説明

車両エンジンの制御装置

【課題】アクセルを踏み戻す以前の状況に応じてアクセル開度量または吸気用バルブ操作量を補正することによって車両の運動エネルギーの損失が少なくなるように調整し、燃費の向上を図る車両エンジンの制御装置を得る。
【解決手段】アクセル開度量または吸気用バルブ操作量の時間的変化を抑制する開度漸減手段24と、アクセル開度量または吸気用バルブ操作量を第1の入力とし、開度漸減手段24によって処理されたアクセル開度量または吸気用バルブ操作量を第2の入力として、ブレーキの踏み込みを検出している場合には第1の入力を補正後の吸気用バルブ操作量として出力し、ブレーキの踏み込みを検出していない場合には第1と第2の入力の大きい値を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料を消費して得られる車両の運動エネルギーの損失を少なくし、燃費の向上を図る車両エンジンの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源問題が注目されている中、自動車産業においても燃料消費量の削減、即ち、燃費の向上のための様々な研究開発や実用化への取り組みが進められている。燃費を向上させるために最も重要なことは、燃料を消費することによって得られた車両の運動エネルギーを効果的に利用することである。一方、車両の運動エネルギーを失う要因は多数存在しており、代表的なものとしてドライバーのブレーキ操作、車両の走行抵抗、エンジンやトランスミッション等の機械摩擦抵抗、エンジンが吸い込む空気抵抗に伴ったポンピングロス等が挙げられる。
【0003】
運転技術に長けたドライバーは、前記運動エネルギーの損失要因を熟知した上で、極力無駄のないアクセルワークとブレーキワークによって燃費を向上させるドライビング技術を有している。しかし、運転経験の浅いドライバーや運転技術が低いドライバーは、無駄の多いアクセルワークとブレーキワークを行う特性があり、例えば車両発進時や前方車との車間を調整する過程において、アクセルの踏み込み過ぎやアクセルの踏み戻し過ぎによって無駄な燃料消費を繰り返し、燃費が悪化することになる。
【0004】
そこで、運動エネルギーを失う要因の一つであるポンピングロスを小さくすることにより燃費の向上を図る技術が従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
前記特許文献に提案されている技術は、アクセルペダルが踏まれていない状態で尚かつ燃料カットが行われている場合には、シフトギア段と車速に応じて吸気用バルブのバルブ開度を全閉位置よりも所定量だけ開いた位置に制御することにより、エンジンブレーキ力を調整して車両の惰行距離を伸ばすものである。これによって過度の減速を防いで再加速時のアクセル踏み込み時間を短くして燃費向上を図っている。
【0006】
【特許文献1】特開平11―30144号公報(要約の欄、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献に提案された技術では、前提条件とされている燃料噴射カットが作動する条件が、走行中の車速やエンジン回転数に依存しているため、走行期間内においてアクセルペダルが踏まれていない状態で尚かつ燃料カットが行われている作動頻度と作動時間は限られており、十分に燃費向上効果を得ることは難しい問題がある。
【0008】
この発明は、前記の問題を解決するためになされたもので、アクセルを踏み戻した時の走行状況または踏み戻す所定時間前の走行状況に応じて、アクセル開度量または吸気用バルブ操作量を制御することによって車両の運動エネルギーの損失が少なくなるように調整し、燃費の向上を図る車両エンジンの制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る車両エンジンの制御装置は、アクセルの踏み込みを検出してアクセル開度量を出力するアクセル開度センサと、ブレーキの踏み込みを検出するブレーキセンサと、アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量に基づいて吸気用バルブ操作量を算出する吸気用バルブ操作量演算手段と、吸気用バルブ操作量演算手段により算出される吸気用バルブ操作量に基づいてエンジンへ吸入する空気量を調整する吸気用バルブアクチュエータと、アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量を補正する補正手段と、を備えた車両エンジンの制御装置において、補正手段は、アクセル開度量または吸気用バルブ操作量の時間的変化を抑制する開度漸減手段と、アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量または吸気用バルブ操作量演算手段から出力される吸気用バルブ操作量を第1の入力とし、開度漸減手段によって処理されたアクセル開度量または開度漸減手段によって処理された吸気用バルブ操作量を第2の入力として、ブレーキセンサがブレーキの踏み込みを検出している場合には、第1の入力を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力し、ブレーキセンサがブレーキの踏み込みを検出していない場合には、第1の入力と第2の入力の何れか大きい値を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