説明

車両乗員保護用エアバッグ装置

本発明は、事故の際に車両乗員を保護する車両乗員保護用エアバッグ装置であって、ガスでの膨張が可能とされ、保護される車両乗員のためにサイドエアバッグの形態で膨張してガスクッションを形成する少なくとも1つの膨張可能領域(1a,1b)と、前記膨張可能領域のうち、エアバッグ装置膨張状態で車両の側面構造部に直面して延在する少なくとも1つの第1材料層と、前記膨張可能領域のうち、エアバッグ装置膨張状態において前記第1材料層に対向する少なくとも1つの第2材料層と、エアバッグ装置を車両構造部に取り付けるべく当該エアバッグ装置に設けられる少なくとも1つの取り付けフラップ(4)と、を備えるエアバッグ装置に関する。本発明によれば、前記取り付けフラップ(4)は、前記膨張可能領域(1a,1b)とは別個の要素とされ、少なくとも2つの層で形成され、また少なくとも前記2つの層(40)の各々が接続線(46,46’,47,47’,48)を介して前記膨張可能領域(1a,1b)の材料層(10a,10b)に固定され、また前記取り付けフラップ(4)の層(40)はそれぞれ、前記接続線(46,46’,47,47’,48)まわりに可動される取り付け部(4a)を有し、前記取り付け部が前記エアバッグ装置を前記車両構造部に取り付ける機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の車両乗員を保護するためのエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイドエアバッグ装置の形態のそのようなエアバッグ装置は、特に車両乗員の上体部及び/又は頭部を保護する機能を果たし、例えば側面衝突のような衝突の際、上体部/頭部及び車両側面構造部、例えば車両の窓ガラス、或いは車両構造部の側方ピラー又はドアレールの衝突、及び/又は車両に侵入する障害物との衝突が阻止される。このため、エアバッグ装置は、ガスで膨張可能な少なくとも1つの領域を備え、当該領域は、その膨張状態において保護される乗員のためのガスクッションを形成し、この膨張可能な領域は、第1材料層(エアバッグ層)を備え、この第1材料層は、エアバッグ装置が膨張し車両に組み込まれた状態では、第2材料層(エアバッグ層)とともに、車両側面構造部の前方、例えば車両の窓ガラスに直面して延在し(正面に延在し)、第2材料層は、エアバッグ装置の膨張状態において第1材料層に、したがって例えば、保護される車両乗員の上体部/頭部及び車室空間に対向する。
【0003】
エアバッグ装置を基礎とした車両乗員保護用のそのような側部保護装置が一般的に知られている。1つの実施形態では、そのようなサイドエアバッグ装置は、例えば車両の前方シートに着座している乗員一人の頭部を保護するのみならず、更に複数の乗員、例えば並んで着座している保護する二人の情報を保護するための頭部保護装置としての機能、またWO2001/089884A1が参照されるように、側面窓ガラスの前方のみならず、車両の後面窓ガラスに直面して、例えばいわゆる車両のAピラーからBピラーを介してCピラー又はDピラーに至る車両長手方向に沿って延在するエアバッグ装置の形態の頭部保護装置としての機能を果たす。
【0004】
このため、頭部保護装置のみならず、更により一般的には、車体側部、例えばルーフフレーム、車両ドア又は車両シートに取り付け可能なエアバッグ装置の形態の側部保護装置が準備される。そのようなエアバッグ装置もまた、サイドエアバッグ(側面エアバッグ)とされる。
【0005】
特に、エアバッグ装置が、車両乗員の頭部を保護するサイドエアバッグ、すなわち、いわゆる頭部サイドエアバッグとして構成される場合には、通常は、エアバッグ装置の少なくとも1つの膨張可能領域が側面窓ガラスに直面して延在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明にかかる問題は、前述のタイプのエアバッグ装置を更に改良することに基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この問題は、請求項1の特徴を有するエアバッグ装置を提供することによって解決される。
【0008】
これにより、車体に、特には車体のうちルーフ縁部領域又は(ドア)レール領域に、或いは車両シートに、またエアバッグ装置の支持要素にエアバッグ装置を取り付けるために、(柔軟な材料からなる)取り付けフラップがエアバッグ装置から突出し、ここでは特に、エアバッグ装置での、特にガス包体領域での別個のフラップとして構成され、例えば縫い目及び/又は接着手段からなる接続線を介して固定される。このため、取り付けフラップは、複合層の取り付けフラップとされ、少なくとも2つの層を有し、該当する膨張可能なガス包体領域の2つの材料層のそれぞれに接続線を介して固定される。更に、取り付けフラップの複数の層は、取り付け部として設けられた一端部が該当する接続線まわりにそれぞれ折り畳まれ、これにより取り付け部は、エアバッグ装置を越えて突出し、またエアバッグ装置を車両構造部に取り付ける機能を果たす。
【0009】
エアバッグ装置を車両構造部(より詳しくは車両構造部の接続箇所)に連結するのに(柔軟な材料からなる)柔軟性フラップを用いると、(衝突による)外力及びエアバッグ装置の膨張可能領域の膨張で生じたエアバッグ装置の形状変化が起因となるエアバッグ装置の構成要素の移動が調整可能とされる。更に、各取り付けフラップとエアバッグ装置のうちの関連領域との間に荷重が導入された場合に、各取り付けフラップとエアバッグ装置のうちの該当する構成要素との間に接続箇所を適宜に形成することによって(例えば、曲線状の接続箇所/縫い目を使用することで)、非常に広い領域に荷重が導入され、また複数の方向に荷重が導入されるため、局部荷重が最大となるのが防止可能とされる。
【0010】
このため、各取り付けフラップの取り付け部は、特に、例えばエアバッグ装置の膨張時のような外力作用時に、エアバッグ装置に対して移動可能とされ、これにより、車両構造部とエアバッグ装置との間に導入される荷重導入角度が、各荷重関係に応じて(各取り付けフラップを介して)種々調整され、また特に、個別の荷重作用に応じて異なる角度での荷重導入が可能とされる。
【0011】
このため、取り付けフラップは、好ましくは、各取り付け部が各取り付けフラップの自由端部を接続線まわりに折り返すことによって形成され、また各取り付けフラップは、取り付け部によって車両構造部に取り付けられ、それぞれの場合に、(エアバッグ装置の膨張によって生じる)所定荷重が外部作用する所定平面、即ち該当するエアバッグ装置の、或いはより詳しくはエアバッグ装置のうち各取り付けフラップに割り当てられた膨張可能領域の主展開平面を形成する所定平面において本質的に移動する。
【0012】
このため、取り付け部は特に、エアバッグ装置の(或いは、より詳しくは、各取り付けフラップに割り当てられた膨張可能領域の)側方縁部又は側方境界部を越えて車両構造部に向けて突出し、これにより車両構造部への前記取り付け部の取り付けが容易になる。
【0013】
このため、取り付けフラップはそれぞれ、エアバッグ装置の残りの構成要素、特には該当する膨張可能領域とは別個の少なくとも1つの材料片によって形成され、材料片が前記接続線を介してエアバッグ装置に固定される。
【0014】
本発明の別改良によれば、エアバッグ装置の膨張可能領域2つのエアバッグ層はそれぞれ、特に布地部又はフィルム部の形態の一片構造(材料片)として形成されるエアバッグ部の構成要素を形成し、少なくとも1つの折り畳み線に沿って折り返され、これにより2つのエアバッグ層が互いに対向し、2つのエアバッグ層は、折り畳み線の外側で、例えば縫合、織り又は接着によって互いに取り付けられ、ガスクッションを形成するべく膨張可能とされたエアバッグ装置の膨張可能領域を規定する。
【0015】
二層又は二層以上の取り付けフラップについても同様とされ、当該取り付けフラップは、一片構造として形成された単一の材料片(又は材料部)からなるのが有利とされ、二層又は二層以上の取り付けフラップを形成するべく、(折り畳み線まわりに)少なくとも1回折り畳まれる。
【0016】
従って、2つのエアバッグ層又は取り付けフラップ層を一片で形成することによって、2つのエアバッグ層/取り付けフラップ層はそれぞれ、2つの層を互いに維持するべく、例えば縫い目又は接着手段のような別の接続手段を要することなく材料部/材料片の構成要素を直に形成する(一方で、縫い目のような部分を、前記層の間の別の接続箇所に、或いは別の構成要素に設けることができる)。エアバッグ部が布地部として形成される場合、布地層の形態の2つのエアバッグ層はそれぞれ、例えば(連続状の)布地部の一部を形成する。布地部として形成された取り付けフラップについても同様とされる。
【0017】
ここで、エアバッグ装置の少なくとも(ガスクッションの形態の)膨張可能領域が車両の側面窓ガラスの前方での頭部保護部として延在し、2つの別個のエアバッグ層がそれらの外側縁部に沿って単に接続されるのみならず、2つのエアバッグ層は更に、所定の折り畳み線に沿って折り返される単一のエアバッグ部の構成要素を形成することができ、2つのエアバッグ層は、エアバッグ装置の膨張可能領域を形成するべく互いの表面に配置される。エアバッグ装置が車両に組み付けられた状態に関しては、このときエアバッグ層の一方が車体側部の前方、特に側面窓ガラスの前方及び/又は車体側部に設けられた少なくとも1つのピラー(A、B、C又はDピラー)に配置される一方、別の反対側の材料層は、車室空間及び特に保護される車両乗員の頭部に対向する。
