説明

車両キー持ち出し警報装置

【課題】車内に車両キーが存在しているにも関わらず、車両キーの持ち出し警報が誤って発せられてしまうそのような可能性を少しでも低減することが可能な車両キー持ち出し警報装置を提供すること。
【解決手段】ステップS3のアクセサリ状態且つイモビアンセット状態のままエンジン始動がなされずに所定の時間が経過すると、ステップS5においてアクセサリ状態が維持されるとともにイモビライザ機能がセットされる。そして、ステップS5のアクセサリ状態且つイモビセット状態でドアが開閉されると、ステップS6において照合一致履歴が参照される。そして、ステップS6において照合一致履歴が参照された結果、狭域照合一致履歴が存在するとき、電子キーの持ち出し警報に関する制御は実施されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照合開始条件が満たされたとき、車内キー照合が行われ、照合不一致となった場合に、車両キーの持ち出し警報が発せられる車両キー持ち出し警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両において、ユーザが所持する電子キーと車両に搭載された通信装置との間でキー照合に関する双方向通信を行い、その通信エリアに車両に適合する電子キーが存在している場合に、各種の車両制御を許容する、いわゆる電子キーシステムが適用されたものが知られている。ここに、この種の電子キーシステムが適用されていない従前の車両では、車両キーであるメカニカルキーがキーシリンダに差し込まれた状態で保持されていることを条件として、各種の車両制御が許容及び実行されるので、車両制御中に車両キーを車外へ持ち出すことはできない。これに対し、電子キーシステムが適用された車両では、車両キーである電子キーを所持しているだけで、その電子キーと車両側の通信装置との間での双方向通信を通じて、各種の車両制御が許容され、その後、車両制御の実行に際しては、車両キーが必ずしも必要とはされないので、車両制御中に車両キーを車外へ持ち出すことが可能である。そして、今回の車両制御中に車両キーが車外へ持ち出されると、次回の車両制御を許容させようとするに際して、それができなくなる虞がある。従って、照合開始条件が満たされたとき、車内キー照合が行われ、照合不一致となった場合に、車両キーの持ち出し警報が発せられる車両キー持ち出し警報装置なるものが各種提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−197649号公報(段落[0040]〜段落[0042]、[図3])
【特許文献2】特開2006−7976号公報(段落[0040]〜段落[0052]、[図2])
【特許文献3】特開2006−104664号公報(段落[0061]〜段落[0076]、段落[0081]〜段落[0084]、[図4])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両キーの持ち出し警報に関する車内キー照合は、車両側の通信装置から送信される呼び掛け信号に対する電子キーからの応答信号が前記通信装置で受信された場合に、車内エリアの何処かでの車両キーの存在が肯定され、また、応答信号が通信装置で受信されない場合に、車内エリアでの車両キーの存在が否定される態様となっている。このため、実際には車内に電子キーが存在している場合であっても、その電子キーが車両側からの前記呼び掛け信号に対する前記応答信号を送信できない態様で車内に存在しているときには、車両キーの持ち出し警報に関する車内キー照合が行われたところで、車内エリアでの車両キーの存在が否定され、この場合、車両キーの持ち出し警報が発せられる。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、車内に車両キーが存在しているにも関わらず、車両キーの持ち出し警報が誤って発せられてしまうそのような可能性を少しでも低減することが可能な車両キー持ち出し警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車内の広域エリアで車両キーの存在が肯定された場合に、車両キー電池駆動式のスマートイグニッション機能が有効とされてエンジン始動が許容されるとともに、車内の狭域エリアで車両キーの存在が肯定された場合に、車両キー無電池駆動式のイモビライザ機能が解除されてエンジン始動が許容されるセキュリティシステムに適用され、照合開始条件が満たされたとき、車内キー照合を行い、この車内キー照合では、前記広域エリアに呼び掛け信号を送信し、それに対する応答信号を受信できず照合不一致となった場合に、車両キーの持ち出し警報を発する制御手段を備える車両キー持ち出し警報装置において、前記制御手段は、前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されてエンジン始動が許容された履歴が存在するとき、当該エンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに所定の時間が経過して前記イモビライザ機能がセットされた後の段階で前記照合開始条件が満たされたことに伴う車内キー照合での照合不一致による前記持ち出し警報を無効化して当該警報を発しないことをその要旨としている。
【0007】
