説明

車両エアコン用カップリング組立体、それを使用する車両及びエンジン組立体の制御方法

【課題】
有害な排気ガス等の排出を大幅に低減可能にすると共に、装置の小型化が可能な車両エアコン用カップリング組立体、それを使用する車両、及びエンジン組立体の制御方法を提供する。
【解決手段】
サーマルエンジン付き車両のエアコンユニット用コンプレッサ(3)のハイブリッド駆動を、サーマルエンジン(1)及びコンプレッサ(3)に機械的にカップリング可能な回転電気マシン(2)を含むカップリング組立体により実施するようにする。係合解除可能な第1カップリング手段(6)が、回転電気マシン(2)をサーマルエンジン(1)と選択的に連結するために設けられ、かつ係合解除可能な第2カップリング手段(8)が、回転電気マシン(2)をコンプレッサ(3)と選択的に連結するために設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両エアコン(空調機)用カップリング組立体に関し、特にエアコンユニットを有するサーマルエンジン車両用カップリング組立体、例えばStop&Start(商標)型システムで車両が停止したとき、サーマルエンジンを停止するマイクロハイブリッド型ストップシステムを装備する車両に関する。
【0002】
更に、本発明は、エアコンユニット用コンプレッサ及びサーマルエンジンを含む車両のカップリング組立体、それを使用する車両及びエンジン組立体の制御方法にも関する。かかるカップリング組立体は、車両のエンジン組立体の一部である。
【背景技術】
【0003】
公知のエンジン組立体では、オンボードエアコンユニットのコンプレッサは、サーマルエンジンにより回転駆動される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のカップリングは、最大で30%もの余分な燃料消費を生じ、多くの汚染ガス(NOX、CO等)が排出される。これは、高まる地球温暖化防止に反するものであり、受け入れられない。
【0005】
更に、このコンプレッサは、9000回/分を超える高速回転をすることができない。そのため、カップリングの低減率に関する制限が課されることとなるという課題を有する。
【0006】
更にまた、コンプレッサの駆動制御に専用の電気モータを使用し、車両に搭載されたバッテリにより電力供給することが知られている。しかし、コンプレッサは、最大約3kWの大きな電力消費を要し、そのため、バッテリの大きな負荷となると共に、種々の動作上の問題を生じる。特に、エアコンの始動時に、高い電力消費を必要とする。
【0007】
更に、上述した「Start&Stop」(商標)機能を備える車両は、車両が(赤信号又は停止標識等で)停止すると、サーマルエンジンを遮断する。この瞬間において、サーマルエンジンの使用を阻止し、またコンプレッサがサーマルエンジンに接続されている場合には、エアコンの使用は阻止される。
【0008】
本発明は、従来技術の上述の如き課題に鑑みなされたものであり、本発明の主たる目的は、従来技術における上記した課題または欠点を克服する車両エアコン用カップリング組立体、それを使用する車両、及びエンジン組立体の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、かつ上述した目的を達成するために、本発明の車両エアコン用カップリング組立体、それを使用する車両、及びエンジン組立体の制御方法は、次の如き特徴的な構成を採用している。
【0010】
本発明の車両エアコンコン用カップリング組立体は、燃料消費及び汚染ガスの排出を低減すると共に、サーマルエンジンの停止時、特にエアコンにより車内が既に空調されているとき、コンプレッサの動作を最適化するものである。また、電気モータは、サーマルエンジンの停止時に冷却媒体が放出される受動型装置の如き他のエアコン装置を補足することも可能である。
【0011】
本発明の第1の局面は、車両エアコン用カップリング組立体であって、
モータモードで動作する電気回転マシンと、
コンプレッサをサーマルエンジンにカップリングする第1の係合解除可能なカップリング手段と、
コンプレッサを電気回転マシンとカップリングする第2の係合解除可能なカップリング手段とを含んでいる。
【0012】
このような構成としたため、コンプレッサはハイブリッド形態で駆動可能である。即ち、サーマルエンジン又は回転電気マシンで相互に独立して選択可能であり、燃料消費及び汚染ガスの放出を低減し、かつエンジン停止時には、コンプレッサを電気モータにより駆動可能にできする。
【0013】
電気モータは1.5kW未満、例えば500W〜1kWの低パワーとすることが可能である。その理由は、それはサーマルエンジンの停止時のみに動作し、その間には、約2分間に渡り約1kWを提供すれば足りるからである。