【0018】
各エアバッグ部が設けられる材料片(布地片)は、ここでは蝶形カットとされ、2つのエアバッグ層は、蝶の体の部分でつながるように折り畳み線で当接する羽根部分を形成し、互いに一体状に形成される。
【0019】
エアバッグ装置が車両に組み付けられた状態に関しては、(エアバッグ装置の上側縁部のような)折り畳み線が、特に車両の側方縁部に沿って延在する。
【0020】
特に、頭部保護の機能を果たすエアバッグ装置が複数の膨張可能領域を備え、膨張状態でそれぞれガスクッションを形成する場合、本発明の別の形態によれば、原則的にはエアバッグ領域を形成するエアバッグ部の蝶形構造に影響を受けないが、一方では少なくとも2つの膨張可能領域は、別個の膨張可能要素によって形成され、頭部保護装置の形態の独自のエアバッグ装置を形成するべく互いに接続され、また例えば流通接続され、これにより一方の膨張可能要素から別の膨張可能要素へのガスの流通が可能とされる。
【0021】
従って、2つの別個の膨張可能要素は、エアバッグ装置の2つの膨張可能要素とされ、それぞれ互いに独立して製造可能とされ、ガスで膨張可能な要素(エアバッグ領域)を形成するために、例えば任意の空間又は時間で分離する場合にも、その後に、エアバッグ装置を形成するべく適宜の接続要素での接続によって結合可能とされ、すなわち2つの膨張要素は、2つの別個のガスクッションによって形成され、互いに一体状には接続されず、別の(個別の)接続要素によって互いに接続される。
【0022】
本発明の形態によれば、エアバッグ装置は、組み立てキットの原理にしたがって、或いは複数の単一構成要素からなるモジュール構造にしたがって組み付け可能とされ、例えば布地のウェブからの型抜きによって、できる限り材料ロス抑えてカットされるように構成される。
【0023】
エアバッグ装置の組み立てに使用可能なモジュール部品として、特には、膨張可能なエアバッグ領域を形成するためのエアバッグ層と、エアバッグ領域を互いに接続するための接続チャンネルと、エアバッグ装置を車体に取り付けるための取り付けフラップと、エアバッグ装置を膨張時に規定の状態で張設するテンションバンドとが設けられる。更に、ガス発生器、ガス誘導要素及び防炎要素を収容し保持するモジュール要素を設けることができる。
【0024】
このため、エアバッグ装置は、規格化された複数の構成要素を組み合わせ可能とされ、これにより、各組み合わせが変更可能とされ、規格化された構成要素の限定数によって、製造されるエアバッグ装置の構造が大幅に変更可能とされる。このため、例えば一方ではノッチバック、他方ではハッチバックのような車両タイプが異なる変更例の場合には、エアバッグ装置のうち頭部保護の機能を果たす同一の構成要素が(車両長軸に沿って示されるように)前部に使用可能とされ、一方で各車両の変更例に対応して後部が変更される。
【0025】
本発明の一実施の形態によれば、エアバッグ装置の膨張可能領域を形成する個別の膨張可能要素は、別個の接続チャンネルを介して互いに接続される、当該接続チャンネルが複数の膨張可能要素にそれぞれ接続される。本発明の別形態によれば、複数の膨張可能要素は、接続部を介してガス誘導の形態で互いに接続され、膨張可能要素からそれぞれ突出し、例えば膨張可能要素と一体状とされる。更に、膨張可能領域とエアバッグ装置との間に流通接続を設けるべく、接続チャンネル又は接続部として形成された各接続領域の領域内又は領域上に別の接続管を配設することもできる。
【0026】
このため、膨張可能要素及び接続領域を形成するべく設けられる構成要素、取り付けフラップ、また場合によりテンションバンド等をそれぞれ、特に異なるサイズ及び形状で準備することが可能であり、必要とされる外形(輪郭)又は車両のタイプのそれぞれに応じてその中から選択される。
【0027】
更に、一方では前記構成要素は、折り畳み状態で準備可能とされ、また場合によっては収容体又は保護カバーによって取り囲まれ、或いは他方では、折り畳まれて収容体(カバー)に収容される前に、最初に準備された構成要素から頭部保護装置全体が組み合わせられる。
【0028】
エアバッグ装置のうち頭部保護装置としての機能を果たす個別の膨張可能要素(例えば、別個の膨張可能要素によって形成される)は、エアバッグ装置が車両に組み付けられた状態では、車両乗員の頭部保護効果を確実にするように垂直方向に延在し、例えば、実質的に側面窓ガラスの垂直線全体に沿って延在する。これと対照的に、エアバッグ装置の隣接する膨張可能領域を互いに接続する接続チャンネル又は接続部は、特に、車両乗員の頭部又は上体部の衝突が予期されない車両の車体領域に沿って延在する場合には、車両垂直軸に沿って非常に少ない範囲で延在可能とされる。このため、材料コストを更に低減させることが可能である。
【0029】
エアバッグ装置の個別の構成要素を接続するために、布地部の縫合の他に、異なる接続方法、特に単一の構成要素を互いに貼り付ける接着及び形状フィット接続が用いられ、更に、車両構造部の領域への(形状フィット)接続が形成可能とされる。更には、エアバッグ装置の個別の構成要素を接続するのに、クランプ、包帯、或いは別の接続手段を使用することができる。
【0030】
エアバッグ装置を車両構造部に取り付ける取り付けフラップが、別個の構成要素として膨張可能領域及び/又は接続部或いは接続チャンネルに、即ち例えば縫い目を介して固定されるのが有利とされる。取り付けフラップが接続用の縫い目のまわりに折り返され、したがって取り付け部がエアバッグ装置から所望の形態で突出し(またエアバッグ装置を越えて突出し)、またエアバッグ装置から突出する取り付け部が、例えば取り付け開口を介して車両構造部に取り付け可能とされることで固定が生じる。
【0031】
このため、接続線(特には、縫い目)は、エアバッグ装置の構成要素の縁部と本質的に平行に延在可能とされ、その接続線の領域に各取り付けフラップが配置され、或いは前記縁部に対して傾斜し、或いは曲線状の延在部分を備えることができる。曲線状の接続線又は縫い目は、特に傾斜状のタックとして構成され、取り付け部が各タックに対してどのように折り返されるかに応じて角度調節を自在とすることができる。これは、各取り付けフラップでの(時間的に変化する)荷重の割合に依存することができ、特には、現時に作用する荷重下で最適に延在し、最適な荷重伝達が確保される。
【0032】
前述のそれぞれの場合において、各取り付けフラップを二層以上とすることができ、それぞれの層が接続チャンネル又はエアバッグ部の膨張可能領域の材料層に固定される。二層以上の取り付けフラップを用いることで、取り付けフラップを介してエアバッグ装置を余分に固定することにより、更なる安全性が達成可能とされる。
【0033】
エアバッグ装置の内部又は外部に、エアバッグ装置の膨張可能領域を充填する機能を果たすガス発生器を配置することができ、外部に配置する場合には、ガス発生器は、ガス導出用接続管を介してエアバッグ装置と流通接続されなければならない。勿論、エアバッグ装置を迅速に膨張させるべく、複数のガス発生器を設けることもできる。
【0034】
エアバッグ装置の内部に少なくとも1つのガス発生器を配置する場合には、膨張可能領域にガス発生器を配置する以外に、特に、2つの膨張可能領域の間の(中央)配置を用いることができ、例えば、隣接する膨張可能領域を流通接続する接続領域に配置される。
【0035】
このとき、ガス発生器に関連する点火ケーブルは、例えば各接続領域の外へと延在方向に沿って延在し、外側包帯によって被覆される。
【0036】
エアバッグ装置の別構成要素として、特に2つの(隣接する)膨張可能要素の間にガス発生器を配置する場合には、ガス発生器を取り囲む(例えば、管状で本質的に形状が安定した)カバーは、ガス流分散器としての機能を果たし、それによってガス発生器から流出したガスは、エアバッグの膨張可能領域の全体に分散される。
【0037】
エアバッグの個別の膨張可能領域を異なる量のガスで充填するのが適切な場合、ガス流分散器から膨張するエアバッグ領域へとガスが流れる流出開口は、個別のエアバッグ領域へと強いガス流が異なる流量で形成されるようにそれらの流出領域に関して選択可能とされる。
【0038】
ガス発生器の周辺部において、ガス発生器から流出するガスによる損傷に対してエアバッグ材料を保護するべく、例えば保護層スリーブの形態、或いはガス発生器のまわりを取り囲む耐熱材料層又は被覆層を有する布地ホースの形態の防炎装置を設けることができる。
【0039】
本発明の更なる詳細及び有利な点は、図面に基づく以下の実施形態の記載によって明確化される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】車両乗員の頭部保護用のエアバッグ装置へと組み立て可能な組み立てキットの個々の構成要素を示す図である。
【図2】図1における構成要素から組み立てられたエアバッグ装置の一例を示す図である。
【図3】頭部保護装置を形成するべく組み立て可能なエアバッグ装置の構成要素を詳細に示す図である。
【図4a】頭部保護装置を形成するべく組み立て可能なエアバッグ装置の構成要素の第3の実施形態を示す図である。
【図4b】図4aの構成要素からなる頭部保護機能を有するエアバッグ装置を示す図である。
【図5a】頭部保護装置を形成するべく組み立て可能なエアバッグ装置の構成要素の第4の実施形態を示す図である。
【図5b】図5aの構成要素からなる頭部保護機能を有するエアバッグ装置を示す図である。
