説明

車両の運転支援装置

【課題】 後続車の煽り走行による運転ミスの発生を防止する。
【解決手段】 運転支援制御部34は車間距離センサ1の出力から後続車の煽り走行を検出すると、自動的に、後方視界可変部3を制御し、ルームミラー2による後方視界を通常状態から可変し、ドライバの目に後続車が入らないようして不安や焦りが生じたり、増大するのを防止する。また、車載用ナビゲーション装置10の退避可能場所検索・案内部18に退避可能場所の検索・案内を指示し、現在位置・現在方位データと道路データを用いて、走行中の道路前方の退避可能場所を検索させ、画像と音声で案内させる。これにより、ドライバが焦って退避可能な場所を目で探しながら運転しなくても済む。更に、音警告部4と光系警告部5を稼働し、後続車に警告を発して安全走行を促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の運転支援装置に係り、とくに後続車からの煽り走行への対策を可能とした車両の運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
追い越しの出来ない一本道を走行中などに先を急ぐ後続車が車間距離を詰めて煽り走行をして来ることがあり、先行車が運転初心者の場合、不安を感じて注意力が減少したり、焦ったりして運転ミスし、事故を起こす危険性がある。
従来、後続車との車間距離に基づいて追突の可能性を予測し、回避制御する発明、後続車のヘッドライトの光に対しドアミラーの反射率を可変して防眩制御をを行う発明は存在していたが(特許文献1、2参照)、後続車の煽り走行による運転ミスを防止することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−157405号公報
【特許文献2】特願2001−211167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、後続車の煽り走行による運転ミスの発生を防止することのできる車両の運転支援装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の車両の運転支援装置では、後続車の煽り走行を検出する煽り走行検出手段と、ルームミラーによる後方視界を通常状態から可変する後方視界可変手段、後続車へ警告を発する警告手段、現在位置検出手段で検出された現在位置または現在位置及び現在方位と地図データを用いて走行中の道路前方に存在する退避可能場所の検索・案内を行う退避可能場所検索・案内手段の内、少なくとも1つの種目の煽り対策手段と、後続車の煽り走行が検出されたとき、各煽り対策手段を稼動させる運転支援制御手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明の請求項2記載の装置では、後続車の煽り走行を検出する煽り走行検出手段と、ルームミラーによる後方視界を通常状態から可変する後方視界可変手段、後続車へ警告を発する警告手段、現在位置検出手段で検出された現在位置または現在位置・現在方位と地図データを用いて走行中の道路前方に存在する退避可能場所の検索・案内を行う退避可能場所検索・案内手段の内、警告手段を含む少なくとも1つの種目の煽り対策手段と、警告手段の稼動を許可するか否かの確認用のメッセージを発するメッセージ発生手段と、警告手段の稼動許可操作をする稼動許可操作手段と、後続車の煽り走行が検出されたとき、各煽り対策手段の稼動制御をし、この際、警告手段に対しては、メッセージ発生手段に確認用のメッセージを発生させ、稼動許可操作手段で稼動許可操作がされたときに稼動制御を行う運転支援制御手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明の請求項3記載の装置では、退避可能場所検索・案内手段は、現在地検出手段で検出された現在地または現在地及び現在方位と地図データを用いて走行中の道路が一本道か否か判定し、一本道と判定された場合に限り、走行中の道路前方に存在する退避可能場所の検索・案内を行うこと、を特徴としている。
本発明の請求項4記載の装置では、現在地検出手段で検出された現在地または現在地及び現在方位と地図データを用いて走行中の道路が一本道か否か判定する判定手段を設け、運転支援制御手段は、後続車の煽り走行が検出されたとき、判定手段で走行中の道路が一本道と判定された場合に限り、各煽り対策手段の稼動制御を行うようにしたこと、を特徴としている。
本発明の請求項5の装置では、後続車の煽り走行が検出されなくなったとき、運転支援制御手段は、稼動させた各煽り対策手段を稼動前の状態に戻すこと、を特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、後続車が煽り走行をすると自動的に、バックミラーによる後方視界を通常状態から可変して後続車を見えなくし不安感を生じなくさせたり、或いは後続車に警告を発して煽り走行を止めさせたり、或いは前方の退避可能場所を案内して焦ることなく追い越し可能な場所に停車できるようにして、運転ミスによる事故の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施例に係る車両の運転支援装置の構成を示すブロック図である(実施例1)。
【図2】道路データの定義方法の一例を示す説明図である。
【図3】道路データの構成例を示す説明図である。
【図4】図1の運転支援制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図5】図1の運転支援制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】画面表示例を示す説明図である。
【図7】画面表示例を示す説明図である。
【図8】本発明の参考例に係る車両の運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図8の運転支援制御部のメイン制御処理を示すフローチャートである。
【図10】図8の運転支援制御部のメイン制御処理を示すフローチャートである。
【図11】図8の運転支援制御部のメイン制御処理を示すフローチャートである。