同構成によると、エンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに所定の時間が経過すると、イモビライザ機能がセットされ、その後の段階で照合開始条件が満たされたとき、車内の広域エリアで車内キー照合が行われる。そして、このときの車内キー照合に際して、車内の狭域エリアで車両キーの存在が肯定されてエンジン始動が許容された履歴が存在するとき、当該車内キー照合で照合不一致となった場合でも、車両キーの持ち出し警報は発せられない。即ち、車両キーが車両側からの呼び掛け信号に対する応答信号を送信できない態様で車内に存在している場合には、車両キーの持ち出し警報は発せられない。従って、車内に車両キーが存在しているにも関わらず、車両キーの持ち出し警報が誤って発せられてしまうそのような可能性を少しでも低減することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両キー持ち出し警報装置において、前記広域エリア又は前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定された場合に、エンジン始動操作として、ブレーキ操作されながらエンジン始動用の操作手段が操作されたことを条件として、エンジンが始動される一方、前記場合に、ブレーキ操作されずに前記操作手段が操作されたとき、車両の電源状態が電源オフ状態からアクセサリ状態へ遷移される前記セキュリティシステムに適用され、前記制御手段は、前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されてエンジン始動が許容された履歴が存在するとき、当該エンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに前記所定の時間が経過して車両の電源状態がアクセサリ状態且つ前記イモビライザ機能がセットされた後の段階で前記照合開始条件が満たされたことに伴う車内キー照合での照合不一致による前記持ち出し警報を無効化することをその要旨としている。
【0009】
同構成によると、車内の広域エリア又は車内の狭域エリアで車両キーの存在が肯定された場合、エンジン始動が許容されるが、前記場合に、ブレーキ操作されずにエンジン始動用の操作手段が操作されたとき、エンジンは始動されず、車両の電源状態が電源オフ状態からアクセサリ状態へ遷移されるに留まる。そして、この状態のまま所定の時間が経過すると、車両の電源状態がアクセサリ状態で維持されたままイモビライザ機能がセットされ、その後の段階で照合開始条件が満たされたとき、車内の広域エリアで車内キー照合が行われる。即ち、車両の電源状態がアクセサリ状態(=車両キーが車内に有るべき状況)で、照合開始条件が満たされた(=車両キーが車外へ持ち出された可能性を否定できない状況となった)という、車両キーの持ち出し警報に関する車内キー照合を実施するに相応しい状況下でそれが実施される。従って、車両キーの持ち出し警報に関する制御について、信頼性を向上できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両キー持ち出し警報装置において、前記広域エリアで車両キーの存在が肯定されたとき、広域照合一致履歴を記憶するとともに、前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されたとき、狭域照合一致履歴を記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、前記広域エリア又は前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されてエンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに前記所定の時間が経過して前記イモビライザ機能がセットされた後の段階で前記照合開始条件が満たされたとき、前記記憶手段に記憶されている照合一致履歴を参照し、前記記憶手段に狭域照合一致履歴が存在するとき、前記持ち出し警報を無効化することをその要旨としている。
【0011】
同構成によると、狭域照合一致履歴が存在するとき、車両キーの持ち出し警報が無効化され、照合開始条件が満たされたことに伴う車内キー照合で照合不一致となった場合でも、警報が発せられない。従って、車内に車両キーが存在している場合の誤警報を防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
本発明によれば、車内に車両キーが存在しているにも関わらず、車両キーの持ち出し警報が誤って発せられてしまうそのような可能性を少しでも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両キー持ち出し警報装置が適用される、本実施形態による構成の車両用のセキュリティシステムの構成を示すブロック図。
【図2】車内の広域エリア及び車内の狭域エリアを示す説明図。
【図3】電子キーの持ち出し警報に関する制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を車両用のセキュリティシステムに適用される車両キー持ち出し警報装置に具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、セキュリティシステム1は、車両ユーザが所持する電子キー2と、車両側に設けられるセキュリティ装置3とを備えるとともに、両者間で双方向通信が可能である。尚、前記電子キー2は、その所持態様から一般的に携帯機と称されている。
【0015】
電子キー2は、無線通信による受信機能及び無線通信による送信機能を有するとともに、受信アンテナ21、受信回路22、マイコン23、送信回路24、送信アンテナ25、トランスポンダ26を備えている。
【0016】
受信アンテナ21は、セキュリティ装置3から送信されてくるリクエスト信号を受信するための媒体である。受信回路22は、受信アンテナ21で受信されたリクエスト信号を復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号をマイコン23に出力する。
