説明

車両の鍵コード管理システムおよび鍵コードの登録方法

【課題】鍵コードがインターネット上から漏洩する危険のない低コストで確実な車両の鍵コード管理システムを提供する。
【解決手段】車載コントロールユニット200は、認証カード212と通信して認証カード212に記録されている認証カードIDとID格納メモリ204に格納されている認証カードIDとを比較し、認証がOKであったとき、ID格納メモリ204に鍵コードを作成し、携帯電話100内のID通信部104と通信して、ID格納メモリ204に格納された鍵コードを携帯電話100のID格納メモリ制御部106を通じてID格納メモリ107に格納し、その後、登録が適正か不適正であるかの判定を行ない、適正であれば登録が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の鍵コード管理システムおよび無線携帯端末で遠隔操作を可能とするために鍵コードを無線携帯端末へ登録する鍵コードの登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの無線携帯端末を用いて、車両のドアロック装置などを遠隔操作するシステムが知られている(例えば、特許文献参照)。このシステムでは、インターネット上のサーバに遠隔操作対象装置の操作に必要となる鍵コードを格納させている。遠隔操作を行う場合は、まず車両を特定する車両番号などの特許情報をサーバに送信し、サーバに格納されている鍵コードをダウンロードし、ダウンロードした鍵コードを無線携帯端末へ送出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−76346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術ではインターネット上のサーバに個人情報、鍵コードを格納するため、このシステムを使用する車両の全使用者の個人情報、携帯電話情報、および車両鍵コードなどの情報がサーバから漏洩する危険あった。
【0005】
また、何らかの理由で車両鍵コードを変更しなければならない場合(鍵コードの漏洩が発覚した場合など)、使用者の携帯電話および個人情報を車両鍵コードとの関連づけを再度行いサーバに再格納しなければならない構成となっているため、鍵コードの変更作業が煩雑になってしまう問題があった。
【0006】
さらに、サーバを用いた上記システムにおいてはサーバの設置費用、月々のメンテナンスなどを含めた運用費用が発生する。
【0007】
本発明の目的は、鍵コードがインターネット上から漏洩する危険のない低コストの車両の鍵コード管理システムおよび鍵コードの登録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の第1の特徴は、車両の鍵コード管理システムであって、鍵コードを格納する車両側ID格納メモリ及び通信アンテナを備える車載コントロールユニットと、前記車載コントロールユニットからの指令信号に基づいて使用者の制限を設ける必要のある車載電子機器に制御信号を出力する車両コントロールユニットと、前記車両側ID格納メモリに格納された鍵コード情報が入力可能な携帯側ID格納メモリを備える通信携帯端末と、前記通信アンテナを介して前記車載コントロールユニットから前記通信携帯端末内の前記携帯側ID格納メモリへ鍵コードを書き込み可能とする認証カードと、を備えることを要旨とする。
【0009】
ここで、車両側ID格納メモリに格納された鍵コードは、携帯側ID格納メモリへ無線で登録されることが好ましい。
【0010】
また、車両側ID格納メモリに格納された鍵コードは、携帯側ID格納メモリへ有線接
続にて登録される構成としてもよい。
【0011】
携帯側ID格納メモリへ登録される鍵コードは、暗号通信にて登録されることが好ましい。
【0012】
本発明の第2の特徴は、車両の鍵コードの登録方法であって、車両側ID格納メモリ及び通信アンテナを備える車載コントロールユニットの通信アンテナに認証カードに登録されたカード情報が適正か否かの判定を行う工程と、前記認証カードのカード情報が適正な場合のみに前記車載コントロールユニットの前記車両側ID格納メモリの鍵コードを通信携帯端末の携帯側ID格納メモリへ書き込む工程と、前記携帯側ID格納メモリへのカード情報が適正に登録された場合に認証を完了させ、カード情報が不適正の場合にその状態を通知する工程と、を備えることを要旨とする。
【0013】
なお、携帯側ID格納メモリへのカード情報は、暗号通信にて行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鍵コードがインターネット上から漏洩する危険のない車両の鍵コード管理システムおよび鍵コードの登録方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る鍵コード管理システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る鍵コードの登録方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る車両の鍵コード管理システムおよび鍵コードの登録方法について説明する。
【0017】
