説明

車両用ナンバープレート撮像システム

【課題】 屋外駐車場などに設置し、晴天下や夜間などの様々な環境下でも、適切に認識可能なナンバープレート画像が撮像できるナンバープレート撮像システムを安価に提供する。
【解決手段】 通常の撮像モードとは異なるインターバル撮像モードを設け、さらにインターバル撮像モードでの撮像ターゲットマークTMを車両ナンバープレートNPの撮像位置の近傍で、且つ、カメラ2の撮像視野2H内に配置して、撮像ターゲット上のターゲットマークTMの明度が適切となる撮像条件を逐次記録して設定し、車両CRの進入検出時にその撮像条件でナンバープレートNPを撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場等への車両の入場及び出場に際して、車両ナンバー(ナンバープレート)を撮像して認識する車両用ナンバープレート撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のナンバープレートを撮像するシステムに関して、特許文献1には、様々な環境下で適切な文字領域の撮像を実現できる文字認識方法及びその装置が記載されている。また、特許文献2には、屋外などの明るさの変化の大きいところでもナンバープレートを十分なコントラストを確保して撮像する装置が記載されている。なお、特許文献3では、従来の光センサーを利用して周辺環境の光量を測定する手法が記載されている。
【特許文献1】特開2003−242440号公報
【特許文献2】特許第2706314号公報
【特許文献3】特公平1−145800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが上記特許文献1に記載の手法は、認識対象物体に対して複数の明るさの異なる画像を撮像し、その中から最も文字認識結果が良い条件の画像を抽出するといった方法であり、認識対象物体が比較的長い時間ずっと画像撮像エリアにいることが条件であり、認識対象物体が車両であれば完全に停止した状態を何回かに分けて撮像する必要がある。
【0004】
これに対し、車両がレーンに進入してきたことを検知して、瞬間的に画像を撮像してナンバープレートの認識を行う必要がある駐車場や有料道路の出入口レーンなどでは、車両が移動中に撮像するため、一度に複数の条件で車両を撮像することは困難であり、したがって、この特許文献1の技術はこの様な駐車場や有料道路等での利用には適さないものであった。
【0005】
また、車両が完全に停止した状態での撮像は、通常では車両の進行を規制するゲートバーが邪魔になり、車両の前部のナンバープレートを適切に撮像出来ない可能性があり、それ故に駐車場等での撮像位置はゲートバーよりも数m手前で、まだ車両が動いているうちに撮像する必要もあり、これも特許文献1の技術が駐車場では利用出来ない理由でもあった。
【0006】
さらに上記特許文献2に記載の手法は、車両進入路に進入する車両の前部を撮像し、撮像した画像を処理してナンバープレートを読み取ると共に、ナンバープレート画像の明るさを計測し、その計測結果に基づいて撮像装置に対して修正した絞り制御信号を出力して、次回の撮像の条件を設定するものであるが、車両が常に連続して進入していれば良いが、前回撮像後に車両の進入が途切れ、その間に周辺の環境条件が変化してしまい、適正な撮像条件としての絞り値が無意味になることが容易に考えられる。
【0007】
なお、この特許文献2の技術は、自動絞り調整(オートアイリス)機構付きの高価なレンズを使用して絞りを適正に調整して撮像するそれ以前の手法においては、ナンバープレートだけでなく、車体の色の違いなどの周辺の画像を含めた明るさで調整されてしまい、結果的にナンバープレート部分の画像が明るすぎたり暗すぎたりして、ナンバープレートの文字の判読が適正に行えないといった問題点を解消する方法として発明されたものであった。
【0008】
いずれにせよ、この特許文献2の発明は、駐車場や有料道路などでは理想的な態勢で車両が一定間隔で進入し続けることを前提としたものであり、したがって、特に駐車場での実現には難しい技術であった。
【0009】
他の手段としては、特許文献3に記載の車両進入路付近に周辺環境の光量を計測する光量センサー(文献中は光センサーと記載されているが、他文献では車両撮像位置を検出する光センサーの記載もあり、混同を避けるため光量センサーとした)を設置して、その光量センサーの計測値を撮像条件に常に反映させる手法もあるが、これも高価な光量センサーが必要であり、光量センサーと撮像装置とを通信接続するなど、システム構成が複雑でコストがかかるという問題もあった。