【0017】
マイコン23は、不揮発性のメモリ23aを備えるとともに、そのメモリ23aには、当該電子キー2に対して個別に設定されたIDコード(電子キー2のIDコード)が記憶されている。そして、マイコン23は、受信回路22からリクエスト信号に関する受信信号が入力されたとき、リクエスト信号に応答するために、電子キー2のIDコードを含む信号(IDコード信号)を生成するとともに、そのIDコード信号を送信回路24に出力する。
【0018】
送信回路24は、マイコン23から入力されたIDコード信号を所定周波数(本実施形態では312MHz)の電波に変調する。送信アンテナ25は、送信回路24で変調されたIDコード信号を送信するための媒体である。
【0019】
尚、電子キー2は、図示しない電池を備え、この電池から電力を賄って、リクエスト信号の受信からIDコード信号の送信に至る一連の動作を行う。
トランスポンダ26は、無電池での無線通信が可能なチップ電気部品であって、このトランスポンダ26には、当該トランスポンダ26に対して個別に設定されたトランスポンダコード、すなわちこのトランスポンダ26が内蔵された電子キー2に対して個別に設定されたトランスポンダコード(電子キー2のトランスポンダコード)が記憶されている。トランスポンダ26は、セキュリティ装置3から送信されてくるトランスポンダ起動用電波から電力を賄って、電子キー2のトランスポンダコードを含む信号(トランスポンダコード信号)を所定周波数(本実施形態では125KHz)の電波に変調してそれを送信する。
【0020】
セキュリティ装置3は、無線通信による送信機能及び無線通信による受信機能を有するとともに、送信回路31、送信アンテナ32、受信アンテナ33、受信回路34、給電回路35、送受信回路36、送受信アンテナ37、照合制御装置38を備えている。尚、本実施形態の車両では、車内通信ネットワークを介して各種制御装置が電気的に接続されている。以下、説明の便宜上、これら各制御装置の総称を照合制御装置と呼び、これを符号38で示す。後に詳述するが、この照合制御装置38は、各種の車両制御を許容するのに必要な電気的なキー照合に関するセキュリティ制御を主として行う。
【0021】
送信回路31は、照合制御装置38から入力されるリクエスト信号を所定周波数(本実施形態では125KHz)の電波に変調する。送信アンテナ32は、送信回路31で変調されたリクエスト信号を送信するための媒体である。
【0022】
ここで、送信アンテナ32からのリクエスト信号は、図2に示す車内の広域エリアA32に送信される。尚、本実施形態において車内の広域エリアA32は、車内の略全域に及んで且つ車外に殆ど及ばないエリアとして規定されている。そして、この車内の広域エリアA32において、電子キー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が可能である。即ち、車内の広域エリアA32にリクエスト信号が送信されている状態で、この広域エリアA32に電子キー2が持ち込まれたとき、その電子キー2でリクエスト信号が受信されて同電子キー2からIDコード信号が送信される。
【0023】
図1に戻って、受信アンテナ33は、リクエスト信号に対する応答信号として電子キー2から送信されてくるIDコード信号を受信するための媒体である。受信回路34は、受信アンテナ33で受信されたIDコード信号を復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号を照合制御装置38に出力する。
【0024】
給電回路35は、照合制御装置38から給電指令信号が入力されたとき、トランスポンダ起動用電波を生成するのに必要な電力を送受信回路36に供給する。送受信回路36は、照合制御装置38からトランスポンダ起動用の原信号が入力されたとき、給電回路35から供給される電力を用いて所定周波数(本実施形態では125KHz)のトランスポンダ起動用電波を生成する。送受信アンテナ37は、送受信回路36で生成されたトランスポンダ起動用電波を送信するための媒体である。
【0025】
ここで、送受信アンテナ37は、運転席の前方に設けられたパワースイッチ40に内蔵されたコイルアンテナよりなる。そして、送受信アンテナ37からのトランスポンダ起動用電波は、図2に示す車内の狭域エリアA37に送信される。尚、本実施形態において車内の狭域エリアA37は、運転席に座った状態で手が届くエリア、具体的には送受信アンテナ37から約20mm離れた地点までのエリアとして規定されている。そして、この車内の狭域エリアA37において、電子キー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が可能である。即ち、車内の狭域エリアA37にトランスポンダ起動用電波が送信されている状態で、この狭域エリアA37にトランスポンダ26が存在する態様で電子キー2が持ち込まれたとき、そのトランスポンダ26がトランスポンダ起動用電波から電力を賄い、同トランスポンダ26からトランスポンダコード信号が送信される。例えば、電子キー2がパワースイッチ40に対して翳されると、トランスポンダ26からトランスポンダコード信号が送信される。
【0026】
図1に戻って、送受信アンテナ37は、トランスポンダ26から送信されてくるトランスポンダコード信号を受信するための媒体である。そして、送受信回路36は、送受信アンテナ37で受信されたトランスポンダコード信号を復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号を照合制御装置38に出力する。
【0027】