【図6a】頭部保護装置としての機能を有するエアバッグ装置の互いに支持可能な2つのモジュールを示す図である。
【図6b】図6aのモジュールが互いに支持された状態を示す図である。
【図7a】図6aに示す装置の変更例を示す図である。
【図7b】図6bに示す装置の変更例を示す図である。
【図8】組み立てキットの原理にしたがって組み付け可能なエアバッグ装置の2つの構成要素を互いに支持するための別の例を示す図である。
【図9a】組み立てキットの原理にしたがって組み付け可能なエアバッグ装置の組み付け要素のための接続手段の使用に関する実施形態を示す図である。
【図9b】組み立てキットの原理にしたがって組み付け可能なエアバッグ装置の組み付け要素のための接続手段の使用に関する実施形態を示す図である。
【図9c】組み立てキットの原理にしたがって組み付け可能なエアバッグ装置の組み付け要素のための接続手段の使用に関する実施形態を示す図である。
【図10a】エアバッグ装置に取り付けフラップを配置固定するための実施形態を示す図である。
【図10b】エアバッグ装置に取り付けフラップを配置固定するための実施形態を示す図である。
【図10c】エアバッグ装置に取り付けフラップを配置固定するための実施形態を示す図である。
【図10d】図10aの図面に基づく図10aから図10cの実施形態の別例を示す図である。
【図10e】図10aの図面に基づく図10aから図10cの実施形態の別例を示す図である。
【図11a】図10aの実施形態の第1の変更例を示す図である。
【図11b】図10bの実施形態の第1の変更例を示す図である。
【図11c】図10cの実施形態の第1の変更例を示す図である。
【図11d】図11aから図11cにおける実施形態の別例を示す図である。
【図11e】図11aから図11cにおける実施形態の別例を示す図である。
【図11f】図11aから図11cにおける実施形態の別例を示す図である。
【図11g】図11aから図11cにおける実施形態の別例を示す図である。
【図11c(1)】図11cの配置を外力負荷が異なる場合について示す図である。
【図11c(2)】図11cの配置を外力負荷が異なる場合について示す図である。
【図11c(3)】図11cの配置を外力負荷が異なる場合について示す図である。
【図11c(4)】図11cの配置を外力負荷が異なる場合について示す図である。
【図11c(5)】図11cの配置を外力負荷が異なる場合について示す図である。
【図12a】図10aから図10cの実施形態の第2の変更例を示す図である。
【図12b】図10aから図10cの実施形態の第2の変更例を示す図である。
【図12c】図10aから図10cの実施形態の第2の変更例を示す図である。
【図12d】図10aから図10cの実施形態の第2の変更例を示す図である。
【図13a】図10aから図10cの実施形態の第3の変更例を示す図である。
【図13b】図10aから図10cの実施形態の第3の変更例を示す図である。
【図13c】図10aから図10cの実施形態の第3の変更例を示す図である。
【図13d】図10aから図10cの実施形態の第3の変更例を示す図である。
【図14】図10aから図10cに示すタイプの取り付けフラップを有する頭部保護装置としての機能を果たすエアバッグ装置を示す図である。
【図15a】エアバッグ装置に取り付けフラップを配置固定するための別実施の形態を示す図である。
【図15b】エアバッグ装置に取り付けフラップを配置固定するための別実施の形態を示す図である。
【図16】頭部保護装置としての機能を果たすエアバッグ装置の2つの膨張可能領域に接続された接続チャンネルに、ガス発生器を配置するための一例を示す図である。
【図17a】エアバッグ装置のガス発生器から流出するガス流を分配するための円筒形状のガス流分散器の第1の実施形態を示す図である。
【図17b】エアバッグ装置のガス発生器から流出するガス流を分配するための円筒形状のガス流分散器の第2の実施形態を示す図である。
【図18a】ガス発生器から流出する高温ガスに対して、エアバッグ装置の接続チャンネルの布地を保護するための包装保護層の第1の実施形態を示す図である。
【図18b】ガス発生器から流出する高温ガスに対して、エアバッグ装置の接続チャンネルの布地を保護するための第1の実施形態の包装保護層を示す図である。
【図19a】図18aの配置においてガス発生器からのガス吐出後を示す図である。
【図19b】図18bの配置においてガス発生器からのガス吐出後を示す図である。
【図20a】ガス発生器から流出する高温ガスに対して、エアバッグ装置の接続チャンネルの布地を保護するための第2の実施形態の巻き付け保護層を示す図である。
【図20b】ガス発生器から流出する高温ガスに対して、エアバッグ装置の接続チャンネルの布地を保護するための第2の実施形態の巻き付け保護層を示す図である。
【図21a】断面が楕円形とされ、且つ同時にガス流分散器としての機能を果たす収容体を示す図である。
【図21b】断面が楕円形とされ、且つ同時にガス流分散器としての機能を果たす収容体を示す図である。
【図21c】断面が楕円形とされ、且つ同時にガス流分散器としての機能を果たす収容体を示す図である。
【図22】熱抵抗材料層を支持する布地管を有するエアバッグ装置の接続チャンネルの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1には、車両乗員用の頭部保護装置の形態のエアバッグ装置の製造に使用可能な構成要素の組み立てキットが示されている。
【0042】
これにより、i)においては、大きさ及び形状が異なる複数の材料層又は材料部品(エアバッグ層/エアバッグ部品)が示されており、当該材料層は、膨張状態においてガスクッションを形成するエアバッグ装置の膨張可能領域(「膨張領域」ともいう)を製造する機能を果たすことができる。これらエアバッグ層は、特に布地層(ないし繊維層)として構成され得る。エアバッグ層が本質的に矩形の設計とされるため、エアバッグ層は、例えば布地ロールのような材料ウェブ(織布)を最小の切片で打ち抜くことによって得ることができる。
【0043】
ii)に関し、異なる別の複数の材料層又は布地層が示されており、当該材料層は、エアバッグ装置のうち隣接する膨張可能領域を(流通)接続可能とする接続チャンネルを形成する機能を果たす。
【0044】
iii)においては、エアバッグ装置に張力を付与する機能を果たす複数のテンションバンドが示されており、このため当該テンションバンドは、例えばエアバッグ装置の異なる要素、及び/又は所定の車両構部と係合する。
【0045】
最後に、図中のiv)には、エアバッグ装置を車両構造部に取り付けるのに使用可能な複数の取り付けフラップが示されている。
【0046】
図1に示されるような、膨張可能な複数のエアバッグ領域用、及び膨張可能な複数のエアバッグ領域間の接続チャンネル用の材料層の形態の構成要素と、テンションバンド及び取り付けフラップの形態の構成要素から、例えばエアバッグ装置が使用される車両タイプに依存する要請に応える所定のエアバッグ装置を製造するため構成要素が選択される。
【0047】
図2には、図1に示されるタイプの構成要素から組み合わせられた頭部保護装置の形態のエアバッグ装置が示されており、前記構成要素は、例えば同様のエアバッグ装置を形成するべく、互いに縫合し及び/又は接着することによって、互いに接続されている。
【0048】
図2によれば、結果的に形成されるエアバッグ装置は、2つの膨張可能領域1a,1bを備え、エアバッグ装置が車両に組み込まれた状態では、当該膨張可能領域は、車両長軸xに沿って互いに離間し、また接続チャンネル2(接続領域)を介して互いに流通接続される(流体の流れに関し接続される)。従って、エアバッグ装置の膨張可能領域1a,1b及び接続チャンネル2は、図1中のi)及びii)に示される種類の材料層又は材料部品によって形成される。
【0049】
更に、取り付けフラップ3(「取り付け片」ともいう)は、エアバッグ装置の膨張可能領域1a,1bから、またそれらの接続チャンネル2から突出し、膨張可能領域1a,1b及び接続チャンネル2とは別個の要素とされ、より詳細には以下に記載されるように、適宜の方法によってエアバッグ装置の前記構成要素1a,1b,2に固定可能とされる。最後に、複数のテンションバンド4が設けられ、そのうちの1つは、エアバッグ装置の2つの膨張可能領域1a,1bを接続する機能を有し、またそのうちの別の2つは、車両構造部に関し膨張状態のエアバッグ装置に張力を付与し、またこれにより事故の場合に車両乗員を拘束するための最適条件が達成可能となるように、エアバッグ装置の膨張可能領域1a,1bのそれぞれを車両構造部に接続するよう構成されている。
【0050】
図2に示すエアバッグ装置は、予め一体化された構成要素の組み立てキットから形成され、当該構成要素は、エアバッグ装置の膨張可能領域1a,1b及び接続チャンネル2を形成するべく、一方では材料層又は材料部品(エアバッグ層/布地部)とされる。更に、それらとは別個の構成要素として、取り付けフラップ3及びテンションバンド4は、図2に示すエアバッグ装置を製造するための組み立てキットの構成部材とされる。
【0051】
