説明

車両において液体の特性を測定するための測定装置

【課題】
【解決手段】本発明は、好ましくは電子的に制御される車両ブレーキシステムのブレーキ液体リザーバ内に特に配置される、液体を収容するリザーバ8内の液体の特性及び/又はこの液体の充填レベルを測定するための測定装置1に関する。この装置は、組み込まれている測定電子システム2と、センサー装置4と、電気供給ライン18,26と、着脱自在にあるいは固定的に設けられている電気接続コード9と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部に従う測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ液体内の水分含有量を測定する様々な方法及び装置が当該技術分野で知られている。幾つかの方法では、吸湿性のブレーキ液体の性質、特に水分含有量が、例えば、液体の沸点を測定することによって決定される。
【0003】
欧州特許第0513004号明細書により開示された、沸騰温度を用いて性質を決定する装置では、例えばワイヤーのような少なくとも1つの直線状導体によってセンサー要素が形成されている。この公報からは、ブレーキ液体リザーバ内に配置するのに適した装置の特徴に想到することはできない。
【0004】
欧州特許出願公開第0289499B1号明細書に記載された装置は、ブレーキ液体テスト器具に関連し、測定セル内にバルブ沸騰ゾーン(bubble boiling zone)が形成されている。この関連装置は、1つの器具として形成されているため、車両に搭載されるのには適さない。
【0005】
独国特許出願公開第10147804A1号明細書に比較的簡単に記載されている装置は、シリンダー形状の測定チャンバ内にセンサー要素及び加熱要素を有する。これには、センサーをブレーキ液体リザーバ内で用いるのに適したものとする特別な実施形態は開示されていない。
【0006】
独国特許出願公開第19741892C2号明細書は、原理的に、ブレーキ液体リザーバ内の充填レベルをどのように測定するかを、ブレーキ液体の性質の測定を除外して開示している。独国特許出願公開第19741892C2号明細書は主に測定方法を開示している。方法を実施するための測定装置は開示されていない。
【特許文献1】欧州特許第0513004号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0289499B1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10147804A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19741892C2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、車両において信頼して用いることができ、低コストで製造することが可能な測定装置の完全な構造的特徴は、これまでの従来技術からは知ることができないものであるということができる。
【0008】
上述した観点に鑑み、本発明の目的は、それ自体はほぼ知られている測定方法を実施するための、低コストで製造でき、車両の製造における現在及び将来の要求を満たす測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従い、この目的は、請求項1に記載されている測定装置によって達成される。
【0010】
本発明の測定装置の特徴は、測定装置に測定電子システムが組み込まれていることである。センサー信号を伝達するために、測定装置が電気接続ラインによって電子制御ユニットに接続可能であり、上述した形態により、電気接続ラインを電磁的にシールドしないでおくことが可能となる。さらに、センサーの信頼性、製造コストの観点から、多大な効果が達成される。
【0011】
好ましくは、本発明の測定装置はプラグインカートリッジとして形成され得、これにより、車両メーカーの個々の希望に従って、様々な搭載位置を実現することが可能となる。
【0012】
さらに好ましい実施態様が、従属請求項及び以下の図面に関する説明から理解できるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を各実施形態によって詳細に説明する。
【0014】
図1では、測定装置1は、集積演算電子システム2を有する。測定電子システム2の電子部品は、部品キャリアに配設されている。測定装置1の特徴は、測定装置1に測定電子システム2が組み込まれていることである。測定装置への組み込みにより、複数の効果が達成される。即ち、例えば、信号の増幅が可能であるため、センサーケーブルを電磁的にシールドする必要がなくなる。さらに、測定装置1は可動部品を有していない。プリント回路基板の接続は、パンチングフレームを用いて形成可能な平面導電トラック26によってなされる。しかしながら、導電性の被覆フォイル材料も考えら得、これにより弾性の増大という効果が得られる。測定装置のハウジング部品は、ほぼカートリッジ形態に形成され、センサー要素の領域に一定の透過性を有する開口11を有し、この開口11を介して、液体がハウジング部品の内部へと流入可能である。この開口は、例えば、フィルター10によって閉塞される。これにより、センサーがブレーキ液体23中に浸された後にチャンバ12が満たされ、測定に適切な量の液体がセンサー13に提供される。