【0014】
本発明によるカップリング組立体の各種実施例では、オプションとして、次のデバイスを1個以上使用することが可能である。
−第1及び第2の係合解除可能なカップリング手段が独立制御可能である場合には、コンプレッサの回転を、サーマルエンジンから電気モータに切り替えるか、又はその逆とし、既に空調している車内を、十分な期間だけ十分快適レベルに維持する。
−回転電気マシンがモータモードで動作するようにして、機械エネルギーをサーマルエンジンに提供し、サーマルエンジンを始動させ、電気モータをスタータとする。
【0015】
専用の電気駆動装置は、最早必要ない。これにより、エンジンルームのスペースが節約でき、かつエアコンユニットの価格を低減することが可能である。
【0016】
−回転電気マシンは、発電機モードで動作可能であり、サーマルエンジンにより提供された機械パワーを電気パワーに変換し、これにより、電気モータをスタータ兼オルタネータとする。
−回転電気マシンは、車両のエアコンユニットに付加されるように構成されている。
−回転電気マシンは、トランスミッションユニットを介して、サーマルエンジンにカップリングされるよう構成されている。
−回転電気マシンは、トランスミッションユニットを介して、コンプレッサに連結されるように構成されている。
−トランスミッションユニットは、エピサイクリック(又は遊星)ギアトレイン、固定減速比トランスミッション、連続可変減速比トランスミッション、ギアボックスの少なくとも1つを含んでいる。
−トランスミッションユニットは、出力軸に連結された環状ギア、サンギア及びプラネット(又は遊星)ギアを含む遊星ギアトレインであり、環状ギアは回転電気マシンのロータ(又は回転子)を形成し、サンギアは、コンプレッサに機械的に連結するように構成されている。
【0017】
本発明の第2の局面では、コンプレッサ付きエアコンユニット、及びサーマルエンジンを有する車両用エンジン組立体に関し、上述した第1アスペクトによるサーマルエンジン、及びコンプレッサ間の車両エアコン用カップリング組立体を含んでいる。
【0018】
本発明の第3の局面では、
−車両を駆動するサーマルエンジン
−回転電気マシン、及び
−車両のエアコンユニットのコンプレッサ
を含むサーマルエンジン車両用のエンジン組立体の制御方法に関する。
【0019】
この制御方法は、
−サーマルエンジンがコンプレッサに機械パワーを提供する第1動作モード、及び
−回転電気マシンがサーマルエンジンと機械的に独立しているモータモードで動作時に機械パワーをコンプレッサに提供する第2動作モード
を含んでいる。この第2動作モードは、サーマルエンジンが停止位置にある車両の停止時に使用される。
【0020】
本発明による制御方法の実施例では、連続した次のステップ(a)〜(c)を含んでいる。
(a)機械パワーを回転電気マシンからサーマルエンジンに提供し、サーマルエンジンに機械的にカップリングされた回転電気マシンにより、サーマルエンジンを始動させる。
(b)サーマルエンジンからコンプレッサに機械パワーを提供する。
(c)機械パワーを単独で回転電気マシンからコンプレッサに、サーマルエンジンの停止状態時に提供する。
【0021】
このような構成により、コンプレッサはハイブリッド形態で回転可能である。コンプレッサが大きなパワーを必要とするとき、即ち一般には、コンプレッサの動作開始時には、サーマルエンジンが必要とする機械パワーを提供する。一方、サーマルエンジンの停止時には、回転電気マシンがコンプレッサを駆動して、コンプレッサの動作を可能にする。
【0022】
上述したステップ(c)を、第1の期間の範囲内で連続的に反復させるのが好ましい。この範囲は、第1の期間より実質的に大きな第2の期間で離間している。
【0023】
本発明のその他の特徴および効果は、添付図面に示す実施例を参照して行う以下の詳細な説明から理解しうると思う。しかし、これらの実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による第1実施例のカップリング組立体(又はエンジン組立体)を示す説明図である。
【図2】本発明によるエンジン組立体の制御方法を説明するプロセスチャートである。
【図3】本発明によるカップリング組立体の第2実施例を示す説明図である。
【図4】図3に示す本発明による第2実施例のカップリング組立体の部材の回転速度の変化を示すグラフである。
【図5】本発明によるカップリング組立体の第3実施例を示す説明図である。
【図6】本発明によるカップリング組立体の第4実施例を示す説明図である。
【図7】本発明によるカップリング組立体の第5実施例を示す説明図である。
