説明

車両玩具およびその制御方法

【課題】 本願発明は、ユーザが任意に走行パターン(無限のパターン)を設定できてゲーム性及びエンターテイメント性に富み、かつその走行パターンの設定が簡単な車両玩具を提供する。
【解決手段】
本発明は、プログラムによって走行動作が制御される車両玩具であって、車両玩具自体を駆動させる駆動部と、前記走行動作が複数のカテゴリーに分類され、各カテゴリー毎に複数種類の動作性能に対応する複数の制御プログラムが用意され、前記複数の制御プログラムのうち幾つかを組み合わせて入力し、前記走行動作の性能を決定するプログラム入力部と、前記プログラム入力部から入力された制御プログラムの組み合わせによって決定された前記走行動作の性能に従って、前記駆動部を駆動させる動作制御部と、を備えている。また、複数の制御プログラムのそれぞれは、各動作性能が記述されたプログラム紙片で構成されており、各動作性能はバーコード化されて前記プログラム紙片に記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーシングカー等を模した車両玩具およびその制御方法に関し、特に、ラジオコントロールのような無線制御を用いずに、ユーザが簡単に車両玩具の任意の走行動作を設定できる車両玩具およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からラジオコントロールカー等のように送信機を操作することにより走行動作を無線制御する自動車玩具が知られている。
【0003】
しかしながら、ラジオコントロールカー等の無線制御では、自動車玩具を例えば所定のコースに沿って巧みに走行させるには相当の熟練と高度な技術が必要であり、手軽に楽しめないという問題点があった。
【0004】
このような問題点に鑑みて、特開平6−269574号公報には、例えばコースの直線区間では誘導線を自動車玩具の検知部で追跡することにより自動車玩具が所定のプログラムに基づいて自動操縦され、コースのカーブ区間では自動車玩具の検知部でカーブ手前のカーブ識別線を読み取ることにより自動車玩具がカーブ情報に対応する所定のプログラムに基づいて自動操縦されることが開示されている。この識別線のコードを変更することにより自動車玩具の走行パターンを変えることができる。
【0005】
また、特開2003−245476号公報には、走行玩具の走行経路を簡単にプログラムすることが可能で、遊びを通して走行玩具の制御機構の理解が容易なプログラマブル走行玩具が開示されている。この走行玩具は、本体を前進、一時停止、後退等の動作をさせる駆動機構と、この駆動制御機構を予めプログラムした内容に基づいて制御する制御機構とを有する。そして、制御機構は、左右側縁部に切り込みを入れることによりプログラムすることができるプログラム紙片と、減速歯車機構を介して入力したモータの回転駆動力でプログラム紙片を車体フレームの後輪側から前輪側に送る送り機構と、プログラム紙片を車体フレームの底面に形成したカード送り溝に挿入したとき、そのプログラム紙片に押圧されて乾電池とモータとの間の電源回路を閉じるスイッチを備えている。このように特開2003−245476号公報に記載の走行玩具では、プログラム紙片を用いて機構的に走行玩具の走行動作を制御できるようになっている。
【特許文献1】特開平6−269574号公報
【特許文献2】特開2003−245476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開平6−269574号公報に記載の自動車玩具では、自動操縦時の走行パターンの変更はカーブ識別線を検知することにより行っているため、走行パターンを変更するにはその識別線自体を設けなければならず、非常に煩雑である。また、サーキットコース上での走行が前提であるため、走行パターンは自ずと限られており、よってゲーム性及びエンターテイメント性という観点からは限定されたものとなっている。
【0007】
また、特開2003−245476号公報に記載の自動車玩具では、プログラム紙片を物理的に加工して制御機構に噛み合うようにしているため、プログラム紙片自体を作成するのに手間がかかる。また、走行パターン毎にプログラム紙片を何種類も作成しなければならない。さらに機構的な制御なため、プログラム紙片による制御といってもパターンが限られており、スピード調整などの制御はプログラム紙片を変更するだけでは実現が困難であった。
【0008】
