車両のシート装置
【課題】車体の底面を形成するフロアパネル上に前席シート及び後席シートが配設されていると共に、該後席シートの近傍後方に、後輪を収容するリヤホイールハウスが車室内に突出して設けられた車両のシート装置において、後席シートの後方にリヤホイールハウスが設けられている場合でも、シートの足元空間を拡大可能な車両のシート装置を提供する。
【解決手段】後席シート20のシートバック22を、下端部をフロアパネル2から離間させて、該フロアパネル2に支持すると共に、後席シート20のシートクッション21を、シートバック22の下端部とフロアパネル2との間を通って、該クッション21の後端部が前記シートバック22の下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバック22とは独立して前記フロアパネル2に支持するシートクッション支持機構30を設ける。
【解決手段】後席シート20のシートバック22を、下端部をフロアパネル2から離間させて、該フロアパネル2に支持すると共に、後席シート20のシートクッション21を、シートバック22の下端部とフロアパネル2との間を通って、該クッション21の後端部が前記シートバック22の下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバック22とは独立して前記フロアパネル2に支持するシートクッション支持機構30を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の底面を形成するフロアパネル上に配設された後席シートのシート構造に関し、車両のシート装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
車体の底面を形成するフロアパネル上には、シートクッション及びシートバックを有するシート装置が配設される。その場合に、前席シートは、運転の際最適な姿勢を取れるように、前後方向スライド、シートバックのリクライニング角度の変更、シートクッションの座面高さの変更等が可能に構成されるが、後席シートにおいては、シートクッション及びシートバックの両方ともが固定とされることがある。
【0003】
しかし、後席シートに着座する乗員の体型は様々であり、後席シートにおいても着座時の快適性の向上が要求されている。例えば、特許文献1には、シートクッションを前部を中心として回動可能に支持することにより、後部側を上方へ移動可能に構成したものが開示されており、これによれば、座面の高さが調整可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−335291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、後席シートの後方近傍には、後輪を収容するリヤホイールハウスが車室内に突出して設けられる場合があり、この場合、後席シートの後端位置が制約を受けて、後席シートとその前方のシートとの間の足元空間を広くとれない場合が生じ得るが、前記特許文献1に記載のものでは、座面の高さが調整可能となるだけで、これに対応することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、後席シートの後方にリヤホイールハウスが設けられている場合でも、後席シートの足元空間を拡大可能な車両のシート装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0008】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体の底面を形成するフロアパネル上に前席シート及び後席シートが配設されていると共に、該後席シートの近傍後方に、後輪を収容するリヤホイールハウスが車室内に突出して設けられた車両のシート装置であって、前記後席シートのシートバックは、下端部を前記フロアパネルから離間させて、該フロアパネルに支持されていると共に、前記後席シートのシートクッションを、前記シートバックの下端部と前記フロアパネルとの間を通って、該クッションの後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバックとは独立して前記フロアパネルに支持するシートクッション支持機構を有していることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両のシート装置において、前記シートクッション支持機構は、前記シートクッションが後方に移動するときに、該シートクッションの前部を下方に移動させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の車両のシート装置において、前記シートバックは、その下端部において、前記フロアパネルにシートバック支持ブラケットを介して支持されていると共に、該シートバック支持ブラケットは、シートクッションの後方に配置されており、かつ、該支持ブラケットに、前記シートクッションの後方移動時における該クッションの後端部との干渉を回避させる退避部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両のシート装置において、前記シートバックは、前記シートクッション上に前倒可能に支持されていると共に、前記シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態で、前記シートバックを前倒させると、該シートバックの下端部とシートクッションの後端部とが干渉する構造とされており、前記シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態におけるシートバックの前倒を規制する前倒規制機構が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について説明する。
【0013】
まず、請求項1に記載の発明によれば、後席シートのシートバックは、下端部を前記フロアパネルから離間させて、該フロアパネルに支持されているので、シートバックの下端部とフロアパネルとの間に空間が形成される。そして、後席シートのシートクッションは、シートクッション支持機構により、前記シートバックの下端部と前記フロアパネルとの間を通って、該クッションの後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバックとは独立して前記フロアパネルに支持されているから、シートクッションを後方に前記所定量移動させることにより、前席シートと後席シートのシートクッションとの前後間隔を広げることができる。したがって、後席シートの近傍後方にリヤホイールハウスが設けられて、後席シート全体を後方に移動させることができない場合でも、乗員の足元空間を拡大することができる。なお、この所定量は、シートクッションを後方へ所定量移動させた状態においても、該シートクッションに安定して着座することができる量に設定されている。すなわち、シートクッションに安定して着座することができないほど後方へ移動させるものは含まない。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、シートクッションが後方に移動すると、該シートクッションの前部が下方に移動することとなるので、該クッションの座面が前部において低くなる。したがって、前部が下方に移動しない場合と比べて、乗員のとりうる着座姿勢の範囲が広がり、着座時の快適性が向上することとなる。特に、小柄な乗員の場合、(標準的な乗員と比べて)、シートクッションの座面が高いと、例えば足がフロアにつきにくくなったり、ニーアングルが小さくなったりしやすいが、本発明によれば、シートクッションの座面を前部において低くできるので、この着座姿勢の問題が改善され、着座時の快適性が向上することとなる。
【0015】
ところで、シートバックは、その下端部において、フロアパネルにシートバック支持ブラケットを介して支持される場合があるが、このシートバック支持ブラケットをシートクッションの後方に配置すると、シートクッションとシートバック支持ブラケットとが干渉して、シートクッションの後方移動の制約となり、十分な後方移動量を確保できなくなる場合がある。
【0016】
しかし、請求項3に記載の発明によれば、シートバック支持ブラケットに、前記シートクッションの後方移動時における該クッションの後端部との干渉を回避させる退避部が設けられているから、シートバックを、シートクッションの後方に配置した支持ブラケットで支持した場合でも、シートクッションの後方移動量をより多く確保することが可能となる。