力する開度量比較手段と、アクセルを踏み込んだときの自車両の速度と前記アクセルを踏み戻した時の自車両の速度との速度偏差を算出する速度偏差算出手段とを備え、開度漸減手段によって処理されるアクセル開度量の時間的変化量または開度漸減手段によって処理される吸気用バルブ操作量の時間的変化量を、少なくとも速度偏差に基づいて決定し、速度偏差が大きいほど、アクセル開度量の時間的変化量または吸気用バルブ操作量の時間的変化量を小さくするものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る車両エンジンの制御装置によれば、ドライバーがアクセルを踏み込んだときの自車両の速度とドライバーがアクセルを踏み戻した時の自車両の速度との速度偏差が大きいほど、アクセル開度量の時間的変化量を小さくすることで、ドライバーがアクセルを瞬時に踏み戻したとしても自車両の速度の落ち込みが小さくなり、以降のアクセルの踏み込み量を少なくすることや、アクセルを踏み込む機会を軽減できる。結果として車両の運動エネルギーの損失が少なくなり、燃費が向上する効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係る車両エンジンの制御装置について好適な実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置を示すブロック構成図である。図1に示すように、実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置100は、アクセル開度センサ1、ブレーキセンサ2、補正手段3、吸気用バルブ操作量演算手段4、および吸気用バルブアクチュエータ5を備えている。
【0013】
アクセル開度センサ1は、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量を検出してアクセル開度量として出力し、ブレーキセンサ2は、ブレーキペダル(図示せず)の踏み込みを検出してブレーキ信号を出力する。補正手段3は、アクセル開度量を補正する手段で、詳細については後述する。吸気用バルブ操作量演算手段4は、吸気用バルブ(図示せず)を開閉するために、前記アクセル開度量に基づいて吸気用バルブアクチュエータに対する操作量を算出する。一般的に、吸気用バルブ操作量演算手段4は、車載のエンジン制御コントローラの内部で実行される演算処理の一つとして組み込まれている。また、吸気用バルブアクチュエータ5は、吸気用バルブ操作量演算手段4で算出される吸気用バルブ操作量に基づいて、例えばモータを駆動することで吸気用バルブを開閉し、車両エンジンのシリンダ内へ吸入する空気量を調整する。この吸気用バルブアクチュエータ5により、車両に大きな運動エネルギーが必要の場合には、吸気用バルブを大きく開いてエンジンが吸入する空気量を増やすことで大きなエンジントルクを引き出すことができる。
【0014】
次に、補正手段3の詳細について説明する。前述のように、運転経験の浅いドライバーや運転技術の低いドライバーのアクセルワークには踏み込み量の変動が著しく大きい傾向が見受けられる。つまりは追従走行においても前方車に近づきすぎたと感じると瞬時にアクセルペダルを踏み戻し、引き離されたと感じると瞬時にアクセルペダルを踏み込む。アクセルペダルを踏み戻すと自車両は定速走行から減速走行に転じるため、先行車に接近するための次回加速時には余計に燃料を消費してしまうことになる。補正手段3はアクセルペダルの踏み戻しによって低下するアクセル開度量の時間的変化量を抑制する。
【0015】
図2は、補正手段3の内部で実行される処理を説明する処理ブロック図である。図2に示す処理ブロックを実行するためには、マイクロコンピュータを用いた数値演算処理を実行することが望ましく、一定周期(例えば20msec)毎に繰り返し実行される。
【0016】
図2において、補正手段3は、アクセル操作判定手段20、速度偏差算出手段21、速度偏差しきい値設定部22、速度偏差比較手段23、開度漸減手段24、および開度量比較手段25を備えている。
【0017】
アクセル操作判定手段20は、アクセル開度センサ1から出力されたアクセル開度量に基づき、ドライバーによるアクセルペダルの踏み込み、若しくは踏み戻しを検出し、速度偏差算出手段21は、アクセル踏み込み時の自車両の速度と、アクセル踏み戻し時の自車両の速度との速度偏差を算出する。速度偏差しきい値設定部22は、前記速度偏差の比較対象となる速度偏差しきい値VeOを設定し、速度偏差比較手段23は、速度偏差しきい値設定部22で設定された速度偏差しきい値VeOと速度偏差算出手段21で算出された速度偏差の大小比較を行う。
【0018】
また、開度漸減手段24は、速度偏差比較手段23の出力に基づき、アクセル開度センサ1から出力されたアクセル開度量の時間的変化を抑制し、開度量比較手段25は、ブレーキ信号に基づき、アクセル開度センサ1から出力されたアクセル開度量と開度漸減手段24からのアクセル開度量の何れかを補正後のアクセル開度量として吸気用バルブ操作量演算手段4に出力する。
【0019】
ここで、アクセル踏み込み時の速度とアクセル踏み戻し直前の速度との速度偏差と、アクセル再踏み込みまでの時間には図3に示す関係があり、アクセル踏み込み時の速度とアクセル踏み戻し直前の速度との速度偏差が大きいほど、ドライバーはアクセルを踏み戻した後にアクセルを再踏み込みする確率が高くなる。なお、図3の横軸はアクセル踏み込み時の速度とアクセル踏み戻し直前の速度との速度偏差、縦軸はアクセル再踏み込みまでの時間を示し、速度偏差しきい値設定部22の速度偏差しきい値VeOはこの特性を加味して設定される。
