説明

車両用表示装置

【課題】見映えの優れる車両用表示装置の提供。
【解決手段】
押圧部83aの押圧により表示状態を切りかえるスイッチ83が実装される回路基板80と、回路基板80が組み付けられるケース体23と、スイッチ83よりも表示方向前側でケース体23に組み付けられ、表示方向に貫通する開口部31を有するフロントパネル30と、開口部31の周縁に設けられるストッパ50と、開口部31を通じて表示方向に往復変位自在にケース体23内に挿入され、係止位置においてストッパ50により表示方向前側から係止され、係止位置においてフロントパネル30の表示方向前面33に沿う操作面77と、係止位置において押圧部83aから表示方向前側に離間し、表示方向後側の押圧力が操作面77に印加されることにより押圧部83aに当接して押圧する当接面71と、を有する操作部材70と、操作部材70を表示方向前側に付勢する弾性体60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示状態を切りかえるスイッチを備える車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース体に組み付けられる回路基板に押圧部の押圧により表示状態を切りかえるスイッチを実装し、操作部材への押圧力の印加により当該押圧部を押圧するようにした装置が知られている。(例えば、特許文献1,2)
このような装置の一種である特許文献1の車両用表示装置では、スイッチよりも表示方向前側にずれてケース体に組み付けられる係止カバーの開口部を通じて、先細り形状のノブを表示方向に往復変位自在にケース体内に挿入し、さらに当該ノブを弾性体により表示方向前側に付勢している。これにより、表示方向後側の押圧力がノブに印加されない場合には、弾性体により表示方向前側に付勢されるノブが、係止位置においてケース体のストッパにより係止されて、フロントパネルの開口部から突出する状態を維持することになる。
【特許文献1】特開平11−53505号公報
【特許文献2】特開2005−78989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、特許文献1のように、車両用表示装置のフロントパネルから表示方向前側に突出する先細り形状のノブは、当該装置の見映えを悪化させる問題がある。そこで本発明者らは、先細り形状のノブに替えて、特許文献2に開示されるような、係止位置において表示方向前面に沿う操作面を有する操作部材を使用することについて鋭意研究を行ってきた。
【0004】
しかし、研究の結果、特許文献1の構成で、係止位置において表示方向前面に沿う操作面を有する操作部材をケース体に組み付けると、フロントパネルの表示方向前面に対する操作部材の係止位置における操作面の位置が製品毎にばらつき、見映えの向上が達成できないことが判明した。その理由を以下に説明する。
【0005】
フロントパネルの表示方向前面に対する操作部材の操作面のばらつきは、操作部材、操作部材を係止するケース体、およびケース体に組み付けられるフロントパネルの各々の加工公差や組み付け公差が集積されることに起因している。特許文献1の構成では、操作部材とフロントパネルとの間に複数の部材を介することにより集積公差が累積し、フロントパネルの表示方向前面に対する操作部材の操作面の位置を一定にすることができないのである。これにより、車両用表示装置の見映えの向上を達成することができない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、見映えの優れる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、押圧部の押圧により表示状態を切りかえるスイッチと、スイッチが実装される回路基板と、回路基板が組み付けられるケース体と、スイッチよりも表示方向前側にずれてケース体に組み付けられ、表示方向に貫通する開口部を有するフロントパネルと、開口部の周縁に設けられるストッパと、開口部を通じて表示方向に往復変位自在にケース体内に挿入され、係止位置においてストッパにより表示方向前側から係止される操作部材であって、係止位置においてフロントパネルの表示方向前面に沿う操作面と、係止位置において押圧部から表示方向前側に離間し、表示方向後側の押圧力が操作面に印加されることにより押圧部に当接して押圧部を押圧する当接面と、を有する操作部材と、操作部材を表示方向前側に付勢する弾性体と、を備える。
【0008】
この発明によれば、フロントパネルの開口部を通じて表示方向に往復変位自在にケース体内に挿入される操作部材は、表示方向後側の押圧力が操作部材の操作面に印加されない場合、弾性体により表示方向前側に付勢されることで、開口部周縁のストッパにより係止位置において係止される。この操作部材の係止位置において、フロントパネルの表示方向前面に対する操作部材の操作面の位置を製品毎にばらつかせる要因は、操作部材およびフロントパネルの開口部周縁に設けられるストッパの加工公差および組み付け公差を集積した集積公差となる。故に、集積公差の累積が抑制されるので、フロントパネルの表示方向前面に対して操作部材の操作面を一定に位置することができ、見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0009】
また、スイッチの押圧部と操作部材の当接面との間には集積公差が累積する。この集積公差は具体的には、押圧部を有するスイッチ、スイッチを実装する回路基板、回路基板が組み付けられるケース体、ケース体に組み付けられるフロントパネル、フロントパネルに係止される操作部材の各々の加工公差および組み付け公差からなるものである。しかし、操作部材の当接面が係止位置において押圧部から表示方向前側に離間することから、表示方向後側の押圧力が操作部材の操作面に印加されない状態では、操作部材の当接面がスイッチの押圧部を押圧しない。また、表示方向後側の押圧力が操作部材の操作面に印加された場合には、操作部材はフロントパネルに対して表示方向後側に変位し、当接面がスイッチの押圧部を押圧する。故に、多部品による集積公差が累積する場合でも、操作部材の操作面への押圧力の印加により、確実に表示状態を切りかえることができるのである。
【0010】
