説明

車両の車室内構造

【課題】ステアリング機構が車幅方向中央部に設けられた車室の前端部に、車両用補機を適正に取り付ける。
【解決手段】車室の前端部に車幅方向に延びるように設置されたインストルメントパネル8と、このインストルメントパネル8の設置部より後方側のフロアパネル6上に設置された前席シート5と、この前席シート5の後方側に配設されかつ複数の乗員が着座可能な後席シート7,7とを備えた車両の車室内構造において、上記インストルメントパネル8の内部に、車幅方向に延びてその両端部が車体の側壁に固定されるインパネメンバ21を設置して、このインパネメンバ21の車幅方向中央部に操舵用のステアリング機構10を支持させるとともに、このステアリング機構10の側方に位置するインパネメンバ21の所定箇所に、車両方補機(34)を取り付けるための補機取付け部25を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の前端部に設置されて車幅方向に延びるインストルメントパネルと、このインストルメントパネルの設置部より後方側のフロアパネル上に設置された前席シートと、この前席シートの後方に配設されかつ複数の乗員が着座可能な後席シートとを備えた車両の車室内構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料消費量の節減等の要求から、コンパクトで軽量な車両が求められているが、このような車両では、コンパクトな構成でありながら車室内に複数の乗員が着座可能なスペースを確保するための工夫が必要となる。例えば、下記特許文献1では、車室内の車幅方向中央部に運転席シートを配設するとともに、その後方側に複数の後席シートを配設することにより、車体をコンパクト化しつつ車室内に複数の乗員が着座可能なスペースを確保することが行われている。
【0003】
また、下記特許文献1では、上記のように車室内の車幅方向中央部に運転席シートを配設したのに伴い、その前方部、つまり車室前端の車幅方向中央部に、操舵用のステアリング機構を設けており、これによって上記運転席シートに着座した乗員(運転者)によるステアリングの操作性を確保している。
【特許文献1】特開平7−156807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているように、車室内の車幅方向中央部に運転席シートおよびステアリング機構が配設された車両では、例えば変速機を操作するためのシフト操作部のような、運転者によって操作される車両用補機を適正に配置する工夫が必要となる。
【0005】
すなわち、通常の車両のように、車室の右側または左側にオフセットした位置に運転席シートやステアリング機構が配設された車両では、例えばフロアパネル上の車幅方向中央部(運転席シートと助手席シートとの間)に突設されたフロアトンネルの上面部等に上記シフト操作部が取り付けられるが、上記特許文献1に開示された車両のように、車室前端の車幅方向中央部にステアリング機構が設けられた車両では、その後方に着座する運転者の着座スペースの確保や操作性の問題等の点から、上記シフト操作部を、上記フロアトンネルの上面部のような車室内の車幅方向中央部に取り付けることはできず、その取付部を適正に確保するための工夫が求められる。このことは、他の車両用補機(例えばカーナビゲーション装置等)についても同様である。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ステアリング機構が車幅方向中央部に設けられた車室の前端部に、車両用補機を適正かつ安定的に取り付けることが可能な車両の車室内構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、車室の前端部において車幅方向に延びるように設置されたインストルメントパネルと、このインストルメントパネルの設置部より後方側のフロアパネル上に設置された前席シートと、この前席シートの後方側に配設されかつ複数の乗員が着座可能な後席シートとを備えた車両の車室内構造であって、上記インストルメントパネルの内部において車幅方向に延びるように設置され、その両端部が車体の側壁に固定されたインパネメンバと、このインパネメンバの車幅方向中央部に支持された操舵用のステアリング機構とを有し、上記ステアリング機構の側方に位置するインパネメンバの所定箇所に、車両用補機を取り付けるための補機取付け部が設けられたことを特徴とするものである(請求項1)。
【0008】