なお、本発明に係る車両の鍵コード管理システム、鍵コードを格納する車両側ID格納メモリ及び通信アンテナを備える車載コントロールユニットと、車載コントロールユニットからの指令信号に基づいて使用者の制限を設ける必要のある車載電子機器に制御信号を出力する車両コントロールユニットと、車両側ID格納メモリに格納された鍵コード情報が入力可能な携帯側ID格納メモリを備える通信携帯端末と、通信アンテナを介して前記車載コントロールユニットから通信携帯端末内の前記携帯側ID格納メモリへ鍵コードを書き込み可能とする認証カードと、を備えるものである。ここで、車両側ID格納メモリに格納された鍵コードは、携帯側ID格納メモリへ無線で登録されることが好ましいが、有線接続にて登録される構成としてもよい。
【0018】
特に、携帯側ID格納メモリへ登録される鍵コードは、暗号通信にて登録されることが好ましい。
【0019】
(車両の鍵コード管理システム)
以下、本発明の実施の形態に係る車両の鍵コード管理システムについて図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る車両の鍵コード管理システムの概略を示すブロック図である。この鍵コード管理システムは、主に、無線携帯端末として携帯電話100と、車両に搭載された電話との通信およびその後の車両制御を行う車載コントロールユニット200と、車内通信アンテナ201と、車外通信アンテナ203と、車両コントロールユニット207と、車両キー211と、認証カード212とから構成されている。
【0021】
携帯電話100は、携帯電話の機能を統合制御する制御部101と、携帯電話上の情報を表示する表示部102と、通話機能を備えた通信部103と、通話機能以外の通信を行うID通信部104と、携帯電話の機能を制御するために必要なメモリ105と、鍵コードを格納するためのID格納メモリ107、鍵コードを格納したメモリを制御するID格納メモリ制御部106と、を備えてなる。
【0022】
車載コントロールユニット200は、処理に応じてユーザに動作を報知するブザー202と、動作を制御する制御部206と、携帯電話照合用のIDを格納するID格納メモリ204と、携帯電話照合以外の処理を行うために用いるメモリ205とからなる。
【0023】
車両コントロールユニット207は、車載コントロールユニット200の処理結果に応じて、動作命令を受信、車両側の制御を行うようになっている。なお、図1に示すように、車両コントロールユニット207には、ドアロックアンロック装置208、エンジン始動装置209、ランプオンオフ装置210などが接続されている。
【0024】
車両キー211は、車両購入時に付属する車両の開錠・エンジンスタートが可能なキーであり、電子的に認証を行うイモビライザキーやスマートキーFOBでもよい。
【0025】
認証カード212は、車両購入時に付属する携帯電話登録時に必要なカードであり、内部に認証カードIDが記録されている。通常、この認証カード212は自宅に保管しておくことを推奨し、車両のオーナーであることを証明する物として扱う。
【0026】
本実施の形態に係る車両の鍵コード管理システムは、使用者が使用する携帯電話100と車両との間の通信を暗号信号とした上で、車両内に搭載された、鍵コードを格納する車載コントロールユニット200にて決定した鍵コードを、携帯電話100内に内蔵されたIDコード格納メモリ107に格納するものである。従って、鍵コードは、車両と登録した携帯電話100のみしか存在しないため、鍵コードがインターネット上から漏洩する危険がなくなる。また、サーバを必要としないため、サーバの設置費用、サーバの月々のメンテナンスなどを含めた運用費用の発生がなく、低コストなシステムを実現することができる。
【0027】
(鍵コードの登録方法)
本発明に係る車両の鍵コードの登録方法は、車両側ID格納メモリ及び通信アンテナを備える車載コントロールユニットの通信アンテナに認証カードに登録されたカード情報が適正か否かの判定を行う工程と、認証カードのカード情報が適正な場合のみに前記車載コントロールユニットの車両側ID格納メモリの鍵コードを通信携帯端末の携帯側ID格納メモリへ書き込む工程と、携帯側ID格納メモリへのカード情報が適正に登録された場合に認証を完了させ、カード情報が不適正の場合にその状態を通知する工程と、を備える。携帯側ID格納メモリへのカード情報は、暗号通信にて行うことが好ましい。
【0028】
次に、図2に示すフローチャートを用いて本実施の形態に係る車両の鍵コードの登録方法について説明する。まず、使用者の車両に携帯電話を登録する場合、車両を車両キー211にてイグニッションをON状態する(ステップS1)。なお、このようにイグニッションをON状態することにより、登録作業中にバッテリー切れを起こすことを防止する。
【0029】
次に、使用者が車両のオーナー本人であるかどうかを確認するため、車両購入時より付属する認証カード212と車内通信アンテナ201を通信させ制御部206と通信を行う(ステップS2)。なお、通信手段としては、例えば非接触通信などが挙げられる。ここで、認証カード212と車内通信アンテナ201の通信は、暗号通信を用いて、不正な登
録、認証が不可能な状態とする。
【0030】
制御部206は、認証カード212に記録されている認証カードIDを、ID格納メモリ204に格納されている認証カードIDと比較する(ステップS3)。
【0031】