【0017】
ところで、シートバックを、シートクッション上に前倒可能に構成することが考えられるが、このように構成した場合、シートバックの下端部の形状やシートクッションの後端部の形状によっては、シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動させた状態でシートバックを前倒させると、シートバックの下端部とシートクッションの後端部とが干渉する場合があり、この場合、何らかの対策が必要となる。
【0018】
そこで、請求項4に記載の発明においては、シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態でのシートバックの前倒を規制する前倒規制機構を設けたものであり、これによれば、シートバックの下端部とシートクッションの後端部とが干渉するのが確実に防止されることとなる。すなわち、シートバック及びシートクッションの破損等が防止されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る車両のシート装置について説明する。
【0020】
図1A、図1Bに示すように、本実施の形態に係る車両1の車体の底面を形成するフロアパネル2上には、運転席及び助手席用の前席シート10,10と、後席シート20とが配設されている。ここで、フロアパネル2における前席シート10,10が配設される基準面部2aの後方には、該基準面部2aに対して段上げされたキックアップ部2bが設けられ、前記後席シート20は該キックアップ部2b上に設けられている。
【0021】
後席シート20の近傍後方には、図3にも示すように、後輪W,Wを収容するリヤホイールハウス2c,2cがフロアパネル2の左右を車室側へ膨出させることにより、車室内に突出して設けられている。
【0022】
前席シート10は、シートクッション11とシートバック12とを備え、前席シート10全体として前後スライド可能なようにフロアパネル2に支持されていると共に、シートバック12がリクライニング可能に構成されている。
【0023】
後席シート20は、車室幅とほぼ同幅のシートクッション21とシートバック22とを備えている。
【0024】
図2に示すように、後席シート20のシートクッション21及びシートバック22は、シートクッション支持機構30及びシートバック支持機構40を介して独立してフロアパネル2に支持されており、これらの支持機構30,40により、後席シート20は、図4に示す基準状態と、図5に示す基準状態に対してシートバック22をシートクッション21上に前倒させた状態(以下、この状態を「シートバック前倒状態」という)と、図6に示す基準状態に対してシートクッション21を前記シートバック22の下端部と前記フロアパネル2との間を通って該クッション21の後端部がシートバック22の下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動させた状態(以下、この状態を「シートクッション後方移動状態」という)とを達成可能に構成されている。なお、この所定量は、シートクッション21を後方へ所定量移動させた状態においても、該シートクッション21に安定して着座することができる量に設定されている。すなわち、シートクッション21に安定して着座することができないほど後方へ移動させるものは含まない。
【0025】
これらの支持機構30,40について説明する前に、シートクッション21及びシートバック22の基本構造について説明すると、図4に示すように、シートクッション21は、該シートクッション21の左右の側端部においてそれぞれ略前後に延びる前後フレーム21F(左側のみ図示している)と、これらのフレーム21F間で車幅方向に延び、これらのフレーム21Fを連結する横フレーム(図示せず)とでなるシートクッションフレームと、該シートクッションフレームを覆うように設けられ、表皮を構成するクッション材21Cとを有している。
【0026】
また、シートバック22は、該シートバック22の左右の側端部及び車幅方向中央付近においてそれぞれ略上下に延びる上下フレーム22F(左側のみ図示している)と、これらのフレーム22F間で車幅方向に延び、これらのフレーム22Fを連結する横フレーム(図示せず)とでなるシートバックフレームと、該シートバックフレームを覆うように設けられ、表皮を構成するクッション材22Cとを有している。
【0027】
次に、シートバック支持機構40について説明すると、図2、図7に示すように、該シートバック支持機構40は、シートバック22の上下フレーム22Fの下部に車幅方向に設けられた軸42と、フロア22に固定され、軸42を回動可能に支持するシートバック支持ブラケット41とを有し、シートバック22を、前述したように図4に示す基準状態と図5に示すシートバック前倒状態との間で回動可能に支持している。図2に示されているように、シートバック支持ブラケット41及び軸42は、前記上下フレーム22Fに対応して、シートバック22の左右とその中間付近に合計3個ずつ設けられている。
【0028】
ここで、各シートバック支持ブラケット41は、図7からわかるように、リヤホイールハウス2cの前部下部に、キックアップ部2bの上面から上方に離間させて設けられており、これにより、シートバック22の下端部が、起立状態においてフロアパネル2のキックアップ部2bの上面から上方に所定量離間するように構成されている。ここで、この所定量は、後述するようにシートクッション21を後方位置に移動させる際に、該シートクッション21とシートバック22とが干渉することがないように設定されている。
【0029】
次に、シートクッション支持機構30について説明すると、該支持機構30は、図2、図7に示すように、シートクッション21の前部を支持する前部支持機構50と、シートクッションの後部を支持する後部支持機構60とで構成されている。
【0030】
前部支持機構50は、図2、図7に示すように、シートクッション21の左右側方においてフロア2に固定され、略コ字状の長溝51aが形成された支持ブラケット51と、シートクッション21の前後フレーム21Fに支持ブロック52を介して前後方向に移動可能に支持されると共に、平面視でクランク状に折曲して(図2参照)後端側に設けられた左右の横棒部53aが、前記支持ブラケット51のコ字状長溝51aに沿って移動可能に係止された操作レバー53と、後端が前後フレーム21Fに設けられた固定部材54に係止され、前端が前記レバー部材53の横棒部53aに設けられた溝(図示せず)に係止されたコイルバネ55とを有している。なお、操作レバー53以外のもの51,52,54,55は、シートクッション21の左右にそれぞれ設けられている。
【0031】
後部支持機構60は、リンク機構により構成されている。すなわち、フロア2に固定された支持ブラケット61と、上端部が、前後フレーム21Fの後部に設けられた車幅方向に延びる軸62に回動可能に連結され、下端部が前記支持ブラケット61に設けられた車幅方向に延びる軸63に回動可能に支持されたリンク部材64とを有している。なお、図2からわかるように、これらの部材61〜64は、シートクッション21の左右にそれぞれ設けられている。
【0032】
シートクッション支持機構30全体としては、図7に示すように、前部支持機構50の操作レバー53の横棒部53aがコイルバネ55により後方に引っ張られることにより、該横棒部53aが支持ブラケット51のコ字状長溝51aの上部係止溝部51bの後端に係止されている状態において、後部支持機構60のリンク部材64が前傾状態となるように構成されており、これにより、シートクッション21が基準位置(基準状態に対応する位置)に位置するようになっている。なお、前傾状態でリンク部材64が安定するように、該リンク部材64には、前傾状態のときに支持ブラケット61の取付面部61aに当接する当接部64aが設けられている。
【0033】
一方、操作レバー53を矢印αで示すように前方に引く等の操作を行って、その横棒部53aをコ字状長溝51aに沿って下部係止溝部51cに移動させた場合、図8に示すように、前部支持機構50の操作レバー53の横棒部53aが前記コイルバネ55により後方に引っ張られることにより、該横棒部53aが支持ブラケット51のコ字状長溝51aの下部係止溝部51cの後端に係止される。その場合に、この状態において後部支持機構60のリンク部材64が後傾状態となるように構成されており、これにより、シートクッション21の前部が矢印βで示すように基準位置よりも下方に下がり、かつシートクッション21がシートバック22の下端部とフロアパネル2のキックアップ部2bとの間を通って基準位置よりも所定量後方に移動した位置(シートクッション後方移動状態に対応する位置)に位置するようになっている。なお、リンク部材64が後傾状態で安定するように、該リンク部材64には、後傾状態のときに支持ブラケット61の取付面部61aに当接する当接部64bが設けられている。
