車両用灯具の点消灯制御装置
【課題】 同期整流用のスイッチ部の故障を防止すること。
【解決手段】 点消灯制御装置1は、LED7a、7b、7cの点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部16と、LED7a、7b、7cに電流を供給し、第2のスイッチ部11及び同期整流用の第3のスイッチ部12を有するスイッチングレギュレータ2と、点消灯指示信号を受けて第1のスイッチ部16のオンオフを制御すると共にスイッチングレギュレータ2の出力電流を制御する制御部8とを有する。制御部8は、検出されたスイッチングレギュレータ2の出力電流の値が所定値以上であるか否かを判定し、出力電流の値が所定値以上である場合に第3のスイッチ部12が第2のスイッチ部11に同期して動作するように制御する。
【解決手段】 点消灯制御装置1は、LED7a、7b、7cの点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部16と、LED7a、7b、7cに電流を供給し、第2のスイッチ部11及び同期整流用の第3のスイッチ部12を有するスイッチングレギュレータ2と、点消灯指示信号を受けて第1のスイッチ部16のオンオフを制御すると共にスイッチングレギュレータ2の出力電流を制御する制御部8とを有する。制御部8は、検出されたスイッチングレギュレータ2の出力電流の値が所定値以上であるか否かを判定し、出力電流の値が所定値以上である場合に第3のスイッチ部12が第2のスイッチ部11に同期して動作するように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具の点消灯制御装置に関し、特に、同期整流用スイッチ部を含むスイッチングレギュレータを有する車両用灯具の点消灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用灯具の点消灯制御装置は、複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、トランス又はコイルを含み複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、点消灯指示信号を受けて第1のスイッチ部のオンオフを制御すると共にスイッチングレギュレータの出力電流を制御する制御部とを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
スイッチングレギュレータは、フライバックコンバーターの場合には、1次側コイル及び2次側コイルからなるトランスと、1次側コイルに接続された第2のスイッチ部と、2次側コイルに接続され該2次側コイルに供給された電流を同期整流する第3のスイッチ部とを有する。第2のスイッチ部と第3のスイッチ部としては、例えば、MOS型トランジスタが挙げられる。
【0004】
第3のスイッチ部は、スイッチングレギュレータから出力される電気エネルギー効率を向上させるために第2のスイッチ部のゲート信号を反転した信号によって同期整流動作を行う。
【0005】
スイッチングレギュレータから出力される電気エネルギー量は、複数の半導体光源の点消灯状態によって変化する。スイッチングレギュレータの動作モードは電気エネルギー量に応じて変化する。動作モードには電流連続モードと電流不連続モードがある。電流連続モードとは、第2のスイッチ部のオンオフ信号に対して1次側コイルに流れる電流と逆位相の電流が2次側コイルに流れ、第2のスイッチ部がオフ信号を出力している間に2次側コイルに流れる電流が0アンペアにならないモードをいう。電流不連続モードとは、1次側コイルに流れる電流と逆位相の電流が2次側コイルに流れ、第2のスイッチ部がオフ信号を出力している間に2次側コイルに流れる電流が0アンペアになるモードをいう。
【0006】
スイッチングレギュレータから出力される電気エネルギー量が所定値未満の場合(例えば、点灯する半導体光源の数が少ない場合)には電流不連続モードで動作する。電気エネルギー量が所定値以上の場合(例えば、点灯する半導体光源の数が多い場合)には電流連続モードで動作する。
【0007】
【特許文献1】特開2006−103477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電流不連続モードの動作時における第3のスイッチ部に流れる電流は、トランスに蓄積された電気エネルギーをすべて消費した後に共振する。
【0009】
共振時に上記した同期整流動作が行われると、第2のスイッチ部に流れる電流値の上昇時に第3のスイッチ部のドレイン電圧がチャタリングを引き起こす。以降第2のスイッチ部のゲート信号がオンする毎に第3のスイッチ部のドレイン電圧がチャタリングを起こし、最終的に第3のスイッチ部が耐圧オーバーで故障するおそれが生じてしまう。
【0010】
そこで、本発明は同期整流用のスイッチ部の故障を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様による車両用灯具の点消灯制御装置は、複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、トランス又はコイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御すると共に前記スイッチングレギュレータの出力電流を入力する制御部とを有し、前記スイッチングレギュレータは、トランス又はコイルにエネルギーを供給する第2のスイッチ部と、トランス又はコイルから出力される電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、前記制御部が、検出された前記スイッチングレギュレータの出力電流の値が所定値以上であるか否かを判定し、出力電流の値が所定値以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御するようにしたものである。
【0012】
従って、スイッチングレギュレータの出力電流の値が所定値以上である場合に第3のスイッチ部が第2のスイッチ部に同期して整流動作するように制御される。
【発明の効果】
【0013】
本発明車両用灯具の点消灯制御装置は、複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、トランス又はコイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御すると共に前記スイッチングレギュレータの出力電流を入力する制御部とを有し、前記スイッチングレギュレータは、トランス又はコイルにエネルギーを供給する第2のスイッチ部と、トランス又はコイルから出力される電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、前記制御部が、検出された前記スイッチングレギュレータの出力電流の値が所定値以上であるか否かを判定し、出力電流の値が所定値以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御することを特徴とする。
【0014】
従って、不連続モード時では同期整流の動作が行われることはないので、同期整流動作を行う機能を有するスイッチ部の故障を防止することができる。
【0015】
