説明

車両冷却システム

【課題】熱交換器1内に急激な温度差が発生することを避けて熱交換器1への熱衝撃を防止する。
【解決手段】冷却水を循環させて車両ユニット3を冷却する車両冷却システムであって、発熱体である車両ユニット3により暖められた冷却水を熱交換器1が冷却し、車両ユニット3及び熱交換器1の間で循環する冷却水が冷却流路7を流れ、熱交換器1を避けて車両ユニット3を循環する冷却水が迂回流路8を流れ、冷却流路7を流れる冷却水の流量と迂回流路8を流れる冷却水の流量との割合を三方弁5が調整し、熱交換器1内における冷却水の熱交換器内冷却水温度Trを熱交換器内温度センサ14が計測し、車両ユニット3から流出した冷却水の車両ユニット出口冷却水温度Tuoを車両ユニット出口温度センサ12が計測し、熱交換器内冷却水温度Trと第2の車両ユニット出口冷却水温度Tuoとの温度差に応じて三方弁5を制御部16が制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水を循環させて燃料電池などの車両ユニットを冷却する車両冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、例えば高温の流体がもつ熱エネルギーを低温の流体に伝える装置であり、例えばエンジンを冷却するラジエータがこれに当たる。また、近年において開発が行なわれている燃料電池車は、高効率の運転を行なうものの排気損失が小さいためガソリン車に比べて水放熱量が多く大型の熱交換器が用いられている。
【0003】
この熱交換器に流入する流体の温度が急激に変化した場合、大きな熱膨張あるいは熱収縮が生じて、熱交換器の部品に熱歪みが発生して部品に不具合を発生させる可能性がある。このような熱交換器に流入する流体の急激な温度変化(これを熱衝撃という)の対策として、特許文献1乃至3に記載されているような様々な技術的提案がなされている。
【特許文献1】特開2004−293982号公報
【特許文献2】特開2004−225990号公報
【特許文献3】特開2005−083647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1乃至3に記載された技術は、何れも熱交換器自体の構造によって熱衝撃に対する耐性を高めるものであって、熱交換器に流入する冷却水の温度を管理するものではない。つまり、熱交換器内の冷却水温度冷却対象となる車両ユニット出口の冷却水温度とから、熱交換器に熱衝撃が加わる可能性が高いか否かを判断して、熱交換器内の冷却水温度や熱交換器に流入する冷却水温度を制御するものではない。
【0005】
更に、燃料電池車に使用される大型の熱交換器において、当該熱交換器内に温度差が発生しやすくなって熱衝撃に対する耐性が良好ではなく、熱交換器のチューブ部分の長さも長くなるためチューブの伸び量が多くなり熱衝撃に対する耐性が良好ではない。これに対して、熱交換器の熱衝撃に対する耐性を考えて小型の熱交換器を車両に複数設置した場合、それぞれの熱交換器の効率が低く車両全体の冷却性能が成り立たなくなるため、少なくとも1つの熱交換器は高効率な大型熱交換器を設置しなければならない。しかし、大きさの異なる複数の熱交換器を設置する場合も、それぞれの熱交換器は大きさやそれぞれの熱交換器を通過する風量分布を考慮した冷却システムが考えられていなかったため、熱交換器の熱衝撃に対する性能を向上させることができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、熱交換器自体の構造に関わらず車両ユニットを冷却するための熱交換器への熱衝撃を抑制できる車両冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、冷却水を循環させて車両ユニットを冷却する車両冷却システムであって、発熱体である車両ユニットにより暖められた冷却水を熱交換器によって冷却し、車両ユニット及び熱交換器の間で循環する冷却水が冷却流路を流れ、熱交換器を避けて車両ユニットを循環する冷却水が迂回流路を流れ、冷却流路を流れる冷却水の流量と迂回流路を流れる冷却水の流量との割合を流量制御弁が調整し、熱交換器内における冷却水の第1の温度を第1の温度計測手段が計測し、車両ユニットから流出した冷却水の第2の温度を第2の温度計測手段が計測し、第1の温度と第2の温度との温度差に応じて流量制御弁を制御部が制御することである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係わる車両冷却システムによれば、第1の温度と第2の温度との温度差に応じて流量制御弁の開閉率を変化させることにより、冷却水を熱交換器側へ流して温度差を低く抑えて、熱交換器内に急激な温度差が発生することを避けて熱交換器への熱衝撃を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る車両冷却システムは、図1に示すように、熱交換器1と車両ユニット3の間で冷却水を循環させることにより発熱体である車両ユニット3を冷却するものである。車両ユニット3は、例えば燃料電池車における燃料電池などの発熱体や車両のエンジン等が含まれる。
【0011】
図1の点線の矢印は、冷却水流れ方向9を示す。車両ユニット3の冷却水出口に冷却水流路6aの一端が接続され、冷却水流路6aの他端は電子制御可能な三方弁5(流量制御弁)に接続され、三方弁5(流量制御弁)において冷却水流路6aは、冷却流路7と、迂回流路8(バイパス流路)とに分岐している。冷却流路7には熱交換器1が接続され、熱交換器1に空気を流すための冷却ファン2が熱交換器1に隣接して設置されている。冷却流路7を流れる冷却水は、熱交換器1内に流れることにより、空気によって冷却された熱交換器1との間で熱交換を行い冷却される。冷却流路7と迂回流路8とは合流して冷却水流路6bとなる。
