説明

車両の前部構造

【課題】不正なロック解除を確実に防止することができ、且つエンジンルーム内の冷却性能を向上させることが可能な車両の前部構造を提供すること。
【解決手段】ロックアクセス防止用プレート6は、ラジエーターグリル2に支持され、エンジンフードロック4及び左側グリル開口部と右側グリル開口部11との上端11aよりも下方で且つバンパ開口部22の上端22aよりも上方でラジエーターグリル2に接触する前端部36aと、前端部36aの後方で熱交換器5の前端に近接する後端部36bとを有し、ラジエーターグリル2に沿って車幅方向に延びる。ロックアクセス防止用プレート6は、バンパ開口部22からエンジンフードロック4への進入経路を塞ぐとともに、バンパ開口部22から導入された走行風のロックアクセス防止用プレート6よりも上方の空間42への流入を阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエーターグリルとフロントバンパーとを備えた車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バンパーフェース等から構成されて車体前部に組付けられるバンパー構造体が記載されている。バンパーフェースは、バンパーアッパフェースとバンパーロアフェースとともに射出成形により一体的に成形され、バンパーアッパフェースとバンパーロアフェースとの間には車幅方向に長い開口部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−203157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車体前部に組付けられるフロントバンパーの後上方には、エンジンルームの上方開口を閉塞するエンジンフードを解除可能にロックするロック部が設けられている。このため、ロック部のロックを解除するための操作物等がフロントバンパーの開口部から挿入されて、エンジンフードを不正に開けられてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、不正なロック解除を確実に防止することができ、且つエンジンルーム内の冷却性能を向上させることが可能な車両の前部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様に係る車両の前部構造は、ラジエーターグリルと、フロントバンパーと、ロック部と、熱交換器と、板状部材とを備える。
【0007】
ラジエーターグリルは、車両の前部のエンジンルームの前方で車幅方向に沿って立設され、エンジンルーム内に走行風を導入するグリル開口部を有する。フロントバンパーは、ラジエーターグリルの下方で車幅方向に沿って延び、エンジンルーム内に走行風を導入するバンパ開口部を有する。ロック部は、ラジエーターグリルの後方に配置され、エンジンルームの上方開口を開閉自在に閉塞するエンジンフードを解除可能にロックする。熱交換器は、ロック部の下方又は後方に配置され、ラジエーターグリル及びフロントバンパーと対向する。
【0008】
板状部材は、ラジエーターグリル又はフロントバンパーに支持され、ロック部及びグリル開口部の上端よりも下方で且つバンパ開口部の上端よりも上方でラジエーターグリル又はフロントバンパーに近接又は接触する前端部と、前端部の後方で熱交換器の前端に近接又は接触する後端部とを有し、ラジエーターグリルに沿って車幅方向に延びる。板状部材は、バンパ開口部からロック部への進入経路を塞ぐとともに、バンパ開口部から導入された走行風の板状部材よりも上方の領域への流入を阻止する。
【0009】
上記構成では、ロック部のロックを解除するための操作物等がバンパ開口部から挿入された場合、板状部材が、バンパ開口部とロック部との間で操作物の進入を阻止するため、ロック部のロックが不正に解除されてエンジンフードが開けられてしまうのを確実に防止することができる。
【0010】
また、車両走行時、バンパ開口部からエンジンルーム内に向かって導入された走行風が板状部材よりも上方の領域へ流入しないため、このバンパ開口部から導入された走行風と、グリル開口部から板状部材の上方の領域へ導入された走行風とが干渉することがない。これにより、グリル開口部及びバンパ開口部から導入された走行風が板状部材によって整えられて熱交換器へスムーズに供給されるため、エンジンルーム内に導入された走行風が乱れ難くなる。このため、グリル開口部及びバンパ開口部からエンジンルーム内へ走行風を効率良く導入でき、グリル開口部及びバンパ開口部からエンジンルーム内へ導入される単位時間当たりの空気の量が増大する。従って、車両走行時のエンジンルーム内の冷却性能を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の第2の態様に係る車両の前部構造は、第1の態様に係る車両の前部構造であって、板状部材の前端部は、グリル開口部の下端とバンパ開口部の上端との間に配置されている。
【0012】
