説明

車両のフロントピラー

【課題】フロントピラーの中央の閉空間部に電着液を十分な量だけ確保することができ、下部との連結強度を高め、上部との連結強度を高めた車両のフロントピラーを提供する。
【解決手段】フロントピラー11は、アウタ内側フランジ部(ガラス取付け部)と、インナ内側フランジ部(ピラーインナ内部)と、アウタ外側フランジ部82にインナ外側フランジ部68を重ね合わせることで形成された閉空間部及びドアシール取付け部45と、を備える。ドアシール取付け部45は、上部の間に介在させた上部補強部材43と、下部の間に介在させた下部補強部材44と、長手の中央のアウタ外側フランジ部82、インナ外側フランジ部68を一部、乖離させることで閉空間部131に連通させた隙間流路47と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前ガラスやルーフを支持している車両のフロントピラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フロントピラーには、管状の中空部材を用いることで、死角範囲を狭め、そして、中空部材にアウターパネルをスポット溶接しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−182079号公報(第6頁、図2)
【0003】
しかし、特許文献1の車両のフロントピラー構造では、中空部材とアウターパネルとの間の空間に表面処理する際に、電着液を流し入れる必要があるが、流入し難いという問題がある。
つまり、フロントピラーでは、上部にルーフを連ね、下部にダッシュボードを連ねているが、上部及び下部の強度を損なうことなく、十分な量の電着液を流入させる必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フロントピラーの中央の閉空間部に電着液を十分な量だけ確保することができ、フロントボデー側とフロントピラーの下部との連結強度を高め、ルーフとフロントピラーの上部との連結強度を高めて中空部材の肉厚を全長に亘り厚くすることなく、中空部材を極めて細くすることができ、隙間流路の形成が容易で、隙間流路を設けても強度低下を抑制することができ、フロントピラーの強度をより高めた車両のフロントピラーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、車両のルーフに連なり前ガラスを支持し、車両の外側へ向けたアウタパネルと、車室に向けたインナパネルと、を備えた車両のフロントピラーにおいて、アウタパネルとインナパネルとの間に設けた中空部材と、中空部材の車室に向いている内側部に連なる上部に接合しているアウタパネルのアウタ内側フランジ部と、内側部に接合しているインナパネルのインナ内側フランジ部と、中空部材の外側部近傍でアウタパネルのアウタ外側フランジ部にインナパネルのインナ外側フランジ部を重ね合わせることで形成された閉空間部及びドアシール取付け部と、を備え、ドアシール取付け部は、ルーフに連なる上部に、アウタ・インナ外側フランジ部同士間に介在させた上部補強部材と、下部のアウタ・インナ外側フランジ部同士間に介在させた下部補強部材と、中央のアウタ・インナ外側フランジ部同士を一部離すことで閉空間部に連通させた隙間流路と、を備えている。
【0006】
請求項2に係る発明は、隙間流路は、塑性加工で凹状に形成した隙間であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、補強部材は、中空部材の外側部に接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明では、フロントピラーは、アウタパネルとインナパネルとの間に設けた中空部材と、中空部材の車室に向いている内側部に連なる上部に接合しているアウタパネルのアウタ内側フランジ部と、内側部に接合しているインナパネルのインナ内側フランジ部と、中空部材の外側部近傍でアウタパネルのアウタ外側フランジ部にインナパネルのインナ外側フランジ部を重ね合わせることで形成された閉空間部及びドアシール取付け部と、を備え、ドアシール取付け部は、ルーフに連なる上部に、アウタ・インナ外側フランジ部同士間に介在させた上部補強部材と、下部のアウタ・インナ外側フランジ部同士間に介在させた下部補強部材と、中央のアウタ・インナ外側フランジ部同士を一部離すことで閉空間部に連通させた隙間流路と、を備えているので、フロントピラーの中央に設けた隙間流路によって、閉空間部に電着液が流入又は流出することができる。その結果、中央の閉空間部に十分な量の電着液を確保することができる。
【0009】
また、フロントピラーの下部は、下部補強部材によって、ダッシュボードアッパメンバ及びフロントピラーロアに連結するので、これらのフロントボデー側とフロントピラーの下部との連結強度を高めることができる。
