説明

車両の後部荷室構造

【課題】リフトゲートの開放動作と隠蔽部材の格納状態への移動を連動可能な車両の後部荷室構造を提供する。
【解決手段】トノカバー20は、本体部31,32と、この本体部31,32の後端36,37で格納状態のとき折り畳まれる後部カバー部材41,42とを備えると共に前記展開状態と荷室3のトランクサイドパネル17の内側に沿う状態にした格納状態とに亙って移動可能に構成され、リフトゲート1の開放動作に連動してトノカバー20を前記展開状態から前記格納状態へ移動させる連動機構19を備えている。リフトゲート1を開放操作したとき、リフトゲート側連結部16の上昇移動に伴ってトノカバー側連結部39が紐部材13により車幅方向外側へ引っ張られ、第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とが自重により折り畳まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷室に展開状態に設置される隠蔽部材を備えた車両の後部荷室構造に関し、特に隠蔽部材を展開状態と荷室の側壁の内側に沿う格納状態とに亙って移動可能に構成した車両の後部荷室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハッチバック型やステーションワゴン型等のリフトゲートを備えた車両には、リフトゲートに覆われた後部開口部前側の荷室内の荷物等が車外から視認できないように、荷室の中段位置に略水平方向に展開可能なトノカバー(隠蔽部材)が設けられている。このトノカバーでは、トノカバーの後端部をリフトゲートに対してリンク部材等を介して連結し、リフトゲートの開放操作に連動してトノカバーを上方に引き上げることで、トノカバー後方の開口を前方下がり傾斜状に拡大し、荷物の出し入れに関する利便性を高めている。
【0003】
また、トノカバーのうち、硬質のボード部材を用いて形成されたトノボードでは、その上面に荷物を載置できるように構成されている。このようなトノボードでは、展開時の高さ位置がトノボードの支持部材等により固定的に設定され、格納時にはトノボードがリヤシートの後部位置に折り畳まれるため、背の高い荷物等を荷室に積載する場合、トノボードと荷物との干渉により効率的な荷室への積載が困難であった。そこで、トノカバーを荷室の側壁を利用して格納可能に構成するものも公知である。
【0004】
特許文献1は、ホイールハウスの上側に設けられ光の透過を制限する可撓性の制限部材を巻き取り可能な巻取装置と、制限部材の先端に略U字形状のガイドフレームとを設け、制限部材が車両の窓を覆うサンシェード位置と、制限部材が車幅方向へ延設されるトノカバー位置とに配置可能に構成されている。この配置構造では、格納状態のとき、制限部材が巻取装置により巻き取られホイールハウスの上側に格納され、展開状態のとき、ガイドフレームが上側移動且つ左側回動されて落下不能に支持されると共に、制限部材が巻取装置から引き出されトノカバー位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−213121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リヤシートの後部位置に車両前方側へ折り畳まれて格納されるトノカバーでは、リフトゲートを開放操作した際、後部開口部から格納状態のトノカバーが視認され荷室内の外観美を悪化させる虞が有る。また、格納状態のトノカバーがリヤシートの後側近傍位置を占有するため、荷室スペースを車両前後方向全域に亙って十分に利用できず、荷物の出し入れ性や荷室の積載効率を悪化させる虞がある。
【0007】
特許文献1のトノカバー構造では、トノカバー(制限部材)を荷室の側壁を利用して格納するため、格納状態のトノカバーがリヤシートの後側近傍位置を占有することを防止でき、リヤシートの倒伏性を確保することができる。しかし、トノカバーを巻き取り可能な巻取装置が必要とされ、トノカバーをトノカバー位置の展開状態から格納状態に移動するには、乗員がトノカバーを手動により格納操作する必要があり、利便性の面で課題が残る。
【0008】
本発明の目的は、リフトゲートを開放操作したときの荷室内の外観美を維持しつつ荷物の出し入れ性や荷室の積載効率を高めることができる車両の後部荷室構造、リフトゲートの開放動作と隠蔽部材の格納状態への移動を連動可能な車両の後部荷室構造、安価で利便性の高い車両の後部荷室構造等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の車両の後部荷室構造は、リフトゲートにより開閉可能に覆われる後部開口部と、この後部開口部の前側に設けられた荷室と、この荷室の中段位置に略水平な展開状態に設置される隠蔽部材とを備えた車両の後部荷室構造において、前記隠蔽部材は、前記展開状態と前記荷室の側壁の内側に沿う状態にした格納状態とに亙って移動可能に構成され、前記リフトゲートの開放動作に連動して前記隠蔽部材を前記展開状態と前記格納状態との間で移動させる連動機構を備えたことを特徴としている。
【0010】