図2によって、エアバッグ装置の2つの膨張可能領域1a,1bが、前記2つの膨張可能領域1a,1bの間に位置する接続チャンネル2よりも広範囲にわたり車両垂直軸zに沿って延在することが、更に明確化される。このため、エアバッグ装置の2つの膨張可能領域1a,1bのそれぞれは、事故の場合に車両乗員を保護するための広範囲のガスクッションを形成し、このガスクッションによって、特に、車両の少なくとも側面窓ガラスが広範囲で被覆可能とされる。これに対して、接続チャンネル2は、車両垂直軸zに沿って非常に狭い範囲に延在する。従って、接続チャンネル2は、エアバッグ装置が車両に組み付けられた状態では、車両乗員の衝突が予測されない有利な位置に配設される。
【0052】
その上、図2には、車両の側面構造部の部分、すなわち2つの側面窓ガラスFa,FbとともにAピラー、Bピラー及びCピラーが破線で示されており、(一部が)エアバッグ装置によって被覆されている。このため、エアバッグ装置の膨張可能領域1a,1bは、側面構造部のこれらの部分、すなわちガラスFa,FbをAピラー、Bピラー及びCピラーとともに被覆し、事故の際に車両乗員の頭部が当該部分に衝突可能とされる。
【0053】
具体的には、エアバッグ装置の2つの膨張可能領域1a,1bは、互いに分離されるように形成され、当該膨張可能要素はそれぞれ、図2に示すように、図1のi)に示される種類の2つの材料層又は布地層からなり、例えば互いに(例えば、縫合によって)接続されて、エアバッグのうちガスが充填可能とされる膨張可能領域をそれぞれ規定し、材料層のうちの1つが車両側面構造部、すなわち窓ガラスFa,Fb及びピラーA,B,Cを形成する構造部に対向し、また別の反対側の材料層は、車室空間、すなわち特に保護される車両乗員に対向する。
【0054】
1つの変更例として、互いに膨張可能領域を形成する2つの材料層又は布地層は、以下により詳細に記載されるように、一体状の材料片の構成部分又は材料部となり得る。
【0055】
図3には、図2における装置がより詳細に示されている。ここでは、膨張可能領域1a,1bにおいて、また同様に接続チャンネル2、テンションバンド3、及び取り付けフラップ4において、縫い目N(「接続線」、「接合線」ないし「継ぎ目」ともいう)を認めることができ、エアバッグ装置の個別の構成要素1a,1b,2,3,4を互いに取り付ける機能を果たす。
【0056】
このため、膨張可能領域1a,1bと接続チャンネル2とにおけるこの縫い目Nは、材料層又は布地層を互いに接続する機能も果たし、これによりそれぞれの膨張可能領域1a,1b又は接続チャンネル2が形成される。特には、これらは2つの布地層とされ、その布地層のうちの一方は、エアバッグ装置が車両に組み付けられた状態では、車両の側面構造部、すなわち特に、窓ガラス及び/又はピラーを形成する構造部のうちの1つに対向し、またその布地層のうちの他方は、車室内と、特に保護される車両乗員の頭部とに対向する。
【0057】
更に、図3には、タックAが認められ、エアバッグ装置の膨張可能領域1a,1bを形成する2つの材料層又は布地層は、圧着状態を形成するべくそのタックに沿って互いに接続される。このため、各膨張可能領域1a,1bは、膨張状態において車両乗員の最適保護を確保するように構成されている。
【0058】
更に、図3によれば、付加的な(膨張可能とされていない第3の)領域1c(船帆の形態)が設けられており、当該領域は、三角形状の材料片又は布地片から形成され、またしたがって特に車両の三角窓を被覆するのに適している。
【0059】
更に、図3に示されるように、別の船帆の形態の付加的な膨張可能とされていない領域1dが、接続チャンネル2の下方に選択的に配置可能とされ、エアバッグ装置の膨張可能領域1a,1bの一方が車両構造部の周辺に接続される。このため、該当する膨張可能領域1a,1bの境界部が膨張時に起立するのが回避可能とされ、これによって前記膨張可能領域1a,1bの壁部は、膨張に用いるガス発生器のガス流を形成可能とされる。このため、エアバッグ装置を膨張させるのに高温ガスを使用する場合に、特に点火式のガス発生器によって、そうでなければ危険に曝させる壁部の損傷を回避することができる。
【0060】
例えば、前述の図3、図4a及び図5aのように、エアバッグ装置の構成要素の一部が非接続状態で示されている図面では、ここで示されるタックA及び縫い目Nはそれぞれ、エアバッグ装置の個別の構成要素の接合後に、該当するタックA及び縫い目Nが存在する位置を示している。これらは、図3、図4a及び図5aに示される状態では、エアバッグ装置の個別の構成要素において未だ形成されていない。
【0061】
図4a及び図4bにおいて、頭部保護の機能を果たすエアバッグ装置の別実施の形態が示されており、図4aには前記エアバッグ装置の構成部品が個別に示されており、図4bにはこのエアバッグ装置が組み付け状態にて示されている。
【0062】
図4a及び図4bに示されている装置の特徴として、一片の材料片又は材料部品(特には、一片の布地片(布地部品))は、膨張可能なエアバッグ領域1a,1bを形成し、エアバッグ領域1a,1bの接続チャンネル2、及びガス発生器6の収容部5はそれぞれ、蝶形構造(バタフライ構造)を形成するように構成されている。これは、個別の材料片/材料部品はそれぞれ、2つの材料層、又はより具体的には布地層10a,10b,20又は50を備え、これらは本質的に同様の構成、すなわち所定の対称軸11,21又は51に関して鏡面対称とされ、その対称軸に沿って2つの層10a,10b,20,50が互いに接続される。従って、これら2つの層は、それぞれの材料片においては、外見上、蝶形状の羽部分を形成し、各対称軸11,21,51に沿って互いに一体状に形成される。
【0063】
また、エアバッグ装置を車両構造部、特にルーフの縁部領域に取り付けるための複数の取り付けフラップ4が設けられており、ここでは、これら取り付けフラップが鏡面対称とされる。更に、前記複数の取り付けフラップ4はそれぞれ、詳細には、以下に図10aから図15bによって説明される少なくとも1つの開口45を備えている。
【0064】
図4bによって明確化されるように、車両長軸xに沿って互いに離間した2つの膨張可能領域1a,1bを膨張させる機能を果たすガス発生器6が、ここでは柔軟な収容部5を使用して接続チャンネル2に配設され、この接続チャンネルが2つの膨張可能領域1a,1bをガス誘導ないしガス流通の形態で接続している。エアバッグ装置、特にエアバッグ装置の接続チャンネル2におけるガス発生器6の詳細配置は、図16から図22に示されており、また当該図面によって以下に説明される。
【0065】
図4a及び図4bの概要によって示されるように、膨張可能領域1a,1b及び接続チャンネル2を形成する材料片又は布地片は、それぞれ折り畳み線11又は21としての対称線に沿って一度折り返され、そしてその後に、縫い目Nを形成する外側境界部に沿って互いに縫い付けられ、これにより2つの膨張可能領域1a,1bは、前記膨張可能領域に接続される接続チャンネル2とともに、(流通)接続を形成する。
【0066】
従って、図4a及び図4bに示すエアバッグ装置が車両に組み付けられた場合には、対称軸又は折り畳み線11,21は、図2を参照すれば、車両の側方ルーフ縁部DKに沿って延在する。同様に、取り付けフラップ4は、前記対称軸又は折り畳み線11,21の領域において、膨張可能領域1a,1bに固定され(より詳細には、以下に図10aから図15bによって説明される)、可能な場合は接続チャンネル2に固定され、取り付けフラップ4を介して、車両への、特には車両の側方ルーフ縁部領域へのエアバッグ装置の取り付けが生じる。
【0067】
図5a及び図5bには、図4a及び図4bの実施形態の変更例が示されており、実際の本質的な相違点として、互いに離間した2つの膨張可能領域1a,1bを膨張させる機能を果たすガス発生器6は、接続チャンネル2には配置されず、2つの膨張可能領域1a,1bのうちのいずれか一方に配置されている。このため、ガス発生器6を収容する収容部は、境界を規定する縫い目Bによって前記膨張可能領域1aに形成されている。
【0068】
更に、図5aには、ガス発生器6用の保護層スリーブ8と包帯200が、それぞれ平坦状に広げられた状態で示されており、その機能の更なる詳細については、図18aから図20b、又は図16によってそれぞれ、以下に説明される。
【0069】
図4a及び図4bに示すエアバッグ装置の場合には、図5a及び図5bに示すエアバッグ装置の場合と同様に、エアバッグ装置の2つの膨張可能領域1a,1bは、接続チャンネル2と同様に、それぞれ材料片又は布地片から個別に製造可能とされ、この目的のために設けられた軸又は折り畳み線まわりに折り畳まれることによって、またその後に、結果として対向する材料層10a,10b又は20を互いに縫合することによって、或いたそれらを別の方法で接続することによって、膨張可能なエアバッグ領域又は接続チャンネルがそれぞれ形成される。このため、製造上の外観に関しては、できる限り直線状の縫い目を使用するのが有利とされる。その後、エアバッグ装置の予め組み付けられた構成要素は、例えば縫合によって、或いは、以下に更に詳細に説明されるいずれかの方法で、互いに接続される。
【0070】
同様に、図6aに示す装置では、一方ではエアバッグ装置の前側の膨張可能領域1aは、他方ではエアバッグ装置の後側の膨張可能領域1bと同様に、該当する接続チャンネル2との間でそれぞれモジュールを形成し、所定のモジュールは、取り付けフラップ4、及び圧着のためのタックAを含んでいる。これら2つのモジュールは、その後に形状フィットの形態(形状が互いに適合する形態)で接続され、この形態では、接続チャンネル2は、ループ13と第1の膨張可能領域1aの後側に設けられた凹部13aとに挿通され、図6bが参照されるように、その目的において設けられた第1の膨張可能領域1aの(環状に閉じられた)タック13bを有する前端部に対して拡張部23が係合する。このため、エアバッグ装置の第1の膨張可能領域1aでのループ13は、接続チャンネル2及び第1の膨張可能領域1aの相対的な位置を規定する。更に、第1の膨張可能領域1a及び接続チャンネル2は、縫い目又は別の接続手段によって接続可能とされる。
