説明

車両用内装品

【課題】車両衝突時に乗員が当接する車両構造物に対し車室内方側に配置装備される車両用内装品において、軽量で、かつ、低コストであって、車両衝突時の乗員からの衝撃力を適切に吸収する。
【解決手段】ピラートリム30(車両用内装品)は、熱可塑性合成樹脂によって中空状の立体構造として形成される本体部32を有しており、本体部32は、その外表面が、車両構造体に取り付けられる取付面32aと、車室内の意匠面32bと、を一体として有する構成とされており、更に、本体部32は、内部の気体の外部への流出が規制された袋状構造として形成されており、本体部32の内部気圧によって、車両衝突時における乗員からの衝撃力を分散及び吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装品に関する。詳しくは、車両衝突時に乗員が当接する車両構造物に対し車室内方側に配置装備される車両用内装品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の車室を区画形成する車両構造物の主なものとして、車両本体部の側壁として配置構成されるドア、ボディーサイドパネルがある。また、このドア、ボディーサイドパネルの上方には、車両の屋根としてルーフパネルが配置構成されている。そして、このルーフパネルを支える柱としてピラーが配置構成されている。これら車両構造物の大部分は、金属製の板状部材(例えば鋼板材)で形成されている。そのため、車両構造物に対して車室内方側には、この車両構造物を覆って車室の内壁として構成される車両用内装品が配置装備されている。この車両用内装品は、上記車両構造物に対応して、車両のドア、ボディーサイドパネルに対する車室内方側には、ドアトリム、ボディーサイドトリムが配置装備されている。また、車両のピラーに対する車室内方側には、ピラートリムが配置装備されている。また、車両のルーフパネルに対する車室内方側にはヘッドライナーが配置装備されている。
【0003】
これら車両用内装品は、単に車両構造物を覆うほかに、車室内壁を滑らかな面形状とする意匠面としての役割を果たしており、合成樹脂素材や繊維素材等が組み合わされて構成されている。更に、車両衝突時には、乗員がこの車両用内装品に衝突することが考えられるため乗員を保護することに鑑み、乗員が当接する車両用内装品においては、車両衝突時の乗員からの衝撃力を吸収する工夫がなされている。このように衝撃吸収の構成を備える車両用内装品の技術開示の一例として、例えば特許文献1から5のようなものが技術が開示されている。
【0004】
ここで、特許文献1及び特許文献2においては、熱可塑性プラスチックをブロー成形することで中空状に成形された車両用衝撃吸収体についての技術開示がなされている。特許文献1における車両用衝撃吸収体は、内方に向かって凹ませた凹状リブが形成されており、この凹状リブの塑性変形によって衝撃を吸収するといった技術である。同様に、特許文献2における車両用衝撃吸収体は、内方に向かって凹ませた凹状リブとこの凹状リブを繋ぐ溝状リブが形成されており、この両リブの塑性変形によって衝撃を吸収するといった技術である。また、特許文献3においては、車両構造物とこの車両構造物に対し車室内方側に配置装備されるトリムとの間に、車両衝突時の乗員からの衝撃力を吸収するための緩衝材を介在させた技術開示がなされている。また、特許文献4においては、車両構造物に対し車室内方側に配置装備されるトリムにおいて、車両構造物側への取付面上に、平板からなるリブを複数形成して格子状に組み合わされて構成された衝撃吸収構造のトリムに関する技術開示がなされている。また、特許文献5においては、車両構造物に対し車室内方側に配置装備されるトリムにおいて、空調ダクトを兼ね備えた衝撃吸収部についての技術開示がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−108826号公報
【特許文献2】特開2006−151250号公報
【特許文献3】特開平6−211088号公報
【特許文献4】特開平11−170943号公報