この後部荷室構造においては、隠蔽部材が、前記展開状態と、荷室の側壁の内側に沿う状態にした格納状態とに亙って移動可能に構成されているため、リフトゲートを開放操作したとき、格納状態の隠蔽部材がリヤシートの後側近傍位置を占有することがないため、後方視にて視認されることがなく、荷室内の外観美を維持することができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記連動機構は、隠蔽部材を前記荷室の側壁に対して回動可能に支持する回動支持部と、隠蔽部材側連結部とリフトゲート側連結部とを連動可能に連結する連結部材とを有することを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記隠蔽部材側連結部は、前記格納状態のとき、後方視にて前記後部開口部より車幅方向外側位置に設けられたことを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記隠蔽部材は、車幅方向に左右に分割された左側隠蔽部材と右側隠蔽部材とを有し、前記左側隠蔽部材と右側隠蔽部材は、夫々、前記荷室の左側壁と右側壁の内側に沿った格納状態と前記展開状態とを選択可能に構成されたことを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記左側隠蔽部材と右側隠蔽部材は、夫々、車幅方向に分割され且つ上下方向に回動自在に連結された複数のボード部材を有し、前記隠蔽部材側連結部は前記複数のボード部材を回動可能な位置に設けられたことを特徴としている。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記連結部材は、前記格納状態のとき、前記複数のボード部材のうち車幅方向内側のボード部材を車幅方向外側のボード部材に沿う状態に回動させることを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項2〜6の何れか1つの発明において、前記リフトゲート側連結部は、前記格納状態のとき、後方視にて前記隠蔽部材側連結部より車幅方向外側位置に設けられたことを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明は、請求項2〜7の何れか1つの発明において、前記隠蔽部材側連結部の前記展開状態から前記格納状態への移動量よりも前記リフトゲート側連結部の前記展開状態から前記格納状態への移動量が大きくなるよう構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、隠蔽部材が、前記展開状態と、荷室の側壁の内側に沿う状態にした格納状態とに亙って移動可能に構成されているため、リフトゲートを開放操作したとき、格納状態の隠蔽部材がリヤシートの後側近傍位置を占有することなく、荷室内の外観美を維持することができる。しかも、隠蔽部材がリヤシートの後側近傍位置を占有しないため、荷室スペースを車両前後方向全域に亙って十分に利用でき、荷物の出し入れ性や荷室の積載効率を高めることができる。また、連動機構がリフトゲートの開放動作に連動して隠蔽部材を展開状態と格納状態との間で移動させるため、隠蔽部材の格納のための操作を別途必要とすることなく、リフトゲートの開放動作により隠蔽部材を格納状態にすることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、隠蔽部材の駆動手段等を別途設ける必要がないため、連動機構の簡単化を図ることができ、安価で利便性の高い後部荷室構造を得ることができる。
請求項3の発明によれば、格納状態のとき、簡単な構成で隠蔽部材を後部開口部より車幅方向外側位置に配置することができ、格納状態の隠蔽部材による荷物の出し入れ性の阻害を防止することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、左側隠蔽部材と右側隠蔽部材との格納状態を荷物の形状や積載状態に応じて夫々独立して状態を変更でき、利便性を高めることができる。
請求項5の発明によれば、荷室形状に拘わらず、隠蔽部材を後部開口部より車幅方向外側位置に格納するための格納操作性と荷室全域を被覆する被覆性とを両立することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、簡単な構成でボード部材の間に隙間を形成することなく格納状態を実現でき、隠蔽部材を確実に後部開口部より車幅方向外側位置に格納することができ、荷室内の外観美を高くすることができると共に、格納状態の隠蔽部材による荷物の出し入れ性の阻害を防止することができる。
請求項7の発明によれば、簡単な構成でリフトゲートの開放動作に連動して隠蔽部材を確実に後部開口部より車幅方向外側位置に格納することができ、格納状態の隠蔽部材による荷物の出し入れ性の阻害を防止することができる。
【0019】
請求項8の発明によれば、隠蔽部材の移動開始タイミングや移動量の調節を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る後部荷室構造の斜視図である。
【図2】後部車体と後部荷室構造の縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV 線断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】リフトゲートと荷室後部の斜視図である。
【図7】リフトゲートが中間開放状態のときの図2相当図である。
【図8】リフトゲートが中間開放状態のときの図3相当図である。
【図9】リフトゲートが中間開放状態のときの図5相当図である。
【図10】リフトゲートが開放状態のときの図2相当図である。
【図11】リフトゲートが開放状態のときの図5相当図である。
【図12】右側トノカバーのみを格納状態にした図4相当図である。
【図13】第2車体部と第2後部カバー部材の要部とロック機構を示す図である。
【図14】図13のXIV−XIV線断面図である。
【図15】図13のXV−XV線断面図である。
【図16】トノカバーの格納動作初期状態の要部斜視図である。