請求項2に記載の発明では、ストッパは、開口部の周縁に組み付けられるストッパ部材により形成される。この発明によれば、フロントパネルの開口部周縁に組み付けられてストッパを形成するストッパ部材は、フロントパネルに対して小型であり加工精度の向上による加工公差の低減が容易である。故に、フロントパネルの表示方向前面と操作部材の操作面との間に集積する集積公差が低減されるので、フロントパネルの表示方向前面に対して操作部材の操作面を高精度で一定に位置させることができ、見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0011】
請求項3に記載の発明では、弾性体は、操作部材を表示方向後側から表示方向前側に付勢する。この発明によれば、操作部材を表示方向後側から表示方向前側に付勢する弾性体は、操作部材により表示方向前側から遮蔽され、視認され難い。故に、フロントパネルの表示方向前面に対して一定に位置する操作部材の操作面が視認され易くなり、さらに見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0012】
請求項4に記載の発明では、操作部材は、表示方向と交差する方向に突出する凸部を有し、凸部の表示方向前面は係止位置においてストッパにより係止され、凸部の表示方向後面は弾性体により表示方向前側に付勢される。この発明によれば、操作部材から表示方向と交差する方向に突出する凸部の表示方向前面がストッパにより係止される配置であることから、操作部材の凸部は、ストッパの表示方向後側に位置する。また、弾性体が凸部の表示方向後面を付勢する配置であることから、当該弾性体は、ストッパの表示方向後側の凸部よりもさらに表示方向後側に位置する。したがって、操作部材の凸部と弾性体とは、ストッパにより表示方向前側から遮蔽され、視認され難い。故に、フロントパネルの表示方向前面に対して一定に位置する操作部材の操作面が明確になり、さらに見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0013】
ストッパ、操作部材の凸部、および弾性体が表示方向に並んで配置される場合、これらの構成は表示方向に拡大する。すると、係止位置における操作面の位置が、フロントパネルの表示方向前面に対して離れ、フロントパネルの表示方向前面に対して一定に位置する操作部材の操作面の見映えを悪化させるおそれがある。しかし、請求項5に記載の発明では、フロントパネルにおいて表示方向後側に凹む凹部の底面に開口部が形成され、弾性体および凸部が当該凹部に収容されるので、係止位置における操作面の位置を、フロントパネルの表示方向前面に近づけることができる。故に、フロントパネルの表示方向前面に対して一定に位置する操作部材の操作面の見映えを向上することができるのである。
【0014】
請求項6に記載の発明では、当接面の面積は、押圧部の表示方向の投影面積よりも広い。この発明によれば、スイッチの押圧部と操作部材の当接面との間には、表示方向に加えて表示方向と直交する方向においても集積公差が累積する。これにより、押圧部に対する当接面の位置が表示方向と直交する方向についてもばらつきを生じ易くなる。しかし、当接面の面積を押圧部の表示方向の投影面積よりも広くすることによれば、押圧部に対して表示方向の直交方向に当接面の位置がばらついた場合においても、当接面は押圧部に当接して確実に押圧部を押圧することができる。したがって、操作部材の操作面への押圧力の印加により、さらに確実に表示状態を切りかえることができるのである。
【0015】
請求項7に記載の発明では、ケース体は、複数の部材を互いに組み付けることにより構成される。この発明によれば、ケース体が、複数の部材を互いに組み付けることにより構成されることで、ケース体における集積公差が増加するおそれがある。しかし、係止位置においては、操作部材がフロントパネルに係止され、ケース体における集積公差の影響を受けないことから、フロントパネルの表示方向前面に対して操作部材の操作面が一定に位置することができ、見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0016】
また、スイッチの押圧部と操作部材の当接面との間に累積する集積公差の要因として、ケース体における集積公差が含まれることから、ケース体が複数の部材を組み付けることにより構成されることで、押圧部と当接面との間に累積する集積公差は増加する。しかし、多部品による集積公差が生じる場合でも、押圧部から離間した当接面が、操作面への押圧力の印加により、押圧部に当接して押圧する本発明の作用発揮により、確実に表示状態を切りかえることができるのである。
【0017】
請求項8に記載の発明では、操作面は、係止位置おいてフロントパネルの表示方向前面と同一平面上に位置する。この発明によれば、操作部材がストッパに係止される係止位置において、操作部材の操作面とフロントパネルの表示方向前面とが同一平面上に位置する。故に、フロントパネルの表示方向前面に対する操作部材の操作面の僅かなばらつきであっても視認されやすく、車両用表示装置の見映えの悪化をまねき易い。故に、フロントパネルの表示方向前面に対して操作部材の操作面を一定に位置させる作用が、さらに効果的に発揮されるのである。
【0018】
請求項9に記載の発明では、回路基板は、光を発する発光素子が実装され、操作部材は、透光性材料よりなり、発光素子の発する光が入射する入射面を有し、操作面は、入射面から操作部材の内部に導入される光を放射して発光する。この発明によれば、発光素子が発する光は、操作部材の入射面より当該部材の内部に入射して、操作面から放射される。このようにして発光する操作面は、視認し易くなることによる見映えの向上を実現できる反面、フロントパネルの表示方向前面に対する当該操作面の僅かなばらつきも視認されて、見映えが損なわれるおそれがある。しかし、フロントパネルの表示方向前面に対して操作面を一定に位置させる作用により、見映えは損なわれないのである。
【0019】
