説明

車両用遠隔制御装置

【課題】装置の大型化および複雑化を防止し、遠隔操作に要する操作が煩雑になること抑制して、利便性を向上させる。
【解決手段】車両用遠隔制御装置10は、所定の操作に応じて携帯機13から送信された指令信号を受信した場合に指令信号の種別に応じた車載機器の動作を実行する車両11と、車両11が受信した指令信号の信号強度が所定値以下である場合に車両11による車載機器の動作の実行を禁止する制御装置12とを備える。制御装置12の誤操作判定部33は、所定の操作が誤操作では無いと判定する条件として、信号強度が所定値以下の指令信号を車両11が受信した後の所定時間の間に、同一の種別かつ信号強度が所定値以下の指令信号を再度受信するという条件を少なくとも有し、制御装置12は、所定の操作は誤操作では無いと判定した場合には、車載機器の動作の実行の禁止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用遠隔制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば送信機から無線送信される制御指令に対応した車載機器の駆動制御が可能なキーレスエントリシステムにおいて、車両にて受信された無線信号の信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)に応じて駆動制御の実行と禁止とを切り替える装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この装置によれば、例えば使用者が車両から離れている場合には、ドアの解錠などの駆動制御が禁止されることから、ドアの解錠に伴って不必要に盗難防止機能が低下してしまうことを防止することができるようになっている。
【0003】
しかしながら、上記従来技術に係る装置においては、送信機を所持する利用者と車両との距離が一定以上離れている場合には、遠隔制御可能な機能が制限されてしまうため、利便性が低下してしまうという問題が生じる。また、駆動制御の実行と禁止とを切り替えるための距離に関する閾値を設定可能であるが、閾値の設定に煩雑な手間がかかると共に、装置の操作が煩雑になってしまうという問題が生じる。
【0004】
これらの問題に対して、従来、例えば複数の操作対象毎に割り当てられた複数のスイッチを備え、各スイッチ毎に対応して異なる信号強度の電波を送信する送信装置を用いた通信システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
この通信システムによれば、利用者は送信装置に対して特別な操作をすること無しに、各操作対象を駆動可能な距離を個別に切り替えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−129794号公報
【特許文献2】特開2008−177813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術に係る通信システムにおいては、送信装置において複数の操作対象毎に対応して複数の送信電力を設定するための構成を設ける必要が生じ、送信装置の大型化や装置構成に要する費用の増大を招いてしまうという問題が生じる。
また、各スイッチ毎に異なる信号強度が対応付けられている場合であっても、各スイッチに対する操作が操作者の誤操作であるか否かを判定することはできず、スイッチの誤操作に応じて操作者が意図しない駆動制御が実行される場合があり、車載機器の駆動制御に操作者の意思を的確に反映させることができないという問題が生じる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、装置の大型化および複雑化を防止し、遠隔操作に要する操作が煩雑になること抑制して、利便性を向上させることが可能な車両用遠隔制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る車両用遠隔制御装置は、所定の操作に応じて指令信号を無線送信可能な携帯機(例えば、実施の形態での携帯機13)と、該携帯機から送信された前記指令信号を受信した場合に前記指令信号の種別に応じた車載機器の動作を実行する車両(例えば、実施の形態での車両11)と、該車両が受信した前記指令信号の信号強度が所定値以下である場合に前記車両による前記車載機器の動作の実行を禁止する制御装置(例えば、実施の形態での制御装置12)とを備える車両用遠隔制御装置であって、前記制御装置は、前記所定の操作は誤操作であるか否かを判定する誤操作判定手段(例えば、実施の形態での誤操作判定部33)を備え、前記誤操作判定手段は、前記所定の操作が誤操作では無いと判定するための条件として、前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が受信した後の所定時間の間に、該指令信号の種別と同一の種別であって、かつ前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が再度受信するという条件を少なくとも有し、前記制御装置は、前記誤操作判定手段により前記所定の操作は誤操作では無いと判定された場合には、前記禁止を解除する。
【0009】
さらに、本発明の第2態様に係る車両用遠隔制御装置では、前記誤操作判定手段は、前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が受信した後の所定時間の間に、該指令信号の種別と同一の種別であって、かつ前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が再度受信した場合に、前回に受信した前記指令信号の前記信号強度に対して今回に受信した前記指令信号の前記信号強度が減少した場合に、前記所定の操作が誤操作であると判定する。