【0020】
また、本実施の形態では、開度漸減手段24におけるアクセル開度量を小さくする手段として、アクセル開度量に一次フィルタを施す方法を用いる。一次フィルタの時定数τが大きいほど、アクセル開度量の時間的変化量が小さくなる。
【0021】
前記一次フィルタの時定数τは図4のように設定し、アクセル踏み込み時の速度とアクセル踏み戻し直前の速度との速度偏差が、速度偏差しきい値VeOより大きいときには、一次フィルタの時定数τを大きくし(例えば、0.5sec)、アクセル踏み込み時の速度とアクセル踏み戻し直前の速度との速度偏差が、速度偏差しきい値Ve0より小さいときには、一次フィルタの時定数τを小さくする(例えば、0.0sec)。なお、図4の横軸はアクセル踏み込み時の速度とアクセル踏み戻し直前の速度との速度偏差、縦軸は一次フィルタの時定数τを示している。
【0022】
実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置は前記のように構成されており、次に、その補正手段3の各部で実行される処理フローについて図5および図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図5のフローは一定周期(例えば、20msec)毎に繰り返し実行され、最新処理ループで取得するデータを今回値、前回処理ループで取得したデータを前回値として説明する。
【0023】
図5において、まず、ステップS1において、アクセル操作判定手段20は、アクセル開度量(今回値)を取得し、速度偏差算出手段21は、車速(今回値)を取得する。アクセル開度量はアクセル開度センサ1により取得し、車速は、例えば車速センサ(図示せず)を用いることによって検出が可能である。
【0024】
続いてステップS2において、アクセル操作判定手段20により、アクセル踏み込み判定を行う。ここではアクセルペダルを踏んでいない状態から踏み込んだ状態への変化を検出することができる。
【0025】
ステップS2の条件を満足する場合には、ドライバーがアクセルペダルを踏んだと判断できるので、ステップS3において、アクセル操作判定手段20の変数Xに車速(今回値)を格納する。ステップS2の条件を満足しない場合にはステップS4の処理を行い、アクセル操作判定手段20の変数Xは前回値を保持する。
【0026】
続いてステップS5において、アクセル操作判定手段20により、アクセル踏み戻し判定を行う。ここではアクセルペダルを踏み込んだ状態から踏み込んでいない状態への変化を検出することができる。
【0027】
ステップS5の条件を満足する場合には、ドライバーがアクセルペダルを踏み戻したと判断できるので、ステップS6において、アクセル操作判定手段20の変数Yに車速(今回値)を格納し、更にステップS8において、速度偏差算出手段21の変数Zに変数Yと変数Xの偏差を格納する。この変数Zに格納されたものが、アクセル踏み込み時の自車両の速度とアクセル踏み戻し時の自車両の速度との速度偏差である。ステップS5の条件を満足しない場合にはステップS7、ステップS9の処理を行い、アクセル操作判定手段20あるいは速度偏差算出手段21の変数Y、Z共に前回値を保持する。
【0028】
ステップS10では、速度偏差比較手段23において、速度偏差算出手段21の速度偏差Zと速度偏差しきい値設定部22で設定された速度偏差しきい値VeOとの大小比較を行う。速度偏差比較手段23は、比較判定用フラグを備え、速度偏差Zが速度偏差しきい値VeOより大きい場合には速度偏差比較手段23の比較判定用フラグをHiにする(ステップS11)。逆に、速度偏差Zが速度偏差しきい値VeOより小さい場合には速度偏差比較手段23の比較判定用フラグをLowにする(ステップS12)。
【0029】
ステップS13では次回の処理ループへ向けてアクセル開度量(今回値)、車速(今回値)を夫々アクセル開度量(前回値)、車速(前回値)に代入する。同じく変数X、Y、Zについても前回値を保存する処理を行う。
【0030】
図5のフローが完了すると、続いて図6のフローを実行する。
【0031】
図6において、ステップS14では、開度量比較手段25により所定の周期(例えば、20msec)毎にアクセル開度量とブレーキ信号を取得する。開度量比較手段25は、アクセル開度センサ1の出力するアクセル開度量が電圧値出力の場合にはA/D変換器によって、また、CAN通信出力の場合にはCAN受信によってアクセル開度量を得て変数Aに格納する。
【0032】
続いてステップS15において、開度量比較手段25はブレーキ信号からブレーキが踏まれているか判定する。ブレーキが踏まれている場合にはステップS14で取得したアクセル開度量がそのまま変数Bに代入される(ステップS16)。
【0033】
また、ブレーキが踏まれていない場合には、開度漸減手段24において、取得したアクセル開度量がデジタル一次フィルタ演算され、開度量比較手段25の変数Bに格納される(ステップS17)。
【0034】