照合制御装置38は、不揮発性のメモリ38aを備えるとともに、そのメモリ38aには、当該セキュリティ装置3が搭載されている車両に適合する電子キー2(=正規の電子キー2)のIDコードと同一のIDコード(基準IDコード)が記憶されている。また、同メモリ38aには、正規の電子キー2のトランスポンダコードと同一のトランスポンダコード(基準トランスポンダコード)が記憶されている。
【0028】
照合制御装置38は、ドアが開けられたとき、正規の電子キー2の所持者による乗車(車内の広域エリアA32に対する進入)を監視するため、後にドアが閉められたことを契機として、送信回路31にリクエスト信号を出力する。即ち、この場合、照合制御装置38は、車内スマート通信制御を実施する。その結果、送信アンテナ32から車内の広域エリアA32にリクエスト信号が送信される。また、照合制御装置38は、ドアが開けられたとき、正規の電子キー2の所持者によるパワースイッチ40に対する電子キー2の翳し操作(車内の狭域エリアA37に対する進入)を監視するため、後にドアが閉められたことを契機として、給電回路35に給電指令信号を出力するとともに、送受信回路36にトランスポンダ起動用の原信号を出力する。即ち、この場合、照合制御装置38は、トランスポンダ通信制御を実施する。その結果、送受信アンテナ37から車内の狭域エリアA37にトランスポンダ起動用電波が送信される。
【0029】
尚、照合制御装置38は、ドアが開けられたとき、後にドアが閉められたことを契機として、車内スマート通信制御とトランスポンダ通信制御とを時期をずらして交互に実施する。従って、送信アンテナ32から送信されるリクエスト信号と、送受信アンテナ37から送信されるトランスポンダ起動用電波とは、車内において互いに干渉しない。
【0030】
照合制御装置38は、車内スマート通信制御を実施したことに伴って、受信回路34からIDコード信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているIDコードと基準IDコードとが一致しているか否かを判断する。即ち、この場合、照合制御装置38は、車内スマート照合を実施する。そして、照合制御装置38は、この車内スマート照合により両IDコードが一致したとき、正規の電子キー2が車内の広域エリアA32に存在する旨を認識するとともに、広域照合一致履歴を前記メモリ38aに記憶する。また、照合制御装置38は、トランスポンダ通信制御を実施したことに伴って、送受信回路36からトランスポンダコード信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているトランスポンダコードと基準トランスポンダコードとが一致しているか否かを判断する。即ち、この場合、照合制御装置38は、トランスポンダ照合を実施する。そして、照合制御装置38は、このトランスポンダ照合により両トランスポンダコードが一致したとき、正規の電子キー2が車内の狭域エリアA37に存在する旨を認識するとともに、狭域照合一致履歴を前記メモリ38aに記憶する。
【0031】
照合制御装置38には、パワースイッチ40が電気的に接続されている。このパワースイッチ40は、押圧操作可能なボタンを備えたモーメンタリ式のプッシュスイッチよりなり、車両の電源状態を電源オフ状態からアクセサリ状態へ遷移させる等、車両の電源状態を電源オフ状態、アクセサリ状態、イグニッションオン状態のいずれかに選択的に切り換えるために操作される。尚、車両の電源状態がアクセサリ状態に遷移されているとき、カーオーディオ等のアクセサリ機器に対する通電が許容され、また、車両の電源がイグニッションオン状態に遷移されているとき、前記アクセサリ機器に加えて、カーエアコン等のイグニッション機器に対する通電が許容される。
【0032】
また、照合制御装置38には、ブレーキ操作を検出するためのブレーキスイッチ50が電気的に接続されている。そして、照合制御装置38は、正規の電子キー2が車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37に存在する旨を認識している状態で、パワースイッチ40が操作されたとき、ブレーキ操作が行われていることを条件として、エンジンを始動させる。即ち、車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定された場合に、エンジン始動操作として、ブレーキ操作されながらパワースイッチ40が操作されたことを条件として、エンジンが始動される。一方、車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定された場合に、ブレーキ操作されずにパワースイッチ40が操作されたとき、エンジンは始動されず、車両の電源状態が電源オフ状態からアクセサリ状態へ遷移されるに留まる。
【0033】
尚、アクセサリ状態でブレーキ操作されずにパワースイッチ40が操作されたとき、エンジンは始動されず、車両の電源状態がアクセサリ状態からイグニッションオン状態へ遷移される。そして、イグニッションオン状態でブレーキ操作されずにパワースイッチ40が操作されたとき、エンジンは始動されず、車両の電源状態がイグニッションオン状態から電源オフ状態へ遷移される。ちなみに、電源オフ状態のみならずアクセサリ状態やイグニッションオフ状態でブレーキ操作されながらパワースイッチ40が操作されたときにも、エンジンが始動されるとともに、車両の電源状態がイグニッションオン状態へ遷移される。そして、エンジン駆動状態でパワースイッチ40が操作されたとき、車速が略0であること、すなわち車両停車状態であることを条件として、エンジン駆動が停止されるとともに、車両の電源状態がイグニッションオン状態から電源オフ状態へ遷移される。
【0034】