【0012】
冷却水流路6bは車両ユニット3の冷却水入口に接続されている。これにより、冷却流路7には、車両ユニット3と熱交換器1との間で循環する冷却水が流れ、迂回流路8には、熱交換器1を避けて車両ユニット3を循環する冷却水が流れることになる。そして、三方弁5は、冷却流路7を流れる冷却水の流量と迂回流路8を流れる冷却水の流量との割合を調整する。なお、冷却水流路6a、6b、冷却流路7、及び迂回流路8は、通常の冷却配管を用いて形成すればよい。温調時において冷却水は主に冷却流路7を流れ、暖機時において冷却水は主に迂回流路8を流れる。
【0013】
温度センサ14は、熱交換器1内部に設置され、熱交換器内における冷却水の第1の温度(熱交換器内冷却水温度Tr)を計測する(以下、熱交換器内温度センサ14と呼ぶ。)。温度センサ12は、冷却水流路6aの車両ユニット3の冷却水出口付近に設置され、車両ユニット3から流出した冷却水の第2の温度(車両ユニット出口冷却水温度Tuo)を計測する(以下、車両ユニット出口温度センサ12と呼ぶ。)。また、温度センサ15は、冷却流路7上の熱交換器1の冷却水出口付近に設置され、熱交換器1から流出した冷却水の温度(熱交換器出口冷却水温度)を計測する(以下、熱交換器出口温度センサ15と呼ぶ。)。更に、温度センサ11は、冷却水流路6b上の車両ユニット3の冷却水入口付近に設置され、熱交換器1へ流入する冷却水の温度(車両ユニット入口冷却水温度Tui)を計測する(以下、熱交換器入口温度センサ11と呼ぶ。)。更に、温度センサ13は、熱交換器1の冷却水入口付近に設定され、熱交換器1に流入する冷却水温度を計測する。
【0014】
また、車両冷却システムは、冷却流路7と迂回流路8との合流点よりも下流側であって車両ユニット3よりも上流側、つまり冷却水流路6b上に、冷却水を循環させるための冷却水循環ポンプ4と、車両ユニット3に流入する冷却水(LLC)を暖めるLLCヒータ10(暖房機)とが設置されている。LLCヒータ10は、暖機の促進時や低外気温での起動補助時に一般的に使われているものである。
【0015】
制御部16は、車両冷却システム全体を制御するものであり、例えば、三方弁5の開度(流量割合)、冷却ファン2、冷却水循環ポンプ4、LLCヒータ10のオンオフ、駆動量を制御するため、制御信号CTRを送信する。
【0016】
制御部16による車両冷却システムの制御の流れを説明する。制御部16は、車両ユニット3を起動した後、三方弁5の冷却流路7側を閉じて、迂回流路8側を開とし、冷却水循環ポンプ4を動作させる。冷却水は熱交換器1を流れないため冷却されず、車両ユニット3は暖められる。そして、制御部16は、三方弁5及び冷却ファン2を制御することにより、車両ユニット入口冷却水温度Tuiまたは車両ユニット出口冷却水温度Tuoに応じて、車両ユニット3の温度が最適温度となるように冷却水を温調する。
【0017】
この冷却水の温調と同時に、制御部16は、車両ユニット出口冷却水温度Tuoから熱交換器内冷却水温度Trを差し引いた温度差△Tuo-rを演算し、当該温度差△Tuo-rが熱交換器1に熱衝撃を与える可能性がある実験値(例えば50℃、熱交換器1の構成に依存)以上になったら、冷却水の温調のために三方弁5を開き始めるより先に、車両ユニット入口冷却水温度Tui及び車両ユニット出口冷却水温度Tuoに関わらず、三方弁5を冷却流路7側へ少し開き、車両ユニット3により暖められた冷却水を冷却流路7側に流すことにより熱交換器1を暖める。
【0018】
そして、車両ユニット3の暖機が終了して、三方弁5が冷却流路7側へ開き始めた時に、温度差△Tuo-rが50℃よりも低くなるように制御する。例えば、熱交換器1自体が温度差△Tuo-rを50℃以下まで保証している構成である場合、温度差△Tuo-rが50℃以上の時に三方弁5を制御すれば問題ない。また、熱交換器入口冷却水温度Tui及び車両ユニット出口冷却水温度Tuoに拘わらず三方弁5を事前に開く開度は、システムの確認実験等によって決定するが、熱交換器1側に例えば20%から30%開けばよい。
【0019】
近年、開発が行なわれている燃料電池車では、高効率の運転を行なうものの排気損失が少ないためガソリン車に比べて水放熱量が多く大型な熱交換器1が使われる。熱交換器1が大型になると熱交換器1内に温度差が発生しやすくなるため熱衝撃に対する耐性が低下する。また、大型な熱交換器1を使用する場合、冷却水の温度変化によって熱交換器1を構成しているチューブの伸び量が大きくなることと車速や冷却ファン2によって得られる冷却風に偏分布が発生するため、通常の大きさの熱交換器1を使用する場合に比べて熱衝撃に対する耐性が低下する。第1の実施の形態では、熱交換器内冷却水温度Trと車両ユニット出口冷却水温度Tuoとの温度差△Tuo-rに基づいて三方弁5を制御して、熱交換器内冷却水温度Trと車両ユニット出口冷却水温度Tuoとの温度差△Tuo-rを小さくするように熱交換器内冷却水温度Trを制御して熱交換器1の熱衝撃を防止する。
【0020】