【0071】
図7a及び図7bには、図6a及び図6bの装置の変更例が示されており、実際の本質的な相違点では、図7aから図7bへの経過が参照されるように、第2のモジュールと一体化された接続チャンネル2を介して2つモジュールが接続される前に、2つのモジュールの膨張可能領域1a,1bはそれぞれ、既に(長尺状の)エアバッグ包体へと折り畳まれ、折り畳まれたエアバッグ包体として(ホース状の)保護カバーH内に配置されている。
【0072】
最後に、図8には、エアバッグ装置の膨張可能領域1aに接続チャンネル2を形状フィットの形態で配置するための別の可能性が示されており、ここでは接続チャンネル2が、膨張可能領域1aの貫通口14の縁部において拡張された端部24と係合し、当該貫通口を通じて前記接続チャンネル2が延在している。
【0073】
図9aから図9cには、エアバッグ装置の接続要素の別の変更例が示されている。
【0074】
図9aによれば、ガス発生器6から複数の取り付けボルト66が突出しており、これら取り付けボルトはそれぞれ、エアバッグ装置の第1の膨張可能領域1aにおいて、また所定のモジュールを形成するべく第2の膨張可能領域1bに結合されたエアバッグ装置の接続チャンネル2においても同様に、取り付け開口を通じて延在している。取り付けボルトに螺合するナットを使用することによって、第1の膨張可能領域1aと接続チャンネル2との間に、従ってガス発生器6の領域に接続チャンネル2を備えるモジュール全体に、所定の接続が形成される。
【0075】
図9b及び図9cによれば、エアバッグ装置のうち互いに離間する2つの膨張可能領域1a,1bはそれぞれ、2つの膨張可能領域1a,1bの他方に向けて配置される接続部12(接続領域)を備えている。これら2つの接続部12は、更に接続管120を使用することで2つの膨張可能領域1a,1bを連通する接続領域を、より具体的には、流体に関し連通する接続領域を互いに形成している。
【0076】
両接続部12は、環状(リング状)の取り付け要素27又は28によって接続管120に接続され、当該取り付け要素は、両接続部12の少なくとも1つの挿入状態において接続管120を環状の形態で取り囲み、このため各接続部12を接続管120に取り付ける。
【0077】
図9bに示す実施形態の場合には、取り付けリング27自体が2つの接続部12のそれぞれに係合しており、図9cに示す実施形態の場合には、1つの(単一の)取り付けリング28が、両接続部12を接続管120に取り付けている。
【0078】
図10aから図10cには、取り付けフラップ4の第1の実施形態が示されており、当該取り付けフラップは、図1から図7bに示される種類のエアバッグ装置を、車両構造部又は構造部のうちの該当する接続部分に取り付ける機能を果たす。
【0079】
図10aから図10cによれば、取り付けフラップ4はそれぞれ二層構造とされ、各取り付けフラップ4の(例えば布地層の形態の)2つの材料層40(互いに鏡面対称に構成されている)が、所定の対称軸又は蝶形状の原理の折り畳み線41に沿って互いに一体状に接続されており、これにより二層状の取り付けフラップ4はそれぞれ一片構造とされる。
【0080】
取り付けフラップ4がそれぞれ、エアバッグ装置のうち該当する構成要素、例えば膨張可能領域1a,1bのいずれか一方又は接続チャンネル2に固定されており、このとき取り付けフラップ4の2つの層40のそれぞれは、図4a及び図5aが参照されるように、対応する構成要素1a,1b,2の層10a,10b又は20に接続される。
【0081】
従って、取り付けフラップ4の各層40は、縫い目46(「接続線」、「接合線」ないし「継ぎ目」ともいう)を介してエアバッグ装置のうち該当する構成要素1a,1b又は2のうちの所定の層に固定され、当該縫い目は、図10aから図10cの実施形態では、エアバッグ装置のうち該当する構成要素1a,1b,2のそれぞれの対称軸又は折り畳み線11,21に対して(例えば45の角度で)傾斜状に延在している。取り付けフラップ4の各材料層40を、エアバッグ装置の構成要素1a,1b,2の該当する材料層10a,10b,20に接続するべく、前記縫い目46を形成した後には、取り付けフラップ4の2つの材料層40のそれぞれは、傾斜状に延在する前記縫い目46まわりに自由端部(取り付け部4a)において折り畳まれ、これにより複数の層40はそれぞれ、エアバッグ装置のうち該当する構成要素1a,1b,2の対称軸又は折り畳み線11,21の上方に自由端が配置される。
【0082】
取り付けフラップ4のうち取り付け部としての機能を有する自由端部4aはそれぞれ、取り付け開口45を備えており、2つの層40の取り付け開口45は、縫い目46まわりに折り畳まれた状態では、互いを被覆し、或いは互いに合致し、これにより例えばネジ又はリベットによる車両構造部への取り付けのための連続状(貫通状)の取り付け開口を形成する。
【0083】
このため、取り付けフラップ4はそれぞれ、図10c及び図14が参照されるように、エアバッグ装置のうち該当する膨張可能領域の外側境界又は外縁部(ここでは、折り畳み線11,21を形成する)を越えて取り付ける自由端部の形態の取り付け部4aが突出している。取り付けフラップ4において、車両構造部への取り付けのための各取り付け位置(取り付け開口45)は、折り畳まれた取り付け部4aに設けられ、折り畳み線11,21の形態の前記外側境界から離間している。
【0084】
図14には、図10aから図10cに示されている種類の取り付けフラップ4が、互いに離間して配置された2つの膨張可能領域1a,1bと、2つの膨張可能領域1a,1bを接続する接続チャンネル2を有するエアバッグに適用された場合が示されている。従って、前述の種類の取り付けフラップ4は、膨張可能領域1a,1bの両方に、また接続チャンネル2に、即ち、各構成要素1a,1b,2のうち、対称軸又は折り畳み線11,21によって典型的に形成される上縁部の領域に設けられている。
【0085】
図10d及び図10eのそれぞれには、図10aから図10cに示される取り付けフラップ4の変更例が、すなわち図10aのような取り付けフラップの(展開された)状態にて示されている。
【0086】
図10d及び図10eによれば、接続用の各縫い目46’(「接続線」、「接合線」ないし「継ぎ目」ともいう)は、エアバッグ装置の構成要素1a,1b,2のうち該当する材料層10a,10b,20に対し取り付けフラップ4の各材料層40を接続する機能を果たし、また曲線状の縫い目として形成されており、この縫い目46’は、図10dの場合には本質的にU字形として構成され、また図10eの場合には本質的にV字形として構成され、更に各縫い目46’は、取り付けフラップ4のうち取り付け開口45に向かう前側においてその延在部分が終了している。
【0087】
図11aから図11cには、図10aから図10cに示される装置の更なる別の変更例が示されており、実際の相違点としては、図11aから図11cによれば、取り付けフラップ4をエアバッグ装置のうち該当する構成要素1a,1b又は2に取り付ける縫い目47(「接続線」、「接合線」ないし「継ぎ目」ともいう)は、曲線状の縫い目として、ここで具体的には所定の環状経路に沿って円弧状の形態で延在する縫い目として形成されている。このため、取り付けフラップ4の2つの材料層40の自由端部を異なる折り畳み角度で折り畳むことができ、取り付け用の縫い目47の領域のまわりにおいて当該縫い目に依存して自由端部が折り畳まれる。
【0088】
図10aから図10eにおいて既に明確化されているように、縫い目は形成時に所定の局部領域にのみ設けられる場合があるため、接続用の縫い目46又は47のそれぞれは、(環状の)閉じた形状である必要はない。
【0089】
図11dから図11gには、図11aから図11cの取り付けフラップ4の変更例が示されており、実際の本質的な相違点としては、図11dから図11gに示す取り付けフラップ4は、全体として四層構造とされ、この場合においても取り付けフラップ4は一片構造とされ、従って全体として四層構造の取り付けフラップは、一体状の材料部(布地部分)の材料片を複合的に(2回)折り畳むことによって形成される。
【0090】
具体的には、図11dが参照されるように、第1の折り畳み軸又は折り畳み線41’に関して対称状に形成された材料部が用いられ、その材料部の前記対称軸又は折り畳み線41’まわりの折り畳み(折り返し)によって、1回折り畳まれ、従って二層のみの構造の図11eの材料部が形成され、当該図11eの材料部は、平面視が図11aに示された材料部と一致する一方で、図11aに示された材料部と対比して二層構造(一層構造ではない)とされる。その後、単一層の基部用として図11aから図11cによって前述されたように、図11eの二層構造の材料部に対して同様の折り畳みプロセスが適用され、図11eにしたがって、第1の対称軸又は折り畳み線41’に対して垂直に配置される第2の対称軸又は折り畳み軸41まわりに次の折り畳み工程が行なわれる。
【0091】
順次行なわれる折り畳みプロセスが、図11d及び図11eにおいてそれぞれ矢印P1又はP2で示されている。
【0092】