【0010】
さらに、本発明の第3態様に係る車両用遠隔制御装置では、前記車両は、前記携帯機から送信された前記指令信号を受信したことに応じて当該車両に設けられた発光体(例えば、実施の形態でのインジケータ26)または音発生手段(例えば、実施の形態でのスピーカ25)を駆動することでアンサーバック動作を行う車両側アンサーバック手段(例えば、実施の形態での車両制御部34)を備え、前記携帯機は、前記車両による前記指令信号の受信結果を報知する携帯機側アンサーバック手段(例えば、実施の形態での携帯機制御部46)を備え、前記制御装置は、前記車両が受信した前記指令信号の信号強度が所定値以下である場合には前記車両側アンサーバック手段による前記アンサーバック動作の実行を禁止するとともに、前記車両による前記車載機器の動作の実行が禁止されている旨の報知を前記携帯機側アンサーバック手段により実行させることを指示する報知信号を送信する。
【0011】
さらに、本発明の第4態様に係る車両用遠隔制御装置では、前記携帯機は、該携帯機に固有に予め設定された操作に応じて前記指令信号とは異なる特定信号を無線通信可能であり、前記制御装置は、前記車両が前記特定信号を受信した場合には、該特定信号の信号強度にかかわらず、前記車両側アンサーバック手段による前記アンサーバック動作の実行の禁止を解除する。
【0012】
さらに、本発明の第5態様に係る車両用遠隔制御装置では、前記携帯機は、位置情報を含む測位信号を受信可能な測位信号受信手段(例えば、実施の形態での測位信号受信機42)を備えるとともに、前記測位信号受信手段が受信した前記測位信号に含まれる前記位置情報を前記指令信号とともに無線送信し、前記制御装置は、前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が受信した後の所定時間の間に、該指令信号の種別と同一の種別であって、かつ前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が再度受信した場合に、前回に前記指令信号と共に受信した前記位置情報と、今回に前記指令信号と共に受信した前記位置情報とに基づいて前記携帯機が前記車両に接近しているか否かを判定する接近判定手段(例えば、実施の形態での接近判定部32)を備え、前記誤操作判定手段は、前記接近判定手段により前記携帯機が前記車両に接近していないと判定された場合に、前記所定の操作が誤操作であると判定する。
【0013】
さらに、本発明の第6態様に係る車両用遠隔制御装置では、前記携帯機は、位置情報を含む測位信号を受信可能な測位信号受信手段(例えば、実施の形態での測位信号受信機42)を備えるとともに、前記測位信号受信手段が受信した前記測位信号に含まれる前記位置情報を前記指令信号とともに無線送信し、前記誤操作判定手段は、前記車両が前記指令信号を受信したにもかかわらずに該指令信号と共に前記位置情報を受信することができなかった場合、または、前記車両が前記指令信号と共に受信した前記位置情報が予め設定された所定位置の情報である場合に、前記所定の操作が誤操作であると判定する。
【0014】
さらに、本発明の第7態様に係る車両用遠隔制御装置では、前記誤操作判定手段は、前記車両が前記所定時間の間に同一の種別の前記指令信号を少なくとも3回受信し、かつ、当該3回において順次受信された第1および第2および第3の前記指令信号に対して、前記第1の前記指令信号と前記第2の前記指令信号との時間的間隔が、前記第2の前記指令信号と前記第3の前記指令信号との時間的間隔よりも長い場合に、前記所定の操作が誤操作では無いと判定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1態様に係る車両用遠隔制御装置によれば、指令信号の信号強度が所定値以下である場合に車載機器の動作の実行を禁止する。
これにより、例えば携帯機と車両とが所定の距離を超えて離れている状態で、操作者が意図せずに、あるいは不必要に車載機器の動作が実行されてしまうことを防止することができ、所望の安全性を確保することができる。
そして、装置の大型化および複雑化を防止し、遠隔操作に要する操作が煩雑になること抑制して、利便性を向上させることができる。
【0016】
一方、信号強度が所定値以下の指令信号を受信した後であっても、所定時間の間に同一の種別かつ信号強度が所定値以下の指令信号を再度受信した場合には、車載機器の動作の実行の禁止を解除する。
この場合には、操作者が意図的に指令信号を送信している可能性が高いと推定して、携帯機に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定する。
これにより、煩雑な特別の操作を必要とせずに、連続操作という簡単な操作のみで、車載機器の動作の実行許可に操作者の意思を適切に反映させることができ、利便性を向上させることができる。
【0017】
本発明の第2態様に係る車両用遠隔制御装置によれば、信号強度が所定値以下の指令信号を受信した後に、所定時間の間に同一の種別かつ信号強度が所定値以下の指令信号を再度受信した場合であっても、今回の信号強度が前回の信号強度よりも減少した場合には、車載機器の動作の実行を禁止する。
この場合には、操作者が車両から遠ざかることで携帯機と車両との間の距離が増大している可能性が高いと推定して、携帯機に対する操作者の所定の操作は誤操作であると判定する。
