説明

車両用運転評価装置

【課題】ユーザによる車両の運転を定量的かつ公平に評価することができる車両用運転評価装置を提供する。
【解決手段】
ある走行区間Tでの実際の燃費Xrを取得するとともに、その走行区間Tにおける車速v(t)を取得し、取得した車速v(t)のもとでの推定最良燃費Xvをシミュレーションモデルにより算出する。そして、実際燃費Xrと推定最良燃費Xvとの比である燃費性能達成率Eをユーザに対して表示する。なお、シミュレーションモデルである燃費モデルは、車速及び加速度からエンジントルク及び回転数を逆算するための駆動系モデルと、エンジントルク及び回転数に燃料消費量を関連付けたマップデータとから構成し、マップデータはエンジンの実際の制御結果に基づいて更新可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関によって駆動される車両用の運転評価装置に関し、詳しくは、燃費によってユーザによる車両の運転を評価する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが車両を走行させたときの実際の燃費によってユーザによる車両の運転を評価する方法や装置が知られている。例えば、特開2007−210487号公報に開示されたものでは、車両の走行試験から運転パターンごとの試験走行燃費データを記憶しておき、測定された実走行燃費データとその運転パターンにおける最も効率の良い試験走行燃費データとを比較し、走行燃費の低下の程度から実走行での運転操作を評価し、運転操作に関する情報を運転評価表示部に表示するようにしている。また、特開2003−278573号公報に開示されたものでは、燃費を悪化させる運転が行われた場合、実際に消費された燃料量と、その燃費を悪化させる運転が行なわれずに走行した場合の燃料消費量とをそれぞれ演算し、その差を燃費を悪化させる運転による過剰消費燃料量として算出し、算出した過剰燃料消費量を表示部に表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−526104号公報
【特許文献2】特開2007−210487号公報
【特許文献3】特開2003−278573号公報
【特許文献4】特開2006−077665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来提案されている何れの方法や装置も、ユーザに低燃費運転を促すという効果においては不十分であった。ユーザに対して低燃費運転を効果的に促すためには、車両の運転を定量的かつ公平に評価する必要がある。そのためには、現在の実機のポテンシャルが最大限に発揮された場合の燃費を評価基準とすべきところ、従来の方法や装置ではそうはなっていない。例えば、特開2007−210487号公報に開示のものは試験走行燃費データから燃費を計算しているが、試験用車両と個々の車両の個体差や各車両個体の経年変化等を考慮すると、必ずしも現在の実機のポテンシャルが最大限に発揮された場合の燃費を計算できているとは言えない。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ユーザによる車両の運転を定量的かつ公平に評価することができる車両用運転評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関によって駆動される車両用の運転評価装置において、
車速及び加速度から前記内燃機関のトルク及び回転数を逆算するための駆動系モデルと、前記内燃機関のトルク及び回転数に燃料消費量を関連付けたマップデータとから構成されるシミュレーションモデルを記憶する記憶手段と、
前記内燃機関の実際の制御結果に基づいて前記マップデータを更新するマップデータ更新手段と、
ある走行区間での実際の燃費を算出する実際燃費算出手段と、
前記走行区間における車速の変化パターンを取得し、取得した車速の変化パターンのもとでの推定最良燃費を前記シミュレーションモデルにより算出する推定最良燃費算出手段と、
前記実際燃費と前記推定最良燃費との比の大きさに応じて表示内容を変化させる表示手段と、
を備えることを特徴としている。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、
前記実際燃費が前記推定最良燃費を上回る場合には、以後算出される実際燃費に基づいて前記シミュレーションモデルのパラメータ値を学習する学習手段と、