その折り畳み状態では、取り付けフラップ4は、更に取り付け用の縫い目47を介してエアバッグ装置のうち該当する構成要素1a,1b,2に取り付けられ、図11gのように四層に形成され、二重の層40のそれぞれは、エアバッグ装置の該当する構成要素1a,1b,2の材料層10a,10b,20への取り付け機能を有する。
【0093】
取り付けフラップ4を二層以上とする構成によって、負荷上昇にも対抗可能となるように更に強化される。特に、取り付けフラップ4の境界部で繊維が分離する危険が更に低減される。
【0094】
各取り付けフラップ4が割り当てられるエアバッグ装置の構成要素1a,1b,2が、対称軸又は折り畳み線を有する蝶形状の原理の構成要素でない場合には、構成要素1a,1b,2のうち車両のルーフ縁部に割り当てられる上側境界部/上側縁部の領域に各取り付けフラップ4が一般的に有利に取り付けられ、また、対応する縫い目46,47は、このときに(図10aから図10c又は図11aから図11cの実施形態においては、特に、対称軸又は折り畳み線によって形成される)各構成要素1a,1b,2の上側縁部に対して傾斜状又は曲線状に延在している。通常は、車両のルーフ縁部領域に割り当てられた頭部保護装置としての機能を果たすエアバッグ装置における任意の上側縁部とすることもできる。
【0095】
勿論、エアバッグ装置の別の領域、例えば側方縁部、又は車両床面に対向し、例えばエアバッグ装置への組み込み状態において車両ドアのドアレールの領域にある下側縁部に、取り付けフラップ4を設けることもできる。
【0096】
図11c(1)から図11c(5)には、図11cの取り付けフラップ4が、接続箇所、例えばエアバッグ装置の該当する構成要素にフラップ4を取り付ける縫い目47に対して、取り付け部4aとともに、この取り付け部4aの車両支持部への取り付け用の取り付け開口45を相対的に移動させた場合の異なる負荷状態にて示されている。
【0097】
従って、図11c(3)には、例えば衝突及びそれによるエアバッグ装置の膨張可能領域での膨張による過大な外力が作用しないような取り付けフラップ45の通常位置が示されている。この状態は、図11cに一致しており、ここでTは、この位置において接続用の縫い目47のうち(可能性として)特に負荷がかかる負荷作用領域を示しており、これは、取り付けフラップ4とエアバッグ装置のうちの該当する構成要素との間に、前記領域を介して所定の荷重が導入されることによって生じる。
【0098】
図11c(1)及び図11c(2)によって、取り付け開口45を接続用の縫い目47から離間するように移動させ、従って取り付け部4を傾斜させる傾向にある負荷が作用したときには、接続箇所又は縫い目47に沿った傾きによって接続縫い目47の負荷作用領域Tが増加し、従って、導入された荷重がより広範囲にわたって分散されることが明確化される(これは、接続用の縫い目47のうち負荷が作用している部位が取り付けフラップの対称軸又は折り畳み線41から離間するように移動し、同時に前記折り畳み線41に対する負荷が作用している縫い目部分Tの下り傾斜が小さくなるからである)。
【0099】
図11c(4)及び図11c(5)に示されるように、反対方向への負荷作用時に、取り付け部の傾斜によって取り付けフラップ4の取り付け開口45が接続縫い目47に接近する傾向の場合には、取り付け用の縫い目47の負荷作用領域Tは、それと対照的に対称軸又は折り畳み線41に向けて移動してより大きく傾斜する。この場合、導入さされた荷重は、取り付けフラップ4とエアバッグ装置のうち該当する構成要素との間の相対的に狭い範囲に集中し、従ってより強い荷重集中が発生する。
【0100】
その限りにおいて、一方がエアバッグ装置に他方が車両に装着される取り付けフラップ4は有利とされ、特定の(頻繁に生じる)衝突状況の場合に対応して、図11c(1)及び図11c(2)における所定の荷重導入がなされる。
【0101】
図11c(1)から図11c(5)によって示される、取り付けフラップ4での取り付け部4aの動作は、本質的に図14に示すエアバッグ装置の各膨張可能領域1a,1bの主展開平面に一致する所定平面において生じる。
【0102】
以下には、エアバッグ装置又は膨張可能領域を車両構造部に固定するための取り付けフラップの変更例が、図12aから図12d及び図13aから図13dによって示されており、図10aから図10e及び図11aから図11gとは対照的に、各取り付けフラップの自由端部の形態の折り畳み式の取り付け部4aを備えていない。一方で、図12aから図13dに示す種類の取り付けフラップを最終的には、前述の取り付けフラップと組み合わせて用いてもよく、例えばエアバッグ装置を車両構造部に取り付けるために、一方では図10aから図10e及び図11aから図11gに示される種類の折り畳み式の取り付け部4aを有する取り付けフラップが使用され、また更には図12aから図13dによって引き続き示される種類の取り付けフラップも使用される。
【0103】
図12aから図12dには、取り付けフラップ4の変更例が示されており、当該取り付けフラップは、膨張可能領域1の上側縁部11(例えば、対称軸又は折り畳み線の形態)、又はエアバッグ装置の他方構成要素に平行に延在する縫い目48(「接続線」、「接合線」ないし「継ぎ目」ともいう)によって固定され、すなわち一体状の二層の取り付けフラップ4の各層40は、エアバッグ装置のうち該当する構成要素の各材料層に固定される。このため、取り付けフラップ4は、その固定状態でループ(環状部分)を形成し、このループは、例えば取り付けボルト、ネジ又はリベットによって車両構造部への取り付けを可能とする取り付け開口45を有する。
【0104】
図10aから図10c及び図11aから図11cによって示される取り付けフラップとは対照的に、自由端部をその作用位置に設定するべく折り畳まれないが、図12aから図12dの取り付けフラップ4は、その2つの層40がそれぞれエアバッグ装置の該当する構成要素1に直に固定された後に所定の取り付け部を有し、当該取り付け部は、取り付け開口45を備え、且つ、前記構成要素1の上側縁部11を越えて突出し、取り付けフラップ4の折り畳み線41によって他の部位との間での範囲が定められる。
【0105】
図13aから図13dには、図12aから図12dの装置の変更例が示されており、実際の本質的な相違点として、取り付けループの形態の取り付けフラップ4の取り付けのために、ここでは所定の環状経路に沿って延在する円弧状の形態の曲線状の縫い目が用いられている。
【0106】
最後に、図15a及び図15bには、特に縫合による片面固定の取り付けフラップ4が示されており、当該取り付けフラップは、エアバッグ装置の(二層状の)構成要素1の上側縁部11の領域において前記構成要素1に取り付けられ、すなわちエアバッグ装置の前記構成要素1の2つの層10を互いに同時に接続し、このため前記構成要素1での圧着状態を規定する縫い目47’(「接続線」、「接合線」ないし「継ぎ目」ともいう)が使用される。ここでは、膨張可能なエアバッグ領域を形成する構成要素1を可能ならば折り畳んだ後に、取り付けフラップ4が接続される。
【0107】
図16には、例えば、前述の種類のエアバッグ装置の(接続チャンネルの)形態の接続領域の断面が示されており、そこにガス発生器6が配置される。ガス発生器6は、図21aから図21cにも示されるように、例えば金属材料からなる(ここでは寸法安定性を有する一方で柔軟構造も可能な)管状収容体7内に配置されている。管状収容体7は、ここでは管状のガス発生器として構成されるガス発生器6を取り囲み、これによりガス発生器6から放出されたガスは、最初に管状収容体7の内部へと流れ、その後に管状収容体の前面ないし端面にある前面側の流出開口を通じて軸方向に流出し、ここで例えば図21cに示されるような2つの前面側の流出開口71,72のそれぞれを、エアバッグ装置の膨張可能領域に割り当てることができる。
【0108】
ガス発生器6は、衝突の際にセンサ制御の形態でガス発生器6を点火可能とする点火ケーブル62用の電気接続部61を備えている。点火ケーブル62は、ガス発生器6の軸端部において電気接続部61から径方向(放射方向)に延在し、ガス発生器6及び管状収容体7を外れて、管状収容体7の外側の接続領域2によって囲まれた空間領域へと延在し、更に軸領域内へと延在している。接続チャンネル2を取り囲む包帯200によって、点火ケーブル62は、ガス発生器6を制御する電子制御機器との電気的接続を形成するべく、接続領域2によって囲まれた空間から外へシール状(気密状)に導出可能とされる。
【0109】
管状収容体7は、接続領域2とガス発生器6との間に配設されており、従って接続領域2自体は、この接続領域2を取り囲む包帯200とともに、ガス発生器6から突出する取り付けボルト66及びそれに関連するナットを介してガス発生器6に接続されており、これにより前記構成要素6,7,2,200によって所定の構造ユニットを形成する。
【0110】
図21aから図21には、ガス発生器6と、寸法的に安定した管形状又は円筒形状(樽形状)の収容体7とから形成されたアセンブリが再び詳細に示されており、すなわち図21aには2つの単一部材の形態が、図21b及び図21cには断面が長円形の管状収容体7が、ガス発生器6から突出する取り付けボルト66及びそれに関連するナットによって、ガス発生器6に取り付けられた組み付け状態が示されている。
【0111】