【特許文献5】特開2005−96612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2で開示された車両用衝撃吸収体は、車両衝突時の乗員からの衝撃力を吸収するために、その衝撃力が及ぶ位置に上記リブが配置形成される必要があるところ、乗員が車両衝突時に車両構造物側に衝突する動きは多様に考えられるため、上記リブの配置構成の決定は容易ではない。また、この車両用衝撃吸収体は、車両構造物を覆うトリム部品内に内装される別体構成のため、部品点数が多くなり重量の増加を招くと共に材料コストが嵩むという懸念もある。また、特許文献3に開示された技術も、上記特許文献1と同様に、緩衝材は、トリム部品とは別の別体構成であるため、部品点数が多くなり重量の増加を招くと共に材料コストが嵩むという懸念がある。また、特許文献4に開示された技術も、上記特許文献1と同様、車両衝突時の乗員からの衝撃力を適切に吸収するためには、リブが適切な位置に配置形成される必要があるところ、乗員が車両衝突時に車両構造物側に衝突する動きは多様に考えられリブの配置構成の決定は容易ではない。また、取付面側に、格子状のリブを配置形成することに伴い構造が複雑となり製作コストが嵩むという懸念があるし重量の増加を招く問題もある。また、特許文献5に開示された技術も、空調ダクト兼衝撃吸収部となると、空調ダクトと衝撃吸収の二つの仕様を共に満たす必要があり、設定が困難な場合も考えられる。
【0007】
而して、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、車両衝突時に乗員が当接する車両構造物に対し車室内方側に配置装備される車両用内装品において、軽量で、かつ、低コストであって、車両衝突時の乗員からの衝撃力を適切に吸収することのできる車両用内装品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車両用内装品は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、車両衝突時に乗員が当接する車両構造物に対し車室内方側に配置装備される車両用内装品であって、該車両用内装品は、熱可塑性合成樹脂によって中空状の立体構造として形成される本体部を有しており、前記本体部は、その外表面が、車両構造体に取り付けられる取付面と、車室内の意匠面と、を一体として有する構成とされており、更に、前記本体部は、内部の気体の外部への流出が規制された袋状構造として形成されており、前記本体部の内部気圧によって、車両衝突時における乗員からの衝撃力を分散及び吸収することを特徴とする。
【0009】
この第1の発明によれば、車両用内装品は、熱可塑性合成樹脂によって中空状の立体構造として形成される本体部を有している。この本体部は、中空構造のため軽量化を図ることができる。また、本体部は、その外表面が、車両構造体に取り付けられる取付面と、車室内の意匠面とを一体として有する構成である。すなわち、本体部は、従来における意匠面を構成するトリム部品をも兼ねており、車両衝突時の乗員からの衝撃力を吸収する衝撃吸収体としての役割も、有するものである。これにより、構成品を少なくすることができ材料コストの抑制を図ることができる。また、本体部は、内部の気体の外部への流出が規制された袋状構造として形成されており、本体部の内部気圧によって、車両衝突時における乗員からの衝撃力を分散及び吸収する構成である。従来の衝撃吸収体においては、乗員が車両衝突時に車両構造物側に衝突する動きは多様であるところ、車両衝突時の乗員からの衝撃力を吸収する従来の衝撃吸収体の配置構成の決定は容易ではなかった。ところが、この本体部は、中空構造であり、内部の気体の外部への流出が規制された袋状構造として形成されている。内在する気体の圧力は、本体部の外表面のいずれの位置においても一定に外方に向かって及んでいることから、車両衝突時に乗員が車両構造物側に衝突する位置が、袋状構造の本体部のいずれの位置であっても衝撃力を適切に吸収することができる。すなわち、本体部の意匠面の全面が衝撃吸収をすることができる面として構成されている。また、気体の圧縮性の性質は、衝撃吸収により適している。また、乗員からの衝撃力が本体部に及ぶと、内部の気体の流動によって分散されるため、より一層、車両衝突時の乗員からの衝撃力を適切に吸収することができる。
【0010】
次に、第2の発明は、第1の発明の車両用内装品において、前記本体部の外表面には、前記車両衝突時における乗員からの衝撃力が、前記本体部に及ぼされる際に、前記本体部の内部の気体が外方に流出可能な通気孔が少なくとも一つ形成されていることを特徴とする。
【0011】
この第2の発明によれば、本体部の内部の気体の外部への流出が規制される構成として、本体部の内部の気体が外方に流出可能な通気孔が少なくとも一つ形成されていることが望ましい。これにより、車両用内装品の本体部に対して、車両衝突時の乗員からの衝撃力が及んだ際に、本体部の内部の気体が通気孔を通じて外方に流出する流出抵抗によって更に、衝撃力を吸収することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、車両衝突時に乗員が当接する車両構造物に対し車室内方側に配置装備される車両用内装品において、軽量で、かつ、低コストであって、車両衝突時の乗員からの衝撃力を適切に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1に係る車両用内装品が車両に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】実施例1に係る車両用内装品の本体部の成形工程を概略的に示す概略工程図である。(A)は、成形の前段階として、一対の成形金型を型開き状態とし、その間にパリソンを配置させる工程を示した図である。(B)は、成形金型を型閉じした状態とする工程を示した図である。(C)は、吹き込み口を通じて空気を吹き込み、パリソンを膨らませて成形金型の内面に押しつける工程を示した図である。(D)は、冷却して固化された後の本体部を、成形金型を型開きして取り出す工程を示した図である。