前記学習手段による学習が完了するまでの間、前記実際燃費を用いて前記シミュレーションモデルによる推定最良燃費の算出結果を補正する補正手段と、
をさらに備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明によれば、ユーザが車両を運転してある走行区間を走行した場合、その走行区間における車速の変化パターンが取得される。そして、取得した車速の変化パターンのもとでの推定最良燃費がシミュレーションモデルにより算出される。詳しくは、取得した車速の変化パターンのもとでの内燃機関のトルク及び回転数の変化が駆動系モデルによって計算され、その計算結果とトルク及び回転数に燃料消費量を関連付けたマップデータとを用いて推定最良燃費が計算される。このようにして計算された推定最良燃費は、シミュレーションモデルで定義された所定条件のもとで車両を走行させた場合の燃費であって、車両の使用条件やユーザの運転状態の影響は受けていない。しかも、前記マップデータは内燃機関の実際の制御結果に基づいて更新されるので、車両そのものの状態、特に、内燃機関の状態は推定最良燃費の計算結果に着実に反映されている。したがって、シミュレーションモデルにより算出された推定最良燃費は車両の現在のポテンシャルが最大限に発揮された場合の燃費であり、このような燃費に対する実際燃費の比を評価指数とすることで、ユーザによる車両の運転を定量的かつ公平に評価することができる。また、算出した評価指数である比の大きさに応じて表示内容を変化させることで、ユーザに対して低燃費運転を効果的に促すことができる。
【0009】
第2の発明によれば、実際燃費が推定最良燃費を上回る場合には、以後算出される実際燃費に基づいてシミュレーションモデルのパラメータ値が学習されることにより、シミュレーションモデルにより算出される推定最良燃費の信頼性、すなわち、推定最良燃費が車両の現在のポテンシャルが最大限に発揮された場合の燃費であることの信頼性が担保される。また、学習が完了するまでの間は、実際燃費を用いてシミュレーションモデルによる推定最良燃費の算出結果が補正されるので、学習が完了するまでの間にシミュレーションモデルにより算出される推定最良燃費の信頼性も担保される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態としての車両用運転評価装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態において実施される運転評価結果の表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態において実施される推定最良燃費の補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】実際瞬時燃費と推定瞬時最良燃費との間の誤差の発生イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図4の各図を参照して説明する。
【0012】
本実施の形態の運転評価装置が適用される車両は、内燃機関(以下、単にエンジンという)によって駆動される車両であり、エンジンの種類に限定はない。また、駆動系に配備される変速機の種類にも限定はない。本実施の形態の運転評価装置は、このような車両に備えられる制御装置の一機能として実現される。車両の制御装置が運転評価装置として機能した場合の構成をブロック図で示したものが図1である。図1に示す構成は、制御装置のメモリに格納されたプログラムに従い制御装置のCPUが動作することで仮想的に実現される構成である。
【0013】
本実施の形態の運転評価装置は、ある走行区間Tにおける実際燃費Xrと、前記走行区間Tにおける推定最良燃費Xvとの比を算出し、その比を評価指数としてユーザの運転を評価する装置である。実際燃費Xrは、区間Tの走行距離を燃料消費量で除して得られる平均燃費である。推定最良燃費Xvは、車両の現在のポテンシャルが最大限に発揮された場合の前記走行区間Tにおける燃費である。推定最良燃費Xvの計算方法については追って詳細に説明する。走行区間Tの設定は開始時点と終了時点とが明確になってさえすれば任意であって、例えば次のような区間に設定することができる。
例1:ユーザが指定した任意の開始タイミングから終了タイミングまでの走行区間