特に図21cによって明確化されるように、管状収容体7は、例えばガス発生器6自体と同様の長さを越えてガス発生器6の軸方向に延在しており、ガス発生器6の作動時に流出開口60を通じて流出したガスGをガス発生器の側方領域にて移送する機能を果たし、このとき管状収容体7によってガスが軸方向に偏向され、また従って2つの部分的なガス流に分散される。このとき、これら2つの部分的なガス流は、軸方向に関し互いに反対方向に円筒形状の収容体7の2つの対向する前面側の流出開口71,72の外へと形成され、そこから膨張されるエアバッグ装置の各領域へと流入可能とされる。
【0112】
図17a及び図17bには、管形状は円筒形状(樽形状)のガス流分散器71の2つの別実施の形態が示されており、それぞれの場合に、少なくとも1つの取り付けボルト66によってガス発生器6に取り付けられ、またガス発生器6から流出したガス流Gを、各流出開口71,71’又は72を通じてガス発生器6から流出する2つの部分的なガス流G1,G2に分散させる。従って、図17a及び図17bの場合において、各ガス流分散器71は、ガス発生器6の軸方向に関する全長を越えては延在していない。
【0113】
図17a及び図17bの実施形態は、一方では図17aの場合にガス発生器6の複数の流出開口60が当該ガス発生器の側面に設けられているのに対して、図17bの場合には、それら流出開口がガス発生器の前面ないし端面に設けられている点において互いに相違している。更なる別の相違点として、図17bの場合には、ガス流分散器71の前面側の2つの流出開口71’,72が異なる流出領域を備えており、これによりエアバッグ装置の2つの膨張可能領域が異なる量のガスで充填可能とされる。
【0114】
そのようなガス流分散器についての更なる詳細は、例えばWO/2007/062847 A1に記載されている。
【0115】
図18a及び図18bには、エアバッグ装置の接続チャンネル2に配置されたガス発生器が、防炎部又は高圧保護部としての保護層スリーブ8によって取り囲まれている装置が示されており、当該保護層スリーブが断面においてガス発生器6のまわりに螺旋状に巻き付けられている。保護層スリーブ8は、取り付けボルト66によって接続チャンネル2とともにガス発生器6に取り付けられている。
【0116】
図19a及び図19bには、図18a及び図18bに示す装置において、エアバッグ装置を膨張させるべくガス発生器6からガス流Gが流出する状態が示されており、保護層スリーブ8は、巻き出され、また接続チャンネル2の内面に対して外方へと押圧されている。
【0117】
これに関し、図18a及び図19aでは、保護層スリーブ8がガス発生器6及び接続チャンネル2とともに示されているのに対して、図18b及び図19bの斜視図では、明瞭化のために、保護層スリーブ8のみが、或いは取り付けボルト66とともに示されている。
【0118】
図20a及び図20bには、保護層スリーブ8の一実施の形態が示されており、その保護層スリーブは巻き付け状態において軸方向に突出する固定部85を備え、巻き付け状態の保護層スリーブが開裂継ぎ目8によって当該固定部に一時的に固定可能とされる。ガス発生器から流出したガスによって、図20a及び図20bの保護層スリーブ8に高圧化されたガス圧が作用した場合には、接続部が開裂継ぎ目86に沿って開裂する。これにより、図19a及び図19bによって説明されたように、保護層スリーブ8の巻き出し、及び径方向(放射方向)への展開が許容される。
【0119】
最後に、図22には防炎構造が示されており、この防炎構造は(接続チャンネルの形態の)接続領域2の内部に配置された布地ホース9によって達成され、その布地ホースは、その内面に耐熱材料層9aが設けられ、或いはその内面が耐熱材料層9aで被覆される。この布地ホースが、接続領域2の内側に配置されたガス発生器に対向する。
【0120】
前述の図面によって説明されたエアバッグ装置は、頭部エアバッグの変更例として構成可能とされ、或いは特に図16によって説明されたようなガス発生器の領域でシールされるシールシステムとしても構成可能とされる。
【0121】
製造に特に適した構成として、各組み立てキットの構成要素は、同時に接合可能とされ、またいわゆるポカヨケの特徴で製造可能とされる。
【0122】
上述のアセンブリは、例えば、点火型、ハイブリッド型、冷却型のガス発生器のような全てのタイプのガス発生器の原理において具現化が可能である。
【0123】
要約すれば、上述の実施形態は、取り付けフラップを使用した車両構造部への取り付けに関するものであり、取り付けフラップは、エアバッグ装置の膨張可能領域1a,1bに対して分離された複数の材料部(布地片)からなり、これら材料部は、(特には曲線状の)接続線を介して、エアバッグ装置、特にはエアバッグ装置のうちの該当する膨張可能領域1a,1bに接続される。このため、各取り付けフラップは、各取り付けフラップを車両構造部に接続(固定)する所定の取り付け部を備え、この取り付け部は、各取り付けフラップの自由端部を(取り付けフラップとエアバッグ装置の膨張可能領域との間の)該当する接続線まわりに折り畳む又は折り返すことによって形成され、これによりエアバッグ装置の側方境界部を越えて取り付け部が有利に突出する。
【0124】
このため、取り付けフラップの各取り付け部は、接続線の一端がエアバッグ装置に、また他端が車両構造部に常時に接続され、例えばエアバッグ装置の膨張結果のように外力が作用した状態とされ、異なる角度位置、即ち特にエアバッグ装置が延在する主平面に延在可能とされる。
【0125】
このため、エアバッグ装置は車両構造部の該当する接続点に対して相対動作可能とされ、その接続点に複数の取り付けフラップを介してエアバッグ装置が固定され、各取り付けフラップとエアバッグ装置との間に作用する荷重は、取り付けフラップとエアバッグ装置との間の各接続線において分散される。
【符号の説明】
【0126】
1a,1b 膨張可能領域(エアバッグ領域)
1c 領域
1d 領域
2 接続チャンネル(接続領域)
3 テンションバンド
4 取り付けフラップ
4a 自由端部(取り付け部)
5 収容部
6 ガス発生器
7 管状収容体
8 保護層スリーブ
9 布地ホース
9a 耐熱材料層
10 層
10a,10b 材料層(布地層)
11 対称軸(上側縁部)
12 接続部(接続領域)
13 ループ
13a 凹部
13b タック
14 貫通口
20 布地層
21 対称軸
23 拡張部
24 端部
27,28 取り付け要素(取り付けリング)
40 材料層
41,41’ 折り畳み線
45 (取り付け)開口
46,46’,47,48 縫い目(接続線)
50 布地層
51 対称軸
60 流出開口
61 電気接続部
62 点火ケーブル
66 取り付けボルト
71 流出開口(ガス流分散器)
71’,72 流出開口
85 固定部
86 開裂継ぎ目
120 接続管
200 包帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事故の際に車両乗員を保護する車両乗員保護用エアバッグ装置であって、
ガスでの膨張が可能とされ、保護される車両乗員のためにサイドエアバッグの形態で膨張してガスクッションを形成する少なくとも1つの膨張可能領域(1a,1b)と、
前記膨張可能領域のうち、エアバッグ装置膨張状態で車両の側面構造部に直面して延在する少なくとも1つの第1材料層(10a,10b)と、
前記膨張可能領域のうち、エアバッグ装置膨張状態において前記第1材料層に対向する少なくとも1つの第2材料層(10a,10b)と、
エアバッグ装置を車両構造部に取り付けるべく当該エアバッグ装置に設けられる少なくとも1つの取り付けフラップ(4)と、
を備え、
前記取り付けフラップ(4)は、前記膨張可能領域(1a,1b)とは別個の要素とされ、少なくとも2つの層で形成され、また少なくとも前記2つの層(40)の各々が接続線(46,46’,47,47’,48)を介して前記膨張可能領域(1a,1b)の材料層(10a,10b)に固定され、また前記取り付けフラップ(4)の層(40)はそれぞれ、前記接続線(46,46’,47,47’,48)まわりに可動される取り付け部(4a)を有し、前記取り付け部が前記エアバッグ装置を前記車両構造部に取り付ける機能を有することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエアバッグ装置であって、
前記取り付けフラップ(4)は、取り付け手段によって前記車両構造部に係合可能とされた少なくとも1つの取り付け開口(45)を備えることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアバッグ装置であって、
前記取り付けフラップ(4)は、一片構造の材料片から形成され、少なくとも2つの層(40)を形成するべく少なくとも1つの折り畳み線(41)まわりに当該材料が折り返されることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
前記取り付けフラップ(4)は、縫い目(46,46’,47,47’,48)を介してエアバッグ装置に固定されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
前記取り付けフラップ(4)は、例えば縫い目の形態の少なくとも1つの接続線(46,46’,47,47’)に沿ってエアバッグ装置に固定され、当該接続線は、前記エアバッグ装置が車両に組み込まれた状態では前記エアバッグ装置の上側縁部(11,21)に対し傾斜状に延在することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
