車両の荷室構造
【課題】車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両において、種々の大型の荷物を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車両の美観を損なうことなく、さらに車体への悪影響や雨水による影響を回避しつつ積載可能な車両の荷室構造を提供する。
【解決手段】トランクリッド5を開放した状態で支持する支持機構20を設けると共に、前記トランクルーム6の収容部を、耐水性を有する水密な収納容器部材50で構成する。
【解決手段】トランクリッド5を開放した状態で支持する支持機構20を設けると共に、前記トランクルーム6の収容部を、耐水性を有する水密な収納容器部材50で構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両の荷室構造に関し、車両の車体構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば、セダンタイプや、スポーツカータイプの車両においては、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームが設けられる場合があるが、このようなタイプの車両においては、例えば車体のデザインや、車体の大きさ等の理由から、トランクルームの大きさ(容積、前後寸法、車幅寸法、深さ等)を大型の荷物を収容可能な程度に十分確保できない場合がある。その一方で、このようなタイプの車両においても、近年、例えばレジャーの際に自転車等の大型の荷物を積載可能なユーティリティ性が求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、前記タイプの車両において、大型の荷物として自転車を積載可能なように、車室ルーフ部から車体後部の上方に左右一対のレール部材及びその支持部材を配設すると共に、該レール部材上で走行可能な台車を準備しておき、必要に応じて該台車に自転車をセットしてレール部材に装着することにより、該自転車を車室ルーフ部の上方等に積載可能とした荷物積載装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−245735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の荷物積載装置は、前述のように、車室ルーフ部から車体後部の上方にレール部材等を配設する必要があるだけでなく、台車が必要であり、非常に大掛かりなものとなる。また、台車は自転車専用のものであるので、それ以外のものは積載できない。そして、その他のものを積載するためには、異なる台車が別途必要となる。
【0006】
また、特許文献1には、レール部材を取外し可能としてもよい旨の記載があるが、前述のように非常に大掛かりなものであるので、取外し、取付には多大な手間がかかり、実質的に常時取付状態となると考えられる。そして、その場合、車体のデザインが損なわれることとなる。
【0007】
なお、トランクリッドを若干開けた状態で荷物を収容している車両が散見されるが、走行中の振動によりトランクリッドがばたついて車体に悪影響が及ぶ虞があるだけでなく、降雨時にはトランクルーム内に雨水が浸入してその周辺も水浸しとなる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両において、種々の大型の荷物を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車両の美観を損なうことなく、さらに車体への悪影響や雨水による影響を回避しつつ積載可能な車両の荷室構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両の荷室構造であって、前記トランクリッドを開放した状態で該リッドを支持する支持手段が設けられていると共に、前記トランクルームの収容部が、耐水性を有する水密な収納容器部材で構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両の荷室構造において、前記収納容器部材に、該容器内に溜まった液体を排出するドレーン部材が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の車両の荷室構造において、前記収納容器部材は、車体下面部近傍に至る深さを有していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、前記収納容器部材には、該部材内の空間を上部側と底部側とに仕切るリッドが設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、前記収納容器部材の前方には、荷物を収容可能な空間が設けられており、前記収納容器部材には、該空間と収納容器部材内の空間とを仕切るリッドが設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、前記トランクリッドは、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放可能に設けられていると共に、前記支持手段は、該リッドをこの所定の開放状態で支持可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の車両の荷室構造において、 前記トランクリッドの所定の開放状態において該リッド及び前記トランクルームの開口部の上方の空間を荷物積載空間として利用可能とする荷物固定手段が、前記リッドの閉鎖状態において車体外部に露出しない位置に固定してまたは着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
次に、本発明の効果について説明する。
【0018】
まず、請求項1に記載の発明によれば、トランクリッドを開放状態で支持機構により支持させることで、トランクルーム内及びその上方の空間を利用して、例えばトランクルームの深さよりも背の高い荷物を積載することができる。なお、後述するように、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放可能に構成すれば、上部側がトランクルームの開口よりも前後に広がった形状の植木等を積載することができる。また、後述する固定手段を用いれば、トランクリッドやトランクルームの開口部の上方の空間を利用して、自転車等の荷物を積載することも可能となる。すなわち、種々の大型の荷物を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車体のデザインを損なうことなく積載することができる。
【0019】
また、トランクリッドは開放状態においては支持機構により支持されるので、車両の走行中の振動によりトランクリッドがばたついたり、それに伴って車体に悪影響が生じたりするのも防止される。
【0020】
また、前記トランクルーム内の収容部が、耐水性を有する水密な収納容器部材で構成されているので、トランクリッドを開放した状態で走行しているときに降雨があっても、雨水は収納容器部材に溜まることとなる。すなわち、収納容器部材がない場合は、トランクルーム内に水が直接溜まったり、車体の内面を構成するパネル類が水浸しになる虞があるが、そのような不具合が防止されることとなる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記収納容器部材に、該容器内に溜まった液体を排出するドレーン部材が設けられているから、容器内に溜まった雨水等の液体を容易に排出させることができる。その場合に、収納容器部材をトランクルームに対して着脱自在に構成しておけば、排出された液体をトランクルーム外で排出させることができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記収納容器部材は、車体下面部近傍に至る深さを有しているから、背の高い荷物をできるだけ上方に突出させず、かつ安定して収容することができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記収納容器部材には、該部材内の空間を上部側と底部側とに仕切るリッドが設けられているから、例えばプライバシーを保護したい物品等を底部側の空間に収容すれば、トランクリッドを開放した場合でも、外部から視認等することができず、プライバシーが保護されることとなる。また、トランクリッド開放状態においても物品の飛散を防止することができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明によれば、前記収納容器部材の前方には、荷物を収容可能な空間が設けられており、前記収納容器部材には、該空間と収納容器部材内の空間とを仕切るリッドが設けられているから、例えばプライバシーを保護したい物品等を前記収納容器部材の前方の空間に収容すれば、トランクリッドを開放した場合でも、外部から視認等することができず、プライバシーが保護されることとなる。また、トランクリッド開放状態においても物品の飛散を防止することができる。