【図12】図8の運転支援制御部の煽り走行検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0009】
図1を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は本発明に係る車両の運転支援装置の全体構成を示すブロック図である。
図1において、1は後続車との車間距離を計測する車間距離センサであり、ここではミリ波レーダ式とし、指向性の強いビーム状の電波を後続車に向けて発射し、反射波を検知するまでの時間から車間距離を計測する。ミリ波レーダ式は、雨・霧・雪などの悪天候でも計測が可能である。他に、超音波式、赤外線レーザ式、レーザレーダ式、CCDカメラ式などを用いることもできる。車間距離は後続車の煽り走行の検出に用いられる。2はルームミラーであり、ユーザであるドライバがリアガラスを通した後方の様子を視認可能とする。3はルームミラー2による後方視界を通常状態から可変したり、通常状態に戻したりする後方視界可変部であり、図示しないモータと歯車機構により構成されている。後続車が煽り走行しているとき、ルームミラー2に映ると不安感が増したり、焦りが大きくなったりするが、後方視界をずらして後続車が映らないようにすることで、不安感や焦りを小さくすることができる。4は音系警告部であり、ビービー音などの警告音を発したり、「車間距離を開けて下さい」との合成音声を発したりして音により後続車に警告を行う。5は光系警告部であり、警告用ライトを点滅或いは連続点灯したり、「危険」、「車間距離を開けて下さい」などの電光文字を点灯したりして表示により後続車に警告を行う。後続車に警告を行いドライバに注意喚起することで、煽り走行を止めさせることができる。後方視界可変部3、音系警告部4、光系警告部5は後述する運転支援制御部により稼動制御がされる。
【0010】
10は車載用ナビゲーション装置であり、車両の現在位置と現在方位を検出し、地図データを用いて現在位置周辺の地図画像を自車位置マークとともに描画し、画面表示する。この車載用ナビゲーション装置10は地図データを用いて走行中の道路上の前方に存在する退避可能場所を検索し、表示と音声で案内する機能も有する。車載用ナビゲーション装置10の内、11はGPS衛星航法と自律航法を組み合わせて車両の現在位置と現在方位を周期的に検出する現在位置検出部、12は地図データを記憶した地図データ記憶部であり、地図データには地図画像描画用のデータのほか、出発地−目的地間のルート検索や一時停車するための退避可能場所の検索をするための道路データが含まれている。道路データでは、各道路が上りと下りの別に、図2に示す如く多数のノードを順に並べて折れ線近似することにより定義されている。図2では道路Rの上り方向が、・・、NDi 、NDi+1 、NDi+2 、NDi+3 、NDi+4 、NDi+5 、・・のノード群で定義されている。隣接する2つのノードを結ぶ部分直線はリンクを成す。各ノードの内、交差点に該当するノードは交差点ノード(図2のNDi+4 参照)、それ以外は単純ノードと呼ばれるが、この実施例では、道路上の退避可能場所(一時停車して後続車を先に行かせるスペースのある場所。図2の斜線部A参照)も単純ノードに加えられており、退避ノードと称することにする(図2のNDi+1 参照)。1つの道路データには起点側から終点側まで順に並べた各ノードの番号、経緯度座標(X,Y)、次のノードとの間の幅員D・次のノードまでの距離(リンク長さ)L・次のノードとの間の車線数S、交差点ノードか否かを示す交差点識別フラグ(1;交差点ノード、0;単純ノード)、退避ノードか否かを示す退避可能場所識別フラグ(1;退避ノード、0;非退避ノード)などが含まれているものとする。図2の道路Rの上り方向の道路データの例を図3に示す。
【0011】
13は地図画像を記憶する地図画像記憶部、14は地図画像記憶部13に記憶された地図画像の上に後述する退避可能場所案内画像記憶部に記憶された退避可能場所案内画像と操作・メッセージ用画像記憶部に記憶された操作・メッセージ用画像を重ね合わせる画像合成部、15は画像合成部で合成された画像を画面表示する液晶ドットマトリクス式の表示部、16は画面にタッチして座標入力するタッチ式入力部(TP)、17は地図表示制御部であり、現在位置・現在方位データと地図データを用いて現在位置周辺の地図画像を自車位置マーク付で地図画像記憶部13に描画する。地図画像は例えば北を上向きにし、自車位置を中心にして描画する。地図表示制御部17は後述する退避可能場所案内制御部から退避可能場所位置データを入力したときは、地図画像上に退避可能場所マークも描画する。
【0012】
18は退避可能場所検索・案内部であり、後述する運転支援制御部から退避可能場所の検索・案内の稼働指示がされた場合に、現在位置・現在方位データと地図データ中の道路データを用いて、まず、現在走行中の道路が暫く前方に交差点の無い一本道か否か判定し、一本道であるとき走行中の道路上で進行方向前方の一番手前にある退避可能場所を検索し、表示と音声により案内を行う。退避可能場所検索・案内部18の内、19は一本道判定部であり、現在位置・現在方位データと地図データ中の道路データを用いて、現在走行中の道路を上りと下りを区別して判別し、現在地から見て道路に沿った進行方向前方の一定距離(例えば、2km)の範囲内に交差点が無いとき一本道と判定する。20は退避可能場所検索部であり、現在位置・現在方位データと地図データ中の道路データを用いて、現在走行中の道路を上りと下りを区別して判別し、走行中の道路上で現在地から見て進行方向前方の一番近くにある退避可能場所(図2の退避ノードNDi+1 参照)を検索し、該当する退避可能場所が存在するときは退避可能場所の経緯度座標、現在位置から退避可能場所までを結ぶ道路上の各ノード間のリンク長さを出力する。21は退避可能場所の案内画像(図7(2)の符号W3参照)を記憶する退避可能場所案内画像記憶部、22は退避可能場所の案内音声の合成を行う音声合成部、23は退避可能場所案内制御部であり、退避可能場所検索部20から入力されたデータと現在位置・現在方位データに基づき走行中の道路に沿った現在位置から退避可能場所までの距離を計算し、「○○m先に退避可能場所があります」との退避可能場所案内文字画像を退避可能場所案内画像記憶部21に描画するとともに、「○○m先に退避可能場所があります」との退避可能場所案内文を音声合成部22に与えて音声合成させる。退避可能場所案内制御部23は最初の案内をしたあとも現在位置から退避可能場所までの距離の計算を続け、退避可能場所までの距離が100m単位で接近する毎に、例えば、「300m先に退避可能場所があります」、「200m先に退避可能場所があります」の如き退避可能場所案内文字画像を再描画するとともに音声合成を再度行わせる。また、退避可能場所の経緯度座標を地図表示制御部17に出力し、地図画像上に退避可能場所マークを描画させる。24は加算器、25はスピーカである。