制御部16は、熱交換器内冷却水温度Trと熱交換器1に流入する車両ユニット出口冷却水温度Tuoとを計測して、冷却水温度の温度差△Tuo-rが大きく、熱交換器1内に急激な温度差が発生し熱交換器1に熱衝撃が発生する可能性があるか否かを判断する。可能性がある場合には、実際に車両ユニット出口冷却水温度Tuoが高くなって三方弁5を熱交換器1側に開ける開度を大きくすることにより三方弁5を車両ユニット3の温調のために熱交換器1側に動かすより先に、三方弁5を熱交換器1側に開けることができる。よって、熱交換器1内の冷却水温度を事前に高くする及び車両ユニット3の温度を事前に低くすることにより、車両ユニット出口冷却水温度Tuoと熱交換器内冷却水温度Trとの温度差が少なくなるため、熱交換器1の熱衝撃を抑制することができる。また、熱交換器1内に温度を計測するかわりに外気温センサ・吸入空気温センサ・熱交換器1周りの他の温度で熱交換器1内の温度を推定して、代用しても良い。
【0021】
図2を参照して、図1の車両冷却システムの制御の流れを説明する。
【0022】
先ずステップS1において、起動キーがONに操作されて、車両冷却システムが搭載された車両の車両用電源を起動すると、車両ユニット3を含む車両冷却システムが起動する。なお、車両用電源の起動によって、燃料電池システムも起動する。このとき、三方弁5は、車両ユニット3を暖機するために、冷却流路7側よりも迂回流路8側の開度が高くされる。次のステップS2において、車両ユニット入口冷却水温度Tui、車両ユニット出口冷却水温度Tuo(第2の温度)、熱交換器内冷却水温度Tr(第1の温度)を計測する。
【0023】
次のステップS3において、制御部16は、第2の温度(車両ユニット出口冷却水温度Tuo)から第1の温度(熱交換器内冷却水温度Tr)を差し引いた温度差△Tuo-rが、50℃よりも高いか否かを判断する。高い場合(ステップS3でYES)、ステップS4に進み、制御部16によって三方弁5を冷却流路7側へ20〜30%開かせ、車両ユニット3により暖められた冷却水を冷却流路7側に流す割合を高くすることにより熱交換器1を暖める。そして、ステップS5に進み、制御部16は、暖機の促進時や低外気温での起動補助時に使われるLLCヒータ10を起動し、その後、ステップS6に進む。
【0024】
一方、温度差△Tuo-rが、50℃よりも高くない場合(S3でNO)、ステップS4及びステップS5を実施せずにステップS6に進み、制御部16は、三方弁5及び冷却ファン2を制御することにより、車両ユニット入口冷却水温度Tuiまたは車両ユニット出口冷却水温度Tuoに応じて、熱交換器入口冷却水温度Tui又は車両ユニット出口冷却水温度Tuoが高いほど熱交換器1によって冷却水を冷却させて車両ユニット3を最適温度とするように冷却水を温調する。
【0025】
ステップS7に進み、制御部16は、起動キーがOFFに操作されることによって車両用電源が停止され、車両全体が駆動停止されたか否かを判断する。駆動停止されていなければ(ステップS7でNO)ステップS2に戻り、ステップS2〜ステップS6を繰り返し実施する。一方、駆動停止されれば(ステップS7でYES)、車両冷却システムの制御も終了する。なお、車両用電源の停止によって、燃料電池システムも停止する。また、制御部16は、温度差△Tuo-r<50℃になると三方弁5の熱交換器1側を閉じると同時にLLCヒータ10も停止する。
【0026】
このように、図2に示した制御の流れにおいて、車両の暖機中にステップS4で三方弁5を熱交換器1側に開くことにより、暖機中の冷却水が熱交換器1内を流れることにより冷却され、車両ユニット3の暖機時間に遅れが発生する。そこで、温度差△Tuo-r>50℃になった際、制御部16は、三方弁5を熱交換器1側に開くと同時に暖機の促進時や低外気温での起動補助時に使われるLLCヒータ10を起動する(ステップS5)ことにより、車両ユニット3の暖機時間の遅延を防止できる。
【0027】
また、三方弁5を車両ユニット3の温調のために熱交換器1側を開に動かすより先に、熱交換器1内の急激な温度変化を防止するために熱交換器1側に開けて熱交換器1内の冷却水温度を暖めることにより、車両ユニット3を流出した冷却水は熱交換器1により冷却され再び車両ユニット3に流入する。よって、車両ユニット3の暖機時間に遅れが発生する。そこで、車両冷却システムによれば、暖機の促進時や低外気温での起動補助時に使われるLLCヒータ10(暖房機)の発熱により冷却水を暖めることができるため、暖機の遅延を防止するとともに熱交換器1の熱衝撃を防止することができる。また、LLCヒータ10の起動により車両ユニット3(この場合は燃料電池)の発電要求が高まり車両ユニット3の暖機促進にも繋がる。
【0028】
更に、車両冷却システムによれば、LLCヒータ10が、熱交換器1から車両ユニット3へ冷却水が流れる冷却水流路6b上であって、冷却流路7と迂回流路8との合流点よりも下流側に設置されているため、暖機の遅延を効率的に解決することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図3を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を説明する。この車両冷却システムは、図1に比べて、暖房媒体流れ方向27で暖房媒体を循環させることにより車室内を暖房する暖房システム20と、暖房媒体から車両ユニット3に流入する冷却水へ熱を伝える中間熱交換器28とを更に備える。暖房システム20は、車室内の暖房媒体を暖めるヒータ22と、暖房媒体を循環させる循環ポンプ21と、暖房媒体の熱と外部の風とを熱交換するヒータコア23とを備え、ヒータ22、循環ポンプ21及びヒータコア23などを配管26によって連結して暖房媒体を循環させる。
【0030】