請求項10に記載の発明では、発光素子は、スイッチに隣接して回路基板に実装され、入射面と当接面とが操作部材の同一面である。この発明によれば、回路基板に実装される発光素子と操作部材の入射面との間には、回路基板に実装されるスイッチの押圧部と操作部材の当接面との間と同様に集積公差が累積する。これにより、発光素子に対する操作部材の入射面の位置が表示方向および表示方向と直交する方向についてばらつきを生じ易くなる。すると、入射面から操作部材に入射する光の状態が製品毎にばらつき、操作面を一定に発光させることができない懸念がある。しかし、発光素子がスイッチに隣接し、入射面が当接面と同一面であることから、発光素子は入射面の表示方向後側に相対して位置することになる。故に、発光素子に対する入射面位置の表示方向のばらつきにかかわらず、発光素子が発する光を、入射面より操作部材の内部に入射させることができる。また、入射面と当接面とを操作部材の同一面により広い面積に形成することが可能である。故に、表示方向と直交する方向についてばらついた場合でも、発光素子は入射面の表示方向後側に相対して位置することができ、入射面は発光素子が発する光を操作部材に入射させられるのである。これらによれば、多部品による集積公差が累積する場合でも、入射面から操作部材に入射する光の状態のばらつきを抑制でき、操作面を一定に発光させることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0021】
(第一実施形態)
図1〜3は、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ100を示している。コンビネーションメータ100は、車両の車室内に設けられたインスツルメントパネル内に収容され、図1に示す正面側が運転席側に向けて配置されている。
【0022】
(基本構成)
図1は、コンビネーションメータ100の表示意匠10を示している。コンビネーションメータ100の表示意匠10は、スピードメータ13、水温計15、フューエルゲージ17、背景表示部18、マルチ表示部19、トリップ切換部21、および図示しない他の警告表示等により構成されている。
【0023】
スピードメータ13は、指針13a、文字板13b、目盛り13c等によって、コンビネーションメータ100が取得する車両の速度情報を表示する。同様に、水温計15は、指針15a、文字板15b、目盛り15c等によって、コンビネーションメータ100が取得する内燃機関の冷却水温度の異常を表示する。また同様に、フューエルゲージ17は、指針17a、文字板17b、目盛り17c等によってコンビネーションメータ100が取得する燃料タンク内の燃料残量情報を表示する。
【0024】
背景表示部18は、スピードメータ13、水温計15、フューエルゲージ17、および図示しない他の警告表示等が形成されない領域の表示である。背景表示部18は、暗色に塗装されたダイアルパネル18aによって表示される。
【0025】
マルチ表示部19は、文字板13bの裏面側に配置されるセグメント方式の液晶パネル20により表示され、文字板13bに設けられる開口部13dを通して正面側から視認可能となっている。マルチ表示部19は、予め形成された複数のセグメントに電圧を印加することで、当該セグメントの光の透過率を変化させて所望の表示意匠を形成する。マルチ表示部19は、シフトインジケータ19a、時計表示19b、トリップメータ19c等により構成されている。シフトインジケータ19aは、コンビネーションメータ100が取得する自動変速機のシフト位置情報を表示する。時計表示19bは、後述する表示制御回路11(図3参照)に内蔵されている時計回路の情報をもとに、現在時刻を表示する。トリップメータ19cは、コンビネーションメータ100が取得する車速情報に基づいて走行距離を積算するとともに記憶し、記憶した積算走行距離情報を表示する。
【0026】
トリップ切換部21は、コンビネーションメータ100の正面側に設けられている。トリップ切換部21は、トリップメータ19cの表示状態を切りかえる切りかえ操作部であり、当該切換部21の機能を示す文字意匠21aが形成されている。
【0027】
図2は、コンビネーションメータ100の機械的構成を示している。コンビネーションメータ100は、ケース体23、フロントパネル30、回路基板80、および操作部材70等を備えている。
【0028】
ケース体23は、ケース部材25、カバー部材24、および見返し部材26等の複数の部材を互いに組み付けることによりにより構成される。ケース部材25は、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成され、正面側でダイアルパネル18aおよび各文字板13b,15b,17b(図1参照)等を支持固定するとともに、裏面側で回路基板80を保持している。カバー部材24は、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成される有底容器であり、固定爪等によってケース部材25に取り付けられることにより、回路基板80を収容している。見返し部材26は、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成され、ケース部材25の表示方向前側に組み付けられている。見返し部材26の内周面は、光の反射を抑制する為の黒色の塗装と、光を乱反射させる為のシボが形成されている。
【0029】
回路基板80は、紙フェノール系またはガラスエポキシ系の硬質の基板からなる。回路基板80は、正面側に所定の銅箔材料からなる配線パターン(図示しない)が形成されている。回路基板80には、スイッチ83および発光ダイオード81等が実装されている。スイッチ83は、回路基板80に形成されている配線パターン上に設けられ、押圧部83aを有している。スイッチ83は、押圧部83aが表示方向後側に押圧されることにより、配線パターンの導通を形成する。またスイッチ83に隣接して、発光ダイオード81が実装されている。発光ダイオード81はチップタイプであり、回路基板80からの高さがスイッチ83よりも低い。
【0030】
フロントパネル30は、無色透明のアクリル樹脂等の透光性材料により形成されている。フロントパネル30は、回路基板80に実装されるスイッチ83よりも表示方向前側にずれてケース体23の見返し部材26に表示方向前側から取り付けられている。フロントパネル30は、表示方向に貫通する開口部31が設けられている。
【0031】
操作部材70は、フロントパネル30の開口部31を通じてケース体23内へ挿入され、表示方向に往復変位自在である。操作部材70は、ダイアルパネル18aに設けられる開口部18bおよびケース部材25に設けられる開口部25aからスイッチ83近傍へ延出する部分に当接面71を有している。
