説明

車両用ホーンの振動音低減構造

【課題】 本発明は、簡単な構造で大きな重量増加を伴うことなく、ホーンの動作時におけるクロスメンバ等のホーン取付部材のびびり音を確実に低減させることが可能な車両用ホーンの振動音低減構造を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、車両前部に配設され、車両の幅方向に延在して断面の一方側に開放部6aを有する断面略コ字状の開放断面に形成されたクロスメンバ6を備え、クロスメンバ6にブラケット5を介してホーン1が取付けられた車両において、クロスメンバ6に、該クロスメンバ6の開放部6aを覆って該クロスメンバ6の振動を抑制する制振カバー8を取付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、自動車などの車両に装備されるホーンの使用時に発生する振動を効率的に抑制し、びびり音対策にも有効な車両用ホーンの振動音低減構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、自動車のフロントグリル102におけるホーン取付位置には、該ホーンによる車外音圧を確保するための開口部分(ホーン開口部104)が必要であるが、車体100のフロントバンパー101、フロントグリル102等の意匠やラジエータ103等の機能部品を考慮して、ホーン開口部104がレイアウトされている。このため、ホーンの取付位置が限定され、ホーン開口部104近傍のクロスメンバに、ホーン取付ブラケットを介してホーンが固定されることになる。しかし、ホーンを固定する部材の剛性が不足する場合には、ホーン使用時にホーンにより発振された振動がホーン取付ブラケットを介して、クロスメンバに伝播され、該クロスメンバからびびり音が発生する事態となり、該びびり音の車外への流出が問題になるおそれがあった。
【0003】
このような、ホーンにより発振された振動によるクロスメンバの共振を防止する手段の一つとして、下記の特許文献1の技術が提供されている。
この技術においては、車体に架設したチャンネル材の壁部にホーンの取付座が形成され、ホーンは止め具を介して取付座に固定され、チャンネル材の取付座近傍の端縁部には補強フランジが一体形成され、該補強フランジには取付座の外方に突出してホーンの揺動を阻止する揺動阻止部が設けられており、これによりホーンの取付座近傍の剛性を増大させ、ホーンの動作時におけるびびり音を抑制している。
【特許文献1】実用新案登録第2520916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、次のような解決すべき問題を有している。
すなわち、上記従来技術においては、車体に架設したチャンネル材の壁部の取付座にホーンを止め具により固定し、チャンネル材の取付座近傍の端縁部に一体形成した補強フランジにホーンの揺動を阻止する揺動阻止部を設けることにより、ホーンの取付座近傍部分を強化し、この強化部分にホーンを取付けて、ホーンの動作時におけるびびり音の発生を防止している。
【0005】
つまり、上記従来技術にあっては、ホーン取付部に補強フランジや揺動阻止部を追設して剛性を増大することにより、ホーンの動作時におけるびびり音の発生を防止しているため、構造が複雑になるとともに、ホーン取付座近傍の補強フランジや揺動阻止部の追設によって重量が増加することになってしまう。
また、上記従来技術にあっては、ホーンの取付座近傍の剛性増加により該取付座近傍の固有振動数が高周波数側に移行して、ホーンの取付部近傍に何らかの高周波数振動が付与された場合には、共振を起こす可能性を有している。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な構造で大きな重量増加を伴うことなく、ホーンの動作時におけるクロスメンバ等のホーン取付部材のびびり音を確実に低減させることが可能な車両用ホーンの振動音低減構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、車両前部に配設され、車両の幅方向に延在して断面の一方側に開放部を有する断面略コ字状の開放断面に形成されたクロスメンバを備え、該クロスメンバにブラケットを介してホーンが取付けられた車両において、前記クロスメンバに、該クロスメンバの開放部を覆う制振カバーを取付けている。
この場合、上記制振カバーは、樹脂材、ゴム材、ラバー材のような振動減衰能の大きい材料で構成されるのが好ましい。