本発明によれば、車幅方向に延びてその中央部にステアリング機構が支持されるインパネメンバのうち、上記ステアリング機構の側方に位置する箇所に、車両用補機を取り付けるための補機取付け部を設けたため、上記のように車幅方向中央部にステアリング機構が設けられている場合であっても、その側方に車両用補機を適正かつ安定的に取り付けることができる。
【0009】
上記車両用補機としては、例えば変速機を操作するためのシフト操作部が好適である(請求項2)。
【0010】
これによれば、重量がある程度大きくかつ所定の操作力が入力されるためにその支持剛性を充分に確保することが求められるシフト操作部を、上記ステアリング機構の側方に適正かつ安定的に取り付けることができる。
【0011】
上記補機取付け部は、上記インパネメンバから分岐して車幅方向に延びるサブメンバを備えることが好ましい(請求項3)。
【0012】
このようにすれば、上記インパネメンバと平行に並ぶように配置されたサブメンバを利用して、車両用補機を適正に取り付けることができるとともに、上記サブメンバによってインパネメンバを補強して上記車両用補機およびステアリング機構の支持剛性を効果的に向上させることができる。
【0013】
上記補機取付け部は、上下方向に延びて上記インパネメンバとフロアパネルとを連結する連結ステーを備えることが好ましい(請求項4)。
【0014】
このように、インパネメンバとフロアパネルとを連結ステーにより連結した場合には、上記インパネメンバをより効果的に補強して上記車両用補機およびステアリング機構の支持剛性をさらに向上させることができる。
【0015】
この場合、上記サブメンバと連結ステーとが互いに接続され、これらサブメンバおよび連結ステーと、上記インパネメンバとに囲まれた領域に、上記車両用補機が取り付けられることが好ましい(請求項5)。
【0016】
このように、補機取付け部のサブメンバと連結ステーとを互いに接続した場合には、サブメンバおよび連結ステーによる補強効果を相乗的に高めて上記インパネメンバをより効率よく補強することができる。そして、これらサブメンバ、連結ステー、および上記インパネメンバに囲まれて剛性が充分に強化された領域に上記車両用補機を取り付けたことにより、この車両用補機の支持剛性をさらに効果的に向上させることができるという利点がある。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の車両の車室内構造によれば、ステアリング機構が車幅方向中央部に設けられた車室の前端部に、車両用補機を適正に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜図5は、本発明にかかる車両の車室内構造の実施形態を示している。この車両には、車室の左右両側面部に乗降用開口部1,1が形成されるとともに、各乗降用開口部1,1にサイドドア3,3がそれぞれ開閉可能に設置されている。そして、当該車両の車室内には、運転席シートからなる前席シート5が設置されており、この前席シート5は、フロアパネル6上の車幅方向中央部に位置するように配置されている。また、この前席シート5の後方側には、左右一対の後席シート7,7が配設されることにより、前席着座部よりも大きな車幅方向寸法を有する後席着座部が形成されている。
【0019】
上記前席シート5の前方側には、各種計器類や電装品等が配設されるインストルメントパネル8が、車室の前端部において車幅方向の略全域に亘って延びるように設置されている。このインストルメントパネル8の車幅方向中央部には、上記前席シート5に着座した乗員(運転者)によって操作されるステアリングホイール9等からなるステアリング機構10が設置されている。
【0020】
図5に示すように、上記ステアリング機構10に対して車幅方向一側の側方に位置する上記インストルメントパネル8の特定部位には、エンジンの駆動力を駆動輪側へ伝達する図外の変速機を操作するためのシフト操作部34が設置されている。また、上記インストルメントパネル8の車幅方向中央部の下方には、運転者によって足踏み操作されるアクセルペダル19およびブレーキペダル20が配設されている。
【0021】
図1、および図3〜図5に示すように、上記フロアパネル6の前方部には、車幅方向に所定の幅をもって車両の前後方向に延びるフロアトンネル13が突設されており、このフロアトンネル13上に上記前席シート5が設置されている。具体的に、上記フロアトンネル13の上面部には左右一対のシートスライドレール15が設置されており、上記前席シート5は、このシートスライドレール15に沿って車両の前後方向にスライド自在に支持されている。また、上記フロアパネル6の後方部には、上記後席シート7,7の設置部となるキックアップ部14が、車室後部において車幅方向の略全域に亘り形成されている。