請求項2に記載した車両用灯具の点消灯制御装置は、複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、1次側コイル及び2次側コイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御する制御部とを有し、前記スイッチングレギュレータは、前記1次側コイルに接続された第2のスイッチ部と、前記2次側コイルに接続され該2次側コイルに供給された電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、前記制御部が、前記点消灯指示信号に基づき点灯する半導体光源の組み合わせが予め定められた所定の電力相当以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御することを特徴とする。
【0016】
従って、不連続モード時では同期整流の動作が行われることはないので、同期整流動作を行う機能を有するスイッチ部の故障を防止することができる。
【0017】
請求項3に記載した発明にあっては、前記制御部は、前記第1のスイッチ部がオン動作してから所定時間経過後に前記同期動作を開始するように前記第3のスイッチ部を制御し、前記第1のスイッチ部がオフ動作すると同時に又はオフ動作の前に前記同期動作を解除するように前記第3のスイッチ部を制御するので、不連続モード時における同期整流動作を確実に停止させるため同期整流動作を行う機能を有するスイッチ部の故障を防止することができる。
【0018】
請求項4に記載した発明にあっては、前記複数の半導体光源の少なくとも一つが異常である場合に前記同期動作を解除するように前記第3のスイッチ部を制御するので、半導体光源の異常状態発生後における同期整流動作の継続を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置の構成を示した図である。
【0020】
点消灯制御装置1は、シリーズレギュレータ3a、3b、3cと、LED7a、7b、7cに電流を供給するスイッチングレギュレータ2と、点消灯指示信号を受けてシリーズレギュレータ3a、3b、3cを制御すると共にスイッチングレギュレータ2の出力電流I3を入力する制御部8(CPUを含む)とを有して構成されている。
【0021】
スイッチングレギュレータ2は、コンデンサC1、C2と、1次側コイルL1及び2次側コイルL2からなるトランスTと、1次側コイルL1に接続された第2のスイッチ部としてのNMOSトランジスタ11と、2次側コイルL2に接続され該2次側コイルL2に供給された電流を同期整流する第3のスイッチ部としてのNMOSトランジスタ12とを有して構成されている。NMOSトランジスタ12のゲートにはNOT回路13が接続されている。NOT回路13の入力側にはOR回路31が設けられている。OR回路31の2つの入力端子の内の一方はNMOSトランジスタ11のゲート及び制御部8の出力端子に接続されている。OR回路31の他方の入力端子は制御部8の出力端子に接続されている。
【0022】
スイッチングレギュレータ2の出力側にはスイッチングレギュレータ2の出力電流を検出するための電流検出回路4が配置されている。電流検出回路4は抵抗R4〜R6と、R10と、互いにベース同士が接続されたPNPトランジスタ20、21とを備え、PNPトランジスタ20のコレクタが制御部8に接続されている。
【0023】
シリーズレギュレータ3a、3b、3cはそれぞれ、シャント抵抗R3、R3、R3と、比較器15、15、15と、基準電圧を発生する基準電源17、17、17と、半導体光源としてのLED7a、7b、7cの点消灯をそれぞれ制御する第1のスイッチ部としてのNMOSトランジスタ16、16、16と、NPNトランジスタ18、18、18とを備えて構成されている。
【0024】
NMOSトランジスタ16、16、16はそれぞれシャント抵抗R3、R3、R3と共にLED7a、7b、7cに直列に接続されている。尚、NMOSトランジスタ16、16、16の代わりにバイポーラトランジスタを用いても良い。
【0025】
以下に、第1の実施の形態に係る点消灯制御装置の動作について説明する。
【0026】
各比較器15、15、15は、プラス入力端子に入力される基準電圧とマイナス入力端子に入力される電圧ドロップ(シャント抵抗R3の電圧降下)とを比較し、比較結果に応じたゲート電圧(制御信号)を生成し、それぞれこのゲート電圧をNMOSトランジスタ16、16、16のゲートに印加している。ゲート電圧によってNMOSトランジスタ16、16、16のオンオフ動作が制御され、各LED7a、7b、7cに流れる電流が制御される。尚、比較器15、15、15の基準電圧の大きさはそれぞれプラス入力端子に接続されたNPNトランジスタ18、18、18のオンオフを制御することによって決定される。
【0027】
スイッチングレギュレータ2では、制御部8から出力される制御信号(スイッチング信号)によってNMOSトランジスタ11がオンオフ動作して、直流電源10から入力される直流電圧(入力電流I1)が交流電圧(2次側コイルL2の出力電圧)に変換される。
【0028】
スイッチングレギュレータ2の出力電圧(出力電流I3)は、各比較器15、15、15の出力電圧に基づいて各LED7a、7b、7cの最も高い順方向電圧Vfになるように制御されている。
【0029】
NMOSトランジスタ12は、NMOSトランジスタ11のゲート信号を反転した信号を受けて同期整流動作を行う。NMOSトランジスタ11のゲート信号はNOT回路13によって反転されてNMOSトランジスタ12のゲートに入力される。
【0030】
電流検出回路4はスイッチングレギュレータ2の出力電流I3を検出する。検出された出力電流I3は制御部8に送出される。制御部8は検出された出力電流I3を受けて内蔵するCPUで図3に示すようなプログラムを実行する。このプログラムは予めCPU内のメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0031】
CPUは出力電流I3の値が所定値以上であるか否かを判定し(ステップS101)、出力電流I3の値が所定値以上である場合にはNMOSトランジスタ12がNMOSトランジスタ11と同期して整流動作するように制御する(ステップS102)。このときOR回路31の一方の入力端子にローレベル信号が入力され、他方の入力端子にオフ信号が入力された時にOR回路31からローレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオン動作する。従って、NMOSトランジスタ12はNMOSトランジスタ11に同期して整流動作を開始する。
【0032】
CPUは出力電流の値が所定値未満である場合にはNMOSトランジスタ12を停止して同期整流の動作を解除するように制御する(ステップS103)。このときOR回路31の一方の入力端子にハイレベル信号が入力され、他方の入力端子にオン信号又はオフ信号のいずれが入力された時でもOR回路31からハイレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオフ動作する。従って、NMOSトランジスタ12の同期整流動作が解除される。
【0033】
尚、出力電流I3の所定値はスイッチングレギュレータ2の動作モードが不連続モードとなる時のスイッチングレギュレータ2の出力電流I3より大きい電流値に設定される(図2の矢印、図4参照)。
【0034】
このような条件設定を行うと図2に示すようにスイッチングレギュレータ2の出力電流が大きくなり、動作モードが不連続モードから連続モードに切り替わった後に同期整流の動作が開始される。
【0035】
従って、上記したプログラムを実行することによって不連続モード時では同期整流の動作が行われることはないので、同期整流動作を行う機能を有するNOMSトランジスタ12の故障を防止することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置について説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置の構成を示した図である。