中間熱交換器28は、熱交換器1から車両ユニット3へ冷却水が流れる流路上であって、冷却流路7と迂回流路8との合流点よりも下流側の冷却水流路6bに設置されている。冷却水流路6bには、車両冷却システムの冷却水と暖房システム20の暖房媒体との間で熱交換を行うためのバイパス流路29が形成され、バイパス流路29と冷却水流路6bとの分岐点には三方弁30が設置され、冷却水の流量割合が制御される。中間熱交換器28は、バイパス流路29を流れる冷却水と配管26を流れる暖房媒体との間で熱交換を行う。配管26上の2カ所に暖房媒体温度センサ24,25がそれぞれ設置され、暖房媒体の温度を計測する。
【0031】
図4を参照して、図3の車両冷却システムの制御の流れを説明する。
【0032】
先ずステップS11において、車両用電源が起動すると、その後、ステップS12に進み、車両ユニット入口冷却水温度Tuiを計測し、車両ユニット出口冷却水温度Tuoを計測し、熱交換器内冷却水温度Trを計測して、制御部16で取得する。
【0033】
ステップS13に進み、制御部16は、車両ユニット入口冷却水温度Tui及び車両ユニット出口冷却水温度Tuoが、車両ユニット3の目標温度(最適温度)に応じた制御温度Tに対して十分に低いか否かを判断する。低い場合(ステップS13にてYES)ステップS14に進み、暖房媒体温度センサ24,25を用いて暖房システム20の暖房媒体温度Thを計測して、制御部16で取得する。
【0034】
そしてステップS15に進み、制御部16は、例えば暖房媒体温度センサ24,25で検知された温度値の平均値である暖房媒体温度Thが車両ユニット入口冷却水温度Tuiよりも高いか否かを判断する。高い時(Th>Tui)、ステップS16に進み、暖房システム20と車両冷却システムとの間で熱交換を行うために三方弁30を中間熱交換器28側に開き、暖房媒体から冷却水へ熱を伝えて車両ユニット3の暖機を促進する。つまり、中間熱交換器28を用いて暖房システム20の暖房媒体と車両冷却システムの冷却水との間で熱交換を行う。ステップS17に進み、制御部16は、LLCヒータ10も起動することによって冷却水を暖める。
【0035】
一方、ステップS15にて、Th>Tuiではなく高くないと制御部16で判断した時(Th<Tui)、ステップS16を避けてステップS17へ直接進む。その後、ステップS18に進む。更に一方、ステップS13にてNOである場合、ステップS18に進む。
【0036】
ステップS18において、温度差△Tuo-rが50℃よりも大きい場合(ステップS18にてYES)、ステップS19に進み、三方弁5を熱交換器1側へ20〜30%開ける。車両ユニット3の暖機中に三方弁5を開けるため冷却水の温度が下がる。そして、ステップS20に進み、Th>Tuiか否かを判断する。Th>Tuiである場合(ステップS20にてYES)、ステップS21に進み、制御部16によって、暖房システム20と車両冷却システムとの間で熱交換を行うための三方弁30を開き、暖機時間の遅延を防止する。ステップS22に進み、制御部16によってLLCヒータ10を起動する。その後、ステップS24に進む。
【0037】
一方、ステップS18にて温度差△Tuo-rが50℃より低い場合(ステップS18にてNO)ステップS23に進み、制御部16は、三方弁5及び冷却ファン2を制御することにより、車両ユニット入口冷却水温度Tuiまたは車両ユニット出口冷却水温度Tuoに応じて冷却水を温調する。その後、ステップS24に進む。
【0038】
ステップS24において、制御部16で起動キーがOFFに操作されることによって車両用電源が停止され、車両全体が駆動停止されたか否かを判断する。駆動停止されていなければ(ステップS24でNO)ステップS12に戻り、ステップS12〜ステップS23を繰り返し実施する。一方、駆動停止されれば(ステップS24でYES)、車両冷却システムの制御も終了する。
【0039】
車両ユニット3から流出した冷却水は熱交換器1により冷却され再び車両ユニット3に流入するため、車両ユニット3の暖機時間に遅れが発生する。車両冷却システムは、暖房システム20によって暖められた暖房媒体と熱交換器1により冷却された冷却水とが中間熱交換器28において熱交換させるため、車両ユニット3の暖機時間の遅延を防止するとともに熱交換器1の熱衝撃を抑制することができる。また、暖房システム20は、暖房媒体と冷却水の双方を暖めるために多くの電力を必要としながら働くため、燃料電池である車両ユニット3の暖機時間を短縮することができる。また、車両冷却システムの冷却水に対して暖房システム20の暖房媒体の温度が高い場合には、暖房システム20の暖房媒体により車両ユニット3の暖機を促進することができる。
【0040】
また、車両冷却システムによれば、中間熱交換器28が、熱交換器1から車両ユニット3へ冷却水が流れる流路上であって、冷却流路7と迂回流路8との合流点よりも下流側に設置されているため、暖機の遅延を効率的に解決することができる。
【0041】
更に、車両冷却システムによれば、熱交換器出口側の冷却水温度と暖房システムの冷媒温度を計測することができるため、それぞれの冷媒の温度関係により暖機の遅延を防止できる場合のみ中間熱交換器28で熱交換するため、暖房システム20の出力を抑えることができ、暖機時間の遅延も解決することができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図5を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を説明する。この車両冷却システムは、図1に比べて、熱交換器1よりも上流側に設置され、熱交換器1に流入する冷却水を冷却するサブシステム40を更に備え、車両ユニット3によって暖められた冷却水を熱交換器1に流入させる前にサブシステム40によって冷却する。その他の構成は、図1の車両冷却システムと同じである。
【0043】
