説明

車両用空調装置

【課題】寒冷時に換気による熱損失低減のための内気化を維持しつつ、窓ガラス24の防曇性皮膜24aを乾燥再生させる。
【解決手段】外気の温度を検出する外気温センサを備え、空調制御装置27は、外気温センサで検出される外気の温度が所定温度以下の場合、通常の空調制御に加え、部分的もしくは一時的に外気を導入して車室内に吹き出させてフロントガラス24に施されている防曇性皮膜24aを乾燥再生させる防曇ガラス再生制御を行う。
これによれば、寒冷時において換気による熱損失低減のために内気循環を行いつつ、部分的に外気を導入して防曇性皮膜24aを乾燥再生させることで、防曇状態を維持しながら内気化率を高めることができる。また、寒冷時の駐停車を利用するなどして一時的に外気を導入し、防曇性皮膜24aを乾燥再生させておくことで、走行時の換気熱損失低減のための内気化率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラスの内面に防曇性皮膜を有する車両に配設される車両用空調装置に関するものであり、特に、防曇性皮膜を乾燥再生させる防曇ガラス再生制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出規制を受けて、車両にはよりいっそうの低燃費が求められている。一方、ハイブリッド化などの低燃費技術により、車両走行用エンジンの排熱量が減り、寒冷時の暖房熱源不足が懸念されている。寒冷時に熱源不足となる一因として、従来は窓曇り防止のために外気導入を基本としていることがある。
【0003】
これに対して、下記の特許文献1では、湿度検出装置を用いて窓曇りを判定し、曇らない範囲で内気化することで換気による熱損失を低減して熱源不足を補うようにした空調制御方法が示されている。また、ガラスにおいては、下記の特許文献2および3に示されているように、ガラスの表面に防曇性能を維持する皮膜を形成した防曇ガラスがある。
【特許文献1】特開2006−256496号公報
【特許文献2】特開2001−146585号公報
【特許文献3】特開2003−231827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した空調制御方法では、湿度検出装置のばらつきを考慮しつつ、湿度検出装置が配設されている近傍の窓ガラス部分だけではなく、他の場所の曇り易い窓ガラス部分までを曇らないように安全率を大きくとると、充分に内気化することができず、低燃費効果を上げられないという問題点がある。
【0005】
また、上記した防曇ガラスは、ある程度は防曇状態を維持することが可能であるが、限界水分量を超えてしまうと飽和して窓曇りが発生してしまうため、その吸収した水分を乾燥させて防曇性能を再生させることが必要となる。しかし、熱線でガラスを暖めるとなると大電力が必要となり、空調装置の温風をデフロスタから吹き出して暖めるとなると乗員の顔火照りが発生するだけでなく、熱源が足りなくなってしまい、快適感や低燃費を損ねることとなる。
【0006】
そこで本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その第1の目的は、窓ガラスの内面に防曇性皮膜を有する車両において、寒冷時には換気による熱損失低減のための内気化を維持しつつ、防曇性皮膜を乾燥再生させることのできる車両用空調装置を提供することにある。
【0007】
また、第2の目的は、窓ガラスの内面に防曇性皮膜を有する車両において、寒冷時の駐停車を利用するなどして防曇性皮膜を乾燥再生させておくことで、走行時の換気熱損失低減のための内気化率を高めることのできる車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、窓ガラス(24)の内面に防曇性皮膜(24a)を有する車両に配設される車両用空調装置であり、内気導入口(2、3)と外気導入口(4)とを開閉して内気と外気との吸い込みを切り替える内外気切替手段(5、6)と、内気導入口(2、3)および外気導入口(4)を通して導入される空気を車室内へ向かって送風する送風手段(7)と、送風手段(7)の送風空気を冷却する冷房用熱交換器(12)と、送風手段(7)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、冷房用熱交換器(12)および暖房用熱交換器(13)を通過して温度調整された空気を、前記窓ガラス(24)の内面に向かって空気を吹き出すデフロスタ吹出口(15)および車室内のその他の部位に吹き出す吹出口(17、22)を有する複数の吹出口(15、17、22)と、複数の吹出口(15、17、22)を開閉して吹出モードを切り替える吹出モード切替手段(16、18、23)と、内外気切替手段(5、6)による内外気切替制御、および吹出モード切替手段(16、18、23)による吹出モード切替制御を実行する空調制御手段(27)とを備えた車両用空調装置において、
外気の温度を検出する外気温検出手段を備え、空調制御手段(27)は、外気温検出手段で検出される外気の温度が所定温度以下の場合、通常の空調制御に加え、部分的もしくは一時的に外気を導入して車室内に吹き出させて窓ガラス(24)に施されている防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させる防曇ガラス再生制御を行うことを特徴としている。
【0009】
この請求項1に記載の発明によれば、寒冷時においては換気による熱損失低減のために内気循環を行いつつ、部分的に外気を導入して防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させることで、防曇状態を維持しながら内気化率を高めることができる。また、寒冷時の駐停車を利用するなどして一時的に外気を導入し、防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させておくことで、走行時の換気熱損失低減のための内気化率を高めることができる。