本願発明は上記問題点を鑑みて為されたものであり、ユーザが任意に走行パターン(無限のパターン)を設定できてゲーム性及びエンターテイメント性に富み、かつその走行パターンの設定が簡単な車両玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題を解決するために、本発明による車両玩具は、プログラムによって走行動作が制御される車両玩具であって、車両玩具自体を駆動させる駆動部と、前記走行動作が複数のカテゴリーに分類され、各カテゴリー毎に複数種類の動作性能に対応する複数の制御プログラムが用意され、前記複数の制御プログラムのうち幾つかを組み合わせて入力し、前記走行動作の性能を決定するプログラム入力部と、前記プログラム入力部から入力された制御プログラムの組み合わせによって決定された前記走行動作の性能に従って、前記駆動部を駆動させる動作制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、複数の制御プログラムのそれぞれは、各動作性能が記述されたプログラム紙片で構成されており、各動作性能はバーコード化されて前記プログラム紙片に記載されている。
【0011】
さらに、走行動作のカテゴリーは、前記駆動部を構成するモータの回転速度を決定する第1のカテゴリーと前記モータの回転時間を決定する第2のカテゴリーとブレーキングの種類を決定する第3のカテゴリーとを有している。
【0012】
また、動作制御部は、入力された制御プログラムの組み合わせを解析し、入力順に従って前記制御プログラムの内容を実行する。
【0013】
制御プログラムは、動作性能を示すパラメータで構成され、車両玩具はさらに、前記複数の制御プログラムの全てのパラメータとそれに対応する動作性能の内容を格納したプログラムテーブルを有している。
【0014】
本発明による車両玩具の制御方法は、プログラムによって走行動作が制御される車両玩具の制御方法であって、前記走行動作が複数のカテゴリーに分類され、各カテゴリー毎に複数種類の動作性能に対応する複数の制御プログラムが用意され、前記複数の制御プログラムのうち幾つかを組み合わせて入力し、前記走行動作の性能を決定するプログラム入力工程と、前記プログラム入力工程で入力された制御プログラムの組み合わせによって決定された前記走行動作の性能に従って、前記車両玩具を駆動させる駆動部を駆動させる動作制御工程と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による車両玩具は、プログラムによって走行動作が制御される車両玩具であって、車両玩具自体を駆動させるモータと、前記モータの回転速度を制御する回転速度制御プログラムと前記モータのブレーキングを制御するブレーキング制御プログラムと前記モータの回転時間を制御する回転時間制御プログラムとを含む複数の制御プログラムから任意に組み合わせて制御プログラムを入力し、前記走行動作の性能を決定するプログラム入力部と、前記プログラム入力部に入力された前記制御プログラムに従って前記モータを制御するモータ制御部と、を備え、前記モータ制御部は、前記モータの回転速度を、所定時間における前記モータへの電流供給する時間と電流供給しない時間との時間幅の比率を変更することにより制御し、前記モータのブレーキングを、所定時間における前記モータへの電流供給する時間と電流供給しない時間との時間幅の比率を変更することにより前記モータを逆回転制御することを特徴とする。
【0016】
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のような構成を備えた本発明によれば、ユーザが任意に走行パターン(無限のパターン)を設定できてゲーム性及びエンターテイメント性に富み、かつその走行パターンの設定が簡単な車両玩具を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による自動車玩具は、パルス幅変調(PWM)制御パターンがバーコード化されて印刷されたカードを複数用意し、これらのうちの任意の何枚かの組み合わせによって、自由に走行パターンを決定し、走行動作を実行するものである。なお、モータへ電流供給するスイッチを一定間隔でON/OFFし、所定時間におけるON/OFFの時間幅の比率を変えるPWM制御によってモータの回転速度およびブレーキングが制御されるようにしている。ブレーキングはPWM制御によるものだけではなく、より強力にブレーキングするために、モータ停止制御によりモータの回転停止信号を送出し、モータの回転を瞬時に停止させるようにしてもよい。
【0019】