例2:エンジンの始動から停止までの走行区間
例3:ユーザが指定した一定走行距離(例えば100km)を走行した区間
例4:ユーザが指定した一定期間(例えば1カ月)の間の走行区間
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の運転評価装置は5つの要素2,4,6,8,10から構成されている。そのうちの一つが燃費性能達成率計算部2であって、前述の実際燃費Xrと推定最良燃費Xvとの比を燃費性能達成率Eとして算出する。運転評価装置は、算出した燃費性能達成率Eを表示装置6によってユーザに表示する。表示の方法には限定ななく、例えば次のような方法で表示することができる。
例1:燃費性能達成率Eを数値で表示
例2:燃費性能達成率Eのレベルをマークや文字等で表示(優良(E=100〜91%)、良(E=90〜76%)、悪(E=75%以下)等)
【0015】
本実施の形態の運転評価装置はその構成要素として推定最良燃費計算部4を備えている。前述の推定最良燃費Xvはここで計算される。推定最良燃費計算部4は燃費モデルを用いて推定最良燃費Xvを計算する。燃費モデルは車速の変化パターンから推定最良燃費Xvを計算するためのシミュレーションモデルである。燃費モデルは駆動系モデルと燃料消費マップとから構成されている。
【0016】
駆動系モデルはエンジンからタイヤまでのトルク及び回転の伝達特性をモデル化したものである。この駆動系モデルを逆方向から計算することで、車速の変化パターンからエンジン回転数及びトルクを逆算することができる。具体的には、まず、走行区間Tにおける車速vが時間tに関連付けられて取得される(以下、時間tに関連付けられた車速をv(t)と表記する)。ついで、車速v(t)から加速度α(t)が算出される。そして、車速v(t)及び加速度α(t)に基づいて走行抵抗Rall(t)が算出される。走行抵抗Rall(t)は予め実験により予め実験によって作成したマップによって、或いは、物理式を用いて算出される。次に、車速v(t)とタイヤの有効半径Rとからタイヤ回転数Na(t)が算出され、また、走行抵抗Rall(t)とタイヤの有効半径RとからタイヤトルクTa(t)が算出される。さらに、タイヤ回転数Na(t)からプロペラシャフト回転数Np(t)が算出され、また、タイヤトルクTa(t)からプロペラシャフトトルクTp(t)が算出される。そして、プロペラシャフト回転数Np(t)からエンジン回転数Ne(t)が算出され、また、プロペラシャフトトルクTp(t)からエンジントルクTe(t)が算出される。
【0017】
燃料消費マップは、エンジン回転数Ne及びトルクTeに燃料消費量qが関連付けられたマップデータである。駆動系モデルによる計算結果は燃料消費マップに当てはめられ、走行区間Tの開始から終了までの所定時間間隔毎の燃料消費量q(t)が算出される。推定最良燃費計算部4は、車速v(t)の時間積分値と燃料消費量q(t)の時間積分値とを用いて推定最良燃費Xvを算出する。各時間積分の積分区間は走行区間Tの開始時点から終了時点までである。
【0018】
また、本実施の形態の運転評価装置の構成要素にはマップデータ学習部8が含まれる。マップデータ学習部8は、エンジンの実際の制御結果に基づいてエンジン回転数及びトルクと燃料消費量との関係を学習し、その学習結果に基づいて所定の更新周期で燃料消費マップを更新する。
【0019】
さらに、本実施の形態の運転評価装置はその構成要素としてモデルパラメータ学習部10を備えている。駆動系モデルでは、車重やタイヤ径等の車両諸元、転がり摩擦係数等の各種の損失係数、変速機の変速パターン等、車両の燃費に影響する各種のパラメータが用いられている。このうち車両の個体差や経年変化が影響するパラメータに関し、モデルパラメータ学習部10は、後述するパラメータ学習フラグがオンになった場合に実際燃費と推定最良燃費とのずれに基づいて学習を実施する。
【0020】
本実施の形態の運転評価装置による運転評価結果の表示処理の手順について図2のフローチャートを用いて説明する。最初のステップS102では、区間Tにおける実際燃費Xrの算出結果が取得される。続いてステップS104では、区間Tにおける車速v(t)が取得される。なお、実際燃費Xrの計算、及び、車速v(t)の計測はそれぞれ本ルーチンとは別のルーチンで行われている。
【0021】
