説明

車両用表示装置

【課題】従来にはない新規なユーザインターフェースによって、運転者及び同乗者のそれぞれに好適な情報表示を行うとともに、運転者及び同乗者のそれぞれにとって操作性のよい車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両用コンテンツ再生装置1は、運転手による操作指示Aを検出した場合には、操作指示Aに対応した操作情報を第1表示部21に表示するとともに、第1表示部21に表示された操作情報に運転手が触れることによって、触れ方に対応した操作指示Bを検出し、検出した操作指示Bに対応した操作情報を第1表示部21に第1の表示態様で表示し、同乗者による操作指示Aを検出した場合には、操作指示Aに対応した操作情報を第2表示部22に表示するとともに、第2表示部22に表示された操作情報に同乗者が触れることによって、触れ方に対応した操作指示Bを検出し、検出した操作指示Bに対応した操作情報を第2表示部22に第2の表示態様で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設置され、搭乗者に対して様々なコンテンツを表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載された表示装置(例えば、LCDなど)は、搭乗者に対して各種コンテンツ(ナビゲーション画像、TV画像、AV操作情報)を表示することを可能としている。
【0003】
このような車載表示装置の表示技術としては、例えば、同じ画面を右方向から見た場合と左方向から見た場合でそれぞれ異なる画像を表示できるデュアル表示ディスプレイを用いて、運転手と助手席の同乗者にそれぞれ異なるコンテンツ画像を表示する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−47534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のデュアル表示ディスプレイを使った表示技術は、例えば、運転者にはナビゲーション画像を見せる一方、助手席の同乗者にはTV画面などの動画コンテンツを見せるような使い方が可能となるため、運転者及び同乗者それぞれが所望のコンテンツを見ることができ、便利である。
【0006】
しかしながら、上記デュアル表示ディスプレイとは別の観点から、運転者及び同乗者の双方を満足させるような、従来にはない新規なユーザインターフェースもまた求められている。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、その課題の一例としては、従来にはない新規なユーザインターフェースによって、運転者及び同乗者のそれぞれに好適な情報表示を行うとともに、運転者及び同乗者のそれぞれにとって操作性のよい車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明の請求項1記載の車両用表示装置は、所定のコンテンツを再生するための操作情報を表示する表示手段と、前記表示手段の表示面上に配置され、搭乗者が触れることにより操作指示の内容を検出する操作指示検出手段と、いずれの搭乗者が前記表示面に触れたかを検出する操作者検出手段と、前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段の検出に基づいて、前記表示手段に表示する操作情報の表示領域及び表示態様を制御する表示制御手段と、を備えた車両用表示装置であって、前記表示手段は、前記搭乗者の第1操作者に対して情報表示する第1表示領域と、前記搭乗者の第2操作者に対して情報表示する第2表示領域と、を備え、前記表示制御手段は、前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第1操作者による第1の操作指示を検出した場合には、前記第1表示領域に前記第1の操作指示に対応した操作情報を初期表示するとともに、前記第1操作者が初期表示された操作情報に触れることにより、前記操作指示検出手段が検出した第2の操作指示に対応した操作情報を、前記第1表示領域に第1の表示態様で表示するように制御する第1表示制御手段と、前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第2操作者による前記第1の操作指示を検出した場合には、前記第2表示領域に前記第1の操作指示に対応した操作情報を初期表示するとともに、前記第2操作者が初期表示された操作情報に触れることにより、前記操作指示検出手段が検出した前記第2の操作指示に対応した操作情報を、前記第2表示領域に第2の表示態様で表示するように制御する第2表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置1の概略構成図である。車両用コンテンツ再生装置1は、種々のコンテンツを再生可能な車載装置であり、概略、表示部2、操作位置検出部3、操作方向検出部4、コンテンツ再生部5、スピーカ6、及び制御部7を備えている。なお、車両用コンテンツ再生装置1は、具体的には、ナビゲーション装置、テレビ受信機、DVDプレーヤ、オーディオ再生装置(CDプレーヤ、HDDプレーヤ)としての機能を備えている。