上記構成では、グリル開口部から導入された走行風は板状部材よりも下方の領域へ流入せず、グリル開口部から導入された走行風とバンパ開口部から導入された走行風とは、板状部材によって上下に分離された領域をそれぞれ流れる。従って、両者の干渉がさらに発生し難くなり、車両走行時のエンジンルーム内の冷却性能をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不正なロック解除を確実に防止することができ、且つエンジンルーム内の冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る車両の前部の断面図である。
【図2】ラジエーターグリルにロックアクセス防止用プレートを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】ロックアクセス防止用プレートをラジエーターグリルから分離した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の構造における車両走行時の空気の流れを示す図である。
【図5】ラジエーターグリルとフロントバンパーとロックアクセス防止用プレートとエンジンフードロックとの位置関係を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る車両の前部の断面図、図2はラジエーターグリルにロックアクセス防止用プレートを取り付けた状態を示す斜視図、図3はロックアクセス防止用プレートをラジエーターグリルから分離した状態を示す斜視図、図4は図1の構造における車両走行時の空気の流れを示す図、図5はラジエーターグリルとフロントバンパーとロックアクセス防止用プレートとエンジンフードロックとの位置関係を示す概略正面図である。以下の説明において、前後方向は車両の進行方向の前後を示し、内外方向は車幅方向の内外を示す。また、以下の説明における左右は、車両前方を向いた状態での車幅方向の左右を示している。
【0016】
図1、図4及び図5に示すように、本実施形態の車両1は、ラジエーターグリル2とフロントバンパー3とエンジンフードロック(ロック部)4と熱交換器5とロックアクセス防止用プレート(板状部材)6等を備えている。
【0017】
ラジエーターグリル2は、図1〜図5に示すように、グリル本体部7と上板部8等から構成され、車両1の前端で車幅方向に沿って立設されている。また、ラジエーターグリル2の車幅方向両側には、左右一対のヘッドランプ9が配置される。
【0018】
グリル本体部7は、車幅方向に延びる略矩形板状部材であって、左側グリル開口部(グリル開口部)10と右側グリル開口部(グリル開口部)11と中央グリル開口部(グリル開口部)12と左側後部ネジ孔13と右側後部ネジ孔14と複数の下部ネジ孔(図示せず)と被係合板部16等を有している。
【0019】
左側グリル開口部10は、グリル本体部7を前後方向に貫通する孔であり、グリル本体部7の左側上部で車幅方向に延びている。
【0020】
右側グリル開口部11は、グリル本体部7を前後方向に貫通する孔であり、グリル本体部7の右側上部であって左側グリル開口部10の右側で車幅方向に延びている。右側グリル開口部11の車幅方向の長さ及び上下方向の長さは、それぞれ左側グリル開口部10の車幅方向の長さ及び上下方向の長さと略同じに設定されている。
【0021】
中央グリル開口部12は、グリル本体部7を前後方向に貫通する孔であり、グリル本体部7の車幅方向の略中央部であって第1及び第2グリル開口部10,11よりも下方で車幅方向に延びている。中央グリル開口部12の車幅方向の長さは第1及び第2グリル開口部10,11の車幅方向の長さよりも大きく設定されており、中央グリル開口部12の車幅方向両端部は、それぞれ第1及び第2グリル開口部10,11の下方に設定されている。また、中央グリル開口部12には、上下方向に延びる左側縦リブ17と右側縦リブ18と中央板部19とが設けられている。
【0022】
左側縦リブ17は、中央グリル開口部12の左側に配置され、右側縦リブ18は、中央グリル開口部12の右側に配置されている。中央板部19は、左側縦リブ17と右側縦リブ18との間であって中央グリル開口部12の略中央に配置されている。
【0023】
左側後部ネジ孔13及び右側後部ネジ孔14は、グリル本体部7の後面であってグリル本体部7の左側下部と右側下部とにそれぞれ設けられており、内面に雌ネジ加工が施されている。下部ネジ孔は、グリル本体部7の下端面であって左側後部ネジ孔13と右側後部ネジ孔14との間に所定間隔をおいて6箇所設けられており、下部ネジ孔の内面には、雌ネジ加工が施されている。
【0024】
被係合板部16は、グリル本体部7の後面であって中央グリル開口部12の下端12b近傍から後方に向かって延びる板状部材である。
【0025】
上板部8は、グリル本体部7の上端部から後方に向かって延びる略板状の部材であって、車幅方向の略中央部に後述するエンジンフードロック4やこのエンジンフードロック4の周辺の部品等との干渉を避けるための切り欠き部20が形成されている。
【0026】
このように構成されたラジエーターグリル2は、車両走行時において、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11及び中央グリル開口部12によって走行風をエンジンルーム21内に導入する。
【0027】