【0034】
ここで、シートクッション21がこのように後方位置にあるときには、該クッション21の後端部が矢印γで示すように若干上方に移動することとなるが、シートクッション21の後方移動量をできるだけ多く確保するためには、シートバック支持ブラケット41との干渉を回避する必要がある。そこで、本実施の形態においては、シートバック支持ブラケット41は、図9に示す構造とされている。すなわち、シートバック支持ブラケット41は、フロアパネル2に固着される取付面部41aと、該取付面部41aから前方上方に立ち上がる支持面部41bとを有しているが、該支持面部41bの前縁部に、半月状の切欠部41cが形成されている。なお、この切欠部41cは、シートバック22側方のシートバック支持ブラケット41については不要な場合もある。すなわち、該ブラケット41の支持面部41bの方がシートクッション21よりも車幅方向外方に位置している場合にはこれらが干渉する虞がないので、この場合設ける必要はないのである。
【0035】
また、図3に示すように、後席シート20には、シートバック22を起立状態で車体の側部3の内面にロックするロック機構70が設けられている。このロック機構70は、車体側部2に設けられたストライカ71と、シートバック22の車体側部側の上部に設けられたラッチ機構80とで構成されている。なお、ロック機構70は、シートバック22の左右にそれぞれ設けられている。
【0036】
このラッチ機構80は、図10に示すように、シートバック22の上下フレーム22Fの上部に取り付けられたブラケット81と、該ブラケット81の上部に回動可能に支持され、前記ストライカ71に係合可能な係合部82aを有するたS字状ロック部材82と、該ロック部材82をロック方向(図10において右回り方向)に回動させるように付勢する付勢部材(図示せず)とを有している。また、このロックを解除させる操作機構として、前記ブラケット81の上部に固定されたケース部材83と、該ケース部材83内で上下に移動可能に設けられた押下部材84とを有している。この押下部材84は、前記S字状ロック部材82が実線と仮想線との間で回動した場合でも、押下部材84の下端部が、前記S字状ロック部材82における前記係合部82aとは反対側の端部に設けられた当接部82bの上部に当接するように配置されている。押下部材84の下端部近傍には、該部材84が上方に抜け出るのを防止する抜け止め部材85が固着されている。
【0037】
そして、この押下部材84を、前記付勢部材の付勢力に抗して仮想線で示す位置まで押し下げることにより、S字状ロック部材82の係合部82aの先端がストライカ71よりも高い位置にまで移動して係合が解除され、これにより、シートバック22を前倒させることが可能となっている。
【0038】
ここで、シートクッション21が後方位置にあるときには、該クッション21の後端部が前述のように若干上方に移動することとなるが、本実施の形態に係るシートクッション21及びシートバック22の形状によると、図8に示すように、シートクッション21が後方位置にあるときに、シートバック22を矢印δで示すように前倒させると、シートクッション21の後端部とシートバック22の下端部とが矢印Xで示すように干渉し、両者21,22が破損する虞がある。そこで、本実施の形態においては、シートクッション21が後方位置にあるときに、シートバック22の前倒を規制する前倒規制機構90が設けられており、以下、この前倒規制機構90について説明する。
【0039】
すなわち、この前倒規制機構90は、図10に示すように、前記S字状ロック部材82の当接部82bの下方において、実線で示す位置と仮想線で示す位置との間でブラケット81に回動可能に支持された略矩形状の回動部材91と、該回動部材91の長手方向一端側(実線において後端側)と、前記上下フレーム22Fとの間に上下方向に向けて介設されたコイルバネ92と、回動部材91の長手方向他端側と、前記シートクッション支持機構30のリンク部材64の上端部とを連結するワイヤ部材93(図4参照)と、該ワイヤ部材93の途中部分を摺動可能に支持すると共に、上端部が前記ブラケット81に固定され、下端部が上下フレーム22Fの下端部に固定された被覆部材94とを有している。ここで、コイルバネ92の下端部は、回動部材91の回動軸95の真下で上下フレーム22Fに固定されており、これにより、回動部材91は仮想線で示す位置よりも右回りの位置には回動しないようになっている。また、回動部材91が仮想線で示す位置にあるときには、その上端部がS字状ロック部材82の当接部82bの下端部に当接するようになっている。なお、前倒規制機構90は、左右のロック機構70のそれぞれに設けてもよいし、片方だけに設けてもよい。
【0040】
ここで、ワイヤ部材93の長さは、後席シート20が図4に示す基準状態にあるときに(シートクッション21が基準位置にあるときに)、より詳しくいうと、シートクッション支持機構30のリンク部材64が軸63を中心として前方に回動して前傾状態にあるときに、図10に示すように、回動部材91におけるワイヤ部材93が接続された側の端部が、ワイヤ部材93で下方に引っ張られることにより実線で示すように長手方向が略水平方向となる位置まで回転する長さに設定されている。このような構成によれば、シートバック22が起立状態で回動部材91がロック状態にあるときに、該回動部材91と、S字状ロック部材82の当接部82bとの間に隙間Sが生じることとなる。したがって、押下部材84を仮想線で示す位置まで押し下げることが可能であり、押し下げるとS字状ロック部材82が仮想線で示す位置まで回動し、ストライカ71とロック部材82との係合が解除されることとなる。つまり、シートバック22を前倒させることが可能となる。
【0041】
一方、シートクッション21が後方位置にあるときには、図8に示すように、リンク部材64の上端と被覆部材94の下端との間の距離が、シートクッション21が基準位置にあるときよりも短くなる。したがって、図10に示すように、回動部材91がコイルバネ92の付勢力により、ワイヤ部材93を上方に引き寄せながら、図10において右回り方向に仮想線で示す位置まで回動することとなる。また、これにより、回動部材91におけるワイヤ部材93が固定される側の端部が、ロック部材83の当接部82bの下端部に当接する。したがって、押下部材84を押し下げることが不可能となる。つまり、シートバック22の前倒が規制されることとなる。なお、回動部材91の配置等は、該回動部材91が仮想線で示す位置まで回転したときに、図8に示すように、ワイヤ部材93におけるリンク部材64への接続部と被覆部材94の下端との間の部分に弛みが生じるように設定されている。
【0042】
他方、図11に示すようにシートバック22が前倒状態にあるときには、リンク部材64の上端と被覆部材94の下端との間の距離が、シートクッション21が基準位置にあるときよりも短くなる。したがって、図10において、回動部材91はコイルバネ92の付勢力により、ワイヤ部材93を上方に引き寄せて右回り方向に回動することとなるが、このときストライカ71と係合していない状態であるから、この動作自体は、何ら悪影響を与えるものではない。そして、逆に、シートバック22を起立状態としていくと、リンク部材64の上端と被覆部材94の下端との間の距離が長くなっていき、したがって、回動部材91は、ワイヤ部材93が接続された側の端部がワイヤ部材93で下方に引っ張られることにより実線で示すように長手方向が略水平方向となる位置まで回転することとなる。すなわち、起立状態となったときには、S字状ロック部材82が回動可能な状態となり、これにより、ストライカ71との係合が可能となる。
【0043】
次に、本実施の形態に係る車両のシート装置の効果等について説明する。
【0044】
まず、後席シート20のシートバック22は、下端部をフロアパネル2から離間させて、該フロアパネル2に支持されているので、シートバック22の下端部とフロアパネル2との間に空間が形成される。そして、後席シート20のシートクッション21は、シートクッション支持機構30により、前記シートバック22の下端部と前記フロアパネル2との間を通って、該クッション21の後端部が前記シートバック22の下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバック22とは独立して該フロアパネル2に支持されているから、シートクッション21を後方に移動させることにより、前席シート10と後席シート20のシートクッション21との前後間隔を広げることができる。したがって、後席シート20の近傍後方にリヤホイールハウス2cが設けられて、後席シート20全体を後方に移動させることができない場合でも、乗員の足元空間を拡大することができ、例えば足元空間により大きな荷物を載置することができ、また後席シート20への乗降が行いやすくなる。