【0010】
また、光量センサーの設置位置は必ずしもナンバープレートの撮像位置の近くには出来ないため、光量センサーの計測した光量とナンバープレート部分での光量に差がある場合には、ナンバープレートが適正な明るさで撮像出来ないという問題もあった。
【0011】
本発明は上述した各問題点を解消するために成されたものであって、その技術的課題は、屋外に設置された駐車場などで使用して好適であり、且つ、高価な光量センサーやオートアイリス機構付きレンズ等を採用せずに、ナンバープレート画像が安定した明るさとコントラストで撮像できるナンバープレート撮像システムを安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 上記の技術的課題を解決するために、本発明の請求項1に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、車両が撮像位置に進入して来ると、カメラが予め画像処理装置から受信した撮像設定条件に従って車両のナンバープレートを撮像し、且つ、撮像した画像をプレート画像処理部において文字認識して、ナンバー情報を読み取る車両用ナンバープレート撮像システムであって、車両が進入していない時に、カメラ撮像設定条件を確認するためのインターバル撮像モードを設けて、そのインターバル撮像モードにて上記カメラが撮像した画像から、次回以降のカメラ撮像設定条件を導き出すカメラ撮像設定条件更新手段と、更新されたカメラ撮像設定条件をカメラに送信して記憶する記憶手段と、を備えて成ることを特徴としている。
【0013】
(2) また、本発明の請求項2に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、前記カメラの撮像視野内に前記インターバル撮像モードで撮像設定条件を決定するターゲットを設置し、その設置位置を予め画像処理部で記憶し、前記インターバル撮像モードで撮像した画像の当該ターゲット設置位置の画像の明度から、カメラ撮像設定条件を導き出すことを特徴としている。
【0014】
(3) また、本発明の請求項3に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、前記インターバル撮像モードで撮像するターゲットが、レーンの両側若しくは一方のアイランドに設置したトリガーセンサーの外部筐体上の印刷マーク、若しくは、筐体外部形状で構成され、且つ、少なくとも明色部と暗色部を有することを特徴としている。
【0015】
(4) また、本発明の請求項4に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、前記インターバル撮像モード動作中に車両検知手段によりレーンへの車両進入を検知した場合は、割り込みにてすぐに通常モードに戻ることを特徴としている。
【0016】
(5) また、本発明の請求項5に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、前記インターバル撮像モードは、前回の通常撮像もしくは前回のインターバル撮像モードでの撮像後、予め設定した時間が経過した時間毎に起動することを特徴としている。
【0017】
(6) また、本発明の請求項6に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、前記インターバル撮像モードは、前回通常撮像時に車両が通過したことを検知した際にも行い、その後予め設定した時間が経過した時毎に起動することを特徴としている。
【0018】
(7) また、本発明の請求項7に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、前記インターバル撮像モードで撮像したターゲットマーク画像を計測した明度から設定されるカメラ撮像設定条件と、その条件で撮像したナンバープレート画像を計測した明度を比較し、ナンバープレート画像の明度の直近の複数データの平均が最適となる様に、ターゲットマーク画像の明度計測のパラメータを更新して変化させることを特徴としている。
【0019】
(8) また、本発明の請求項8に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、前記カメラ撮像設定条件において変化させる条件は、カメラ電子シャッタースピードのみか、若しくは、カメラ電子シャッタースピードおよびカメラゲインとし、最も遅い電子シャッタースピードで、且つ、カメラゲイン最大値の時の画像が暗い条件で、インターバル撮像モードで撮像したターゲットマークの明度が予め設定した明度より暗い時に、若しくは、ナンバープレート画像の明度が予め設定した明度より暗いときには、フラッシュ発光設定に移行し、フラッシュ発光設定状態における他のカメラ撮像設定条件は、一定の条件であることを特徴としている。