一方、フロントピラーの上部は、上部補強部材によって、ルーフフロントレール及びルーフサイドレールに連結するので、これらのルーフとフロントピラーの上部との連結強度を高めることができる。
フロントピラーの中央は、上・下部に比べ強度を必要としないので、補強部材を省いている。
その結果、中空部材の肉厚を全長に亘り厚くすることなく、中空部材を極めて細くすることができる。
【0010】
請求項2に係る発明では、隙間流路は、塑性加工で凹状に形成した隙間なので、例えば、インナ外側フランジ部に隙間流路を凹状に所望のピッチで複数成形すると、隙間流路を設ける範囲を広くすることができる。
また、電着液を十分な量だけ流す隙間流路の大きさを塑性加工時に同時に成形することができ、隙間流路の形成は容易である。
【0011】
さらに、隙間流路は、凹状に成形されない部位が流路間接合部として重なり合っているので、挟んでスポット溶接することができ、隙間流路を設けても強度低下を抑制することができるという利点がある。
【0012】
請求項3に係る発明では、補強部材は、中空部材の外側部に接合されているので、中空部材に比べ、条件の少ない補強部材の板厚を厚くすることで、板厚の厚い補強部材並びに中空部材に比べて板厚の厚いインナパネルによって中空部材を挟む構造となり、フロントピラーの強度をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の車両のフロントピラーを採用した車体の斜視図である。
フロントピラー11は、車両12の車体13に含まれ、前ガラス15やルーフ16を取付け、支持している。そして、アウタパネルであるところのピラーアウタパネル17、インナパネルであるところのピラーインナパネル18を備え、車両12や車体13の中心Cを対称基準にほぼ左右対称である。具体的には後述する。
【0014】
車体13は、フロントボデー21、サイドボデー22、ルーフ16、フロントピラー11の上部24に連なるルーフ16のルーフサイドレール25、ルーフ16の前部を支持しているフロントルーフレール26、フロントピラー11の下部27に連なるフロントボデー21のダッシュボードアッパ31、下部27に連なるサイドボデー22のフロントピラーロア32、を備える。
【0015】
車両12には、サイドカーテンエアバッグ装置34が設けられ、車両状態情報に基づいてサイドカーテンエアバッグ本体35が展開されることで、フロントピラー11及びルーフサイドレール25に垂下され且つ張られる。
【0016】
図2は、図1の2矢視図である。右のフロントピラー11の外側面37を示している。
図3は、本発明の車両のフロントピラーからアウタパネルを取り外した側面図である。
図4(a)、(b)は、図1の4矢視図である。右のフロントピラー11の内側面38を示している。(b)は(a)のb部詳細図である。図1を併用して説明する。
【0017】
フロントピラー11は、車両12のルーフ16に連なり前ガラス15を支持し、車両12の外側へ向けた(矢印a1の方向)アウタパネル(ピラーアウタパネル17)と、車室41に向けた(矢印a2の方向)インナパネル(ピラーインナパネル18)と、フロントピラー11の上部24に設けた上部補強部材43と、フロントピラー11の下部27に設けた下部補強部材44と、ドアシール取付け部45と、隙間流路47、サイドカーテンエアバッグ支持部51と、を備える。
【0018】
ここで、「フロントピラー11の上部24」とは、ルーフ16の左右端を接合しているルーフサイドレール25に位置して、且つ、前ガラス15近傍の部位である。
【0019】
図5は、図4の5−5線断面図である。
図6は、図4の6−6線断面図である。図1〜図4を併用して説明する。
フロントピラー11はまた、アウタパネル17とインナパネル18との間に設けた中空部材53と、中空部材53よりルーフ16に張り出して接合しているアウタパネル17の端をなすルーフ接合アウタフランジ部54と、ルーフ接合アウタフランジ部54及び中空部材53に重ねられて接合しているルーフ接合延長フランジ部55と、を備えている。
【0020】
中空部材53は、長手方向に直交する断面形状が略4角形で、第1側部61、第2側部62、第3側部63、第4側部64からなる。そして、車両12の下方へ向けて第1側部61が形成され、第1側部61に連なり第2側部62が車両12の外側へ向けて形成され、第1側部61に連なり第3側部63が車両12の内側(車室41の内方)へ向けて(矢印a2の方向)形成され、これらの第2側部62及び第3側部63に連なり第4側部64が車両12の上方へ向けて形成されている。
【0021】
なお、中空部材53は、ハイドロフォーム成形法で成形され、各側部の角度θを略90°に形成しているが、角度θは任意であり、例えば、菱形でもよく、多角形でもよい。