【0013】
30は操作・メッセージ用画像を記憶する操作・メッセージ用画像記憶部、31は各種メッセージを音声合成する音声合成部、32はドライバが稼動条件の設定操作、警告の稼動許可操作、煽り対策の稼動停止操作などをする操作部であり、メニューキー、OKキー、終了キーなどを備えている。稼動条件の設定操作では、煽り走行を判定する距離、煽り対策の種目(ルームミラーによる後方視界の可変、警告、退避可能場所の検索・案内)、警告の起動に起動許可操作を要するか否かを設定可能である。33は記憶部であり、ドライバによる稼動条件の設定内容を記憶する。
【0014】
34は運転支援制御部であり、稼動条件設定処理、煽り走行検出処理、煽り対策稼働処理などを実行する。稼動条件設定処理では、ドライバが操作部32で稼動条件設定メニュー呼び出し操作をすると、稼動条件設定メニュー画像を操作・メッセージ用画像記憶部30に描画して画面表示させるとともに、タッチ式入力部16による稼動条件設定操作を受け付けて設定内容を記憶部33に記憶させる。煽り走行検出処理では、車間距離センサ1から車間距離を入力し、ドライバが事前に設定した一定距離以下の状態が所定の一定時間継続したか否かの判定を行って煽り走行の発生を検出する。煽り走行を検出したとき、その旨のメッセージを表示と音声によりドライバに通知する。煽り対策稼働処理では、煽り走行が検出されたとき、ルームミラー2による後方視界の可変、後続車への警告、走行中の道路前方の退避可能場所の検索・案内の内、ドライバが事前に設定した対策種目について稼動する。煽り走行が検出されなくなったときまたは強制停止操作がされたとき稼動前の状態に戻す(ルームミラー2の後方視界は通常状態に戻し、警告や退避可能場所の検索・案内は停止する)。なお、後続車への警告については、ドライバが事前に稼動許可操作を要する設定をしている場合、自動警告はせず、稼動許可操作を待って稼動する。
【0015】
図4と図5は運転支援制御部34による制御処理を示すフローチャート、図6と図7は画面表示例を示す説明図であり、この内、図6(1)は地図画像を表示した画面の説明図、図6(2)と(3)は稼動条件設定メニューを表示した画面の説明図、図7(1)は煽り走行検出メッセージを表示した画面の説明図、図7(2)は退避可能場所の案内を表示した画面の説明図、図7(3)は稼働許可確認メッセージを表示した画面の説明図であり、以下、これらの図を参照して上記した実施例の動作を説明する。
なお、予め、ルームミラー2による後方視界は通常状態にあり、音系警告部4と光系警告部5は停止しているものとする。また、記憶部33には予め、稼動条件として、煽り走行判定距離=20m、煽り対策種目=ルームミラーによる後方視界の可変、退避可能場所検索・案内が初期設定されているものとする。
車両の運転支援装置の電源がオンすると、車載用ナビゲーション装置10の現在位置検出部11が定期的に車両の現在位置と現在方位を検出し、地図表示制御部17へ出力し、地図表示制御部17は現在位置・現在方位データと地図データ記憶部12に記憶された地図データを用いて現在地周辺の北を上向きにした地図画像を自車位置マーク(図6(1)の符号VM参照)とともに地図画像記憶部13に描画する。地図画像は画像合成部14により読み出されてそのまま表示部15の画面15aに表示される(図6(1)参照)。
【0016】
(1)稼動条件の設定
車両の運転支援装置の電源がオンすると、車間距離センサ1が後続車との車間距離の検出を開始し、車間距離データを運転支援制御部34へ出力する。運転支援制御部34はドライバにより稼働条件設定メニューの呼出操作がされたかの判断と、車間距離を入力し、記憶部33に記憶された煽り走行判定距離(=20m)と比較することによる煽り走行判定を繰り返す(図4のステップS10、S15〜S17) 。
ドライバが運転支援装置の稼動条件を設定したい場合、操作部32のメニューキーを押す。すると、運転支援制御部34が稼動条件設定メニュー画像を操作・メッセージ用画像記憶部30に描画する。稼動条件設定メニュー画像は画像合成部14により地図画像の上に重ね合わされて表示部15に表示される(ステップS10でYES、S11。図6(2)の符号W1参照)。画面15aには煽り走行の判定距離を設定するための「20m」、「15m」、「10m」の各ボタン40〜42と対応するチェックボックス43〜45、煽り対策の種目を設定するための「ルームミラー」、「退避可能場所検索・案内」、「警告」の各ボタン46〜48と対応するチェックボックス49〜51、警告の起動を自動でなくマニュアルでの稼働許可操作を要する設定とするための「稼動許可操作要」ボタン52と対応するチェックボックス53、稼動条件設定を終了するための「終了」ボタン54が表示される。このとき、初期設定された内容に対応するチェックボックス43、49、50にチェックが付けられて描画される。
【0017】
ドライバが煽り走行の判定距離を例えば15mに設定したい場合、画面の「15m」ボタン41をタッチする。タッチ式入力部16からタッチ座標を入力した運転支援制御部34はタッチされたボタンを識別し、対応するチェックボックス44にチェックを付け、チェックボックス43を空きにした画像を描画し直し、記憶部33に煽り走行判定距離として15mを記憶する(ステップS12)。若し、10mに変更したい場合、「10m」ボタン42をタッチすると運転支援制御部34は対応するチェックボックス45にチェックを付け、チェックボックス44を空きにした画像を描画し直し、記憶部33に煽り走行判定距離として10mを記憶する(ステップS12)。