【0022】
上記キックアップ部14上に設置された左右一対の後席シート7,7は、それぞれ図1に示すように、側面視で前席シート5の後方部と重複し、かつ図3に示すように、平面視で前席シート5を左右から挟むように配設されるとともに、前方部が車幅方向の斜め外側を向くように傾斜したラインに沿って配設されている。
【0023】
図4に示すように、上記フロアパネル6は、その左右両端部が、車体の下部側辺に沿って前後方向に延びる左右一対のサイドシル11,11に接続されており、このサイドシル11と、上記前席シート5の設置部となるフロアトンネル13との間に、略平坦面からなるフロアサイド部12が形成されている。
【0024】
また、図2に示すように、車体の後部には、上下方向に延びるリヤピラー17が、車幅方向略中央に位置するように配設され、このリヤピラー17と上記サイドドア3,3との間には、車体の後部側面および後面を連続して覆うようにリヤウインドガラス18が配設されている。
【0025】
図6および図7は、上記インストルメントパネル8を取り外した状態における車室の前端部を示している。これら図6、図7、および先の図1に示すように、上記インストルメントパネル8の内部には、車幅方向に延びるインパネメンバ21が設置されている。詳細な図示は省略するが、上記インストルメントパネル8は、その内壁部に突設されて上記インパネメンバ21と係合する複数の係合片を有しており、これらの係合片を介して上記インパネメンバ21に支持されるように構成されている。
【0026】
上記インパネメンバ21は、車幅方向に延びる丸パイプ材からなり、その左右両端部には、上記乗降用開口部1の前縁部を構成する車体側壁(つまりサイドドア3の前端部が枢支されるヒンジピラー)に固定される固定片部24が設けられている。また、このインパネメンバ21の車幅方向中央部には、上記ステアリング機構10が支持されるステアリング支持部22が設けられている。すなわち、上記ステアリング機構10は、そのステアリングシャフト23が上記ステアリング支持部22に挿通された状態で支持されることにより、このステアリング支持部22を介して上記インパネメンバ21の車幅方向中央部に支持されている。
【0027】
上記ステアリング機構10の左右に位置するインパネメンバ21の側方部には、上記シフト操作部34を取り付け可能な補機取付け部25,25が設けられている。なお、当実施形態では、車室左側の補機取付け部25にシフト操作部34が取り付けられているが、右側の補機取付け部25にシフト操作部34を取り付けることも同様に可能である。
【0028】
上記補機取付け部25は、上記インパネメンバ21の左右の側方部から分岐して車幅方向に延びるサブメンバ26と、このサブメンバ26の設置部よりも車幅方向内側に位置する上記インパネメンバ21の左右2箇所から下方へと延び、その下端部が上記フロアトンネル13の左右の側壁に固定される連結ステー29とを有している。なお、このうち連結ステー29は、上記インストルメントパネル8から下方へと延びるトリム材30(図5)の内部に収容・隠蔽された状態で設置されている。
【0029】
上記サブメンバ26は、上記インパネメンバ21と同様の丸パイプ材からなり、上記インパネメンバ21の側方部から分岐して車両の後方側へと延びる分岐部27と、この分岐部27の後端部から車幅方向内方側へと延びて上記インパネメンバ21と平行に並ぶように設置された平行部28とを有している。そして、上記平行部28の車幅方向内側端部が上記連結ステー29に溶接等によって接合されることにより、上記サブメンバ26と連結ステー29とが互いに接続されるように構成されている。
【0030】
このように構成された補機取付け部25には、上記シフト操作部34が、上記サブメンバ26、連結ステー29、およびインパネメンバ21に囲まれた状態で支持されている。具体的に、上記シフト操作部34は、図8に示すように、箱型のケーシング36と、このケーシング36の上面部に設けられた溝部37を介して上方に突出するシフトレバー35とを有しており、このうちのケーシング36の上面前後端部に設けられたフランジ部36a,36bが、上記補機取付け部25のサブメンバ26と、これと平行に配置された上記インパネメンバ21の側方部とにそれぞれ支持されることにより、これらサブメンバ26およびインパネメンバ21と、上記連結ステー29とに囲まれた領域に取り付けられている。