【0011】
表示部2は、具体的には、カラー液晶表示装置(LCD)、EL(electro-luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイから構成される出力インターフェースであり、ナビゲーション画像、テレビ画像、DVD画像、AV操作情報など各種情報を表示するようになっている。本実施の形態では、図2に示すように、インパネS1及びセンターコンソールS2の領域すべてが表示部2となっている。以下、インパネS1をインパネ表示部S1、センターコンソールS2をコンソール表示部S2とも称する。なお、図2は、車内空間の配置レイアウトを示す図である。
【0012】
インパネ表示部S1は、さらに詳しくは、運転手D1と同乗者D2の中間位置に配置された中央表示部S11、中央表示部S11の右側(運転手D1側)に隣接する右側表示部S12、中央表示部S11の左側(同乗者D2側)に隣接する左側表示部S13を含んで構成される。本実施の形態では、中央表示部S11及び右表示部S12を、運転手D1に対する情報表示領域として設定しており、第1表示部21と称する。また、中央表示部S11、左表示部S13及びコンソール表示部S2を、同乗者D2に対する情報表示領域として設定しており、第2表示部22と称する。すなわち、本実施の形態では、中央表示部S11を搭乗者に対する共通表示領域として設定するとともに、同乗者D2に対する第2表示部22の表示領域を、運転手D1に対する第1表示部21の表示領域よりも広く設定している。
【0013】
操作位置検出部3は、具体的には、表示部2の画像表示面上に配置されたタッチパネルから構成され、表示部2に表示された操作情報(コンテンツ画像、操作ボタンやアイコン等)に触れることで情報入力が可能な入力インターフェースである。すなわち、操作位置検出部3は、運転手D1または同乗者D2が触れた画像表示面上の操作位置を検出し、検出した位置情報を後述する制御部7に出力するようになっている。
【0014】
操作方向検出部4は、具体的には、光学式センサで構成され、表示部2に表示された画像に触れて情報入力した操作者の操作入力方向、すなわち、左方向から手が伸びて画像表示面に触れたか、右方向から手が伸びて画像表示面に触れたかを検出するようになっている。詳しくは、中央表示部S11の近傍に設置された光学式センサから出射された光の遮光状況を検出し、検出した遮光状況を方向情報として後述する制御部7に出力するようになっている。
【0015】
コンテンツ再生部5は、具体的には、ナビゲーション装置、テレビ受信機、DVDプレーヤ、オーディオ再生装置(CDプレーヤ、HDDプレーヤ)等から構成され、各種コンテンツを再生するようになっている。
【0016】
スピーカ6は、コンテンツ再生部5にて再生されたコンテンツの音声を出力するようになっている。なお、コンテンツ再生部5にて再生されたコンテンツの画像情報は、表示部2を介して表示出力されるようになっている。
【0017】
制御部7は、具体的には、CPU、ROM、RAMなどから構成され、車両用コンテンツ再生装置1全体の制御を行っている。詳しくは、制御部7は、操作者判断部71、操作内容判断部72、コンテンツ再生制御部73、表示制御部74を具備する構成である。
【0018】
操作者判断部71は、操作方向検出部4から出力された方向情報に基づいて、操作指示した操作者が運転手D1であるか、同乗者D2であるかを判断するようになっている。例えば、方向情報が右方向からの操作入力を示すときは、運転手D1による操作指示であると判断し、方向情報が左方向からの操作入力を示すときは、同乗者D2による操作指示であると判断する。
【0019】
操作内容判断部72は、操作位置検出部3から出力される位置情報に基づいて、操作者が操作指示した内容を判断するようになっている。例えば、操作者が画像表示面上に表示された曲の一覧リストの中から、Aという曲名のタイトル表示に触れた場合には、触れた位置からAという曲の再生が指示されたと判断する。なお、本実施の形態においては、画像表示面に単に触れるという動作だけでなく、時系列の位置情報に基づいて、操作者の継続的な動作、例えば、指を画像表示面上にすべらす動作や画像表示面をたたく動作などを判断することができるようになっている。