次のステップS106では、ステップS104で取得された車速v(t)が燃費モデルに入力され、燃費モデルによって区間Tにおける推定最良燃費Xvが算出される。そして、ステップS106では、以下の式により、実際燃費Xrと推定最良燃費Xvとから燃費性能達成率Eが算出される。
E=Xr/Xv*100%
【0022】
ステップS108では、ステップS100で算出された燃費性能達成率Eが表示装置6によってユーザに対して表示される。
【0023】
上述のように、本実施の形態の運転評価装置は、ユーザの運転によって車両がある走行区間Tを走行した場合、その走行区間Tにおける車速v(t)を取得し、車速v(t)のもとでの推定最良燃費Xvを燃費モデルにより算出する。推定最良燃費Xvは、燃費モデルで定義された所定条件のもとで車両を走行させた場合の燃費であって、車両の使用条件やユーザの運転状態の影響は受けていない。しかも、燃料消費マップはエンジンの実際の制御結果に基づいて更新されるので、エンジンの状態は推定最良燃費Xvの計算結果に着実に反映されている。燃費性能達成率Eは、このような推定最良燃費Xvを評価基準とした実際燃費Xrの評価指数であるので、ユーザによる車両の運転を定量的かつ公平に評価することができる。そして、表示装置6を介して燃費性能達成率Eをユーザに表示することで、ユーザに対して低燃費運転を効果的に促すことができる。
【0024】
ところで、燃費性能達成率Eは理論上は100%を超えることは無い。推定最良燃費Xvは、現在の車両のポテンシャルが最大限に発揮された場合の燃費であるので、推定最良燃費Xvよりも実際燃費Xrのほうが大きくなることはないからである。しかしながら、車両間の個体差や経年変化、或いはモデル化精度等の原因により、推定最良燃費Xvの計算に使用する燃費モデルと実機との間には多少のモデル誤差が存在している。モデル誤差の大きさによっては、現在の車両のポテンシャルが最大限に発揮された場合の燃費よりも推定最良燃費Xvが小さく算出される可能性がある。その場合、燃費性能達成率Eは真の値よりも大きくなるので、ユーザによる車両の運転を過大評価しまうことになる。
【0025】
そこで、本実施の形態の運転評価装置は、燃費モデルにモデル誤差があることが判明したら、モデル誤差を解消するようにモデルパラメータの学習を開始する。モデルパラメータの学習はモデルパラメータ学習部10によって行われる。また、モデルパラメータの学習が完了するまでの間は、その間に表示される燃費性能達成率Eの信頼性を担保するため、燃費モデルによる推定最良燃費Xvの算出結果に対して補正処理を施し、補正処理した推定最良燃費Xvを用いて燃費性能達成率Eを計算する。
【0026】
図3は、本実施の形態において実施される推定最良燃費Xvの補正処理の手順を示すフローチャートである。最初のステップS202では、燃費性能達成率Eが100%を超えているかどうか判定される。前述の理由により、燃費性能達成率Eが100%を超えていれば、燃費モデルにモデル誤差があることは確実だからである。燃費性能達成率Eが100%未満であれば本ルーチンは終了となる。なお、このフローチャートに示すルーチンは、燃費性能達成率Eが新たに算出される度に実行される。
【0027】
燃費性能達成率Eが100%を超えている場合には、ステップS204以降の処理が実施される。まず、ステップS204では、パラメータ学習フラグがオンにされる。パラメータ学習フラグがオンになったことを受けて、モデルパラメータ学習部10によるモデルパラメータの学習が開始される。モデルパラメータが学習されることにより、燃費モデルにより算出される推定最良燃費Xvの信頼性、すなわち、推定最良燃費が車両の現在のポテンシャルが最大限に発揮された場合の燃費であることの信頼性が担保される。なお、モデルパラメータの学習は本ルーチンとは別のルーチンで行われる。
【0028】
次のステップS206では、走行区間Tにおける瞬時の実際燃費と瞬時の推定最良燃費との比較解析が実施される。ここでいう瞬時の実際燃費とは時間tに関連付けられた実際燃費のことであり、以下ではXr(t)と表記する。前述の実際燃費Xrは走行区間Tにおける平均の実際燃費である。同様に、瞬時の推定最良燃費とは時間tに関連付けられた推定最良燃費のことであり、以下ではXv(t)と表記する。前述の推定最良燃費Xrは走行区間Tにおける平均の推定最良燃費である。
【0029】