【0020】
(9) 更に、本発明の請求項9に係る車両用ナンバープレート撮像システムは、前記フラッシュ発光設定に条件が移行した後のインターバル撮像モードにおいては、カメラゲイン最大値の条件での撮像を行い、その条件で画像の明度が適切な状態、即ち、予め設定した明度より暗い場合にはフラッシュ発光設定を維持し、適切な明度より明るい場合には、フラッシュ発光モードを終了して、フラッシュ発光しない最も遅い電子シャッタースピードでのインターバル撮像モードに移行することを特徴としている。
【0021】
上記(1)で述べた手段によれば、インターバル撮像モードを設けたため、車両が通過して暫く時間が経過するうちに周辺の環境が変化した場合でも、インターバル撮像モードでの撮像によってレーンの明るさを計測し、それ以降の車両の進入に備えることができるため、毎回適切な条件での撮像ができ、屋外の駐車場でもナンバープレート認識率を高精度に維持することができる。
【0022】
また、上記(2)で述べた手段によれば、インターバル撮像モードで撮像した画像から明度を判断する位置を固定しているために、毎回そのレーンの環境条件が安定して確認できるため、毎回適切な条件での撮像を可能にする。
【0023】
また、上記(3)で述べた手段によれば、ターゲットをトリガーセンサーでおこなうため、新たに特別なターゲット用の部材を設ける必要がなく、ナンバープレート撮像位置を示すトリガーセンサーの外部筺体に、シールやプリント、或いは、銘板、彫刻等で造ったターゲットマークを設けることで、実際のナンバープレート位置に極めて近い位置の環境条件が計測でき、且つ、視野を特別に大きく拡大する必要もないため、従来装置の構成やレイアウトを踏襲しつつ、コストをアップさせずに安定した環境条件の計測と撮像が可能となる。
【0024】
また、上記(4)で述べた手段によれば、インターバル撮像モードでの撮像や計測処理中に次の車両が進入して来た場合には、トリガーセンサーよりも先にループコイルか、特別に設けた進入センサーがそれを検知出来て、割り込みにてすぐにも元の通常モードの状態に戻って、適切に車両のナンバープレートの撮像ができるため、インターバル撮像モード中に車両が来たことによりその処理が終わるまで車両の撮像が出来ない、といった問題が生じない。
【0025】
また、上記(5)で述べた手段によれば、インターバル撮像モードの設定時間(N分間)を短く設定すれば、急な環境の変化にもすぐ応答できる。
【0026】
また、上記(6)で述べた手段によれば、毎回、車両が通過した時には一回ターゲットの撮像をおこなって確認するため、さらに細かく環境の変化に追従できる。
【0027】
さらにまた、上記(7)で述べた手段によれば、ターゲットマークの周辺の汚れを学習することになり、経年変化で徐々に汚れてきたマークでも適切に明度の計測ができ、頻繁な清掃やメンテナンスが必要なく、結果的に低ランニングコストでの運用が可能となる。
【0028】
加えて、上記(8)で述べた手段によれば、カメラ撮像設定条件にアイリス(絞り)を含めないため、カメラの設定が瞬時に反映され、細かい周期での設定条件の変更が確実に反映でき、さらにアイリス駆動機構などが不要で、コストダウンとなる。即ち、アイリスは駆動モータで機械的に開閉するために、動作に時間遅れが生じる。インターバル撮像モード後にすぐに車両が進入した場合など、アイリスでは追従出来ない可能性もある。また、フラッシュ発光モードでのカメラ撮像条件は固定であるため、暗いときはフラッシュ発光、明るい時は電子シャッターとゲインで調整という、簡素なアルゴリズムで動作が可能となる。
【0029】
