溝成形工程をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波処置装置用超音波プローブの製造方法。
【請求項10】
チタン材で形成されている棒状の超音波処置装置用超音波プローブであって、
一端側の細径部と他端側の太径部とを具備し、
前記細径部の表面硬さの値は前記太径部の表面硬さの値よりも大きい、
ことを特徴とする超音波処置装置用超音波プローブ。
【請求項11】
前記細径部は、前記太径部側に形成されている直線状のストレート部を有し、
前記ストレート部は、超音波振動の節位置となる位置に全周にわたって形成されている溝部を有し、
前記溝部の表面硬さの値は前記ストレート部の表面硬さの値よりも大きい、
ことを特徴とする請求項10に記載の超音波処置装置用超音波プローブ。
【請求項12】
筒状のシースと、前記シースに挿通されチタン材で形成されている超音波プローブと、を具備し、
前記超音波プローブは、一端側の細径部と、他端側の太径部と、を有し、
前記細径部は、前記太径部側に形成されている直線状のストレート部を有し、
前記ストレート部は、超音波振動の節位置となる位置に全周にわたって形成されている溝部を有し、
前記ストレート部の表面硬さの値は前記太径部の表面硬さの値よりも大きく、
前記溝部の表面硬さの値は前記ストレート部の表面硬さの値よりも大きい、
ことを特徴とする超音波処置装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公開番号】特開2010−51669(P2010−51669A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221361(P2008−221361)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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