続いて、煽り対策種目として、警告も選択したい場合、「警告」ボタン48をタッチする。タッチ式入力部16からタッチ座標を入力した運転支援制御部34はタッチされたボタンを識別し、対応するチェックボックス51にチェックを追加した画像を描画し直し、記憶部33に煽り対策種目として警告を追加記憶する(ステップS12)。若し、例えば、ルームミラー2の選択を取り消したい場合、「ルームミラー」ボタン46をタッチすると、運転支援制御部34がチェックボックス49のチェックを外した画像を描画し直し、記憶部33に煽り対策種目として記憶されたルームミラーによる後方視界の可変を削除する(ステップS12)。
【0018】
なお、警告は後続車のドライバへ注意喚起をするものであるが、刺激を与えるため、稼動許可操作をしたときだけ稼動するように設定したい場合、「稼動許可操作要」ボタン52をタッチする。運転支援制御部34はチェックボックス53にチェックを追加した画像を描画し直し、記憶部33に煽り対策種目である警告に対応付けて稼働許可操作要を記憶させる(ステップS12)。稼働条件設定操作をし終えたとき、「終了」ボタン54をタッチするか、操作部32の終了キーを押すと運転支援制御部34は操作・メッセージ用画像記憶部30に記憶した画像を削除して元の地図画像の表示状態に戻す(ステップS13、S14)。
以下では、記憶部33に煽り走行判定距離=15m、煽り対策種目=ルームミラーによる後方視界の可変、退避可能場所検索・案内、警告(稼働許可操作要)が設定されているものとして説明する(図6(3)の符号W11参照)。
【0019】
(2)煽り走行の検出
起動条件の設定操作が終ると、運転支援制御部34は車間距離を入力し、煽り走行の検出処理に戻る(ステップS15〜S17)。後続車が煽り走行しておらず、車間距離が15mを越えているときはとくに対策はしない。一本道を走行中などで後続車が煽り走行を開始し、車間距離が15m以下の状態が所定の一定時間(例えば、30秒)以上継続したとき、煽り走行が発生したと判断する(ステップS17でYES)。
【0020】
(3)煽り走行検出メッセージの出力
煽り走行が検出されると、運転支援制御部34はドライバに煽り走行の発生を音声と表示によるメッセージ出力により通知し、事前設定された煽り対策を稼動する。まず、「後続車が煽り走行をしています」の煽り走行検出メッセージ文を操作・メッセージ用画像記憶部30に描画し、地図画像の上に重ねて表示させるとともに、当該メッセージ文を音声合成部31に音声合成させ、加算器24を介してスピーカ25より音声出力させる(この音声出力も一度だけ行う)。メッセージ出力により、ドライバは後続車が煽り走行をしていることを認知することができる(ステップS18、図7(1)の符号W2参照)。
【0021】
(4)煽り対策の稼動−ルームミラー
次に、運転支援制御部34は煽り対策種目としてルームミラーによる後方視界の可変が設定されているか否か判断し (ステップS19) 、NOであれば可変制御はしないが、ここではYESなので、後方視界可変部3を制御し、ルームミラー2による後方視界を通常状態から可変させ、後続車がドライバの視界に入らないようにして、不安や焦りが生じにくくする (ステップS20) 。
【0022】
(5)煽り対策の稼動−退避可能場所の検索・案内
続いて、退避可能場所の検索・案内が設定されているか判断し(ステップS21) 、NOであれば検索・案内の指示はしないが、ここではYESなので、車載用ナビゲーション装置10の退避可能場所検索・案内部18に検索・案内を指示する。該指示を受けた退避可能場所検索・案内部18ではまず一本道判定部19が現在位置・現在方位データと道路データを用いて、現在走行中の現在走行中の道路を上りと下りを区別して判別し、現在地から見て道路に沿った進行方向前方の一定距離(例えば、2km)の範囲内に交差点が在るか無いか判別する。若し、現在地から一定距離内に交差点が在れば一本道でなく、後続車が他の道路へ曲がる可能性があること、必要があれば自車が他の道路へ曲がり煽り走行を回避することもできるので、退避可能場所検索部20に検索指示はしない。ここでは、現在地から一定距離内に交差点が無く一本道と判断したとすると、退避可能場所で一時停車し、後続車に追い越させるのが一番安心なので退避可能場所検索部20に検索を指示する。
【0023】
検索指示を受けた退避可能場所検索部20は、現在位置・現在方位データと道路データを用いて、現在走行中の道路を上りと下りを区別して判別し、走行中の道路上で現在地から見て一番近くにある退避可能場所(図2の退避ノード参照)を検索する。該当する退避可能場所が存在しないとき、退避可能場所案内制御部23に案内指示はしないが、ここでは、該当する退避可能場所が検索できたとすると、退避可能場所の経緯度座標、現在位置から退避可能場所までを結ぶ道路上の各ノード間のリンク長さを含む案内指示を退避可能場所案内制御部23に出力する。
【0024】
退避可能場所案内制御部23は退避可能場所検索部20から入力されたデータと現在位置に基づき走行中の道路に沿った現在位置から退避可能場所までの距離を計算し、「○○m先に退避可能場所があります」との文字案内画像を退避可能場所案内画像記憶部21に描画するとともに、「○○m先に退避可能場所があります」との案内文を音声合成部22に与えて音声合成させる。また、退避可能場所の経緯度座標を地図表示制御部17を出力し、地図画像上に退避可能場所マークを描画させる(図7(2)の符号TM参照)。退避可能場所案内制御部23は最初の案内をしたあとも現在位置から退避可能場所までの距離の計算を続け、退避可能場所までの距離が100m単位で接近する毎に、文字案内画像を再描画するとともに音声合成を再度行わせる。これにより、退避可能場所までの距離が地図画像上に表示されるとともに、音声出力されるので、ドライバは前方の道路を見て退避可能場所を目で探さなくてもどこに在るか簡単に判るため、焦ることなく退避可能場所まで運転し一時停車させて後続車を追い越させることができる。また、退避可能場所マークから地図画像上でも場所を確認することができる(ステップS22、図7(2)の符号W3参照) 。