本実施形態では、図8に示すように、1ターンを100msとし、1パルスの最低幅を2msとすることで50段階のモータの回転速度制御が可能となる。例えば、PWM5の場合にはパルスを1回ON、49回OFF(2ms間ON、98ms間OFF)となり、PWM50の場合にはパルスを10回ON、40回OFF(20ms間ON、80ms間OFF)となり、PWM100の場合にはパルスを20回ON、30回OFF(40ms間ON、60ms間OFF)となり、PWM150の場合にはパルスを30回ON、20回OFF(60ms間ON、40ms間OFF)となる。
【0020】
つまり、本実施形態におけるPWM制御のON時間およびOFF時間を一般式にすると、ON(time)=20/50×PWM値、OFF(time)=100−20/50×PWM値、となる。
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0022】
<自動車玩具の外観について>
図1は、本実施形態に係る自動車玩具1の外観を示す図である。図1において、10は自動車玩具の本体部であり、本実施形態ではレーシングカーの外形を有しているが、これに限らずあらゆる形態の自動車(例えばトラック等)若しくは二輪車(安定性のためサイドカーがついていても良い)の外形を有していてもよい。11は前輪であり、12は後輪を示している。後輪12はモータ26(図2)によって駆動されて自動車玩具1を前進或いは後退させるものである。
【0023】
13はカードリーダーであり、バーコードが紙面に印刷されたカードをユーザがカードリーダ13にスキャンすることにより、バーコードの内容が読み取られる。カードについては後に詳述するが、複数種類のカードが用意されており、任意の組み合わせに係る枚数の分のカードが所定の順番でカードリーダ13にスキャンされて、この組み合わせのデータがRAM24(図2)に一時的に格納される。また、14はスピーカであり、様々な効果音がここから出力される。
【0024】
<基本構成ブロックについて>
図2は、本実施形態に係る自動車玩具1を制御するためのハードウエア基本構成を示すブロック図である。
【0025】
図2において、21はCPUであり、自動車玩具1の各動作部に対する全ての制御を行っている。22はキー入力部であり、例えば走行動作を開始させるためのスタート指示を入力するものである。
【0026】
23はROM(リードオンリメモリ)であり、各動作部に対する制御プログラム、予め設定されたパラメータ(図4A乃至D)や後述の各種音声データ等を格納している。24はRAM(ランダムアクセスメモリ)であり、ROM23に格納されたプログラムを実行している間に必要に応じて所定のデータを一時的に格納したり、特に、本実施形態に係る自動車玩具1にあっては、カードリーダ13によって読み込まれたバーコードデータを入力順に格納している。このRAM24に格納されたバーコードデータは制御データであり、スタートボタンによるスタート指示によってスキャン順にその制御データに対応した動作が実行されるようになる。
【0027】
25はモータドライバであり、モータ26を上記制御データにしたがって駆動させる。なお、ブレーキ制御はモータドライバ25がモータ26の回転を逆回転させる信号を出力することによりなされる。
また、27は音声合成部(音声合成IC)であり、ROMに格納されている車のエンジン音、ブレーキ音、バーコードを読み取ったときの確認音、スタートボタンが押下されたときの確認音、スタート時のカウントダウン音を読み出して、出力音声を生成している。これによりより複雑な音を再現している。もちろん、音声合成ICを用いずに格納されている音声データを単に再生するようにしても良い。そして、その生成された音声はスピーカ14から出力される。
【0028】
<各種カードの具体例>
図3は、バーコード付カード30の具体例を示す図である。図3において、31はバーコードであり、制御データがコード化されたものである。32はカード種別を示しており、図3の例ではこのカードは「燃料カード」であることを示している。また、33は燃料の種類であり、ここではハイパーであることを示している。
【0029】
カードの種別としては、上記燃料カードの他、シフトカードとアクセルカードとブレーキカードが用意されている。また、各種カードにおいてはそれぞれ複数の動作制御段階が設けられている。
【0030】
