説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】 設定頻度の高い目的地に関して、容易な入力作業によって設定することができる車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 利用者から発せられる音声を入力し認識する音声入力部1および音声認識部2からなる音声認識手段と、前記音声認識手段によって認識された音声に基づいて前記目的地を設定する目的地設定部3と、目的地設定部3に設定された前記目的地の名称を履歴情報としてメモリ4に格納する集計演算部5と、前記利用者が前記目的地を設定する際に前記履歴情報に基づいて設定回数が多い順に前記名称を前記選択肢として表示器10に表示させるシステム制御部9と、を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され表示手段に表示された選択肢を選択することによって所望の目的地を設定し、前記目的地までの経路を案内する車両用ナビゲーション装置に関し、特に、音声入力による目的地の設定を行う車両用ナビゲーション装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、道路や地形の情報,地名などからなる道路地図データを格納したCD−ROM,DVD−ROM等の道路地図メモリを有し、この道路地図メモリに格納された道路地図データに対応する地図を単独で、または車両の現在地とともに表示するようにした車両用ナビゲーション装置が実用化されている。
【0003】
また、車両内に音声認識手段を搭載して、ユーザ(利用者)による発音に基づいて目的地を設定し、現在位置から前記目的地までの経路を案内する車両用ナビゲーション装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−331378号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような車両用ナビゲーション装置において、ユーザは、目的地を設定するまでに、車両用ナビゲーション装置のスイッチ操作を行って検索モードに切り替えた後、地名や施設名などの正式な読み仮名を入力し、この入力に基づく検索結果として画面に表示された地名や施設名などのリストから所望の目的地を選択する作業など、様々な画面の確認や入力作業が必要であったため、ユーザにとって負担となるものであった。特に、設定頻度の高い目的地に関しては、ユーザによる同様な作業を使用毎に繰り返し行わなくてはならず、手間となってしまう課題があった。
【0005】
また、音声認識手段を搭載し音声入力による目的地を設定する車両用ナビゲーション装置であっても、上記の課題は同様であり、さらに、車両の走行ノイズや車両外の騒音の影響によって、ユーザの意図する目的地について音声認識できずに、誤入力してしまう場合があった。この場合、ユーザは、比較的静かな環境にて音声入力作業をやり直す、または、他の手段(キーボードやタッチパネルなどの手段)を用いて再び入力作業をやり直す必要があり、手間となってしまう課題があった。
【0006】
そこで本発明の目的とするところは、上記のような課題に着目してなされたものであり、設定頻度の高い目的地に関して、容易な入力作業によって設定することができる車両用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用ナビゲーション装置は、請求項1に記載したように、車両に搭載され表示手段に表示された選択肢を選択することによって所望の目的地を設定し、前記目的地までの経路を案内する車両用ナビゲーション装置であって、利用者から発せられる音声を認識する音声認識手段と、前記音声認識手段によって認識された音声に基づいて前記目的地を設定する目的地設定手段と、前記目的地設定手段に設定された前記目的地の名称を履歴情報として記憶手段に格納する集計手段と、前記利用者が前記目的地を設定する際に前記履歴情報に基づいて設定回数が多い順に前記名称を前記選択肢として前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載したように、請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記選択肢として前記名称と前記名称毎に付された番号とを前記表示手段に表示させるとともに、前記音声認識手段が前記番号について音声認識した場合、前記目的地設定手段は、前記番号に対応する前記名称を前記目的地として設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載したように、請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記車両の始動スイッチをオンに操作した後に、前記選択肢を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、車両に搭載され表示手段に表示された選択肢を選択することによって所望の目的地を設定し、前記目的地までの経路を案内する車両用ナビゲーション装置であって、容易な入力作業によって設定することができる車両用ナビゲーション装置を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の車両用ナビゲーション装置の実施の形態を添付図面に基づき説明する。
【0012】