【0032】
図3は、コンビネーションメータ100の電気的構成を示している。コンビネーションメータ100は、表示制御回路11を中心に、スイッチ83および発光ダイオード81に加え、液晶パネル20、ムーブメント13e,15e,17e、および図示しない他の電子機器等を備えている。
【0033】
表示制御回路11はマイクロコンピュータからなり、液晶パネル20、バックライト20a、スイッチ83、発光ダイオード81、およびムーブメント13e,15e,17e等が電気接続されている。加えて表示制御回路11は、車両に搭載される車両用制御装置91と電気的に接続されている。表示制御回路11は、車両用制御装置91より受信する車両の速度、冷却水温度、燃料残量、およびシフトの位置等の情報に基づいて、ムーブメント13e,15e,17e、ならびに液晶パネル20の制御を行う。これにより、コンビネーションメータ100は表示意匠10を形成する。
【0034】
図1および図3に示すように、液晶パネル20は、表示意匠10を構成するマルチ表示部19を表示する矩形板状の表示機器である。液晶パネル20は、文字板13bに設けられる開口窓13dの裏面側に設置されている。液晶パネル20は、油状の透明な液晶組成物が一対の光の透過性を備える樹脂基板の間に封入され、樹脂基板の周縁がシールされることにより矩形板状をなしている。一対の樹脂基板の内面には、液晶に電圧を印加するためのインジウムスズ酸化物等からなる透明電極が形成されている。また、樹脂基板の両外面には、偏光フィルターが設けられる。液晶パネル20は、表示制御回路11より透明電極を介して各セグメントの液晶組成物に電圧が印加されて表示を形成する。液晶パネル20は、予め形成された複数のセグメントに電圧を印加されることで、当該セグメントの光の透過率を変化させて表示を形成するセグメント方式の表示装置である。
【0035】
液晶パネル20のバックライト20aは、チップタイプの発光ダイオードである。バックライト20aは、液晶パネル20に向けて白色の光を放射する。バックライト20aにより透過照明される液晶パネル20は、マルチ表示部19を発光表示可能な構成となる。
【0036】
スイッチ83は、押圧部83aが押圧されることにより表示状態を切りかえる。具体的には、スイッチ83の押圧部83aが一定時間(例えば、約1秒)押圧されたことを検知した表示制御回路11は、積算走行距離を初期状態に戻し、マルチ表示部19に表示されるトリップメータ19cの値をゼロに変更する。また、スイッチ83の押圧部83aが短く(例えば、約1秒未満)押圧されたことを検知した表示制御回路11は、トリップメータ19cから走行距離の積算開始時点が異なる別のトリップメータへ表示状態を切りかえる。さらに、別のトリップメータへの表示切りかえ後、スイッチ83の押圧部83aが短く(例えば、約1秒未満)押圧されたことを検知した表示制御回路11は、別のトリップメータからオドメータへ表示状態を切りかえる。
【0037】
ムーブメント13e,15e,17eは、例えばステッピングモータあるいは交差コイル式回転機等の電気アクチュエータである。ムーブメント13e,15e,17eは、外部からの電気信号に対応した角度だけ回転するシャフトを有している。ムーブメント13e,15e,17eは、各シャフトの先端が文字板13b,15b,17bより正面側に延出するよう配置され、当該先端に正面側から指針13a,15a,17aに固定されている。これにより、ムーブメント13e,15e,17eは、表示制御回路11からの電気信号に応じて指針13a,15a,17aを回転させ、情報の表示を形成する。
【0038】
(特徴部分)
以下、本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータ100の特徴部分について説明する。
【0039】
図2に示すように、トリップ切換部21は、操作部材70を中心に、スプリング60、ブッシング50、フロントパネル30、およびスイッチ83等により構成されている。
【0040】
図2および図4に示すように、操作部材70は、アクリルやポリカーボネート等の透光性材料により形成され、表示方向前側は四角柱形状を、表示方向後側は円柱形状をなしている。操作部材70は、当接面71に加え、凸部75、操作面77、入射面73、および塗装部79等を有している。
【0041】
凸部75は、操作部材70の側面から表示方向と直交する方向に突出している。凸部75は、表示方向前面75aと表示方向後面75bとを形成している。凸部75の表示方向前面75aは、図2に示す操作部材70の係止位置においてブッシング50により係止されるようになっている。凸部75の表示方向後面75bは、スプリング60により表示方向前側に付勢されている。
【0042】
操作面77は、矩形形状であって、凸部75がスプリング60により表示方向前側に付勢されてブッシング50に当接する係止位置において、フロントパネル30の表示方向前面33に略平行に沿うよう形成されている。当接面71は、スイッチ83と向かい合う位置に形成される操作部材70の表示方向後面であり、操作部材70が表示方向後側に変位することにより押圧部83aに当接して当該押圧部83aを押圧する。また、当接面71は、図2の係止位置においてスイッチ83の押圧部83aと離間するよう設けられている。当接面71が形成されている操作部材70の表示方向後面には、発光ダイオード81と向かい合う入射面73が形成されている。入射面73は、発光ダイオード81が発する光を操作部材70の内部に入射する。本実施形態では、操作部材70の同一面により入射面73と当接面71が、スイッチ83の押圧部83aの表示方向の投影面積よりも広く形成されている。塗装部79は、操作部材70の外表面の所定部分を覆うよう形成され、操作部材70の内部に導入された光の漏洩を防止する。塗装部79は、内側の白色塗装部と、外側の黒色塗装部とにより構成される。ここで、操作面77に設けられる文字意匠21aは、塗装部79のうち外面側の黒色塗装部が除去されることにより形成される。黒色塗装部の除去は、レーザ等により黒色塗装部を消失させることによりなされる。
【0043】