認証がOKであったとき、ID格納メモリ204に鍵コードを作成し、ID格納メモリ204に書き込む。認証カードIDの比較結果がNGであった場合は、ブザー202を吹鳴させるなどしてNGであることを知らせる(ステップS4)。同時に、比較結果がOKである場合にも、OKであることを報知してもよい。
【0032】
鍵コードは、生産された他の車両が生成する鍵コードと重複しないように決定し、ID格納メモリ204に鍵コードを格納する。例えば、鍵コード長を全48bitとした場合、車載コントロールユニット200のシリアル番号から設定する部分と、車載コントロールユニット200の制御部206がランダムに生成する部分と2つに分け、両者を合わせた例えば48bitの鍵コードがすべて一致して初めて認証適正とするようなものである。本実施の形態では、図2に示すように、前者をVID、後者を登録IDとして記述している。
【0033】
次に、携帯電話100内のID通信部104と車内通信アンテナ201とを通信させる。ID格納メモリ204に格納された鍵コードを、携帯電話100のID格納メモリ制御部106を通じて格納する(ステップS5)。
【0034】
その後、鍵コードの登録が適正か不適正であるかの判定を行う(ステップS6)。不適正であれば、登録・削除がNGである通知を行う(ステップS7)。また、適正であれば、認証が完了する。
【0035】
本実施の形態の登録方法により鍵コードが登録されると、携帯電話100の鍵コードが、車内通信アンテナ201もしくは車外通信アンテナ203を介して、車載コントロールユニット200内の制御部206にてID格納メモリ204内に格納された車両側の鍵コードと照合できる。両者の鍵コードが一致していれば車両コントロールユニット207へ、例えばドアロック・アンロック、エンジンスタート、ハザード制御、エアコン制御、シート制御などの制御命令を送信することができる。
【0036】
このような登録方法で登録された鍵コードは、インターネット上には存在しないため、インターネット上から漏洩する危険がない。
【0037】
本実施の形態に係る鍵コードの登録方法によれば、車両キー211にてイグニッションをON状態で登録を行うため、登録作業中にバッテリー切れを起こすことを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、利用者の制限を行うことが必要となる電子機器を備えた車両などの製造分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
100…携帯電話
101…制御部(携帯側)
104…通信部(携帯側)
106…ID格納メモリ制御部(携帯側)
107…ID格納メモリ(携帯側)
200…車両コントロールユニット
201…車内通信アンテナ(車両側)
204…ID格納メモリ(車両側)
206…制御部(車両側)
207…車両コントロールユニット
211…車両キー
212…認証カード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵コードを格納する車両側ID格納メモリ及び通信アンテナを備える車載コントロールユニットと、
前記車載コントロールユニットからの指令信号に基づいて使用者の制限を設ける必要のある車載電子機器に制御信号を出力する車両コントロールユニットと、
前記車両側ID格納メモリに格納された鍵コード情報が入力可能な携帯側ID格納メモリを備える通信携帯端末と、
前記通信アンテナを介して前記車載コントロールユニットから前記通信携帯端末内の前記携帯側ID格納メモリへ鍵コードを書き込み可能とする認証カードと、
を備えることを特徴とする車両の鍵コード管理システム。
【請求項2】
前記車両側ID格納メモリに格納された鍵コードは、前記携帯側ID格納メモリへ無線で登録されることを特徴とする請求項1に記載の車両の鍵コード管理システム。
【請求項3】
前記車両側ID格納メモリに格納された鍵コードは、前記携帯側ID格納メモリへ有線接続にて登録されることを特徴とする請求項1に記載の車両の鍵コード管理システム。
【請求項4】
前記携帯側ID格納メモリへ登録される鍵コードは、暗号通信にて登録されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両の鍵コード管理システム。
【請求項5】
車両側ID格納メモリ及び通信アンテナを備える車載コントロールユニットの通信アンテナに認証カードに登録されたカード情報が適正か否かの判定を行う工程と、
前記認証カードのカード情報が適正な場合のみに前記車載コントロールユニットの前記車両側ID格納メモリの鍵コードを通信携帯端末の携帯側ID格納メモリへ書き込む工程と、
前記携帯側ID格納メモリへのカード情報が適正に登録された場合に認証を完了させ、カード情報が不適正の場合にその状態を通知する工程と、
を備えることを特徴とする車両の鍵コードの登録方法。
【請求項6】
前記携帯側ID格納メモリへのカード情報は、暗号通信にて行うことを特徴とする請求項5に記載の車両の鍵コードの登録方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−168849(P2010−168849A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13954(P2009−13954)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】