【0025】
(6)煽り対策の稼動−後続車への警告
最後に警告が設定されているか判断し(図5のステップS30) 、NOであれば警告制御はしないが、ここではYESなので、続いて、稼動許可操作要に設定されているか判断する (ステップS31) 。要でなければ直ちにステップS35へ進んで音系警告部4と光系警告部5の稼動制御をするが、ここでは要なので、「警告するときはOKを押して下さい」の確認メッセージ文を操作・メッセージ用画像記憶部30に描画し、地図画像の上に重ねて表示させるとともに(図7(3)の符号W4参照) 、当該メッセージ文を音声合成部31に音声合成させ、加算器24を介してスピーカ25より音声出力させる(この音声出力は一度だけ行う、ステップS32)。そして、画面の「OK」ボタン60がタッチされるか、操作部32のOKキーが押されて稼働許可操作がされたかの判断と (ステップS33) 、車間距離データを入力し、車間距離が15m以下で煽り走行が継続しているかの判断と (ステップS36、S37) 、煽り対策終了操作がされたかの判断と (ステップS38) 、確認メッセージ出力中かの判断を繰り返す(ステップS39) 。
【0026】
退避可能場所が近くにあったり、とくに危険を感じなかったり、後続車のドライバを刺激したくなかったりして警告したくない場合、何も操作せずに放置すれば良い。
反対にドライバが危険を感じて警告をしたいとき、「OK」ボタン60をタッチするか、操作部32のOKキーを押して稼働許可操作をする。すると、運転支援制御部34は操作・メッセージ用画像記憶部30の確認メッセージ画像を削除し、確認メッセージ出力を停止させ(ステップS34) 、音系警告部4と光系警告部5の稼動制御をし、ビービー音などの警告音を発したり、「車間距離を開けて下さい」との合成音声を発したりして音により後続車に警告を行わせ、また警告用ライトを点滅或いは連続点灯したり、「危険」、「車間距離を開けて下さい」などの電光文字を点灯したりして表示により後続車に警告を行わせる(ステップS35) 。後続車に警告を行いドライバに注意喚起することで、煽り走行を止めさせることができる。
【0027】
(7)煽り対策の停止
ドライバが設定した各種の煽り対策を稼働させたあと、運転支援制御部34は車間距離データを入力し、車間距離が15m以下で煽り走行が継続しているかの判断と、ドライバにより操作部32の終了キーが押されて煽り対策の停止操作がされたかの判断を繰り返す(ステップS36、S37、S38) 。
その後、後続車が車間距離を開け、ステップS37でYESと判断したとき、運転支援制御部34は煽り対策停止制御を行い、稼働前の状態に戻す。まず、操作・メッセージ用画像記憶部30の画像を全て削除してメッセージ出力を停止し(ステップS40) 、ルームミラー2による後方視界を通常状態から可変していたときは、後方視界可変部3を制御し元の状態に戻す。これにより、ドライバが後方視界を手作業で通常状態に戻す手間が省ける。また、退避可能場所検索・案内部18に退避可能場所の検索・案内を指示していたときは案内停止を指示する。該指示を受けた退避可能場所検索・案内部18では退避可能場所の案内中のとき、退避可能場所案内制御部23が退避案内文の描画と音声合成を停止し、退避可能場所案内画像記憶部22の画像を削除する。また、地図表示制御部13に退避可能場所マークの描画を停止させる。これにより、画面は地図画像のみの表示状態に戻る。更に、音系警告部4と光系警告部5に警告を発生させていたときは停止制御をし、警告の発生を停止させる(ステップS41) 。
なお、後続車が車間距離を開ける前でも、ドライバが煽り対策が要らなくなったと判断したとき、操作部32の終了キーを押すことで各煽り対策を一括して終了させ稼働前の状態に戻すことができる。終了キーが押されると、運転支援制御部34はメッセージ出力を停止させ、各煽り対策を稼働前の状態に戻す (ステップS38、S40、S41) 。
【0028】
この実施例によれば、後続車の煽り走行を検出して自動的に、ルームミラー2による後方視界を通常状態から可変し、ドライバの目に後続車が入らないようして不安や焦りが生じたり、増大するのを防止したり、一本道を走行中のときに前方の退避可能場所を検索・案内し、焦って退避可能な場所を目で探しながら運転しなくても済むようにしたり、後続車に警告を発して安全走行を促したりでき、運転ミスによる事故の発生を防止することができる。
また、ドライバはルームミラー2による後方視界の可変、退避可能場所の検索・案内、警告の中から、任意の1または複数の組合せを後続車の煽り走行が検出されたときに稼働する煽り対策種目として事前に設定できるので、煽り対策の自由度が高く便利である。
また、退避可能場所の検索・案内は走行中の道路が一本道の場合に限り実行されるので、案内の必要度が高くない場合に地図画像が見づらくなるのを防止できる。
また、警告は、煽り走行が検出されたときに自動稼働が可能なほか、ドライバによる稼働許可操作を待って起動するようにも設定可能なので、後続車をむやみに刺激しないようにできる。
また、煽り走行が検出されなくなったとき、稼働済の煽り対策用の各部が稼働前の状態に自動的に戻るので、ドライバがマニュアル操作で元に戻す手間が省ける。更に、後続車が煽り走行中であっても、操作部32の終了キーを押して強制的に煽り対策動作を終了させることができ、ドライバの意思で必要最小限の対策動作に留めることが可能となり、便利である。
【0029】
なお、上記した実施例では、退避可能場所の検索・案内は走行中の道路が一本道の場合に限り実行されるようにしたが、一本道判定部を省略し、一本道か否かに関らず、退避可能場所の検索・案内を行なうようにしても良い。
また、一本道判定部を運転支援制御部に付設し、煽り走行が検出されたとき、続いて運転支援制御部が一本道を走行中か判定し、一本道を走行中の場合に限り各煽り対策を稼働するようにしても良い。