フロントバンパー3はバンパ開口部22を有し、ラジエーターグリル2の下方で車幅方向に沿って延びている。バンパ開口部22は、フロントバンパー3を前後方向に貫通する孔であり、フロントバンパー3の下端部で車幅方向に沿って延びている。また、バンパ開口部22には、上下方向に延びるバンパ縦リブ23が所定間隔をおいて複数設けられている。フロントバンパー3は、特に図示していない支持部材等を介して車体フレーム24によって支持され、車両走行時にバンパ開口部22によって走行風をエンジンルーム21内に導入する。
【0028】
エンジンフードロック4は、フック部25とロック解除ケーブル(図示せず)等を有する。エンジンフードロック4は、ラジエーターグリル2の後方であってエンジンルーム21の上方開口を開閉自在に閉塞するエンジンフード26の下方で、車体フレーム24に固定されたセンターステー27によって支持されている。エンジンフードロック4は、エンジンフード26を解除可能にロックしている。
【0029】
フック部25は、略L字状の部材であり、エンジンフードロック4の上端部で回転自在に支持されている。フック部25は、エンジンフード26がエンジンルーム21の上方開口を閉塞した状態で、エンジンフード26の下端面に設けられた略U字状の被係合部材(図示せず)と係合する。また、エンジンフード26の被係合部材とロック部25とが係合した状態でロック部25をロック解除方向へ回転移動させることによって、エンジンフード26の被係合部材とロック部25とのロックを解除可能である。ロック解除ケーブルは、車室内に設けられた操作レバーに連結されており、乗員による操作レバーの操作を受けてフック部25と被係合部材とのロックを解除する。センターステー27は、第3開口部12に設けられた中央板部19の後方で上下方向に延びる略板状部材である。
【0030】
熱交換器5は、ラジエーター、インタークーラー及びコンデンサー等で構成され、熱交換器5の車幅方向両側には、前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム(図示せず)が配置されている。また、このサイドフレームの前端部には上下方向に延びて熱交換器5を支持する支持部材やヘッドランプ9に接続される電気配線(図示せず)等が配置され、ヘッドランプ9の後方の空間は、ラジエーターグリル2の後方の空間に比べて比較的狭くなっている。
【0031】
ラジエーターはエンジンを冷却する冷却水等を走行風によって冷却する。インタークーラーは圧縮により温度が上がった燃焼用の空気を走行風によって冷却し、コンデンサーは空調装置の冷媒を走行風によって冷却する。なお、図1及び図4では、便宜上、ラジエーター、インタークーラー及びコンデンサーを一体的に図示している。
【0032】
ロックアクセス防止用プレート6は、左側プレート28と右側プレート29とを有する。ロックアクセス防止用プレート6は、エンジンフードロック4及び左側グリル開口部10と右側グリル開口部11との上端10a,11aよりも下方で、ラジエーターグリル2の下端に固定される。
【0033】
左側プレート28は、左側平板部30と左側固定部31と左側ボルト挿通孔32と2箇所の左側係合爪部33とを有し、ラジエータグリル2の左側後方で車幅方向に延びている。
【0034】
左側平板部30は、車幅方向に延びる略平板状の部材である。左側固定部31は、左側平板部30の左端部前方で上方に延びる略矩形板状部材である。左側固定部31には前後方向に貫通する貫通孔31aが形成されている。
【0035】
左側ボルト挿通孔32は、左側平板部30の前端部であって左側固定部31の車幅方向内側で左側プレート28を上下方向に貫通する孔であり、所定間隔をおいて3箇所設けられている。
【0036】
左側係合爪部33は、3箇所の左側ボルト挿通孔32間にそれぞれ設けられた略L字状の部材であって、グリル本体部7の被係合板部16の後端に係合される。
【0037】
このように構成された左側プレート28は、左側平板部30の前端部30a上面が被係合板部16の下面と面接触した状態で、左側係合爪部33が被係合板部16の後端に係合し、左側固定部31がボルト34を介してグリル本体部7の左側後部ネジ孔13に固定され、さらに、左側ボルト挿通孔32に下方からボルト35が挿通されて下部ネジ孔に固定される。左側プレート28がグリル本体部7に対して固定された状態で、左側平板部30の車幅方向外端(左端)は、中央グリル開口部12の左端よりも車幅方向外側に配置されており、左側平板部30の車幅方向内端(右端)は、中央板部19の後方に配置されている。また、左側平板部30の後端部30bは、熱交換器5の前端に近接する位置に配置されている。
【0038】
右側プレート29は、右側平板部36と右側固定部37と右側ボルト挿通孔38と2箇所の右側係合爪部39とを有し、ラジエータグリル2の右側後方で車幅方向に延びている。
【0039】
右側平板部36は、車幅方向に延びる略平板状の部材である。右側固定部37は、右側平板部36の右端部前方で上方に延びる略矩形板状部材である。右側固定部37には前後方向に貫通する貫通孔37aが形成されている。
【0040】
右側ボルト挿通孔38は、右側平板部36の前端部であって右側固定部37の車幅方向内側で右側プレート29を上下方向に貫通する孔であり、所定間隔をおいて3箇所設けられている。
【0041】
右側係合爪部39は、3箇所の右側ボルト挿通孔38間にそれぞれ設けられた略L字状の部材であって、グリル本体部7の被係合板部16の後端に係合される。
【0042】