【0045】
また、本実施の形態においては、シートクッション21が後方に移動すると、該シートクッション21の前部が下方に移動するので、該クッション21の座面が前部において低くなる。したがって、前部が下方に移動しない場合と比べて、乗員のとりうる着座姿勢の範囲が広がり、着座時の快適性が向上することとなる。特に、小柄な乗員(標準的な乗員と比べて)の着座姿勢が改善され、着座時の快適性が向上することとなる。この点について、図12を参照しながら一例として詳しく説明すると、シートクッション21が図12(a)に示す基準位置にあるときには、小柄な乗員の場合(太点線で示している)、標準的な乗員(太実線で示している)に比較して、ニーアングルθが小さくなる。これは、乗員が小柄か標準的にかかわらず、大腿部Dがシートクッション21によって保持されることにより決まる。したがって、小柄な乗員は、標準的な乗員に比較して、脚を前方に伸ばしにくく、着座時の快適性が劣ることとなる。一方、図12(b)に示すように、シートクッション21が後方位置にあるときには、シートクッション21が後方に移動して、前席シート10のシートバック11の下部と、後席シート20のシートクッション21の前端との間の間隔がLからL′に増加すると共に、シートクッション21の前部が下方に移動するので、小柄な乗員は、シートクッション21が基準位置にあるときよりも、大腿部を低い位置に位置させることが可能となる。したがって、小柄な乗員でもニーアングルθを大きくすることができる。すなわち、脚を前方に伸ばしやすくなり、着座時の快適性が向上することとなる。また、ヒップアングルをφからφ′に大きくすることもできるので、腰部の折り曲げが緩やかになり、これによっても、着座時の快適性が向上することとなる。また、子供のように特に小柄な乗員については、足がフロアパネル2につきやすくなり、着座時の安定性が向上することとなる。なお、図12(a)、(b)においては、標準的な乗員の着座姿勢にあまり変化はないが、前記間隔Lが図の場合よりも広くとれる場合には、標準的な乗員においても着座姿勢の改善効果が得られる。
【0046】
また、シートバック支持ブラケット41に、シートクッション21の後方移動時における該クッション21の後端部との干渉を回避させる退避部41cが設けられているから、シートバック22を、シートクッション21の後方に配置した支持ブラケット41で支持しても、シートクッション21の後方移動量をより多く確保することが可能となる。また、本実施の形態のシートクッション支持機構30の構造においては、シートクッション21の前部の下方移動量をより多く確保することが可能となる。すなわち、本実施の形態においては、シートバック22は、その下端部において、フロアパネル2にシートバック支持ブラケット41を介して支持されると共に、該シートバック支持ブラケット41がシートクッション21の後方に配置されており、したがって、シートクッション21の後方移動時に、該シートクッション21の後端部とシートバック支持ブラケット41とが干渉し、シートクッション21の後方移動の制約となる虞があったが、前述のようにシートバック支持ブラケット41に退避部41cが設けられているから、これが回避されることとなる。
【0047】
また、シートクッション21をその後端部が前記シートバック22の下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動させた状態でのシートバック22の前倒を規制する前倒規制機構90が設けられているから、シートバック22の下端部とシートクッション21の後端部とが干渉、及びこれによるシートクッション21及びシートバック22の破損等が確実に防止される。すなわち、本実施の形態においては、シートバック22を、シートクッション21上に前倒可能に構成しているが、シートバック22の下端部及びシートクッション21の後端部の形状の関係から、シートクッション21を後方に所定量移動させた状態で、シートバック22を前倒させると、該シートバック22の下端部とシートクッション21の後端部とが干渉してしまう虞があったが、前述のように前倒規制機構90が設けられているから、これが回避されることとなる。
【0048】
なお、本実施の形態においては、シートクッション支持機構30は、シートクッション21が後方に移動するときに、該シートクッション21の前部を下方に移動させるように構成されているが、請求項1には、シートクッションの前部を下方に移動させないものも含む。この場合、例えば、シートクッションを公知の前後スライドレール等で後方に所定量移動可能に構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、後席シートの後方にリヤホイールハウスが設けられている場合でも、シートの足元空間を拡大可能な車両のシート装置を提供することができ、自動車産業に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】本発明の実施の形態に係る車両の側面図である。
【図1B】本発明の実施の形態に係る車両の平面図である。
【図2】後席シートを斜め前方から見た斜視図である。
【図3】車両後部を斜め後方から見た斜視図である。
【図4】後席シートの左側面図(図1BのA−A断面図)である(基準状態)。
【図5】後席シートの左側面図である(シートバック前倒状態)。
【図6】後席シートの左側面図である(シートクッション後方移動状態)。
【図7】後席シートの下部の拡大左側面図である(基準状態)。
【図8】後席シートの下部の拡大左側面図である(シートクッション後方移動状態)。
【図9】シートバック支持ブラケットの拡大斜視図である。
【図10】図4のロック機構及び前倒規制機構部分の拡大図である。
【図11】後席シートの下部の拡大左側面図である(シートバック前倒状態)。
【図12】本発明の効果の説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
2 フロアパネル
2c リヤホイールハウス
10 前席シート
20 後席シート
21 シートクッション
22 シートバック
30 シートクッション支持機構
41 シートバック支持ブラケット
41c 退避部
90 前倒規制機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の底面を形成するフロアパネル上に配設された後席シートのシート構造に関し、車両のシート装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
車体の底面を形成するフロアパネル上には、シートクッション及びシートバックを有するシート装置が配設される。その場合に、前席シートは、運転の際最適な姿勢を取れるように、前後方向スライド、シートバックのリクライニング角度の変更、シートクッションの座面高さの変更等が可能に構成されるが、後席シートにおいては、シートクッション及びシートバックの両方ともが固定とされることがある。
【0003】