【図17】トノカバーの格納動作後期状態の要部斜視図である。
【図18】実施例2に係る図2相当図である。
【図19】実施例2に係る図3相当図である
【図20】実施例2に係る図5相当図である
【図21】後部車体の要部と第2格納機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
尚、以下の実施例において、車両の前後方向を前後方向とし、車両の左右方向を左右方向として説明する。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例1について図1〜図17に基づいて説明する。
このワゴン型の車両は、車体後部のリフトゲート1により開閉可能に覆われる後部開口部2と、この後部開口部2の前側に設けられた荷室3と、この荷室3の中段位置に略水平な展開状態に設置されるトノカバー20(隠蔽部材)等を備えている。
【0023】
図2,図3,図7,図8,図10に示すように、リフトゲート1は、その上端部を回転ヒンジ12を介して車体後部のリヤヘッダ4に開閉自在に軸支され、このリフトゲート1を上方に開放操作することにより、車内空間を後部開口部2を介して後方に開放するように構成されている。リフトゲート1は、リフトゲートアウタパネル1aとリフトゲートインナパネル1bとにより閉断面部を形成している。リフトゲート1の左右端部には、リフトゲート1を開放動作させるための1対のダンパ装置(図示略)が装着されている。
【0024】
図2,図3,図7,図10に示すように、リフトゲートインナパネル1bの車室内側に沿って設けられたリフトゲートトリム11は、平面視にて車幅方向内側程後方位置になるよう略湾曲状に形成されている。リフトゲートトリム11には、左側端部から右側端部に亙って荷室3の中段位置に荷室3の内方へ突出する平面視で湾曲状の突出部11aが形成されている。リフトゲート1の上部には、後方視界を確保するためにバックウインドガラス15(図6参照)が装着されている。バックウインドガラス15の左右下端部近傍には、後述するトノカバー側連結部39と紐部材13(連結部材)を介して連結されるリフトゲート側連結部16が形成されている。
【0025】
図2,図3に示すように、荷室3は、後部開口部2の前側且つリヤシート5の後側に形成され、荷室フロアパネル6と、リヤシート5のシートバック5aと、後部開口部2より車幅方向外側に設置された1対のサイドパネル7(側壁)と、荷室3の後部においてサイドパネル7の後端に連なり上方に延びる1対のリヤピラー8と、リフトゲート1等により区画されている。荷室フロアパネル6の後端は、リフトゲート1と同様に、平面視にて車幅方向内側程後方位置になるよう形成されている。
【0026】
リヤシート5は、車幅方向に2分割され、右側シートに1人、左側シートに2人の乗員が着座可能に構成され、夫々のシートが独立して動作可能に構成されている。リヤシート5は、シートクッション5bと、このシートクッション5bの後端部に取り付けられたシートバック5aを有し、各シートバック5aが独立して前側へ傾倒可能に構成され、フロアパネル9上に固定されている。
【0027】
サイドパネル7は、車体側部において前後方向に延びると共に、略上下方向に延設されている。このサイドパネル7の下部には、後輪形状に応じて車室内側に膨出するホイールハウス7aが形成され、ホイールハウス7aの上方には、クォータウインドガラス10が装着されている。サイドパネル7の内側面には、合成樹脂製のトランクサイドトリム17がサイドパネル7の側壁面に沿うように取り付けられている。
【0028】
図2〜図4に示すように、1対のリヤピラー8は、後方視にて上方程車室内方に傾斜するよう形成され、側面視にて上方程車体前方に傾斜するよう形成されている。各リヤピラー8は、下部から上部に亙ってサイドパネル7から所定距離車室内方に膨出するよう形成され、下部から中段部に亙って略上方へ立ち上がる立上部8aと、立上部8a上端から上部に亙って前方上り傾斜状に傾斜する傾斜部8bとを備えている。リヤピラー8の内側面には、トランクサイドトリム17の後端に連なるように一体的に形成された合成樹脂製のリヤピラートリム18がリヤピラー8に沿うように取り付けられている。それ故、リヤピラートリム18には、リヤピラー8と同様に、略上方へ立ち上がるリヤピラートリム立上部18aと、前方上り傾斜状に傾斜するリヤピラートリム傾斜部18bとが形成されている。このリヤピラートリム18とルーフトリム14等が後部開口部2の縁部を形成している。
【0029】
次に、トノカバー20(隠蔽部材に相当する)について説明する。
図3に示すように、トノカバー20は、車幅方向略中央部で車幅方向に左右に2分割された左側トノカバー21aと、右側トノカバー21bとを備えている。左側トノカバー21aは、合成樹脂等のボード部材から形成された左側本体部22aと、左側本体部22aの後端部に折畳み可能に連結され可撓性を有するネット部材から形成された左側後部カバー部材23aと、左側トランクサイドトリム17に固着されボード部材から形成された左側固定ボード24a等により構成されている。
【0030】
右側トノカバー21bは、合成樹脂等のボード部材から形成された右側本体部22bと、右側本体部22bの後端部に折畳み可能に連結され可撓性を有するネット部材から形成された右側後部カバー部材23bと、右側トランクサイドトリム17に固着されボード部材から形成された右側固定ボード24b等により構成されている。 尚、左側トノカバー21aと右側トノカバー21bとは左右対称構造であるため、以下、右側トノカバー21bについて、主に説明する。
【0031】