【0025】
また、請求項6に記載の発明によれば、前記トランクリッドは、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放可能に構成されているから、請求項1においても一部説明したように、トランクルームの高さよりも背の高い荷物をトランクリッドと干渉させることなく積載することができる。また、後述する固定手段を用いれば、トランクリッドやトランクルームの上方に、自転車等の荷物を積載することも可能となる。
【0026】
また、請求項7に記載の発明によれば、前記トランクリッドの所定の開放状態において該リッド及び前記トランクルームの開口部の上方の空間を荷物積載空間として利用可能とする荷物固定手段が設けられているから、トランクリッドやトランクルームの開口部の上方の空間を利用して、例えば自転車やサーフボード等の大型の荷物を安全に積載することができる。
【0027】
その場合に、前記荷物固定手段は、前記リッドの閉鎖状態において車体外部に露出しない位置に固定してまたは該位置に着脱可能に設けられているから、該固定手段がトランクリッドの閉鎖状態において外部に露出せず、車両の美観が損なわれることがない。
【0028】
また、着脱可能とされている場合においては、トランクリッドを閉鎖した状態では取り外すことにより、トランクルーム内の空間を有効に活用することもできる。また、荷物固定手段が着脱可能であるので、種々の固定手段を利用することができ、種々の荷物を積載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係る車両の荷室構造について説明する。
【0030】
本実施の形態に係る車両の荷室構造は、図1に示す車両1に適用されている。この車両1は、車体2の前後方向略中間に車室3が設けられると共に該車室3の上部が開閉可能とされたオープンカータイプの車両である。
【0031】
この車両1の車体2の後部側、詳しくは車室2の後端と車体1の後端との間の部分の後部側には、上面に設けられた開口部4がトランクリッド5により開閉可能とされたトランクルーム6が設けられている。
【0032】
また、本車両1は、前述のようにオープンカータイプの車両であるが、このような車両におけるロールオーバー時の乗員保護のため、車室3とトランクリッド5との間の車体2の上面2aには、車室3内に配設された左右のシート7,7の後方においてそれぞれロールバー8,8が設けられている。このロールバー8は、図2(図1のA矢視図)に示すように、車体前後方向視で門形状をしている。
【0033】
前記トランクリッド5は、図1に示すように該リッド5の前端部の左右両端側に設けられた一対のヒンジ10,10を介して、車体2に支持されている。その場合に、本実施の形態においては、該トランクリッド5は、図3に示すように、前記ヒンジ10,10により、前端側を中心として回動して裏面が略上方を向く開放状態(請求項6における所定の開放状態)まで開放可能とされている。
【0034】
このヒンジ10について説明すると、該ヒンジ10は、図4に示すように、車体2に固定された支持ブラケット11と、該支持ブラケット11の上端部に設けられた支持軸12を介して回動可能に支持された半円弧形状のスワンネック型の回動アーム13とを有すると共に、支持軸12はトランクリッド5の上面と略同じ高さ位置に設けられており、これにより、仮想線で示すように、リッド5が車室3後方の車体上面2aと干渉することなく、裏面が略上方を向く開放状態に開放可能となっている。
【0035】
また、本実施の形態においては、トランクリッド5を前記(図3の)開放状態で支持する支持機構20が設けられている。
【0036】
この支持機構20は、図3に示すように、ロールバー8に設けられて開放状態のトランクリッド5の後端部が載置される支持部21と、トランクリッド5をこの開放状態で固定するロック機構22とで構成されている。
【0037】
その場合に、支持部21は、図2に示すように、ロールバー8の上辺部8bの上部後面側に設けられた段差部8aにより構成されており、該段差部8aの上面には、トランクリッド5の後端部の意匠面を保護する弾性部材22が取り付けられている。
【0038】
その場合に、支持部21の高さ位置は、図3(b)からわかるように、トランクリッド5の開放状態においてその上端αが車室3のシート7(所定位置)に着座する所定の体格を有する乗員Zの上端よりも高くなるように設定されている。
【0039】
ロック機構22は、図1、図3に示すように、前記ロールバー8に設けられたロールバー側部材30と、トランクリッド5の後部に設けられたリッド側部材40とを有している。
【0040】
まず、リッド側部材40から説明すると、該リッド側部材40は、図5に示すように、トランクリッド5の後壁5aの下面部に固定された支持ブラケット41と、一端部側が、該ブラケット41に支持された車幅方向に向く軸46を中心として回動可能なように支持された丸棒状の棒状部材42と、該棒状部材42の他端部に設けられた軸47を中心として回動可能に支持された操作部材43及び係合部材44とを有している。そして、棒状部材42は、ロック機構22の非使用時、車体2のトランクルーム後壁2cの外面に取り付けられた係止部材45の溝45a内に挟持されることにより係止されるように構成されている。
【0041】
一方、ロールバー側部材30は、図2に示すように、ロールバー8の上辺部8bの上部中央に形成された凹部8c内に取り付けられており、図6に示すように、基部30aと、該基部30aの左右の端部から立ち上がる一対の縦壁部30b,30bとを有し、これら30a,30b,30bで前記リッド側部材40の棒状部材42が嵌合可能な溝部30cを形成している。
【0042】
また、図5、図6に示すように、ロールバー側部材30の縦壁部30b,30bの内面の前部側、及びリッド側部材40の係合部材44の上部側(図5における上下)に、互いに係合可能な係合凹部30d,30d及び係合突部44a,44aが形成されている。
【0043】
そして、図7に示すように、開放状態のトランクリッド5の後端部をロールバー8の支持部21に弾性部材22を介して載置した状態で、操作部材43の操作部43aを持って棒状部材42を軸46を中心としてロールバー8側へ回動させ、仮想線で示すように係合凹部30dと係合突部44aとを係合させる。そして、この係合部を支点として操作部材43及び係合部材44を回動させながら、棒状部材42を軸46を中心としてさらに回動させ、係合部材30の係合凹部30dと係合部材44の係合突部44aとを実線で示す係合状態とさせる。そして、この係合状態においては、操作部材43が操作されるまでの間、トグル機構の原理により、ロックされた状態が保持されることとなる。すなわち、図3のようにトランクリッド5を開放状態として車両1を走行させたとしても、走行中の振動等によりトランクリッド5がばたついたり、それに伴って車体に悪影響が生じたりするのが防止されることとなる。
【0044】
したがって、本実施の形態においては、トランクリッド5を閉鎖した状態ではトランクルーム6内に収容し切れない大型の荷物でも、該リッド5を開放状態とすることにより、トランクルーム6の開口部4の上方の空間をも利用して積載し、かつその状態で走行することが可能となる。また、このような効果を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車体のデザインを損なうことなく実現することができる。
【0045】
ここで、このようにトランクリッド5を開放状態として車両1を走行させると、雨天時等においてはトランクルーム6内に雨水が入ることとなるので、雨水等に対する対策を講じることが好ましい。
【0046】
そこで、本実施の形態においては、図3に示すように、トランクルーム6は、車体2の構成材で形成された凹部2bと、該凹部2bの上方から嵌め込まれ、樹脂製で耐水性を有する収納容器部材50(収納部)で構成されている。
【0047】
この収納容器部材50は、図8、図9に示すように、上面が開口した(開口部4を形成する)箱状の本体部50aと、該本体部50aの上端縁に設けられたフランジ部50bとを有しており、該フランジ部50bが車体側の凹部2bの上端部に沿ってその外側に設けられた平面部2dに上方から当接することにより車体2側に支持されるようになっている。したがって、上方へ持ち上げれば、凹部2bから取り外すことができる。
【0048】
フランジ部50bの下面にはシール部材51が取り付けられており、収納容器部材50が凹部2b内に取り付けられた状態において、凹部2b内や、車体2における凹部2bに連続する部位に雨水等が侵入するのが防止されるようになっている。このように、本実施の形態においては、収納容器部材50が設けられているので、トランクルーム6の凹部2b内に水が溜まったり、車体2を構成するパネル類が水浸しになるような不具合が防止されることとなる。
【0049】