フロントパネル30は、表示方向前面33と、当該表示方向前面33から表示方向後側に凹む凹部35を有している。凹部35は、スプリング60および操作部材70の凸部75を収容している。凹部35の周壁部35cには、ブッシング50を係止するための係止溝35bが形成されている。また、凹部35の底面35aには、開口部31が形成されている。開口部31は、当該開口部31に挿入される操作部材70の表示方向と直交方向の断面積よりも僅かに大口に形成されている。
【0044】
スプリング60は、細い金属材料よりなる線材を同心螺旋状に形成した弾性変形可能な部材である。スプリング60は、凹部35に収容され、操作部材70の外周側且つ底面35aの表示方向前側に位置している。スプリング60は、操作部材70の凸部75の表示方向後側75bを表示方向後側から表示方向前側に付勢している。スプリング60は、操作部材70の操作面77に表示方向後側の押圧力が印加されることにより、底面35aと凸部75に挟まれて表示方向に圧縮されるようになっている。
【0045】
ブッシング50は、ABS樹脂等により枠形状に形成され、内周面55、外周面54、規制面51、位置決め面52、および固定爪53を形成している。ブッシング50は、内周面55が操作部材70に外嵌されているとともに、外周面54がフロントパネル30の凹部35の周壁部35cに内嵌されている。外周面54および内周面55は、フロントパネル30に対する操作部材70の表示方向と直交する方向の位置を定めている。ブッシング50の規制面51は、操作部材70の凸部75の表示方向前面75aと当接して係止することにより、操作部材70の表示方向前側への変位を規制する。位置決め面52は、フロントパネル30の表示方向前面33と当接し、フロントパネルに対するブッシング50の表示方向の位置決めをしている。固定爪53は、凹部35の周壁部35cに形成されている係止溝35bに係止され、位置決め面52により定められた位置にブッシング50を固定している。
【0046】
以上、本実施形態では、スプリング60が請求項に記載の弾性体に、ブッシング50が請求項に記載のストッパおよびストッパ部材に、それぞれ相当する。
【0047】
以上説明した第一実施形態では、操作部材70は、表示方向後側の押圧力が操作部材70の操作面77に印加されない場合、凸部75の表示方向後面75bがスプリング60により表示方向前側に付勢されることで、ブッシング50の規制面51により凸部75の表示方向前面75aが係止位置において係止される。この操作部材70の係止位置において、フロントパネル30の表示方向前面33に対する操作部材70の操作面77の位置を製品毎にばらつかせる要因は、操作部材70およびフロントパネル30の凹部35に内嵌されたブッシング50の加工公差および組み付け公差を集積した集積公差となる。具体的には、ブッシング50の位置決め面52から規制面51までの加工公差と、操作部材70の凸部75の表示方向前面75aから操作面77までの加工公差と、これらの組み付け公差の集積である。このように、公差が集積する箇所が少ないことに加え、ブッシング50や操作部材70は、フロントパネル30やケース部材25に対して小型であるので、加工精度の向上による加工公差の低減が容易にできる。故に、集積公差の累積が抑制されるので、フロントパネルの表示方向前面に対して操作部材70の操作面を一定に位置することができ、見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0048】
加えて第一実施形態では、ケース体23が、見返し部材26とケース部材25とを互いに組み付けることにより構成されることで、ケース体23における集積公差が増加するおそれがある。しかし、係止位置においては、操作部材70がフロントパネル30に係止され、ケース体23における集積公差の影響を受けないことから、フロントパネル30の表示方向前面33に対して操作部材70の操作面77が一定に位置することができるのである。
【0049】
さらに第一実施形態では、操作部材70から突出する凸部75の表示方向前面75aがブッシング50により係止される配置であることから、操作部材70の凸部75は、ブッシング50の表示方向後側に位置する。したがって、操作部材70の凸部75はブッシング50により表示方向前側から遮蔽され、視認され難い。また、スプリング60が凸部75の表示方向後面75aを表示方向後側から表示方向前側に付勢する配置であることから、当該スプリング60は、ブッシング50の表示方向後側の凸部75よりもさらに表示方向後側に位置する。したがって、スプリング60は、ブッシング50および凸部75により表示方向前側から遮蔽され、視認され難い。故に、さらに見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0050】
ブッシング50、操作部材70の凸部75、およびスプリング60が表示方向に並んで配置される場合、これらの構成は表示方向に拡大する。すると、係止位置における操作面77の位置が、フロントパネル30の表示方向前面33に対して離れ、フロントパネル30の表示方向前面33に対して一定に位置している操作部材70の操作面77の見映えを悪化させるおそれがある。そこで本実施形態では、フロントパネル30の凹部35に、スプリング60および操作部材70の凸部75を収容させることにより、係止位置における操作面77の位置を、フロントパネル30の表示方向前面33に近づける配置が可能となっている。故に、フロントパネル30の表示方向前面33に対して一定に位置する操作部材70の操作面77の見映えを向上することができるのである。
【0051】
また加えて第一実施形態では、スイッチ83の押圧部83aと操作部材70の当接面71との間には集積公差が累積する。この集積公差は具体的には、押圧部83aを有するスイッチ83、スイッチ83を実装する回路基板80、回路基板80が組み付けられるケース部材25、ケース部材25に組み付けられる見返し部材26、ケース部材25に組み付けられるフロントパネル30、フロントパネル30に係止される操作部材70の各々の加工公差および組み付け公差からなるものである。しかし、表示方向後側の押圧力が操作部材70の操作面77に印加されずに、係止位置にある操作部材70においては、当接面71がスイッチ83の押圧部83aから表示方向前側に離間し、当該押圧部83aを押圧しない。また、表示方向後側の押圧力が操作部材70の操作面77に印加された場合には、フロントパネル30に対して表示方向後側へ変位する操作部材70の当接面71が、スイッチ83の押圧部83aと当接し、当該押圧部83aを押圧する。故に、多部品による集積公差が累積する場合でも、操作部材70の操作面77への押圧力の印加により、確実にトリップメータ19cの表示状態を切りかえることができるのである。