【0010】
これは、防曇ガラスだけでは、機能上いつかは曇るため外気にせざるを得ないこと、また、車両用空調装置による内外気2層導入という方法のみでも一定量しか内気化することができない。そこで本発明は、走行中は最大限内気循環として熱損失を防止し、且つ曇りそうな状況となった場合は部分的もしくは一時的に外気導入とすることにより、熱損失を防ぎながら防曇性皮膜(24a)の乾燥再生を行うこととなる。これにより、常に防曇状態を維持しつつ、低燃費で暖房性能を確保することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置において、窓ガラス(24)の内面に配置されて窓ガラス(24)の表面相対湿度(RHw)を算出する湿度検出手段(25)備え、空調制御手段(27)は防曇ガラス再生制御として、湿度検出手段(25)が算出する表面相対湿度(RHw)が、所定の第1湿度閾値(RH1)未満の間は内気循環とし、湿度検出手段(25)が算出する表面相対湿度(RHw)が第1湿度閾値(RH1)に達した場合は一部外気導入とすることを特徴としている。
【0012】
この請求項2に記載の発明によれば、窓ガラス(24)が曇り始める前の表面相対湿度(RHw)を第1湿度閾値(RH1)に設定し、第1湿度閾値(RH1)未満の間は内気循環、第1湿度閾値(RH1)に達したら一部外気導入として防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させることにより、常に防曇状態を維持しつつ、内気化率を高めることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置において、窓ガラス(24)の内面に配置されて窓ガラス(24)表面の曇りを検出する曇り検出手段(26)備え、空調制御手段(27)は防曇ガラス再生制御として、曇り検出手段(26)が検出する曇り程度が所定の第1曇り閾値(L1)未満の間は内気導入とし、曇り検出手段(26)が検出する曇り程度が第1曇り閾値(L1)に達した場合は一部外気導入とすることを特徴としている。
【0014】
この請求項3に記載の発明によれば、窓ガラス(24)が許容できる程度の曇り程度を第1曇り閾値(L1)に設定し、第1曇り閾値(L1)未満の間は内気循環、第1曇り閾値(L1)に達したら一部外気導入として防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させることにより、常に防曇状態を維持しつつ、さらに内気化率を高めることができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の車両用空調装置において、一部外気導入時、導入した外気はデフロスタ吹出口(15)から吹き出され、循環する内気はデフロスタ吹出口(15)以外の吹出口(17、22)から吹き出されることを特徴としている。
【0016】
この請求項4に記載の発明によれば、導入した外気を内気に混入させて車室内に吹き出すことでも車室内全体の湿度が低下して、防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させることが可能であるが、導入した外気をデフロスタ吹出口(15)から窓ガラス(24)に向けて吹き出す方が、内面の防曇性皮膜(24a)を効率良く乾燥再生させることができる。また、例えばフット吹出口(22)から行われる暖房も、内気循環だけで効率良く行うことができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、請求項2ないし4のいずれかに記載の車両用空調装置において、空調制御手段(27)は、一部外気導入に移行した後、表面相対湿度(RHw)が、第1湿度閾値(RH1)よりも低い所定の第2湿度閾値(RH2)まで下がった場合、もしくは曇り程度が、第1曇り閾値(L1)よりも低い所定の第2曇り閾値(L2)まで下がった場合、再び内気循環および通常の空調制御における吹出モードに戻すことを特徴としている。
【0018】
この請求項5に記載の発明によれば、第2湿度閾値(RH2)、もしくは第2曇り閾値(L2)まで表面相対湿度(RHw)や曇り程度が下がったことで、防曇性皮膜(24a)が再生されたと判断して、内気循環による低燃費空調に戻すことができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明では、請求項2ないし4のいずれかに記載の車両用空調装置において、空調制御手段(27)は、一部外気導入を所定時間行った後、再び内気導入および通常の空調制御における吹出モードに戻すことを特徴としている。この請求項6に記載の発明によれば、一部外気導入は所定時間行うこととしても良く、制御を簡単にすることができる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明では請求項2に記載の車両用空調装置において、湿度検出手段(25)は、相対湿度検出手段、空気温度検出手段、およびガラス温度検出手段を備え、これらの検出結果から表面相対湿度(RHw)を算出することを特徴としている。この請求項7に記載の発明によれば、窓ガラス(24)が曇り始める前の表面相対湿度(RHw)状態を検出することができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明では、請求項3に記載の車両用空調装置において、曇り検出手段(26)は、発光素子と受光素子とを備え、ガラス表面での光学的な反射によって曇り程度を算出することを特徴としている。この請求項8に記載の発明によれば、窓ガラス(24)が曇りそうな状態は検出できないが、許容できる程度の窓曇り状態を閾値として可能な限り内気化率を高める制御を行うのであれば、曇り検出手段のコストを抑えることができる。
【0022】