また、収納容器部材50の底面部50cには、図示しないキャップにより開閉可能なドレーン50d,50dが形成されている。これによれば、トランクリッド5を開放した状態で走行しているときに降雨があり、雨水が収納容器部材50内に溜まった場合、収納容器部材50を取り外して車外でキャップを外すことにより、水抜きを行うことができる。また、収納容器部材50が汚れた場合は、車体2から取り外した状態で水洗い清掃等を容易に行うことができる。
【0050】
また、収納容器部材50は、車体下面部近傍に至る深さを有している。これによれば、背の高い荷物をできるだけ上方に突出させず、かつ安定して収容することができる。
【0051】
次に、荷物の積載例を説明する。
【0052】
まず、図10は、トランクルーム6の深さよりも背の高い荷物L1を積載した例を示しており、このように本実施の形態に係る荷室構造によれば、トランクルーム6の深さよりも背の高い荷物でも積載できる。
【0053】
その場合に、支持部21の高さ位置は、前述のように、トランクリッド5の開放状態においてその上端αが車室3の所定位置に着座する所定の体格を有する乗員Zの上端よりも高くなるように設定されているから、万一、後突等があり、荷物L1がトランクルーム6から前方に飛び出したとしても、該トランクリッド5により荷物L1が受け止められ、該荷物L1の乗員への衝突が阻止されることとなる。
【0054】
図11は、上部側がトランクルーム6の開口部4よりも前後に広がった形状の植木等の荷物L2を積載した例を示しており、このように本実施の形態に係る荷室構造によれば、開口部4よりも前後に広がった形状の荷物でも積載できる。
【0055】
ここで、本実施の形態においては、図3に示すように、トランクリッド5の裏面(例えばインナパネル)に、後述するアタッチメント等を取付可能な複数の取付部5b…5bが設けられている。そして、トランクリッド5を開放状態としたときに、取付部5b…5bにアタッチメントを固定することにより、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間を、荷物積載空間として利用することができるようになっている。
【0056】
例えば、図12は、アタッチメント60として支持ブラケット61,62を利用して、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間に、自転車L3を積載した例を示している。
【0057】
これらの支持ブラケット61,62のうち、この前部側の支持ブラケット61は、図13(a)に示すように、左右一対のボルト挿通孔61a,61aが設けられた基部61bと、該基部61bに立設され、上端部にボルト挿通孔61c,61cが設けられた左右一対の立設部61d,61dとを有している。
【0058】
一方、後側の支持ブラケット62は、図13(b)に示すように、左右一対のボルト挿通孔62a,62aが設けられた基部62bと、該基部62bに立設され、上端部に溝62c,62cが設けられた左右一対の立設部62d,62dとを有している。
【0059】
そして、図14(a)に示すように、前側の支持ブラケット61側についてはは、蝶ボルトBBを、トランクリッド5裏面の取付部5bの内面に設けられたナットWNに、基部61bのボルト挿通孔61a,61a、及びトランクリッド5裏面の取付部5bに設けられたボルト挿通孔5h,5hを介して螺合させることにより固定する。また、自転車のフロントフォークFFの下端部の前輪軸受部Fa(溝部や孔部)と、前側の支持ブラケット61の立設部61dの貫通孔61cとに、ハンドル付ボルトLBを挿通する。そして、該ボルトLBの先端側にハンドル付ナットLNを螺合させてフロントフォークFの前輪軸受部Faを、前側の支持ブラケット61に固定する。
【0060】
一方、図14(b)に示すように、後側の支持ブラケット62側については、蝶ボルトBBを、車体2の凹部2b上端周囲の平面部2dの下面に設けられたナットWNに、基部62bのボルト挿通孔62a,62a、収納容器部材50のフランジ部50bのボルト挿通孔50h,50h、及び前記平面部2dに設けられたボルト挿通孔2h,2hを介して螺合させることにより固定する。また、自転車L3の後輪軸ボルトBRの両端側を左右の立設部62d,62dの溝62cに上方から挿入すると共に、該ボルトBRの左右の端部にハンドル付ナットLNを螺合させることにより、自転車の後部側を、後側の支持ブラケット62に固定する。
【0061】
このように、自転車L3の前部側及び後部側をアタッチメント61,62を介してトランクリッド5及び車体2に固定することにより、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間を自転車L3積載空間として利用することができるようになる。
【0062】
図15は、アタッチメント70を利用して、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間に、サーフボードL4を積載した例を示している。
【0063】
このアタッチメント70は、図16に示すように、左右一対の支持ブラケット71,71と、ポール部材72とで構成されている。
【0064】
支持ブラケット71,71は、左右一対のねじ挿通孔71a,71aが設けられた基部71bと、該基部71bに立設され、上端部にねじ挿通孔71c,71cが設けられた左右一対の立設部71d,71dとを有している。
【0065】
ポール部材72は、支持ブラケット71,71の上端側に、ねじ挿通孔71c,71cに挿通されたボルト73,73によりネジ止めされている。すなわち、分解可能となっている。
【0066】
そして、左右の支持ブラケット71,71の基部71b、71bをトランクリッド5裏面の左右の取付部5b,5bにそれぞれ、前記支持ブラケット61同様に蝶ネジで固定する。
【0067】
そして、図5のようにサーフボードL4の下部側をトランクルーム6内に収容すると共に、上部側をアタッチメント70のポール部材72に紐等で固定する。これにより、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間をサーフボードL4積載空間として利用することができるようになる。
【0068】
なお、このアタッチメント70によれば、サーフボードL4以外にも、例えば物干し竿や、弓、板材等、種々の長い荷物を積載することができる。
【0069】
このように本実施の形態によれば、アタッチメント60,70は、前記トランクリッド5または車体2に対して着脱可能とされているから、トランクリッド5を閉鎖した状態ではアタッチメント60,70を取り外すことにより、トランクルーム6内の空間を有効に活用することもできる。また、種々のアタッチメントを利用することができ、種々の荷物を積載することができる。
【0070】
該アタッチメント60,70は、前記リッド5の閉鎖状態において車体外部に露出しない位置(取付部5b等)に着脱可能とされているから、トランクリッド5の閉鎖状態において外部に露出せず、車両1の美観が損なわれることがない。
【0071】
なお、荷物固定手段が比較的小さいものであれば、トランクリッド5の閉鎖状態において外部に露出しない位置に、トランクリッド5の裏面や収納容器部材50等に一体的に設けてもよく、この場合、アタッチメントの取付、取外しの手間が軽減されることとなる。
【0072】
また、前記実施の形態においては、自転車搭載用のアタッチメント60と、サーフボード等搭載用のアタッチメント70について説明したが、その他の物品用のアタッチメントを用意すれば、さらに多種の荷物を搭載することができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、オープンカータイプの車両に適用した場合について説明したが、オープンカータイプでない例えばセダンタイプの車両にも適用可能である。
【0074】
次に、第2の実施の形態について、図17、図18を用いて説明する。
【0075】
この第2の実施に形態に係る車両101においては、図17、図18に示すように、トランクルーム106の収容部を構成する収納容器部材150に、該部材150内の空間を上部側の空間X2と底部側の空間X1とに仕切るリッド151が設けられている。
【0076】
このリッド151は、ヒンジ152を介して本体部150aの前壁部側に前端部側を中心として回動可能に支持されている。
【0077】
また、リッド151の後端部及び収納容器部材150の本体部150aの後壁部には、互いに係合可能なリッド側係合部材153及び収納納期部材側係合部材154が設けられており、リッド151を略水平状態で保持及びロック可能に構成されている。
【0078】
この第2の実施の形態によれば、例えばプライバシーを保護したい荷物等を底部側の空間X1に収容すれば、トランクリッド151を開放した場合でも、外部から視認等することができず、プライバシーが保護されることとなる。また、トランクリッド151開放状態においても荷物の飛散を防止することができる。
【0079】
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0080】