さらに加えて、上記(9)で述べた手段によれば、車両がレーンに進入していない状態でのフラッシュ発光は、機器の故障と誤解されかねないこともあり、インターバル撮像モードでのフラッシュ発光をおこなわないため、利用者や駐車場管理者にその様な誤解を与えず、さらにフラッシュの電球や発光電力の蓄電用バッテリーの寿命を気にせずに細かい周期でインターバル撮像モードが実施できるため、全体的にコストを抑えてナンバー認識精度のよいシステムを低ランニングコストにて実現することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上述べた次第で、本発明に係る車両用ナンバープレート撮像システムによれば、屋外駐車場などに設置し、晴天下や夜間などの様々な環境下でも、適切に認識可能なナンバープレート画像が撮像できる利点を発揮することができると共に、装置のコストを低く抑え、さらに低ランニングコストで実現できる経済性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明に係る車両用ナンバープレート撮像システムを駐車場管理装置に用いた場合の実施例を図面と共に詳細に説明するが、ここで説明する実施形態は本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0032】
図1は本発明に係る車両用ナンバープレート撮像システムの構成を示すブロック図であり、例として駐車場の1つの出口レーンに設置されたカメラユニット1と、トリガーセンサー20と精算機30と、出口レーンとは異なる場所に設置された画像処理装置10との接続状態を示しており、図示しないが、同様なカメラユニットとトリガーセンサーと発券機が別の入口レーンに設置され、さらに同様な入口出口レーンの構成が他にも1、2個所設置され、1台の画像処理装置10は複数のレーンの状態を管理している。
【0033】
また、画像処理装置10を構成するプレート画像処理部11には、ナンバープレートの文字フォントなどが登録された文字辞書サーバーと、車両の入場時に在車として登録して出場時にデータを削除する(若しくは出場済みとして履歴サーバーに移動させる)入出庫サーバーと、入場車両や定期登録車両の撮像画像を保管する画像サーバー等が接続されている。
【0034】
更に詳しく図1に示した構成を説明すると、2はカメラユニット1を構成するカメラ、3と3Eはフラッシュ制御部とフラッシュ、31と32は精算機30に接続したループコイルとゲート開閉機を示す。また、プレート画像処理部11は、プレート切り出し部14と、文字認識部15と、ナンバーマッチング部16と、マッチング判定部17、及び、カメラ撮像設定部18によって構成され、カメラ撮像設定部18はカメラ制御部12を介して上記のカメラ2に接続され、マッチング判定部17は外部通信部13を介して前述した精算機30と、各端末に接続され、更に、精算機30は上述したトリガーセンサー20とカメラユニット1のカメラ2にも接続されている。
【0035】
図2の(1)と(2)は、本発明に係るナンバープレート撮像システムの実施例を示す出口レーンOTの構成を説明した平面図と側面図であり、車両CRが発光と受光のトリガーセンサー20A,20Bの検知ラインTL(トリガーライン)上に位置した状態を示している。図中、ALとARは出口レーンOTを構成する左右のアイランド、NPは車両CRのナンバープレート、32はゲートバー32Tを開閉するゲート開閉機である。
【0036】
基本的な動作としては、図1のプレート画像処理部11に示した各処理部14〜18の順番通りの流れで動作するが、まず、図2の様にトリガーラインTLに車両CRが達する直前に、第1のループコイル31A上に車両CRが来た時に(図4の状態と同じ)、精算機30で第1のループコイル31AのONを検知し、画像処理装置10と同時に支柱1Kに取付けたカメラユニット1にもループコイルONの信号を出力する。その際カメラユニット1は後述するインターバル撮像モードを行っている場合は、すぐに中止する。
【0037】
その後図2の位置に車両CRが達して、トリガーセンサー発光側20Aからの赤外線(複数のビームでトリガーライン上に壁の様なラインを形成)を遮蔽したことが、トリガーセンサー受光側20Bで検知されると、トリガーON信号が精算機30に伝わり、さらにカメラユニット1のカメラ2にもトリガーONが送信され、カメラ2はその時点でフラッシュ3F発光の必要の有無や、電子シャッタースピードやカメラゲインなどの撮像設定条件が予め内部のメモリー(図示省略)に記憶されており、その最新の撮像設定条件でレーンOTの状態を撮像する。
【0038】
図3は本発明に係るナンバープレート撮像システムの実施例を示す出口レーンOTの状態図であり、前記のトリガーONの際の撮像視野、即ち、カメラ視野2Hをカメラ2側から見た状態で2点鎖線で示している。このとき、トリガーセンサーの発光側20Aと受光側20Bとも、カメラ視野2Hのなかに収まる様に、カメラ2の設置時点で視野やフォーカスが調整されている。
【0039】