しかし、後席シートに着座する乗員の体型は様々であり、後席シートにおいても着座時の快適性の向上が要求されている。例えば、特許文献1には、シートクッションを前部を中心として回動可能に支持することにより、後部側を上方へ移動可能に構成したものが開示されており、これによれば、座面の高さが調整可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−335291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、後席シートの後方近傍には、後輪を収容するリヤホイールハウスが車室内に突出して設けられる場合があり、この場合、後席シートの後端位置が制約を受けて、後席シートとその前方のシートとの間の足元空間を広くとれない場合が生じ得るが、前記特許文献1に記載のものでは、座面の高さが調整可能となるだけで、これに対応することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、後席シートの後方にリヤホイールハウスが設けられている場合でも、後席シートの足元空間を拡大可能な車両のシート装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0008】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体の底面を形成するフロアパネル上に前席シート及び後席シートが配設されていると共に、該後席シートの近傍後方に、後輪を収容するリヤホイールハウスが車室内に突出して設けられた車両のシート装置であって、前記後席シートのシートバックは、下端部を前記フロアパネルから離間させて、該フロアパネルに支持されていると共に、前記後席シートのシートクッションを、前記シートバックの下端部と前記フロアパネルとの間を通って、該クッションの後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバックとは独立して前記フロアパネルに支持するシートクッション支持機構を有していることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両のシート装置において、前記シートクッション支持機構は、前記シートクッションが後方に移動するときに、該シートクッションの前部を下方に移動させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の車両のシート装置において、前記シートバックは、その下端部において、前記フロアパネルにシートバック支持ブラケットを介して支持されていると共に、該シートバック支持ブラケットは、シートクッションの後方に配置されており、かつ、該支持ブラケットに、前記シートクッションの後方移動時における該クッションの後端部との干渉を回避させる退避部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両のシート装置において、前記シートバックは、前記シートクッション上に前倒可能に支持されていると共に、前記シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態で、前記シートバックを前倒させると、該シートバックの下端部とシートクッションの後端部とが干渉する構造とされており、前記シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態におけるシートバックの前倒を規制する前倒規制機構が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について説明する。
【0013】
まず、請求項1に記載の発明によれば、後席シートのシートバックは、下端部を前記フロアパネルから離間させて、該フロアパネルに支持されているので、シートバックの下端部とフロアパネルとの間に空間が形成される。そして、後席シートのシートクッションは、シートクッション支持機構により、前記シートバックの下端部と前記フロアパネルとの間を通って、該クッションの後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバックとは独立して前記フロアパネルに支持されているから、シートクッションを後方に前記所定量移動させることにより、前席シートと後席シートのシートクッションとの前後間隔を広げることができる。したがって、後席シートの近傍後方にリヤホイールハウスが設けられて、後席シート全体を後方に移動させることができない場合でも、乗員の足元空間を拡大することができる。なお、この所定量は、シートクッションを後方へ所定量移動させた状態においても、該シートクッションに安定して着座することができる量に設定されている。すなわち、シートクッションに安定して着座することができないほど後方へ移動させるものは含まない。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、シートクッションが後方に移動すると、該シートクッションの前部が下方に移動することとなるので、該クッションの座面が前部において低くなる。したがって、前部が下方に移動しない場合と比べて、乗員のとりうる着座姿勢の範囲が広がり、着座時の快適性が向上することとなる。特に、小柄な乗員の場合、(標準的な乗員と比べて)、シートクッションの座面が高いと、例えば足がフロアにつきにくくなったり、ニーアングルが小さくなったりしやすいが、本発明によれば、シートクッションの座面を前部において低くできるので、この着座姿勢の問題が改善され、着座時の快適性が向上することとなる。
【0015】
ところで、シートバックは、その下端部において、フロアパネルにシートバック支持ブラケットを介して支持される場合があるが、このシートバック支持ブラケットをシートクッションの後方に配置すると、シートクッションとシートバック支持ブラケットとが干渉して、シートクッションの後方移動の制約となり、十分な後方移動量を確保できなくなる場合がある。
【0016】
しかし、請求項3に記載の発明によれば、シートバック支持ブラケットに、前記シートクッションの後方移動時における該クッションの後端部との干渉を回避させる退避部が設けられているから、シートバックを、シートクッションの後方に配置した支持ブラケットで支持した場合でも、シートクッションの後方移動量をより多く確保することが可能となる。
【0017】
ところで、シートバックを、シートクッション上に前倒可能に構成することが考えられるが、このように構成した場合、シートバックの下端部の形状やシートクッションの後端部の形状によっては、シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動させた状態でシートバックを前倒させると、シートバックの下端部とシートクッションの後端部とが干渉する場合があり、この場合、何らかの対策が必要となる。
【0018】
そこで、請求項4に記載の発明においては、シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態でのシートバックの前倒を規制する前倒規制機構を設けたものであり、これによれば、シートバックの下端部とシートクッションの後端部とが干渉するのが確実に防止されることとなる。すなわち、シートバック及びシートクッションの破損等が防止されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る車両のシート装置について説明する。
【0020】
図1A、図1Bに示すように、本実施の形態に係る車両1の車体の底面を形成するフロアパネル2上には、運転席及び助手席用の前席シート10,10と、後席シート20とが配設されている。ここで、フロアパネル2における前席シート10,10が配設される基準面部2aの後方には、該基準面部2aに対して段上げされたキックアップ部2bが設けられ、前記後席シート20は該キックアップ部2b上に設けられている。
【0021】
後席シート20の近傍後方には、図3にも示すように、後輪W,Wを収容するリヤホイールハウス2c,2cがフロアパネル2の左右を車室側へ膨出させることにより、車室内に突出して設けられている。
【0022】
前席シート10は、シートクッション11とシートバック12とを備え、前席シート10全体として前後スライド可能なようにフロアパネル2に支持されていると共に、シートバック12がリクライニング可能に構成されている。
【0023】
後席シート20は、車室幅とほぼ同幅のシートクッション21とシートバック22とを備えている。
【0024】
図2に示すように、後席シート20のシートクッション21及びシートバック22は、シートクッション支持機構30及びシートバック支持機構40を介して独立してフロアパネル2に支持されており、これらの支持機構30,40により、後席シート20は、図4に示す基準状態と、図5に示す基準状態に対してシートバック22をシートクッション21上に前倒させた状態(以下、この状態を「シートバック前倒状態」という)と、図6に示す基準状態に対してシートクッション21を前記シートバック22の下端部と前記フロアパネル2との間を通って該クッション21の後端部がシートバック22の下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動させた状態(以下、この状態を「シートクッション後方移動状態」という)とを達成可能に構成されている。なお、この所定量は、シートクッション21を後方へ所定量移動させた状態においても、該シートクッション21に安定して着座することができる量に設定されている。すなわち、シートクッション21に安定して着座することができないほど後方へ移動させるものは含まない。
【0025】