【0037】
本第2の実施の形態は、上記した第1の実施の形態と比較して、電流検出回路4が設けられていない点が相違する。
【0038】
以下に、第2の実施の形態に係る点消灯制御装置の動作について説明する。
【0039】
本第2の実施の形態に係る点消灯制御装置30の制御部8は、外部から点消灯指示信号を受けて該点消灯指示信号が同期整流動作の開始条件を満たすか否かを判定し、同期整流開始条件を満たす場合に同期整流の動作を開始するように制御する。
【0040】
同期整流動作の開始条件について図6を参照して説明する。図6は5つのシリーズレギュレータにそれぞれ直列接続された5つのLEDが配置されている例を示している。
【0041】
5つのLEDの各消費電力(スイッチングレギュレータから出力される電気エネルギー)がそれぞれ図6の上段の(1)〜(5)である場合に、図6の下段に示すように組合せによる総消費電力(以下、「組み合わせ総消費電力」と呼ぶ。)のパターンは9通りとなる。
【0042】
図6の例では、例えば組み合わせ総消費電力が20W未満である場合に不連続モードとなるため、10W加算した30Wが同期整流を開始するか否かを判定するための条件設定値(所定の電力)となる。この10Wに相当するマージン値は適宜変更できる。
【0043】
組み合わせ総消費電力が30W以上となる組合せの点消灯指示信号が制御部8に入力された場合には、上記した同期整流動作の開始条件を満たし、組み合わせ総消費電力が30W未満となる組合せの指示信号が制御部8に入力された場合には上記した同期整流動作の開始条件を満たさない。尚、上記には組み合わせ総消費電力によって同期整流を開始するか否かを判定するための条件設定値を定める例を示したが、条件設定値を出力電流によって定めてもよい。
【0044】
次に、図7及び図8を参照して図6に示した例において、点消灯指示信号を受けた場合の制御部8が内蔵するCPUが実行する処理プログラムについて説明する。尚、以下の説明では図6に示すようにLEDが5つ設けられている場合を例として説明し、LEDの符号は省略する。
【0045】
CPUは点消灯指示信号を受けて(ステップS201)各NMOSトランジスタ16をターンオン(点灯開始)に設定する(ステップS202)。次に点消灯指示信号が同期整流開始の条件を満たしているか否かを判定する(ステップS203)。即ち、上記したように、点消灯指示信号の指示対象となる各LEDの組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力以上であるか否かを判定する。
【0046】
組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力以上である場合には、後述するウエイト処理(ステップS204)を経た後に同期整流動作を開始する(ステップS205)。このときOR回路31の一方の入力端子にローレベル信号が入力され、他方の入力端子にオフ信号が入力された時にOR回路31からローレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオン動作する。従って、NMOSトランジスタ12はNMOSトランジスタ11に同期して整流動作を開始する。
【0047】
組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力未満である場合には、同期整流動作を解除し(ステップS206)、各NMOSトランジスタ16をターンオフに設定する(ステップS207)。このときOR回路31の一方の入力端子にハイレベル信号が入力され、他方の入力端子にオン信号又はオフ信号のいずれが入力された時でもOR回路31からハイレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオフ動作する。従って、NMOSトランジスタ12の同期整流動作が解除される。
【0048】
例えば、点消灯指示信号における点灯指示対象であるLEDが図6の(1)〜(4)の全ての組み合わせである場合にはそれらの組み合わせ消費電力が40Wとなる。従って、組み合わせ消費電力が予め定められた所定の電力(図6の例では30W)以上であるので、NMOSトランジスタ12がNMOSトランジスタ11に同期して整流動作するようにCPUによって制御される。
【0049】
ところで、NMOSトランジスタ16のオン動作開始と同期整流の動作開始のタイミングを同時に設定した場合であっても、スイッチングレギュレータ2が連続動作モードに応答するまでには所定時間(応答時間)が必要とされるため、スイッチングレギュレータ2はNMOSトランジスタ16のオン動作開始から所定時間経過するまで不連続動作モードが継続される。従って、同期整流動作の開始をNMOSトランジスタ16のオン動作開始から応答時間経過後に行うことが望ましい。
【0050】
そこで、第2の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置においては、ステップS203で同期整流開始条件を満たした後に、上記した応答時間分だけ同期整流開始のタイミングを遅延させるウエイト処理(ステップS204)を行っている。即ち、応答時間経過後にCPUからOR回路にローベル信号を出力する。このウエイト処理を行うことによって、NMOSトランジスタ16のオン動作開始から所定時間経過するまで継続されるスイッチングレギュレータ2の不連続動作モード時に同期整流の動作が開始されることはない。
【0051】
以上説明したように、本第2の実施の形態によれば上記したプログラムを実行することによって不連続モード時では同期整流の動作が行われることはないので、同期整流の動作を行う機能を有するNOMSトランジスタ12の故障を防止することができる。
【0052】
以下に、本発明の第3の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置について説明する。本第3の実施の形態は、上記した第1の実施の形態と比較してCPUのプログラムが異なる。
【0053】
上記した第1の実施の形態に係る点消灯制御では出力電流I3の値が所定値以上であるか否かを判定しているが、出力電流I3の検出タイミングから上記判定のタイミングまでに所定の時間がかかってしまう場合には、すでに不連続モードになってしまったのにもかかわらず同期整流動作の解除がされない状態が起こり得る。
即ち、出力電流I3が低く(小さく)なった後に同期整流動作が解除されるため、不連続モード動作時に同期整流動作する期間が僅かに生じてしまう。
【0054】
また、第2の実施の形態に係る点消灯制御では、ステップS204において同期整流開始のタイミングを遅延させる処理を行っているが、この遅延処理を無くすことができれば制御部の他の制御処理への負担を減少させることができる。
【0055】
以下に説明する第3の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置1によれば上記した点を解消することができる。即ち、制御部8は、同期整流の動作状態を解除状態から動作状態へ移行させるときには出力電流I3が所定値以上であるか否かを判定して行い、動作状態から解除状態へ移行させるときには各LEDの組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力未満であるか否かを判定して行う。
【0056】
以下に、上記2つの点を解消することができる点消灯制御について図9及び図10を参照して説明する。尚、以下の説明では図6と同様にLEDが5つ設けられている場合を例として説明し、LEDの符号は省略する。
【0057】