これにより、不必要に車載機器の動作が実行されてしまうことを防止することができ、所望の安全性を、より一層、適切に確保することができる。
【0018】
つまり、通常、携帯機に対する所定の操作を行なったにもかかわらずに、車載機器の動作の実行が確認できない操作者に対しては、携帯機に対する所定の操作を複数回繰り返すとともに、車両に接近する動作を行なうことが期待できる。
これにより、今回の信号強度が前回の信号強度と同一あるいは今回の信号強度が前回の信号強度よりも増大した場合には、携帯機に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定される。
これにより、操作者に違和感を与えること無しに、車載機器の動作の実行許可に操作者の意思を、より一層、適切に反映させることができ、利便性を、より一層、向上させることができる。
【0019】
本発明の第3態様に係る車両用遠隔制御装置によれば、指令信号の信号強度が所定値以下である場合には車両側からのアンサーバック動作の実行を禁止する。
これにより、例えば悪意の第3者が携帯機を拾得して携帯機を操作した場合であっても、車両が特定されてしまう可能性を低減して、所望の安全性を確保することができる。
また、例えば携帯機と車両とが所定の距離を超えて離れている状態における携帯機と車両との間の距離などに応じて、車両による車載機器の動作の実行が禁止されている旨を操作者に明確に認識させることができ、利便性を向上させることができる。
しかも、例えば悪意の第3者に対しては、携帯機の更なる操作や悪用を諦めるように促すことができる。
【0020】
本発明の第4態様に係る車両用遠隔制御装置によれば、携帯機に固有に予め設定された操作によって車両側からのアンサーバック動作の実行の禁止を解除する。
この操作は、例えば、この操作を既知ではない操作者が単に携帯機を見ただけでは把握することができない操作であって、例えば、単一のスイッチの操作時間の長短の組み合わせによる操作や、複数のスイッチの操作順の組み合わせによる操作などである。
これにより、所望の安全性を確保しつつ、例えば駐車した車両を見失ったときなどにおいて、操作者による車両の探索を可能として、利便性を向上させることができる。
【0021】
本発明の第5態様に係る車両用遠隔制御装置によれば、例えば付近の建造物による無線信号の反射などに起因して、指令信号の受信強度に基づいて携帯機が車両に接近しているか否かを精度よく検知することが出来ない場合であっても、測位信号の位置情報に基づいて高い検知精度を確保することができる。
これにより、携帯機を携帯する操作者が車両に接近しているか否かを高い精度で検知することができ、誤操作判定手段による判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0022】
本発明の第6態様に係る車両用遠隔制御装置によれば、位置情報を受信することができなかったり、位置情報が予め設定された所定位置(建造物の位置など)の情報である場合には、携帯機に対する操作者の所定の操作は誤操作であると判定する。
この場合には、携帯機を携帯する操作者が建造物の内部などに滞在している可能性が高い(例えば、車両に向かって接近している可能性が低いなど)と推定する。
これにより、不必要に車載機器の動作が実行されてしまうことを防止することができ、所望の安全性を適切に確保することができる。
なお、位置情報に対する所定位置を予め操作者が設定可能とすることによって、操作者は、所定位置を限定したり、所定の操作が誤操作であると判定されてしまう位置から特定の位置を除外することができ、利便性を向上させることができる。
【0023】
本発明の第7態様に係る車両用遠隔制御装置によれば、3回の各指令信号の受信において受信時刻間の時間的間隔が短くなる場合には、車載機器の動作の実行の禁止を解除する。
この場合には、操作者が意図的に指令信号を送信している可能性が高いと推定して、携帯機に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定する。
これにより、煩雑な特別の操作を必要とせずに、連続操作という簡単な操作のみで、車載機器の動作の実行許可に操作者の意思を適切に反映させることができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用遠隔制御装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用遠隔制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る車両用遠隔制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の変形例に係る車両用遠隔制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態の変形例に係る車両用遠隔制御装置の動作の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の車両用遠隔制御装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施の形態による車両用遠隔制御装置10は、例えば図1に示すように、車両11に搭載された制御装置12と、携帯機13とを備えて構成されている。
【0026】