【0020】
コンテンツ再生制御部73は、操作内容判断部72により判断された操作内容に基づいて、コンテンツ再生部5を制御する。例えば、操作内容がナビゲーション表示指示の場合には、コンテンツ再生部5が所望のナビゲーション画像を生成して、表示部2に出力するように制御する。
【0021】
表示制御部73は、表示部2に対する表示制御を行う。詳しくは、表示制御部73は、操作者判断部71が判断した操作者に基づいて、第1表示部21または第2表示部22のいずれの表示領域に操作情報(コンテンツ画像、操作ボタンやアイコン等)を表示するかを制御するとともに、当該操作者に基づいて、コンテンツ再生部5が表示部2に表示出力する操作情報(コンテンツ画像、操作ボタンやアイコン等)の表示態様を制御するようになっている。
【0022】
ここで、図3〜図6を用いて、表示制御部73の機能を具体的に説明する。図3〜図6は、運転者D1または同乗者D2がオーディオ操作をするときの表示部2の様子を示す図である。
【0023】
図3は、運転者D1が「アルバムの検索」を行っているときの表示部2の様子を示している。本実施の形態においては、音楽アルバムのジャケット画像が、指の動きに合わせて、順次移動し、中央表示部S11上に表示されるようになっている。すなわち、中央表示部S11上には3枚のジャケット画像が表示されるとともに(3枚のうち中央のジャケット画像が一番大きく表示される)、ジャケット画像に触れている指を右上から左下の方向にすべらすと、一番奥に表示されていたジャケット画像が中央に移動し、中央に表示されていたジャケット画像が一番手前に移動し、一番手前に表示されていたジャケット画像が画像表示面から消え、新たなジャケット画像が一番奥に表示されて、ジャケット画像が奥から手前に向かって移動するような表示が行われる。なお、ジャケット画像に触れている指を反対方向、つまり、左下から右上方向にすべらすと、ジャケット画像は反対方向、つまり、手前から奥に向かって移動するような表示が行われる。なお、本実施の形態では、ジャケット画像に触れたまま指をすべらせる操作(ジャケット画像をつかんで移動する操作)をアルバム検索操作という。
【0024】
このように、本実施の形態において、運転者D1が「アルバムの検索」を行う場合には、第1表示部21の中央表示部S11に音楽アルバムのジャケット画像を表示するとともに、ジャケット画像に触れている運転者D1の指のアルバム検索操作に合わせて、ジャケット画像を移動表示させるので、運転者D1は、ジャケットをパラパラめくるような感覚で音楽アルバムを探すことができる。なお、運転手D1のアルバム検索操作による表示部2の表示態様を第1表示態様という。すなわち、表示部21の中央表示部S11にジャケット画像を表示するとともに、運転手D1の指の動きに合わせて、ジャケット画像がめくれるように移動表示させる態様を第1表示態様という。
【0025】
図4は、運転者D1が上述した「アルバムの検索」を経て、「アルバムの選択」を行った後に「曲の選択」を行っているときの表示部2の様子を示している。本実施の形態においては、「アルバムの選択」が行われると、選択された音楽アルバムのジャケット画像が中央表示部S11上に表示されるとともに、右側表示部S12上には、選択された音楽アルバムに含まれる曲名が一覧表示されるようになっている。ここで、「アルバムの選択」は、上述した「アルバムの検索」において、指で該当するジャケット画像をたたく(ジャケット画像から指が離れた後、再度、同一ジャケット画像に触れる)ことにより、実行される。なお、本実施の形態では、指でジャケット画像をたたく操作をアルバム選択操作という。
【0026】
このように、本実施の形態において、運転者D1が「アルバムの選択」を行うと、第1表示部21の中央表示部S11に選択されたアルバムのジャケット画像を表示するとともに、第1表示部21の右側表示部S12に選択されたアルバムに含まれる曲名を一覧表示するので、運転者D1は、再生したい曲のタイトル表示に触れることにより、所望の音楽を再生することができる。
【0027】