図6は本発明の実施例における画像処理装置10の動作フローであり、これを図1とともに説明すると、ステップS1でトリガーONを受けたカメラ2が撮像した画像は、ステップS2で画像処理装置10のカメラ制御部12に受信され、次いで、ステップS3でプレート画像処理部11のプレート切り出し部14にすぐさま転送され、カメラ視野2Hの画像の中からナンバープレートNPの部分を切り出しし、さらにステップS4に進んでその切り出した画像から文字認識部15が文字抽出をして文字辞書サーバーのデータと比較して個々の文字を認識し、ステップS5でその認識された文字データに該当する車両CRが入出庫サーバーに存在するか(在車しているか)を検索し、ナンバーマッチング部16でその検索候補から特定のナンバーの車両データを詳細に比較してベストマッチングを絞り込み、次いで、ステップS6に進んでマッチング判定部17でそのマッチング判定結果によって車両CRのデータ番号や入場時間などを決定し、ステップS7で外部通信部13を介して精算機30にその情報を送信する。
【0040】
精算機30では、マッチング判定データに含まれる進入車両CRの入場時刻などから駐車料金を計算し、料金精算が済むとゲート開閉機32に対してゲート開信号を発信し、その後車両が出場して第2のループコイル31Bを通過しきると、ゲート閉信号を発信して、ステップS8で再度画像処理装置10に車両CRの出場を通知する。入出庫サーバーでは車両CRの出場によって在車データを削除するか、別の出場履歴サーバーに移動させるか等の処理を行い、全体の処理を終了する。以上が通常の車両の出場時の動作の例である。
【0041】
この様なレーンOTが屋外に設置されている場合、天気の変化や昼夜の違いや周辺の建物による影の影響等で、レーンOTの最適な撮像条件は刻々と変化している。従来はそれに追従するためにオートアイリス機構を備えたレンズを採用してカメラ視野2H全体の光量を一定に制御したり、レーンOTの一部に光量センサーを別途設け、その光量センサーでの検出値を常にカメラ2に送信して、カメラ2の撮像条件を変化させたりしていたが、これらの装置は微妙に光量を検出する素子を含んだ高価なものであり、システム全体のコストアップに繋がっていた。
【0042】
また、これらの手法においてはナンバープレートNPの画像を別の部分や、全体画像から調整しているに過ぎないため、結果的にはナンバープレートNPの画像が適切な明度で撮像されず、明るすぎたり暗すぎたりして、そのために適正にナンバープレートNPの画像そのものが切り出しできなかったり、文字の一部が認識出来なかったりといった不具合が避けられないものであった。
【0043】
そこで本発明においては、撮像した画像のナンバープレートNPの部分の画像の明度を適正に維持するために、図6のフローのステップS13とステップS1の成す判断フローにおいて、トリガー入力がN分間経過するうちに入力?YESに移行しない場合、丸Aで示したインターバル撮像モードの撮像フローに移行することにしている。次に、図7において本発明の実施例におけるインターバル撮像モードの撮像設定処理フローを示す。
【0044】
図7において、始めのステップS14では、画像処理装置10のカメラ制御部12は、カメラユニット1に対してカラ撃ち(トリガー入力なしでカメラ撮像する)の指示を送信する。カメラユニット1のメモリー(カメラ2のメモリー)はその時点での撮像条件を記憶しており、その条件でのカラ撃ち撮像をおこない、画像を画像処理装置10へ送信する。次のステップS15で画像処理装置10のカメラ制御部12がその画像を受信すると、ステップS16に進んでプレート画像処理部11において通常のナンバー切り出しではなく、予め設定した位置のターゲットマークTMを切り出す。
【0045】
図5に本発明で使用するターゲットマークTMの実施例を示す出口レーンOTの状態図を示し、この例では白と黒または濃緑色のターゲットマークTMを、シールとしてトリガーセンサー20A,20Bの外装体のカメラ側を向いている面に貼っている。
【0046】
図7のフローに戻り、上記のステップS16でターゲットマークTMの画像を切り出すと(例では2個所とも)、ステップS17に進んで個々のターゲットマークTMについての明度を計測する。図8は本発明の実施例におけるターゲットマークTMの明度判定方法の説明図を示し、実施例の様なターゲットマークTMの画像から、その濃淡の状態を明度として抽出し、その横方向の長さも測定してそれぞれw、b、c、d、eといった部分の量を計測する。即ち、濃淡のレベルを示す波形のデューティとそのレベルの最大値、最小値、最大最小の差等を計測し、適正な明度となっているかどうかを判定する。
【0047】