電流検出回路4はスイッチングレギュレータ2の出力電流I3を検出する。検出された出力電流I3は制御部8に送出される。制御部8は検出された出力電流I3を受けて出力電流I3の値が所定値以上であるか否かを判定し(ステップS301)、出力電流I3の値が所定値以上である場合にはNMOSトランジスタ12がNMOSトランジスタ11と同期して整流動作するように制御する(ステップS302)。
【0058】
ステップS302の処理の後又は出力電流I3の値が所定値未満であると判定された後に、CPUが点消灯指示信号を受けた場合に(ステップS303)点消灯指示信号又はLED等の異常状態を知らせる異常信号が同期整流解除の条件を満たしているか否かを判定する(ステップS304)。即ち、点消灯指示信号の指示対象となる各LEDの組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力未満であるか否かを判定すると共に上記異常信号が入力されたか否かを判定する。
【0059】
組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力未満である場合又は上記異常信号が入力された場合には、同期整流動作を解除する(ステップS305)。このときOR回路31の一方の入力端子にハイレベル信号が入力され、他方の入力端子にオン信号又はオフ信号のいずれが入力された時でもOR回路31からハイレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオフ動作する。従って、NMOSトランジスタ12の同期整流動作は解除される。
【0060】
尚、異常信号入力を同期整流解除の対象としているのは、複数あるLEDのうち、少なくとも1つに異常が発生した場合に、CPUの異常検知により消灯制御(フェール機能)をするため、点消灯指示信号に対する総消費電力が正常時と異なってしまうからである。図6の例では正常時における全てのLEDの総消費電力が45Wであるが、例えば消費電力10WのLEDが1つ異常であれば総消費電力が35Wとなってしまい点消灯指示信号による条件設定が変わってしまう。従って、LEDの異常をCPUで検知した場合には同期整流を解除する。
【0061】
組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力以上である場合には、同期整流動作を解除せず、CPUは点消灯指示信号に基づいてNMOSトランジスタ16のオンオフ設定を行う(ステップS306)。但し、組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力以上であっても、異常信号が入力された場合にはステップS305の処理に移行する。
【0062】
図10における(a)、(b)、(c)はそれぞれ図9におけるステップS302、ステップS305、ステップS306の開始のタイミングを示している。上記プログラムの処理を実行すれば動作モードが不連続から連続になるタイミング(図10の(a))で同期整流も解除状態から動作状態に移行する。即ち、同期整流動作の解除から開始までの状態(図10の(a))ではNOMSトランジスタ16がオン動作してから所定時間経過後に前記同期動作を開始するようにNOMSトランジスタ12が制御される。
【0063】
一方、上記プログラムの処理を実行すれば動作モードが連続から不連続になるタイミング(図10の(b))で同期整流も動作状態から解除状態に移行する。即ち、同期整流の動作中から解除までの状態(図10の(b))では、NOMSトランジスタ16がオフ動作すると同時に同期整流動作を解除するようにNOMSトランジスタ12が制御される。尚、NOMSトランジスタ16のオフ動作と同時でなくてもオフ動作の前に同期整流動作を解除するようにNOMSトランジスタ12を制御してもよい。
【0064】
以上説明したように、本第3の実施の形態によれば不連続モード時における同期整流動作を確実に停止させるため同期整流動作を行う機能を有するスイッチ部の故障を防止することができる。
【0065】
上記した各実施の形態は、本発明を好適に実施した形態の一例に過ぎず、本発明は、その主旨を逸脱しない限り、種々変形して実施することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る点消灯制御装置の構成を示した図である。
【図2】同期整流動作を開始/解除する条件設定のタイミングを説明するための図である。
【図3】同期整流開始/解除判定プログラムの一例を示した図である。
【図4】スイッチングレギュレータの出力電流、動作モード、同期整流有無の関係を示した図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る点消灯制御装置の構成を示した図である。
【図6】同期整流動作を開始/解除する条件設定のタイミングを説明するための図である。
【図7】同期整流開始/解除判定プログラムの他の例を示した図である。
【図8】スイッチングレギュレータの出力電流、動作モード、同期整流有無の関係を示した図である。
【図9】同期整流開始/解除判定プログラムのさらに他の例を示した図である。
【図10】スイッチングレギュレータの出力電流、動作モード、同期整流有無の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0067】
1、30…点消灯制御装置、2…スイッチングレギュレータ、4…電流検出回路、7a、7b、7c…LED、8…制御部(CPU含む)、11…NMOSトランジスタ(第2のスイッチ部)、12…NMOSトランジスタ(第3のスイッチ部)、16…NMOSトランジスタ(第1のスイッチ部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具の点消灯制御装置に関し、特に、同期整流用スイッチ部を含むスイッチングレギュレータを有する車両用灯具の点消灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用灯具の点消灯制御装置は、複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、トランス又はコイルを含み複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、点消灯指示信号を受けて第1のスイッチ部のオンオフを制御すると共にスイッチングレギュレータの出力電流を制御する制御部とを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
スイッチングレギュレータは、フライバックコンバーターの場合には、1次側コイル及び2次側コイルからなるトランスと、1次側コイルに接続された第2のスイッチ部と、2次側コイルに接続され該2次側コイルに供給された電流を同期整流する第3のスイッチ部とを有する。第2のスイッチ部と第3のスイッチ部としては、例えば、MOS型トランジスタが挙げられる。
【0004】
第3のスイッチ部は、スイッチングレギュレータから出力される電気エネルギー効率を向上させるために第2のスイッチ部のゲート信号を反転した信号によって同期整流動作を行う。
【0005】
スイッチングレギュレータから出力される電気エネルギー量は、複数の半導体光源の点消灯状態によって変化する。スイッチングレギュレータの動作モードは電気エネルギー量に応じて変化する。動作モードには電流連続モードと電流不連続モードがある。電流連続モードとは、第2のスイッチ部のオンオフ信号に対して1次側コイルに流れる電流と逆位相の電流が2次側コイルに流れ、第2のスイッチ部がオフ信号を出力している間に2次側コイルに流れる電流が0アンペアにならないモードをいう。電流不連続モードとは、1次側コイルに流れる電流と逆位相の電流が2次側コイルに流れ、第2のスイッチ部がオフ信号を出力している間に2次側コイルに流れる電流が0アンペアになるモードをいう。