また、請求項9に記載の発明では、請求項2、3、7、8のいずれかに記載の車両用空調装置において、湿度検出手段(25)、もしくは曇り検出手段(26)を、車両後方の窓ガラスに配設したことを特徴としている。この請求項9に記載の発明によれば、車両前方の窓ガラス(24)に比べて後方の窓ガラスは窓曇りを生じ易い。このため、曇り易い窓ガラスで湿度検出、もしくは曇り検出を行うことにより、車両のどの窓ガラスも常に防曇状態が維持される空調制御とすることができる。
【0023】
また、請求項10に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置において、空調制御手段(27)は防曇ガラス再生制御として、車両の走行が終了して車両走行用のエンジンがOFFされた後、外気導入にてデフロスタ吹出口(15)からの吹き出しを所定時間行うことを特徴としている。この請求項10に記載の発明によれば、寒冷時に駐車したことを利用して一時的に外気を導入し、防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させておくことで、走行時の換気熱損失低減のための内気化率を高めることができる。
【0024】
また、請求項11に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置において、空調制御手段(27)は防曇ガラス再生制御として、車両が停車状態であり、且つ車室内に乗員が居ない場合、外気導入にてデフロスタ吹出口(15)からの吹き出しを所定時間行うことを特徴としている。この請求項11に記載の発明によれば、寒冷時の停車を利用して、車室内に乗員が居ないときに一時的に外気を導入し、防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させておくことで、走行時の換気熱損失低減のための内気化率を高めることができる。
【0025】
また、請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の車両用空調装置において、空調制御手段(27)は、防曇ガラス再生制御中に車室内で乗員が検出された場合、通常の空調制御における吸込モードおよび吹出モードに戻すことを特徴としている。この請求項12に記載の発明によれば、車室内に乗員が戻ってきた場合、乗員の快適感を損ねたり、設定とは異なる空調状態で不信感を与えたりしないために、通常の空調状態に戻すものである。なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜4を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態における車両用空調装置の概略構成を示す断面模式図であり、内気吸込(内気循環)モード&フットデフロスタ吹出モードの状態を示す。本実施形態は、例えば、ディーゼルエンジン車やハイブリッド車のように、エンジン冷却水(温水)の温度が比較的上がりにくい低熱源車に適用して有効である。
【0027】
空調装置の通風系は、大別して、送風機ユニット1と空調ユニット10の2つの部分に分かれている。空調ユニット10部は、通常、車室内前方の図示しないインストルメントパネル内奥部のうち、車両左右方向の略中央部に配置されるものであり、車両の上下前後方向に対して図示の矢印に示す関係で搭載されている。
【0028】
一方、送風機ユニット1は、通常、車室内において空調ユニット10の側方(助手席側)にオフセットして配置されている。なお、図1では、図作成上の理由から、空調ユニット10の車両前方側に送風機ユニット1を配置する状態を図示している。まず、送風機ユニット1部を具体的に説明すると、送風機ユニット1の上下両側に、内気(車室内空気)を導入する第1、第2の2つの内気導入口2、3が備えられている。
【0029】
この両内気導入口2、3の中間部位に外気(車室外空気)を導入する1つの外気導入口4が備えられている。そして、外気導入口4からの外気が流入する第1外気口4aと、第1内気導入口2との間を第1内外気切替ドア5により切替開閉し、第2外気口4bと第2内気導入口3との間を第2内外気切替ドア6により切替開閉するようになっている。
【0030】
この第1、第2内外気切替ドア5、6は、回動軸5a、6aを中心として回動操作される板状のドアである。本実施形態では、第1、第2内気導入口2、3と、外気導入口4と、第1、第2外気口4a、4bと、第1、第2内外気切替ドア5、6とにより内外気切替手段が構成されている。
【0031】
そして、上記導入口2、3、4からの導入空気を車室内へ向かって送風する送風機(送風手段)7は、本実施形態では上側の第1ファン7aおよび下側の第2ファン7bが、送風機ユニット1のケース1a内に配置されている。この両ファン7a、7bは、周知の遠心多翼ファン(シロッコファン)からなるものであり、1つの共通の電動モータ7cにて一体に回転駆動される。また、両ファン7a、7bは、スクロールケース7d内に収納されている。
【0032】
図1は、内気吸込(全内気循環)モードの状態を示しており、第1内外気切替ドア5は第1内気導入口2を解放して外気導入口4の第1外気口4aを閉塞しているので、第1ファン7aの吸入口7eには内気が吸入される。また、同様に、第2内外気切替ドア6は第2内気導入口3を開放して第2外気口4bを閉塞しているので、第2ファン7bの吸入口7fにも内気が吸入される。
【0033】
図1の図示状態では、第1ファン7aは、第1内気導入口2からの内気を、本実施形態では上側の第1空気通路8に送風するようになっており、第2ファン7bは、第2内気導入口3からの内気を下側の第2空気通路9に送風するようになっている。なお、第1、第2空気通路8、9は、第1ファン7aと第2ファン7bとの間から下流側にわたって配置された仕切り部材11によって仕切られている。
【0034】