サブシステム40としては、熱交換器1よりも小型の第2の熱交換器を用いる。第2の熱交換器の例としては、図6に示すように、プレートフィンタイプの熱交換器を用いることができる。なお、このタイプの熱交換器は、1本のチューブ42がフィン41に覆われて構成されているため、熱衝撃は起こらない。
【0044】
車両冷却システムの制御方法は、第1及び第2の実施の形態と同じであり、車両ユニット入口冷却水温度Tui及び車両ユニット出口冷却水温度Tuoから冷却水温度が高くなったと判断されるると、三方弁5を冷却流路7側へ開き、熱交換器1を流れる冷却水の流量割合を増加させる。車両ユニット3により暖められた冷却水は、図6に示すプレートフィンタイプの第2の熱交換器を通過して熱交換器1に流れ込むため、第2の熱交換器が設置されていない時に比べて熱交換器1に流入する冷却水温度は低くなり、熱交換器内冷却水温度Trと熱交換器1に流入する冷却水温度との温度差が小さくなり、熱交換器1の熱衝撃を抑制することができる。
【0045】
この車両冷却システムによれば、熱交換器1に流入する冷却水を冷却するサブシステム40が熱交換器1よりも上流側に設置され、車両ユニット3により暖められた冷却水を、サブシステム40により冷却させた後に熱交換器1内に流入させるため、熱交換器1内の急激な温度変化の発生を防止できるので、熱交換器1の熱衝撃を抑制することができる。
【0046】
また、車両冷却システムによれば、熱交換器1の上流に設置するサブシステム40として熱交換器1より小型な第2の熱交換器を設置しているため、熱交換器1には第2の熱交換器により冷却された冷却水が流入するため熱交換器1の熱衝撃を抑制することができると共に、熱交換器1を構成しているチューブの長さも短く第2の熱交換器における風量分布も発生し難いため、熱衝撃による部品の破損は起こりにくい。よって、熱交換器1及び第2の熱交換器の熱衝撃を抑制することができる。
【0047】
更に、車両冷却システムによれば、第2の熱交換器として熱衝撃が発生し難いプレートフィンタイプの熱交換器を設置しているため、熱交換器1と第2の熱交換器の熱衝撃を抑制することができる。
【0048】
なお、サブシステム40である第2の熱交換器は、図7に示すように、熱交換器1より小型なコルゲートフィンタイプの熱交換器を設置してもかまわない。このコルゲートフィンタイプの第2の熱交換器は、冷却流路7に接続されたチューブ42a間に扁平チューブ42bが複数設けられ、当該扁平チューブ42b間に蛇行状に曲げ加工されたコルゲートフィン43が収容されている。このような第2の熱交換器は、コルゲートフィン43に冷風が当てられることによって、当該コルゲートフィン43と各扁平チューブ42bとの間で熱交換を行う。
【0049】
また、車両冷却システム自体の構成は、図5と同じであるが、熱交換器1と第2の熱交換器の配置位置の関係は、図8に示すように、熱交換器1と第2の熱交換器を車両前後方向に設置し、熱交換器1の冷却ファン2などにより冷却風量が均一で速い場所44に第2の熱交換器を設置する。第2の熱交換器は小型なためチューブ42bの伸び量は少なく、風速分布が均一なため熱交換器1を構成しているそれぞれのチューブの伸び量も均一となり熱衝撃が発生しない。よって、熱交換器1にとっては、第2の熱交換器により冷却された冷却水が流入するため熱衝撃を抑制することができる。
【0050】
更に、図9に示すように、熱交換器1と第2の熱交換器を車両前後方向に設置し、第2の熱交換器は、それぞれのチューブに当たる冷却風量が均一になるように設置する。具体的には、第2の熱交換器(サブシステム40)の左側は風速が早い場所44、第2の熱交換器の右側は風速が遅い場所45に重なるように配置する。第2の熱交換器として横流れ型の小型熱交換器を設置しているため、全体のチューブの伸び量も少なく、熱交換器を構成しているそれぞれのチューブの伸び量が均一になるため第2の熱交換器に熱衝撃が発生しにくくなる。
【0051】
(第4の実施の形態)
図10を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を説明する。この車両冷却システムは、冷却流路7が、サブシステム(第2の熱交換器)40及び熱交換器1を流れる第1流路52と第2の熱交換器を避けて熱交換器1を流れる第2流路53とに分岐されたものとして構成されている。第2の熱交換器が設置される第1流路52と第2の熱交換器が設置されていない第2流路53との分岐点には、第2の三方弁を設置する。図10においては、第2の三方弁と図1の三方弁5とが一体となった四方弁51が配置されている。
【0052】
制御部16は、車両ユニット出口冷却水温度Tuoから熱交換器内冷却水温度Trを差し引いた温度差△Tuo-rに応じて四方弁51を制御して第1流路52と第2流路53(冷却流路7)と熱交換器1を通過しない迂回流路8との流量割合を調整する。四方弁51は、冷却水流路6aを流れる冷却水を、熱交換器1のみを通過する第1流路52と、熱交換器1を通過しない迂回流路8と、第2の熱交換器を通過する第1流路52とに分配する。その他の構成は、図5と同じであり、説明を省略する。
【0053】
この車両冷却システムは、先ず、車両ユニット出口温度センサ12により車両ユニット出口冷却水温度Tuoを計測し、熱交換器内温度センサ14により熱交換器内冷却水温度Trを計測する。制御部16は、車両ユニット出口冷却水温度Tuoから熱交換器内冷却水温度Trを差し引いた温度差△Tuo-rに基づいて熱交換器1に熱衝撃が発生する可能性が高いか否かを判断する。熱交換器1の熱衝撃発生の可能性が高い場合のみ、四方弁51を冷却水が第2の熱交換器を通過する第1流路52に向けて開く。そのため、熱交換器1には、第2の熱交換器によって冷却された冷却水が流入するため熱衝撃を抑制することができる。