この第3の実施に形態に係る車両201においては、図19に示すように、トランクルーム206の凹部202aの前壁部に開口202hが設けられていると共に、その前方に、後方が開口する箱状部材202kが設けられ、収納容器部材250の荷物収容空間Y1の前方に、空間Y2が形成されている。
【0081】
また、図19、図20に示すように、収納容器部材250には、トランクルーム206の凹部202aの前方の空間Y2と収納容器部材250内の空間Y1とを仕切るリッド251が設けられている。
【0082】
このリッド251は、ヒンジ252を介して収納容器部材250の本体部250aの前壁部の開口部202hの下縁部に下端部側を中心として回動可能に支持されている。
【0083】
また、リッド251の上端部及び収納容器部材250の本体部250aの前壁部には、互いに係合可能なリッド側係合部材253及び収納容器部材側係合部材254が設けられており、リッド251を略鉛直状態で保持及びロック可能に構成されている。
【0084】
この第3の実施の形態によれば、例えばプライバシーを保護したい荷物等を収納容器部材250の前方の空間に収容すれば、トランクリッド251を開放した場合でも、外部から視認等することができず、プライバシーが保護されることとなる。また、トランクリッド251開放状態においても荷物の飛散を防止することができる。
【0085】
次に、第4の実施の形態について、図21、図22を用いて説明する。
【0086】
第4の実施の形態に係る車両301においては、図21に示すように、収納容器部材350のフランジ部350bの後辺部に荷物固定部350e,350eが一体形成されている。
【0087】
この荷物固定部350eは、第1の実施の形態のアタッチメント61同様のボルト挿通孔350hが形成されている。
【0088】
また、収納容器部材350のフランジ部350には、車体側へのボルト固定用の孔部350g…350gが設けられている。
【0089】
そして、図22に示すように、この荷物固定部350eと、アタッチメントを利用して、自転車L5を積載可能となっている。なお、積載する場合は、収納容器部材350のフランジ部350bを、その孔部350g…350gを通してボルトで車体302側へ固定し、収納容器部材350が傾いたり、凹部302bから離脱しないようにしておく。
【0090】
そして、自転車L5の前部側は、アタッチメントを利用してトランクリッド305の裏面の取付部に固定する。なお、この固定は、第1の実施の形態同様に行えばよい。
【0091】
一方、収納容器部材350の荷物固定部350eには、自転車のペダル軸受部PFを固定する。詳しくは、図23に示すように、荷物固定部350eのボルト挿通部350h及び自転車L5のペダル軸受部PFにボルトLBを挿通して両端部にハンドル付きナットLN,LNを螺合させることにより荷物固定部350eに固定する。
【0092】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と比較して、準備するアタッチメントの数を削減しつつ、同様の効果を得ることができる。また、アタッチメントの取付、取外しの手間が省略されることとなる。
【0093】
なお、前記各実施の形態は、トランクリッドが、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放するものを説明したが、請求項1に記載の発明は、閉鎖状態と前記所定の開放状態との間の任意の開放状態において支持機構により支持するものも含む。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両において、種々の大型の荷物を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車両の美観を損なうことなく、さらに車体への悪影響や雨水による影響を回避しつつ積載可能な車両の荷室構造を提供することができ、自動車産業に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の荷室構造が適用された車両の平面図((a図))及び側面図((b)図)である。
【図2】図1のA矢視図(ロールバー部分の拡大図)である。
【図3】トランクリッドを開放した状態における図1相当の図である。
【図4】図1の矢印B−Bによる拡大断面図(ヒンジ部分の拡大図)である。
【図5】(a)図は図1の矢印C−Cによる拡大断面図(ロック機構のリッド側部材部分の拡大図)、(b)図は(a)図の矢印D−Dによる断面図である。
【図6】(a)図は図2の矢印E部分を車両前方から見た拡大図(ロック機構の車体側部材部分の拡大図)、(b)図は(a)図の矢印F−Fによる断面図である。
【図7】図3の矢印G−Gによる拡大断面図(ロック機構部分の拡大図)である。
【図8】図3の矢印H−Hによる拡大断面図(トランクルーム部分の拡大図)である。
【図9】収納容器部材の単品斜視図である。
【図10】荷物積載例である(その1、箱の場合)。
【図11】荷物積載例である(その2、植木の場合)
【図12】荷物積載例である(その3、自転車の場合)。
【図13】自転車固定用アタッチメントの単品斜視図である。
【図14】(a)図は図12の矢印J−Jによる拡大断面図(トランクリッドへのアタッチメントの取付部、及び自転車のアタッチメントへの取付部の拡大図)、(b)図は図12の矢印K−Kによる拡大断面図(トランクルーム後壁へのアタッチメントの取付部、及び自転車のアタッチメントへの取付部の拡大図)である。
【図15】荷物積載例である(その4、サーフボードの場合)。
【図16】サーフボード固定用アタッチメントの単品斜視図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る荷室構造についての図8相当の図である。
【図18】第2の実施形態における収納容器部材の単品斜視図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る荷室構造についての図8相当の図である。
【図20】第3の実施形態における収納容器部材の単品斜視図である。
【図21】第4の実施形態における収納容器部材の単品斜視図である。
【図22】第4の実施形態についての荷物積載例である(自転車の場合)。
【図23】図22の矢印M−Mによる拡大断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1,101,201,301 車両
2,102,202,302 車体
3 車室
4,304 開口部
5,305 トランクリッド
6,106,206,306 トランクルーム
8 ロールバー
10 ヒンジ機構
50,150,250,350 物品収納部材(物品収納部材、収納部)
60,70 アタッチメント(荷物固定手段)
151 リッド
252 リッド
350e 荷物固定部(荷物固定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両の荷室構造に関し、車両の車体構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば、セダンタイプや、スポーツカータイプの車両においては、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームが設けられる場合があるが、このようなタイプの車両においては、例えば車体のデザインや、車体の大きさ等の理由から、トランクルームの大きさ(容積、前後寸法、車幅寸法、深さ等)を大型の荷物を収容可能な程度に十分確保できない場合がある。その一方で、このようなタイプの車両においても、近年、例えばレジャーの際に自転車等の大型の荷物を積載可能なユーティリティ性が求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、前記タイプの車両において、大型の荷物として自転車を積載可能なように、車室ルーフ部から車体後部の上方に左右一対のレール部材及びその支持部材を配設すると共に、該レール部材上で走行可能な台車を準備しておき、必要に応じて該台車に自転車をセットしてレール部材に装着することにより、該自転車を車室ルーフ部の上方等に積載可能とした荷物積載装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−245735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の荷物積載装置は、前述のように、車室ルーフ部から車体後部の上方にレール部材等を配設する必要があるだけでなく、台車が必要であり、非常に大掛かりなものとなる。また、台車は自転車専用のものであるので、それ以外のものは積載できない。そして、その他のものを積載するためには、異なる台車が別途必要となる。
【0006】
また、特許文献1には、レール部材を取外し可能としてもよい旨の記載があるが、前述のように非常に大掛かりなものであるので、取外し、取付には多大な手間がかかり、実質的に常時取付状態となると考えられる。そして、その場合、車体のデザインが損なわれることとなる。