右側トノカバー21bの右側本体部22bは、右側固定ボード24bの車幅方向内側に隣接する第1本体部31と、第1本体部31の車幅方向内側に隣接する第2本体部32とを備えている。右側固定ボード24bは、右側トランクサイドトリム17及び右側ピラートリム12に固定された基端部から車室内側に略水平状に延設され、平面視にて略台形形状に構成されている。右側トノカバー21bの右側後部カバー部材23bは、第1本体部31の後端36に連結された第1後部カバー部材41と、第2本体部32の後端37に連結され第1後部カバー部材41の車幅方向内側に一体的に設けられた第2後部カバー部材42とを備えている。
【0032】
第1本体部31の略中央部分には、第1本体部31を上下方向に貫通可能な貫通孔38が形成されている。第1本体部31と右側固定ボード24bとの間には、車体前後方向に延びる略ストレート状の谷折部33(回動支持部)が設けられている。谷折部33は、第1本体部31の右側部分と右側固定ボード24bの左側部分とを谷折可能な回転支持部材、例えばポリプロピレンヒンジ(PPヒンジ)等により連結している。
【0033】
谷折部33の後端部P1は、平面視にて、トノカバー20の展開高さ(中段位置)における右側ピラートリム12の車幅方向内側端部よりも前側且つ車幅方向外側位置に設置されている。それ故、後端部P1は後方視にて後部開口部2より車幅方向外側位置に配置されている。
【0034】
第2本体部32と第1本体部31との間には、車体前後方向に延びる略ストレート状の山折部34(折れ部)が設けられている。山折部34は、第2本体部32の右側部分と第1本体部31の左側部分とを山折可能なPPヒンジにより連結している。
図5,図9,図11に示すように、山折部34には、第1本体部31と第2本体部32とを同一平面上に沿うよう展開状態に付勢するバネ部材34aが設けられている。それ故、第1本体部31と第2本体部32との折畳み姿勢を維持する場合、バネ部材34aの付勢力に抗する折畳み力を必要とし、折畳み力を解除したとき、バネ部材34aの付勢力により第1本体部31と第2本体部32とは展開姿勢となる。
【0035】
第2本体部32の下面の略中央部分には、トノカバー側連結部39が設けられている。トノカバー側連結部39は、車体前後方向において貫通孔38と同位置になるよう形成されている。紐部材13は、一端部がトノカバー側連結部39に連結され、他端部が貫通孔38を下方から上方へ貫通して、他端部に形成されたループ部がリフトゲート側連結部16に掛け止めされている。
【0036】
山折部34の後端部P2は、後端部P1よりも車体前後方向前方に形成されている。後端部P1と後端部P2とを結んだ直線部分は、第1本体部31の第1後端36を形成している。この第1後端36は、谷折部33を谷折り状態にして第1本体部31を立ち上げ状態にしたとき、リヤピラー8の傾斜部8b、つまり、リヤピラートリム傾斜部18bの前方内側に沿うように構成されている。第1後部カバー部材41は、第1本体部31と第1後端36の部分で折畳み可能に連結されている。
【0037】
第2本体部32の左側端部には、車体前後方向に延びる略ストレート状の接合部35が形成されている。図3〜図5に示すように、接合部35にはマグネット35aが設置され、左側トノカバー21aと右側トノカバー21bとが展開状態のとき、右側の接合部35と第2左側本体部の左側接合部とが連結可能に構成されている。
【0038】
接合部35の後端部P3は、車体前後方向において後端部P1と同位置になるよう形成されている。後端部P2と後端部P3とを結んだ直線部分は、第2本体部32の第2後端37を形成している。この第2後端37は、山折部34を山折り状態にして第2本体部32を立ち下げ状態にしたとき、第1後端36と同様に、リヤピラートリム傾斜部18bの前方内側に沿うように構成されている。第2後部カバー部材42は、第2本体部32と第2後端37の部分で折畳み可能に連結されている。
【0039】
第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42との間には、山折部34の後方延長線上に延びる折畳み部43が形成されている。第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とは、格納状態のとき、折畳み部43が谷折り状に折り畳まれる。折畳み部43の後端部P4と後端部P1とを結んだ湾曲部分は、第1後部カバー部材41の後端を形成し、リフトゲートトリム11の突出部11aに沿うように突出部11aに近接して形成されている。尚、折畳み部43には、谷折れするように予め谷折り可能な折り目が形成されている。
【0040】
第2後部カバー部材42の左側端部には、接合部35の後方延長線上に延びる略ストレート状の硬質の芯部材44が形成されている。図13〜図15に示すように、接合部35の後端と芯部材44の前端とはロック機構15により、芯部材44が接合部35に対して略直角に屈曲した山折り状態とストレート状態とに切換え可能に連結されている。芯部材44の後端部P5と後端部P4とを結んだ湾曲部分は、第2後部カバー部材42の後端を形成し、リフトゲートトリム11の突出部11aに沿うように突出部11aに近接して形成されている。
【0041】
芯部材44は、右側トノカバー21bが展開状態のとき、接合部35の後端に対して下方への揺動が制限され、右側トノカバー21bが格納状態のとき、接合部35の後端に対して下方への揺動が許容されるよう構成されている。
図14,図15に示すように、芯部材44の前端部分には、展開状態のとき上下方向に突出する枢支軸44aが設けられ、この枢支軸44aは、接合部35の後端部分に設けられた枢支軸受部35aに軸支されている。