【0054】
また、車両ユニット出口冷却水温度Tuoと熱交換器内冷却水温度Trとの温度差△Tuo-rが小さく、熱交換器1に熱衝撃が発生する可能性が低い場合、制御部16によって四方弁51を制御して、車両ユニット3の温調時には冷却水を第2流路53に流し、車両ユニット3の暖機時には冷却水を迂回流路8に流す。これにより、第2の熱交換器には冷却水が必要な時のみしか流さなくて良くなる。例えば、温度差△Tuo-r<50℃の熱衝撃に対する耐性は熱交換器1自体の部品で保証されているため、四方弁51を冷却水が第2の熱交換器を流れる流路へ向けて開くのは、温度差△Tuo-r>50℃の時で良い。
【0055】
このように、車両冷却システムは、熱交換器1に冷却水を通過させる第2流路53及び熱交換器1を通過させない迂回流路8の他に、熱交換器1の熱衝撃を防止するための第2の熱交換器を通過する第1流路52を更に形成して、これらの流路の間で流量分配を行う四方弁51を設ける。これにより、熱交換器内冷却水温度Trと車両ユニット出口冷却水温度Tuoとの関係により、熱交換器1に熱衝撃が発生する可能性が高い時、四方弁51の第1流路52側を開とすることにより、熱交換器1の熱衝撃を防止することができる。また、その他の時には、四方弁51の第2流路53側を開とすることにより第2の熱交換器をバイパスできるので第2の熱交換器を通過することによる圧力損失を防止することができる。
【0056】
(第5の実施の形態)
図11に示すように、第5の実施の形態に係る車両冷却システムは、図3と同様な構成を有する暖房システム20を用い、暖房システム20の低温の暖房媒体と熱交換器1に流入する冷却水との間で熱交換させて冷却水の温度を調整する。
【0057】
この車両冷却システムは、暖房システム20が設置される流路61と暖房システム20が設置されていない流路との分岐点に三方弁62(第2の三方弁)を設置し、流路61と暖房システム20の配管26との間に、暖房媒体と冷却水との間で熱交換させるための第2の中間熱交換器63を配置する。制御部16は、車両ユニット出口冷却水温度Tuo、熱交換器内冷却水温度Tr及び暖房媒体の温度に基づいて三方弁62を制御する。
【0058】
制御部16による車両冷却システムの制御の流れを説明する。
【0059】
先ず、熱交換器内温度センサ14で熱交換器内冷却水温度Trを計測し、暖房媒体温度センサ24,25で暖房システムの暖房媒体温度Thを計測し、熱交換器入口冷却水温度センサ13で熱交換器入口冷却水温度Triを計測する。熱交換器入口冷却水温度Triから熱交換器内冷却水温度Trを差し引いた温度差△Tri-r(=Tri-Tr)が50℃よりも大きい場合、暖房媒体温度Thと熱交換器入口冷却水温度Triとの温度を比較する。Th<Triの時は、暖房システム20の暖房媒体と冷却水とを熱交換するための三方弁62を第2の中間熱交換器63側に開くことにより熱交換器入口冷却水温度Triを下げ、温度差△Tri-rを小さくできるため熱交換器1の熱衝撃を抑制することができる。
【0060】
また、車両冷却システムによれば、車両ユニット3によって温度が高くなった冷却水と暖房媒体とを熱交換することによって、暖房媒体が暖められるためヒータ22の出力を抑えることができる。
【0061】
更に、車両冷却システムによれば、温度差△Tri-r>50℃の場合もTh<Triの時は、暖房システム20の暖房媒体と冷却水とを熱交換するための三方弁62を第2の中間熱交換器63側に開くことにより、暖房媒体は暖められるためヒータ22の出力を抑えることができる。
【0062】
更にまた、車両冷却システムによれば、サブシステムとしてヒータ22を有した暖房システム20を用い、暖房システム20の低温の暖房媒体と車両ユニット3によって暖められた冷却水とを熱交換することによって、熱交換器入口冷却水温度Triを下げて熱交換器1内の急激な温度変化の発生を防止できるので、熱交換器1の熱衝撃を抑制することができる。また、暖房媒体は、冷却水によって暖められるため車室内の暖機を促進することができるとともにヒータ22の出力を抑えることができる。
【0063】
更にまた、車両ユニット出口冷却水温度Tuoと熱交換器内冷却水温度Trと暖房媒体温度Thとを計測し、それぞれの温度により暖房システム20の上流に設置している三方弁62によって暖房システム20の暖房媒体と車両冷却システムの冷却水とを熱交換する場合としない場合とを切り替える。例えば、車両ユニット出口冷却水温度Tuo及び熱交換器内冷却水温度Trよりも暖房冷媒温度Thの方が温度が高く、冷却水と暖房媒体とを熱交換しても熱交換器1に流入する冷却水温度を下げることができない場合には、三方弁62を制御して車両冷却システムと暖房システム20との熱交換を行なわないようにできる。
【0064】
更にまた、車両ユニット3によって暖められた冷却水を熱交換器1に流入する前に冷却するためサブシステムを、冷却流路7と迂回流路8とに切り替えることのできる三方弁5よりも下流の冷却流路7上に設置することによって、熱交換器1に流入する冷却水を効率良く事前に冷却することができる。
【0065】
(第6の実施の形態)
図12に示すように、第6の実施の形態に係る車両冷却システムは、図11と同様に、熱交換器1に流入する冷却水を冷却するサブシステムとして図3と同様な構成を有する暖房システム20を用い、暖房システム20の暖房媒体と冷却水との間で熱交換させる第2の中間熱交換器63によって、熱交換器1に流入する冷却水を冷却する。また同時に、暖房システム20は、図3と同様に、暖房媒体から車両ユニット3に流入する冷却水へ熱を伝える中間熱交換器28を含んでいる。