【0008】
かかる発明において、前記クロスメンバ及び制振カバーを具体的には次のように構成するのが好ましい。
(1)前記クロスメンバは、その両端部が車体に固定され、前記制振カバーは、前記クロスメンバの車幅方向中央部を覆うように配置されている。
(2)前記クロスメンバは、上壁、下壁及び該上壁と下壁とを結合する縦壁からなり、前記開放部が車両後方側に開放されて構成されているとともに、前記制振カバーは、前記クロスメンバの開放部を覆うカバー部と前記クロスメンバの上壁に対向して配置される固定部とを有し、該固定部は、前記クロスメンバの上壁に固定されている。
(3)前記制振カバーにおけるカバー部の下部には、前記クロスメンバ側に向かって延びるステイ部が設けられているとともに、該ステイ部には下方へ突出する固定ボスが設けられ、前記クロスメンバの下壁に穿設された孔に前記固定ボスを嵌合することにより、前記ステイ部は前記クロスメンバの下壁に固定されている。
【発明の効果】
【0009】
上述の如く、本発明に係る車両用ホーンの振動音低減構造によれば、クロスメンバにブラケットを介して取付けられているホーンの動作時(ホーンからの音信発振時)に、該ホーンの発振による振動がブラケットを通してクロスメンバに伝播され、該クロスメンバが共振してびびり音が発生し易い状態にあっても、樹脂材、ゴム材、ラバー材のような振動減衰能の大きい材料で構成された制振カバーでクロスメンバの開放部を覆っているので、前記のような共振によりクロスメンバ内で増幅されたびびり音のクロスメンバ開口部からの放射を抑制することができる。
また、樹脂材、ゴム材、ラバー材のような振動減衰能の大きい材料で構成された前記制振カバーをクロスメンバの面に固定しているので、制振カバー自体の振動減衰作用よってクロスメンバの振動を低減することができる。
【0010】
以上のような、制振カバーでクロスメンバの開放部を覆うことによるびびり音の伝播抑制作用及び振動減衰能の大きい材料からなる制振カバー自体の振動減衰作用によって、ホーンの動作時におけるクロスメンバのびびり音を確実に低減することができる。
そして、本発明によれば、樹脂材、ゴム材、ラバー材のような軟質の板状体を屈曲して形成した制振カバーをクロスメンバに固定するという、比較的簡単な構造で重量増加も軽微な手段にて、前記のようなびびり音の低減効果を得ることができる。
【0011】
また、本発明によれば、両端部が車体に固定されたクロスメンバの車幅方向中央部を覆うように前記制振カバーを配置したので、クロスメンバの両端の固定部から離隔してびびり音の振幅が大きくなり得るクロスメンバの車幅方向中央部を制振カバーで覆うことが可能となり、クロスメンバのびびり音抑制効果をより向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明によれば、上壁、下壁及び該上壁と下壁とを結合する縦壁からなる断面略コ字状の開放断面に形成された前記クロスメンバの開放部を車両後方側に開放するとともに、前記制振カバーをクロスメンバの開放部を覆うカバー部と前記クロスメンバの上壁に対向して配置される固定部とにより形成して、該固定部を前記クロスメンバの上壁に固定したので、制振カバーの固定部を上方からクロスメンバの上壁に重ねて取付けることが可能となり、制振カバーのクロスメンバへの組付け作業が容易となって、組付け性の向上を図ることができる。
また、断面略コ字状の開放断面に形成されたクロスメンバの面のうち、びびり音の発振度合いの大きい上壁に制振カバーを固定することにより、該制振カバー自体の振動減衰作用によってびびり音の減衰効果をより向上させることができる。
【0013】
そして、本発明によれば、制振カバーの上部の固定部をクロスメンバの上壁に固定するのに加えて、制振カバーの下部に前記クロスメンバ側へ向かって延びるステイ部を設け、該ステイ部に下方へ突出すべく形成した固定ボスをクロスメンバの下壁に固定したので、制振カバーの取付剛性が上昇し、該制振カバーの耐久性向上が図れる。
また、前記ステイ部と前記クロスメンバの下壁との取付けは、該ステイ部に突設した固定ボスをクロスメンバの下壁に穿設された孔に差し込むだけで可能となるので、ステイ部の組付性も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る車両用ホーンの振動音低減構造が適用された自動車前部のホーン取付部近傍の斜視図、図2は上記実施形態におけるホーン取付部近傍の振動音低減構造を示す斜視図である。また、図3〜図5はそれぞれ図2のA−A線断面図、B−B線断面図、C−C線断面図である。さらに、図6は上記実施形態における制振カバーの斜視図である。