図5は、同乗者D2が「アルバムの検索」を行っているときの表示部2の様子を示している。本実施の形態においては、音楽アルバムのジャケット画像が、指の動きに合わせて、順次、流れるように中央表示部S11及びコンソール表示部S2上に表示されるようになっている。すなわち、中央表示部S11及びコンソール表示部S2上には画像表示面全体に亘って複数枚(4枚以上)のジャケット画像が表示されるとともに、ジャケット画像に触れている指を前方から後方に向けてすべらすと、中央表示部S11に表示されていたジャケット画像は中央表示部S11からコンソール表示部S2に移動し、コンソール表示部S2に表示されていたジャケット画像は前方から後方に移動して、ジャケット画像が上から下、及び前方から後方に連続的に流れるような表示が行われる。なお、ジャケット画像に触れている指を反対方向、つまり、後方から前方に向けてすべらすと、ジャケット画像は反対方向、つまり、後方から前方、及び下から上に向かって移動するような表示が行われる。
【0028】
このように、本実施の形態において、同乗者D2が「アルバムの検索」を行う場合には、第2表示部22の中央表示部S11及びコンソール表示部S2にアルバムのジャケット画像を表示するとともに、ジャケット画像に触れている同乗者D2の指のアルバム検索操作に合わせて、ジャケット画像を移動表示させるので、同乗者D2は、運転者D1よりも広い表示領域でジャケットをパラパラめくるような感覚で音楽アルバムを探すことができる。すなわち、同乗者D2が「アルバムの検索」を行う場合には、運転者D1よりも多くの音楽アルバムのジャケット画像が表示されるので、多くの選択肢の中から所望の音楽アルバムを探すことができる。なお、同乗者D2のアルバム検索操作による表示部2の表示態様を第2表示態様という。すなわち、表示部22の中央表示部S11及びコンソール表示部S2にジャケット画像を表示するとともに、同乗者D2のジャケット画像に触れている指の動きに合わせて、ジャケット画像が流れるように移動して表示する態様を第2表示態様という。
【0029】
図6は、同乗者D1が上述した「アルバムの検索」を経て、「アルバムの選択」を行った後に「曲の選択」を行っているときの様子を示している。本実施の形態においては、「アルバムの選択」が行われると、選択された音楽アルバムのジャケット画像が中央表示部S11上に表示されるとともに、左側表示部S13上には、選択された音楽アルバムに含まれる曲名が一覧表示されるようになっている
このように、本実施の形態において、同乗者D2が「アルバムの選択」を行うと、第2表示部22の中央表示部S11に選択された音楽アルバムのジャケット画像を表示するとともに、第2表示部22の左側表示部S13に選択されたアルバムに含まれる曲名を一覧表示するので、同乗者D2は、再生したい曲のタイトル表示に触れることにより、所望の音楽を再生することができる。
【0030】
以上から、本実施の形態の表示制御部73は、同一内容の操作情報(ジャケット画像、アイコン画像)であっても、操作者(運転手D1、同乗者D2)に応じて、表示領域(第1表示部21、第2表示部22)、表示態様(第1表示態様、第2表示態様)、及び操作範囲(第1表示部21、第2表示部22)を異ならせて、表示部2に表示させるように制御するので、操作者に合わせた最適な表示を行うことができる。
【0031】
また、本実施の形態の操作方法は、表示部2に表示された操作情報(ジャケット画像、アイコン画像)に触れる、すべらす、たたくという簡単かつ直観的にわかりやすい操作なので、運転手D1及び同乗者D2のいずれにとっても操作性はよいものである。
【0032】
なお、図3〜図6に示した「アルバムの検索」、「アルバムの選択」、及び「曲の選択」処理は、所望の音楽を再生するための検索処理であったが、これとは別に、プレイリスト作成(所望の音楽をプレイリストに登録する)のための検索処理として用いてもよい。
【0033】
次に、本実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置1の情報表示処理における動作について説明する。すなわち、車両用コンテンツ再生装置1の機能のうち、表示部2に操作情報を表示する動作を中心に説明する。まず、図7を用いて、本実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置1の情報表示処理(1人で操作する場合)における動作について説明する。ここで、図7は、運転者D1または同乗者D2のいずれか一方が操作したときの車両用コンテンツ再生装置1の情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0034】