【図8】本発明によるカップリング組立体の第6実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明による車両エアコン用カップリング組立体、それを使用する車両、及びエンジン組立体の制御方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、図1〜図8において、説明の便宜上、対応する構成要素には、同一又は類似する符号を付してある。
【0026】
図1は、本発明による「Stop&Start(商標)」システムの如きマイクロハイブリッド型システムを備えるサーマルエンジン1、及び空調した車両のエアコンユニット(図示せず)のコンプレッサ3間のカップリング組立体(以下、単にカップリング組立体という場合もある)の第1実施例の説明図である。このカップリング組立体は、回転電気マシン2を含んでいる。
【0027】
この回転電気マシン(以下、電気モータともいう)2は、コンプレッサ3に機械的に結合され、適当なカップリング装置8を介して、コンプレッサのホイール又はプレート(ピストン)を駆動する。このカップリング装置(又はカップリング手段)8は、係合解除可能なものであり、回転電気マシン2を制御可能な方法でコンプレッサ3から結合解除可能にするものであることが好ましい。
【0028】
回転電気マシン2は、サーマルエンジン1のクランクシャフト4と噛み合う、例えばピニオン5により、サーマルエンジン1と機械的にカップリングされている。回転電気マシン2は、係合解除可能なカップリング装置(又はカップリング手段)6を介して、ピニオン5にカップリング又は連結され、これにより、回転電気マシン2は、制御可能な方法で、サーマルエンジン1と結合解除しうるようになっている。
【0029】
カップリング装置8が係合解除可能である場合には、このカップリング装置8及びカップリング装置6は、オープン状態(即ち、非係合状態)又はクローズ状態(即ち、係合状態)に、独立して制御可能である。
【0030】
回転電気マシン2は、サーマルエンジン1を始動させるスタータであるのが好ましい。このようにすると、コンプレッサ3の専用装置をなくすことができる。更に、このスタータは、従来技術のコンポーネントであり、かつ車両の始動時のみに使用され、それ以外では使用されない。従って、この実施例は、使用中の既存のコンポーネントを、他の目的にも転用するものであって、付加的なコストがほとんどかかることはない。
【0031】
これに代わって、回転電気マシン2は、モータモードで動作すると共に発電機(又はオルタネ−タ)モードでも動作し、例えば車両の制動(ブレーキ)時、又はバッテリの充電時に、エネルギーを回収する回転マシンである。
【0032】
次に、本発明によるカップリング組立体の第1実施例の動作を、図2のプロセスチャートを参照して説明する。
【0033】
動作の第1ステージにおいて、電気モータ2を、ステップS201(MODE MEL→ETH)でサーマルエンジン1の始動に使用する。このフェーズにおいて、電気モータ2は、機械エネルギー(又はパワー)を、閉じているカップリング装置6を介して、サーマルエンジン1に提供する。
【0034】
一度サーマルエンジン1が始動すると、機械エネルギーがコンプレッサ3に提供され、ステップS202(MODE ETH→C)で、クローズ状態のカップリング装置6、電気モータ2及びカップリング装置8(係合解除可能な場合には、そのときクローズ状態)を介して、車両の冷房が行われる。サーマルエンジン1のパワーは、上述した如く、最大パワーを必要とする時であるこのステージのコンプレッサ3にとって、十分な値である。
【0035】
次に、予め決定した時間の終わり、又はエアコンユニットにて車内が十分に冷房されたとき、コンプレッサ3を電気的に駆動するモードは、ステップS203へ移行する。そのために、カップリング装置6をオープンにし、電気モータ2のシャフトをピニオン5から切り離す。一般に車両の移動ステージである、即ち車両が移動しているこのステップにおいて、コンプレッサ3の動作に必要な機械的パワーは、電気モータ2により提供される(MODE MEL→C)。いずれの場合でも、そのことは、上述の如くクリティカルな車両の始動時には起こらない。
【0036】
更に、このパワーは、一連のサージ、即ちそれぞれ短い時間の連続した期間にて供給される。これにより、車内の温度調節が可能になる。この動作モードは、スタータ型の電気モータに特に好適である。その理由は、これが、設計上短い動作ステージのみに耐えられる電気モータであるからである。
【0037】