図1は、車両用ナビゲーション装置の構成について示す概略ブロック図である。
【0013】
図1において、1は、利用者が発する音声を入力する音声入力部(音声認識手段)であり、マイクと増幅回路とAD変換装置を備えてなり、音声をデータ化して後述するシステム制御部に出力する。2は、音声認識部(音声認識手段)であり、音声入力部1によってデータ化された音声を辞書データや利用者の特徴データを考慮して、音声データベースとマッチングさせ、音声を単語して認識させるものである。なお、音声入力部1と音声認識部2とによって音声認識手段が構成され、音声を単語として認識させることができる。
【0014】
また、3は、目的地設定部(目的地設定手段)であり、音声認識部2によって認識した情報に基づいて目的地を設定するものである。なお、車両外のノイズなどによって、音声認識できなかった場合には、図示しないスイッチなどの他の手段を用いて手動で目的地を設定することもできる。
【0015】
4は、EEPROMなどからなるメモリ(記憶手段)であり、目的地設定部3によって設定された目的地の名称データおよび設定した日時データを履歴情報として順次格納するものである。この場合、履歴情報を新しいものから100回分のデータが読み出し可能に設けられる。5は、集計演算部(集計手段)であり、メモリ4に格納されたデータを読み出して設定回数をカウントするもので、集計結果を後述するシステム制御部に出力する。
【0016】
6は、緯度経度データを含む道路データ,地形データ,施設や地名などの名称データなど含む地図データベースであり、DVD−ROMやハードディスクなどの記憶媒体に格納されている。
【0017】
7は、車両位置検出部であり、車輪の回転数に応じたパルスを発生する距離センサ,車両の絶対走行方位や相対走行方位を検出するための地磁気センサや光ジャイロからなる方位センサ,複数の人工衛星から送信される電波を受信して演算することによって受信点の位置(緯度、経度)を求めることができるGPS(Global Positioning System)レシーバなどからの情報を用いて、車両の現在地を推定するものである。
【0018】
8は、経路演算部であり、車両位置検出部7によって推定される現在地から目的地設定部3によって設定された目的地まで最短時間で到達すると予測される経路を検索するものである。
【0019】
9は、システム制御部(制御手段)であり、例えばマイクロコンピュータによって構成され、現在地や目的地などに基づいて各種演算処理を行う手段となるCPUと、このCPUにおける演算処理結果を格納する読み出しおよび書換え可能な作業用メモリなるRAMと、制御プログラムを格納した読出し専用のプログラムメモリなるROMと、上述の構成部品等に対して各種信号をやりとりするための入出力インターフェイスとを備えている。
【0020】
10は、表示器(表示手段)であり、液晶ディスプレイなど表示パネルを適用でき、システム制御部9からの制御信号に基づいて表示を行うものである。表示器10は、車両のインストルメントパネル面などの利用者に視認しやすい位置に設けられる。また、11は、イグニッションスイッチ(始動スイッチ)であり、車両の動力を始動するためのスイッチである。
【0021】
以下、図2を用いてシステム制御部9による目的地の設定を行う処理の一例を説明する。
【0022】
システム制御部9は、イグニッションスイッチ11がオフからオンに切り替えられたか否かを判定する(ステップS1)。システム制御部9は、イグニッションスイッチ11がオンに切り替えられたと判定した場合、メモリ4に格納されている履歴情報を読み出し、設定回数(設定頻度)の多い順に目的地候補の名称(メモリ4に格納された名称データ)を各名称に付した番号とともに選択肢として表示器10に表示させる(ステップS2)。この場合、図3に示すように、番号とともに、目的地候補の名称を設定回数の多い順に8カ所について表示させることができる。なお、設定回数は、集計演算部5によって演算され、メモリ4に格納された履歴情報において設定回数が同じ場合には、日時データに基づいてより新しく設定されたデータが先になるように並べ替えられて表示される。
【0023】
システム制御部9は、音声入力部1による音声入力を監視し(ステップS3)、音声入力がある場合には、音声入力部1によってデータ化された音声を音声認識部2による所定のアルゴリズムによって、単語として認識する(ステップS4)。例えば、「イチ」あるいは「ジタク」などの利用者が発する音声を入力し、「1」あるいは「自宅」のように単語として認識させることができる。
【0024】
システム制御部9は、ステップS4にて認識した単語について、自宅などの予め登録されている登録データや、地図データベース6の名称データなどに基づいて、前記単語を目的地として設定する(ステップS5)。この際、特に表示器10に表示された番号に対応する単語を認識した場合に、この番号が付された名称を目的地として設定することができる。例えば、図3のような番号と名称とが列記された選択肢の表示がなされている時において、「1」,「1番」あるいは「1番目」などと認識した場合には、1なる番号が付された「新潟県長岡市東蔵王2」なる名称(地名)を目的地として設定することができる。
【0025】
システム制御部9は、ステップS5において目的地が設定された後、集計演算部5を介して前記目的地の名称データを日時データと関連付けて履歴情報としてメモリ4に格納する(ステップS6)。
【0026】