【0031】
図5に示すように、上記インストルメントパネル8の左右の側方部には、その後壁部の所定範囲が車室前方側に凹入してなる凹入部32が形成されている。この凹入部32は、上記サブメンバ26の設置部に対応した箇所に設けられており、これによって上記サブメンバ26の一部が上記インストルメントパネル8から車室内に露出するように構成されている。
【0032】
上記のようにサブメンバ26の一部が車室内に露出していることにより、乗員は、上記サブメンバ26のうちの露出した部分を把持しながら車室内に乗り降りすることが可能である。すなわち、上記サブメンバ26のうち車室内に露出した部分が、車室内に乗り降りする乗員によって把持されるアシストグリップとして利用可能に構成されており、このアシストグリップの存在により、車室内に乗員が乗り降りする際にその動作が補助されるようになっている。
【0033】
上記のように車室の前端部に車幅方向に延びるように設置されたインストルメントパネル8と、このインストルメントパネル8の設置部より後方側のフロアパネル6上に設置された前席シート5と、この前席シート5の後方側に配設されかつ複数の乗員が着座可能な後席シート7,7とを備えた車両の車室内構造において、上記インストルメントパネル8の内部に、車幅方向に延びてその両端部が車体の側壁に固定されるインパネメンバ21を設置して、このインパネメンバ21の車幅方向中央部に操舵用のステアリング機構10を支持させるとともに、このステアリング機構10の側方に位置するインパネメンバ21の所定箇所に、シフト操作部34を取り付けるための補機取付け部25を設けた上記実施形態の構成によれば、車幅方向中央部にステアリング機構10が設けられた車室の前端部(インストルメントパネル8)に、上記シフト操作部34を適正かつ安定的に取り付けることができるという利点がある。
【0034】
すなわち、上記実施形態によれば、車幅方向に延びてその中央部にステアリング機構10が支持されるインパネメンバ21のうち、上記ステアリング機構10の側方に位置する箇所に、シフト操作部34を取り付けるための補機取付け部25を設けたため、上記のように車幅方向中央部にステアリング機構10が設けられている場合であっても、その側方にシフト操作部34を適正かつ安定的に取り付けることができる。
【0035】
具体的には、上記のようにステアリング機構10が車幅方向中央部に設けられている場合、運転者の着座スペースの確保等の点から、車室内の側方部に上記シフト操作部34を設置する必要があり、そのための措置としては、例えば、前席シート5の側方部に位置するフロアパネル6上に台座部を突設するとともに、この台座部に上記シフト操作部34を設置することが考えられる。しかしながら、このようにすると、上記台座部が乗員の乗降時に邪魔になるおそれがあるとともに、車室内の美観が損なわれるといった問題がある。
【0036】
これに対し、上記実施形態のように、ステアリング機構10を支持するインパネメンバ21の側方部に補機取付け部25を設け、この補機取付け部25に上記シフト操作部34が支持されるように構成した場合には、上記のような問題を生じることなく適正にシフト操作部34を取り付けることができるとともに、このシフト操作部34の支持剛性を充分に確保できるという利点がある。
【0037】
しかも、前席シート5に比べて、後席シート7がインストルメントパネル8に対し大きく後方に離間しているため、上記のようにステアリング機構10の側方部にシフト操作部34を取り付けた場合においても、このシフト操作部34の存在に起因して上記後席シート7に着座した乗員の安全性が損なわれるといった問題が生じることはない。
【0038】
また、上記実施形態では、インパネメンバ21から分岐して車幅方向に延びるサブメンバ26を、上記補機取付け部25の一部として設けたため、上記インパネメンバ21と平行に並ぶように配置されたこのサブメンバ26に、上記シフト操作部34を適正に取り付けることができるとともに、上記サブメンバ26によってインパネメンバ21を効果的に補強できるという利点がある。この結果、上記補機取付け部25によるシフト操作部34の支持剛性と、上記インパネメンバ21によるステアリング機構10の支持剛性との両方を、ともに効果的に向上させることができ、エンジン等から伝達される振動エネルギーに起因して上記シフト操作部34やステアリング機構10が大きく振動すること等を効果的に防止することができる。