コンプレッサ3を電気モータ2に結合するカップリング装置8は、必ずしも係合解除可能な構造である必要はない。しかしながら、係合解除可能なカップリング装置であれば、電気モータ2をモータモードで使用中であるとき、コンプレッサ3が回転しないようにすることができる。換言すると、モータモードでは、移動ステージ(例えば、ハイブリッドカーの場合、即ちサーマルエンジン又は電気モータにより選択的に駆動される場合)で、機械的パワーをサーマルエンジン1に提供するか、又は発電機モードで電気的エネルギーをサーマルエンジン1で提供される機械エネルギーから生じさせる(例えば、電気マシンがオルタネータモード又はスタータ−オルタネータモードであるとき)。
【0038】
種々の動作モードは、それぞれ、サーマルエンジン1及び電気マシン2間と電気マシン2、及びコンプレッサ3間に配置されたカップリング装置6、及びカップリング装置8(それが係合解除可能な場合)を使用することにより確立される。従って、スタータモード又はモータモード(ハイブリッド車両の場合)の動作には、カップリング装置6はクローズし、カップリング装置8は、エアコンの要求によりオプションでオープンにする。同様に、オルタネータモードでは、カップリング装置6はクローズし、カップリング装置8は、必要に応じてオプションでオープンにする。エアコンモードのみでは、カップリング装置6はオープンであり、カップリング装置8はクローズである。
【0039】
更に、電気マシン2は、エアコンユニット又はコンプレッサ3に付加される構成であってもよい。この場合には、コンプレッサのガスで、又は熱を吸収して冷気を生じさせるエアコンユニットの蒸発により冷却される。
【0040】
両方の場合において、電気マシン2を効果的に冷却することができ、スタータ型の電気マシンを長時間動作させることが可能になる。
【0041】
図3に示す如く、本発明のカップリング組立体の第2実施例は、更にトランスミッションユニット7を含んでいる。これは、例えば連続可変減速比トランスミッション(又はCVTともいう)ユニットであり、サーマルエンジン1を電気マシン2に結合する。ここで、rは減速比である。よって、動作中の各種部材の回転速度は調節可能である。事実、サーマルエンジン1が、電気マシン2を介して機械パワーをコンプレッサ3に提供するとき、エンジン速度は、駆動に応じて変更可能である。しかし、CVTユニットの減速比は、コンプレッサの動作を所望動作点の近傍に維持するように調節可能である。
【0042】
図4に示す如く、減速比rは、サーマルエンジン1の角速度ωetの予め決められた動作範囲R1にわたり、調節可能であり、サーマルエンジン1の速度変化と独立して、一定のコンプレッサ回転速度を維持させるようにする。よって、コンプレッサ3の最適動作点が、例えばエアコンユニットの温度設定点に応じて観測可能である。
【0043】
CVTユニットを、サーマルエンジン1と電気マシン2との間に配置した場合には、従来方法と比較して、消費が1.5%低減することが確認できた。このために、プーリ、トロイダル、又はフックCVTユニット等の如何なるタイプのCVTユニットでも使用できる。
【0044】
また、CVTユニットの代わりに、遊星ギアトレイン、固定減速比トランスミッション、又はギアボックス等の如何なるタイプの公知のトランスミッションユニットの使用が可能である。
【0045】
変形例として、この場合にはCVTユニットであるトランスミッションユニット7は、電気マシン2とコンプレッサ3との間に配置可能である。この構成の場合には、約6%の消費低減が確認できた。
【0046】
図5に示す本発明のカップリング組立体の第3実施例では、回転電気マシン2のシャフトは、第1ピニオン13に結合され、コンプレッサ3のシャフトは、カップリング装置8を介して、第1ピニオン13と噛み合わされた第2ピニオン14に結合されている。カップリング装置6が、サーマルエンジン1と第1ピニオン13間に挿入されている。これにより、一層コンパクトなアーキテクチャすなわち構成が得られる。
【0047】
エンジンが機械パワーをコンプレッサ3に提供するために、両方のカップリング装置6及び8をクローズする。電気マシン2のみが、コンプレッサ3に機械パワーを提供するとき、カップリング装置6をオープンにし、カップリング装置8をクローズにする。
【0048】
更に、図6に示す本発明のカップリング組立体の第4実施例によると、回転電気マシン2は、遊星ギアトレインの如き駆動装置と一体化できる。特に、遊星ギアトレインの環状ギア9回転電気マシン2のロータを形成することが可能である。ステータ(又は固定子)巻線10は、環状ギア9の周囲に設けられている。もしステータに(電源が)供給されると、機械パワーは電気パワーに変換される。サーマルエンジン1のみがコンプレッサ3が必要とする機械エネルギーを提供しなければならないときは、これらの巻線10に流れる電流はない。
【0049】