図4に示すように、例えば燃料カードであれば、動作制御段階として6つのレベルがあり、それぞれのレベルは、「ハイパー:シフトカードのPWM(標準)に30のPWMを足す」、「スーパー:標準に20のPWMを足す」、「ハイオク:標準に10のPWMを足す」、「レギュラー:標準のまま」、「低速強化:シフトカードが1速の場合に40のPWMを足す」、「高速強化:シフトカードが4速の場合に40のPWMを足す」という内容をなしている。つまり、スキャンされたシフトカードの種類が標準となり、燃料カードスキャンで足されるPWMの標準となるのである。その他のカードについての動作制御段階は図4に示される通りである。なお、PWMの大きさによってモータの回転速度が決まり、アクセルカードの時間によってその回転速度で回転する時間が決まる。またブレーキカードの種類によってモータの逆回転制御や回転停止制御が決まる。
【0031】
<カード入力時の動作説明>
図5は、各種カードを入力(スキャン)し、走行時の動作を決定する際の動作を説明するためのフローチャートである。
【0032】
上述のように、本実施形態では、自動車玩具の走行性能を決定する各種パラメータを有するカードとして、燃料カード、シフトカード、アクセルカード、ブレーキカードが用意されている。基本的なスキャンの順序は、燃料カード→シフトカード→アクセルカード→ブレーキカードであるが、シフトカード及びアクセルカードのスキャンの回数は任意であり、何回繰り返しても良い。この繰り返しの回数は、後述の適用例(遊び方の例)でユーザがどのように走行性能を決めるかに掛かっているものである。
【0033】
図5において、ステップS101では、燃料カードがスキャンされ、それに対応するパラメータがRAM24に入力される。例えば、図4Aに示されハイオクの燃料カードがスキャンされれば、RAM24にはパラメータ"13"が格納される。
【0034】
続いてステップS102では、シフトカードがスキャンされ、それに対応するパラメータがRAM24に燃料カードのパラメータの次に入力される。例えば、図4Bに示される3速のシフトカードである場合には、パラメータは"23"となり、標準のPWMが150とされる。従って、燃料カードとの組み合わせによってPWMが150+10=160となる。
【0035】
ステップS103では、ステップS102のシフトカードのスキャンが燃料カードスキャン終了後から3秒以内で行われたか否かが判断される。3秒以内と判断されれば処理はステップS104に移行し、3秒以内でなければ処理はステップS107に移行する。
【0036】
ステップS104において、さらにアクセルカードのスキャンがあったか否かが判断される。アクセルカードのスキャンがあれば処理はステップS105に移行し、無ければステップS111に移行する。
【0037】
ステップS105において、ステップS104におけるアクセルカードのスキャンがシフトカードスキャン完了から3秒以内になされたか否かが判断され、3秒以内であれば処理はステップS111に移行し、3秒以内で無ければ処理はステップS106に移行する。ステップS106では、スキャンの失敗を示す情報の1つであるABSブレーキ情報"42(パラメータ、図4D参照)"を発生させ、今まで入力されてきたパラメータの後に入力される。
【0038】
ステップS103で3秒以内のスキャンでないと判断されると、処理はステップS107に移行するが、そこではスキャンの失敗を示す情報、ABSブレーキ情報"42"を上述と同様に発生させてこの情報をRAM24に蓄積させる。
【0039】
さらに、ステップS108において、アクセルカードのスキャンが実行されたか判断され、実行されていれば処理はステップS109に移行し、実行されていなければ処理はステップS111に移行する。ステップS109では、そのアクセルカードが3秒以内にスキャンされたか否かが判断される。3秒以内にスキャンされていれば処理はステップS111に移行し、されていなければ処理はステップS110に移行する。ステップS110では、ABSブレーキよりも強力なスーパーブレーキ情報を発生させ、そのパラメータ"43"がRAM24に格納される。ここでのアクセルカードのスキャン失敗は、シフトカードのスキャンの失敗に続いて起こったものであり、より重大なエラーと認識されるためである。このように、シフトカードとアクセルカードのスキャンが連続して失敗した場合にはスーパーブレーキというより重いペナルティがユーザに課されることになるのである。なお、スキャンが3秒以内に成功したか失敗したかは、原則としてユーザには分からないようにしているが、失敗を告知してカードのスキャンを繰り返すことによって失敗をリカバーできる余地を与えるようにしてもよい。
【0040】