【0039】
さらに、上記実施形態では、インパネメンバ21から下方に延びる連結ステー29を設け、この連結ステー29を介して上記フロアパネル6のフロアトンネル13と上記インパネメンバ21とを連結するようにしたため、上記インパネメンバ21をより効果的に補強することができ、上記シフト操作部34やステアリング機構10の支持剛性をさらに向上させることができる。
【0040】
特に、上記実施形態のように、フロアパネル6のうち、上方に突設されて相対的に剛性の高いフロアトンネル13と、上記インパネメンバ21とを上記連結ステー29を介して連結するようにした場合には、この連結ステー29によるインパネメンバ21の補強効果をより効率よく発揮させることが可能である。
【0041】
しかも、上記実施形態では、上記補機取付け部25のサブメンバ26と連結ステー29とが互いに接続されるように構成されているため、サブメンバ26および連結ステー29による補強効果を相乗的に高めて上記インパネメンバ21をより効率よく補強することができる。そして、これらサブメンバ26、連結ステー29、およびインパネメンバ21に囲まれて剛性が充分に強化された領域に上記シフト操作部34を取り付けたことにより、このシフト操作部34の支持剛性をさらに効果的に向上させることができるという利点がある。
【0042】
また、上記実施形態では、上記サブメンバ26の一部が上記インストルメントパネル8から車室内に露出するとともに、この露出した部分が、車室内に乗り降りする乗員によって把持されるアシストグリップとして利用可能に構成されているため、上記ステアリング機構10の支持剛性を向上させつつ、車室内への乗降性を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0043】
すなわち、上記のようにインストルメントパネル8の車幅方向中心部にステアリング機構10が設置されるとともに、これに対応してフロアパネル6上の車幅方向中心部に前席シート5が設置された車両では、例えばこの前席シート5に着座した乗員(運転者)が車外へ降りたり車室内に乗り込んだりするために上記前席シート5側方のフロアサイド部12を基点に足を運ぼうとした際に、片足立ちの不安定な姿勢にならざるを得ない場合がある。このとき、上記のようにインストルメントパネル8の側方部に上記サブメンバ26が車室内に露出する状態で設けられていれば、運転者は、このサブメンバ26の露出部からなるアシストグリップを把持しながら車室外に降りることができるため、その動作を安定した姿勢で円滑に行うことができる。このことは、後席シート7に着座する後席乗員が車室内に乗り降りする際も同様である。
【0044】
しかも、上記シフト操作部34を取り付けるためのサブメンバ26の一部をアシストグリップとして利用可能に構成したため、シフト操作部34の適正な取り付けと、乗員の乗降動作の補助とを、より低コストで両立させることが可能である。すなわち、上記サブメンバ26を車室内に露出させることなく、このサブメンバ26とは別体のコ字形の棒状体等からなるアシストグリップをインストルメントパネル8の壁面に突設する等により、乗員の乗降動作を補助するように構成することも可能であるが、このような構成では、部品点数が増えて製造コストの増大を招くとともに、車室内の美観が損なわれるといった問題がある。これに対し、上記実施形態のように、インストルメントパネル8の側方部に凹入部32を設けることでサブメンバ26の一部を車室内に露出させ、この露出した部分をアシストグリップとして利用可能に構成することにより、上記サブメンバ26に、シフト操作部34の取付部としての機能と、乗員の乗降動作を補助する機能という2つの機能をもたせるようにした場合には、シフト操作部34の取付け性の確保と乗員の乗降動作の円滑化とを上記サブメンバ26のみによって効率よく実現できるとともに、デザイン性をもたせて車室内の美観を良好に維持できるという利点がある。
【0045】