【図4】実施例2に係る車両用内装品における図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
始めに、実施例1の車両用内装品の構成について、図1〜図4を用いて説明する。本実施例の車両用内装品は、車両構造物に対して車室内方側に配置装備されて車室内の内壁として構成されるものであり、例えば、車両構造物として構成される車両のドア、ボディーサイドパネルに対する車室内方側に配置装備されるドアトリム、ボディーサイドトリムや、車両のピラー(車両構造物)に対する車室内方側に配置装備されるピラートリム、車両のルーフパネル(車両構造物)に対する車室内方側に配置装備されるヘッドライナー等がある。
【0016】
図1に図示されるように、本実施例では、車両構造物として構成されるピラーに対する車室内方側に配置装備される車両用内装品としてピラートリム30を適用した構成を例示して説明する。この車両構造物として構成されるピラーは、車両のボディ本体部と、車両の屋根として構成されるルーフパネルの間に配置構成されて、ルーフパネルを支える柱とされるものであり、ピラーには、車両の前席の斜め前方に配置構成されるフロントピラー、前席と後席の間に配置構成されるセンターピラー、後席の斜め後方に配置構成されるリヤピラー等がある。本実施例では、この車両構造物として構成されるピラーのうちフロントピラー10の部位を代表して説明する。
【0017】
図2に図示されるように、このフロントピラー10(車両構造物)は、鋼板製のアウターパネル12とインナーパネル14、金属リインフォースメント16の三つの部材から構成されている。アウターパネル12は、車両の外壁となる部材であり、インナーパネル14は、車両の内方側に配設されて車室を区画形成するために構成されている。金属リインフォースメント16は、アウターパネル12及びインナーパネル14の剛性の補強を図るための補強材である。このフロントピラー10(車両構造物)は、このアウターパネル12とインナーパネル14との間に、金属リインフォースメント16を挟んだ状態で、各々の両端に構成されているフランジ部12f、14fをスポット溶接することで接合された閉断面構造として構成されている。このフロントピラー10(車両構造物)の一端のフランジ部12f、14fには、フロントウィンドガラス18の端部が配設されており、アウターパネル12とフロントウィンドガラス18との間をガーニッシュ19で塞いでフロントウィンドガラス18が支持されている。また、フロントピラー10(車両構造物)の他端のフランジ部12f、14fには、ドアシール20が取り付けられている。このドアシール20は、フロントドア22を閉じたたときにドアサッシ24に密接することでシールするものである。そして、このフロントピラー10(車両構造物)に対する車室内方側には、ピラートリム30(車両用内装品)が配置設備されている。
【0018】
図2に図示されるように、このピラートリム30(車両用内装品)は、上記フロントピラー10(車両構造物)に対する車室内方側に配置装備されるものである。
このピラートリム30(車両用内装品)は、ブロー成形によって一体成形された熱可塑性合成樹脂のものである。このピラートリム30(車両用内装品)は、中空状の立体構造として形成される本体部32を有している。この本体部32の外表面は、車両構造体に取り付けられる取付面32aと、車室内の意匠面32bと、が互いに対向する位置に配置構成されて中空状の立体構造として一体形成されている。この中空状の立体構造の本体部32は、熱可塑性樹脂によって袋状構造として形成されて、内部の気体が外部へ流出することが規制された構成とされている。具体的には、本体部32の取付面32aと、意匠面32bの外周面が重合した状態で接合された密閉構造とされている。
【0019】
このピラートリム30(車両用内装品)を構成する熱可塑性合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド等、機械的強度の大きなものが用いられる。また、このピラートリム30(車両用内装品)の平均肉厚は、表面のソフト感の付与、機械的強度を鑑みると0.3mm〜3.2mmの範囲であることが望ましい。0.3mm以下の肉厚だと、機械的強度が十分でなくなるし、3.2mm以上の肉厚だと、表面のソフト感の付与が得られないためである。