ステップS111では、再度シフトカードのスキャンがあったか否かが判断される。スキャンが実行されたと判断されれば、処理はステップS103に戻り、ステップS103乃至S110の何れかの処理が適宜実行される。また、シフトカードのスキャンが無ければ、処理はステップS112に移行し、そこでは再度アクセルカードのスキャンがなされたか否かが判断される。スキャンがされたと判断されれば処理はステップS105、S106及びS111の何れかの処理が適宜行われる。ステップS112においてアクセルカードのスキャンがないと判断されれば、処理はステップS113に移行する。このように、本実施形態では、シフトカード及びアクセルカードは何回でもスキャンして対応する情報を走行性能に反映させることができる。
【0041】
ステップS113では、最新のカードのスキャン完了から3秒以内にブレーキカードのスキャンが実行されたか否かが判断される。3秒以内であれば処理は終了し、そのスキャンされたブレーキカードに対応するパラメータをRAM24に格納する。3秒以内で無いと判断されればステップS114に移行し、そこではブレーキエラー情報を発生させてそれをRAM24に格納する。このブレーキカードのスキャンによって走行性能を決定するための情報入力動作の終了が指示される。なお、図5のフローチャートからも分かるようにブレーキカードのスキャンの成功如何によらずに、走行性能決定動作は終了する。
【0042】
なお、各カードのパラメータをRAMに蓄積するようにしたが、シフトカードについてはパラメータ(シフト番号データ)を、アクセルカードについては時間データを直接持つようにしても良い。そして、これらRAM24に蓄積されたデータは自動車玩具の電源が切られるまで保持されるようになされている。
【0043】
また、スキャン成功の判断基準を3秒としているが、これには限られない。ユーザが自由にもっと長く設定したり、短く設定したりして、ゲームとしての難易度を可変にできるようにしても良い。
【0044】
<入力された走行性能(パラメータ列)の例>
例えば、入力された走行性能、つまりパラメータの列が11(燃料):21(シフト):32(アクセル):22(シフト):33(アクセル):24(シフト):36(アクセル):41(ブレーキ)とRAM24に蓄積されたとする。この場合、PWMが(50+30)=80でアクセル0.3秒、PWMが(100+30)=130でアクセル0.4秒、(200+30)=230でアクセル0.7秒間踏んだ後惰性で走るように走行性能が設定される。これは全てのカードスキャンが成功(3秒以内)した場合の例である。
【0045】
また、パラメータ列が、12(燃料):22(シフト):38(アクセル):23(シフト):42(シフトスキャン不成功):35(アクセル):43(アクセルスキャン不成功):41(ブレーキ)とRAM24に蓄積されたとする。この場合、PWMが(100+20)=120で、アクセル0.9秒アクセルを踏んだ後、ABSブレーキとスーパーブレーキがONとなり、その後惰性で走るような走行性能が設定される。この例では、シフトカード及びアクセルカードのスキャンが連続して不成功であったためスーパーブレーキが掛かるように設定される。
【0046】
<走行動作の説明>
図6は、走行時の動作を説明するためのフローチャートである。
【0047】
図6において、ステップS201においてスタートボタンが押下されることにより走行動作がスタートする。
【0048】
次に、処理はステップS202に移行し、そこでは図5のフローチャートの動作に従って設定された走行性能に係るパラメータ列がRAM24より読み出され、そのパラメータ列が解析される。パラメータの解析は、RAM24に蓄積されたパラメータ列とROM23に格納されている図4のパラメータテーブルを比較し、どのパラメータかを判断することにより行われる。これによりどのような走行動作が実行されるかが認識されることになる。
【0049】
そして、ステップS203において、ステップS202で解析されたパラメータ列に従って走行動作が実行される。上述の走行性能の例で説明したように、入力(スキャン)順に、走行性能が実現される。
【0050】
以上のように走行性能を設定し、それに基づいて走行動作が行われることにより、ユーザが任意に走行パターン(無限のパターン)を設定できる。そして、ゲーム性及びエンターテイメント性に富み、かつその走行パターンの設定が簡単な自動車玩具が実現できるようになる。
【0051】
なお、図6では蓄積されたパラメータ列を全て解析した後に走行動作に移行するようにしているが、これに限らないことはもちろんであり、例えば入力順にパラメータ列を解析しながら走行動作させるようにしてもよい。
【0052】
<適用(遊び方の)例>
以上説明した自動車玩具では無限の走行パターンをユーザは設定できるが、どのようなゲームに適用できるか説明する。