このように本実施形態のセキュリティシステム1では、車内の広域エリアA32で電子キー2の存在が肯定された場合に、車両キー電池駆動式のスマートイグニッション機能が有効とされてエンジン始動が許容される。また、車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定された場合に、車両キー無電池駆動式のイモビライザ機能が解除されてエンジン始動が許容される。尚、本実施形態では、車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定されたことによりエンジン始動が許容されている状態を「イモビライザ機能が解除されている状態」と呼び、エンジン始動が許容されていない状態を「イモビライザ機能がセットされている状態」と呼ぶ。
【0035】
ところで、車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定された場合に、ブレーキ操作されずにパワースイッチ40が操作されたとき、車両の電源状態が電源オフ状態からアクセサリ状態へ遷移されるとともに、イモビライザ機能が解除される。そして、当該イモビライザ機能が解除されたまま、すなわちエンジン始動が許容されたまま、エンジン始動がなされずに所定の時間(本実施形態では30秒間)が経過すると、車両の電源状態がアクセサリ状態で維持されたままイモビライザ機能がセットされる。
【0036】
そして、当該イモビライザ機能がセットされた後の段階で、ドアが開けられたとき、前記照合制御装置38は、正規の電子キー2の車外への持ち出しを監視するため、後にドアが閉められたことを契機として、送信回路31にリクエスト信号を出力する。即ち、車両の電源状態がアクセサリ状態(=電子キー2が車内に有るべき状況)で、ドアが開閉された(=電子キー2が車外へ持ち出された可能性を否定できない状況となった)とき、すなわち電子キー2の持ち出し警報に関する車内キー照合の開始条件が満たされたとき、照合制御装置38は、前記車内スマート通信制御を実施する。その結果、送信アンテナ32から車内の広域エリアA32にリクエスト信号が送信される。尚、このときのリクエスト信号は、呼び掛け信号に相当する。
【0037】
そして、照合制御装置38は、このときの車内スマート通信制御を実施したことに伴って、受信回路34からIDコード信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているIDコードと基準IDコードとが一致しているか否かを判断し、両IDコードが一致したとき、車内の広域エリアA32での電子キー2の存在を肯定する。一方、照合制御装置38は、当該車内スマート通信制御を実施したにも関わらず、基準IDコードと同一のIDコードを含むIDコード信号に関する受信信号が受信回路34から入力されないとき、電子キー2が車外に持ち出されたと判断したことを条件として、電子キー2の持ち出し警報を発する。即ち、照合制御装置38には、メータマルチインフォメーション60及びメータホーン70といった視覚的或いは聴覚的な既存の警報手段が電気的に接続され、これらの警報手段によって、電子キー2の持ち出し警報が表示及び音で発せられる。
【0038】
次に、照合制御装置38によって実施される、電子キー2の持ち出し警報に関する制御について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
乗車に伴ってドアが開閉されたとき、セキュリティシステム1は、ステップS1において事前室内照合作動状態となり、車内スマート通信制御とトランスポンダ通信制御とが交互に実施される。そして、車内スマート照合でIDコードが一致したとき、メモリ38aに広域照合一致履歴が記憶され、トランスポンダ照合でトランスポンダコードが一致したとき、メモリ38aに狭域照合一致履歴が記憶される。
【0039】
そして、ステップS1において車内スマート照合が一致した後、ステップS2においてブレーキ操作されずにパワースイッチ40が操作されたとき、ステップS3において車両の電源状態が電源オフ状態からアクセサリ状態へ遷移されるとともにイモビライザ機能が解除される。また、ステップS1においてトランスポンダ照合が一致した後、ステップS2においてブレーキ操作されずにパワースイッチ40が操作された場合にも、ステップS3においてアクセサリ状態且つイモビアンセット状態となる。尚、これらのステップS3では、エンジン始動は許容されるが、エンジンは始動されない。
【0040】
一方、ステップS1において車内スマート照合及びトランスポンダ照合がいずれも不一致の状態で、ステップS2においてブレーキ操作されずにパワースイッチ40が操作されたとき、車内スマート通信制御とトランスポンダ通信制御とが交互に実施される。そして、ステップS4において車内スマート照合が実施された結果、IDコードが一致したとき、メモリ38aに広域照合一致履歴が記憶され、ステップS3においてアクセサリ状態且つイモビアンセット状態となる。また、ステップS4においてトランスポンダ照合が実施された結果、トランスポンダコードが一致したとき、メモリ38aに狭域照合一致履歴が記憶され、ステップS3においてアクセサリ状態且つイモビアンセット状態となる。尚、このときのステップS3でも、エンジン始動は許容されるが、エンジンは始動されない。
【0041】