車両用コンテンツ再生装置1は、表示部2の画像表示面に触れた操作者の操作指示を検出し(ステップS10)、次いで、画像表示面に触れた操作者を検出する(ステップS20)。詳しくは、上述したように、操作位置検出部3が検出した位置情報に基づいて、操作内容判断部72が操作指示の内容を検出し、また、操作入力方向検出部4が検出した方向情報に基づいて、操作者判断部71が操作者を検出する。例えば、表示部2の画像表示面にオーディオ操作のメニュー表示画像が表示されている状態で、運転者D1が「アルバム」のアイコンに触れた場合には、触れたアイコン画像の位置、及び画像表示面に触れたときの光学式センサの遮断状況から、車両用コンテンツ再生装置1は、運転者D1が「アルバムの検索」を操作指示したことを検出する。
【0035】
次いで、車両用コンテンツ再生装置1は、検出した操作指示の内容に従って、処理を実行する(ステップS30)。例えば、上述した運転者D1の「アルバムの検索」の場合には、HDDに記憶されている音楽のアルバムを検索する処理を実行する。
【0036】
次いで、車両用コンテンツ再生装置1は、検出した操作者に対応した表示部2、すなわち、運転手D1が操作者である場合には表示部21、同乗者D2が操作者である場合には表示部22に、実行した処理に対応した操作情報を表示する(ステップS40)。例えば、上述した運転者D1の「アルバムの検索」の場合には、表示部21に初期表示される音楽アルバムのジャケット画像を表示し(図3参照)、同乗者D2の「アルバムの検索」の場合には、表示部22に初期表示される音楽アルバムのジャケット画像を表示する(図5参照)。
【0037】
次いで、車両用コンテンツ再生装置1は、表示された操作情報に触れた操作者の操作指示の内容を検出し(ステップS50)、検出した操作指示の内容に従って、処理を実行する(ステップS60)。例えば、上述した運転者D1の「アルバムの検索」の場合には、表示部21に初期表示されたアルバムのジャケット画像に触れて画像表示面上をすべらすことにより、「アルバムの検索」の処理を実行(続行)する。
【0038】
次いで、車両用コンテンツ再生装置1は、ステップS60で実行した処理の操作情報を表示部2に表示する(ステップS70)。例えば、上述した運転者D1の「アルバムの検索」の場合には、画像表示面に触れている指の動きに合わせて、表示部S11に表示されているジャケット画像を移動させる表示を行う(図3参照)。
【0039】
次に、図8を用いて、本実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置1の情報表示処理(2人で操作する場合)における動作について説明する。ここで、図8は、運転者D1が「アルバムの検索」の操作中に同乗者D2が割り込んで「アルバムの検索」の操作したときの車両用コンテンツ再生装置1の情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
車両用コンテンツ再生装置1は、運転手D1による「アルバムの検索」の操作指示を検出すると(ステップS110)、「アルバムの検索」処理を実行し(ステップS120)、第1表示部21の中央表示部S11に音楽アルバムのジャケット画像を表示しつつ、運転手D1のジャケット画像に触れている指のすべらす動きに合わせて、ジャケット画像を移動させる表示を行う(ステップS130:図3参照)。すなわち、車両用コンテンツ再生装置1は、第1表示部21に第1表示態様で操作情報を表示する。
【0041】
次いで、運転手D1が「アルバムの検索」を行っている最中に、車両用コンテンツ再生装置1が、同乗者D2による割込み操作を検出する(ステップS120)。図9に運転者D1が「アルバムの検索」の操作をしている最中に同乗者D2が割込み操作をしたときの表示部2の様子を示す。具体的には、図9に示すように、同乗者D2が左側表示部S13に表示されたメニューの「アルバム」アイコンに触れることにより、車両用コンテンツ再生装置1は割込み操作を検出する。
【0042】
次いで、車両用コンテンツ再生装置1は、「アルバムの検索」処理を続行し(ステップS150)、第2表示部22の中央表示部S11及びコンソール表示部S2にアルバムのジャケット画像を表示しつつ、同乗者D2のジャケット画像に触れている指のすべらす動きに合わせて、ジャケット画像を移動させる表示を行う(ステップS160:図5参照)。すなわち、車両用コンテンツ再生装置1は、第2表示部22に第2表示態様で操作情報を表示する。このように、運転者D1が「アルバムの検索」の操作をしている最中に同乗者D2が割込み操作をした場合には、車両用コンテンツ再生装置1は、引き続き「アルバムの検索」を行うが、操作権限が運転手D1から同乗者D2に移ったと判断して、表示部2の表示領域及び表示態様を変更する。
【0043】
次いで、車両用コンテンツ再生装置1は、同乗者D2による「アルバムの選択」の操作指示を検出すると(ステップS170:図5参照)、「アルバムの選択」処理を実行し(ステップS180)、第2表示部22の右側表示部S13に、選択された音楽アルバムに含まれる曲名が一覧表示された曲選択画像を表示する(ステップS190:図6参照))。