【0042】
接合部35の後端部分には、右側トノカバー21bが展開状態のとき、芯部材44の前端部分の左側部分に対応して揺動開口部35bが設けられている。それ故、芯部材44は、枢支軸44aの軸心に対して、平面視にて左揺動を規制され、右揺動を許容されるよう形成されている。これにより、ロック機構15は、芯部材44の枢支軸44aと、接合部35の枢支軸受部35bと、揺動開口部35cとにより構成されている。
【0043】
次に、連動機構19について説明する。
左右1対の連動機構19は、左側トノカバー21aと右側トノカバー21bとに対応して設けられ、左右対称構造であるため、以下、右側トノカバー21b用の連動機構19について、主に説明する。
【0044】
連動機構19は、トノカバー20を前記展開状態と格納状態との間で移動させるよう構成され、第1本体部31(右側トノカバー21b)を荷室3の右側トランクサイドトリム17に対して右側固定ボード24bを介して回動可能に支持する谷折部33と、トノカバー側連結部39とリフトゲート側連結部16とを連動可能に連結する紐部材13等から形成されている。
【0045】
図7〜図11に示すように、リフトゲート1が開放操作されたとき、リフトゲート側連結部16は回転ヒンジ12を回転中心とした回転軌跡により回転上昇移動を行う。リフトゲート側連結部16の移動軌跡は、後方視にて閉状態位置から略鉛直上方に移動する。右側固定ボード24bは、トノカバー側連結部39が第2本体部32の下面の略中央部分に設けられているため、バネ部材34aの付勢力に抗した折畳み力が作用して山折部34が山折り状態に折り畳まれる。
【0046】
図7〜図9に示すように、リフトゲート1が中間開放状態(例えば、開度90%)のとき、第2本体部32は、紐部材13により車幅方向外側へ引っ張られ、山折部34が谷折部33を回転中心とした回転軌跡により後部開口2よりも車幅方向外側位置のルーフトリム14に当接し、第1本体部31が内方上り傾斜状に傾斜し、第2本体部32が自重により略鉛直下方に垂下した中間格納状態になるよう構成されている。尚、リフトゲート1の中間開放状態は、任意に設定可能であり、例えば、85〜95%の開度範囲で設定することも可能である。
【0047】
リフトゲート1が閉状態から中間開放状態まで移動したときのリフトゲート側連結部16の移動量Lα、右側固定ボード24bが展開状態から中間格納状態まで移動したときの山折部34の移動量Laとしたとき、リフトゲート側連結部16は移動量Lαと移動量Laとが略等しくなる位置に設置されている。
【0048】
図10,図11に示すように、リフトゲート1が開放状態(開度100%)のとき、第2本体部32は、紐部材13により車幅方向外側へ引っ張られ、山折部34を回転中心とした回転軌跡により後部開口2よりも車幅方向外側へ移動し第1本体部31に沿う格納状態に回動される。
【0049】
リフトゲート1が中間開放状態から開放状態まで移動したときのリフトゲート側連結部16の移動量Lβ、第2本体部32が中間格納状態から格納状態まで移動したときの山折部34の移動量Lbとしたとき、リフトゲート側連結部16は移動量Lβと移動量Lbとが略等しくなる位置に設置されている。リフトゲート1が開放状態のとき、リフトゲート側連結部16は、後方視にてトノカバー側連結部39より車幅方向外側位置に配置されている。
【0050】
次に、トノカバー20の格納作動について説明する。
リフトゲート1を開放操作すると、リフトゲート1はダンパ装置によりヒンジ12を中心として上方へ開放動作を開始する。リフトゲート側連結部16の上昇移動に伴ってトノカバー側連結部39(第2本体部32)が紐部材13により車幅方向外側へ引っ張られる。
これにより、山折部34がバネ部材34aの付勢力に抗して山折り状態になり、第1本体部31と第2本体部32の折畳みが開始される。このとき、第1本体部31は、谷折部33を谷折れの起点として立ち上がり動作を行う。
【0051】
第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とは、自重により第1後端36と第2後端37において山折り状に折り畳みを開始する。このとき、折畳み部43が、予め、谷折れするように予め谷折り可能な折り目が形成されているため、第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とは、第1本体部31と第2本体部32の折畳み動作に連動して折畳み部43に沿った谷折り状の折り畳みを開始する。
【0052】
図16に示すように、紐部材13による第2本体部32の車幅方向外側への移動に伴い、接合部35の揺動開口35cが斜め下方に向かって傾斜を開始する。ロック機構15による芯部材44の下方への揺動制限が解除され、枢支軸44a(図14,図15参照)を回転軸とした自重による下方への回転動作を開始する。図17に示すように、更に、接合部35が谷折部33へ向けて車幅方向外側へ移動されると、接合部35の揺動開口35cが鉛直下方に面し、自重により芯部材44が接合部35に対して略90度屈曲した位置に移動する。
【0053】
図16,図17に示すように、第1本体部31の裏面と第2本体部32の裏面との接近(折畳み)に合わせて、第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とを折畳み部43で谷折り状に折り畳む。このとき、予め、折畳み部43は谷折れするように折り目が形成されているため、第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42は、第1本体部31と第2本体部32の折畳み操作に連動して折畳み部43に沿って折り畳まれる。以上により、リフトゲート1が中間開放状態のとき、所謂第1本体部31の移動が停止した中間格納状態のとき、第1本体部31の裏面と第2本体部32の裏面との間に、折り畳まれた第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とが重合される。