ステップS206の比較解析は誤差の発生傾向に関して行われる。具体的には、走行区間Tがn等分され、等分された区間毎に実際瞬時燃費Xr(t)と推定瞬時最良燃費Xv(t)との比較が行われる。図4は、実際瞬時燃費と推定瞬時最良燃費との間の誤差の発生イメージを示す図である。図中に破線で示すのが推定瞬時最良燃費である。両者の間の誤差には、実際瞬時燃費が推定瞬時最良燃費を全体的に上回るオフセット的な誤差と、特定領域においてのみ上回るオフセ誤差とがある。生じている誤差が図4に示すどちらの種類の誤差であるか判断するため、比較の結果、実際瞬時燃費Xr(t)が推定瞬時最良燃費Xv(t)を上回っている区間(100%超え区間)の数がカウントされる。また、各100%超え区間では、下式のように、車速及び水温に補正燃料消費量q′を関連付けるマップが作成される。補正燃料消費量q′は、その区間における実際瞬時燃費Xr(t)と推定瞬時最良燃費Xv(t)との差から算出される。
q′=map(車速,水温)
【0030】
ステップS208では、ステップS206の比較解析の結果に基づいて、誤差の発生傾向がオフセット型かどうか判定される。この判定は100%超え区間の割合を判定基準と比較することでよい。例えば100%超え区間の割合がn/2を超えている場合にはオフセット的な誤差であり、超えていない場合には特定領域のみの誤差であると判定する。ここでの判定結果は、推定最良燃費Xvの補正処理の内容に反映される。
【0031】
オフセット的な誤差が生じていると判定された場合、ステップS210の処理が実施される。S210では、今後算出される推定最良燃費Xvの値に一律の補正係数Crを乗じる補正処理が行われる。例えば、燃費性能達成率Eを補正係数Crとして用いることもできる。
【0032】
一方、特定領域のみの誤差が生じていると判定された場合、ステップS212の処理が実施される。S212では、大きな誤差が生じている特定領域のみ、ステップS206で算出した補正燃料消費量q′を推定最良燃費Xvの計算に使用する補正処理が行われる。ある区間が特定領域かどうかは、その区間の車速及び水温とステップS206で作成したマップの引数との一致性によって判断することができる。
【0033】
以上のような手順で推定最良燃費Xvの補正処理が実施されることで、モデルパラメータの学習が完了するまでの間に燃費モデルにより算出される推定最良燃費Xvの信頼性が担保される。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0035】
2 燃費性能達成率計算部
4 推定最良燃費計算部
6 表示装置
8 マップデータ学習部
10 モデルパラメータ学習部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関によって駆動される車両用の運転評価装置において、
車速及び加速度から前記内燃機関のトルク及び回転数を逆算するための駆動系モデルと、前記内燃機関のトルク及び回転数に燃料消費量を関連付けたマップデータとから構成されるシミュレーションモデルを記憶する記憶手段と、
前記内燃機関の実際の制御結果に基づいて前記マップデータを更新するマップデータ更新手段と、
ある走行区間での実際の燃費を算出する実際燃費算出手段と、
前記走行区間における車速の変化パターンを取得し、取得した車速の変化パターンのもとでの推定最良燃費を前記シミュレーションモデルにより算出する推定最良燃費算出手段と、
前記実際燃費と前記推定最良燃費との比の大きさに応じて表示内容を変化させる表示手段と、
を備えることを特徴とする車両用運転評価装置。
【請求項2】
前記実際燃費が前記推定最良燃費を上回る場合には、以後算出される実際燃費に基づいて前記シミュレーションモデルのパラメータ値を学習する学習手段と、
前記学習手段による学習が完了するまでの間、前記実際燃費を用いて前記シミュレーションモデルによる推定最良燃費の算出結果を補正する補正手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の車両用運転評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−203405(P2010−203405A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52280(P2009−52280)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】