そして、ステップS3のアクセサリ状態且つイモビアンセット状態のままエンジン始動がなされずに所定の時間(本実施形態では30秒間)が経過したとき、ステップS5において車両の電源状態がアクセサリ状態で維持されるとともにイモビライザ機能がセットされる。そして、ステップS5のアクセサリ状態且つイモビセット状態でドアが開閉されたとき、ステップS6においてメモリ38aの照合一致履歴が参照される。そして、ステップS6において照合一致履歴が参照された結果、メモリ38aに広域照合一致履歴が記憶されているとき、ステップS7において電子キー2の持ち出し警報に関する制御が実施される。即ち、ステップS7では、車内スマート通信制御が実施され、車内スマート照合でIDコードが一致した場合には、電子キー2の持ち出し警報が発せられないが、IDコードが一致しない場合には、メータマルチインフォメーション60及びメータホーン70を通じて警報が発せられる。
【0042】
一方、ステップS6において照合一致履歴が参照された結果、メモリ38aに狭域照合一致履歴が記憶されているとき、電子キー2の持ち出し警報に関する制御は実施されない。即ち、このような場合、車内スマート通信制御は実施されない。尚、このような場合において、車内スマート制御が実施され、車内スマート照合でIDコードが一致しないとき、照合不一致の結果が無効化され、結果的に警報が発せられない構成であってもよい。要するに、狭域照合一致履歴が存在する場合には、電子キー2の持ち出し警報が発せられない構成であればよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)エンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに所定の時間が経過すると、イモビライザ機能がセットされ、その後の段階で照合開始条件が満たされたとき、車内の広域エリアA32で車内キー照合が行われる。そして、このときの車内キー照合に際して、狭域照合一致履歴が存在するとき、当該車内キー照合で照合不一致となった場合でも、電子キー2の持ち出し警報は発せられない。即ち、電子キー2が車両側からの呼び掛け信号に対する応答信号を送信できない態様で車内に存在している場合には、電子キー2の持ち出し警報は発せられない。従って、車内に電子キー2が存在しているにも関わらず、電子キー2の持ち出し警報が誤って発せられてしまうそのような可能性を少しでも低減することができる。
【0044】
(2)車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定された場合、エンジン始動が許容されるが、前記場合に、ブレーキ操作されずにパワースイッチ40が操作されたとき、エンジンは始動されず、車両の電源状態が電源オフ状態からアクセサリ状態へ遷移されるに留まる。そして、この状態のまま所定の時間が経過すると、車両の電源状態がアクセサリ状態で維持されたままイモビライザ機能がセットされ、その後の段階で照合開始条件が満たされたとき、車内の広域エリアA32で車内キー照合が行われる。即ち、車両の電源状態がアクセサリ状態(=電子キー2が車内に有るべき状況)で、照合開始条件が満たされた(=電子キー2が車外へ持ち出された可能性を否定できない状況となった)という、電子キー2の持ち出し警報に関する車内キー照合を実施するに相応しい状況下でそれが実施される。従って、電子キー2の持ち出し警報に関する制御について、信頼性を向上できる。
【0045】
(3)車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定されてエンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに所定の時間が経過してイモビライザ機能がセットされた後の段階で照合開始条件が満たされたとき、メモリ38aに記憶されている照合一致履歴が参照される。そして、狭域照合一致履歴が存在するとき、電子キー2の持ち出し警報が無効化され、照合開始条件が満たされたことに伴う車内キー照合で照合不一致となった場合でも、警報が発せられない。従って、車内に電子キー2が存在している場合の誤警報を防止できる。
【0046】
(4)車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定された場合に、エンジン始動操作として、ブレーキ操作されながらパワースイッチ40が操作されたとき、エンジンが始動される。ここにエンジン始動が許容されたその根拠が車内スマート照合一致によるものであるのか、それともトランスポンダ照合一致によるものであるのかを区別して、それをエンジン始動後の車両制御に活用することが考えられる。しかし、そのような思想と、本構成による思想とは、本構成が、エンジン始動操作が行われないことを前提として、狭域照合一致履歴が存在する場合と、そうでない場合とを区別して、それをエンジン始動前の車両制御に活用している点で相違する。
【0047】
(5)電子キー2に電池切れが発生した場合のように、電子キー2が車両側からの呼び掛け信号に対する応答信号を送信できない態様で車内に存在している場合において、電子キー2の持ち出し警報が誤って発せられてしまうそのような可能性を少しでも低減することができる。
【0048】
(6)車両キー電池駆動式のスマートイグニッション機能が適用されていない車両のように、エンジン始動の度にトランスポンダ26による車両キー無電池駆動式のイモビライザ機能が用いられる車両に本構成を適用した場合においても、上記(5)と同様、誤警報を防止できる。
【0049】