車両11は、例えば、制御装置12と、無線通信機21と、制御装置12および無線通信機21および各種の車載機器に対する電源であるバッテリ22と、車両の駆動源である内燃機関23と、ドアロックアクチュエータ24およびスピーカ25およびインジケータ26などの各種の車載機器とを備えて構成されている。
【0027】
制御装置12は、例えば、信号強度判定部31と、接近判定部32と、誤操作判定部33と、車両制御部34とを備えて構成されている。
携帯機13は、例えば、無線通信機41と、測位信号受信機42と、操作スイッチ43と、携帯機インジケータ44と、電源であるバッテリ45と、携帯機制御部46とを備えて構成されている。
【0028】
制御装置12の無線通信機21は、例えば、携帯機13から送信されるRF(Radio Frequency)信号をRFアンテナ(図示略)によって受信すると共に、車両制御部34の制御に応じてLF(Low Frequency)アンテナ(図示略)によってLF信号を携帯機13に送信する。
【0029】
車両11の制御装置12から送信されるLF信号は、例えば、携帯機13に向けて間欠的に送信するリクエスト信号と、携帯機13から送信された指令信号を無線通信機21が受信した場合の受信結果(例えば、受信した指令信号の信号強度など)の信号と、携帯機13から送信された指令信号によって指示される車載機器の動作(特に、指令信号の受信状態に応じて実行許可と実行禁止とが切り替えられる動作)の実行有無や実行禁止の有無の信号となどである。
【0030】
信号強度判定部31は、例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路などを備え、携帯機13から送信されて無線通信機21により受信された指令信号の信号強度を、指令信号の受信に応じた電流および電圧の測定により検出する。そして、検出した信号強度が所定値以下であるか否かを判定し、この判定結果を出力する。
【0031】
接近判定部32は、携帯機13から指令信号と共に送信された位置情報に基づき携帯機13が車両11に接近しているか否かを判定し、この判定結果を出力する。
例えば、接近判定部32は、無線通信機21が所定値以下の信号強度の指令信号を受信した後の所定時間の間に、この指令信号の種別と同一の種別であって、かつ信号強度が所定値以下の指令信号を無線通信機21が再度受信した場合に、無線通信機21が前回において指令信号と共に受信した位置情報と、無線通信機21が今回において指令信号と共に受信した位置情報とに基づいて、携帯機13が車両11に接近しているか否かを判定する。
【0032】
誤操作判定部33は、信号強度判定部31から出力される判定結果と、接近判定部32から出力される判定結果とに基づいて、携帯機13から指令信号が出力される契機となった携帯機13に対する操作者の所定の操作が誤操作であるか否かを判定し、この判定結果を出力する。
例えば、誤操作判定部33は、所定の操作が誤操作では無いと判定するための条件として、無線通信機21が所定値以下の信号強度の指令信号を受信した後の所定時間の間に、この指令信号の種別と同一の種別であって、かつ信号強度が所定値以下の指令信号を無線通信機21が再度受信するという条件を少なくとも有している。
【0033】
また、例えば、誤操作判定部33は、無線通信機21が所定値以下の信号強度の指令信号を受信した後の所定時間の間に、この指令信号の種別と同一の種別であって、かつ信号強度が所定値以下の指令信号を無線通信機21が再度受信した場合であっても、無線通信機21が前回において受信した指令信号の信号強度に対して、今回において受信した指令信号の信号強度が減少した場合に、所定の操作が誤操作であると判定する。
【0034】
また、例えば、誤操作判定部33は、無線通信機21が所定値以下の信号強度の指令信号を受信した後の所定時間の間に、この指令信号の種別と同一の種別であって、かつ信号強度が所定値以下の指令信号を無線通信機21が再度受信した場合に、無線通信機21が前回において指令信号と共に受信した位置情報と、無線通信機21が今回において指令信号と共に受信した位置情報とに基づいて、携帯機13が車両11に接近していないと接近判定部32により判定された場合に、所定の操作が誤操作であると判定する。
【0035】
また、例えば、誤操作判定部33は、無線通信機21が指令信号を受信したにもかかわらずに該指令信号と共に位置情報を受信することができなかった場合、または、無線通信機21が指令信号と共に受信した位置情報が予め設定された所定位置の情報である場合に、所定の操作が誤操作であると判定する。
なお、予め設定された所定位置は、例えば建造物の位置などであって、予め操作者によって適宜に設定可能とされている。
【0036】
車両制御部34は、信号強度判定部31から出力される判定結果と、誤操作判定部33から出力される判定結果とに基づいて、携帯機13から送信されて無線通信機21により受信された指令信号によって実行が指示される各種の車載機器の動作の実行または実行禁止を制御する。
例えば、車両制御部34は、指令信号の信号強度が所定値以下である場合には、この指令信号によって指示される車載機器の動作の実行を禁止する。
また、例えば、車両制御部34は、誤操作判定部33により所定の操作は誤操作では無いと判定された場合には、この所定の操作に応じた指令信号によって指示される車載機器の動作の実行を許可、あるいは、この動作を禁止しているときであれば、この禁止を解除する。
【0037】
なお、携帯機13から送信される指令信号によって指示される車載機器の動作は、例えば、内燃機関23の始動または停止と、ドアロックアクチュエータ24の駆動による車両ドアの解錠または施錠となどである。
【0038】