【0066】
図13を参照して、図12の車両冷却システムの制御の流れを説明する。
【0067】
先ず、車両用電源を起動した後(ステップS31)、車両ユニット入口冷却水温度Tuiと車両ユニット出口冷却水温度Tuo及び熱交換器内冷却水温度Trを計測する(ステップS32)。
【0068】
制御部16は、車両ユニット入口冷却水温度Tuiと車両ユニット出口冷却水温度Tuoの温度が制御温度T以下の場合(ステップS33にてYES)、暖房システム20の暖房媒体温度Thを計測する(ステップS34)。その後、ステップS35に進み、制御部16は、暖房媒体温度Thが車両ユニット入口冷却水温度Tuiよりも大きいか否かを判断する。
【0069】
Th>Tuiの場合(ステップS35にてYES)、熱交換器1より下流に設置している暖房媒体と冷却水とを熱交換するために、制御部16は、三方弁30を開き第2の中間熱交換器28で暖房媒体と冷却水を熱交換して冷却水を暖める(ステップS36)。次に、ステップS37に進み、制御部16は、LLCヒータ10を起動することにより冷却水を暖め車両の暖機を促進する。
【0070】
その後、ステップS38に進み、制御部16は、車両ユニット3の車両ユニット出口冷却水温度Tuoから熱交換器内冷却水温度Trを差し引いた温度差△Tuo-r(=Tuo-Tr)>50℃より大きいか否かを判断する。温度差△Tuo-r>50℃である場合(ステップS38にてYES)、制御部16は、冷却水を温調するための三方弁5を20〜30%だけ熱交換器1側へ開く。このように、三方弁5を少し熱交換器1側へ開くことにより冷却水温度は低下し、暖機時間の遅れが発生する。そのため、ステップS40に進み、制御部16は、暖房冷媒温度Thが車両ユニット入口冷却水温度Tuiよりも大きいか否かを判断する。
【0071】
Th>Tuiである場合(ステップS40にてYES)、熱交換器1より下流に設置している中間熱交換器28へ冷却水を流して冷却水を暖めるために、制御部16は、三方弁30を開き中間熱交換器28で暖房媒体と冷却水とを熱交換して冷却水を暖める。次のステップS42において、制御部16は、LLCヒータ10を起動することにより冷却水を暖め車両の暖機を促進する。その後、ステップS43に進み、車両ユニット入口冷却水温度Tuiと車両ユニット出口冷却水温度Tuoにより、三方弁5を熱交換器1側に開き冷却水を温調する。
【0072】
次に、ステップS44に進み、暖房媒体温度Thが車両ユニット出口冷却水温度Tuoよりも低いか否かを判断する。Th<Tuoである場合(ステップS44にてYES)、ステップS45に進み、制御部16は、三方弁62を第2の中間熱交換器63側に開く。これにより、熱交換器1の上流に設置している第2の中間熱交換器63に冷却水が流れて、暖房媒体と冷却水とが熱交換を行い、冷却水が冷却される。暖房用冷媒と冷却水とを熱交換させることにより、熱交換器1には、暖房システム20との熱交換により冷却された冷却水が流入するため、熱衝撃を抑制することができる。
【0073】
また、暖房システム20も冷却水により暖房媒体を暖められるため、ヒータ22の出力を抑えることができ、車両としての燃費向上が期待できる。その後、ステップS46に進み、冷却水を温調する。ステップS47において、起動キーがOFFに操作されることによって車両用電源が停止され、車両全体が駆動停止されたか否かを判断する。駆動停止されていなければ(ステップS47でNO)ステップS32に戻り、ステップS32〜ステップS46を繰り返し実施する。一方、駆動停止されれば(ステップS47でYES)、車両冷却システムの制御も終了する。
【0074】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両冷却システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る車両冷却システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を示す模式図である。
【図6】プレートフィンタイプの熱交換器の例を示す斜視図である。
【図7】コルゲートフィンタイプの熱交換器の例を示す斜視図である。
【図8】熱交換器1と第2の熱交換器との配置位置の関係を示す斜視図である。
【図9】熱交換器1と第2の熱交換器との配置位置の関係を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を示す模式図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を示す模式図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係る車両冷却システムの構成を示す模式図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係る車両冷却システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 熱交換器
2 冷却ファン
3 車両ユニット
4 冷却水循環ポンプ
5 三方弁
6a,6b 冷却水流路
7 冷却流路
8 迂回流路
10 LLCヒータ
11 熱交換器入口温度センサ
12 車両ユニット出口温度センサ
13 熱交換器入口冷却水温度センサ
14 熱交換器内温度センサ
15 熱交換器出口温度センサ
16 制御部
20 暖房システム
21 循環ポンプ
22 ヒータ
23 ヒータコア
24,25 暖房媒体温度センサ
26 配管
27 暖房冷媒流れ方向27
28 中間熱交換器
29 バイパス流路
30 三方弁