【0006】
スイッチングレギュレータから出力される電気エネルギー量が所定値未満の場合(例えば、点灯する半導体光源の数が少ない場合)には電流不連続モードで動作する。電気エネルギー量が所定値以上の場合(例えば、点灯する半導体光源の数が多い場合)には電流連続モードで動作する。
【0007】
【特許文献1】特開2006−103477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電流不連続モードの動作時における第3のスイッチ部に流れる電流は、トランスに蓄積された電気エネルギーをすべて消費した後に共振する。
【0009】
共振時に上記した同期整流動作が行われると、第2のスイッチ部に流れる電流値の上昇時に第3のスイッチ部のドレイン電圧がチャタリングを引き起こす。以降第2のスイッチ部のゲート信号がオンする毎に第3のスイッチ部のドレイン電圧がチャタリングを起こし、最終的に第3のスイッチ部が耐圧オーバーで故障するおそれが生じてしまう。
【0010】
そこで、本発明は同期整流用のスイッチ部の故障を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様による車両用灯具の点消灯制御装置は、複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、トランス又はコイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御すると共に前記スイッチングレギュレータの出力電流を入力する制御部とを有し、前記スイッチングレギュレータは、トランス又はコイルにエネルギーを供給する第2のスイッチ部と、トランス又はコイルから出力される電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、前記制御部が、検出された前記スイッチングレギュレータの出力電流の値が所定値以上であるか否かを判定し、出力電流の値が所定値以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御するようにしたものである。
【0012】
従って、スイッチングレギュレータの出力電流の値が所定値以上である場合に第3のスイッチ部が第2のスイッチ部に同期して整流動作するように制御される。
【発明の効果】
【0013】
本発明車両用灯具の点消灯制御装置は、複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、トランス又はコイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御すると共に前記スイッチングレギュレータの出力電流を入力する制御部とを有し、前記スイッチングレギュレータは、トランス又はコイルにエネルギーを供給する第2のスイッチ部と、トランス又はコイルから出力される電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、前記制御部が、検出された前記スイッチングレギュレータの出力電流の値が所定値以上であるか否かを判定し、出力電流の値が所定値以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御することを特徴とする。
【0014】
従って、不連続モード時では同期整流の動作が行われることはないので、同期整流動作を行う機能を有するスイッチ部の故障を防止することができる。
【0015】
請求項2に記載した車両用灯具の点消灯制御装置は、複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、1次側コイル及び2次側コイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御する制御部とを有し、前記スイッチングレギュレータは、前記1次側コイルに接続された第2のスイッチ部と、前記2次側コイルに接続され該2次側コイルに供給された電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、前記制御部が、前記点消灯指示信号に基づき点灯する半導体光源の組み合わせが予め定められた所定の電力相当以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御することを特徴とする。
【0016】
従って、不連続モード時では同期整流の動作が行われることはないので、同期整流動作を行う機能を有するスイッチ部の故障を防止することができる。
【0017】
請求項3に記載した発明にあっては、前記制御部は、前記第1のスイッチ部がオン動作してから所定時間経過後に前記同期動作を開始するように前記第3のスイッチ部を制御し、前記第1のスイッチ部がオフ動作すると同時に又はオフ動作の前に前記同期動作を解除するように前記第3のスイッチ部を制御するので、不連続モード時における同期整流動作を確実に停止させるため同期整流動作を行う機能を有するスイッチ部の故障を防止することができる。
【0018】
請求項4に記載した発明にあっては、前記複数の半導体光源の少なくとも一つが異常である場合に前記同期動作を解除するように前記第3のスイッチ部を制御するので、半導体光源の異常状態発生後における同期整流動作の継続を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置の構成を示した図である。
【0020】
点消灯制御装置1は、シリーズレギュレータ3a、3b、3cと、LED7a、7b、7cに電流を供給するスイッチングレギュレータ2と、点消灯指示信号を受けてシリーズレギュレータ3a、3b、3cを制御すると共にスイッチングレギュレータ2の出力電流I3を入力する制御部8(CPUを含む)とを有して構成されている。
【0021】
スイッチングレギュレータ2は、コンデンサC1、C2と、1次側コイルL1及び2次側コイルL2からなるトランスTと、1次側コイルL1に接続された第2のスイッチ部としてのNMOSトランジスタ11と、2次側コイルL2に接続され該2次側コイルL2に供給された電流を同期整流する第3のスイッチ部としてのNMOSトランジスタ12とを有して構成されている。NMOSトランジスタ12のゲートにはNOT回路13が接続されている。NOT回路13の入力側にはOR回路31が設けられている。OR回路31の2つの入力端子の内の一方はNMOSトランジスタ11のゲート及び制御部8の出力端子に接続されている。OR回路31の他方の入力端子は制御部8の出力端子に接続されている。
【0022】
スイッチングレギュレータ2の出力側にはスイッチングレギュレータ2の出力電流を検出するための電流検出回路4が配置されている。電流検出回路4は抵抗R4〜R6と、R10と、互いにベース同士が接続されたPNPトランジスタ20、21とを備え、PNPトランジスタ20のコレクタが制御部8に接続されている。
【0023】
シリーズレギュレータ3a、3b、3cはそれぞれ、シャント抵抗R3、R3、R3と、比較器15、15、15と、基準電圧を発生する基準電源17、17、17と、半導体光源としてのLED7a、7b、7cの点消灯をそれぞれ制御する第1のスイッチ部としてのNMOSトランジスタ16、16、16と、NPNトランジスタ18、18、18とを備えて構成されている。
【0024】
NMOSトランジスタ16、16、16はそれぞれシャント抵抗R3、R3、R3と共にLED7a、7b、7cに直列に接続されている。尚、NMOSトランジスタ16、16、16の代わりにバイポーラトランジスタを用いても良い。
【0025】
以下に、第1の実施の形態に係る点消灯制御装置の動作について説明する。
【0026】