【0007】
なお、トランクリッドを若干開けた状態で荷物を収容している車両が散見されるが、走行中の振動によりトランクリッドがばたついて車体に悪影響が及ぶ虞があるだけでなく、降雨時にはトランクルーム内に雨水が浸入してその周辺も水浸しとなる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両において、種々の大型の荷物を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車両の美観を損なうことなく、さらに車体への悪影響や雨水による影響を回避しつつ積載可能な車両の荷室構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両の荷室構造であって、前記トランクリッドを開放した状態で該リッドを支持する支持手段が設けられていると共に、前記トランクルームの収容部が、耐水性を有する水密な収納容器部材で構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両の荷室構造において、前記収納容器部材に、該容器内に溜まった液体を排出するドレーン部材が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の車両の荷室構造において、前記収納容器部材は、車体下面部近傍に至る深さを有していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、前記収納容器部材には、該部材内の空間を上部側と底部側とに仕切るリッドが設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、前記収納容器部材の前方には、荷物を収容可能な空間が設けられており、前記収納容器部材には、該空間と収納容器部材内の空間とを仕切るリッドが設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、前記トランクリッドは、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放可能に設けられていると共に、前記支持手段は、該リッドをこの所定の開放状態で支持可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の車両の荷室構造において、 前記トランクリッドの所定の開放状態において該リッド及び前記トランクルームの開口部の上方の空間を荷物積載空間として利用可能とする荷物固定手段が、前記リッドの閉鎖状態において車体外部に露出しない位置に固定してまたは着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
次に、本発明の効果について説明する。
【0018】
まず、請求項1に記載の発明によれば、トランクリッドを開放状態で支持機構により支持させることで、トランクルーム内及びその上方の空間を利用して、例えばトランクルームの深さよりも背の高い荷物を積載することができる。なお、後述するように、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放可能に構成すれば、上部側がトランクルームの開口よりも前後に広がった形状の植木等を積載することができる。また、後述する固定手段を用いれば、トランクリッドやトランクルームの開口部の上方の空間を利用して、自転車等の荷物を積載することも可能となる。すなわち、種々の大型の荷物を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車体のデザインを損なうことなく積載することができる。
【0019】
また、トランクリッドは開放状態においては支持機構により支持されるので、車両の走行中の振動によりトランクリッドがばたついたり、それに伴って車体に悪影響が生じたりするのも防止される。
【0020】
また、前記トランクルーム内の収容部が、耐水性を有する水密な収納容器部材で構成されているので、トランクリッドを開放した状態で走行しているときに降雨があっても、雨水は収納容器部材に溜まることとなる。すなわち、収納容器部材がない場合は、トランクルーム内に水が直接溜まったり、車体の内面を構成するパネル類が水浸しになる虞があるが、そのような不具合が防止されることとなる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記収納容器部材に、該容器内に溜まった液体を排出するドレーン部材が設けられているから、容器内に溜まった雨水等の液体を容易に排出させることができる。その場合に、収納容器部材をトランクルームに対して着脱自在に構成しておけば、排出された液体をトランクルーム外で排出させることができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記収納容器部材は、車体下面部近傍に至る深さを有しているから、背の高い荷物をできるだけ上方に突出させず、かつ安定して収容することができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記収納容器部材には、該部材内の空間を上部側と底部側とに仕切るリッドが設けられているから、例えばプライバシーを保護したい物品等を底部側の空間に収容すれば、トランクリッドを開放した場合でも、外部から視認等することができず、プライバシーが保護されることとなる。また、トランクリッド開放状態においても物品の飛散を防止することができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明によれば、前記収納容器部材の前方には、荷物を収容可能な空間が設けられており、前記収納容器部材には、該空間と収納容器部材内の空間とを仕切るリッドが設けられているから、例えばプライバシーを保護したい物品等を前記収納容器部材の前方の空間に収容すれば、トランクリッドを開放した場合でも、外部から視認等することができず、プライバシーが保護されることとなる。また、トランクリッド開放状態においても物品の飛散を防止することができる。
【0025】
また、請求項6に記載の発明によれば、前記トランクリッドは、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放可能に構成されているから、請求項1においても一部説明したように、トランクルームの高さよりも背の高い荷物をトランクリッドと干渉させることなく積載することができる。また、後述する固定手段を用いれば、トランクリッドやトランクルームの上方に、自転車等の荷物を積載することも可能となる。
【0026】
また、請求項7に記載の発明によれば、前記トランクリッドの所定の開放状態において該リッド及び前記トランクルームの開口部の上方の空間を荷物積載空間として利用可能とする荷物固定手段が設けられているから、トランクリッドやトランクルームの開口部の上方の空間を利用して、例えば自転車やサーフボード等の大型の荷物を安全に積載することができる。
【0027】
その場合に、前記荷物固定手段は、前記リッドの閉鎖状態において車体外部に露出しない位置に固定してまたは該位置に着脱可能に設けられているから、該固定手段がトランクリッドの閉鎖状態において外部に露出せず、車両の美観が損なわれることがない。
【0028】
また、着脱可能とされている場合においては、トランクリッドを閉鎖した状態では取り外すことにより、トランクルーム内の空間を有効に活用することもできる。また、荷物固定手段が着脱可能であるので、種々の固定手段を利用することができ、種々の荷物を積載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係る車両の荷室構造について説明する。
【0030】
本実施の形態に係る車両の荷室構造は、図1に示す車両1に適用されている。この車両1は、車体2の前後方向略中間に車室3が設けられると共に該車室3の上部が開閉可能とされたオープンカータイプの車両である。
【0031】
この車両1の車体2の後部側、詳しくは車室2の後端と車体1の後端との間の部分の後部側には、上面に設けられた開口部4がトランクリッド5により開閉可能とされたトランクルーム6が設けられている。
【0032】
また、本車両1は、前述のようにオープンカータイプの車両であるが、このような車両におけるロールオーバー時の乗員保護のため、車室3とトランクリッド5との間の車体2の上面2aには、車室3内に配設された左右のシート7,7の後方においてそれぞれロールバー8,8が設けられている。このロールバー8は、図2(図1のA矢視図)に示すように、車体前後方向視で門形状をしている。
【0033】
前記トランクリッド5は、図1に示すように該リッド5の前端部の左右両端側に設けられた一対のヒンジ10,10を介して、車体2に支持されている。その場合に、本実施の形態においては、該トランクリッド5は、図3に示すように、前記ヒンジ10,10により、前端側を中心として回動して裏面が略上方を向く開放状態(請求項6における所定の開放状態)まで開放可能とされている。