次に、空調ユニット10部は、樹脂製の空調ケース10a内に、蒸発器12とヒータコア13とを、両方とも一体的に内蔵するタイプのものである。空調ケース10a内においても、空気通路は仕切り板11によって上側の第1空気通路8と下側の第2空気通路9とに仕切られている。
【0035】
空調ケース10a内において、車両前方側の部位に蒸発器12が空調ケース10a内の第1、第2空気通路8、9の全域を横切るように配置されている。この蒸発器12は周知の如く、図示しない冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調用空気から吸熱して、空調用空気を冷却する冷房用熱交換器である。
【0036】
ヒータコア13は、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けて隣接配置されている。このヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱する暖房用熱交換器であり、その内部に高温のエンジン冷却水(温水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。
【0037】
また、蒸発器12とヒータコア13との間には、エアミックスドア14が配置されている。このエアミックスドア14は、1本の回動軸14cに基板部14a、14bが一体形成され、この1本の回動軸14cを中心として、一体に回動可能になっている。そして、このエアミックスドア14の回動により、第1、第2空気通路8、9において、それぞれ、ヒータコア13を通過する温風と、ヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合が調整され、車室内への吹出空気温度が調整される。
【0038】
すなわち、本実施形態では、エアミックスドア14により車室内への吹出空気の温度調整手段を構成している。そして、ヒータコア13の空気下流側(車両後方側)の部位には、吹出モード切替部が構成されている。この吹出モード切替部を具体的に説明すると、空調ケース10aの上面部には、ヒータコア13直後の第1空気通路8に連通するデフロスタ開口部(本発明で言う吹出口)15が開口している。
【0039】
このデフロスタ開口部15は、図示しないデフロスタダクトおよびデフロスタ吹出口を介して、車両のフロントガラス(窓ガラス)24の内面に向けて風を吹き出すためのものである。このデフロスタ開口部15は、デフロスタドア16により開閉される。このデフロスタドア16は、回動軸16aにより回動自在な板状ドアからなっている。
【0040】
空調ケース10aの最も車両後方側(乗員寄り)の部位には、第1空気通路8と直接連通するフェイス開口部(本発明で言う吹出口)17が開口している。このフェイス開口部17は、図示しないフェイスダクトを介してインストルメントパネル上方の幅方向中央部と両端に設けられたフェイス吹出口より、前席乗員の頭胸部に向けて風を吹き出すためのものである。
【0041】
このフェイス開口部17は、フェイスドア18により開閉される。このフェイスドア18は、回動軸18aにより回動自在な板状ドアからなっている。また、ヒータコア13の空気下流側部位には、第1空気通路8と第2空気通路9の相互の間を連通する連通路20が設けられており、この連通路20は連通ドア21により開閉される。
【0042】
この連通ドア21は、回動軸21aによって回動自在な板状ドアであり、図1に示す連通路20の閉塞位置にあるときは、連通ドア21が第1、第2空気通路8、9の仕切り部材の役割を果たす。また、空調ケース10aの車両後方側の下方部位には、フット開口部(本発明で言う吹出口)22が開口している。
【0043】
このフット開口部22は、第2空気通路9においてヒータコア13の空気下流側の部位に連通している。このフット開口部22は図示しないフットダクトを介してフット吹出口から車室内の前席乗員足元に温風を吹き出すためのものである。このフット開口部22は、フットドア23により開閉される。このフットドア23は、回動軸23aにより回動自在な板状ドアからなっている。
【0044】
なお、本実施形態では、デフロスタドア16、フェイスドア18およびフットドア23により吹出モード切替手段を構成している。空調制御装置(本発明で言う空調制御手段)27は、CPU、ROM、RAMなどを含む周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路とから構成されている。この空調制御装置27は、そのROM内に空調制御のための制御プログラムを記憶しており、その制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。
【0045】
そして、空調制御装置27には、後述する湿度検出装置(本発明で言う湿度検出手段)25、もしくは曇り検出装置(本発明で言う曇り検出手段)26の検出値が入力される他に、周知の空調用センサ群からの検出信号、および図示しない空調操作パネルからの各種操作信号が入力される。
【0046】
湿度検出装置25の具体的な構造概要については、説明を省略するが、内部に相対湿度検出手段、空気温度検出手段、およびガラス温度検出手段を備え、これらの検出結果からフロントガラス24内面の表面相対湿度(RHw)を算出することができる。そして、本実施形態では、この湿度検出装置25を、フロントガラス24内側の図示しないルームミラーの陰となる部分などに配設している。
【0047】
また、詳細な説明は省略するが、本実施形態の特徴的な構成としてフロントガラス24は、内面に防曇性皮膜24aを施した防曇ガラスとなっている。この防曇ガラスは、通常のガラスの表面に防曇性皮膜24aを積層したもので有り、例えばセラミックコート内部に水分を吸収することで、ある程度窓曇りを防止する機能がある。但し、この防曇ガラスは、所定量水分を吸収すると飽和し、曇りが発生してしまう。また、セラミックコート部が吸収している水分量により、いつ曇りだすか分からないものである。