【0052】
さらに加えて第一実施形態では、スイッチ83の押圧部83aと操作部材70の当接面71との間には、表示方向に加えて表示方向と直交する方向においても集積公差が累積する。これにより、押圧部83aに対する当接面71の位置が表示方向と直交する方向についてもばらつきを生じ易くなる。しかし、押圧部83aの表示方向の投影面積よりも面積の広い当接面71は、押圧部83aに対して表示方向の直交方向に当接面71の位置がばらついた場合においても、押圧部83aに当接して確実に押圧部83aを押圧することができる。したがって、操作部材70の操作面77への押圧力の印加により、確実にトリップメータ19cの表示状態を切りかえることができるのである。
【0053】
また第一実施形態では、スイッチ83と隣接する発光ダイオード81が発する光は、操作部材70の入射面73より透光性材料よりなる当該操作部材70の内部に入射して、操作面77から放射される。このようにして発光する操作面77は、視認し易くなることによる見映えの向上を実現できる反面、フロントパネル30の表示方向前面33に対する当該操作面77の僅かなばらつきも視認されて、見映えが損なわれるおそれがある。しかし、フロントパネル30の表示方向前面33に対して操作面77を一定に位置させる作用により、見映えは損なわれないのである。
【0054】
さらに第一実施形態では、回路基板80に実装される発光ダイオード81と操作部材70の入射面73との間には、回路基板80に実装されるスイッチ83の押圧部83aと操作部材70の当接面71との間と同様に集積公差が累積する。これにより、発光ダイオード81に対する操作部材70の入射面73の位置が表示方向および表示方向と直交する方向についてばらつきを生じ易くなる。すると、入射面73から操作部材70に入射する光の状態が製品毎にばらつき、操作面77を一定に発光させることができない懸念がある。しかし、入射面73の表示方向後側に対向して発光ダイオード81が位置しているため、入射面73の表示方向のばらつきにかかわらず、発光ダイオード81が発する光を、入射面73より操作部材70の内部に入射させることができるのである。また、入射面73と当接面71とを操作部材70の同一面に形成することで面積が拡大されるので、表示方向と直交する方向についてばらついた場合でも、発光ダイオード81は入射面73の表示方向後側に対向して位置することがでる。したがって、入射面73は発光ダイオード81が発する光を操作部材70に入射させられるのである。これらによれば、多部品による集積公差が累積する場合でも、入射面73から操作部材70に入射する光の状態のばらつきを抑制して、操作面77を一定に発光させることができ、見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0055】
(第二実施形態)
図5に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態の操作部材70の操作面77は、ブッシング50による係止位置おいてフロントパネル230の表示方向前面33と同一平面上に位置している。フロントパネル230は、表示方向後側に凹む第一凹部234と、第二凹部235とを有している。第一凹部234は、ブッシング50の表示方向前側を収容している。第一凹部234の底部234aは、ブッシング50の位置決め面52と当接している。第二凹部235は、第一凹部234の底面234aからさらに表示方向後側に凹んでおり、ブッシング50の表示方向後側、スプリング60、および操作部材70の凸部75を収容している。第二凹部235の周壁部235cには、ブッシング50を係止するための係止溝35bが形成されている。また、第二凹部235の底面235aには、開口部31が形成されている。
【0056】
このような第二実施形態では、操作部材70がブッシング50に係止される係止位置において、操作部材70の操作面77とフロントパネルの表示方向前面33とが同一平面上に位置する。故に、フロントパネルの表示方向前面33に対する操作部材70の操作面77の僅かなばらつきであっても視認されやすく、見映えの悪化をまねき易い。しかし第二実施形態では、フロントパネル230の表示方向前面33に対して操作部材70の操作面77を一定に位置させることが第一実施形態と同様の原理により発揮できるので、操作面77の見映えを向上させることができるのである。
【0057】
(第三実施形態)
図6〜8に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の別の変形例である。第三実施形態の表示意匠310は、トリップ切換部21にかわり、一組の時刻調整部321h,321mを構成に含んでいる。
【0058】
図6に示すように時刻調整部321h,321mは、マルチ表示部19を構成する時刻表示19bの表示状態を切りかえるスイッチである。時刻調整部321h,321mは当該調整部321h,321mの機能を示す文字意匠21aが形成されている。
【0059】
図7に示すように、第3実施形態では、時刻調整部321h,321mに対応して、スイッチ383h,383mが設けられている。スイッチ383h,383mは、それぞれの押圧部83aが押圧されることにより表示状態を切りかえる。具体的には、スイッチ383hの押圧部83aが押圧されたことを検知した表示制御回路11は、時刻表示19bが表示する時刻を1時間進める。また、スイッチ383mの押圧部83aが押圧されたことを検知した表示制御回路11は、時刻表示19bが表示する時刻を1分進める。さらに、スイッチ383hの押圧部83aとスイッチ383mの押圧部83aとが同時に押圧されたことを検知した表示制御回路11は、時刻表示19bの表示方式を12時間表示と24時間表示とで交互に切りかえる。
【0060】
ブッシング350は、第一実施形態のブッシング50の構成に加えて、内周面55および凹部35の内周側を二つに区画する隔壁356を有している。これにより、ブッシング350の内周面および凹部35の内周側においては、一対の操作部材370h,370mと一対のスプリング60とがそれぞれ隔壁356をはさむ両側に収容されている。