【0054】
リフトゲート1の開放動作完了段階において、第2本体部32は、紐部材13により更に車幅方向外側へ引っ張られ、山折部34を回転中心とした回転軌跡により後部開口2よりも車幅方向外側へ移動し第1本体部31に沿う格納状態に回動される。これにより、第1本体部31の裏面が第2本体部32の裏面に沿って折り畳まれ、第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とが折畳み部43で谷折り状に折り畳まれる。左側トノカバー21aも同様の格納動作が行われる。尚、図12に示すように、シートバック5aに第2本体部32の支持部(図示略)を形成することにより、積載する荷物の高さに応じて、左側トノカバー21aと右側トノカバー21bのうち一方の紐部材13とリフトゲート側連結部16の掛け止めを解除し、他方のみを格納状態にすることも可能である。
【0055】
次に、実施例1に係る後部荷室構造の作用・効果について説明する。
この後部荷室構造は、リフトゲート1により開閉可能に覆われる後部開口部2と、この後部開口部2の前側に設けられた荷室3と、この荷室3の中段位置に略水平な展開状態に設置されるトノカバー20とを備えた車両の後部荷室構造において、トノカバー20は、前記展開状態と荷室3のトランクサイドパネル17の内側に沿う状態にした格納状態とに亙って移動可能に構成され、リフトゲート1の開放動作に連動してトノカバー20を前記展開状態と前記格納状態との間で移動させる連動機構19を備えている。
【0056】
トノカバー20が、前記展開状態と、荷室の側壁の内側に沿う状態にした格納状態とに亙って移動可能に構成されているため、リフトゲート1を開放操作したとき、格納状態のトノカバー20がリヤシート5の後側近傍位置を占有することなく、荷室内の外観美を維持することができる。しかも、トノカバー20がリヤシート5の後側近傍位置を占有しないため、荷室スペースを車両前後方向全域に亙って十分に利用でき、荷物の出し入れ性や荷室の積載効率を高めることができる。また、連動機構19がリフトゲート1の開放動作に連動してトノカバー20を展開状態から格納状態へ移動させるため、トノカバー20の格納操作を別途必要とすることなく、リフトゲート1の開放動作によりトノカバー20を格納状態にすることができる。
【0057】
連動機構19は、右側トノカバー21bを荷室3のトランクサイドパネル17に対して回動可能に支持する谷折部33と、トノカバー側連結部39とリフトゲート側連結部13とを連動可能に連結する紐部材13とを有するため、右側トノカバー21bの駆動手段等を別途設ける必要がなく、連動機構19の簡単化を図ることができ、安価で利便性の高い後部荷室構造を得ることができる。
【0058】
トノカバー側連結部39は、前記格納状態のとき、後方視にて前記後部開口部2より車幅方向外側位置に設けられているため、格納状態のとき、簡単な構成で右側トノカバー21bを後部開口部2より車幅方向外側位置に配置することができ、格納状態の右側トノカバー21bによる荷物の出し入れ性の阻害を防止することができる。
トノカバー20は、車幅方向に左右に分割された左側トノカバー21aと右側トノカバー21bとを有し、左側トノカバー21aと右側トノカバー21bは、夫々、荷室3の左側サイドパネル7と右側サイドパネル7の内側に沿った格納状態と前記展開状態とを選択可能に構成されたため、左側トノカバー21aと右側トノカバー21bとの格納状態を荷物の形状や積載状態に応じて夫々独立して状態を変更でき、利便性を高めることができる。
【0059】
左側トノカバー21aと右側トノカバー21bは、夫々、車幅方向に分割され且つ上下方向に回動自在に連結された複数のボード部材を有し、トノカバー側連結部39は複数のボード部材を回動可能な位置に設けられたため、荷室形状に拘わらず、左側トノカバー21aと右側トノカバー21とを後部開口部2より車幅方向外側位置に格納するための格納操作性と荷室全域を被覆する被覆性とを両立することができる。
【0060】
紐部材13は、前記格納状態のとき、第1本体部31と第2本体部32のうち車幅方向内側の第2本体部32を車幅方向外側の第1本体部31に沿う状態に回動させるため、簡単な構成で第1本体部31と第2本体部32との間に隙間を形成することなく格納状態を実現でき、右側トノカバー21bを確実に後部開口部2より車幅方向外側位置に格納することができ、荷室内の外観美を高くすることができると共に、格納状態の右側トノカバー21bによる荷物の出し入れ性の阻害を防止することができる。
【0061】
リフトゲート側連結部16は、前記格納状態のとき、後方視にてトノカバー側連結部39より車幅方向外側位置に設けられたため、簡単な構成でリフトゲート1の開放動作に連動して右側トノカバー21bを確実に後部開口部2より車幅方向外側位置に格納することができ、格納状態の右側トノカバー21bによる荷物の出し入れ性の阻害を防止することができる。
【実施例2】
【0062】
次に、実施例2の後部荷室構造について図18〜図21に基づいて説明する。実施例1と同様の主要な構成要素には同じ参照符号を付けて図示し、それらについての説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。