各比較器15、15、15は、プラス入力端子に入力される基準電圧とマイナス入力端子に入力される電圧ドロップ(シャント抵抗R3の電圧降下)とを比較し、比較結果に応じたゲート電圧(制御信号)を生成し、それぞれこのゲート電圧をNMOSトランジスタ16、16、16のゲートに印加している。ゲート電圧によってNMOSトランジスタ16、16、16のオンオフ動作が制御され、各LED7a、7b、7cに流れる電流が制御される。尚、比較器15、15、15の基準電圧の大きさはそれぞれプラス入力端子に接続されたNPNトランジスタ18、18、18のオンオフを制御することによって決定される。
【0027】
スイッチングレギュレータ2では、制御部8から出力される制御信号(スイッチング信号)によってNMOSトランジスタ11がオンオフ動作して、直流電源10から入力される直流電圧(入力電流I1)が交流電圧(2次側コイルL2の出力電圧)に変換される。
【0028】
スイッチングレギュレータ2の出力電圧(出力電流I3)は、各比較器15、15、15の出力電圧に基づいて各LED7a、7b、7cの最も高い順方向電圧Vfになるように制御されている。
【0029】
NMOSトランジスタ12は、NMOSトランジスタ11のゲート信号を反転した信号を受けて同期整流動作を行う。NMOSトランジスタ11のゲート信号はNOT回路13によって反転されてNMOSトランジスタ12のゲートに入力される。
【0030】
電流検出回路4はスイッチングレギュレータ2の出力電流I3を検出する。検出された出力電流I3は制御部8に送出される。制御部8は検出された出力電流I3を受けて内蔵するCPUで図3に示すようなプログラムを実行する。このプログラムは予めCPU内のメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0031】
CPUは出力電流I3の値が所定値以上であるか否かを判定し(ステップS101)、出力電流I3の値が所定値以上である場合にはNMOSトランジスタ12がNMOSトランジスタ11と同期して整流動作するように制御する(ステップS102)。このときOR回路31の一方の入力端子にローレベル信号が入力され、他方の入力端子にオフ信号が入力された時にOR回路31からローレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオン動作する。従って、NMOSトランジスタ12はNMOSトランジスタ11に同期して整流動作を開始する。
【0032】
CPUは出力電流の値が所定値未満である場合にはNMOSトランジスタ12を停止して同期整流の動作を解除するように制御する(ステップS103)。このときOR回路31の一方の入力端子にハイレベル信号が入力され、他方の入力端子にオン信号又はオフ信号のいずれが入力された時でもOR回路31からハイレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオフ動作する。従って、NMOSトランジスタ12の同期整流動作が解除される。
【0033】
尚、出力電流I3の所定値はスイッチングレギュレータ2の動作モードが不連続モードとなる時のスイッチングレギュレータ2の出力電流I3より大きい電流値に設定される(図2の矢印、図4参照)。
【0034】
このような条件設定を行うと図2に示すようにスイッチングレギュレータ2の出力電流が大きくなり、動作モードが不連続モードから連続モードに切り替わった後に同期整流の動作が開始される。
【0035】
従って、上記したプログラムを実行することによって不連続モード時では同期整流の動作が行われることはないので、同期整流動作を行う機能を有するNOMSトランジスタ12の故障を防止することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置について説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置の構成を示した図である。
【0037】
本第2の実施の形態は、上記した第1の実施の形態と比較して、電流検出回路4が設けられていない点が相違する。
【0038】
以下に、第2の実施の形態に係る点消灯制御装置の動作について説明する。
【0039】
本第2の実施の形態に係る点消灯制御装置30の制御部8は、外部から点消灯指示信号を受けて該点消灯指示信号が同期整流動作の開始条件を満たすか否かを判定し、同期整流開始条件を満たす場合に同期整流の動作を開始するように制御する。
【0040】
同期整流動作の開始条件について図6を参照して説明する。図6は5つのシリーズレギュレータにそれぞれ直列接続された5つのLEDが配置されている例を示している。
【0041】
5つのLEDの各消費電力(スイッチングレギュレータから出力される電気エネルギー)がそれぞれ図6の上段の(1)〜(5)である場合に、図6の下段に示すように組合せによる総消費電力(以下、「組み合わせ総消費電力」と呼ぶ。)のパターンは9通りとなる。
【0042】
図6の例では、例えば組み合わせ総消費電力が20W未満である場合に不連続モードとなるため、10W加算した30Wが同期整流を開始するか否かを判定するための条件設定値(所定の電力)となる。この10Wに相当するマージン値は適宜変更できる。
【0043】
組み合わせ総消費電力が30W以上となる組合せの点消灯指示信号が制御部8に入力された場合には、上記した同期整流動作の開始条件を満たし、組み合わせ総消費電力が30W未満となる組合せの指示信号が制御部8に入力された場合には上記した同期整流動作の開始条件を満たさない。尚、上記には組み合わせ総消費電力によって同期整流を開始するか否かを判定するための条件設定値を定める例を示したが、条件設定値を出力電流によって定めてもよい。
【0044】
次に、図7及び図8を参照して図6に示した例において、点消灯指示信号を受けた場合の制御部8が内蔵するCPUが実行する処理プログラムについて説明する。尚、以下の説明では図6に示すようにLEDが5つ設けられている場合を例として説明し、LEDの符号は省略する。
【0045】
CPUは点消灯指示信号を受けて(ステップS201)各NMOSトランジスタ16をターンオン(点灯開始)に設定する(ステップS202)。次に点消灯指示信号が同期整流開始の条件を満たしているか否かを判定する(ステップS203)。即ち、上記したように、点消灯指示信号の指示対象となる各LEDの組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力以上であるか否かを判定する。
【0046】
組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力以上である場合には、後述するウエイト処理(ステップS204)を経た後に同期整流動作を開始する(ステップS205)。このときOR回路31の一方の入力端子にローレベル信号が入力され、他方の入力端子にオフ信号が入力された時にOR回路31からローレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオン動作する。従って、NMOSトランジスタ12はNMOSトランジスタ11に同期して整流動作を開始する。
【0047】
組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力未満である場合には、同期整流動作を解除し(ステップS206)、各NMOSトランジスタ16をターンオフに設定する(ステップS207)。このときOR回路31の一方の入力端子にハイレベル信号が入力され、他方の入力端子にオン信号又はオフ信号のいずれが入力された時でもOR回路31からハイレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオフ動作する。従って、NMOSトランジスタ12の同期整流動作が解除される。