また、車両制御部34は、無線通信機21が携帯機13から送信された指令信号を受信した場合に、この指令信号の信号強度に応じて、例えばスピーカ25を駆動したり、発光体などから成るインジケータ26などを駆動することによってアンサーバック動作を実行する。
例えば、車両制御部34は、無線通信機21が受信した指令信号の信号強度が所定値よりも大きい場合にはアンサーバック動作を実行する。一方、無線通信機21が受信した指令信号の信号強度が所定値以下である場合には、アンサーバック動作の実行を禁止するとともに、信号強度が所定値以下の指令信号によって指示される車載機器の動作の実行が車両11において禁止されている旨の報知を携帯機13において実行することを指示する報知信号を携帯機13に送信する。
【0039】
なお、車両制御部34は、アンサーバック動作の実行を禁止している状態において、指令信号とは異なる特定信号を無線通信機21が受信した場合には、この特定信号の信号強度にかかわらず、アンサーバック動作の実行の禁止を解除する。
この特定信号は、後述するように、例えば各携帯機13毎に固有に予め設定された操作に応じて携帯機13から送信される信号などである。
【0040】
携帯機13の無線通信機41は、例えば、車両11の制御装置12から送信されるLF信号をLFアンテナ(図示略)によって受信すると共に、携帯機13に対する所定の操作(例えば、操作スイッチ43の操作)などに応じた携帯機制御部46の制御により、RFアンテナ(図示略)によってRF信号を車両11の制御装置12に送信する。
【0041】
携帯機13から送信されるRF信号は、例えば、車両11の制御装置12から送信されるリクエスト信号に応答する応答信号と、車載機器の動作に対する指令信号あるいは指令信号とは異なる特定信号と、測位信号受信機42により受信された測位信号に含まれる位置情報の信号となどである。
【0042】
測位信号受信機42は、例えば人工衛星を利用して自車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号などの測位信号を受信する。
【0043】
携帯機制御部46は、例えば操作スイッチ43に対する操作者の所定の操作などに応じて、車両11の各種の車載機器の動作の実行を指示する指令信号を送信する。このとき、携帯機制御部46は、測位信号受信機42が受信した測位信号に含まれる位置情報を指令信号とともに送信可能である。
【0044】
また、携帯機制御部46は、携帯機13に固有に予め設定された操作に応じて、指令信号とは異なる特定信号を送信する。
なお、携帯機13に固有に予め設定された操作は、例えば、この操作を既知ではない操作者が単に携帯機13を見ただけでは把握することができない操作であって、単一の操作スイッチ43の操作時間の長短の組み合わせによる操作や、複数の操作スイッチ43の操作順の組み合わせによる操作などである。
【0045】
また、携帯機制御部46は、携帯機13から送信された指令信号に応じて車両11から送信された信号を無線通信機41が受信した場合には、この車両11による指令信号の受信結果を、例えば発光体などから成る携帯機インジケータ44やスピーカ(図示略)などを駆動するアンサーバック動作によって報知する。
なお、携帯機13から送信された指令信号に応じて車両11から送信される信号は、車両11の無線通信機21が指令信号を受信した場合の受信結果(例えば、車両11が受信した指令信号の信号強度など)の情報を含んでいる。
また、携帯機制御部46は、指令信号によって指示される車載機器の動作の実行が車両11において禁止されている旨の報知を、携帯機13において実行することを指示する報知信号を無線通信機41が受信した場合には、例えば携帯機インジケータ44やスピーカ(図示略)などを駆動するアンサーバック動作によって、この報知を実行する。
【0046】
この実施形態による車両用遠隔制御装置10は上記構成を備えており、次に、この車両用遠隔制御装置10の動作、特に、車両11の制御装置12の動作の一例について説明する。
【0047】
以下に、携帯機13から送信された指令信号によって指示される各種の車載機器の動作の実行の許可または不許可(禁止)を判定する動作判定の処理について説明する。
先ず、例えば図2に示すステップS01においては、携帯機13から送信された指令信号を受信する。
次に、ステップS02においては、後述する誤操作判定の処理を実行する。この誤操作判定の処理によって、携帯機13から指令信号が出力される契機となった携帯機13に対する操作者の所定の操作が誤操作であることを示す誤操作フラグFのフラグ値を取得する。
【0048】
次に、ステップS03においては、誤操作フラグFのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり操作者の所定の操作が誤操作では無いと判定されている場合には、ステップS04に進み、このステップS04においては、携帯機13から送信された指令信号によって指示される車載機器の動作の実行を許可して、エンドに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまり操作者の所定の操作が誤操作であると判定されている場合には、ステップS05に進み、このステップS05においては、携帯機13から送信された指令信号によって指示される車載機器の動作の実行を禁止(不許可)して、エンドに進む。
【0049】
以下に、上述したステップS02の誤操作判定の処理について説明する。