中空部材53では、断面形状が略4角形なので、中空部材53の塑性加工は容易である。
【0022】
インナパネル(ピラーインナパネル18)は、中空部材53の第1側部61に接触させたピラーインナパネル中央部66を形成し、ピラーインナパネル中央部66に連ねて中空部材53に接触させ且つ、溶接で接合しているピラーインナ内部67が形成され、ピラーインナパネル中央部66に連ねて中空部材53の第2側部62より車両12の外側へ延ばしたルーフ接合インナ外側フランジ部であるところのインナ外側フランジ部68が形成されている。
【0023】
また、インナパネル18は、ルーフ接合延長フランジ部55に隣接して、アウタパネル(ピラーアウタパネル17)の上部71に連なるルーフ16を接合し、ルーフサイドレール25にも含まれるルーフ接合インナフランジ部72を備えている。ルーフ接合インナフランジ部72が、ピラーインナパネル中央部66に連ねて形成されている。
【0024】
なお、詳しくは、インナパネル(ピラーインナパネル18)は、上部24において、ルーフサイドレールインナパネル74(図4参照)を含む。
【0025】
アウタパネル(ピラーアウタパネル17)は、車両12の上方へ向いている中空部材53の第4側部64に沿って前ガラス15を取付けるガラス取付け部75がスポット溶接されるフランジを兼ねて形成され、ガラス取付け部75に連ねルーフ16を接合するルーフ接合アウタフランジ部54が形成されている。
なお、詳しくは、アウタパネル(ピラーアウタパネル17)は、上部24において、ルーフサイドレールアウタパネル77(図2参照)を含む。
【0026】
アウタパネル(ピラーアウタパネル17)はまた、ガラス取付け部75に連ねて中空部材53の第2側部62や第4側部64を覆うピラーアウタパネル中央部81が形成され、ピラーアウタパネル中央部81に連ねてインナパネル(ピラーインナパネル18)のインナ外側フランジ部68に重ね合わせたアウタ外側フランジ部82が形成されている。
【0027】
ルーフ接合延長フランジ部55は、図6の中空部材53の第2側部62及び第4側部64に接合する基部84が形成され、基部84に連なる延長フランジ本体86が形成されている。そして、延長フランジ本体86にアウタパネル(ピラーアウタパネル17)のルーフ接合アウタフランジ部54を重ね合わせ、ルーフ接合アウタフランジ部54にルーフ16のルーフスキンフランジ部87を重ね合わせることで、3枚を重ね、スポット溶接されている。
なお、基部84の形状は、任意であり、基部84を溶接する方法は任意である。
【0028】
図7は、図5の7矢視図である。フロントピラー11を内側斜め下から見上げた状態を示している。
フロントピラー11は、より具体的には、中空部材53にインナパネル(ピラーインナパネル18)を溶接部91で固定している。
溶接部91は、第1溶接金属部92、第2溶接金属部93を含む、
【0029】
図8は、図7の8部詳細図である。
図9は、図7の9部詳細図である。
図10は、図7の10−10線断面図である。
【0030】
インナパネル(ピラーインナパネル18)では、中空部材53の第3側部63へピラーインナ内部67に形成されたピラーインナパネル内縁開先93が、所定の複数のピッチP1で形成されて重ねられ、溶接(例えばミグ溶接)されることで得られた第1溶接金属部92で接合されている。Lwは第1溶接金属部92の溶接長である。P1は一定ではない。
【0031】
さらに、インナパネル(ピラーインナパネル18)では、中空部材53の第1側部61にインナパネル(ピラーインナパネル18)のピラーインナパネル中央部66に貫通形成されたピラーインナパネル穴開先94が、所定の複数のピッチP2で開けられて重ねられ、溶接(例えばミグ溶接)されることで得られた第2溶接金属部93で接合されている。P2は一定ではない。
【0032】
なお、ピラーインナパネル穴開先94を溶接する際の溶接姿勢は当然、下向きである。
ピラーインナパネル穴開先94は、例えば、長穴や貫通した溝で、ピラーインナパネル内縁開先93に対して、千鳥に設けられている。その結果、中空部材53に対するインナパネル(ピラーインナパネル18)の剥離強度をより高めることができる。
【0033】
図11は、図4(b)の11−11線断面図である。サイドカーテンエアバッグ支持部51の断面を示している。図1を併用して説明する。
図12は、図11の12部詳細図である。中空部材53とプレートナット111の隙間を示していると
図13は、図12の13−13線断面図である。プレートナット111の平面を示している。
図14は、本発明の車両のフロントピラーが備えるサイドカーテンエアバッグ支持部の断面斜視図である。
【0034】
図15は、図5の15矢視図である。フロントピラー11を外側斜め下から見上げた状態を示している。図3、図4を併用して説明する。