また、煽り対策の稼働停止操作がされると稼働中の全ての煽り走行対策が終了するようにしたが、操作部に種目別の稼働停止操作キーを設けておき、運転支援制御部は稼働停止操作がされた種目について個別に稼働停止を行なうようにしても良い。
また、煽り走行の判定は、車間距離と自車の車速を組合せ、自車の車速が例えば30km以上でかつ車間距離が一定以下の状態が一定時間以上継続したときに煽り走行が発生したと判断するようにしても良い。
【0030】
次に図8を参照して本発明の参考例を説明する。図8は車両の運転支援装置の全体構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成部分には同一の符号が付してある。
図8の参考例は、マニュアル操作で一括または種目別に各種煽り対策を稼働できるようにしたものである。
図8において、32Aはドライバが稼動条件の設定操作、警告の稼動許可操作、煽り対策の一括稼動操作、煽り対策の種目別稼動操作、煽り対策の一括停止操作、煽り対策の種目別停止操作などをする操作部であり、メニューキー、一括稼働キー、ルームミラー稼働キー、退避可能場所検索・案内稼働キー、警告稼働キー、一括停止キー、ルームミラー停止キー、退避可能場所検索・案内停止キー、警告停止キー、OKキー、終了キーなどを備えている。稼動条件の設定操作では、煽り走行を判定する距離、一括稼働対象の種目(ルームミラーによる後方視界の可変、警告、退避可能場所の検索・案内)と警告の起動に起動許可操作を要するか否かを設定可能である。33Aは記憶部であり、ドライバによる稼動条件の設定内容を記憶する。
【0031】
34Aは運転支援制御部であり、稼動条件設定処理、煽り走行検出処理、煽り対策稼働処理を実行する。稼動条件設定処理では、ドライバが操作部32Aで稼動条件設定メニュー呼び出し操作をすると、稼動条件設定メニュー画像を操作・メッセージ用画像記憶部30に描画して画面表示させるとともに、タッチ式入力部16による稼動条件設定操作を受け付けて設定内容を記憶部33Aに記憶させる。煽り走行検出処理では、車間距離センサ1から車間距離を入力し、ドライバが事前に設定した一定距離以下になったか否かの判定を行って煽り走行の発生を検出し、その旨のメッセージを表示と音声によりドライバに通知する。煽り対策稼働処理では、操作部32Aで煽り対策の一括稼働操作がされたとき、ルームミラー2による後方視界の可変、走行中の道路前方の退避可能場所の検索・案内、後続車への警告の内、ドライバが事前に設定した対策種目について一括して稼動する。操作部32Aで煽り対策の種目別の稼働操作がされたとき、ドライバ所望の種目について稼働する。煽り対策の一括稼働停止操作がされたとき、稼働中の各対策を一括して稼動前の状態に戻し、煽り対策の種目別の稼働停止操作がされたとき、ドライバ所望の種目について稼動前の状態に戻す。なお、一括稼働操作がされたとき、後続車への警告については、ドライバが事前に稼動許可操作を要する設定をしている場合、自動警告はせず、稼動許可操作を待って稼動する。また、煽り走行が検出されなくなったとき、メッセージ出力を停止する。
その他の構成部分は図1と全く同様に構成されている。
【0032】
図9〜図11は運転支援制御部34Aによるメイン制御処理を示すフローチャート、図12は運転支援制御部34Aにより割り込み処理で実行される煽り走行検出処理を示すフローチャートであり、以下、これらの図を参照してこの参考例の動作を説明する。
なお、予め、ルームミラー2による後方視界は通常状態にあり、音系警告部4と光系警告部5は停止しているものとする。また、記憶部33Aには稼動条件として、煽り走行判定距離=20m、煽り対策種目=ルームミラーによる後方視界の可変、退避可能場所検索・案内が初期設定されているものとする。
【0033】
(1)稼動条件の設定
車両の運転支援装置の電源がオンすると、車載用ナビゲーション装置10により現在地周辺の地図画像が表示部15に表示される(図6(1)参照)。また、車間距離センサ1が後続車との車間距離の検出を開始し、車間距離データを運転支援制御部34Aへ出力する。運転支援制御部34Aはドライバにより稼働条件設定メニューの呼出操作、煽り対策の一括稼働操作、煽り対策の種目別稼働操作などがされたかの判断と(図9のステップS50、S55、図11のS80) 、車間距離を入力し、記憶部33Aに記憶された煽り走行判定距離(=20m)と比較することによる煽り走行判定を繰り返す(図12のステップS90〜S92) 。
ドライバが運転支援装置による稼動条件を設定したい場合、前述と同様にして操作部32Aのメニューキーを押して稼働条件設定メニュー呼出操作をし、稼動条件設定メニュー画像を表示させることで、走行の判定距離と一括稼働操作時の煽り対策の種目、一括稼働操作時の警告の起動についてマニュアルでの稼働許可操作を要とする設定を行なうことができる(ステップS50〜S54、図6(2)、(3)参照) 。以下では、煽り走行の判定距離=15m、煽り対策種目=ルームミラーによる後方視界の可変、退避可能場所検索・案内、警告(稼働許可操作要)が設定されたものとして説明する。
【0034】
(2)煽り走行の検出とメッセージ出力
図12の煽り走行検出処理は図9〜図11のメイン制御処理と平行して実行される。この煽り走行の検出処理において、後続車が煽り走行しておらず、車間距離が15mを越えているときはとくに通知はしない(ステップS90、S91、S92でNO) 。一本道を走行中などで後続車が煽り走行を開始し、車間距離が15m以下の状態が所定の一定時間(例えば、30秒)以上継続したとき、煽り走行が発生したと判断する(ステップS92でYES)。煽り走行を検出すると、運転支援制御部34Aは「後続車が煽り走行をしています」の煽り走行検出メッセージ文を操作・メッセージ用画像記憶部30に描画し、地図画像の上に重ねて表示させるとともに、当該メッセージ文を音声合成部31に音声合成させ、加算器24を介してスピーカ25より音声出力させる(この音声出力も一度だけ行う)。メッセージ出力により、ドライバは後続車が煽り走行をしていることを認知することができる(ステップS93、S94、図7(1)の符号W2参照)。