(7)特許文献2に記載された車両キー持ち出し警報装置では、エンジン始動直後のようにエンジン回転数の変動が大きい場合や、走行中或いは走行直前或いは走行直後のようにエンジン回転数そのものが大きい場合には、イグニッションパルスのノイズの影響を回避できないと考え、この場合、車両キーの持ち出し警報を行わないようにしている。この点、特許文献2の[請求項4]〜[請求項6]及び段落[0012]〜段落[0014]等に記載され、また、段落[0014]には、上記走行中等の時期が携帯機が実際に持ち出されている可能性が低い時期であるから、警報が行われなくても大きな問題が生じない旨、記載されている。しかし、このような構成は、実際に携帯機が持ち出されたか否かを検証している訳ではなく、所詮そのときの環境が持ち出し判定制御にとって都合の悪いものであれば、たとえ判定すべき状況下であっても判定していないに過ぎず、これでは、そうした判定すべき状況下において、実際に持ち出された場合に警報を発することができなくなる虞がある。これに対し、本構成によれば、誤警報を回避できることに加えて、エンジン回転数に関わるイグニッションパルスのノイズの影響の有無を問わず、実際に電子キー2が持ち出された場合には、それを警報によって確実に報知することができる。
【0050】
(8)特許文献3に記載された車両キー持ち出し警報装置では、発電機のサージノイズに起因する誤警報を防止するべく、車両キーの持ち出し警報に関する車内キー照合を実施する際には、発電機の発電量を低下させるようにしている(特許文献3の[請求項1]、段落[0009]等を参照)。しかし、このような構成では、誤警報の防止を優先する余り、車内キー照合を実施する際、発電機の発電量が十分に得られず、発電機による発電電力を必要とする車載電装品の機能を十分発揮させるに至らなくなる虞がある。これに対し、本構成によれば、特許文献3記載の構成を併用する場合を除き、発電機の発電量を積極的に低下させる訳ではないので、いわゆるハイブリッド車に本構成を適用する場合において、充電不足による不都合を心配しなくてよい。
【0051】
尚、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・前記実施形態による構成では、メモリ38aに照合一致履歴が一つだけ記憶されることを前提としているが、複数の照合一致履歴がメモリ38aに記憶されることを前提として、次のようにしてもよい。即ち、エンジン始動が許容されている期間中に、新たに車内の広域エリアA32又は車内の狭域エリアA37で電子キー2の存在が肯定されたとき、各々の肯定根拠となった一又は複数の新たな照合一致履歴がメモリ38aに記憶されるようにしてもよい。同構成によると、エンジン始動が許容されたその根拠となった最初の照合一致履歴及び新たな照合一致履歴の中に、一つでも狭域照合一致履歴が存在するとき、電子キー2の持ち出し警報が無効化され、照合開始条件が満たされたことに伴う車内キー照合で照合不一致となった場合でも、警報が発せられない。従って、車内に電子キー2が存在している場合の誤警報を防止するにあたり、それを好適に実現できる。
【0052】
・エンジン始動が許容されている状態から当該エンジン始動が許容されなくなったことを契機として、メモリ38aに記憶されている照合一致履歴を照合制御装置38等の消去手段によって消去することが望ましい。同構成によると、エンジン始動が許容されている状態から当該エンジン始動が許容されなくなった(=電子キー2が必ずしも車内に有る必要のない状況となった)ことを契機として、照合一致履歴が消去される。そして、次回新たにエンジン始動が許容される場合、その根拠となる新たな照合一致履歴がメモリ38aに記憶され、それを含む照合一致履歴が参照されて電子キー2の持ち出し警報に関する制御が行われる。要するに、エンジン始動が許容された時点を始点とするとともに、当該エンジン始動が許容されなくなった時点を終点とするその期間中の照合一致履歴のみが参照されて当該警報に関する制御が行われるので、当該警報の信憑性を高めることができる。
【0053】
・電子キー2の持ち出し警報に関する車内キー照合の開始条件は、前記実施形態による構成のドアの開閉に代えて又は加えて、ウインドウガラスの開動作がなされたことであってもよい。或いは、いわゆるサンルーフやムーンルーフと称される天井窓の開動作がなされたことであってもよい。要するに、電子キー2がドアやガラス窓を通じて車外へ持ち出された可能性を否定できない状況となったとき、照合開始条件が満たされたものと判断し、当該車内キー照合が実施されればよい。尚、ガラス窓が開動作されずに、例えば割られる等して電子キー2が車外へ持ち出される点も否定できないので、いわゆるガラス割れ検出装置によりガラス割れが検出されたとき、照合開始条件が満たされたものと判断されてもよい。
【0054】
・電子キー2の持ち出し警報は、表示と音とが併用された前記実施形態による態様に限らず、表示及び音及び振動等の中から選択される少なくとも一つの態様によるものであればよい。
【0055】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記記憶手段は、エンジン始動が許容されている期間中に、新たに前記広域エリア又は前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されたとき、各々の肯定根拠となった一又は複数の新たな照合一致履歴を記憶し、
前記制御手段は、前記広域エリア又は前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されてエンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに前記所定の時間が経過して前記イモビライザ機能がセットされた後の段階で前記照合開始条件が満たされたとき、前記記憶手段に記憶されている照合一致履歴を参照し、前記記憶手段に狭域照合一致履歴が存在するとき、前記持ち出し警報を無効化する
請求項3に記載の車両キー持ち出し警報装置。
【0056】
同構成によると、エンジン始動が許容されたその根拠となった最初の照合一致履歴及び新たな照合一致履歴の中に、一つでも狭域照合一致履歴が存在するとき、車両キーの持ち出し警報が無効化され、照合開始条件が満たされたことに伴う車内キー照合で照合不一致となった場合でも、警報が発せられない。従って、車内に車両キーが存在している場合の誤警報を防止するにあたり、それを好適に実現できる。