本発明の実施形態のクロスメンバ6は、図1及び図2に示すように、車両前部に配設されており、車両の車幅方向に沿って延在している。また、クロスメンバ6は、図3〜図5に示すように、上壁6c、下壁6d及びこれら上壁6cと下壁6dとを結合する縦壁6eからなる断面略コ字状の開放断面に形成されており、断面の一方側に位置する開放部6aが車両後方側に開放されて構成されている。
そして、図1に示すように、クロスメンバ6の左右両端部6hの付近は、車体100にそれぞれ固定されている。このようなクロスメンバ6は、フロントバンパーの裏側に設けられる上下2本のクロスメンバの上側のものであり、軽衝突時には容易に変形する必要があるために、強度及び剛性の制約を受け、異音発生防止のための剛性向上を図ることができないという状況下で設けられている。
また、クロスメンバ6の上壁6cには、図4に示す如く、後述のクリップ孔と対応して取付孔6bが穿設されている。
【0015】
本発明の実施形態のホーン1は、図1〜図3に示すように、クロスメンバ6の右側端部の車両後方側の上方に配置されており、下端がクロスメンバ6に固定されたブラケット5の上端部にボルト7により固定されている。このため、ブラケット5は、一枚の板材を折り曲げることにより形成されており、上端部は垂直方向に延び、下端部は車両前方へ向かって延びて、断面略L字状に折り曲げられている。しかも、ブラケット5の下端部は、開放部6aを介してクロスメンバ6の縦壁6eにスポット溶接S1で接合されているとともに、上壁6cにスポット溶接S2で接合されている。
【0016】
本発明の実施形態のクロスメンバ6の車幅方向中央部には、制振カバー8が取付けられており、該制振カバー8は、樹脂材、ゴム材、ラバー材のような振動減衰能の大きい材料で構成されている。制振カバー8は、図1〜図6に示すように、クロスメンバ6の車幅方向中央部に所定の長さにわたり配置することが可能な大きさを有し、基本断面形状がL字状の構造となっており、クロスメンバ6の開放部6aを覆うカバー部8aと、クロスメンバ6の上壁6cに対向して配置される固定部8bとがクロスメンバ6の断面形状に対応してほぼ直角に屈曲して形成されている。
また、クロスメンバ6の上壁6c及び下壁6dには、剛性向上のためにビード(図示せず)が設けられていることから、制振カバー8の固定部8bはクロスメンバ6のビードを避けるようにビード状に形成されている。
【0017】
しかも、制振カバー8において、ビード状の固定部8bの谷部の2箇所(複数箇所であればよい)には、クリップ9を挿入するクリップ孔8dが穿設されており、図4に示すように、このクリップ孔8d及びクロスメンバ6の上壁6cの取付孔6bにクリップ9を挿入することにより、制振カバー8は、クロスメンバ6の上壁6cに固定されるようになっている。
このように構成すれば、断面略コ字状の開放断面に形成されたクロスメンバ6の面のうち、びびり音の発振度合いの大きい上壁6cに振動減衰能を有する制振カバー8が固定されることになり、制振カバー8自体の振動減衰作用によってびびり音の減衰効果を向上させることが可能となる。一方、本発明の実施形態の制振カバー8は、軽衝突時のクロスメンバ6の変形の障害とならず、クロスメンバ6と車両後方に配置されるラジエータ103との間に介在するため、当該クロスメンバ6の変形によるラジエータ103の損傷を低減させる効果も有している。
【0018】
また、制振カバー8は、クロスメンバ6の開放部6aを覆うカバー部8aと、クロスメンバ6の上壁6cに対向して配置される固定部8bとにより形成して、該固定部8bをクロスメンバ6の上壁6cに固定していることにより、該制振カバー8の固定部8bを上方からクロスメンバ6の上壁6cに重ねて取付けることが可能となり、制振カバー8のクロスメンバ6への組み付け作業が容易となる。
特に、クロスメンバ6の車両後方には、図1に示すように、ラジエータ103が配設されているために作業空間が狭くなっているが、本実施形態においては、上記のように、制振カバー8の固定部8bを上方からクロスメンバ6の上壁6cに取付けることが可能であるので、かかる狭隘場所でも、制振カバー8のクロスメンバ6への組付け作業性が低下することはない。
【0019】