【0044】
このように、図8及び図9に示した情報表示処理では、運転手D1と同乗者D2が画像表示面を介したコミュニケーションをとりながら、アルバム検索操作を行うことができる。なお、図8においては、運転手D1がアルバム検索操作をしている最中に、同乗者D2が割込み操作をした場合について説明したが、同乗者D2がアルバム検索操作をしている最中に運転手D1が割り込み操作をした場合は、第2表示部22に第2表示態様で表示されたアルバム検索画像が、割込み操作により、第1表示部21に第1表示態様で表示されるようになる。
【0045】
なお、図8及び図9に示した情報表示処理では、「アルバム」アイコンに触れることにより、割込み操作を検出したが、割込み操作の検出は、この方法に限定されない。例えば、表示部2に表示された他の操作情報に触れることにより、割込み操作を検出してもよい。
【0046】
また、図8に示した情報表示処理では、運転手D1と同乗者D2のコミュニケーションを図るため、割込み操作の検出により、アルバム選択処理を引き継ぐようにしたが、アルバム選択処理を引き継がないようにしてもよい。すなわち、割込み操作があった場合には、所定の操作情報(例えば、所定のメニューなど。予め設定しておく)を表示するようにしてもよい。
【0047】
また、図8は、搭乗者双方がともにアルバム検索操作を行う場合の情報表示処理を示したが、これとは別の連携方法によってアルバム検索を行うようにしてもよい。例えば、同乗者D2が「アルバムの検索」及び「アルバムの選択」を行って、選択した音楽アルバムを運転手D1が確認することによって、最終的に音楽アルバムを決定するようにしてもよい。この場合には、アルバム検索操作を行うのは同乗者D2、選択された音楽アルバムの是非を決定する同意または非同意の操作を行うのは運転手D1となる。 図10にこのような場合の情報表示処理の流れを示すフローチャートを示す。
【0048】
車両用コンテンツ再生装置1は、同乗者D2による「アルバムの検索」の操作指示を検出すると(ステップS210)、「アルバムの検索」処理を実行し(ステップS220)、第2表示部22の中央表示部S11及びコンソール表示部S2にアルバムのジャケット画像を表示しつつ、同乗者D2のジャケット画像に触れている指のすべらす動きに合わせて、ジャケット画像を移動させる表示を行う(ステップS230)。すなわち、車両用コンテンツ再生装置1は、第2表示部22に第2表示態様で操作情報を表示する。
【0049】
次いで、車両用コンテンツ再生装置1は、同乗者D2による「アルバムの選択」の操作指示を検出すると(ステップS240)、「アルバムの選択」処理を実行し(ステップS250)、選択したアルバム画像を第1表示部21(第2表示部22)の中央表示部S11に表示する(ステップS250)。
【0050】
次いで、運転手D1は、中央表示部S11に表示されたアルバム画像を見て、このアルバムでよいときは同意操作、このアルバムでよくないときは非同意操作を行うので、車両用コンテンツ再生装置1は、この同意操作または非同意操作を検出する(ステップS270)。ここで、同意操作とは、例えば、画像表示面に表示されたアルバム画像に触れて、左方向にすべらす動作、非同意操作とは、例えば、画像表示面に表示されたアルバム画像に触れて、右方向にすべらす動作である。
【0051】
次いで、車両用コンテンツ再生装置1は、検出した操作指示が同意操作であるときは(ステップS280:YES)、第1表示部21の右表示部S12に、選択された音楽アルバムに含まれる曲名が一覧表示である曲選択画像を表示し(ステップS290)、検出した操作指示が非同意操作であるときは(ステップS280:NO)、第1表示部21の中央表示部S11に表示されていたアルバム画像を消去する(ステップS300)。
【0052】
従って、図10に示すような情報表示処理においても、運転手D1と同乗者D2はコミュニケーションをとりながら、アルバム検索操作及びアルバム選択操作を行うことができる。
【0053】
以上、述べたように本実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置1によれば、表示部2に従来にはない新規なユーザインターフェースを用いることによって、運転者D1及び同乗者D2のそれぞれに好適な情報表示を行うとともに、運転者D1及び同乗者D2のそれぞれにとって操作性のよい表示装置を提供することができる。
【0054】