【0020】
〔ピラートリム30(車両用内装品)の製造方法について〕
上記にも示したが、ピラートリム30(車両用内装品)の中空形成としてブロー成形を例に挙げて説明する。なお、ここでは、ブロー成形について示すが、ブロー成形に限られず、本発明におけるピラートリム30(車両用内装品)は、熱可塑性合成樹脂によって中空状の立体構造として形成されるものであれば、ガスインジェクションによる成形でもよいし、熱可塑性合成樹脂で形成された板状部材を張り合わせて接合し中空構造を形成するものでもよい。なお、図3に示すピラートリム30の形状は、図2に示す形状とは異なり、成形上の説明を理解しやすくするために、模式的な形状として示してある。
【0021】
図3の(A)から(D)に図示されるように、このブロー成形は、熱可塑性樹脂で作ったパイプ(パリソン)を、成形金型で挟み、その中に空気を注入して膨らませ、型の内面に密着させたのち、冷却固化して取り出す成形方法である。図3(A)に図示されるように、まず、成形の前段階として、一対の成形金型40a、40bを型開きして、押し出し機で可塑化した熱可塑性合成樹脂をダイ42で円筒状のパリソンPを押し出して、成形金型40a、40bの間に配置させる。ここで、成形金型40a、40bは型閉じした内部空間の形状がピラートリム30(車両用内装品)の本体部32の形状となっており、概略、一方の成形金型40aの型形状が、取付面32aの外面形状を形成しており、他方の成形金型40bの型形状が、意匠面32bの外面形状を形成している。また、ダイ42とは可塑化して押し出された熱可塑性合成樹脂をパイプ状のパリソンPにする部分であり、一般にはパリソンPの最終形状を決める押し出し機の出口の部分(口金の部分)を指す。
【0022】
次に、図3(B)及び(C)に図示されるように、パリソンPを成形金型40a、40bで挟み、パリソンPの上下を閉じて型閉じして、成形金型40a、40bの型閉じしたときの合わせ面の位置にある空気の吹き込み口44(ノズル、針)を通じて空気を吹き込み、パリソンPを膨らませて成形金型40a、40bの内面に押しつける。金型に押しつけられ、伸ばされたパリソンPはそのまま固化して中空状の立体構造の本体部32として形成される。ここで、この本体部32は、かかる空気の吹き込み工程において、加圧された空気を所定量流入させた状態で密閉して冷却して固化することで袋状構造とされる。そして、図3(D)に図示されるように、冷却して固化された後、成形金型40a、40bを型開きして本体部32をとりだし、意匠面32b側に、表皮材33を貼り付けてピラートリム30(車両用内装品)として完成する。 なお、表皮材33を貼り付けず本体部32の意匠面32bを外表面としてもよい。
【0023】
このように、本実施例1のピラートリム30(車両用内装品)は、熱可塑性合成樹脂によって中空状の立体構造として形成される本体部32を有している。この本体部32は、中空構造のため軽量化を図ることができる。また、本体部32は、その外表面が、フロントピラー10(車両構造体)に取り付けられる取付面32aと、車室内の意匠面32bとを一体として有する構成である。すなわち、本体部32は、従来における意匠面32bを構成するトリム部品をも兼ねており、車両衝突時の乗員からの衝撃力を吸収する衝撃吸収体としての役割も、有するものである。これにより、構成品を少なくすることができ材料コストの抑制を図ることができる。また、本体部32は、内部の気体の外部への流出が規制された袋状構造として形成されており、本体部32の内部気圧によって、車両衝突時における乗員からの衝撃力を分散及び吸収する構成である。従来の衝撃吸収体においては、乗員が車両衝突時に車両構造物側に衝突する動きは多様であるところ、車両衝突時の乗員からの衝撃力を吸収する従来の衝撃吸収体の配置構成の決定は容易ではなかった。ところが、この本体部32は、中空構造であり、内部の気体の外部への流出が規制された袋状構造として形成されている。内在する気体の圧力は、本体部32の外表面のいずれの位置においても一定に外方に向かって及んでいることから、車両衝突時に乗員が車両構造物側に衝突する位置が、袋状構造の本体部32のいずれの位置であっても衝撃力を適切に吸収することができる。すなわち、本体部32の意匠面32bの全面が衝撃吸収をすることができる面として構成されている。また、気体の圧縮性の性質は、衝撃吸収により適している。また、乗員からの衝撃力が本体部32に及ぶと、内部の気体の流動によって分散されるため、より一層、車両衝突時の乗員からの衝撃力を適切に吸収することができる。