しかしながら、最も簡単な形態として、リザーバと測定チャンバとの間での望ましい液体の交換を確保するのに、測定装置の壁に形成されている単なる溝が考えられる。ハウジング部品は、1以上の追加の通気アパーチャ14を有し得る。測定装置はブレーキ液リザーバ8のカバー7に回転可能に設けられており、このため、エンジンコンパートメントから測定装置の外側へと延び、例えば電子ブレーキシステムのECUへと到る接続ラインを、所望の方向からより容易に接続することが可能である。この装置は、センサー要素(複数のセンサー要素)用の底部ハウジング部品と、これらからシールされている電子部品用の頂部ハウジング部品と、を有する。電子部品3の領域とセンサーシステム4の領域とは、分離要素5によって互いに密閉状態に分離されている。ハウジング部品は、好ましくは止め金6により、自明な形態により作動可能に相互接続可能である。また、分子結合が達成される。
【0015】
図2では、測定装置がブレーキ液体リザーバの壁に連結されている。これは、測定装置がプラグインカートリッジ(plug−in cartridge)の形態であるため、非常に容易に実現可能である。
【0016】
図3では、水平及び鉛直に配置され、異なる位置に装着されている2つの測定装置が図示されている。図示されている、測定装置の多部品からなるハウジングの全長は、車両のタイプに応じた各々のリザーバの形状に対応可能であり、ブレーキ液体へのセンサーの充分に深い浸入を確保することができる。複数のハウジング部品の相対的な移動を可能にするような、複数のハウジング部品を互いにシールする適切なシールが用いられる。好ましくは、ハウジング部品はシリンダーの形態に形成されており、外側ハウジング部品15は、内側ハウジング部品16の直径よりも僅かに大きな直径を有し、内側ハウジング部品16は外側ハウジング部品15内へと摺動可能である。電子部品を収容しているハウジング部品は、測定要素を収容しているハウジング部品から密閉状態に分離されている。密閉シールの領域に、電気ライン用の密閉通路が設けられている。ガラス21が、好ましくは、シールのために提供され得る。代わって、この領域には、プラグ、コンタクトのような電気接続要素、及び、同様な要素が設けられ得る。
【0017】
図4では、測定電子システムを底部ハウジング部品17内のセンサーシステム4の領域に接続している電気ラインは,フレキシブルライン18として形成されており、フレキシブルラインは、剛性ラインと比較して、密閉状態にシールされている底部ハウジング部品17がその長さを変化させるために移動された際に、損傷され得ないという効果を奏する。代わって、フレキシブルラインは、単なる絶縁ワイヤーであり得る。加えて、液体リザーバは、リザーバの通気のために、ハウジング及び/又はカバーの領域に1以上の開口19を有し、開口(複数の開口)は、好ましくは、ゴアテックス(登録商標)により形成されている通気可能な織物ストリップのような織物部材20によって閉塞されている。測定装置のハウジングに、上述した通気機構が成形可能である。カバーに配設されている装着支持部において、測定装置1の全体が長手方向Aに変位可能である。さらに、電子部品を有するプラグキャップ24は、ライン9に接続されている屈曲プラグ(angled−off plug)25を様々な方向から接続可能とするために、カバーにおいて、軸Aを中心として、規定の角度範囲内で回転可能である。
【0018】
図5は、ブレーキ液体の性質センサーをリザーバカバーに組み込む、別の可能な形態を示す。図5に示されるように、センサーは、標準的なブレーキ液体リザーバの連続的なリザーバカバー(series reservoir cover)に組み込まれており、カバーにおいて通気機構が形成されている。外側ハウジング(センサーキャリアー)は、センサーヘッド、電極、電子部品、電子部品とセンサー要素(温度フィーラー及び加熱要素)とを分離するシールといった全ての単一部品を収容している成形部品である。電子部品を収容し、さらにセンサー電子部品に対するシール機能を有する成形部品が、電子部品の領域において、センサーの頂部部品にインサートされている。エラストマーによって形成され、一体化されている成形部品は、電子部品の領域において壁に当接され、電子部品と電極との間の密閉分離領域において、電子部品を確実にシールする。カバーが押圧されている領域で、環状センサー当接カラー28の下に、リザーバをシールするための環状ワッシャー34が配置されている。エンジンコンパートメントに対して、プラグ延出部によって電子部品がシールされており、プラグ延出部27は、センサープラグ30から電子部品へと到るコンタクト29をガイドする。
【0019】
図6a)は、性質センサーを有する分離下方リザーバ33を示し、分離下方リザーバは、分離された比較的小さい充填リザーバ32に接続ライン31によって接続されている。カバー7’は、ブレーキ液体を充填するための充填リザーバ32に配置されている。
【0020】
図6b)で断面図により示される性質センサーは、図5のセンサーと同様なセンサーであり、違いは、電子部品とセンサー要素との間のシールがリングシールによってなされることであり、個別のシールリングが、性質についての電極を有するセンサーヘッドに対するシールのために、また、充填レベルについての電極に対するシールのために夫々設けられている。図5に示されるカバーの領域における通気機構をなくす場合には、図6a)に示される分離して配置されたリザーバにおいて性質センサーを用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】リザーバカバーに装着されている測定装置についての一実施形態を示す。