なお、上記実施形態では、インパネメンバ21の側方部に設けられた補機取付け部25に、車両用補機としてのシフト操作部34を取り付けたが、上記補機取付け部25には、このようなシフト操作部34に限らず、例えばカーナビゲーション装置や、エアコン用の操作ユニット等の、各種車両用補機を取り付けることが可能である。いずれにせよ、ここに挙げられたような各車両用補機は、重量がある程度大きいためにその支持剛性を充分に確保することが求められるため、このような車両用補機に対し本発明の構成を好適に適用することができる。特に、比較的大きな操作力が入力される上記シフト操作部34は、より大きな支持剛性が求められるため、本発明の構成をより好適に適用することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、フロアパネル6上の車幅方方向中央部に、1人の乗員の着座幅に対応した前席シート5を設置するとともに、平面視でこの前席シート5を左右から挟むような位置に左右一対の後席シート7,7を設置することにより、室内スペースの前後寸法をより抑制するようにしたが、前後寸法をある程度大きく確保することが可能な車両では、上記後席シート7,7を、前席シート5の設置部から所定距離後方に離間した位置に設置することも可能である。この場合、上記前席シート5のシート幅を、車幅方向の略全域を占有するような車幅方向寸法に設定することにより、前席シート5をいわゆるベンチシートタイプのシートによって構成してもよい。このようにすれば、運転者の着座スペースをより広く確保できるとともに、前席シートの余剰部分を乗員用の荷物等の設置場所として利用できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明にかかる車両の車室内構造の実施形態を示す側面図である。
【図2】車両の外観を示す平面図である。
【図3】車両の車室内構造を示す平面図である。
【図4】車両の車室内構造を示す正面断面図である。
【図5】車両の車室内構造を示す斜視図である。
【図6】インストルメントパネルを取り外した状態における車室前端の斜視図である。
【図7】インストルメントパネルを取り外した状態における車室前端の正面図である。
【図8】図6の一部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
5 前席シート
6 フロアパネル
7 後席シート
8 インストルメントパネル
10 ステアリング機構
21 インパネメンバ
25 補機取付け部
26 サブメンバ
29 連結ステー
34 シフト操作部(車両用補機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前端部において車幅方向に延びるように設置されたインストルメントパネルと、このインストルメントパネルの設置部より後方側のフロアパネル上に設置された前席シートと、この前席シートの後方側に配設されかつ複数の乗員が着座可能な後席シートとを備えた車両の車室内構造であって、
上記インストルメントパネルの内部において車幅方向に延びるように設置され、その両端部が車体の側壁に固定されたインパネメンバと、
このインパネメンバの車幅方向中央部に支持された操舵用のステアリング機構とを有し、
上記ステアリング機構の側方に位置するインパネメンバの所定箇所に、車両用補機を取り付けるための補機取付け部が設けられたことを特徴とする車両の車室内構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両の車室内構造において、
上記車両用補機が、変速機を操作するためのシフト操作部であることを特徴とする車両の車室内構造。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両の車室内構造において、
上記補機取付け部が、上記インパネメンバから分岐して車幅方向に延びるサブメンバを備えたことを特徴とする車両の車室内構造。
【請求項4】
請求項2記載の車両の車室内構造において、
上記補機取付け部が、上下方向に延びて上記インパネメンバとフロアパネルとを連結する連結ステーを備えたことを特徴とする車両の車室内構造。
【請求項5】
請求項3記載の車両の車室内構造において、
上記サブメンバと連結ステーとが互いに接続され、これらサブメンバおよび連結ステーと、上記インパネメンバとに囲まれた領域に、上記車両用補機が取り付けられたことを特徴とする車両の車室内構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−260460(P2008−260460A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105806(P2007−105806)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】