また、遊星ギアトレインは、プラネットギア11を含み、それは、一方では環状ギア9と、他方ではサンギア12と協働する。次に、これはコンプレッサ3に機械的に結合される。プラネットキャリアは、オプションでフレームに結合される。
【0050】
よって、スタータ−オルタネータ又はリバーシブル(反転可能な)モータよりなるカップリング組立体の構成はコンパクトになる。更に、コンプレッサ3が接近するので、回転電気マシン2の冷房効率が良好である。
【0051】
次に、図7に示す本発明のカップリング組立体の第5実施例によると、回転電気マシン2は、例えばブラシモータである。この電気マシン2は、係合解除可能なカップリング装置8を介して、第1ピニオン13に連結可能であり、コンプレッサ3のシャフトは、第2ピニオン14に連結されている。これら両ピニオン13及び14は、従来のベルトにより駆動されるプーリに代えてもよい。カップリング装置6が、サーマルエンジン1と第1ピニオン13との間に挿入されている。回転電気マシン2は、サーマルエンジン1の停止(又は静止)ステージのみに使用され、移動ステージでは係合解除され、コンプレッサ3は、サーマルエンジン1により駆動される。
【0052】
スタータ−オルタネータを実装する車両の場合には、次のとおりである。
−最初の始動時に、電気マシン2は、サーマルエンジン1が始動する間に係合解除される。
−サーマルエンジン1の「停止」ステージ中に、電気マシン2は好ましくはサーマルエンジン1が停止する前に始動する。これは、コンプレッサ3が再始動する必要がないのであり、ダイナミック摩擦トルクよりも大きな静止摩擦トルク有する。これにより、電気エネルギーは節約され、かつ電気マシン2を過度に大きくする必要がないことを意味する。電気マシン2は、所定期間、即ちバッテリの充電状態の1−2分間のみ動作し、サーマルエンジン1を再始動させるのに十分なエネルギーを保持する。もし、充電が不十分又はサーマルエンジン1の停止時間が所定時間を超過すると、電気マシン2及びコンプレッサ3は停止する(その場合には、エアコンは停止する)か、又はサーマルエンジン1が再始動し、かつ電気マシン2は停止する(この場合には、エアコンは動作を継続する)。
−再始動すると、電気マシン2は、サーマルエンジン1が始動する前に停止し、残りのエネルギーを使用して、サーマルエンジン1を再始動させられるようにする。しかし、サーマルエンジン1の始動時に、又はバッテリの充電状態の後に、電気マシン2を完全に停止させてもよい。
【0053】
次に、図8を参照して、本発明によるカップリング組立体の第6実施例について説明する。このカップリング装置は、サーマルエンジン1とコンプレッサ3巻を結合するトランスミッションユニット7を更に含んでいる。このトランスミッションユニット7は、例えば減速比rが連続的に可変できるユニット(又はCVT)である。これにより、回転する各部材の速度が調節可能である。事実、サーマルエンジン1は、カップ装置6がクローズしているとき、機械パワーをコンプレッサ3に提供する。CVTユニット7の減速比を調節して、コンプレッサ3の速度を所望動作点に維持する。サーマルエンジン1が停止すると、カップリング装置8をクローズして、電気モータ2に切り替えられる。
【0054】
以上、本発明の種々の実施例について説明した。しかし、これらの実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明の精神や要旨を逸脱することなく、種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解できると思う。例えば、ギアをローラ等に置換することが可能である。
【0055】
更に、上述した種々の実施例の構成を、適宜選択して相互に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 サーマルエンジン
2 回転電気マシン(電気モータ)
3 コンプレッサ
4 クランクシャフト
5、13、14 ピニオン
6、8 カップリング手段(係合解除可能なカップリング装置)
7 トランスミッションユニット
9、11、12 ギア
10 ステータ巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエアコンユニットのサーマルエンジン(1)とコンプレッサ(3)を結合する車両エアコン用カップリング組立体において、
モータモードで動作可能な回転電気マシン(2)と、前記コンプレッサを前記サーマルエンジンに結合する係合解除可能な第1カップリング手段(6)と、前記コンプレッサを前記回転電気マシンに結合する係合解除可能な第2カップリング手段(8)とを備えることを特徴とする車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項2】