【図2】測定装置の別の場所への搭載についての一実施形態を示す。
【図3】測定装置の別の場所への搭載についての別の一実施形態を示す。
【図4】本発明に従う測定装置の別の一実施形態を示す。
【図5】リザーバカバーに組み込まれているシール用成形部品を有する測定装置の一実施形態を示す。
【図6】リザーバにねじ込み可能なシールリングを有する測定装置の一実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは電子的に制御される車両ブレーキシステムのブレーキ液体リザーバ内に特に配置される、液体を収容するリザーバ(8)内の液体の特性及び/又はこの液体の充填レベルを測定するための測定装置(1)において、
測定装置に組み込まれている測定電子システム(2)と、
測定電子システムに電気的に接続され、液体を収容するリザーバ内の液体の特性を測定し及び/又は液体の充填レベルを測定するのに用いられるセンサー装置(4)と、
測定電子システムとセンサー装置とを電気的に接続する電気供給ライン(18,26)と、
センサー信号を伝達するために測定装置と電子制御ユニットとを電気的に接続し、着脱自在にあるいは固定的に設けられている電気接続コード(19)と、
によって特徴付けられる測定装置。
【請求項2】
測定装置は、特にカートリッジとして形成され2つあるいは3つ以上に分離可能な複数のハウジング部品を有し、少なくとも1つのハウジング部品は、一定の液体透過性を備える領域を有し、あるいは、少なくとも1つのハウジング部品は、所定の流動抵抗を備える開口を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
測定装置内に電子部品をブレーキ液体から防護するのに用いられる分離ゾーンが設けられており、特に、測定装置の、電子部品が収容されている領域が密閉されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
分離ゾーンは、複数のハウジング部品が分離されている領域に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
電気供給ラインは、シールされて特に分離ゾーンを通って延びているワイヤーあるいは平面導線によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
測定装置は、複数の部品の組み合わせであり、様々なリザーバの形状に適合するようにその長さが変化可能であり、又は、少なくとも外側のハウジングは、1つの材料によって一体的に成形されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
測定装置は、リザーバの、頂部ハウジング部品(21)に、カバー(7)に、壁へと、又は、底部へと設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
測定装置(1)は、リザーバ壁又はリザーバカバーの領域に固定され、その長さの調節のために測定装置の長手軸の軸方向に移動可能であり、及び/又は、リザーバあるいはカバーに対して長手軸を中心として最小限の角度だけ回転可能である、
ことを特徴とする請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
測定装置は、電気接続ライン(9)用のプラグ(25)を接続するためのプラグキャップ(24)を有し、このプラグキャップ内に、特に測定電子システムが配設されており、プラグキャップは、リザーバあるいはカバーに対して長手軸を中心として最小限の角度だけ回転可能である、及び/又は、移動可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項10】
電子部品及びセンサーの領域のシールは、形状ばめによって、大きな部品における電子部品の領域のハウジング壁に内側から当接している成形部品によって提供されており、成形部品は、特に一体的な弾性シールであり、あるいは、シールは、少なくとも1つの弾性シールリングによって提供されている、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項11】
カバーのシール領域に、通気機構が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項12】
電子部品の領域は、プラグ延出部(27)によってエンジンコンパートメントに対してシールされており、プラグ延出部(27)は、センサー接続ケーブル用のコネクタプラグ(30)をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−504453(P2007−504453A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525145(P2006−525145)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052003
【国際公開番号】WO2005/024414
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】