【0057】
(ロ)請求項3又は上記(イ)に記載の車両キー持ち出し警報装置において、
エンジン始動が許容されている状態から当該エンジン始動が許容されなくなったことを契機として、前記記憶手段に記憶されている照合一致履歴を消去する消去手段をさらに備える
ことを特徴とする車両キー持ち出し警報装置。
【0058】
同構成によると、エンジン始動が許容されている状態から当該エンジン始動が許容されなくなった(=車両キーが必ずしも車内に有る必要のない状況となった)ことを契機として、照合一致履歴が消去される。そして、次回新たにエンジン始動が許容される場合、その根拠となる新たな照合一致履歴が記憶手段に記憶され、それを含む照合一致履歴が参照されて車両キーの持ち出し警報に関する制御が行われる。要するに、エンジン始動が許容された時点を始点とするとともに、当該エンジン始動が許容されなくなった時点を終点とするその期間中の照合一致履歴のみが参照されて当該警報に関する制御が行われるので、当該警報の信憑性を高めることができる。
【符号の説明】
【0059】
1…セキュリティシステム、2…携帯機とも称される電子キー(車両キー)、3…セキュリティ装置、21…受信アンテナ、22…受信回路、23…マイコン、23a…メモリ、24…送信回路、25…送信アンテナ、26…トランスポンダ、31…送信回路、32…送信アンテナ、33…受信アンテナ、34…受信回路、35…給電回路、36…送受信回路、37…送受信アンテナ、38…照合制御装置(制御手段)、38a…メモリ(記憶手段)、40…パワースイッチ(エンジン始動用の操作手段)、50…ブレーキスイッチ、60…メータマルチインフォメーション、70…メータホーン、A32…車内の広域エリア、A37…車内の狭域エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内の広域エリアで車両キーの存在が肯定された場合に、車両キー電池駆動式のスマートイグニッション機能が有効とされてエンジン始動が許容されるとともに、車内の狭域エリアで車両キーの存在が肯定された場合に、車両キー無電池駆動式のイモビライザ機能が解除されてエンジン始動が許容されるセキュリティシステムに適用され、
照合開始条件が満たされたとき、車内キー照合を行い、この車内キー照合では、前記広域エリアに呼び掛け信号を送信し、それに対する応答信号を受信できず照合不一致となった場合に、車両キーの持ち出し警報を発する制御手段を備える車両キー持ち出し警報装置において、
前記制御手段は、前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されてエンジン始動が許容された履歴が存在するとき、当該エンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに所定の時間が経過して前記イモビライザ機能がセットされた後の段階で前記照合開始条件が満たされたことに伴う車内キー照合での照合不一致による前記持ち出し警報を無効化して当該警報を発しない
ことを特徴とする車両キー持ち出し警報装置。
【請求項2】
前記広域エリア又は前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定された場合に、エンジン始動操作として、ブレーキ操作されながらエンジン始動用の操作手段が操作されたことを条件として、エンジンが始動される一方、前記場合に、ブレーキ操作されずに前記操作手段が操作されたとき、車両の電源状態が電源オフ状態からアクセサリ状態へ遷移される前記セキュリティシステムに適用され、
前記制御手段は、前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されてエンジン始動が許容された履歴が存在するとき、当該エンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに前記所定の時間が経過して車両の電源状態がアクセサリ状態且つ前記イモビライザ機能がセットされた後の段階で前記照合開始条件が満たされたことに伴う車内キー照合での照合不一致による前記持ち出し警報を無効化する
請求項1に記載の車両キー持ち出し警報装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両キー持ち出し警報装置において、
前記広域エリアで車両キーの存在が肯定されたとき、広域照合一致履歴を記憶するとともに、前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されたとき、狭域照合一致履歴を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記広域エリア又は前記狭域エリアで車両キーの存在が肯定されてエンジン始動が許容されたままエンジン始動がなされずに前記所定の時間が経過して前記イモビライザ機能がセットされた後の段階で前記照合開始条件が満たされたとき、前記記憶手段に記憶されている照合一致履歴を参照し、前記記憶手段に狭域照合一致履歴が存在するとき、前記持ち出し警報を無効化する
ことを特徴とする車両キー持ち出し警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−152817(P2011−152817A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14155(P2010−14155)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】