ここで、ステップS17では、開度漸減手段24による開度漸減処理を実行する前に次の処理を行う。開度漸減手段24には、時定数τとして設定する値として2つの定数(例えば、0.5secと0.0sec)を予め準備する。次に、ステップ11とステップ12において決定した比較判定フラグの結果に基づき、比較判定用フラグがHiの場合には時定数τに0.5secを、比較判定用フラグがLowの場合には時定数τに0.0secを代入する。つまり、開度漸減手段24は速度偏差の比較結果によって時定数τを切り替える働きを有する。
【0035】
続いてステップS18では、開度量比較手段25において変数Aと変数Bの大小比較が行われ、大きな値が変数Cに格納される(ステップS19、ステップS20)。
【0036】
続いてステップS21において、開度量比較手段25は、変数Cに格納された値を補正後のアクセル開度量として吸気用バルブ操作量演算手段4へ出力する。
【0037】
以上の処理フローの実行による各部の信号特性の一例を図7に示す。図7(1)はアクセル開度センサ1が出力するアクセル開度量を示し、図7(2)は自車両の速度を示している。また、図7(3)は図3における変数X(アクセル踏み込み時の自車両の速度)、図7(4)は図3における変数Y(アクセル踏み戻し時の自車両の速度)、図7(5)は図3における変数Z(速度偏差)をそれぞれ示している。更に、図7(6)は速度偏差比較手段23の結果を格納するフラグを示し、図7(7)は開度量比較手段25が出力する補正後のアクセル開度量を示している。
【0038】
図7において、時刻t1ではドライバーはアクセルペダルの踏み込みを開始すると同時に、アクセル踏み込み時の自車両の速度が変数Xに格納される[図7(1)、図7(3)参照]。
【0039】
自車両の速度が上がり、時刻t2においてドライバーはアクセルペダルを踏み戻す。同時に、アクセル踏み戻し時の自車両の速度が変数Yに格納され、変数Zには速度偏差(Y−X)が格納される[図7(1)〜図7(5)参照]。
【0040】
また、同時刻t2において速度偏差Zは速度偏差しきい値VeOを上回っているため、速度偏差比較手段23の比較判定用フラグにHiが格納される[図7(5)、図7(6)参照]。
【0041】
このとき、開度漸減手段24では時定数τの選択がτ=0.0secからτ=0.5secに切り替わり、同時刻t2においてアクセルペダルの踏み戻しに対し、補正後のアクセル開度量は一次フィルタの過渡特性を示す。これによって過度の減速を抑えることができる[図7(2)、図7(7)参照]。
【0042】
時刻t3においてドライバーはアクセルペダルを再踏み込みし、変数Xには再踏み込み時の自車両の速度が格納される[図7(1)、図7(3)、図7(4)、図7(5)参照]。
【0043】
前述のように、変数Zに格納されている速度偏差の値が大きいほど、ドライバーはアクセルを踏み戻してから短い時間経過の間にアクセルを再踏み込みしやすいため、時刻t2と時刻t3の間は短くなる。
【0044】
時刻t4においてドライバーはアクセルを踏み戻す。これにより変数Y、Zが更新されるが、速度偏差Zは速度偏差しきい値VeOを下回っているため、速度偏差比較手段23の比較判定用フラグにLowが格納される[図7(4)〜図7(6)参照]。
【0045】
このとき、開度漸減手段6では時定数τの選択がτ=0.5secからτ=0.0secに切り替わるため、同時刻t4以降の補正後のアクセル開度量は、補正前のアクセル開度量がそのまま出力される。
【0046】
実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置は、以上の処理フローを実行することによって、アクセル踏み込み時の自車両の速度とアクセルを踏み戻した時の自車両の速度との速度偏差が所定値以上となり、ドライバーがアクセルを踏み戻した後アクセルを再踏み込みする確率が高いときに、アクセル開度量の時間的変化量を小さくする。これにより、アクセルを瞬時に踏み戻したとしても自車両の速度の落ち込みが小さくなり、以降のアクセルの踏み込み量を少なくすることや、アクセルを踏み込む機会を軽減できる。結果として車両の運動エネルギーの損失が少なくなり、燃費が向上する。
【0047】
なお、前記実施の形態1では、開度漸減手段24の時定数τを2値で切り替えるものについて説明したが、アクセル踏み込み時の速度とアクセル踏み戻し直前の速度との速度偏差と、一次フィルタの時定数が、例えば、図8に示す速度偏差と時定数の変換マップであっても差し支えない。このとき、ドライバーの運転特性に応じて適切にアクセル開度量を時間的変化させることができるため、自車両の速度の落ち込みを小さくすることができるので、更なる燃費の向上が見込める。
【0048】
また、アクセル踏み込み時の自車両の速度が0Km/hに近い場合(即ち、発進操作の場合)に限定すると、前記速度偏差とアクセルを再踏み込みする時間は図9に示すドライバー運転特性を有する。従って、自車両の発進を検出する手段を備える場合には、速度偏差しきい値VeO、若しくはアクセル開度量の時間的変化量を、より小さくすることにより、自車両の速度の落ち込みをより小さくすることができるので、更なる燃費の向上が見込める。
【0049】
因みに、実施の形態1の速度偏差比較手段23において、比較する対象にアクセル踏み込み時の自車両の速度とアクセル踏み戻し時の自車両の速度との速度偏差を用いて説明したが、これは速度偏差に限定されるものではない。例えば、図10(a)に図示するように、アクセルを踏み戻した時刻から第1の所定時間Ta前のアクセル開度と、第1の所定時間Taよりも以前の第2の所定時間Tb前のアクセル開度とのアクセル開度偏差についても、図10(b)に示すドライバー運転特性を有していることから、実施の形態1と同様の処理を行うことにより、燃費が向上することは言うまでもない。