これらの支持機構30,40について説明する前に、シートクッション21及びシートバック22の基本構造について説明すると、図4に示すように、シートクッション21は、該シートクッション21の左右の側端部においてそれぞれ略前後に延びる前後フレーム21F(左側のみ図示している)と、これらのフレーム21F間で車幅方向に延び、これらのフレーム21Fを連結する横フレーム(図示せず)とでなるシートクッションフレームと、該シートクッションフレームを覆うように設けられ、表皮を構成するクッション材21Cとを有している。
【0026】
また、シートバック22は、該シートバック22の左右の側端部及び車幅方向中央付近においてそれぞれ略上下に延びる上下フレーム22F(左側のみ図示している)と、これらのフレーム22F間で車幅方向に延び、これらのフレーム22Fを連結する横フレーム(図示せず)とでなるシートバックフレームと、該シートバックフレームを覆うように設けられ、表皮を構成するクッション材22Cとを有している。
【0027】
次に、シートバック支持機構40について説明すると、図2、図7に示すように、該シートバック支持機構40は、シートバック22の上下フレーム22Fの下部に車幅方向に設けられた軸42と、フロア22に固定され、軸42を回動可能に支持するシートバック支持ブラケット41とを有し、シートバック22を、前述したように図4に示す基準状態と図5に示すシートバック前倒状態との間で回動可能に支持している。図2に示されているように、シートバック支持ブラケット41及び軸42は、前記上下フレーム22Fに対応して、シートバック22の左右とその中間付近に合計3個ずつ設けられている。
【0028】
ここで、各シートバック支持ブラケット41は、図7からわかるように、リヤホイールハウス2cの前部下部に、キックアップ部2bの上面から上方に離間させて設けられており、これにより、シートバック22の下端部が、起立状態においてフロアパネル2のキックアップ部2bの上面から上方に所定量離間するように構成されている。ここで、この所定量は、後述するようにシートクッション21を後方位置に移動させる際に、該シートクッション21とシートバック22とが干渉することがないように設定されている。
【0029】
次に、シートクッション支持機構30について説明すると、該支持機構30は、図2、図7に示すように、シートクッション21の前部を支持する前部支持機構50と、シートクッションの後部を支持する後部支持機構60とで構成されている。
【0030】
前部支持機構50は、図2、図7に示すように、シートクッション21の左右側方においてフロア2に固定され、略コ字状の長溝51aが形成された支持ブラケット51と、シートクッション21の前後フレーム21Fに支持ブロック52を介して前後方向に移動可能に支持されると共に、平面視でクランク状に折曲して(図2参照)後端側に設けられた左右の横棒部53aが、前記支持ブラケット51のコ字状長溝51aに沿って移動可能に係止された操作レバー53と、後端が前後フレーム21Fに設けられた固定部材54に係止され、前端が前記レバー部材53の横棒部53aに設けられた溝(図示せず)に係止されたコイルバネ55とを有している。なお、操作レバー53以外のもの51,52,54,55は、シートクッション21の左右にそれぞれ設けられている。
【0031】
後部支持機構60は、リンク機構により構成されている。すなわち、フロア2に固定された支持ブラケット61と、上端部が、前後フレーム21Fの後部に設けられた車幅方向に延びる軸62に回動可能に連結され、下端部が前記支持ブラケット61に設けられた車幅方向に延びる軸63に回動可能に支持されたリンク部材64とを有している。なお、図2からわかるように、これらの部材61〜64は、シートクッション21の左右にそれぞれ設けられている。
【0032】
シートクッション支持機構30全体としては、図7に示すように、前部支持機構50の操作レバー53の横棒部53aがコイルバネ55により後方に引っ張られることにより、該横棒部53aが支持ブラケット51のコ字状長溝51aの上部係止溝部51bの後端に係止されている状態において、後部支持機構60のリンク部材64が前傾状態となるように構成されており、これにより、シートクッション21が基準位置(基準状態に対応する位置)に位置するようになっている。なお、前傾状態でリンク部材64が安定するように、該リンク部材64には、前傾状態のときに支持ブラケット61の取付面部61aに当接する当接部64aが設けられている。
【0033】
一方、操作レバー53を矢印αで示すように前方に引く等の操作を行って、その横棒部53aをコ字状長溝51aに沿って下部係止溝部51cに移動させた場合、図8に示すように、前部支持機構50の操作レバー53の横棒部53aが前記コイルバネ55により後方に引っ張られることにより、該横棒部53aが支持ブラケット51のコ字状長溝51aの下部係止溝部51cの後端に係止される。その場合に、この状態において後部支持機構60のリンク部材64が後傾状態となるように構成されており、これにより、シートクッション21の前部が矢印βで示すように基準位置よりも下方に下がり、かつシートクッション21がシートバック22の下端部とフロアパネル2のキックアップ部2bとの間を通って基準位置よりも所定量後方に移動した位置(シートクッション後方移動状態に対応する位置)に位置するようになっている。なお、リンク部材64が後傾状態で安定するように、該リンク部材64には、後傾状態のときに支持ブラケット61の取付面部61aに当接する当接部64bが設けられている。
【0034】
ここで、シートクッション21がこのように後方位置にあるときには、該クッション21の後端部が矢印γで示すように若干上方に移動することとなるが、シートクッション21の後方移動量をできるだけ多く確保するためには、シートバック支持ブラケット41との干渉を回避する必要がある。そこで、本実施の形態においては、シートバック支持ブラケット41は、図9に示す構造とされている。すなわち、シートバック支持ブラケット41は、フロアパネル2に固着される取付面部41aと、該取付面部41aから前方上方に立ち上がる支持面部41bとを有しているが、該支持面部41bの前縁部に、半月状の切欠部41cが形成されている。なお、この切欠部41cは、シートバック22側方のシートバック支持ブラケット41については不要な場合もある。すなわち、該ブラケット41の支持面部41bの方がシートクッション21よりも車幅方向外方に位置している場合にはこれらが干渉する虞がないので、この場合設ける必要はないのである。
【0035】
また、図3に示すように、後席シート20には、シートバック22を起立状態で車体の側部3の内面にロックするロック機構70が設けられている。このロック機構70は、車体側部2に設けられたストライカ71と、シートバック22の車体側部側の上部に設けられたラッチ機構80とで構成されている。なお、ロック機構70は、シートバック22の左右にそれぞれ設けられている。
【0036】
このラッチ機構80は、図10に示すように、シートバック22の上下フレーム22Fの上部に取り付けられたブラケット81と、該ブラケット81の上部に回動可能に支持され、前記ストライカ71に係合可能な係合部82aを有するたS字状ロック部材82と、該ロック部材82をロック方向(図10において右回り方向)に回動させるように付勢する付勢部材(図示せず)とを有している。また、このロックを解除させる操作機構として、前記ブラケット81の上部に固定されたケース部材83と、該ケース部材83内で上下に移動可能に設けられた押下部材84とを有している。この押下部材84は、前記S字状ロック部材82が実線と仮想線との間で回動した場合でも、押下部材84の下端部が、前記S字状ロック部材82における前記係合部82aとは反対側の端部に設けられた当接部82bの上部に当接するように配置されている。押下部材84の下端部近傍には、該部材84が上方に抜け出るのを防止する抜け止め部材85が固着されている。
【0037】
そして、この押下部材84を、前記付勢部材の付勢力に抗して仮想線で示す位置まで押し下げることにより、S字状ロック部材82の係合部82aの先端がストライカ71よりも高い位置にまで移動して係合が解除され、これにより、シートバック22を前倒させることが可能となっている。
【0038】
ここで、シートクッション21が後方位置にあるときには、該クッション21の後端部が前述のように若干上方に移動することとなるが、本実施の形態に係るシートクッション21及びシートバック22の形状によると、図8に示すように、シートクッション21が後方位置にあるときに、シートバック22を矢印δで示すように前倒させると、シートクッション21の後端部とシートバック22の下端部とが矢印Xで示すように干渉し、両者21,22が破損する虞がある。そこで、本実施の形態においては、シートクッション21が後方位置にあるときに、シートバック22の前倒を規制する前倒規制機構90が設けられており、以下、この前倒規制機構90について説明する。