33 四方弁
40 サブシステム
41 フィン
42 チューブ
42a チューブ
42b 扁平チューブ
43 コルゲートフィン
51 四方弁
52 第1流路
53 第2流路
61 流路
62 三方弁
63 第2の中間熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水を循環させて発熱体である車両ユニットを冷却する車両冷却システムであって、
前記車両ユニットにより暖められた冷却水を冷却する熱交換器と、
前記車両ユニット及び前記熱交換器の間で循環する冷却水が流れる冷却流路と、
前記熱交換器を避けて前記車両ユニットを循環する冷却水が流れる迂回流路と、
前記冷却流路を流れる冷却水の流量と前記迂回流路を流れる冷却水の流量との割合を調整する流量制御弁と、
前記熱交換器内における冷却水の第1の温度を計測する第1の温度計測手段と、
前記車両ユニットから流出した冷却水の第2の温度を計測する第2の温度計測手段と、
前記第1の温度と前記第2の温度との温度差に応じて前記流量制御弁を制御する制御部と
を備えることを特徴とする車両冷却システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の温度から前記第1の温度を差し引いた温度差が所定の基準値よりも大きい場合に、前記冷却流路を流れる冷却水流量の割合を高めることを特徴とする請求項1に記載の車両冷却システム。
【請求項3】
前記車両ユニットに流入する冷却水を暖める暖房機を更に備え、
前記制御部は、前記第2の温度から前記第1の温度を差し引いた温度差が所定の基準値よりも大きい場合に、前記暖房機を起動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両冷却システム。
【請求項4】
前記暖房機は、前記熱交換器から前記車両ユニットへ冷却水が流れる流路上であって、前記冷却流路と前記迂回流路との合流点よりも下流側に設置されていることを特徴とする請求項3に記載の車両冷却システム。
【請求項5】
暖房媒体を循環させることにより車室内を暖房する暖房システムと、
前記暖房媒体から前記車両ユニットに流入する冷却水へ熱を伝える中間熱交換器とを更に備え、
前記制御部は、前記第2の温度から前記第1の温度を差し引いた温度差が所定の基準値よりも大きい場合に、前記中間熱交換器を起動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両冷却システム。
【請求項6】
前記中間熱交換器は、前記熱交換器から前記車両ユニットへ冷却水が流れる流路上であって、前記冷却流路と前記迂回流路との合流点よりも下流側に設置されていることを特徴とする請求項5に記載の車両冷却システム。
【請求項7】
前記熱交換器から流出した冷却水の第3の温度を計測する第3の温度計測手段と、
前記暖房媒体の第4の温度を計測する第4の温度計測手段と、
前記中間熱交換器が設置される流路と前記中間熱交換器が設置されていない流路との分岐点に設置された三方弁とを更に備え、
前記制御部は、前記第4の温度から前記第3の温度を差し引いた温度差に応じて前記三方弁を制御することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車両冷却システム。
【請求項8】
前記熱交換器よりも上流側に設置され、前記熱交換器に流入する冷却水を冷却するサブシステムを更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の車両冷却システム。
【請求項9】
前記サブシステムとして、前記熱交換器よりも小型の第2の熱交換器を用いることを特徴とする請求項8に記載の車両冷却システム。
【請求項10】
前記第2の熱交換器として、プレートフィンタイプの熱交換器を用いることを特徴とする請求項9に記載の車両冷却システム。
【請求項11】
前記第2の熱交換器として、コルゲートフィンタイプの熱交換器を用い、前記第2の熱交換器を風速分布が均一な場所に配置することを特徴とする請求項9に記載の車両冷却システム。
【請求項12】
前記サブシステムとして暖房媒体を循環させることにより車室内を暖房する暖房システムを用い、前記暖房媒体と冷却水との間で熱交換させることを特徴とする請求項8に記載の車両冷却システム。
【請求項13】
前記冷却流路は、前記サブシステム及び前記熱交換器を流れる第1流路と前記サブシステムを避けて前記熱交換器を流れる第2流路とに分岐され、
前記制御部は、前記第2の温度から前記第1の温度を差し引いた温度差に応じて前記第1流路と前記第2流路との流量割合を制御することを特徴とする請求項8乃至12いずれか1項記載の車両冷却システム。
【請求項14】
前記暖房システムが設置される流路と前記暖房システムが設置されていない流路との分岐点に設置された第2の三方弁を更に備え、
前記制御部は、前記第1の温度、前記第2の温度及び暖房媒体の温度に基づいて前記第2の三方弁を制御することを特徴とする請求項12に記載の車両冷却システム。
【請求項15】
前記サブシステムは、前記冷却流路と前記迂回流路との分岐点よりも下流側の前記冷却流路上に設置されていることを特徴とする請求項8記載の車両冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−37302(P2008−37302A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215573(P2006−215573)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】