このように構成された右側プレート29は、右側平板部36の前端部36a上面が被係合板部16の下面と面接触した状態で、右側係合爪部39が被係合板部16の後端に係合し、右側固定部37がボルト40を介してグリル本体部7の右側後部ネジ孔14に固定され、さらに、右側ボルト挿通孔38に下方からボルト41が挿通されて下部ネジ孔に固定される。右側プレート29がグリル本体部7に対して固定された状態で、右側平板部36の後端部36bは、熱交換器5の前端に近接する位置に配置されている。また、右側平板部36の車幅方向外端(右端)は、中央グリル開口部12の右端よりも車幅方向外側に配置されており、右側平板部36の車幅方向内端(左端)は、中央板部19の後方であって左側平板部30の車幅方向内端よりも右側に僅かに離れて配置されている。この右側平板部36の車幅方向内端と左側平板部30の車幅方向内端との間には、センターステー27が配置されている。
【0043】
このように構成された車両1では、ロックアクセス防止用プレート6の上方の空間(領域)42が、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11及び中央グリル開口部12を介して外部と連通し、ロックアクセス防止用プレート6の下方の空間43が、バンパ開口部22を介して外部と連通している。車両走行時において、ラジエーターグリル2の左側グリル開口部10、右側グリル開口部11、中央グリル開口部12及びバンパ開口部22からエンジンルーム21内に向かって走行風が導入されると、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11及び中央グリル開口部12から導入された走行風が、ロックアクセス防止用プレート6の上方の空間42を後方に流れるとともに、バンパ開口部22から導入された走行風がロックアクセス防止用プレート6の下方の空間43を後方に流れる。
【0044】
本実施形態によれば、エンジンフードロック4のロックを解除するための操作物(例えば、人の手)等がバンパ開口部22から挿入された場合、ロックアクセス防止用プレート6が、バンパ開口部22とエンジンフードロック4との間で操作物の進入を阻止するため、エンジンフードロック4のロックが不正に解除されてエンジンフード26が開けられてしまうのを確実に防止することができる。
【0045】
また、車両走行時、バンパ開口部22からエンジンルーム21内に向かって導入された走行風がロックアクセス防止用プレート6よりも上方の空間42へ流入しないため、このバンパ開口部22から導入された走行風と、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11及び中央グリル開口部12からロックアクセス防止用プレート6の上方の空間42へ導入された走行風とが干渉することがない。これにより、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11、中央グリル開口部12及びバンパ開口部22から導入された走行風がロックアクセス防止用プレート6によって整えられて熱交換器5へスムーズに供給されるため、エンジンルーム21内に導入された走行風が乱れ難くなる。このため、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11、中央グリル開口部12及びバンパ開口部22からエンジンルーム21内へ走行風を効率良く導入でき、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11、中央グリル開口部12及びバンパ開口部22からエンジンルーム21内へ導入される単位時間当たりの空気の量が増大する。従って、車両走行時のエンジンルーム21内の冷却性能を向上させることができる。
【0046】
また、ロックアクセス防止用プレート6を、中央グリル開口部12の下端12bとバンパ開口部22の上端22aとの間に配置しているため、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11及び中央グリル開口部12から導入された走行風はロックアクセス防止用プレート6よりも下方の空間43へ流入せず、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11及び中央グリル開口部12から導入された走行風とバンパ開口部22から導入された走行風とは、ロックアクセス防止用プレート6によって上下に分離された空間42,43をそれぞれ流れる。従って、両者の干渉がさらに発生し難くなり、車両走行時のエンジンルーム内の冷却性能をさらに向上させることができる。
【0047】
なお、右側平板部36の車幅方向内端と左側平板部30の車幅方向内端との間が離間しているが、構造上、右側平板部36の車幅方向内端と左側平板部30の車幅方向内端との間にはセンターステー27が配置され上下方向に延びているため、バンパ開口部22から挿入された操作物が、右側平板部36の車幅方向内端と左側平板部30の車幅方向内端との間からエンジンフードロック4に達することはない。
【0048】
また、ラジエーターグリル2の車幅方向両側にはヘッドランプ9,9が配置され、このヘッドランプ9,9の後方には、構造上、熱交換器5を支持する支持部材やヘッドランプ9に接続される電気配線等が配置されるため、ヘッドランプ9,9の後方の空間が比較的狭くなっている。このため、バンパ開口部22から挿入された操作物が、ラジエーターグリル2の車幅方向外側からエンジンフードロック4に達することはない。