また、運転手D1と同乗者D2が同一の操作情報を連携して、表示したり操作したりすることができるので、運転手D1と同乗者D2のコミュニケーションを図ることができる。
【0055】
なお、上記実施の形態では、表示部2に表示された操作情報(ジャケット画像、アイコン画像)に触れる、すべらす、たたくといった手の操作にそれぞれ対応させて、各処理(アルバム検索処理、アルバム選択処理など)を割り当てていたが、手の操作は上述した具体例に限定されるものではない。例えば2回たたく、円を書く、所定の時間触れるなどの操作に対応させて、各処理を割り当てるようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施の形態では、音楽の検索操作を例に挙げて、情報表示処理を説明したが、車内で再生可能な他のコンテンツ(例えば、DVDなどの動画コンテンツ)の検索操作に適用してもよいのは勿論である。
【0057】
また、運転手D1と同乗者D2の表示部2に対する操作が同時である場合、すなわち、操作者判断部71及び操作内容判断部72により、運転手D1と同乗者D2の操作が同時である判断した場合には、予め定めたルールに従って、運転手D1または同乗者D2のいずれの操作であるかを決定するようにしてもよい。例えば、前回の操作者を記憶している場合には、前回の操作者の操作としてもよいし、車両が停止状態であれば、運転手D1の操作としてもよいし、どちらの搭乗者を優先させるかという優先設定が設けられている場合には、優先設定がされている搭乗者の操作としてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、2人の搭乗者による操作及び表示について説明したが、3人以上の搭乗者の場合に適用してもよい。例えば後部座席用の後部表示部を新たに設け、表示部2に後部表示部を加えて、上述した情報表示処理を行うようにしてもよい。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置が搭載される車両の車内レイアウト図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置において、運転者が「アルバムの検索」を行っているときの表示部の表示態様の一例である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置において、運転者が「曲の選択」を行っているときの表示部の表示態様の一例である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置において、同乗者が「アルバムの検索」を行っているときの表示部の表示態様の一例である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置において、同乗者が「曲の選択」を行っているときの表示部の表示態様の一例である。
【図7】本実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置の情報表示処理(1人で操作する場合)の流れを示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置の情報表示処理(2人で操作する場合)の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置において、運転手が「アルバムの検索」を行っているときに同乗者が割り込んだときの表示部の表示態様の一例である。
【図10】本実施の形態に係る車両用コンテンツ再生装置の情報表示処理(2人で操作する場合)の変形例の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 車両用コンテンツ再生装置
2 表示部
3 操作位置検出部
4 操作方向検出部
5 コンテンツ再生部
6 スピーカ
7 制御部
21 第1表示部
22 第2表示部
71 操作者判断部
72 操作内容判断部
73 コンテンツ再生制御部
74 表示制御部
S1 インパネ表示部
S2 コンソール表示部
S11 中央表示部
S12 右側表示部
S13 左側表示部
D1 運転手
D2 同乗者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコンテンツを再生するための操作情報を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示面上に配置され、搭乗者が触れることにより操作指示の内容を検出する操作指示検出手段と、
いずれの搭乗者が前記表示面に触れたかを検出する操作者検出手段と、