【0048】
次に、上記構成における本実施形態の作動を説明する。最初に、空調装置の作動の概要を説明する。送風機7を作動させることにより、第1、第2内気導入口2、3または外気導入口4より導入された空気が、ケース10a内を車室内に向かって送風される。また、図示しない電磁クラッチに通電して電磁クラッチを接続状態とし、図示しない圧縮機を車両走行用エンジンにて駆動することにより、冷凍サイクル装置内を冷媒が循環する。
【0049】
送風機7の送風空気は、まず蒸発器12を通過して冷却、除湿され、この冷風は次にエアミックスドア14の回動位置(開度)に応じてヒータコア13を通過して加熱され温風になる流れと、バイパス通路を通過する冷風の流れとに分けられる。従って、エアミックスドア14の開度によって、ヒータコア13を通る空気量(温風量)と、バイパス通路を通過する空気量(冷風量)との割合を調整することにより、車室内に吹き出す空気の温度が調整される。
【0050】
そして、この温度調整された空調風が、ケース10aの空気通路の最下流部に位置するデフロスタ開口部15、フェイス開口部17およびフット開口部22のうち、いずれか1つまたは複数の開口部から吹出口を介して車室内へ吹き出し、車室内の空調および車両のフロントガラス24の曇り止めを行うようになっている。
【0051】
次に、図2により、本発明の特徴的な作動を説明する。図2は、本発明の第1実施形態における内外気モードの切替を説明するタイムチャートである。乗員の乗り込み時(図2中の状態0)において、図示しない外気温センサ(外気温検出手段)の検出温度が所定温度(例えば20℃)以下で、暖房が必要で窓曇りが発生しうる環境条件の場合、空調装置は換気による熱損失を低減して少燃費とするため、吸込モードを完全内気循環モードにして空調を開始する。
【0052】
そして、走行するにつれ、乗員の加湿やフロントガラス24の温度低下により、ガラス内面の表面相対湿度RHwが上昇する。なお、表面相対湿度RHw=100%の状態で窓曇りが発生する。そこで、空調制御装置27は、部分的もしくは一時的に外気を導入して車室内に吹き出させ、フロントガラス24に施されている防曇性皮膜24aを乾燥再生させる防曇ガラス再生制御を行うようにしている。
【0053】
具体的には、図2に示すように、フロントガラス24が曇り始める前の表面相対湿度RHw(例えば90%)を第1湿度閾値RH1に設定し、湿度検出装置25が算出する表面相対湿度RHwが、第1湿度閾値RH1未満の間は内気循環とし、湿度検出装置25が算出する表面相対湿度RHwが第1湿度閾値RH1に達した場合(図2中の状態1)は一部外気導入とするようにしている。
【0054】
図3は、図1の車両用空調装置における2層吸込(一部外気導入)モード&フットデフロスタ吹出モードの状態を示す。第1内外気切替ドア5は、第1内気導入口2を閉塞して外気導入口4の第1外気口4aを開放しているので、第1ファン7aの吸入口7eには外気が吸入される。これに対して第2内外気切替ドア6は、第2内気導入口3を開放して第2外気口4bを閉塞しているので、第2ファン7bの吸入口7fには内気が吸入される。
【0055】
図3の図示状態において、第1ファン7aは、外気導入口4からの外気を第1空気通路8に送風し、デフロスタ開口部15からフロントガラス24内面に吹き出し、防曇性皮膜24aを外気で乾燥再生させることとなる。また、第2ファン7bは、第2内気導入口3からの内気を第2空気通路9に送風し、フット開口部22から足元暖房するようになっている。
【0056】
これにより、湿度検出装置25が算出する表面相対湿度RHwが下がり、第1湿度閾値RH1よりも低い所定の第2湿度閾値(例えば70%)まで下がった場合(図2中の状態2)、再び内気循環および通常の空調制御における吹出モードに戻すようにしている。以後、走行中は上記の作動を繰り返すこととなる。
【0057】
そして、最後に車両の走行が終了して駐車のために車両走行用のエンジンがOFFされた場合(図2中の状態3)、空調制御装置27は最後の防曇ガラス再生制御として、完全外気導入モードにてデフロスタ開口部15からの吹き出しを所定時間(例えば1分)行うようにしている。これは、次の乗車時のために防曇機能を再生しておくものである(図2中の状態4)。
【0058】
図4は、図1の車両用空調装置における外気吸込モード&デフロスタ吹出モードの状態を示す。第1内外気切替ドア5は、第1内気導入口2を閉塞して外気導入口4の第1外気口4aを開放しているので、第1ファン7aの吸入口7eには外気が吸入される。また、第2内外気切替ドア6も、第2内気導入口3を閉塞して第2外気口4bを開放しているので、第2ファン7bの吸入口7fにも外気が吸入される。
【0059】
図4の図示状態において、第1ファン7aは、外気導入口4からの外気を第1空気通路8に送風し、デフロスタ開口部15からフロントガラス24内面に吹き出す。また、第2ファン7bも、外気導入口4からの外気を第2空気通路9に送風し、フット開口部22を閉塞して連通路20を開放しているため、第2空気通路9の空気もデフロスタ開口部15からフロントガラス24内面に吹き出す。これにより、防曇性皮膜24aが全外気で乾燥再生させることとなる。但し、バッテリー容量に余裕がない場合は、この最後の防曇ガラス再生制御を行わないようにしても良い。
【0060】
次に、本実施形態での特徴と、その効果について述べる。まず、外気の温度を検出する外気温センサを備え、空調制御装置27は、外気温センサで検出される外気の温度が所定温度以下の場合、通常の空調制御に加え、部分的もしくは一時的に外気を導入して車室内に吹き出させてフロントガラス24に施されている防曇性皮膜24aを乾燥再生させる防曇ガラス再生制御を行うようにしている。
【0061】