【0061】
回路基板80において各操作部材370h又は370mの当接面71にそれぞれ向かい合う箇所には、一対のスイッチ383h,383mが実装されている。また、回路基板80においてスイッチ383h,383mの間には、操作部材370h,370mの当接面71に光を入射させるように一つの発光ダイオード81が実装されている。
【0062】
以上説明した第三実施形態では、操作部材370h,370mは、表示方向後側の押圧力が操作部材370h,370mの各操作面77に印加されない場合、各凸部75の表示方向後面75bが、各スプリング60により表示方向前側に付勢される。操作部材370h,370mの各凸部75は、ブッシング350の規制面51により係止位置において係止される。係止位置において、フロントパネル30の表示方向前面33に対する操作部材370h,370mの各操作面77の位置は、以下の要因で製品毎にばらつきが生じる。それは、ブッシング350の位置決め面52から規制面51までの加工公差と、操作部材370h,370mの各凸部75の表示方向前面75aから各操作面77までの加工公差と、これらの組み付け公差の集積である。公差が集積する箇所が少ないことにより集積公差の累積が抑制されるので、フロントパネル30の表示方向前面に対して操作部材370h,370mの操作面を一定に位置することができる。さらに、集積公差の累積が抑制されるので、操作部材370hの操作面77と、操作部材370mの操作面77とを同一平面に形成することも容易となる。故に、見映えの優れる車両用表示装置を提供することができるのである。
【0063】
また第三実施形態では、表示方向後側の押圧力が操作部材370hの操作面77に印加された場合には、操作部材370hを付勢するスプリング60のみが底面35aと凸部75の表示方向後面75aの表示方向前面との間に挟まれて表示方向に圧縮される。操作部材370hがフロントパネル30に対して表示方向後側へ変位することにより、操作部材370hの当接面71は、スイッチ383hの押圧部83aと当接し、当該押圧部83aを押圧することができる。このとき370mは、当該操作部材370hを付勢するスプリング60の付勢力により、係止位置のままである。また同様に、表示方向後側の押圧力が操作部材370mの操作面77に印加された場合では、操作部材370mの当接面71はスイッチ383mの押圧部83aと当接して押圧するとともに、操作部材370hは係止位置にとどまる。さらに、表示方向後側の押圧力が操作部材370hおよび操作部材370hのそれぞれの操作面77に印加された場合では、それぞれの当接面71がスイッチ383hおよびスイッチ383mの各押圧部83aと当接して押圧することになる。このように、ブッシング350を二つの操作部材370h,370mで共有した場合でも、表示方向後側の押圧力を操作部材370h,370mの各操作面77に印加することで、マルチ表示部19を構成する時刻表示19bの表示状態を確実に切りかえることができるのである。
【0064】
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0065】
上記第一〜第三実施形態においては、請求項に記載のストッパは、ブッシング50としてフロントパネル30とは別体で設けられていた。しかし、ストッパはフロントパネル30に直接形成されてもよい。
【0066】
上記第一〜第三実施形態においては、請求項に記載の弾性体として、細い金属材料からなる螺旋形状のスプリング60を用いていた。しかし、弾性体の材料や形状は限定されない。例えば、ゴム材料や樹脂材料等であってもよく、板バネや皿バネ等であってもよい。また操作部材70,370h,370mと一体で成形されていてもよい。
【0067】
上記第一〜第三実施形態においては、操作部材70,370h,370mの各当接面71は、各当接面71が当接して押圧する、スイッチ83,383h,383mの各押圧部83aの表示方向の投影面積よりも広い。しかし、各押圧部83aと当接可能であれば、各当接面71の面積は、各押圧部83aの表示方向の投影面積よりも狭くてもよく、同程度でもよい。
【0068】
上記第一〜第三実施形態においてケース体23は、ケース部材25および見返し部材26等を互いに組み付けて構成されていた。しかし、ケース体23は一体成形品であってもよい。あるいは、さらに複数の部材を互いに組み付けて構成されていてもよい。
【0069】
上記第一〜第三実施形態においては、操作部材70,370h,370mは透光性材料からなり、それぞれの外表面には、入射した光の漏洩を防止する塗装部79が形成されていた。しかし、塗装部79が形成される構成にかえて、各操作部材70,370h,370mを、2色成形により形成してもよい。例えば、当該各操作部材70,370h,370mの外表面部を黒色の樹脂で、中心部を透光性の樹脂でそれぞれ形成し、文字意匠21aを印刷により設けてもよい。
【0070】
上記第一〜第三実施形態においては、操作部材70,370h,370mのそれぞれの操作面77は、入射面73より入射させた発光ダイオード81の光を放射することにより発光可能であった。しかし、操作部材70,370h,370mはABS樹脂等の透光性を備えない材料により形成することで、それぞれの操作面77が発光しなくてもよい。
【0071】
上記第一〜第三実施形態においては、操作部材70,370h,370mの表示方向後面は、それぞれの当接面71と、それぞれの入射面73とを形成していた。しかし、入射面73は当接面71と同一面に形成されなくてもよい。また、当接面71は、操作部材70,370h,370mの表示方向後面から表示方向後側へ突出する凸部として形成されてもよい。
【0072】
上記第三実施形態においては、一つの発光ダイオード81が、操作部材370h,370mの当接面71に光を入射させるように実装されていた。しかし、操作部材370hおよび370mのそれぞれの入射面73と向かい合うように、発光ダイオード81を二つ実装してもよい。
【0073】