【0039】
すなわち、この前倒規制機構90は、図10に示すように、前記S字状ロック部材82の当接部82bの下方において、実線で示す位置と仮想線で示す位置との間でブラケット81に回動可能に支持された略矩形状の回動部材91と、該回動部材91の長手方向一端側(実線において後端側)と、前記上下フレーム22Fとの間に上下方向に向けて介設されたコイルバネ92と、回動部材91の長手方向他端側と、前記シートクッション支持機構30のリンク部材64の上端部とを連結するワイヤ部材93(図4参照)と、該ワイヤ部材93の途中部分を摺動可能に支持すると共に、上端部が前記ブラケット81に固定され、下端部が上下フレーム22Fの下端部に固定された被覆部材94とを有している。ここで、コイルバネ92の下端部は、回動部材91の回動軸95の真下で上下フレーム22Fに固定されており、これにより、回動部材91は仮想線で示す位置よりも右回りの位置には回動しないようになっている。また、回動部材91が仮想線で示す位置にあるときには、その上端部がS字状ロック部材82の当接部82bの下端部に当接するようになっている。なお、前倒規制機構90は、左右のロック機構70のそれぞれに設けてもよいし、片方だけに設けてもよい。
【0040】
ここで、ワイヤ部材93の長さは、後席シート20が図4に示す基準状態にあるときに(シートクッション21が基準位置にあるときに)、より詳しくいうと、シートクッション支持機構30のリンク部材64が軸63を中心として前方に回動して前傾状態にあるときに、図10に示すように、回動部材91におけるワイヤ部材93が接続された側の端部が、ワイヤ部材93で下方に引っ張られることにより実線で示すように長手方向が略水平方向となる位置まで回転する長さに設定されている。このような構成によれば、シートバック22が起立状態で回動部材91がロック状態にあるときに、該回動部材91と、S字状ロック部材82の当接部82bとの間に隙間Sが生じることとなる。したがって、押下部材84を仮想線で示す位置まで押し下げることが可能であり、押し下げるとS字状ロック部材82が仮想線で示す位置まで回動し、ストライカ71とロック部材82との係合が解除されることとなる。つまり、シートバック22を前倒させることが可能となる。
【0041】
一方、シートクッション21が後方位置にあるときには、図8に示すように、リンク部材64の上端と被覆部材94の下端との間の距離が、シートクッション21が基準位置にあるときよりも短くなる。したがって、図10に示すように、回動部材91がコイルバネ92の付勢力により、ワイヤ部材93を上方に引き寄せながら、図10において右回り方向に仮想線で示す位置まで回動することとなる。また、これにより、回動部材91におけるワイヤ部材93が固定される側の端部が、ロック部材83の当接部82bの下端部に当接する。したがって、押下部材84を押し下げることが不可能となる。つまり、シートバック22の前倒が規制されることとなる。なお、回動部材91の配置等は、該回動部材91が仮想線で示す位置まで回転したときに、図8に示すように、ワイヤ部材93におけるリンク部材64への接続部と被覆部材94の下端との間の部分に弛みが生じるように設定されている。
【0042】
他方、図11に示すようにシートバック22が前倒状態にあるときには、リンク部材64の上端と被覆部材94の下端との間の距離が、シートクッション21が基準位置にあるときよりも短くなる。したがって、図10において、回動部材91はコイルバネ92の付勢力により、ワイヤ部材93を上方に引き寄せて右回り方向に回動することとなるが、このときストライカ71と係合していない状態であるから、この動作自体は、何ら悪影響を与えるものではない。そして、逆に、シートバック22を起立状態としていくと、リンク部材64の上端と被覆部材94の下端との間の距離が長くなっていき、したがって、回動部材91は、ワイヤ部材93が接続された側の端部がワイヤ部材93で下方に引っ張られることにより実線で示すように長手方向が略水平方向となる位置まで回転することとなる。すなわち、起立状態となったときには、S字状ロック部材82が回動可能な状態となり、これにより、ストライカ71との係合が可能となる。
【0043】
次に、本実施の形態に係る車両のシート装置の効果等について説明する。
【0044】
まず、後席シート20のシートバック22は、下端部をフロアパネル2から離間させて、該フロアパネル2に支持されているので、シートバック22の下端部とフロアパネル2との間に空間が形成される。そして、後席シート20のシートクッション21は、シートクッション支持機構30により、前記シートバック22の下端部と前記フロアパネル2との間を通って、該クッション21の後端部が前記シートバック22の下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバック22とは独立して該フロアパネル2に支持されているから、シートクッション21を後方に移動させることにより、前席シート10と後席シート20のシートクッション21との前後間隔を広げることができる。したがって、後席シート20の近傍後方にリヤホイールハウス2cが設けられて、後席シート20全体を後方に移動させることができない場合でも、乗員の足元空間を拡大することができ、例えば足元空間により大きな荷物を載置することができ、また後席シート20への乗降が行いやすくなる。
【0045】
また、本実施の形態においては、シートクッション21が後方に移動すると、該シートクッション21の前部が下方に移動するので、該クッション21の座面が前部において低くなる。したがって、前部が下方に移動しない場合と比べて、乗員のとりうる着座姿勢の範囲が広がり、着座時の快適性が向上することとなる。特に、小柄な乗員(標準的な乗員と比べて)の着座姿勢が改善され、着座時の快適性が向上することとなる。この点について、図12を参照しながら一例として詳しく説明すると、シートクッション21が図12(a)に示す基準位置にあるときには、小柄な乗員の場合(太点線で示している)、標準的な乗員(太実線で示している)に比較して、ニーアングルθが小さくなる。これは、乗員が小柄か標準的にかかわらず、大腿部Dがシートクッション21によって保持されることにより決まる。したがって、小柄な乗員は、標準的な乗員に比較して、脚を前方に伸ばしにくく、着座時の快適性が劣ることとなる。一方、図12(b)に示すように、シートクッション21が後方位置にあるときには、シートクッション21が後方に移動して、前席シート10のシートバック11の下部と、後席シート20のシートクッション21の前端との間の間隔がLからL′に増加すると共に、シートクッション21の前部が下方に移動するので、小柄な乗員は、シートクッション21が基準位置にあるときよりも、大腿部を低い位置に位置させることが可能となる。したがって、小柄な乗員でもニーアングルθを大きくすることができる。すなわち、脚を前方に伸ばしやすくなり、着座時の快適性が向上することとなる。また、ヒップアングルをφからφ′に大きくすることもできるので、腰部の折り曲げが緩やかになり、これによっても、着座時の快適性が向上することとなる。また、子供のように特に小柄な乗員については、足がフロアパネル2につきやすくなり、着座時の安定性が向上することとなる。なお、図12(a)、(b)においては、標準的な乗員の着座姿勢にあまり変化はないが、前記間隔Lが図の場合よりも広くとれる場合には、標準的な乗員においても着座姿勢の改善効果が得られる。
【0046】
また、シートバック支持ブラケット41に、シートクッション21の後方移動時における該クッション21の後端部との干渉を回避させる退避部41cが設けられているから、シートバック22を、シートクッション21の後方に配置した支持ブラケット41で支持しても、シートクッション21の後方移動量をより多く確保することが可能となる。また、本実施の形態のシートクッション支持機構30の構造においては、シートクッション21の前部の下方移動量をより多く確保することが可能となる。すなわち、本実施の形態においては、シートバック22は、その下端部において、フロアパネル2にシートバック支持ブラケット41を介して支持されると共に、該シートバック支持ブラケット41がシートクッション21の後方に配置されており、したがって、シートクッション21の後方移動時に、該シートクッション21の後端部とシートバック支持ブラケット41とが干渉し、シートクッション21の後方移動の制約となる虞があったが、前述のようにシートバック支持ブラケット41に退避部41cが設けられているから、これが回避されることとなる。