ステップS18における判定によって<マーク画像の明度OK?>がNO(明るすぎか暗すぎ)の場合には、ステップS19でカメラ撮像設定を変更して、ステップS20でカメラ2にその変更した撮像設定を送信すると、カメラ2は受信した撮像設定に自身のメモリーを書換える。画像処理装置10は再度カラ撃ち指示を送信して前述のフローを繰り返し、ステップS18で<マーク画像の明度OK?>に対してYES(適正な画像)が得られれば、ステップS21に進んでカメラ撮像設定を画像処理装置10側にも保存して、インターバル撮像モードの撮像を終了する。
【0048】
なお、このインターバル撮像モードの処理中に、前記図4の様に車両CRが第1のループ31Aに進入した場合は、ステップS22ですぐさまこのインターバル撮像モードのフローが終了にジャンプする様になっており、つまり第1のループコイル31Aの状態によりインターバル撮像モードの強制終了が割り込み処理で成される様にプログラムされている。(請求項4のポイント)
【0049】
この様にしてインターバル撮像モードに移行して、カメラ2でカラ撃ちした時の最後のベストな撮像設定条件がカメラ2のメモリーに保存されているため、次の撮像時に適正な明るさでナンバープレートNPを撮像することが出来る(請求項1のポイント)。また、その明度を計測するためのターゲットマークTMをカメラ視野2H内に設定したことで、通常の撮像と同様な流れでカラ撃ちのシステムが出来る(請求項2のポイント)。さらに、カラ撃ち時のターゲットマークTMをトリガーセンサー20A.20Bのケースの外装に貼ったシールで行うため、明度の計測と判定が適切におこなえる(請求項3のポイント)。加えて、インターバル撮像モードでのカラ撃ちの頻度を予めN分と決めておき、N分は環境の変化の度合いによってはかなり頻繁な設定でも良く、急な環境の変化への対応が可能となる(請求項5のポイント)。
【0050】
なお、図6に示したフローの後半のステップS9において、画像処理装置10がレーンOTでの出場完了を受信して入出場データを更新した後で、ステップS10でこの際の画像処理に使用したナンバープレートNPの画像の明度を図8で示したのと同様な方法で計測しておき、その計測結果が最適ではない場合は、ステップS11でナンバープレートNPを画像の明度が最適となる様に設定して、ステップS12でカメラ撮像設定をカメラ制御部から送信するフローとしたが、これはその時の一度のプレート画像明度測定の結果だけでなく、複数回連続で同傾向に(明るい傾向か暗い傾向)ずれた状態が続いたときだけ、プレート画像からカメラ撮像設定を決定して送信する方式でもよい。
【0051】
次に、図9で本発明の実施例におけるレーンOTの周辺環境の照度と電子シャッタースピードの関係を表す。この例では、電子シャッタースピードは複数のステップで設定可能なカメラ2を想定しており、同時にカメラゲインとして、例えばCCD素子への撮像時の入力光を増幅するアンプゲインも変化させ、画像の適正な明度を得ることが出来るが、説明の簡略化のため、電子シャッタースピードのみで画像の明度を調整する場合を説明し、カメラゲインや絞り(アイリス)は固定とする。
【0052】
図9の様に、ある一定の照度f以上であれば、図1のフラッシュ3Fは発光させずに電子シャッタースピードの変化で画像の明度を調整する様に設定しているが、fの値に関してはレーンOTへの車両CRの進入速度から画像がブレない程度の電子シャッタースピードまでは遅くすることが可能である。それよりも照度が暗くなった場合には、電子シャッタースピードは固定にしてフラッシュ3Fを電子シャッターと同期させながら発光させる様に制御することとしている。
【0053】
ここで、フラッシュ3Fの発光状態で、且つ、電子シャッタースピードを変化させる方法もあるが、ある程度フラッシュ3Fの光量が強く、ナンバープレートNPの位置が通常はカメラ視野2Hのほぼ中央に集まると予想されることから、フラッシュ光が常にナンバープレートNPを照らしている状態であれば、周辺の環境の暗さが薄暮状態であっても、月の出ていない真っ暗な状態であっても、ナンバープレートNPは適正に撮像することが可能である。
【0054】