先ず、例えば図3に示すステップS11においては、携帯機13から送信されて無線通信機21により受信された指令信号の信号強度が所定値以下であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS17に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS12に進む。
【0050】
そして、ステップS12においては、減算タイマーの値(減算タイマー値)がゼロではないか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり減算タイマー値がゼロではない場合には、後述するステップS16に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合、つまり減算タイマー値がゼロである場合には、ステップS13に進む。
【0051】
そして、ステップS13においては、減算タイマー値に所定時間Tを設定するリセット処理を行ない、減算タイマーの減算計数を開始する。
次に、ステップS14においては、今回の処理において無線通信機21により受信された指令信号を所定の記憶部(図示略)に記憶する。
次に、ステップS15においては、誤操作フラグFのフラグ値に「1」を設定して、リターンに進む。
【0052】
一方、ステップS16においては、今回の処理において無線通信機21により受信された指令信号が、所定の記憶部(図示略)に記憶している指令信号(つまり、前回以前の処理において無線通信機21により受信された指令信号)と同一の種別であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS13に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS17に進む。
【0053】
そして、ステップS17においては、誤操作フラグFのフラグ値に「0」を設定して、リターンに進む。
つまり、信号強度が所定値よりも大きい指令信号を受信した場合には、携帯機13から指令信号が出力される契機となった携帯機13に対する操作者の所定の操作が誤操作ではないと判定する。
また、信号強度が所定値以下の指令信号を受信した後であっても、所定時間Tの間に同一の種別かつ信号強度が所定値以下の指令信号を再度受信した場合には、操作者が意図的に指令信号を送信している可能性が高いと推定して、携帯機13に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定する。
【0054】
上述したように、本発明の実施形態による車両用遠隔制御装置10によれば、携帯機13に対する操作者の所定の操作に応じて携帯機13から送信されて車両11の制御装置12が受信した指令信号の信号強度が所定値以下である場合に車載機器の動作の実行を禁止する。
これにより、例えば携帯機13と車両11とが所定の距離を超えて離れている状態で、操作者が意図せずに、あるいは不必要に車載機器の動作が実行されてしまうことを防止することができ、所望の安全性を確保することができる。
そして、装置の大型化および複雑化を防止し、遠隔操作に要する操作が煩雑になること抑制して、利便性を向上させることができる。
【0055】
一方、車両11の制御装置12が信号強度が所定値以下の指令信号を受信した後であっても、所定時間の間に同一の種別かつ信号強度が所定値以下の指令信号を再度受信した場合には、車載機器の動作の実行の禁止を解除する。
この場合には、操作者が意図的に指令信号を送信している可能性が高いと推定して、携帯機13に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定する。
これにより、煩雑な特別の操作を必要とせずに、連続操作という簡単な操作のみで、車載機器の動作の実行許可に操作者の意思を適切に反映させることができ、利便性を向上させることができる。
【0056】
また、車両11の制御装置12が信号強度が所定値以下の指令信号を受信した後に、所定時間の間に同一の種別かつ信号強度が所定値以下の指令信号を再度受信した場合であっても、今回の信号強度が前回の信号強度よりも減少した場合には、車載機器の動作の実行を禁止する。
この場合には、操作者が車両11から遠ざかることで携帯機13と車両11との間の距離が増大している可能性が高いと推定して、携帯機13に対する操作者の所定の操作は誤操作であると判定する。
これにより、不必要に車載機器の動作が実行されてしまうことを防止することができ、所望の安全性を、より一層、適切に確保することができる。
【0057】
つまり、通常、携帯機13に対する所定の操作を行なったにもかかわらずに、車載機器の動作の実行が確認できない操作者に対しては、携帯機13に対する所定の操作を複数回繰り返すとともに、車両11に接近する動作を行なうことが期待できる。
これにより、今回の信号強度が前回の信号強度と同一あるいは今回の信号強度が前回の信号強度よりも増大した場合には、携帯機13に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定される。
これにより、操作者に違和感を与えること無しに、車載機器の動作の実行許可に操作者の意思を、より一層、適切に反映させることができ、利便性を、より一層、向上させることができる。
【0058】
また、車両11の制御装置12が受信した指令信号の信号強度が所定値以下である場合には車両11側からのアンサーバック動作の実行を禁止する。
これにより、例えば悪意の第3者が携帯機13を拾得して携帯機13を操作した場合であっても、車両11が特定されてしまう可能性を低減して、所望の安全性を確保することができる。