【0048】
例えば、点消灯指示信号における点灯指示対象であるLEDが図6の(1)〜(4)の全ての組み合わせである場合にはそれらの組み合わせ消費電力が40Wとなる。従って、組み合わせ消費電力が予め定められた所定の電力(図6の例では30W)以上であるので、NMOSトランジスタ12がNMOSトランジスタ11に同期して整流動作するようにCPUによって制御される。
【0049】
ところで、NMOSトランジスタ16のオン動作開始と同期整流の動作開始のタイミングを同時に設定した場合であっても、スイッチングレギュレータ2が連続動作モードに応答するまでには所定時間(応答時間)が必要とされるため、スイッチングレギュレータ2はNMOSトランジスタ16のオン動作開始から所定時間経過するまで不連続動作モードが継続される。従って、同期整流動作の開始をNMOSトランジスタ16のオン動作開始から応答時間経過後に行うことが望ましい。
【0050】
そこで、第2の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置においては、ステップS203で同期整流開始条件を満たした後に、上記した応答時間分だけ同期整流開始のタイミングを遅延させるウエイト処理(ステップS204)を行っている。即ち、応答時間経過後にCPUからOR回路にローベル信号を出力する。このウエイト処理を行うことによって、NMOSトランジスタ16のオン動作開始から所定時間経過するまで継続されるスイッチングレギュレータ2の不連続動作モード時に同期整流の動作が開始されることはない。
【0051】
以上説明したように、本第2の実施の形態によれば上記したプログラムを実行することによって不連続モード時では同期整流の動作が行われることはないので、同期整流の動作を行う機能を有するNOMSトランジスタ12の故障を防止することができる。
【0052】
以下に、本発明の第3の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置について説明する。本第3の実施の形態は、上記した第1の実施の形態と比較してCPUのプログラムが異なる。
【0053】
上記した第1の実施の形態に係る点消灯制御では出力電流I3の値が所定値以上であるか否かを判定しているが、出力電流I3の検出タイミングから上記判定のタイミングまでに所定の時間がかかってしまう場合には、すでに不連続モードになってしまったのにもかかわらず同期整流動作の解除がされない状態が起こり得る。
即ち、出力電流I3が低く(小さく)なった後に同期整流動作が解除されるため、不連続モード動作時に同期整流動作する期間が僅かに生じてしまう。
【0054】
また、第2の実施の形態に係る点消灯制御では、ステップS204において同期整流開始のタイミングを遅延させる処理を行っているが、この遅延処理を無くすことができれば制御部の他の制御処理への負担を減少させることができる。
【0055】
以下に説明する第3の実施の形態に係る車両用灯具の点消灯制御装置1によれば上記した点を解消することができる。即ち、制御部8は、同期整流の動作状態を解除状態から動作状態へ移行させるときには出力電流I3が所定値以上であるか否かを判定して行い、動作状態から解除状態へ移行させるときには各LEDの組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力未満であるか否かを判定して行う。
【0056】
以下に、上記2つの点を解消することができる点消灯制御について図9及び図10を参照して説明する。尚、以下の説明では図6と同様にLEDが5つ設けられている場合を例として説明し、LEDの符号は省略する。
【0057】
電流検出回路4はスイッチングレギュレータ2の出力電流I3を検出する。検出された出力電流I3は制御部8に送出される。制御部8は検出された出力電流I3を受けて出力電流I3の値が所定値以上であるか否かを判定し(ステップS301)、出力電流I3の値が所定値以上である場合にはNMOSトランジスタ12がNMOSトランジスタ11と同期して整流動作するように制御する(ステップS302)。
【0058】
ステップS302の処理の後又は出力電流I3の値が所定値未満であると判定された後に、CPUが点消灯指示信号を受けた場合に(ステップS303)点消灯指示信号又はLED等の異常状態を知らせる異常信号が同期整流解除の条件を満たしているか否かを判定する(ステップS304)。即ち、点消灯指示信号の指示対象となる各LEDの組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力未満であるか否かを判定すると共に上記異常信号が入力されたか否かを判定する。
【0059】
組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力未満である場合又は上記異常信号が入力された場合には、同期整流動作を解除する(ステップS305)。このときOR回路31の一方の入力端子にハイレベル信号が入力され、他方の入力端子にオン信号又はオフ信号のいずれが入力された時でもOR回路31からハイレベル信号が出力され、NMOSトランジスタ12がオフ動作する。従って、NMOSトランジスタ12の同期整流動作は解除される。
【0060】
尚、異常信号入力を同期整流解除の対象としているのは、複数あるLEDのうち、少なくとも1つに異常が発生した場合に、CPUの異常検知により消灯制御(フェール機能)をするため、点消灯指示信号に対する総消費電力が正常時と異なってしまうからである。図6の例では正常時における全てのLEDの総消費電力が45Wであるが、例えば消費電力10WのLEDが1つ異常であれば総消費電力が35Wとなってしまい点消灯指示信号による条件設定が変わってしまう。従って、LEDの異常をCPUで検知した場合には同期整流を解除する。
【0061】
組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力以上である場合には、同期整流動作を解除せず、CPUは点消灯指示信号に基づいてNMOSトランジスタ16のオンオフ設定を行う(ステップS306)。但し、組み合わせ総消費電力が予め定められた所定の電力以上であっても、異常信号が入力された場合にはステップS305の処理に移行する。
【0062】
図10における(a)、(b)、(c)はそれぞれ図9におけるステップS302、ステップS305、ステップS306の開始のタイミングを示している。上記プログラムの処理を実行すれば動作モードが不連続から連続になるタイミング(図10の(a))で同期整流も解除状態から動作状態に移行する。即ち、同期整流動作の解除から開始までの状態(図10の(a))ではNOMSトランジスタ16がオン動作してから所定時間経過後に前記同期動作を開始するようにNOMSトランジスタ12が制御される。
【0063】
一方、上記プログラムの処理を実行すれば動作モードが連続から不連続になるタイミング(図10の(b))で同期整流も動作状態から解除状態に移行する。即ち、同期整流の動作中から解除までの状態(図10の(b))では、NOMSトランジスタ16がオフ動作すると同時に同期整流動作を解除するようにNOMSトランジスタ12が制御される。尚、NOMSトランジスタ16のオフ動作と同時でなくてもオフ動作の前に同期整流動作を解除するようにNOMSトランジスタ12を制御してもよい。
【0064】
以上説明したように、本第3の実施の形態によれば不連続モード時における同期整流動作を確実に停止させるため同期整流動作を行う機能を有するスイッチ部の故障を防止することができる。
【0065】