【0050】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る車両エンジンの制御装置について説明する。図11は実施の形態2に係る車両エンジンの制御装置における補正手段の内部で実施される処理を説明する処理ブロック図である。図11において、補正手段30は、アクセル操作判定手段20、開度漸減手段24、および開度量比較手段25を備えており、これらについては、実施の形態1と同等の機能を有している。また、補正手段30は、相対加速度算出手段31、相対速度しきい値設定部32、相対加速度しきい値設定部33、および時定数算出手段34を備えている。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
【0051】
相対加速度算出手段31は、前方物体、例えば先行車との相対速度を用いて、先行車との相対加速度を算出する。なお、先行車との相対速度は、例えば電波レーダ(図示なし)を用いることによって検出できる。
【0052】
相対速度しきい値設定部32は、先行車との相対速度の比較対象となる相対速度しきい値を設定し、相対加速度しきい値設定部33は、先行車との相対加速度の比較対象となる相対加速度しきい値を設定する。時定数算出手段34は、相対速度しきい値設定部32で設定された相対速度しきい値と、先行車との相対速度の大小比較、および相対加速度しきい値設定部33で設定された相対加速度しきい値と、先行車との相対加速度の大小比較を行い、その結果から開度漸減手段6の時定数τを算出する。
【0053】
ここで、ドライバーがアクセルを踏み戻した後、短い時間経過の間にアクセルを再踏み込みする確率には、図12の関係がある。図12において、相対速度及び相対加速度は便宜上、+を離反方向、−を接近方向としている。
【0054】
ドライバーがアクセルを踏み戻したときの先行車との相対速度、相対加速度ともに離反方向にある場合(即ち、図12の領域I)、ドライバーがアクセルを再踏み込みする確率は高い。先行車との相対速度は離反方向にあるが、先行車との相対加速度が接近方向にある場合(即ち、図12の領域II)にも、ドライバーがアクセルを再踏み込みする確率は高い(但し、図12の領域Iと比較すると低い)。また、先行車の相対速度が離反方向にある場合(即ち、図12の領域III)については、先行車との相対加速度に関わらず、ドライバーがアクセルを再踏み込みする確率は低い。
【0055】
相対速度しきい値設定部32で設定される相対速度しきい値、および相対加速度しきい値設定部33で設定される相対加速度しきい値はこの特性を加味して設定される。なお、本実施の形態では、相対速度しきい値、相対加速度しきい値ともに0と設定している。
【0056】
実施の形態2に係る車両エンジンの制御装置は前記のように構成されており、次に、その補正手段30の各部で実行される処理フローについて図13のフローチャートを用いて説明する。なお、図13のフローは一定周期(例えば20msec)毎に繰り返し実行され、最新処理ループで取得するデータを今回値、前回処理ループで取得したデータを前回値として説明する。
【0057】
図13において、まず、ステップS20では、アクセル操作判定手段20において、アクセル開度量(今回値)を取得し、時定数算出手段34において、先行車との相対速度(今回値)を取得する。前述のように、先行車との相対速度は、例えば電波レーダを用いることによって検出できる。
【0058】
続いてステップS21では、相対加速度算出手段31において、先行車との相対加速度を算出する。先行車との相対加速度は、前記電波レーダによって検出した相対速度を微分演算することで求めることができる。
【0059】
続いてステップS22では、アクセル操作判定手段20によりアクセル踏み込み判定を行う。ここではアクセルペダルを踏んでいない状態から踏み込んだ状態への変化を検出することができる。
【0060】
ステップS22の条件を満足する場合にはドライバーがアクセルペダルを踏んだと判断できるので、ステップS26で時定数算出手段34は、開度漸減手段24の時定数τをリセットする(τ=0.0sec)。ステップS22の条件を満足しない場合にはステップS23を実行する。
【0061】
ステップS23では、アクセル操作判定手段20によりアクセル踏み戻し判定を行う。ここではアクセルペダルを踏み込んだ状態から踏み込んでいない状態への変化を検出することができる。
【0062】
ステップS23の条件を満足する場合にはドライバーがアクセルペダルを踏み戻したと判断し、時定数算出手段34は開度漸減手段24の時定数τを決定するための処理を実行し、続いてステップS24の処理を実行する。ステップS23の条件を満足しない場合には、開度漸減手段24の時定数τは前回値を保持する(ステップS29)。
【0063】
ステップS24の条件を満足する場合には、ドライバーが再踏み込みする確率が低いと判断できるので、ステップS26で時定数算出手段34は開度漸減手段24の時定数τを0.0secに設定する。
【0064】
ステップS24およびステップS25の条件を満足しない場合には、ドライバーが再踏み込みする確率が高いと判断できるため、ステップS28において、時定数算出手段34は開度漸減手段24の時定数τを1.0secに設定する(即ち、アクセル開度量の時間的変化を小さくする)。