前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段の検出に基づいて、前記表示手段に表示する操作情報の表示領域及び表示態様を制御する表示制御手段と、
を備えた車両用表示装置であって、
前記表示手段は、
前記搭乗者の第1操作者に対して情報表示する第1表示領域と、
前記搭乗者の第2操作者に対して情報表示する第2表示領域と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第1操作者による第1の操作指示を検出した場合には、
前記第1表示領域に前記第1の操作指示に対応した操作情報を初期表示するとともに、前記第1操作者が初期表示された操作情報に触れることにより、前記操作指示検出手段が検出した第2の操作指示に対応した操作情報を、前記第1表示領域に第1の表示態様で表示するように制御する第1表示制御手段と、
前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第2操作者による前記第1の操作指示を検出した場合には、
前記第2表示領域に前記第1の操作指示に対応した操作情報を初期表示するとともに、前記第2操作者が初期表示された操作情報に触れることにより、前記操作指示検出手段が検出した前記第2の操作指示に対応した操作情報を、前記第2表示領域に第2の表示態様で表示するように制御する第2表示制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記第1表示制御手段は、
前記表示手段が前記第2表示領域に前記第2の表示態様で操作情報を表示しているときに、前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第1操作者による割込み指示を検出した場合には、前記第2の操作指示を引き継いで、前記第2の操作指示に対応した操作情報を、前記第1表示領域に前記第1の表示態様で表示し、
前記第2表示制御手段は、
前記表示手段が前記第1表示領域に前記第1の表示態様で操作情報を表示しているときに、前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第2操作者による割込み指示を検出した場合には、前記第2の操作指示を引き継いで、前記第2の操作指示に対応した操作情報を、前記第2表示領域に前記第2の表示態様で表示することを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記第1表示制御手段は、
前記表示手段が前記第2表示領域に前記第2の表示態様で操作情報を表示しているときに、前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第1操作者による割込み指示を検出した場合には、予め定められた操作情報を前記第1表示領域に表示し、
前記第2表示制御手段は、
前記表示手段が前記第1表示領域に前記第1の表示態様で操作情報を表示しているときに、前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第2操作者による割込み指示を検出した場合には、予め定められた操作情報を前記第2表示領域に表示することを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記第1表示制御手段は、
前記表示手段が前記第2表示領域に前記第2の表示態様で操作情報を表示しているときに、前記操作指示検出手段及び前記操作者検出手段が、前記第1操作者による前記第2の操作指示への同意指示を検出した場合には、前記第2の操作指示を引き継いで、前記第2の操作指示に対応した情報を、前記第1表示領域に前記第1の表示態様で表示し、前記第1操作者による前記第2の操作指示への不同意指示を検出した場合には、前記第2の操作指示を引き継がないことを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記操作指示検出手段は、
前記搭乗者の前記操作情報に対する触れ方に応じて、異なる操作指示を検出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−286175(P2009−286175A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138159(P2008−138159)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(596125930)パイオニアデザイン株式会社 (21)
【Fターム(参考)】