上記した各実施の形態は、本発明を好適に実施した形態の一例に過ぎず、本発明は、その主旨を逸脱しない限り、種々変形して実施することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る点消灯制御装置の構成を示した図である。
【図2】同期整流動作を開始/解除する条件設定のタイミングを説明するための図である。
【図3】同期整流開始/解除判定プログラムの一例を示した図である。
【図4】スイッチングレギュレータの出力電流、動作モード、同期整流有無の関係を示した図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る点消灯制御装置の構成を示した図である。
【図6】同期整流動作を開始/解除する条件設定のタイミングを説明するための図である。
【図7】同期整流開始/解除判定プログラムの他の例を示した図である。
【図8】スイッチングレギュレータの出力電流、動作モード、同期整流有無の関係を示した図である。
【図9】同期整流開始/解除判定プログラムのさらに他の例を示した図である。
【図10】スイッチングレギュレータの出力電流、動作モード、同期整流有無の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0067】
1、30…点消灯制御装置、2…スイッチングレギュレータ、4…電流検出回路、7a、7b、7c…LED、8…制御部(CPU含む)、11…NMOSトランジスタ(第2のスイッチ部)、12…NMOSトランジスタ(第3のスイッチ部)、16…NMOSトランジスタ(第1のスイッチ部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、
トランス又はコイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、
点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御すると共に前記スイッチングレギュレータの出力電流を入力する制御部とを有し、
前記スイッチングレギュレータは、トランス又はコイルにエネルギーを供給する第2のスイッチ部と、トランス又はコイルから出力される電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、
前記制御部は、検出された前記スイッチングレギュレータの出力電流の値が所定値以上であるか否かを判定し、出力電流の値が所定値以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御する
ことを特徴とする車両用灯具の点消灯制御装置。
【請求項2】
複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、
1次側コイル及び2次側コイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、
点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御する制御部とを有し、
前記スイッチングレギュレータは、前記1次側コイルに接続された第2のスイッチ部と、前記2次側コイルに接続され該2次側コイルに供給された電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、
前記制御部は、前記点消灯指示信号に基づき点灯する半導体光源の組み合わせが予め定められた所定の電力相当以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御する
ことを特徴とする車両用灯具の点消灯制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のスイッチ部がオン動作してから所定時間経過後に前記同期動作を開始するように前記第3のスイッチ部を制御し、前記第1のスイッチ部がオフ動作すると同時に又はオフ動作の前に前記同期動作を解除するように前記第3のスイッチ部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具の点消灯制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の半導体光源の少なくとも一つが異常である場合に前記同期動作を解除するように前記第3のスイッチ部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具の点消灯制御装置。
【請求項1】
複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、
トランス又はコイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、
点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御すると共に前記スイッチングレギュレータの出力電流を入力する制御部とを有し、
前記スイッチングレギュレータは、トランス又はコイルにエネルギーを供給する第2のスイッチ部と、トランス又はコイルから出力される電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、
前記制御部は、検出された前記スイッチングレギュレータの出力電流の値が所定値以上であるか否かを判定し、出力電流の値が所定値以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御する
ことを特徴とする車両用灯具の点消灯制御装置。
【請求項2】
複数の半導体光源の点消灯をそれぞれ制御する複数の第1のスイッチ部と、
1次側コイル及び2次側コイルを含み前記複数の半導体光源に電流を供給するスイッチングレギュレータと、
点消灯指示信号を受けて前記第1のスイッチ部のオンオフを制御する制御部とを有し、
前記スイッチングレギュレータは、前記1次側コイルに接続された第2のスイッチ部と、前記2次側コイルに接続され該2次側コイルに供給された電流を整流する第3のスイッチ部とを有し、
前記制御部は、前記点消灯指示信号に基づき点灯する半導体光源の組み合わせが予め定められた所定の電力相当以上である場合に前記第3のスイッチ部が前記第2のスイッチ部に同期して動作するように制御する
ことを特徴とする車両用灯具の点消灯制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のスイッチ部がオン動作してから所定時間経過後に前記同期動作を開始するように前記第3のスイッチ部を制御し、前記第1のスイッチ部がオフ動作すると同時に又はオフ動作の前に前記同期動作を解除するように前記第3のスイッチ部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具の点消灯制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の半導体光源の少なくとも一つが異常である場合に前記同期動作を解除するように前記第3のスイッチ部を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具の点消灯制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−67557(P2010−67557A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234730(P2008−234730)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
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