これによれば、寒冷時において換気による熱損失低減のために内気循環を行いつつ、部分的に外気を導入して防曇性皮膜24aを乾燥再生させることで、防曇状態を維持しながら内気化率を高めることができる。また、寒冷時の駐停車を利用するなどして一時的に外気を導入し、防曇性皮膜24aを乾燥再生させておくことで、走行時の換気熱損失低減のための内気化率を高めることができる。
【0062】
これは、防曇ガラスだけでは、機能上いつかは曇るため外気にせざるを得ないこと、また、車両用空調装置による内外気2層導入という方法のみでも一定量しか内気化することができない。そこで本発明は、走行中は最大限内気循環として熱損失を防止し、且つ曇りそうな状況となった場合は部分的もしくは一時的に外気導入とすることにより、熱損失を防ぎながら防曇性皮膜24aの乾燥再生を行うこととなる。これにより、常に防曇状態を維持しつつ、低燃費で暖房性能を確保することができる。
【0063】
また、フロントガラス24の内面に配置されてフロントガラス24の表面相対湿度RHwを算出する湿度検出装置25備え、空調制御装置27は防曇ガラス再生制御として、湿度検出装置25が算出する表面相対湿度RHwが、所定の第1湿度閾値RH1未満の間は内気循環とし、湿度検出装置25が算出する表面相対湿度RHwが第1湿度閾値RH1に達した場合は一部外気導入とするようにしている。
【0064】
これによれば、フロントガラス24が曇り始める前の表面相対湿度RHwを第1湿度閾値RH1に設定し、第1湿度閾値RH1未満の間は内気循環、第1湿度閾値RH1に達したら一部外気導入として防曇性皮膜24aを乾燥再生させることにより、常に防曇状態を維持しつつ、内気化率を高めることができる。
【0065】
また、一部外気導入時、導入した外気はデフロスタ開口部15から吹き出され、循環する内気はデフロスタ開口部15以外の開口部17、22から吹き出されるようにしている。これによれば、導入した外気を内気に混入させて車室内に吹き出すことでも車室内全体の湿度が低下して、防曇性皮膜24aを乾燥再生させることが可能であるが、導入した外気をデフロスタ開口部15からフロントガラス24に向けて吹き出す方が、内面の防曇性皮膜24aを効率良く乾燥再生させることができる。また、例えばフット開口部22から行われる暖房も、内気循環だけで効率良く行うことができる。
【0066】
また、空調制御装置27は、一部外気導入に移行した後、表面相対湿度RHwが、第1湿度閾値RH1よりも低い所定の第2湿度閾値RH2まで下がった場合、再び内気循環および通常の空調制御における吹出モードに戻すようにしている。これによれば、第2湿度閾値RH2まで表面相対湿度RHwが下がったことで、防曇性皮膜24aが再生されたと判断して、内気循環による低燃費空調に戻すことができる。
【0067】
また、湿度検出装置25は、相対湿度検出手段、空気温度検出手段、およびガラス温度検出手段を備え、これらの検出結果から表面相対湿度RHwを算出するものとしている。これによれば、フロントガラス24が曇り始める前の表面相対湿度RHw状態を検出することができる。
【0068】
また、空調制御装置27は防曇ガラス再生制御として、車両の走行が終了して車両走行用のエンジンがOFFされた後、外気導入にてデフロスタ開口部15からの吹き出しを所定時間行うようにしている。これによれば、寒冷時に駐車したことを利用して一時的に外気を導入し、防曇性皮膜24aを乾燥再生させておくことで、走行時の換気熱損失低減のための内気化率を高めることができる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本発明の第2実施形態における内外気モードの切替を説明するタイムチャートである。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0070】
本実施形態は、上述した湿度検出装置25の代わりに、フロントガラス24の内面に配置されてフロントガラス24表面の曇りを検出する曇り検出装置26備え(図1参照)、空調制御装置27は防曇ガラス再生制御として、曇り検出装置26が検出する曇り程度が所定の第1曇り閾値L1未満の間は内気導入とし、曇り検出装置26が検出する曇り程度が第1曇り閾値L1に達した場合は一部外気導入とするようにしている。
【0071】
これによれば、フロントガラス24が許容できる程度の曇り程度を第1曇り閾値L1に設定し、第1曇り閾値L1未満の間は内気循環、第1曇り閾値L1に達したら一部外気導入として防曇性皮膜24aを乾燥再生させることにより、常に防曇状態を維持しつつ、さらに内気化率を高めることができる。
【0072】
また、空調制御装置27は、一部外気導入に移行した後、曇り程度が、第1曇り閾値L1よりも低い所定の第2曇り閾値L2まで下がった場合、再び内気循環および通常の空調制御における吹出モードに戻すようにしている。これによれば、第2曇り閾値L2まで曇り程度が下がったことで、防曇性皮膜24aが再生されたと判断して、内気循環による低燃費空調に戻すことができる。
【0073】
また、曇り検出装置26は、発光素子と受光素子とを備え、ガラス表面での光学的な反射によって曇り程度を算出するものとしている。これによれば、フロントガラス24が曇りそうな状態は検出できないが、許容できる程度の窓曇り状態を閾値として可能な限り内気化率を高める制御を行うのであれば、曇り検出手段のコストを抑えることができる。
【0074】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、本発明の第3実施形態における停車中の防曇ガラス再生制御を説明するフローチャートである。車両の走行用エンジンONすると、空調制御装置27は防曇ガラス再生制御として本フローチャートをスタートさせ、まず、外気温度が所定温度(例えば20℃)以下か否かの判定を行う。(ステップS1)。
【0075】
この判定結果がYESで、暖房が必要で窓曇りが発生しうる環境条件の場合はステップS2へ進み、次に車両が停車中か否かの判定を行う。この判定結果がYESで、車両が停車中である場合はステップS3へ進み、次に車室内に乗員が居るか否かの判定を行う。この判定には、各座席に設けられた着座センサや、車室内に設けられた人感センサなどからの信号を用いている。