上記第一〜第三実施形態においては、本発明をコンビネーションメータ100に適用し、コンビネーションメータ100が備える液晶パネル20に表示されるマルチ表示部19の表示状態を切りかえるスイッチを例に説明したが、車両用表示装置におけるフロントパネルの表示方向前に設けられるスイッチ全般に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータの表示意匠を示す正面図である。
【図2】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータの機械的構成を示す図であって、図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第一実施形態の特徴部分を説明するための模式図である。
【図5】本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータの機械的構成を示す図である。
【図6】本発明の第三実施形態によるコンビネーションメータの表示意匠を示す正面図である。
【図7】本発明の第三実施形態によるコンビネーションメータの電気的構成を示すブロック図である。
【図8】発明の第三実施形態によるコンビネーションメータの機械的構成を示す図であって、図6のVIII−VIII線断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 表示意匠、11 表示制御回路、13 スピードメータ、15 水温計、17 フューエルゲージ、13a,15a,17a 指針、13b,15b,17b 文字板、13c,15c,17c 目盛り、13d,15d,17d ムーブメント、13e 開口窓、18 背景表示部、18a ダイアルパネル、18b 開口部、19 マルチ表示部、19a シフトインジケータ、19b 時計表示、19c トリップメータ、20 液晶パネル、20a バックライト、21 トリップ切換部、321 時計調整部、21a 文字意匠、23 ケース体、24 カバー部材、25 ケース部材、26 見返し部材、30,230 フロントパネル、31 開口部、33 表示方向前面、35 凹部、234 第一凹部、235 第二凹部、35a,235a 底面、35b 係止溝、35c,235c 周壁部、50,350 ブッシング(ストッパ・ストッパ部材)、51 規制面、52 位置決め面、53 固定爪、54 外周面、55 内周面、356 隔壁、60 スプリング(弾性体)、70,370h,370m 操作部材、71 当接面、73 入射面、75 凸部、75a 表示方向前面、75b 表示方向後面、77 操作面、79 塗装面、80 回路基板、81 発光ダイオード、83,383h,383m スイッチ、83a 押圧部、91 車両用制装置、100 コンビネーションメータ(車両用表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧部の押圧により表示状態を切りかえるスイッチと、
前記スイッチが実装される回路基板と、
前記回路基板が組み付けられるケース体と、
前記スイッチよりも表示方向前側にずれて前記ケース体に組み付けられ、表示方向に貫通する開口部を有するフロントパネルと、
前記開口部の周縁に設けられるストッパと、
前記開口部を通じて表示方向に往復変位自在に前記ケース体内に挿入され、前記係止位置において前記ストッパにより表示方向前側から係止される操作部材であって、前記係止位置において前記フロントパネルの表示方向前面に沿う操作面と、前記係止位置において前記押圧部から表示方向前側に離間し、表示方向後側の押圧力が前記操作面に印加されることにより前記押圧部に当接して前記押圧部を押圧する当接面と、を有する操作部材と、
前記操作部材を表示方向前側に付勢する弾性体と、
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記ストッパは、前記開口部の周縁に組み付けられるストッパ部材により形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記弾性体は、前記操作部材を表示方向後側から表示方向前側に付勢することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記操作部材は、表示方向と交差する方向に突出する凸部を有し、
前記凸部の表示方向前面は前記係止位置において前記ストッパにより係止され、前記凸部の表示方向後面は前記弾性体により表示方向前側に付勢されることを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記フロントパネルは表示方向後側に凹む凹部を有し、
前記開口部は前記凹部の底面に形成され、
前記弾性体および前記凸部は、前記凹部に収容されることを特徴とする請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記当接面の面積は、前記押圧部の表示方向の投影面積よりも広いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記ケース体は、複数の部材を互いに組み付けることにより構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記操作面は、前記係止位置おいて前記フロントパネルの表示方向前面と同一平面上に位置することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
前記回路基板は、光を発する発光素子が実装され、
前記操作部材は、透光性材料よりなり、前記発光素子の発する光が入射する入射面を有し、
前記操作面は、前記入射面から前記操作部材の内部に入射した光を放射して発光することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項10】
前記発光素子は、前記スイッチに隣接して前記回路基板に実装され、
前記入射面と前記当接面とが前記操作部材の同一面であることを特徴とする請求項9に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−33713(P2010−33713A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191403(P2008−191403)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】