一方、クロスメンバ6の下壁6dに位置する車両後方の先端部と、制振カバー8のカバー部8aとの間には、図4及び図5に示す如く、水抜き通路となる隙間10が設けられている。この隙間10は、車両の走行等の振動による両部材の当接音の発生を防止するとともに、クロスメンバ6内に侵入した雨水等の排水を考慮して設けられたものである。
また、制振カバー8の固定部8bには、図4に示す如く、クロスメンバ6の上壁6cの車両後方端部で上方に曲げられたフランジを避けるため、アンダーカット形状部8h(オーバーハング形状部)が形成されている。そこで、この部分を型で抜くため、型は上下方向に分割(制振カバー8の上壁である固定部8bで分割)されている。このため、図6に示す如く、下側にあるステイ部8c(詳細は後述)の位置は、アンダーカット形状部8hと左右方向で異なる位置(固定部8bのクリップ孔8dと外れた位置)に設定され、固定ボス8fの裏側と制振カバー8の上壁である固定部8bとの間を縦壁であるカバー部8aに垂直方向に動くスライド型を用いることを可能としている。かかる配置によって型の構成が容易になる。
【0020】
また、クロスメンバ6のビード端部では、端部の上方に曲げられたフランジが他の位置のフランジに比較して高くなるので、この部分のフランジとの干渉を避けるため、制振カバー8の固定部8bには、図6で示すように、車幅方向に孔8gが3個穿設され、各孔8g内にクロスメンバ6のビード端部のフランジが嵌り込むようになっている。これによって、アンダーカット形状部8hの深さを浅く形成することができる。また、これらフランジと孔8gやアンダーカット形状部8hとの係合によって、制振カバー8の位置決めと仮置きが可能となり、制振カバー8の組付け性が向上する。
なお、制振カバー8の上側における凸形状のビードと下側におけるクロスメンバ6のビードの凸形状の固定部分との間でも位置決め(左右方向の位置決め)が可能となり、下側にあるステイ部8cの固定ボス8fとクロスメンバ6の孔6fとの位置合わせが容易になる(図5参照)。
【0021】
さらに、制振カバー8は、図2及び図4に示す如く、カバー部8aがクロスメンバ6の車幅方向中央部を覆うように、クロスメンバ6の車幅方向のほぼ中央部に配置されている。詳細には、車幅方向のほぼ中央からブラケット5が取付けられている車両の右側寄りに配置されている。
このように構成すれば、クロスメンバ6の両端の固定部6hから離隔して、びびり音の振幅が大きくなり得るクロスメンバ6の車幅方向中央部を制振カバー8のカバー部8aで覆うことが可能となり、該クロスメンバ6のびびり音抑制効果がより向上する。小さな制振カバー8にて、びびり音の発生を確実に防止することが可能となる。
【0022】
一方、本発明の実施形態の制振カバー8のうち、カバー部8aの下部の左右2箇所(複数箇所であればよい)には、図5及び図6に示す如く、下部壁面からクロスメンバ6側に向かって延びるステイ部8cが車幅方向に間隔を置いて突設されている。
これらステイ部8cは、図6で示すように、正面視で上方側が開放された略コ字状に形成されており、剛性が増大された構造となっている。また、ステイ部8cの下面には、下方へ突出する固定ボス8fが設けられており、クロスメンバ6の下壁6dに穿設されたボス孔6fに固定ボス8fを嵌合することにより、ステイ部8cがクロスメンバ6の下壁6dに固定されるようになっている。
固定ボス8fは、その上部外周に固定ボス8fの軸方向に沿ってリブが一体形成され、当該固定ボス8fがボス孔6f内に一定量以上押し込まれたとき該リブが潰されて、固定ボス8fが孔6f内に「ガタ」を生ずることなく、しっかりと嵌め込まれるようになっている。
かかるステイ部8c及び固定ボス8fとクロスメンバ6の下壁6dとの結合により、クロスメンバ6の下壁6d側の振動減衰効果も向上することになる。
【0023】
このように、制振カバー8の上部の固定部8bをクロスメンバ6の上壁6cに固定するのに加えて、制振カバー8の下部にステイ部8cを設け、該ステイ部8cに形成した固定ボス8fをクロスメンバ6の下壁6dに固定するように構成したことにより、制振カバー8の取付剛性が上昇し、該制振カバー8の耐久性向上が図れる。
また、ステイ部8cとクロスメンバ6の下壁6dとの取付けは、該ステイ部8cに突設した固定ボス8fをクロスメンバ6の下壁6dのボス孔6fに差し込むのみで可能となるので、該ステイ部8cの組付性も良好となる。
【0024】