後続車が車間距離を開け、ステップS92でNOと判断したとき、操作・確認用メッセージ画像記憶部30に描画した「後続車が煽り走行をしています」を削除し、煽り走行検出メッセージ出力を停止する (ステップS95、S96) 。
【0035】
(3)煽り対策の一括稼働
ドライバが自身で後続車の煽り走行に気づいたり、メッセージ出力から後続車の煽り走行を認知し、事前に設定した各種の煽り対策を一括して稼働したいとき、操作部32Aの一括稼働キーを押す。すると、運転支援制御部34Aは煽り対策種目としてルームミラーによる後方視界の可変が設定されているか否か判断し (ステップS55、S56) 、NOであれば可変制御はしないが、ここではYESなので、後方視界可変部3を制御し、ルームミラー2による後方視界を通常状態から可変させる (ステップS57) 。続いて、退避可能場所の検索・案内が設定されているか判断し (ステップS58) 、NOであれば検索・案内の指示はしないが、ここではYESなので、車載用ナビゲーション装置10の退避可能場所検索・案内部18に検索・案内を指示する。該指示を受けた退避可能場所検索・案内部18は現在位置・現在方位データと地図データ中の道路データを用いて現在走行中の道路が一本道か否か判定し、一本道であれば、走行中の道路上で現在地から見て一番近くにある退避可能場所を検索する。そして、画像と音声により退避可能場所までの距離を案内する(ステップS59、図7(2)の符号W3参照)。また、地図画像上に退避可能場所マークを描画させる(図7(2)の符号TM参照)。
【0036】
最後に警告が設定されているか判断し (ステップS60) 、NOであれば警告制御はしないが、ここではYESなので、続いて、稼動許可操作要に設定されているか判断する (ステップS61) 。要でなければ直ちにステップS65へ進んで音系警告部4と光系警告部5の稼動制御をするが、ここでは要なので、「警告するときはOKを押して下さい」の確認メッセージ文を操作・メッセージ用画像記憶部30に描画し、地図画像の上に重ねて表示させるとともに(図7(3)の符号W4参照) 、当該メッセージ文を音声合成部31に音声合成させ、加算器24を介してスピーカ25より音声出力させる(この音声出力は一度だけ行う、ステップS62)。そして、画面の「OK」ボタン60がタッチされるか、操作部32AのOKキーが押されて稼働許可操作がされたかの判断と (ステップS63) 、煽り対策の一括稼働停止操作がされたかの判断と (図10のステップS70) 、煽り対策の種目別稼働停止操作がされたかの判断と (ステップS74) 、確認メッセージ出力中かの判断を繰り返す(ステップS75) 。
【0037】
退避可能場所が近くにあったり、とくに危険を感じなかったり、後続車のドライバを刺激したくなかったりして警告したくない場合、何も操作せずに放置すれば良い。
反対にドライバが危険を感じて警告をしたいとき、「OK」ボタン60をタッチするか、操作部32AのOKキーを押して稼働許可操作をする。すると、運転支援制御部34Aは操作・メッセージ用画像記憶部30の確認メッセージ画像を削除し、確認メッセージ出力を停止させ(図9のステップS63、S64) 、音系警告部4と光系警告部5の稼動制御をし、ビービー音などの警告音を発したり、「車間距離を開けて下さい」との合成音声を発したりして音により後続車に警告を行わせ、また警告用ライトを点滅或いは連続点灯したり、「危険」、「車間距離を開けて下さい」などの電光文字を点灯したりして表示により後続車に警告を行わせる(ステップS65) 。後続車に警告を行いドライバに注意喚起することで、煽り走行を止めさせることができる。
【0038】
(3)一括稼働させた煽り対策の一括終了
ドライバが煽り対策を一括して終了させるため、操作部32Aの一括稼働停止キーを押すと、確認メッセージを出力していたときは操作・メッセージ用画像記憶部30の確認メッセージを削除し(図10のステップS70、S71、S72) 、ルームミラー2による後方視界を通常状態から可変していたときは、後方視界可変部3を制御し元の状態に戻す。また、退避可能場所検索・案内部18に退避可能場所の検索・案内を指示していたときは案内停止を指示し、退避可能場所の案内画像の表示と音声出力を停止し、地図表示制御部13に退避可能場所マークの描画を停止させる。更に、音系警告部4と光系警告部5に警告を発生させていたときは停止制御をし、警告の発生を停止させ、若し確認メッセージ出力中の場合は該確認メッセージの出力を停止させる(ステップS73) 。
【0039】
(4)一括稼働させた煽り対策の種目別終了
なお、一括稼働停止でなく種目別に稼働停止することもでき、ルームミラー2による後方視界だけを元の状態に戻したい場合、ルームミラー停止キーを押すと、運転支援制御部34Aは後方視界可変部3を制御し元の状態に戻す (ステップS74、S76)。退避可能場所の検索・案内を停止したい場合、退避可能場所検索・案内停止キーを押すと、運転支援制御部34Aは退避可能場所の案内画像の表示と音声出力を停止させ、退避可能場所マークの描画も停止させる。更に、警告停止キーを押すと、音系警告部4と光系警告部5に停止制御をし、警告の発生を停止させる (ステップS74、S76)。
【0040】
(5)煽り対策の種目別稼働と停止
ドライバが一括稼働でなく、種目別に例えばルームミラー2による後方視界の可変を行ないたい場合、操作部32Aのルームミラー稼働キーを押す。すると、運転支援制御部34Aは後方視界可変部3を制御し、ルームミラー2による後方視界を通常状態から可変させる (図11のステップS80、S81) 。また、警告を発したい場合、警告稼働キーを押すと、運転支援制御部34Aは音系警告部4と光系警告部5の稼動制御をし、後続車に対し警告を行わせる(ステップS82、S81) 。更に、退避可能場所の検索・案内を行いたい場合、退避可能場所検索・案内稼働キーを押すと、運転支援制御部34Aは退避可能場所検索・案内部18に指示して退避可能場所の検索・案内を行なわせる(ステップS82、S81) 。
【0041】