【0053】
図7は、本実施形態を利用した遊び方の例を示す図であり、図7Aはカーリングゲーム、図7Bはチキンレースに関係する例である。なお、カーリングゲームはマシン40を目標物41に如何に近づけるかを勝負するものであり、一番近い者が勝ちとなる。また、チキンレースは2台以上のマシン40a及びbで如何に早く目標物41に近づけるかを勝負するものである。なお、この場合、ハイパフォーマンスを設定すれば簡単に勝負がついてしまう可能性があるので、レッドゾーン42を設け、いくら早く目標物に近づいてもそのゾーン42に入ってしまえば失格とするようにしても良い。
【0054】
その他専用コースを使った適用例も考えられ、ユーザ次第によって無限の遊び方を考え出す可能性があるものである。
【0055】
<実施形態の効果>
以上のような動作をさせることにより、本実施形態に係る自動車玩具1によれば、ユーザが自由に自動車玩具の走行性能を決定することができて遊び方の幅が広がるため、ゲーム性及びエンターテイメント性の富む自動車玩具を提供することができる。また、単に各カードを入力すればいいというのではなく、入力に対するタイムリミットを設けているため、よりゲーム性を高めることができる。このタイムリミットを長く設定した場合は子供用、より短く設定した場合には大人用というように使い分けをすることもでき、幅広い年齢層の人が楽しむことができる。
【0056】
<その他実施形態>
本実施の形態では、カードをスキャンすることにより走行性能を決定する形態について説明したが、例えば、図示しないもモードボタンを自動車玩具1に設け、それをユーザが押下することにより走行性能を決定するパラメータを入力できるようにしても良い。ただし、ボタンの数が多くなったり、入力の仕方が複雑になったりするため、カードをスキャンすることによりパラメータを入力できるようにした方が利点が多い可能性はある。
【0057】
実施の形態の処理は、各機能を具現化したソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を自動車玩具に提供し、その自動車玩具のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても実現することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては何でも良いが、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。ただし、どのメモリを用いるかは自動車玩具本体の大きさにもよるものと考えられる。
【0058】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれている。
【0059】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態の自動車玩具の一例の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の自動車玩具の動作回路を示すブロック図である。
【図3】本実施形態で用いられるカード例を示す図である。
【図4】本実施形態で用いられる各種カードの内容を示す図である。
【図5】本実施形態に係る自動車玩具の走行性能を決定するための動作を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る自動車玩具の走行動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る自動車玩具を用いた遊び方の例を示す図である。
【図8】本実施形態におけるPWM制御の具体例を説明するための図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムによって走行動作が制御される車両玩具であって、
車両玩具自体を駆動させる駆動部と、
前記走行動作が複数のカテゴリーに分類され、各カテゴリー毎に複数種類の動作性能に対応する複数の制御プログラムが用意され、前記複数の制御プログラムのうち幾つかを組み合わせて入力し、前記走行動作の性能を決定するプログラム入力部と、
前記プログラム入力部から入力された制御プログラムの組み合わせによって決定された前記走行動作の性能に従って、前記駆動部を駆動させる動作制御部と、
を備えたことを特徴とする車両玩具。
【請求項2】
前記複数の制御プログラムのそれぞれは、各動作性能が記述されたプログラム紙片で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両玩具。