また、従来トリム部材の意匠面32bに表面にソフト感を付与するために、意匠面32bには、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォームなどのパッド層を介して、表皮材を貼り付けていた。しかし、本実施例のピラートリム30(車両用内装品)は、中空構造のため意匠面32bに適度なソフト感を得ることができるため、直接表皮材33を貼り付けても表面のソフト感が損なわれることがない。また、本実施例のピラートリム30(車両用内装品)は、内部の気体の外部への流出が規制された袋状構造(換言すれば、閉断面構造)のため、高い剛性を得ることができる。
【実施例2】
【0024】
次に、本発明の実施例2に係るピラートリム130(車両用内装品)を図4にしたがって説明する。なお、上記実施例1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略することがある。この実施例2では、上記実施例1とは内部の気体の外部への流出が規制される構成が異なっている。すなわち、実施例1のピラートリム30は、内部の気体の外部への流出が規制される構成としてピラートリム30の本体部32の取付面32aと、意匠面32bの外周面が重合した状態で接合された密閉構造とされる袋状構造とする構成であった。
【0025】
これに対し、実施例2は上記点の構成を変更したピラートリム130(車両用内装品)は次のようなものである。
図4に図示されるように、本体部132の内部の気体の外部への流出が規制される構成として、本体部132の外表面に、車両衝突時における乗員からの衝撃力が、本体部132に及ぼされる際に、本体部132の内部の気体が外方に流出可能な通気孔134が少なくとも一つ形成される構成とするものである。ここで、通気孔134の径は、1mm〜2mmが望ましい。その他の構成については実施例1と同様である。以上より、本実施例2のピラートリム130(車両用内装品)は、実施例1と同一の機能を果たし、同一の作用、効果を得ることができるとともに、ピラートリム130(車両用内装品)の本体部132に対して、車両衝突時の乗員からの衝撃力が及んだ際に、本体部132の内部の気体が通気孔134を通じて外方に流出する流出抵抗によって更に、衝撃力を吸収することができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について実施例1及び実施例2について説明したが、本発明の車両用内装品は、本実施の形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。
【符号の説明】
【0027】
10 フロントピラー
12 アウターパネル
12f フランジ部
14 インナーパネル
14f フランジ部
16 金属リインフォースメント
18 フロントウィンドガラス
19 ガーニッシュ
20 ドアシール
22 フロントドア
24 ドアサッシ
30 ピラートリム
32 本体部
32a 取付面
32b 意匠面
33 表皮材
40a 成形金型
40b 成形金型
42 ダイ
44 空気の吹き込み口
130 ピラートリム
132 本体部
134 通気孔
P パリソン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両衝突時に乗員が当接する車両構造物に対し車室内方側に配置装備される車両用内装品であって、
該車両用内装品は、熱可塑性合成樹脂によって中空状の立体構造として形成される本体部を有しており、
前記本体部は、その外表面が、車両構造体に取り付けられる取付面と、車室内の意匠面と、を一体として有する構成とされており、
更に、前記本体部は、内部の気体の外部への流出が規制された袋状構造として形成されており、
前記本体部の内部気圧によって、車両衝突時における乗員からの衝撃力を分散及び吸収することを特徴とする車両用内装品。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用内装品であって、
前記本体部の外表面には、前記車両衝突時における乗員からの衝撃力が、前記本体部に及ぼされる際に、前記本体部の内部の気体が外方に流出可能な通気孔が少なくとも一つ形成されていることを特徴とする車両用内装品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−35650(P2012−35650A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174523(P2010−174523)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(509069892)豊和繊維工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】