【0049】
なお、本実施形態では、ロックアクセス防止用プレート6を、中央グリル開口部12の下端12bとバンパ開口部22の上端22aとの間に配置した場合、すなわち、ロックアクセス防止用プレート6の上方の空間42が、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11及び中央グリル開口部12を介して外部と連通し、ロックアクセス防止用プレート6の下方の空間43が、バンパ開口部22を介して外部と連通している場合を説明したが、例えば、ロックアクセス防止用プレート6を左側グリル開口部10及び右側グリル開口部11の下端10b,11bと中央グリル開口部12の上端12aとの間に配置してもよい。すなわち、ロックアクセス防止用プレート6の上方の空間42が、左側グリル開口部10及び右側グリル開口部11を介して外部と連通し、ロックアクセス防止用プレート6の下方の空間43が、中央グリル開口部12及びバンパ開口部22を介して外部と連通する場合であってもよい。
【0050】
また、ロックアクセス防止用プレート6をラジエーターグリル2の下端に固定した場合を説明したが、例えば、フロントバンパー3の上端に固定してもよい。
【0051】
さらに、左側平板部30の前端部28a上面及び右側平板部36の前端部36a上面が被係合板部16の下面と面接触する場合を説明したが、左側平板部30の前端部28a及び右側平板部36の前端部36aが被係合板部16と近接して配置されていてもよい。
【0052】
また、左側平板部30の後端部28b及び右側平板部36の後端部36bが、熱交換器5の前端に近接する場合を説明したが、後端部28b及び後端部36bを熱交換器5の前端に接触させてもよく、この後端部28b及び後端部36bと熱交換器5の前端とを接触させた状態で、後端部28b及び後端部36bを熱交換器5に対して固定してもよい。
【0053】
また、グリル本体7に、左側グリル開口部10、右側グリル開口部11及び中央グリル開口部12の3つの開口部が設けられている場合を説明したが、例えば、比較的大きな開口面積を有する1つの開口部が、グリル本体7の略中央部に設けられていてもよい。
【0054】
また、左側プレート28と右側プレート29とを一体的に形成してもよい。
【0055】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ラジエーターグリルとフロントバンパーとを備えた車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 車両
2 ラジエーターグリル
3 フロントバンパー
4 エンジンフードロック(ロック部)
5 熱交換器
6 ロックアクセス防止プレート(板状部材)
10 左側グリル開口部(グリル開口部)
10a 上端
11 右側グリル開口部(グリル開口部)
11a 上端
12 中央グリル開口部(グリル開口部)
12b 下端
21 エンジンルーム
22 バンパ開口部
22a 上端
26 エンジンフード
30a 前端部
30b 後端部
36a 前端部
36b 後端部
42 空間(領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部のエンジンルームの前方で車幅方向に沿って立設され、該エンジンルーム内に走行風を導入するグリル開口部を有するラジエーターグリルと、
前記ラジエーターグリルの下方で車幅方向に沿って延び、前記エンジンルーム内に走行風を導入するバンパ開口部を有するフロントバンパーと、
前記ラジエーターグリルの後方に配置され、前記エンジンルームの上方開口を開閉自在に閉塞するエンジンフードを解除可能にロックするロック部と、
前記ロック部の下方又は後方に配置され、前記ラジエーターグリル及び前記フロントバンパーと対向する熱交換器と、
前記ラジエーターグリル又は前記フロントバンパーに支持され、前記ロック部及び前記グリル開口部の上端よりも下方で且つ前記バンパ開口部の上端よりも上方で前記ラジエーターグリル又は前記フロントバンパーに近接又は接触する前端部と、該前端部の後方で前記熱交換器の前端に近接又は接触する後端部とを有し、前記ラジエーターグリルに沿って車幅方向に延びる板状部材と、を備え、
前記板状部材は、前記バンパ開口部から前記ロック部への進入経路を塞ぐとともに、前記バンパ開口部から導入された走行風の前記板状部材よりも上方の領域への流入を阻止する
ことを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の前部構造であって、
前記板状部材の前端部は、前記グリル開口部の下端と前記バンパ開口部の上端との間に配置されている
ことを特徴とする車両の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−234879(P2010−234879A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82981(P2009−82981)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】