【請求項3】
前記各動作性能はバーコード化されて前記プログラム紙片に記載されていることを特徴とする請求項2に記載の車両玩具。
【請求項4】
前記走行動作のカテゴリーは、前記駆動部を構成するモータの回転速度を決定する第1のカテゴリーと前記モータの回転時間を決定する第2のカテゴリーとブレーキングの種類を決定する第3のカテゴリーとを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両玩具。
【請求項5】
前記動作制御部は、入力された制御プログラムの組み合わせを解析し、入力順に従って前記制御プログラムの内容を実行することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両玩具。
【請求項6】
前記制御プログラムは、動作性能を示すパラメータで構成され、
さらに、前記複数の制御プログラムの全てのパラメータとそれに対応する動作性能の内容を格納したプログラムテーブルを有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両玩具。
【請求項7】
プログラムによって走行動作が制御される車両玩具の制御方法であって、
前記走行動作が複数のカテゴリーに分類され、各カテゴリー毎に複数種類の動作性能に対応する複数の制御プログラムが用意され、前記複数の制御プログラムのうち幾つかを組み合わせて入力し、前記走行動作の性能を決定するプログラム入力工程と、
前記プログラム入力工程で入力された制御プログラムの組み合わせによって決定された前記走行動作の性能に従って、前記車両玩具を駆動させる駆動部を駆動させる動作制御工程と、
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
前記複数の制御プログラムのそれぞれは、各動作性能が記述されたプログラム紙片で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記各動作性能はバーコード化されて前記プログラム紙片に記載されていることを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記走行動作のカテゴリーは、前記駆動部を構成するモータの回転速度を決定する第1のカテゴリーと前記モータの回転時間を決定する第2のカテゴリーとブレーキングの種類を決定する第3のカテゴリーとを有することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記動作制御工程は、入力された制御プログラムの組み合わせを解析し、入力順に従って前記制御プログラムの内容を実行することを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記制御プログラムは、動作性能を示すパラメータで構成され、
さらに、前記車両玩具は、前記複数の制御プログラムの全てのパラメータとそれに対応する動作性能の内容を格納したプログラムテーブルを有することを特徴とする請求項7乃至11の何れか1項に記載の車両玩具。
【請求項13】
プログラムによって走行動作が制御される車両玩具であって、
車両玩具自体を駆動させるモータと、
前記モータの回転速度を制御する回転速度制御プログラムと前記モータのブレーキングを制御するブレーキング制御プログラムと前記モータの回転時間を制御する回転時間制御プログラムとを含む複数の制御プログラムから任意に組み合わせて制御プログラムを入力し、前記走行動作の性能を決定するプログラム入力部と、
前記プログラム入力部に入力された前記制御プログラムに従って前記モータを制御するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部は、前記モータの回転速度を、所定時間における前記モータへの電流供給する時間と電流供給しない時間との時間幅の比率を変更することにより制御し、前記モータのブレーキングを、所定時間における前記モータへの電流供給する時間と電流供給しない時間との時間幅の比率を変更することにより前記モータを逆回転制御することを特徴とする車両玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−68232(P2006−68232A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254613(P2004−254613)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】