これら種目稼働した煽り対策は種目別または一括で停止させることができ、例えば、警告を停止させたいとき、操作部32Aの警告停止キーを押すと、音系警告部4と光系警告部5に停止制御をし、警告の発生を停止させる (ステップS83、S84)。ルームミラー2を元に戻したいとき、ルームミラー停止キーを押すと、後方視界可変部3を制御し元の状態に戻す (ステップS85とS82でNO、S83、S84)。退避可能場所の案内を停止させたいとき、退避可能場所検索・案内停止キーを押すと、運転支援制御部34Aは退避可能場所の案内画像の表示と音声出力を停止させ (ステップS85とS82でNO、S83、S84)、退避可能場所マークの描画も停止させる。全ての対策が停止状態になると、図9のステップS50に戻る。また、一または複数の種目の対策が稼働中に一括停止キーを押すと、運転支援制御部34Aは稼働中の全ての対策につき稼働前の状態に戻す(ステップS86、S87) 。
【0042】
図8の参考例によれば、煽り対策の一括稼働操作または種目別稼働操作により、ルームミラー2による後方視界を通常状態から可変し、ドライバの目に後続車が入らないようして不安や焦りが生じたり、増大するのを防止したり、一本道を走行中のときに前方の退避可能場所を検索・案内し、焦って退避可能な場所を目で探しながら運転しなくても済むようにしたり、後続車に警告を発して安全走行を促したりでき、運転ミスによる事故の発生を防止することができる。
また、ドライバはルームミラー2による後方視界の可変、退避可能場所の検索・案内、警告の中から、任意の1または複数の組合せを一括稼働操作がされたときに起動する煽り対策種目として事前に設定できるので、煽り対策の自由度が高く便利である。
また、退避可能場所の検索・案内は走行中の道路が一本道の場合に限り実行されるので、案内の必要度が高くない場合に地図画像が見づらくなるのを防止できる。
また、警告は、一括稼働操作がされた場合でも、ドライバによる起動許可操作を待って起動するように設定可能なので、後続車をむやみに刺激しないようにできる。
また、煽り走行を検出してメッセージ出力がされるので、ドライバが後続車の煽り走行に気づかない場合でも、認知させることができる。
【0043】
なお、上記した参考例では、退避可能場所の検索・案内は走行中の道路が一本道の場合に限り実行されるようにしたが、一本道判定部を省略し、一本道か否かに関らず、退避可能場所の検索・案内を行なうようにしても良い。
また、煽り走行の判定は、車間距離と自車の車速を組合せ、自車の車速が例えば30km以上でかつ車間距離が一定以下の状態が一定時間以上継続したときに煽り走行が発生したと判断するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、自動車、バス、トラックなど各種の車両の運転支援装置に適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 車間距離センサ
2 ルームミラー
3 後方視界可変部
4 音系警告部
5 光系警告部
10 車載用ナビゲーション装置
15 表示部
18 退避可能場所検索・案内部
25 スピーカ
30 操作・メッセージ用画像記憶部
31 音声合成部
32 操作部
33 記憶部
34 運転支援制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後続車の煽り走行を検出する煽り走行検出手段と、
ルームミラーによる後方視界を通常状態から可変する後方視界可変手段、後続車へ警告を発する警告手段、現在位置検出手段で検出された現在位置または現在位置及び現在方位と地図データを用いて走行中の道路前方に存在する退避可能場所の検索・案内を行う退避可能場所検索・案内手段の内、少なくとも1つの種目の煽り対策手段と、
後続車の煽り走行が検出されたとき、各煽り対策手段を稼動させる運転支援制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
後続車の煽り走行を検出する煽り走行検出手段と、
ルームミラーによる後方視界を通常状態から可変する後方視界可変手段、後続車へ警告を発する警告手段、現在位置検出手段で検出された現在位置または現在位置・現在方位と地図データを用いて走行中の道路前方に存在する退避可能場所の検索・案内を行う退避可能場所検索・案内手段の内、警告手段を含む少なくとも1つの種目の煽り対策手段と、
警告手段の稼動を許可するか否かの確認メッセージを発する確認メッセージ発生手段と、
警告手段の稼動許可操作をする稼動許可操作手段と、
後続車の煽り走行が検出されたとき、各煽り対策手段の稼動制御をし、この際、警告手段に対しては、確認メッセージ発生手段に確認メッセージを発生させ、稼動許可操作手段で稼動許可操作がされたときに稼動制御を行う運転支援制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の運転稼支援装置。
【請求項3】
退避可能場所検索・案内手段は、現在地検出手段で検出された現在地または現在地及び現在方位と地図データを用いて走行中の道路が一本道か否か判定し、一本道と判定された場合に限り、走行中の道路前方に存在する退避可能場所の検索・案内を行うこと、
を特徴とする請求項1または2記載の車両の運転支援装置。
【請求項4】
現在地検出手段で検出された現在地または現在地及び現在方位と地図データを用いて走行中の道路が一本道か否か判定する判定手段を設け、 運転支援制御手段は、後続車の煽り走行が検出されたとき、判定手段で走行中の道路が一本道と判定された場合に限り、各煽り対策手段の稼動制御を行うようにしたこと、
を特徴とする請求項1または2または3記載の車両の運転支援装置。
【請求項5】
後続車の煽り走行が検出されなくなったとき、運転支援制御手段は、稼動させた各煽り対策手段を稼動前の状態に戻すこと、
を特徴とする請求項1または2または3または4記載の車両の運転支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−271906(P2010−271906A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123043(P2009−123043)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】