以上のように、本発明の実施形態の構造によれば、クロスメンバ6にブラケット5を介して取付けられているホーン1の動作時(ホーンよりの音信発振時)に、該ホーン1の発振による振動がブラケット5を通してクロスメンバ6に伝播され、該クロスメンバ6が共振してびびり音が発生し易い状態にあっても、樹脂材、ゴム材、ラバー材のような振動減衰能の大きい材料で構成された制振カバー8でクロスメンバ6の開放部6aを覆っているので、上記のような共振により、クロスメンバ6内で増幅されたびびり音のクロスメンバ開放部6aからの放射を抑制することができる。
また、制振カバー8を樹脂材、ゴム材、ラバー材のような振動減衰能の大きい材料で構成してクロスメンバ6の上壁6cに固定しているので、該制振カバー8自体の振動減衰作用よってクロスメンバ6の振動を低減させることができる。
【0025】
要するに、この実施形態によれば、制振カバー8でクロスメンバ6の開放部6aを覆うことによるびびり音の伝播抑制作用及び振動減衰能の大きい材料からなる制振カバー8自体の振動減衰作用よって、ホーン1の動作時におけるクロスメンバ6のびびり音を確実に低減することができる。
そして、この実施形態によれば、樹脂材、ゴム材、ラバー材のような軟質の板状体を屈曲して形成した制振カバー8をクロスメンバ6に固定するという、比較的簡単な構造で重量増加も軽微な手段によって、上記のようなびびり音の低減効果を得ることができる。
【0026】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ホーンの振動音低減構造が適用された自動車前部のホーン取付部近傍を示す斜視図である。
【図2】上記実施形態におけるホーン取付部近傍の振動音低減構造を示す斜視図である。
【図3】上記実施形態における図2のA−A線断面図である。
【図4】上記実施形態における図2のB−B線断面図である。
【図5】上記実施形態における図2のC−C線断面図である。
【図6】上記実施形態における制振カバーを示す斜視図である。
【図7】自動車の前部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ホーン
5 ブラケット
6 クロスメンバ
6a 開放部
6b 取付孔
6c 上壁
6d 下壁
6e 縦壁
6h 端部
7 ボルト
8 制振カバー
8a カバー部
8b 固定部
8c ステイ部
8f 固定ボス
9 クリップ
10 隙間
100 車体
103 ラジエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部に配設され、車両の幅方向に延在して断面の一方側に開放部を有する断面略コ字状の開放断面に形成されたクロスメンバを備え、該クロスメンバにブラケットを介してホーンが取付けられた車両において、前記クロスメンバに、該クロスメンバの開放部を覆う制振カバーを取付けたことを特徴とする車両用ホーンの振動音低減構造。
【請求項2】
前記クロスメンバは、その両端部が車体に固定され、前記制振カバーは、前記クロスメンバの車幅方向中央部を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホーンの振動音低減構造。
【請求項3】
前記クロスメンバは、上壁、下壁及び該上壁と下壁とを結合する縦壁からなり、前記開放部が車両後方側に開放されて構成されているとともに、前記制振カバーは、前記クロスメンバの開放部を覆うカバー部と前記クロスメンバの上壁に対向して配置される固定部とを有し、該固定部は、前記クロスメンバの上壁に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホーンの振動音低減構造。
【請求項4】
前記制振カバーのカバー部の下部には、前記クロスメンバ側に向かって延びるステイ部が設けられているとともに、該ステイ部には下方へ突出する固定ボスが設けられ、前記クロスメンバの下壁に穿設された孔に前記固定ボスを嵌合することにより、前記ステイ部は前記クロスメンバの下壁に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用ホーンの振動音低減構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−55331(P2007−55331A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240577(P2005−240577)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】