【0076】
この判定結果がNOで、車室内に乗員が居ない場合はステップS4へ進み、最後にデフロスタ開口部15からの吹き出しを行って所定時間(例えば1分)が経過したか否かの判定を行う。この判定結果がNOで、デフロスタ開口部15からの吹き出しを所定時間だけ行っていない場合はステップS5へ進み、外気導入にてデフロスタ開口部15からの吹き出しを行いつつ上記の判定を繰り返すものである。
【0077】
よって、ステップS1の判定結果がNOで外気温度が所定温度より高い場合、ステップS2の判定結果がNOで車両走行中の場合、ステップS3の判定結果がYESで車室内に乗員が居る場合、およびステップS4の判定結果がYESでデフロスタ吹き出しを行ってから所定時間が経過した場合はステップS6に進み、設定されている吸込、吹出モード、もしくはオート制御が設定されていればその制御に基づく状態に移行するものである。
【0078】
このように、本実施形態において空調制御装置27は、防曇ガラス再生制御として、車両が停車状態であり、且つ車室内に乗員が居ない場合は、外気導入にてデフロスタ開口部15からの吹き出しを所定時間行うようにしている。これによれば、寒冷時の停車を利用して、車室内に乗員が居ないときに一時的に外気を導入し、防曇性皮膜24aを乾燥再生させておくことで、走行時の換気熱損失低減のための内気化率を高めることができる。
【0079】
なお、空調制御装置27は、防曇ガラス再生制御中に車室内で乗員が検出された場合、通常の空調制御における吸込モードおよび吹出モードに戻すようにしている。これによれば、車室内に乗員が戻ってきた場合、乗員の快適感を損ねたり、設定とは異なる空調状態で不信感を与えたりしないために、通常の空調状態に戻すものである。
【0080】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1、第2実施形態では、一部外気導入に移行した後、表面相対湿度RHwが第2湿度閾値RH2まで下がった場合、もしくは曇り程度が第2曇り閾値L2まで下がった場合、再び内気循環および通常の空調制御における吹出モードに戻すようにしているが、一部外気導入を所定時間(例えば5分)行った後、再び内気導入および通常の空調制御における吹出モードに戻すようにしても良い。これによれば、制御を簡単にすることができる。
【0081】
また、上述の第1、第2実施形態では、湿度検出装置25や曇り検出装置26をフロントガラス24に配設しているが、車両後方のリアガラスなどに配設しても良い。これによれば、フロントガラス24に比べてリアガラスは窓曇りを生じ易い。このため、曇り易い窓ガラスで湿度検出、もしくは曇り検出を行うことにより、車両のどの窓ガラスも常に防曇状態が維持される空調制御とすることができる。
【0082】
また、上述の第1、第2実施形態では、フロントガラス24の表面相対湿度RHwや曇り程度が第1閾値に達したら、内気吸込モードから半内気(半外気)の2層吸込モードに切り替えるようにしているが、例えば、表面相対湿度RHwや曇り程度が高くなるに応じて外気の導入割合が多くなるように変化するようにしても良い。さらに、駐車時や停車中に所定時間行う外気導入且つデフロスタ吹き出しでの防曇性皮膜24aの乾燥再生も、例えばフロントガラス24の表面相対湿度RHwに応じて作動時間が可変するようにしても良い。
【0083】
また、上述の実施形態では、送風機ユニット1および空調ユニット10の空気通路を仕切り部材11によって上側の第1空気通路8と下側の第2空気通路9とに仕切り、内外気2層流モードを設定できる車両用空調装置について説明したが、内外気2層流モードを設定しない通常の車両用空調装置、すなわち、仕切り部材11を配置せず、空気吸込部から吹出モード切替部の入口に至るまで単一の空気通路を形成する車両用空調装置においても本発明は実施できる。なお、や一部外気導入とする所定時間などは可変できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態における車両用空調装置の概略構成を示す断面模式図であり、内気吸込モード&フットデフロスタ吹出モードの状態を示す。
【図2】本発明の第1実施形態における内外気モードの切替を説明するタイムチャートである。
【図3】図1の車両用空調装置における2層吸込モード&フットデフロスタ吹出モードの状態を示す。
【図4】図1の車両用空調装置における外気吸込モード&デフロスタ吹出モードの状態を示す。
【図5】本発明の第2実施形態における内外気モードの切替を説明するタイムチャートである。
【図6】本発明の第3実施形態における停車中の防曇ガラス再生制御を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
2…第1内気導入口(内気導入口)
3…第2内気導入口(内気導入口)
4…外気導入口
5…第1内外気切替ドア(内外気切替手段)
6…第2内外気切替ドア(内外気切替手段)
7…送風機(送風手段)
12…蒸発器(冷房用熱交換器)
13…ヒータコア(暖房用熱交換器)
15…デフロスタ開口部(吹出口)
16…デフロスタドア(吹出モード切替手段)
17…フェイス開口部(吹出口)
18…フェイスドア(吹出モード切替手段)
22…フット開口部(吹出口)
23…フットドア(吹出モード切替手段)
24…フロントガラス(窓ガラス)
24a…防曇性皮膜
25…湿度検出装置(湿度検出手段)
26…曇り検出装置(曇り検出手段)
27…空調制御装置(空調制御手段)
L1…第1曇り閾値
L2…第2曇り閾値
RH1…第1湿度閾値
RH2…第2湿度閾値
RHw…表面相対湿度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラス(24)の内面に防曇性皮膜(24a)を有する車両に配設される車両用空調装置であり、