図16は、図4の16−16線断面図である。フロントピラー11のガラス取付け部75の上部及び下部の断面を示している。図3、図4を併用して説明する。
【0035】
フロントピラー11は、中空部材53の車室41に向いている(矢印a2の方向)内側部(第3側部63)に連なる上部(第4側部64)に接合しているアウタパネル(ピラーアウタパネル17)のアウタ内側フランジ部であるところのガラス取付け部75と、内側部(第3側部63)に接合しているインナパネル(ピラーインナパネル18)のインナ内側フランジ部であるところのピラーインナ内部67と、中空部材53の外側部であるところの第2側部62近傍でアウタパネル(ピラーアウタパネル17)のアウタ外側フランジ部82にインナパネル(ピラーインナパネル18)のインナ外側フランジ部68を重ね合わせることで形成された閉空間部131及びドアシール取付け部45と、を備える。
【0036】
なお、インナ内側フランジ部(ピラーインナ内部67)は、縁にピラーインナパネル内縁開先93を有する。
インナパネル(ピラーインナパネル18)は、内側部(第3側部63)に連なる下部(第1側部61)にピラーインナパネル中央部66を接合してもよい。
【0037】
図中、t1は中空部材53の肉厚、t2はアウタパネル(ピラーアウタパネル17)の肉厚、t3はインナパネル(ピラーインナパネル18)の肉厚、h1、h2は中空部材53の大きさ(太さ)、t4は上部補強部材43の板厚並びに下部補強部材44の板厚である。そして、それぞれの厚さは、t1<t2<t3<t4である。
【0038】
図17は、図4の17−17線断面図である。図3、図4、図15及び図16を併用して説明する。
ドアシール取付け部45は、ルーフ16に連なる上部24に、アウタ外側フランジ部82、インナ外側フランジ部68間に介在させた上部補強部材43と、下部27のアウタ外側フランジ部82、インナ外側フランジ部68間に介在させた下部補強部材44と、長手の中央のアウタ外側フランジ部82、インナ外側フランジ部68を一部、乖離させることで閉空間部131に連通させた隙間流路47と、隙間流路47の第1流路141〜第5流路145の間に設けた流路間接合部146と、を備えている。
【0039】
隙間流路47は、インナパネル(ピラーインナパネル18)のインナ外側フランジ部68に塑性加工で凹状に形成した隙間Eであり、第1流路141〜第5流路145を略ピッチPhで形成したものである。
Lhは隙間流路47の範囲で、上部補強部材43から下部補強部材44までの間に設けられている。
【0040】
上部補強部材43は(図3も参照)、中空部材53の第2側部62に接合されている上補強中空材接合部151が形成され、上補強中空材接合部151に連ねてインナ外側フランジ部68とアウタ外側フランジ部82とで挟まれ、重ね合わされている上補強インナアウタ狭持接合部152が形成され、上補強インナアウタ狭持接合部152に連ねルーフ16のフロントルーフレール26並びにルーフサイドレール25に接合されているルーフ狭持接合部153が形成されている。
【0041】
図18は、図4の18矢視図である。図3、図4、図15及び図16を併用して説明する。
下部補強部材44は(図3も参照)、中空部材53の第4側部64に端部155を接合している第1下補強中空材接合部156が形成され、中空部材53の第2側部62に接合されている第2下補強中空材接合部157が形成され、第2下補強中空材接合部157に連ねてインナ外側フランジ部68とアウタ外側フランジ部82とで挟まれ、重ね合わされている下補強インナアウタ狭持接合部158が形成され、これらの第2下補強中空材接合部157及び下補強インナアウタ狭持接合部158に連ねフロントボデー21のダッシュボードアッパ31並びにサイドボデー22のフロントピラーロア32に接合されている下補強ダッシュボード接合部161が形成されている。
【0042】
次に、本発明の車両のフロントピラーの作用を説明する。
図15、図17に示しているフロントピラー11では、フロントピラー11を表面処理するときに、電着液にフロントピラー11を浸けると、電着液は隙間流路47から矢印b1、矢印b2のように閉空間部131に流入する。その結果、フロントピラー11の閉空間部131に電着液を十分供給することができる。特に、中央に十分な量の電着液を確保することができる。
【0043】
図3、図16に示しているフロントピラー11では、上部24が上部補強部材43によってフロントルーフレール26並びにルーフサイドレール25に接合されているので、強化される。また、下部27が下部補強部材44によってダッシュボードアッパ31及びフロントピラーロア32に接合されているので、強化される。中央は上部24及び下部27に比べ、強度を必要としない。
この結果、フロントピラー11の肉厚(t1、t2、t3)を全長に亘って薄くすることができ、且つ、中空部材53の太さ(h1、h2)を細く(小さく)することができる。従って、強度を損なうことなく、フロントピラー11を極めて細くすることができる。