【0065】
ステップS25の条件を満足する場合には、ドライバーが再踏み込みする確率が高いが、ステップS25の条件を満足しない場合と比較すると低いため、ステップS27において、時定数算出手段34は開度漸減手段24の時定数τを1.0secよりも小さい0.5secに設定する。
【0066】
ステップS30では次回の処理ループへ向けてアクセル開度量(今回値)、時定数τ(今回値)を夫々アクセル開度(前回値)、時定数τ(前回値)に代入する。
【0067】
図13のフローが完了すると、続いて実施の形態1で説明した図5のフローを実行することになるが、その説明は省略する。
【0068】
以上の処理フローの実行による各部の信号特性の一例を図14に示す。図14(1)はアクセル開度センサ1が出力するアクセル開度量を示し、図14(2)は自車両の速度を示している。また、図14(3)は先行車との相対速度、図14(4)は先行車との相対加速度、図14(5)はアクセル踏み戻し時の先行車との相対速度、および図14(6)はアクセル踏み戻し時の先行車との相対加速度をそれぞれ示している。更に、図14(7)は開度漸減手段24の時定数τを示し、図14(8)は開度量比較手段25が出力する補正後のアクセル開度量を示している。
【0069】
図14において、時刻t5では先行車との相対速度が0になり、ドライバーはアクセルペダルの踏み込みを開始する。開度漸減手段24の時定数τがリセットされる[図14(1)、図14(3)、図14(7)参照]。
【0070】
自車両の速度が上がり、先行車の速度も上がりながら時刻t6となり[図14(2)、図14(3)参照]、時刻t6において先行車が加速を始める[図14(2)〜図14(4)参照]。
【0071】
時刻t7において先行車は加速を続けており、相対速度、相対加速度共に離反方向にあるにも関わらず、自車両を運転するドライバーはアクセルを踏み戻す[図14(1)、図14(2)、図14(4)参照]。
【0072】
このとき、ドライバーがアクセルを踏み戻す原因の一つに、アクセルを長い期間踏み続けていることが挙げられる。特に経験の浅いドライバーはアクセルペダルを踏み続けながらアクセル開度量を調整することが不得手であり、アクセルを長い期間踏み続けたときには、一度アクセルを踏み戻し、直後に再踏み込みすることによってアクセル開度量を調整する傾向にある(即ち、アクセルを再踏み込みする確率が高い)。
【0073】
同じく、時刻t7においてアクセル踏み戻し時の先行車との相対速度が相対速度しきい値より大きく、アクセル踏み戻し時の先行車との相対加速度が相対加速度しきい値より大きいことから、開度漸減手段24の時定数τは1.0secに切り替わり、アクセルペダルの踏み戻しに対し、補正後のアクセル開度量は時定数τが1.0secの一次フィルタの過渡特性を示す。これによって過度の減速を抑えることができる[図14(2)、図14(5)〜図14(8)参照]。
【0074】
時刻t8においてドライバーはアクセルペダルを踏み込み、開度漸減手段24の時定数τがリセットされる[図14(1)、図14(7)参照]。
【0075】
時刻t9において先行車が減速を開始する[図14(3)、図14(4)参照]。
【0076】
時刻t10において自車両を運転するドライバーは、先行車との相対加速度が接近方向にあることを検出してアクセルを踏み戻すが、このとき先行車との相対速度は離反方向にある[図14(1)、図14(3)、図14(4)参照]。このとき、ドライバーはアクセルを踏み戻した後、短い経過時間の間にアクセルを再踏み込みしやすい。
【0077】
同じく、時刻t10においてアクセル踏み戻し時の先行車との相対速度が相対速度しきい値より大きく、アクセル踏み戻し時の先行車との相対加速度が相対加速度しきい値より小さいことから、開度漸減手段24の時定数τは0.5secに切り替わり、アクセルペダルの踏み戻しに対し、補正後のアクセル開度量は時定数τが0.5secの一次フィルタの過渡特性を示す。これによって過度の減速を抑えることができる[図14(2)、図14(5)〜図14(8)参照]。
【0078】
実施の形態2に係る車両エンジンの制御装置は、以上の処理フローを実行することによって、アクセル踏み込み時の先行車との相対速度と先行車との相対加速度に基づいて、ドライバーがアクセルを踏み戻した後アクセルを再踏み込みする確率が高いと判定したときに、アクセル開度量の時間的変化量を小さくする。これにより、アクセルを瞬時に踏み戻したとしても自車両の速度の落ち込みが従来に比べて小さくなり、以降のアクセルの踏み込み量を少なくすることや、アクセルを踏み込む機会を軽減できる。結果として車両の運動エネルギーの損失が少なくなり、燃費が向上する。
【0079】
なお、実施の形態2では、開度漸減手段24の時定数τを3値で切り替えるものについて説明したが、例えば先行車との相対速度と先行車との相対加速度に基づいて設定される時定数算出マップによって時定数τを決定しても差し支えない。このとき、ドライバーの運転特性に応じて適切にアクセル開度量を時間的変化させることができるため、自車両の速度の落ち込みを小さくすることができるので、更なる燃費の向上が見込める。
【産業上の利用可能性】
【0080】