【0034】
このヒンジ10について説明すると、該ヒンジ10は、図4に示すように、車体2に固定された支持ブラケット11と、該支持ブラケット11の上端部に設けられた支持軸12を介して回動可能に支持された半円弧形状のスワンネック型の回動アーム13とを有すると共に、支持軸12はトランクリッド5の上面と略同じ高さ位置に設けられており、これにより、仮想線で示すように、リッド5が車室3後方の車体上面2aと干渉することなく、裏面が略上方を向く開放状態に開放可能となっている。
【0035】
また、本実施の形態においては、トランクリッド5を前記(図3の)開放状態で支持する支持機構20が設けられている。
【0036】
この支持機構20は、図3に示すように、ロールバー8に設けられて開放状態のトランクリッド5の後端部が載置される支持部21と、トランクリッド5をこの開放状態で固定するロック機構22とで構成されている。
【0037】
その場合に、支持部21は、図2に示すように、ロールバー8の上辺部8bの上部後面側に設けられた段差部8aにより構成されており、該段差部8aの上面には、トランクリッド5の後端部の意匠面を保護する弾性部材22が取り付けられている。
【0038】
その場合に、支持部21の高さ位置は、図3(b)からわかるように、トランクリッド5の開放状態においてその上端αが車室3のシート7(所定位置)に着座する所定の体格を有する乗員Zの上端よりも高くなるように設定されている。
【0039】
ロック機構22は、図1、図3に示すように、前記ロールバー8に設けられたロールバー側部材30と、トランクリッド5の後部に設けられたリッド側部材40とを有している。
【0040】
まず、リッド側部材40から説明すると、該リッド側部材40は、図5に示すように、トランクリッド5の後壁5aの下面部に固定された支持ブラケット41と、一端部側が、該ブラケット41に支持された車幅方向に向く軸46を中心として回動可能なように支持された丸棒状の棒状部材42と、該棒状部材42の他端部に設けられた軸47を中心として回動可能に支持された操作部材43及び係合部材44とを有している。そして、棒状部材42は、ロック機構22の非使用時、車体2のトランクルーム後壁2cの外面に取り付けられた係止部材45の溝45a内に挟持されることにより係止されるように構成されている。
【0041】
一方、ロールバー側部材30は、図2に示すように、ロールバー8の上辺部8bの上部中央に形成された凹部8c内に取り付けられており、図6に示すように、基部30aと、該基部30aの左右の端部から立ち上がる一対の縦壁部30b,30bとを有し、これら30a,30b,30bで前記リッド側部材40の棒状部材42が嵌合可能な溝部30cを形成している。
【0042】
また、図5、図6に示すように、ロールバー側部材30の縦壁部30b,30bの内面の前部側、及びリッド側部材40の係合部材44の上部側(図5における上下)に、互いに係合可能な係合凹部30d,30d及び係合突部44a,44aが形成されている。
【0043】
そして、図7に示すように、開放状態のトランクリッド5の後端部をロールバー8の支持部21に弾性部材22を介して載置した状態で、操作部材43の操作部43aを持って棒状部材42を軸46を中心としてロールバー8側へ回動させ、仮想線で示すように係合凹部30dと係合突部44aとを係合させる。そして、この係合部を支点として操作部材43及び係合部材44を回動させながら、棒状部材42を軸46を中心としてさらに回動させ、係合部材30の係合凹部30dと係合部材44の係合突部44aとを実線で示す係合状態とさせる。そして、この係合状態においては、操作部材43が操作されるまでの間、トグル機構の原理により、ロックされた状態が保持されることとなる。すなわち、図3のようにトランクリッド5を開放状態として車両1を走行させたとしても、走行中の振動等によりトランクリッド5がばたついたり、それに伴って車体に悪影響が生じたりするのが防止されることとなる。
【0044】
したがって、本実施の形態においては、トランクリッド5を閉鎖した状態ではトランクルーム6内に収容し切れない大型の荷物でも、該リッド5を開放状態とすることにより、トランクルーム6の開口部4の上方の空間をも利用して積載し、かつその状態で走行することが可能となる。また、このような効果を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車体のデザインを損なうことなく実現することができる。
【0045】
ここで、このようにトランクリッド5を開放状態として車両1を走行させると、雨天時等においてはトランクルーム6内に雨水が入ることとなるので、雨水等に対する対策を講じることが好ましい。
【0046】
そこで、本実施の形態においては、図3に示すように、トランクルーム6は、車体2の構成材で形成された凹部2bと、該凹部2bの上方から嵌め込まれ、樹脂製で耐水性を有する収納容器部材50(収納部)で構成されている。
【0047】
この収納容器部材50は、図8、図9に示すように、上面が開口した(開口部4を形成する)箱状の本体部50aと、該本体部50aの上端縁に設けられたフランジ部50bとを有しており、該フランジ部50bが車体側の凹部2bの上端部に沿ってその外側に設けられた平面部2dに上方から当接することにより車体2側に支持されるようになっている。したがって、上方へ持ち上げれば、凹部2bから取り外すことができる。
【0048】
フランジ部50bの下面にはシール部材51が取り付けられており、収納容器部材50が凹部2b内に取り付けられた状態において、凹部2b内や、車体2における凹部2bに連続する部位に雨水等が侵入するのが防止されるようになっている。このように、本実施の形態においては、収納容器部材50が設けられているので、トランクルーム6の凹部2b内に水が溜まったり、車体2を構成するパネル類が水浸しになるような不具合が防止されることとなる。
【0049】
また、収納容器部材50の底面部50cには、図示しないキャップにより開閉可能なドレーン50d,50dが形成されている。これによれば、トランクリッド5を開放した状態で走行しているときに降雨があり、雨水が収納容器部材50内に溜まった場合、収納容器部材50を取り外して車外でキャップを外すことにより、水抜きを行うことができる。また、収納容器部材50が汚れた場合は、車体2から取り外した状態で水洗い清掃等を容易に行うことができる。
【0050】
また、収納容器部材50は、車体下面部近傍に至る深さを有している。これによれば、背の高い荷物をできるだけ上方に突出させず、かつ安定して収容することができる。
【0051】
次に、荷物の積載例を説明する。
【0052】
まず、図10は、トランクルーム6の深さよりも背の高い荷物L1を積載した例を示しており、このように本実施の形態に係る荷室構造によれば、トランクルーム6の深さよりも背の高い荷物でも積載できる。
【0053】
その場合に、支持部21の高さ位置は、前述のように、トランクリッド5の開放状態においてその上端αが車室3の所定位置に着座する所定の体格を有する乗員Zの上端よりも高くなるように設定されているから、万一、後突等があり、荷物L1がトランクルーム6から前方に飛び出したとしても、該トランクリッド5により荷物L1が受け止められ、該荷物L1の乗員への衝突が阻止されることとなる。
【0054】
図11は、上部側がトランクルーム6の開口部4よりも前後に広がった形状の植木等の荷物L2を積載した例を示しており、このように本実施の形態に係る荷室構造によれば、開口部4よりも前後に広がった形状の荷物でも積載できる。
【0055】
ここで、本実施の形態においては、図3に示すように、トランクリッド5の裏面(例えばインナパネル)に、後述するアタッチメント等を取付可能な複数の取付部5b…5bが設けられている。そして、トランクリッド5を開放状態としたときに、取付部5b…5bにアタッチメントを固定することにより、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間を、荷物積載空間として利用することができるようになっている。
【0056】
例えば、図12は、アタッチメント60として支持ブラケット61,62を利用して、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間に、自転車L3を積載した例を示している。
【0057】
これらの支持ブラケット61,62のうち、この前部側の支持ブラケット61は、図13(a)に示すように、左右一対のボルト挿通孔61a,61aが設けられた基部61bと、該基部61bに立設され、上端部にボルト挿通孔61c,61cが設けられた左右一対の立設部61d,61dとを有している。
【0058】
一方、後側の支持ブラケット62は、図13(b)に示すように、左右一対のボルト挿通孔62a,62aが設けられた基部62bと、該基部62bに立設され、上端部に溝62c,62cが設けられた左右一対の立設部62d,62dとを有している。