【0063】
左右1対の連動機構19Aは、左側トノカバー25aと右側トノカバー25bとに対応して設けられている。右側の連動機構19Aは、第1本体部31(右側トノカバー25b)を荷室3の右側トランクサイドトリム17に対して右側固定ボード24bを介して回動可能に支持する谷折部33と、トノカバー側連結部39Aとリフトゲート側連結部16Aとを連動可能に連結する紐部材13A等から構成されている。
【0064】
図18,図19に示すように、紐部材13Aの一端部が連結されるトノカバー側連結部39Aは、山折部34Aの前後方向略中央位置に設けられている。尚、第1本体部31と第2本体部32とは、PPヒンジのみで連結され、実施例1のように、第1本体部31と第2本体部32とを展開状態に付勢するバネ部材34aは設置されていない。
【0065】
リフトゲート側連結部16Aは、リフトゲートトリム11の車幅方向右側且つ上側位置に形成され、リフトゲート側連結部16Aの閉状態(展開状態)位置から開放状態(格納状態)位置への移動量が、トノカバー側連結部39Aの展開状態位置から格納状態位置への移動量よりも大きな位置に配置されている。それ故、紐部材13Aの長さ調節により右側トノカバー21bの移動量の調節を簡易に行うことができる。
【0066】
リフトゲート側連結部16Aは、紐部材13Aの他端部が連結され、後方視にて後部開口2より車幅方向外側位置に配置されている。それ故、リフトゲート1が開放動作したとき、リフトゲート1の開放移動、所謂リフトゲート側連結部16Aの上昇移動に伴ってトノカバー側連結部39A(山折部34A)を車幅方向外側上方へ移動することができる。左側の連動機構19Aは、右側の連動機構19Aと左右対称の構成である。
【0067】
次に、図20,図21に基づき、トノカバー20Aの格納機構について説明する。
トノカバー20Aの格納機構は、左側トノカバー25a用格納機構と右側トノカバー25b用格納機構とから構成され、左側トノカバー25a用格納機構と右側トノカバー25b用格納機構は荷室3の左右側に夫々設置されている。左右夫々の格納機構は左右対称構造であるため、以下、右側トノカバー25b用格納機構について、主に説明する。
【0068】
図20,図21に示すように、右側トノカバー25b用格納機構は、第2本体部32の接合部35をトランクサイドトリム17の内側の格納位置に位置決めする第1格納機構50と、山折部34をサイドパネル7の内側の格納位置に位置決めする第2格納機構60とから構成されている。第1格納機構50と第2格納機構60は、夫々、後方視にて後部開口部2より車幅方向外側位置に配置されている。
【0069】
図21に示すように、第1格納機構50は、右側固定ボード24bの車室内側下面に固着された板状の支持部材51と、弾性性変形可能な圧縮バネ52と、圧縮バネ52の先端に固定された球状の突起部53等から構成されている。圧縮バネ52は、後部開口部2より車幅方向外側位置となる位置に突起部53が支持部材51の上面から突出するように埋設されている。これにより、右側トノカバー25bが格納状態のとき、突起部53は、第2本体部32の接合部35を後部開口部2より車幅方向外側位置に格納することができる。
【0070】
図20に示すように、第2格納機構60は、第1格納機構50と同様に、ルーフトリム14の右側部分に固定された弾性性変形可能な圧縮バネ62と、圧縮バネ62の先端に固定された球状の突起部63等から構成されている。圧縮バネ62は、後部開口部2より車幅方向外側位置となる位置に突起部63がルーフトリム14の下面から突出するように埋設されている。これにより、右側トノカバー25bが格納状態のとき、突起部63は、山折部34Aを後部開口部2より車幅方向外側位置に格納することができる。尚、圧縮バネ52と圧縮バネ62は、格納状態のとき接合部35及び山折部34Aを突起部53と突起部63が夫々支持すると共に、展開するとき、接合部35及び山折部34Aが突起部53と突起部63を乗り越え可能な弾性率に設定されている。
【0071】
次に、トノカバー20Aの格納動作について説明する。
リフトゲート1を開放操作すると、リフトゲート側連結部16Aの上昇移動に伴ってトノカバー側連結部39Aが紐部材13Aにより車幅方向外側上方へ引っ張られる。これにより、第1本体部31と第2本体部32とが山折り状に上昇を開始する。第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とは、自重により第1後端36と第2後端37において山折り状に折り畳まれ、折畳み部43において谷折り状に折り畳まれる。
【0072】
リフトゲート1の開放動作完了段階において、紐部材13Aにより車幅方向外側上方へ引き上げられた山折部34Aは、第2格納機構60の突起部63に当接した後、圧縮バネ62を変形させて突起部63を乗り越え格納位置に移動する。これにより、第1本体部31と第2本体部32との間に第1後部カバー部材41と第2後部カバー部材42とが折り畳まれる。
【0073】
山折部34Aが、突起部63により後部開口部2より車幅方向外側の格納位置に位置固定された後、接合部35を突起部53により後部開口部2より車幅方向外側の格納位置に位置固定して右側トノカバー25bの格納動作を完了する。左側トノカバー25aの格納動作も同様である。
【0074】
以上により、トノカバー側連結部39Aの展開状態から格納状態への移動量よりもリフトゲート側連結部16Aの展開状態から格納状態への移動量が大きくなるよう構成されたため、トノカバー20Aの移動開始タイミングや移動量の調節を容易に変更することができる。
【0075】