前記電気マシンは、1.5kW以下のパワーを有することを特徴とする請求項1に記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項3】
前記第1及び第2カップリング手段(6)は、独立して制御可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項4】
前記回転電気マシン(2)は、モータモードで動作でき、前記サーマルエンジンを始動させるのに好適な機械エネルギーを前記サーマルエンジンに提供しうることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項5】
前記回転電気マシンは、発電機モードで動作可能であり、前記サーマルエンジン(1)により提供される機械パワーを、電気パワーに変換するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項6】
前記回転電気マシン(2)は、車両のエアコンユニットに取り付け可能に公正されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項7】
前記回転電気マシン(2)は、トランスミッションユニット(7)を介して、前記サーマルエンジン(1)に結合されるよう構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項8】
前記回転電気マシンは、トランスミッションユニット(7)を介して、前記コンプレッサ(3)に結合するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項9】
前記トランスミッションユニット(7)は、遊星ギアトレイン、固定減速比トランスミッション、連続可変減速比トランスミッション、及びギアボックスの中の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項10】
前記トランスミッションユニット(7)は、環状ギア(9)、サンギア(12)及び出力シャフトに連結されたプラネットギア(11)を含み、前記環状ギア(11)は、前記回転電気マシンのロータを形成し、前記サンギア(9)は、前記コンプレッサに機械的に結合されている遊星ギアトレイン(11)であることを特徴とする請求項7に記載の車両エアコン用カップリング組立体。
【請求項11】
サーマルエンジン(1)及びコンプレッサ(3)付きエアコンユニットを有し、かつ請求項1〜10のいずれかに記載の車両エアコン用カップリング組立体を有することを特徴とする車両。
【請求項12】
車両駆動用サーマルエンジン(1)、回転電気マシン(2)、及び車両のエアコンユニットのコンプレッサ(3)を含み、サーマルエンジン車両用のエンジン組立体を制御するエンジン組立体の制御方法において、
前記サーマルエンジン(1)は、前記コンプレッサ(3)に機械パワーを提供する第1動作モードと、モータモードで動作する前記回転電気マシン(2)が、前記サーマルエンジン(1)と独立して、前記コンプレッサ(3)に機械パワーを提供する第2動作モードとを含むことを特徴とするエンジン組立体の制御方法。
【請求項13】
(a)前記回転電気マシン(2)から前記サーマルエンジン(1)に前記回転電気マシン(2)により、前記サーマルエンジン(1)を始動させる機械パワーを提供するステップと、
(b)前記サーマルエンジン(1)から、前記コンプレッサ(3)に機械パワーを提供するステップと、
(c)前記回転電気マシン(2)のみから、前記コンプレッサ(3)に機械パワーを提供するステップとの一連のステップを含むことを特徴とする請求項12に記載のエンジン組立体の制御方法。
【請求項14】
前記ステップ(c)は、第1期間中連続して反復され、前記第1期間の間の期間は、前記第1期間より大きいことを特徴とする請求項12又は13に記載のエンジン組立体の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−513771(P2010−513771A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540828(P2009−540828)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/FR2007/052507
【国際公開番号】WO2008/078047
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(508075579)ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール (49)
【Fターム(参考)】