この発明に係る車両エンジンの制御装置は、自動車に適用することにより、燃料消費量の削減、即ち、燃費の向上を図ることができるので、産業上の利用可能性は大である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置を示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置における補正手段の内部で実施される処理を説明する処理ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1係る車両エンジンの制御装置に利用するドライバーの運転特性を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置における開度漸減手段の時定数と速度偏差の関係図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置における補正手段の内部フロー図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置における補正手段の内部フロー図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置における信号特性図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る車両エンジンの制御装置における開度漸減手段の時定数と速度偏差の他の関係図である。
【図9】この発明の実施の形態1係る車両エンジンの制御装置に利用するドライバーの運転特性を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1係る車両エンジンの制御装置に利用するドライバーの運転特性を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る車両エンジンの制御装置における補正手段の内部で実行される処理を説明する処理ブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態2係る車両エンジンの制御装置に利用するドライバーの運転特性を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る車両エンジンの制御装置における補正手段の内部フロー図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る車両エンジンの制御装置における信号特性図である。
【符号の説明】
【0082】
1 アクセル開度センサ
2 ブレーキセンサ
3、30 補正手段
4 吸気用バルブ操作量演算手段
5 吸気用バルブアクチュエータ
20 アクセル操作判定手段
21 速度偏差算出手段
22 速度偏差しきい値設定部
23 速度偏差比較手段
24 開度漸減手段
25 開度量比較手段
31 相対加速度算出手段
32 相対速度しきい値設定部
33 相対加速度しきい値設定部
34 時定数算出手段
100 車両エンジンの制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルの踏み込みを検出してアクセル開度量を出力するアクセル開度センサと、
ブレーキの踏み込みを検出するブレーキセンサと、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量に基づいて吸気用バルブ操作量を算出する吸気用バルブ操作量演算手段と、
前記吸気用バルブ操作量演算手段により算出される吸気用バルブ操作量に基づいてエンジンへ吸入する空気量を調整する吸気用バルブアクチュエータと、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量を補正する補正手段と、
を備えた車両エンジンの制御装置において、
前記補正手段は、
前記アクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化を抑制する開度漸減手段と、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量演算手段から出力される吸気用バルブ操作量を第1の入力とし、前記開度漸減手段によって処理されたアクセル開度量または前記開度漸減手段によって処理された吸気用バルブ操作量を第2の入力として、前記ブレーキセンサがブレーキの踏み込みを検出している場合には、前記第1の入力を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力し、前記ブレーキセンサがブレーキの踏み込みを検出していない場合には、前記第1の入力と前記第2の入力の何れか大きい値を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力する開度量比較手段と、
前記アクセルを踏み込んだときの自車両の速度と前記アクセルを踏み戻した時の自車両の速度との速度偏差を算出する速度偏差算出手段と、
を備え、
前記開度漸減手段によって処理されるアクセル開度量の時間的変化量または前記開度漸減手段によって処理される吸気用バルブ操作量の時間的変化量を、少なくとも前記速度偏差に基づいて決定し、前記速度偏差が大きいほど、前記アクセル開度量の時間的変化量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化量を小さくすることを特徴とする車両エンジンの制御装置。
【請求項2】
前記自車両が発進したことを検出する自車両発進判定手段を備え、