【0047】
また、シートクッション21をその後端部が前記シートバック22の下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動させた状態でのシートバック22の前倒を規制する前倒規制機構90が設けられているから、シートバック22の下端部とシートクッション21の後端部とが干渉、及びこれによるシートクッション21及びシートバック22の破損等が確実に防止される。すなわち、本実施の形態においては、シートバック22を、シートクッション21上に前倒可能に構成しているが、シートバック22の下端部及びシートクッション21の後端部の形状の関係から、シートクッション21を後方に所定量移動させた状態で、シートバック22を前倒させると、該シートバック22の下端部とシートクッション21の後端部とが干渉してしまう虞があったが、前述のように前倒規制機構90が設けられているから、これが回避されることとなる。
【0048】
なお、本実施の形態においては、シートクッション支持機構30は、シートクッション21が後方に移動するときに、該シートクッション21の前部を下方に移動させるように構成されているが、請求項1には、シートクッションの前部を下方に移動させないものも含む。この場合、例えば、シートクッションを公知の前後スライドレール等で後方に所定量移動可能に構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、後席シートの後方にリヤホイールハウスが設けられている場合でも、シートの足元空間を拡大可能な車両のシート装置を提供することができ、自動車産業に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】本発明の実施の形態に係る車両の側面図である。
【図1B】本発明の実施の形態に係る車両の平面図である。
【図2】後席シートを斜め前方から見た斜視図である。
【図3】車両後部を斜め後方から見た斜視図である。
【図4】後席シートの左側面図(図1BのA−A断面図)である(基準状態)。
【図5】後席シートの左側面図である(シートバック前倒状態)。
【図6】後席シートの左側面図である(シートクッション後方移動状態)。
【図7】後席シートの下部の拡大左側面図である(基準状態)。
【図8】後席シートの下部の拡大左側面図である(シートクッション後方移動状態)。
【図9】シートバック支持ブラケットの拡大斜視図である。
【図10】図4のロック機構及び前倒規制機構部分の拡大図である。
【図11】後席シートの下部の拡大左側面図である(シートバック前倒状態)。
【図12】本発明の効果の説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
2 フロアパネル
2c リヤホイールハウス
10 前席シート
20 後席シート
21 シートクッション
22 シートバック
30 シートクッション支持機構
41 シートバック支持ブラケット
41c 退避部
90 前倒規制機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の底面を形成するフロアパネル上に前席シート及び後席シートが配設されていると共に、該後席シートの近傍後方に、後輪を収容するリヤホイールハウスが車室内に突出して設けられた車両のシート装置であって、
前記後席シートのシートバックは、下端部を前記フロアパネルから離間させて、該フロアパネルに支持されていると共に、
前記後席シートのシートクッションを、前記シートバックの下端部と前記フロアパネルとの間を通って、該クッションの後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバックとは独立して前記フロアパネルに支持するシートクッション支持機構を有していることを特徴とする車両のシート装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車両のシート装置において、
前記シートクッション支持機構は、前記シートクッションが後方に移動するときに、該シートクッションの前部を下方に移動させることを特徴とする車両のシート装置。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載の車両のシート装置において、
前記シートバックは、その下端部において、前記フロアパネルにシートバック支持ブラケットを介して支持されていると共に、
該シートバック支持ブラケットは、シートクッションの後方に配置されており、
かつ、該支持ブラケットに、前記シートクッションの後方移動時における該クッションの後端部との干渉を回避させる退避部が設けられていることを特徴とする車両のシート装置。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両のシート装置において、
前記シートバックは、前記シートクッション上に前倒可能に支持されていると共に、
前記シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態で、前記シートバックを前倒させると、該シートバックの下端部とシートクッションの後端部とが干渉する構造とされており、
前記シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態におけるシートバックの前倒を規制する前倒規制機構が設けられていることを特徴とする車両のシート装置。
【請求項1】
車体の底面を形成するフロアパネル上に前席シート及び後席シートが配設されていると共に、該後席シートの近傍後方に、後輪を収容するリヤホイールハウスが車室内に突出して設けられた車両のシート装置であって、
前記後席シートのシートバックは、下端部を前記フロアパネルから離間させて、該フロアパネルに支持されていると共に、
前記後席シートのシートクッションを、前記シートバックの下端部と前記フロアパネルとの間を通って、該クッションの後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に所定量移動可能なように前記シートバックとは独立して前記フロアパネルに支持するシートクッション支持機構を有していることを特徴とする車両のシート装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車両のシート装置において、
前記シートクッション支持機構は、前記シートクッションが後方に移動するときに、該シートクッションの前部を下方に移動させることを特徴とする車両のシート装置。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載の車両のシート装置において、
前記シートバックは、その下端部において、前記フロアパネルにシートバック支持ブラケットを介して支持されていると共に、
該シートバック支持ブラケットは、シートクッションの後方に配置されており、
かつ、該支持ブラケットに、前記シートクッションの後方移動時における該クッションの後端部との干渉を回避させる退避部が設けられていることを特徴とする車両のシート装置。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両のシート装置において、
前記シートバックは、前記シートクッション上に前倒可能に支持されていると共に、
前記シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態で、前記シートバックを前倒させると、該シートバックの下端部とシートクッションの後端部とが干渉する構造とされており、
前記シートクッションをその後端部が前記シートバックの下端部より後方となる位置まで後方に前記所定量移動させた状態におけるシートバックの前倒を規制する前倒規制機構が設けられていることを特徴とする車両のシート装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−76603(P2010−76603A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247278(P2008−247278)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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