荷室3のサイドパネル7側には、格納状態のとき、右側トノカバー25bを固定する第1,第2格納機構50,60が設けられたため、リフトゲート1が閉状態のときでもトノカバー20Aを格納状態に維持でき、トノカバー20Aを荷室3やリフトゲート1等から取り外すことなく背の高い荷物等を積載でき、荷室3の積載効率を高めることができる。
【0076】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、固定ボードに連結された本体部が2分割形成された例を説明したが、山折部と谷折部を交互に配置することで、3分割以上に分割しても良い。また、第1本体部と第2本体部とをPPヒンジを用いて折畳み可能に連結した例について説明したが、種々のヒンジを採用可能である。
【0077】
2〕前記実施例においては、後部カバー部材がネット状部材の例を説明したが、少なくとも本体部の後端部で折畳み可能であれば良く、本体部と同様に硬質なボード部材で構成することも可能である。このとき、後部カバー部材と本体部の後端部とは、PPヒンジ等種々のヒンジを用いることができる。
【0078】
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、荷室に展開状態に設置されるトノカバーを備えた車両の後部荷室構造において、特に隠蔽部材を展開状態と荷室の側壁の内側に折り畳んだ格納状態とに亙ってリフトゲートの開放動作と連動して移動可能に構成したため、リフトゲートを開放操作したときの外観美を維持しつつ荷物の出し入れ性や荷室の積載効率を高めることができ、利便性を高めることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 リフトゲート
2 後部開口
3 荷室
7 サイドパネル
8 リヤピラー
8b 傾斜部
11 リフトゲートトリム
13 紐部材
16,16A リフトゲート側連結部
17 トランクサイドトリム
18 リヤピラートリム
18b リヤピラートリム傾斜部
19,19A 連動機構
20,20A トノカバー
21a,25a 左側トノカバー
21b,25b 右側トノカバー
22a 左側本体部
22b 右側本体部
23a 左側後部カバー部材
23b 右側後部カバー部材
31 第1本体部
32 第2本体部
33 谷折部
34,34A 山折部
39,39A トノカバー側連結部
41 第1後部カバー部材
42 第2後部カバー部材
43 折畳み部
50 第1格納機構
60 第2格納機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフトゲートにより開閉可能に覆われる後部開口部と、この後部開口部の前側に設けられた荷室と、この荷室の中段位置に略水平な展開状態に設置される隠蔽部材とを備えた車両の後部荷室構造において、
前記隠蔽部材は、前記展開状態と前記荷室の側壁の内側に沿う状態にした格納状態とに亙って移動可能に構成され、
前記リフトゲートの開放動作に連動して前記隠蔽部材を前記展開状態と前記格納状態との間で移動させる連動機構を備えたことを特徴とする車両の後部荷室構造。
【請求項2】
前記連動機構は、前記隠蔽部材を前記荷室の側壁に対して回動可能に支持する回動支持部と、隠蔽部材側連結部とリフトゲート側連結部とを連動可能に連結する連結部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項3】
前記隠蔽部材側連結部は、前記格納状態のとき、後方視にて前記後部開口部より車幅方向外側位置に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項4】
前記隠蔽部材は、車幅方向に左右に分割された左側隠蔽部材と右側隠蔽部材とを有し、
前記左側隠蔽部材と右側隠蔽部材は、夫々、前記荷室の左側壁と右側壁の内側に沿った格納状態と前記展開状態とを選択可能に構成されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項5】
前記左側隠蔽部材と右側隠蔽部材は、夫々、車幅方向に分割され且つ上下方向に回動自在に連結された複数のボード部材を有し、
前記隠蔽部材側連結部は前記複数のボード部材を回動可能な位置に設けられたことを特徴とする請求項4に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項6】
前記連結部材は、前記格納状態のとき、前記複数のボード部材のうち車幅方向内側のボード部材を車幅方向外側のボード部材に沿う状態に回動させることを特徴とする請求項5に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項7】
前記リフトゲート側連結部は、前記格納状態のとき、後方視にて前記隠蔽部材側連結部より車幅方向外側位置に設けられたことを特徴とする請求項2〜6の何れか1つに記載の車両の後部荷室構造。
【請求項8】
前記隠蔽部材側連結部の前記展開状態から前記格納状態への移動量よりも前記リフトゲート側連結部の前記展開状態から前記格納状態への移動量が大きくなるよう構成されたことを特徴とする請求項2〜7の何れか1つに記載の車両の後部荷室構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−246001(P2011−246001A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121746(P2010−121746)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】