したがって、本発明の実施例においては、ある程度暗い環境から真っ暗な状態まで、フラッシュ3Fの発光時には電子シャッタースピードは固定値とした同条件で撮像することとしている。これにより、前述のインターバル撮像モードのカラ撃ち撮像は、ある程度暗い環境においてもフラッシュ3Fを発光せず、その結果が図8で示す暗すぎの状態であれば、カメラ撮像設定条件はフラッシュ発光の条件に固定すればよく、それ故、インターバル撮像モードのカラ撃ち撮像においてフラッシュ3Fを焚くこともないために、フラッシュ3Fの寿命を減らすこともなく、インターバル撮像モードのカラ撃ち撮像の周期(N分間隔)を頻繁にすることが可能で、周辺の環境変化への追従性が確保出来る。(請求項8,9のポイント)なお、図8において横軸を照度(Lux)で示したが、これは本発明の実施例では予めナンバープレートの明度(Brightness)と周囲の照度の相関関係を調べており、明度は照度と比例して変化するため、この表では照度で説明した。さらに電子シャッタースピードはすなわち露光時間のことであり、露光時間で示せば図8の表の縦軸は上に行くほど露光時間が短く、下に行くほど露光時間が長い状態を示す。
【0055】
図10は本発明の第2の実施例における画像処理装置の動作フローを示す。図10においては、前半のステップS31〜S42は前述の図6に示したステップS1〜S12と同じであるが、ステップS42のカメラ制御部12によるカメラ撮像設定送信のあとで、図7の丸Aで示したインターバル撮像モードのカラ撃ち撮像に移行して、すぐさまターゲットマークTMの撮像を行い、その時点でのターゲットマーク画像のベストな明度を計測し、次いで、ステップS44でその前に出場した実際の車両CRのナンバープレートNPの画像の明度や、それまでの複数回のインターバル撮像モードの撮像でのターゲットマーク画像のベストな明度の統計や推移から、ターゲットマークTMの画像が経年変化で汚れたりかすれたりしたことを検知し、ステップS45で明度計測時の判定パラメータの条件を更新することが可能となる。
【0056】
即ち、図8のw、bとの比の最適条件は当初w=bであったが、だんだん白部が汚れてきたためにwが小さく計測される様になってきて、結果的にナンバープレートNPの画像の明度が明るめに撮像される頻度が多くなってきた場合には、例えばw×1.1=bを最適条件に更新することが可能である。同様に、最適なコントラストの時の最大最小の差cや白部の最大値eの絶対値を小さく更新することなども有効である。(請求項7のポイント)
【0057】
なお、今回の実施例ではインターバルモードの撮像のためのターゲットをレーンOTの両サイドのトリガーセンサー20A,20Bの外装体に設けたターゲットマークTMでおこなったが、これら2個所のターゲットマークTM,TMを個々に計測して、その最適条件同士が食い違う場合には、それらの平均値をとっても良いし、どちらかのターゲットマークTMのデータを基本的には採用することとしても良く、周辺の環境の状態によって適切に設定すれば良い。
【0058】
また、実施例においては車両CRの前部のナンバープレートTMを撮像するレイアウトを示したが、車両CRの後部のナンバープレートを撮像するレイアウトの場合であっても、トリガーセンサー20A,20Bの遮蔽状態が解除したタイミングで車両CRの後部から撮像するシステムでは、本発明の技術がそのまま利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るナンバープレート撮像システム全体の構成を示したブロック図。
【図2】(1)は本発明に係るナンバープレート撮像システムの実施例を示す出口レーンの構成を示した平面図で、(2)はその側面図。
【図3】本発明に係るナンバープレート撮像システムの実施例を示す出口レーンの状態図。
【図4】(1)は本発明における割り込み動作の実施例を示す出口レーンの構成を示した平面図で、(2)はその側面図。
【図5】本発明のターゲットマークの実施例を示す出口レーン部分の斜視図。
【図6】本発明の実施例における画像処理装置の動作フロー図。
【図7】本発明の実施例における撮像設定処理のフロー図。
【図8】本発明の実施例におけるターゲットマークの明度判定方法の説明図。
【図9】本発明の実施例における照度と電子シャッタースピードの関係を表す図。
【図10】本発明の第2の実施例における画像処理装置の動作フロー図。
【符号の説明】
【0060】
1 カメラユニット
2 カメラ
2H カメラ視野
3F フラッシュ
10 画像処理部
11 プレート画像処理部
12 カメラ制御部
14 プレート切り出し部
15 文字認識部
16 ナンバーマッチング部
17 マッチング判定部
18 カメラ撮像設定部
20A,20B トリガーセンサー
30 精算機
31A,31B ループコイル
CR 車両
NP ナンバープレート
AL,AR アイランド
OT 出口レーン