【0059】
そして、図14(a)に示すように、前側の支持ブラケット61側についてはは、蝶ボルトBBを、トランクリッド5裏面の取付部5bの内面に設けられたナットWNに、基部61bのボルト挿通孔61a,61a、及びトランクリッド5裏面の取付部5bに設けられたボルト挿通孔5h,5hを介して螺合させることにより固定する。また、自転車のフロントフォークFFの下端部の前輪軸受部Fa(溝部や孔部)と、前側の支持ブラケット61の立設部61dの貫通孔61cとに、ハンドル付ボルトLBを挿通する。そして、該ボルトLBの先端側にハンドル付ナットLNを螺合させてフロントフォークFの前輪軸受部Faを、前側の支持ブラケット61に固定する。
【0060】
一方、図14(b)に示すように、後側の支持ブラケット62側については、蝶ボルトBBを、車体2の凹部2b上端周囲の平面部2dの下面に設けられたナットWNに、基部62bのボルト挿通孔62a,62a、収納容器部材50のフランジ部50bのボルト挿通孔50h,50h、及び前記平面部2dに設けられたボルト挿通孔2h,2hを介して螺合させることにより固定する。また、自転車L3の後輪軸ボルトBRの両端側を左右の立設部62d,62dの溝62cに上方から挿入すると共に、該ボルトBRの左右の端部にハンドル付ナットLNを螺合させることにより、自転車の後部側を、後側の支持ブラケット62に固定する。
【0061】
このように、自転車L3の前部側及び後部側をアタッチメント61,62を介してトランクリッド5及び車体2に固定することにより、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間を自転車L3積載空間として利用することができるようになる。
【0062】
図15は、アタッチメント70を利用して、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間に、サーフボードL4を積載した例を示している。
【0063】
このアタッチメント70は、図16に示すように、左右一対の支持ブラケット71,71と、ポール部材72とで構成されている。
【0064】
支持ブラケット71,71は、左右一対のねじ挿通孔71a,71aが設けられた基部71bと、該基部71bに立設され、上端部にねじ挿通孔71c,71cが設けられた左右一対の立設部71d,71dとを有している。
【0065】
ポール部材72は、支持ブラケット71,71の上端側に、ねじ挿通孔71c,71cに挿通されたボルト73,73によりネジ止めされている。すなわち、分解可能となっている。
【0066】
そして、左右の支持ブラケット71,71の基部71b、71bをトランクリッド5裏面の左右の取付部5b,5bにそれぞれ、前記支持ブラケット61同様に蝶ネジで固定する。
【0067】
そして、図5のようにサーフボードL4の下部側をトランクルーム6内に収容すると共に、上部側をアタッチメント70のポール部材72に紐等で固定する。これにより、トランクリッド5及びトランクルーム6の開口部4の上方の空間をサーフボードL4積載空間として利用することができるようになる。
【0068】
なお、このアタッチメント70によれば、サーフボードL4以外にも、例えば物干し竿や、弓、板材等、種々の長い荷物を積載することができる。
【0069】
このように本実施の形態によれば、アタッチメント60,70は、前記トランクリッド5または車体2に対して着脱可能とされているから、トランクリッド5を閉鎖した状態ではアタッチメント60,70を取り外すことにより、トランクルーム6内の空間を有効に活用することもできる。また、種々のアタッチメントを利用することができ、種々の荷物を積載することができる。
【0070】
該アタッチメント60,70は、前記リッド5の閉鎖状態において車体外部に露出しない位置(取付部5b等)に着脱可能とされているから、トランクリッド5の閉鎖状態において外部に露出せず、車両1の美観が損なわれることがない。
【0071】
なお、荷物固定手段が比較的小さいものであれば、トランクリッド5の閉鎖状態において外部に露出しない位置に、トランクリッド5の裏面や収納容器部材50等に一体的に設けてもよく、この場合、アタッチメントの取付、取外しの手間が軽減されることとなる。
【0072】
また、前記実施の形態においては、自転車搭載用のアタッチメント60と、サーフボード等搭載用のアタッチメント70について説明したが、その他の物品用のアタッチメントを用意すれば、さらに多種の荷物を搭載することができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、オープンカータイプの車両に適用した場合について説明したが、オープンカータイプでない例えばセダンタイプの車両にも適用可能である。
【0074】
次に、第2の実施の形態について、図17、図18を用いて説明する。
【0075】
この第2の実施に形態に係る車両101においては、図17、図18に示すように、トランクルーム106の収容部を構成する収納容器部材150に、該部材150内の空間を上部側の空間X2と底部側の空間X1とに仕切るリッド151が設けられている。
【0076】
このリッド151は、ヒンジ152を介して本体部150aの前壁部側に前端部側を中心として回動可能に支持されている。
【0077】
また、リッド151の後端部及び収納容器部材150の本体部150aの後壁部には、互いに係合可能なリッド側係合部材153及び収納納期部材側係合部材154が設けられており、リッド151を略水平状態で保持及びロック可能に構成されている。
【0078】
この第2の実施の形態によれば、例えばプライバシーを保護したい荷物等を底部側の空間X1に収容すれば、トランクリッド151を開放した場合でも、外部から視認等することができず、プライバシーが保護されることとなる。また、トランクリッド151開放状態においても荷物の飛散を防止することができる。
【0079】
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0080】
この第3の実施に形態に係る車両201においては、図19に示すように、トランクルーム206の凹部202aの前壁部に開口202hが設けられていると共に、その前方に、後方が開口する箱状部材202kが設けられ、収納容器部材250の荷物収容空間Y1の前方に、空間Y2が形成されている。
【0081】
また、図19、図20に示すように、収納容器部材250には、トランクルーム206の凹部202aの前方の空間Y2と収納容器部材250内の空間Y1とを仕切るリッド251が設けられている。
【0082】
このリッド251は、ヒンジ252を介して収納容器部材250の本体部250aの前壁部の開口部202hの下縁部に下端部側を中心として回動可能に支持されている。
【0083】
また、リッド251の上端部及び収納容器部材250の本体部250aの前壁部には、互いに係合可能なリッド側係合部材253及び収納容器部材側係合部材254が設けられており、リッド251を略鉛直状態で保持及びロック可能に構成されている。
【0084】
この第3の実施の形態によれば、例えばプライバシーを保護したい荷物等を収納容器部材250の前方の空間に収容すれば、トランクリッド251を開放した場合でも、外部から視認等することができず、プライバシーが保護されることとなる。また、トランクリッド251開放状態においても荷物の飛散を防止することができる。
【0085】
次に、第4の実施の形態について、図21、図22を用いて説明する。
【0086】
第4の実施の形態に係る車両301においては、図21に示すように、収納容器部材350のフランジ部350bの後辺部に荷物固定部350e,350eが一体形成されている。
【0087】
この荷物固定部350eは、第1の実施の形態のアタッチメント61同様のボルト挿通孔350hが形成されている。
【0088】
また、収納容器部材350のフランジ部350には、車体側へのボルト固定用の孔部350g…350gが設けられている。
【0089】
そして、図22に示すように、この荷物固定部350eと、アタッチメントを利用して、自転車L5を積載可能となっている。なお、積載する場合は、収納容器部材350のフランジ部350bを、その孔部350g…350gを通してボルトで車体302側へ固定し、収納容器部材350が傾いたり、凹部302bから離脱しないようにしておく。
【0090】
そして、自転車L5の前部側は、アタッチメントを利用してトランクリッド305の裏面の取付部に固定する。なお、この固定は、第1の実施の形態同様に行えばよい。
【0091】
一方、収納容器部材350の荷物固定部350eには、自転車のペダル軸受部PFを固定する。詳しくは、図23に示すように、荷物固定部350eのボルト挿通部350h及び自転車L5のペダル軸受部PFにボルトLBを挿通して両端部にハンドル付きナットLN,LNを螺合させることにより荷物固定部350eに固定する。