さらに、車両11側からのアンサーバック動作の実行を禁止する一方で、携帯機13側からのアンサーバック動作の実行を許可する。
これにより、例えば携帯機13と車両11とが所定の距離を超えて離れている状態における携帯機13と車両11との間の距離などに応じて、車両11による車載機器の動作の実行が禁止されている旨を操作者に明確に認識させることができ、利便性を向上させることができる。
しかも、例えば悪意の第3者に対しては、携帯機13の更なる操作や悪用を諦めるように促すことができる。
【0059】
また、携帯機13に固有に予め設定された操作、例えばこの操作を既知ではない操作者が単に携帯機を見ただけでは把握することができない操作であって、単一のスイッチの操作時間の長短の組み合わせによる操作や、複数のスイッチの操作順の組み合わせによる操作などによって、車両11側からのアンサーバック動作の実行の禁止を解除する。
これにより、所望の安全性を確保しつつ、例えば操作者が駐車した車両11を見失ったときなどにおいて、操作者による車両11の探索を可能として、利便性を向上させることができる。
【0060】
また、例えば付近の建造物による無線信号の反射などに起因して、指令信号の受信強度に基づいて携帯機13が車両11に接近しているか否かを精度よく検知することが出来ない場合であっても、測位信号の位置情報に基づいて高い検知精度を確保することができる。
これにより、携帯機13を携帯する操作者が車両11に接近しているか否かを高い精度で検知することができ、誤操作判定の判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0061】
また、位置情報を受信することができなかったり、位置情報が予め設定された所定位置(建造物の位置など)の情報である場合には、携帯機13に対する操作者の所定の操作は誤操作であると判定する。
この場合には、携帯機13を携帯する操作者が建造物の内部などに滞在している可能性が高い(例えば、車両11に向かって接近している可能性が低いなど)と推定する。
これにより、不必要に車載機器の動作が実行されてしまうことを防止することができ、所望の安全性を適切に確保することができる。
なお、位置情報に対する所定位置を予め操作者が設定可能とすることによって、操作者は、所定位置を限定したり、所定の操作が誤操作であると判定されてしまう位置から特定の位置を除外することができ、利便性を向上させることができる。
【0062】
なお、上述した実施の形態において、誤操作判定部33は、例えば図4に示す上述した実施の形態の変形例に示すように、無線通信機21が所定時間の間に同一の指令信号を少なくとも3回に亘って受信し、かつ、当該3回において順次受信された第1および第2および第3の指令信号に対して、第1の指令信号と第2の指令信号との時間的間隔が、第2の指令信号と第3の指令信号との時間的間隔よりも長い場合には、所定の操作が誤操作では無いと判定してもよい。
以下に、この変形例での誤操作判定の処理について説明する。
【0063】
先ず、例えば図4に示すステップS21においては、携帯機13から送信されて無線通信機21により受信された指令信号の信号強度が所定値以下であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS38に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS22に進む。
【0064】
そして、ステップS22においては、減算タイマーの値(減算タイマー値)がゼロではないか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり減算タイマー値がゼロではない場合には、後述するステップS27に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合、つまり減算タイマー値がゼロである場合には、ステップS23に進む。
【0065】
そして、ステップS23においては、減算タイマー値に所定時間Tを設定するリセット処理を行ない、減算タイマーの減算計数を開始する。
次に、ステップS24においては、第1加算タイマーの値(第1加算タイマー値)にゼロを設定するリセット処理を行ない、第1加算タイマーの加算計数を開始する。
次に、ステップS25においては、今回の処理において無線通信機21により受信された指令信号を所定の記憶部(図示略)に記憶する。
次に、ステップS26においては、誤操作フラグFのフラグ値に「1」を設定して、リターンに進む。
【0066】
一方、ステップS27においては、今回の処理において無線通信機21により受信された指令信号が、所定の記憶部(図示略)に記憶している指令信号(つまり、前回以前の処理において無線通信機21により受信された指令信号)と同一の種別であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS23に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS28に進む。
【0067】
そして、ステップS28においては、第1加算タイマー値が所定の上限値(例えば、5秒など)に到達しているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS23に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS29に進む。
【0068】