前記取り付けフラップ(4)は、例えば縫い目の形態の少なくとも1つの接続線(46’,47,47’)を介してエアバッグ装置に固定され、当該接続線が曲線状の経路に沿って延在することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエアバッグ装置であって、
前記接続線(46’,47,47’)は、少なくとも環状経路の一部、特に円形状の経路に沿って延在することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項8】
請求項6に記載のエアバッグ装置であって、
前記接続線(46’)は、本質的にU字形又はV字形に延在することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項9】
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
前記取り付けフラップ(4)の取り付け部は、前記取り付けフラップ(4)をエアバッグ装置に固定する接続線(46,47,47’)まわりに可動され、これにより前記取り付け部がエアバッグ装置の縁部(11,21)を越えて突出することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項10】
請求項1から9のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
少なくとも1つの取り付けフラップ(4)が、エアバッグ装置のうち既に折り畳まれた膨張可能領域(1a,1b)に取り付けられていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
前記取り付けフラップ(4)の取り付け部(4a)は、前記接続線(46,46’,47,47’)に関し異なる角度位置での荷重作用時に移動可能となるように柔軟に構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項12】
請求項1から11のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
エアバッグ装置の膨張可能領域(1a,1b)の2つの材料層(10a,10b)はそれぞれ、一片構造のエアバッグ部の構成要素を形成し、少なくとも1つの折り畳み線(11)に沿って折り返され、これにより2つの材料層(10a,10b)は、互いに対向し、前記折り畳み線(11)の外側で互いに接続され、ガスクッションを形成するよう膨張可能な領域を規定することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項13】
請求項12に記載のエアバッグ装置であって、
前記折り畳み線(11)は、エアバッグ装置が車両に組み込まれた状態では、車両の側方ルーフ縁部(DK)に沿って延在することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のエアバッグ装置であって、
前記折り畳み線(11)は、各エアバッグ部が均等に広げられた状態で、前記エアバッグ部の対称軸を形成することを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項15】
請求項12から14のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
前記エアバッグ部の材料層(10a,10b)は、前記折り畳み線(11)の外側で縫合、接着又は織込みによって、互いに接続されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項16】
請求項12から15のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
前記エアバッグ部は、布地部として形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項17】
請求項12から16のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
前記エアバッグ部は、一体状に形成されたエアバッグ部とされ、前記エアバッグ部を構成する材料に関して別体でない接続手段を有し、当該接続手段を介して2つの材料層(10a,10b)が前記折り畳み線(11)に沿って互いに接続されることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項18】
請求項16ないし17に記載のエアバッグ装置であって、
前記エアバッグ部は、一体状の織り込み部として形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項19】
請求項12から18のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
少なくとも1つの取り付けフラップ(4)は、前記折り畳み線(11)の周辺で前記膨張可能領域(1a,1b)に固定されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項20】
請求項1から19のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
互いに離間する少なくとも2つの膨張可能領域(1a,1b)を備え、当該膨張可能領域は、互いに別個の要素として構成され、また接続領域(2,12)を介して互いに接続されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項21】
請求項20に記載のエアバッグ装置であって、
前記接続領域(2)は、二層状のエアバッグ部によって形成され、当該エアバッグ部の2つの材料層(20)が互いに一体状に形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項22】
請求項1から21のうちのいずれか一項に記載のエアバッグ装置であって、
衝突時に車両乗員の頭部を保護するために設けられ、
前記膨張可能領域(1a,1b)の少なくとも第1材料層(10a,10b)は、エアバッグ装置膨張状態で車両の側面窓ガラスに直面して延在し、前記膨張可能領域(1a,1b)の少なくとも第2材料層(10a,10b)は、膨張状態で前記第1材料層に対向することを特徴とするエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【図11e】
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【図11f】
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【図11g】
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【図11c(1)】
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【図11c(2)】
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【図11c(3)】
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【図11c(4)】
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【図11c(5)】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19a】
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【図19b】
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【図20a】
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【図20b】
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【図21a】
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【図21b】
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【図21c】
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【図22】
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【公表番号】特表2011−500437(P2011−500437A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530490(P2010−530490)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064726
【国際公開番号】WO2009/056595
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(594101503)タカタ・ペトリ アーゲー (146)
【Fターム(参考)】