【0092】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と比較して、準備するアタッチメントの数を削減しつつ、同様の効果を得ることができる。また、アタッチメントの取付、取外しの手間が省略されることとなる。
【0093】
なお、前記各実施の形態は、トランクリッドが、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放するものを説明したが、請求項1に記載の発明は、閉鎖状態と前記所定の開放状態との間の任意の開放状態において支持機構により支持するものも含む。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両において、種々の大型の荷物を、大掛かりな装置を設けることなく、かつ車両の美観を損なうことなく、さらに車体への悪影響や雨水による影響を回避しつつ積載可能な車両の荷室構造を提供することができ、自動車産業に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の荷室構造が適用された車両の平面図((a図))及び側面図((b)図)である。
【図2】図1のA矢視図(ロールバー部分の拡大図)である。
【図3】トランクリッドを開放した状態における図1相当の図である。
【図4】図1の矢印B−Bによる拡大断面図(ヒンジ部分の拡大図)である。
【図5】(a)図は図1の矢印C−Cによる拡大断面図(ロック機構のリッド側部材部分の拡大図)、(b)図は(a)図の矢印D−Dによる断面図である。
【図6】(a)図は図2の矢印E部分を車両前方から見た拡大図(ロック機構の車体側部材部分の拡大図)、(b)図は(a)図の矢印F−Fによる断面図である。
【図7】図3の矢印G−Gによる拡大断面図(ロック機構部分の拡大図)である。
【図8】図3の矢印H−Hによる拡大断面図(トランクルーム部分の拡大図)である。
【図9】収納容器部材の単品斜視図である。
【図10】荷物積載例である(その1、箱の場合)。
【図11】荷物積載例である(その2、植木の場合)
【図12】荷物積載例である(その3、自転車の場合)。
【図13】自転車固定用アタッチメントの単品斜視図である。
【図14】(a)図は図12の矢印J−Jによる拡大断面図(トランクリッドへのアタッチメントの取付部、及び自転車のアタッチメントへの取付部の拡大図)、(b)図は図12の矢印K−Kによる拡大断面図(トランクルーム後壁へのアタッチメントの取付部、及び自転車のアタッチメントへの取付部の拡大図)である。
【図15】荷物積載例である(その4、サーフボードの場合)。
【図16】サーフボード固定用アタッチメントの単品斜視図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る荷室構造についての図8相当の図である。
【図18】第2の実施形態における収納容器部材の単品斜視図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る荷室構造についての図8相当の図である。
【図20】第3の実施形態における収納容器部材の単品斜視図である。
【図21】第4の実施形態における収納容器部材の単品斜視図である。
【図22】第4の実施形態についての荷物積載例である(自転車の場合)。
【図23】図22の矢印M−Mによる拡大断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1,101,201,301 車両
2,102,202,302 車体
3 車室
4,304 開口部
5,305 トランクリッド
6,106,206,306 トランクルーム
8 ロールバー
10 ヒンジ機構
50,150,250,350 物品収納部材(物品収納部材、収納部)
60,70 アタッチメント(荷物固定手段)
151 リッド
252 リッド
350e 荷物固定部(荷物固定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両の荷室構造であって、
前記トランクリッドを開放した状態で該リッドを支持する支持手段が設けられていると共に、
前記トランクルームの収容部が、耐水性を有する水密な収納容器部材で構成されていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車両の荷室構造において、
前記収納容器部材に、該容器内に溜まった液体を排出するドレーン部材が設けられていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載の車両の荷室構造において、
前記収納容器部材は、車体下面部近傍に至る深さを有していることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、
前記収納容器部材には、該部材内の空間を上部側と底部側とに仕切るリッドが設けられていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項5】
前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、
前記収納容器部材の前方には、荷物を収容可能な空間が設けられており、
前記収納容器部材には、該空間と収納容器部材内の空間とを仕切るリッドが設けられていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、
前記トランクリッドは、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放可能に設けられていると共に、
前記支持手段は、該リッドをこの所定の開放状態で支持可能に構成されていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項7】
前記請求項6に記載の車両の荷室構造において、
前記トランクリッドの所定の開放状態において該リッド及び前記トランクルームの開口部の上方の空間を荷物積載空間として利用可能とする荷物固定手段が、前記リッドの閉鎖状態において車体外部に露出しない位置に固定してまたは該位置に着脱可能に設けられていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項1】
車体の後部に、上面に設けられた開口部がトランクリッドにより開閉可能とされたトランクルームを有する車両の荷室構造であって、
前記トランクリッドを開放した状態で該リッドを支持する支持手段が設けられていると共に、
前記トランクルームの収容部が、耐水性を有する水密な収納容器部材で構成されていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車両の荷室構造において、
前記収納容器部材に、該容器内に溜まった液体を排出するドレーン部材が設けられていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載の車両の荷室構造において、
前記収納容器部材は、車体下面部近傍に至る深さを有していることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、
前記収納容器部材には、該部材内の空間を上部側と底部側とに仕切るリッドが設けられていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項5】
前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、
前記収納容器部材の前方には、荷物を収容可能な空間が設けられており、
前記収納容器部材には、該空間と収納容器部材内の空間とを仕切るリッドが設けられていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両の荷室構造において、
前記トランクリッドは、前端部を中心として回動して裏面が略上方を向く所定の開放状態にまで開放可能に設けられていると共に、
前記支持手段は、該リッドをこの所定の開放状態で支持可能に構成されていることを特徴とする車両の荷室構造。
【請求項7】
前記請求項6に記載の車両の荷室構造において、
前記トランクリッドの所定の開放状態において該リッド及び前記トランクルームの開口部の上方の空間を荷物積載空間として利用可能とする荷物固定手段が、前記リッドの閉鎖状態において車体外部に露出しない位置に固定してまたは該位置に着脱可能に設けられていることを特徴とする車両の荷室構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−214575(P2009−214575A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57469(P2008−57469)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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