【0044】
図15のフロントピラー11では、隙間流路47は、塑性加工で凹状に形成した隙間なので、インナ外側フランジ部68又はアウタ外側フランジ部82に設けられることとなり、隙間流路47の範囲Lhを広くすることができる。
【0045】
また、フロントピラー11は、第1流路141〜第5流路145の間に設けた流路間接合部146をアウタ外側フランジ部82に接合しているので、隙間流路47を設けても強度低下を抑制することができるという利点がある。
【0046】
図16のフロントピラー11では、中空部材53の第2側部62に上部補強部材43及び下部補強部材44を接合しているので、第1側部61及び第3側部63に接合しているインナパネル(ピラーインナパネル18)とで中空部材53を挟んで補強することができる。中空部材53の板厚(肉厚)に比べ、上部補強部材43の板厚、下部補強部材44の板厚、インナパネル(ピラーインナパネル18)の板厚は厚く、フロントピラー11の強度をより高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の車両のフロントピラーは、フロントピラーに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の車両のフロントピラーを採用した車体の斜視図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】本発明の車両のフロントピラーからアウタパネルを取り外した側面図である。
【図4】図1の4矢視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】図5の7矢視図である。
【図8】図7の8部詳細図である。
【図9】図7の9部詳細図である。
【図10】図7の10−10線断面図である。
【図11】図4(b)の11−11線断面図である。
【図12】図11の12部詳細図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】本発明の車両のフロントピラーが備えるサイドカーテンエアバッグ支持部の断面斜視図である。
【図15】図5の15矢視図である。
【図16】図4の16−16線断面図である。
【図17】図4の17−17線断面図である。
【図18】図4の18矢視図である。
【符号の説明】
【0049】
11…フロントピラー、12…車両、15…前ガラス、16…ルーフ、17…アウタパネル(ピラーアウタパネル)、18…インナパネル(ピラーインナパネル)、41…車室、43…上部補強部材、44…下部補強部材、45…ドアシール取付け部、47…隙間流路、53…中空部材、63…中空部材の内側部(第3側部)、64…中空部材の上部(第4側部)、67…インナ内側フランジ部(ピラーインナ内部)、75…アウタ内側フランジ部(ガラス取付け部)、131…閉空間部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに連なり前ガラスを支持し、前記車両の外側へ向けたアウタパネルと、車室に向けたインナパネルと、を備えた車両のフロントピラーにおいて、
前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に設けた中空部材と、該中空部材の車室に向いている内側部に連なる上部に接合しているアウタパネルのアウタ内側フランジ部と、前記内側部に接合しているインナパネルのインナ内側フランジ部と、中空部材の外側部近傍で前記アウタパネルのアウタ外側フランジ部に前記インナパネルのインナ外側フランジ部を重ね合わせることで形成された閉空間部及びドアシール取付け部と、を備え、
前記ドアシール取付け部は、前記ルーフに連なる上部に、前記アウタ・インナ外側フランジ部同士間に介在させた上部補強部材と、下部のアウタ・インナ外側フランジ部同士間に介在させた下部補強部材と、中央のアウタ・インナ外側フランジ部同士を一部離すことで前記閉空間部に連通させた隙間流路と、を備えていることを特徴とする車両のフロントピラー。
【請求項2】
前記隙間流路は、塑性加工で凹状に形成した隙間であることを特徴とする請求項1記載の車両のフロントピラー。
【請求項3】
前記補強部材は、前記中空部材の外側部に接合されていることを特徴とする請求項1記載の車両のフロントピラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−13022(P2010−13022A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176278(P2008−176278)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】