内気導入口(2、3)と外気導入口(4)とを開閉して内気と外気との吸い込みを切り替える内外気切替手段(5、6)と、
前記内気導入口(2、3)および前記外気導入口(4)を通して導入される空気を車室内へ向かって送風する送風手段(7)と、
前記送風手段(7)の送風空気を冷却する冷房用熱交換器(12)と、
前記送風手段(7)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
前記冷房用熱交換器(12)および前記暖房用熱交換器(13)を通過して温度調整された空気を、前記窓ガラス(24)の内面に向かって空気を吹き出すデフロスタ吹出口(15)および車室内のその他の部位に吹き出す吹出口(17、22)を有する複数の吹出口(15、17、22)と、
前記複数の吹出口(15、17、22)を開閉して吹出モードを切り替える吹出モード切替手段(16、18、23)と、
前記内外気切替手段(5、6)による内外気切替制御、および前記吹出モード切替手段(16、18、23)による吹出モード切替制御を実行する空調制御手段(27)とを備えた車両用空調装置において、
外気の温度を検出する外気温検出手段を備え、前記空調制御手段(27)は、前記外気温検出手段で検出される外気の温度が所定温度以下の場合、通常の空調制御に加え、部分的もしくは一時的に外気を導入して車室内に吹き出させて前記窓ガラス(24)に施されている前記防曇性皮膜(24a)を乾燥再生させる防曇ガラス再生制御を行うことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記窓ガラス(24)の内面に配置されて前記窓ガラス(24)の表面相対湿度(RHw)を算出する湿度検出手段(25)備え、前記空調制御手段(27)は前記防曇ガラス再生制御として、前記湿度検出手段(25)が算出する前記表面相対湿度(RHw)が、所定の第1湿度閾値(RH1)未満の間は内気循環とし、前記湿度検出手段(25)が算出する前記表面相対湿度(RHw)が前記第1湿度閾値(RH1)に達した場合は一部外気導入とすることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記窓ガラス(24)の内面に配置されて前記窓ガラス(24)表面の曇りを検出する曇り検出手段(26)備え、前記空調制御手段(27)は前記防曇ガラス再生制御として、前記曇り検出手段(26)が検出する曇り程度が所定の第1曇り閾値(L1)未満の間は内気導入とし、前記曇り検出手段(26)が検出する曇り程度が前記第1曇り閾値(L1)に達した場合は一部外気導入とすることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記一部外気導入時、導入した外気は前記デフロスタ吹出口(15)から吹き出され、循環する内気は前記デフロスタ吹出口(15)以外の吹出口(17、22)から吹き出されることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記空調制御手段(27)は、前記一部外気導入に移行した後、前記表面相対湿度(RHw)が、前記第1湿度閾値(RH1)よりも低い所定の第2湿度閾値(RH2)まで下がった場合、もしくは前記曇り程度が、前記第1曇り閾値(L1)よりも低い所定の第2曇り閾値(L2)まで下がった場合、再び内気循環および通常の空調制御における吹出モードに戻すことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記空調制御手段(27)は、前記一部外気導入を所定時間行った後、再び内気導入および通常の空調制御における吹出モードに戻すことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記湿度検出手段(25)は、相対湿度検出手段、空気温度検出手段、およびガラス温度検出手段を備え、これらの検出結果から前記表面相対湿度(RHw)を算出することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記曇り検出手段(26)は、発光素子と受光素子とを備え、ガラス表面での光学的な反射によって前記曇り程度を算出することを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記湿度検出手段(25)、もしくは前記曇り検出手段(26)を、車両後方の窓ガラスに配設したことを特徴とする請求項2、3、7、8のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項10】
前記空調制御手段(27)は前記防曇ガラス再生制御として、前記車両の走行が終了して車両走行用のエンジンがOFFされた後、外気導入にて前記デフロスタ吹出口(15)からの吹き出しを所定時間行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項11】
前記空調制御手段(27)は前記防曇ガラス再生制御として、前記車両が停車状態であり、且つ車室内に乗員がいない場合、外気導入にて前記デフロスタ吹出口(15)からの吹き出しを所定時間行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項12】
前記空調制御手段(27)は、前記防曇ガラス再生制御中に前記車室内で乗員が検出された場合、通常の空調制御における吸込モードおよび吹出モードに戻すことを特徴とする請求項11に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−298323(P2009−298323A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155857(P2008−155857)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】