前記自車両発進判定手段により自車両が発進したと判定された場合には、前記アクセル開度量の時間的変化量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化量を小さくすることを特徴とする請求項1記載の車両エンジンの制御装置。
【請求項3】
アクセルの踏み込みを検出してアクセル開度量を出力するアクセル開度センサと、
ブレーキの踏み込みを検出するブレーキセンサと、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量に基づいて吸気用バルブ操作量を算出する吸気用バルブ操作量演算手段と、
前記吸気用バルブ操作量演算手段により算出される吸気用バルブ操作量に基づいてエンジンへ吸入する空気量を調整する吸気用バルブアクチュエータと、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量を補正する補正手段と、
を備えた車両エンジンの制御装置において、
前記補正手段は、
前記アクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化を抑制する開度漸減手段と、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量演算手段から出力される吸気用バルブ操作量を第1の入力とし、前記開度漸減手段によって処理されたアクセル開度量または前記開度漸減手段によって処理された吸気用バルブ操作量を第2の入力として、前記ブレーキセンサがブレーキの踏み込みを検出している場合には、前記第1の入力を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力し、前記ブレーキセンサがブレーキの踏み込みを検出していない場合には、前記第1の入力と前記第2の入力の何れか大きい値を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力する開度量比較手段と、
前記アクセルを踏み戻した時刻から第1の所定時間前におけるアクセル開度と、前記第1の所定時間より以前の第2の所定時間前におけるアクセル開度とのアクセル開度偏差を算出するアクセル開度偏差算出手段と、を備え、
前記開度漸減手段によって処理される前記アクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化量を、少なくとも前記アクセル開度偏差に基づいて決定し、前記アクセル開度偏差が大きいほど、前記アクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化量を小さくすることを特徴とする車両エンジンの制御装置。
【請求項4】
アクセルの踏み込みを検出してアクセル開度量を出力するアクセル開度センサと、
ブレーキの踏み込みを検出するブレーキセンサと、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量に基づいて吸気用バルブ操作量を算出する吸気用バルブ操作量演算手段と、
前記吸気用バルブ操作量演算手段により算出される吸気用バルブ操作量に基づいてエンジンへ吸入する空気量を調整する吸気用バルブアクチュエータと、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量を補正する補正手段と、
を備えた車両エンジンの制御装置において、
前記補正手段は、
前記アクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化を抑制する開度漸減手段と、
前記アクセル開度センサから出力されるアクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量演算手段から出力される吸気用バルブ操作量を第1の入力とし、前記開度漸減手段によって処理されたアクセル開度量または前記開度漸減手段によって処理された吸気用バルブ操作量を第2の入力として、前記ブレーキセンサがブレーキの踏み込みを検出している場合には、前記第1の入力を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力し、前記ブレーキセンサがブレーキの踏み込みを検出していない場合には、前記第1の入力と前記第2の入力の何れか大きい値を補正後のアクセル開度量または補正後の吸気用バルブ操作量として出力する開度量比較手段と、
自車両と前方物体との相対速度に基づき、相対加速度を算出する相対加速度算出手段と、を備え、
前記開度漸減手段によって処理される前記アクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化量を、少なくとも前記相対速度および前記相対加速度に基づいて決定し、前記相対速度が離反方向または前記相対加速度が離反方向に大きいほど、前記アクセル開度量または前記吸気用バルブ操作量の時間的変化を小さくすることを特徴とする車両エンジンの制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−287503(P2009−287503A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142675(P2008−142675)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】