説明

超音波送受波器

【課題】従来の有底筒状ケースをエポキシ系等の成形樹脂ケースを用いた超音波送受波器において、有底筒状ケースと圧電素子を接着剤で貼り合わせを行うが工数がかかる他、特性のバラツキ、信頼性の低下が懸念される問題がある。
【解決手段】超音波送受波器において、有底筒状樹脂ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせてユニモルフ振動子を構成し、この振動体のケース外側面にて超音波の送信、受信を行う超音波送受波器において、有底筒状樹脂ケースと圧電素子の接着を有底筒状樹脂ケースの成型時に同時に一体成形することで強固な接合構造と特性の安定化、信頼性の向上を実現することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波周波数帯の送信、受信を行う超音波送受波器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の実施の形態に関わる超音波送受波器において、超音波送受波器を車のバンパー等に埋め込み設置し、車周辺の障害物を検出しようとした場合、超音波送受波器にパルスバースト電気信号を入力することにより、超音波送受波器からその入力パルスバースト電気信号に応じた超音波信号が発振され、発振された超音波信号は障害物に到達し、障害物に当たった超音波信号は、その障害物で反射され、その反射された超音波信号の一部が同じ超音波送受波器に戻ってくる。超音波送受波器はその反射信号を受信することによって障害物を検出するバックセンサシステムに使用されている。
図7は、従来の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図を表す。図7において、エポキシ樹脂等から成る有底筒状ケース6の底面内部に接着剤8で圧電素子1を貼り合わせ、ユニモルフ振動子を構成する。圧電素子1の有底筒状ケース6との接着面側の反対面と圧電素子1から入出力リード5a、又、圧電素子1の有底筒状ケース6との接着面側の面と圧電素子1から入出力リード5bを半田付け等をし取り出す。圧電素子1と入出力リード5a及び5bとは電気的に接続されている。圧電素子1の上面に発泡シリコン等から成る吸音材3を載置して、その上からシリコン材、ウレタン材等から成る封止剤4を有底筒状ケース6内部に充填し構成する。
従来の実施の形態に関わる超音波送受波器において、エポキシ樹脂等から成る有底筒状樹脂ケース6の底面内部に圧電素子1を接着剤にて貼り合わせを行っているため工数がかかる他、特性のバラツキを生ずる、信頼性の低下が低下するという問題がある。
【特許文献1】特許公開2001−78296
【非特許文献1】谷腰欣司著 「超音波とその使い方−超音波送受波器・超音波モータ」 日刊工業新聞 1994年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来有底筒状ケースと圧電素子を接着剤で貼り合わせを行うが工数がかかる他、特性のバラツキ、信頼性の低下が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
有底筒状樹脂ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせてユニモルフ振動子を構成し、この振動体のケース外側面にて超音波の送信、受信を行う超音波送受波器において、有底筒状樹脂ケースと圧電素子の接着を有底筒状樹脂ケースの成型時に同時に一体成形することで強固な接合構造と特性の安定化、信頼性の向上を実現することが出来る。
【発明の効果】
【0005】
バックセンサ市場に安価で特性が安定して、信頼性が高いセンサを提供できるためバックセンサシステム等の障害物検知システム自体の価格を下げることが出来、今まで搭載出来なかったグレートの車両でも採用されることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
有底筒状樹脂ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせてユニモルフ振動子を構成し、この振動体のケース外側面にて超音波の送信、受信を行う超音波送受波器において、有底筒状樹脂ケースと圧電素子の接着を有底筒状樹脂ケースの成型時に同時に一体成形することで強固で安定した接合構造が得られ特性が安定した、信頼性の高い安価なセンサを提供することが出来る。
【実施例】
【0007】
図1及び図2、図3、図4は本発明の実施の形態の関わる超音波送受波器の概略縦断面図、上面図を表す。図1、図3において、成形樹脂から成る有底筒状ケース2の底面内部に圧電素子1を一体成形による接合9で接合し、ユニモルフ振動子を構成する。圧電素子1の有底筒状ケース2との接合側の反対面と圧電素子1から入出力リード5a、又、圧電素子1の有底筒状ケース2との接合の面と圧電素子1から入出力リード5bを半田付け等をし取り出す。圧電素子1と入出力リード5a及び5bとは電気的に接続されている。圧電素子1の上面に発泡シリコン等から成る吸音材3を載置して、その上からシリコン材、ウレタン材等から成る封止剤4を有底筒状ケース2内部に充填し構成する。本発明は、バックセンサ市場に高性能で耐ノイズ性が高く安価なセンサを提供できるためバックセンサシステム等の障害物検知システム自体の価格を下げることが出来、今まで搭載出来なかったグレートの車両でも採用されることが期待できる。
図5、図6は本発明の別の実施の形態の関わる超音波送受波器の概略縦断面図、上面図を示す。図5において、成形樹脂から成る有底筒状ケース2の底面内部に圧電素子1を一体成形による接合9で接合し、ユニモルフ振動子を構成する。成形樹脂の有底筒状ケース2の底面内部に折り返し電極を有する圧電素子7を貼り合わせ、ユニモルフ振動子を構成する。圧電素子7の有底筒状ケース2との接合面側の反対面と圧電素子7から入出力リード5a、圧電素子1の有底筒状ケース2との接合面側と有底筒状ケース2とは電気的に接続されており、更に、圧電素子7と入出力リード5a及び、有底筒状ケースと電気的に接続されている側の圧電素子の折り返し電極と入出力リード5bとは電気的に接続されている。圧電素子7と入出力リード5a及び5bとは電気的に接続されている。圧電素子7の上面に発泡シリコン等から成る吸音材3を載置して、その上からシリコン材、ウレタン材等から成る封止剤4を有底筒状ケース2内部に充填し構成する。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明は、車のバックセンサシステムのみならず、防滴型超音波送受波器が利用されている様々な分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図
【図2】本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略上面図
【図3】本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図
【図4】本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略上面図
【図5】本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図
【図6】本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略上面図
【図7】従来の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図
【図8】従来の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦上面図
【符号の説明】
【0010】
1 圧電素子
2 導電性樹脂製有底筒状ケース
3 吸音材
4 封止材
5a 入出力リード
5b 入出力リード
6 樹脂製有底筒状ケース
7 折り返し電極を有する圧電素子
8 接着剤
9 一体成形による接合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせてユニモルフ振動子を構成し、この振動体のケース外側面にて超音波の送信、受信を行う超音波送受波器において、樹脂製有底筒状ケースと圧電素子の接着を樹脂製有底筒状ケースの成形時に一体成形、溶着を行うことを特徴とする超音波送受波器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−271337(P2008−271337A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113485(P2007−113485)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】