システム制御部9は、車両位置検出部7によって推定される現在地からステップS4にて設定された目的地までの経路について、最短時間で到達すると予測される経路を検索し(ステップS7)、この経路に応じた地図や案内を表示器10に表示させる(ステップS8)。
【0027】
かかる車両用ナビゲーション装置は、車両に搭載され表示器10に表示された選択肢を選択することによって所望の目的地を設定し、前記目的地までの経路を案内する車両用ナビゲーション装置であって、利用者から発せられる音声を入力し認識する音声入力部1および音声認識部2からなる音声認識手段と、前記音声認識手段によって認識された音声に基づいて前記目的地を設定する目的地設定部3と、目的地設定部3に設定された前記目的地の名称を履歴情報としてメモリ4に格納する集計演算部5と、前記利用者が前記目的地を設定する際に前記履歴情報に基づいて設定回数が多い順に前記名称を前記選択肢として表示器10に表示させるシステム制御部9と、を備えてなる。
【0028】
したがって、設定頻度の高い目的地に関しては、従来のように、ユーザによる同様な入力作業を使用毎に繰り返し行うという手間を低減して、容易な音声入力作業によって、目的地を設定することができる。
【0029】
また、システム制御部9は、前記選択肢として前記名称と前記名称毎に付された番号とを表示器10に表示させるとともに、前記音声認識手段が前記番号について音声認識した場合、目的地設定部3は、前記番号に対応する前記名称を前記目的地として設定することによって、例えば「イチ」や「サン」などの発音パターンが少ない音声を認識すればよいため、音声データベースとのマッチング処理の負荷を低減できるだけでなく、認識率を高めることができる。また、短い音声入力によって目的地を設定することができるため、利用者にとって容易な入力作業となる。また、短時間の音声入力によって、利用者の発する音声とともに突発的なノイズを入力してしまう確率を低減することができるため、音声の認識率を高めることも期待できる。
【0030】
また、システム制御部9は、前記車両のイグニッションスイッチをオンに操作した後に、前記選択肢を表示器10に表示させることによって、設定頻度の高い目的地に関しては、従来のように、ユーザによる同様な入力作業を設定毎に繰り返し行うという手間を低減して、前記選択肢を選択するための容易な音声入力作業によって、所望の目的地を設定することができる。また、イグニッションスイッチがオンされた後に自動的に目的地の設定操作(音声入力)を促すことになり、走行前の走行ノイズの少ない環境にて、素早く音声入力することができるため、誤認識の少ない目的地の設定を行うことができる。
【0031】
なお、本発明の実施の形態では、上述した構成部品やシステム制御部9による処理からなる車両用ナビゲーション装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その構成や処理方法は同様の効果が得られるものであればよく、例えば、始動スイッチとして、イグニッションスイッチを例に挙げて説明したが、少なくとも表示手段を含む構成部品の電源を投入するためのスイッチであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態における車両用ナビゲーション装置の概略を示すブロック図。
【図2】同上車両用ナビゲーション装置のシステム制御部による処理手順を示す図。
【図3】同上車両用ナビゲーション装置の表示器による表示例を示す図。
【符号の説明】
【0033】
1 音声入力部(音声認識手段)
2 音声認識部(音声認識手段)
3 目的地設定部(目的地設定部)
4 メモリ(記憶手段)
5 集計演算部(集計手段)
9 システム制御部(制御手段)
10 表示器(表示手段)
11 イグニッションスイッチ(始動スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され表示手段に表示された選択肢を選択することによって所望の目的地を設定し、前記目的地までの経路を案内する車両用ナビゲーション装置であって、
利用者から発せられる音声を認識する音声認識手段と、前記音声認識手段によって認識された音声に基づいて前記目的地を設定する目的地設定手段と、前記目的地設定手段に設定された前記目的地の名称を履歴情報として記憶手段に格納する集計手段と、前記利用者が前記目的地を設定する際に前記履歴情報に基づいて設定回数が多い順に前記名称を前記選択肢として前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えてなることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記選択肢として前記名称と前記名称毎に付された番号とを前記表示手段に表示させるとともに、前記音声認識手段が前記番号について音声認識した場合、前記目的地設定手段は、前記番号に対応する前記名称を前記目的地として設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記車両の始動スイッチをオンに操作した後に、前記選択肢を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−300552(P2006−300552A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118533(P2005−118533)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】