TM ターゲットマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が撮像位置に進入して来ると、カメラが予め画像処理装置から受信した撮像設定条件に従って車両のナンバープレートを撮像し、且つ、撮像した画像をプレート画像処理部において文字認識して、ナンバー情報を読み取る車両用ナンバープレート撮像システムであって、
車両が進入していない時に、カメラ撮像設定条件を確認するためのインターバル撮像モードを設けて、そのインターバル撮像モードにて上記カメラが撮像した画像から、次回以降のカメラ撮像設定条件を導き出すカメラ撮像設定条件更新手段と、更新されたカメラ撮像設定条件をカメラに送信して記憶する記憶手段と、を備えて成ることを特徴とする車両用ナンバープレート撮像システム。
【請求項2】
前記カメラの撮像視野内に前記インターバル撮像モードで撮像設定条件を決定するターゲットを設置し、その設置位置を予め画像処理部で記憶し、前記インターバル撮像モードで撮像した画像の当該ターゲット設置位置の画像の明度から、カメラ撮像設定条件を導き出すことを特徴とする請求項1に記載の車両用ナンバープレート撮像システム。
【請求項3】
前記インターバル撮像モードで撮像するターゲットが、レーンの両側若しくは一方のアイランドに設置したトリガーセンサーの外部筐体上の印刷マーク、若しくは、筐体外部形状で構成され、且つ、少なくとも明色部と暗色部を有することを特徴とする請求項2記載の車両用ナンバープレート撮像システム。
【請求項4】
前記インターバル撮像モード動作中に車両検知手段によりレーンへの車両進入を検知した場合は、割り込みにてすぐに通常モードに戻ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の車両用ナンバープレート撮像システム。
【請求項5】
前記インターバル撮像モードは、前回の通常撮像もしくは前回のインターバル撮像モードでの撮像後、予め設定した時間が経過した時間毎に起動することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の車両用ナンバープレート撮像システム。
【請求項6】
前記インターバル撮像モードは、前回通常撮像時に車両が通過したことを検知した際にも行い、その後予め設定した時間が経過した時毎に起動することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の車両用ナンバープレート撮像システム。
【請求項7】
前記インターバル撮像モードで撮像したターゲットマーク画像を計測した明度から設定されるカメラ撮像設定条件と、その条件で撮像したナンバープレート画像を計測した明度を比較し、ナンバープレート画像の明度の直近の複数データの平均が最適となる様に、ターゲットマーク画像の明度計測のパラメータを更新して変化させることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の車両用ナンバープレート撮像システム。
【請求項8】
前記カメラ撮像設定条件において変化させる条件は、カメラ電子シャッタースピードのみか、若しくは、カメラ電子シャッタースピードおよびカメラゲインとし、最も遅い電子シャッタースピードで、且つ、カメラゲイン最大値の時の画像が暗い条件で、インターバル撮像モードで撮像したターゲットマークの明度が予め設定した明度より暗い時に、若しくは、ナンバープレート画像の明度が予め設定した明度より暗いときには、フラッシュ発光設定に移行し、フラッシュ発光設定状態における他のカメラ撮像設定条件は、一定の条件であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の車両用ナンバープレート撮像システム。
【請求項9】
前記フラッシュ発光設定に条件が移行した後のインターバル撮像モードにおいては、カメラゲイン最大値の条件での撮像を行い、その条件で画像の明度が適切な状態、即ち、予め設定した明度より暗い場合には、フラッシュ発光設定を維持し、適切な明度より明るい場合には、フラッシュ発光モードを終了して、フラッシュ発光しない最も遅い電子シャッタースピードでのインターバル撮像モードに移行することを特徴とする請求項8に記載の車両用ナンバープレート撮像システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−59185(P2009−59185A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226168(P2007−226168)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】