そして、ステップS29においては、第1加算タイマーの加算計数が終了しているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり第1加算タイマーの加算計数の終了が指示された場合には、後述するステップS33に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合、つまり第1加算タイマーの加算計数の終了が指示されていない場合には、ステップS30に進む。
【0069】
そして、ステップS30においては、第1加算タイマーの加算計数の終了を指示する。
そして、ステップS31においては、この時点での第1加算タイマー値を第1期間T1として記憶する。
これにより、第1期間T1は、適宜の第1の指令信号を受信した後の所定時間Tの間に、第1の指令信号を受信したときから同一の種別である第2の指令信号を受信したときまでの時間間隔となる。
【0070】
そして、ステップS32においては、第2加算タイマーの値(第2加算タイマー値)にゼロを設定するリセット処理を行ない、第2加算タイマーの加算計数を開始し、上述したステップS26に進む。
【0071】
また、ステップS33においては、第2加算タイマー値が所定の上限値(例えば、5秒など)に到達しているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS23に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS34に進む。
【0072】
そして、ステップS34においては、第2加算タイマーの加算計数が終了しているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり第2加算タイマーの加算計数の終了が指示された場合には、後述するステップS42に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合、つまり第2加算タイマーの加算計数の終了が指示されていない場合には、ステップS35に進む。
【0073】
そして、ステップS35においては、第2加算タイマーの加算計数の終了を指示する。
そして、ステップS36においては、この時点での第2加算タイマー値を第2期間T2として記憶する。
これにより、第2期間T2は、適宜の第1の指令信号を受信した後の所定時間Tの間に、同一の種別である第2の指令信号を受信したときから同一の種別である第3の指令信号を受信したときまでの時間間隔となる。
【0074】
そして、ステップS37においては、第1期間T1が第2期間T2よりも長いか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり順次受信された第1および第2および第3の指令信号に対して、第1の指令信号と第2の指令信号との時間的間隔(第1期間T1)が、第2の指令信号と第3の指令信号との時間的間隔(第2期間T2)よりも長い場合には、所定の操作が誤操作では無いと判定する。そして、ステップS38に進み、このステップS38においては、誤操作フラグFのフラグ値に「0」を設定して、リターンに進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS39に進む。
【0075】
そして、ステップS39においては、この時点での第1期間T1の値として、この時点での第2期間T2の値を設定(置換)し、さらに、この時点での第2期間T2の値としてゼロを設定する。
そして、ステップS40においては、第2加算タイマーの値(第2加算タイマー値)にゼロを設定するリセット処理を行ない、第2加算タイマーの加算計数を開始する。
そして、ステップS41においては、減算タイマー値に所定値を加算して、減算タイマーの計数時間を延長して、上述したステップS26に進む。
【0076】
また、ステップS42においては、今回の処理において無線通信機21により受信された指令信号を所定の記憶部(図示略)に記憶して、上述したステップS26に進む。
なお、このステップS42の処理が実行されるのは、前回の処理において所定の操作が誤操作では無いと判定されて、誤操作フラグFのフラグ値に「0」が設定された場合である。つまり、指令信号によって指示される車載機器の動作の実行が既に許可されている場合である。
【0077】
この変形例では、例えば図5(A)に示すように、第1の指令信号を受信した時刻t1以後の所定時間Tの間に、第2および第3の指令信号を、順次、時刻t2、t3に受信した場合に、受信時刻間の時間的間隔が短くなる場合(第1期間T1>第2期間T2)には、操作者が意図的に指令信号を送信している可能性が高いと推定して、携帯機13に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定する。
【0078】
また、例えば図5(B)に示すように、第1の指令信号を受信した時刻t1以後の所定時間Tの間に、第2および第3の指令信号を、順次、時刻t2、t3に受信した場合に、受信時刻間の時間的間隔が長くなる場合(第1期間T1<第2期間T2)には、次に(例えば、時刻t5に)受信する同一の種別の指令信号に対して、受信時刻間の時間的間隔が短くなるか否かを判定する。
【0079】
この場合には、第3の指令信号を受信したときに受信時刻間の時間的間隔が長くなった時刻t3において、この時点での第1期間T1の値を、この時点での第2期間T2の値で置換し、さらに、この時点での第2期間T2の値としてゼロを設定し、新たに第2期間T2の計測を開始する。このとき、減算タイマー値に所定値を加算して、減算タイマーの計数時間を延長を延長する。
そして、延長された計数時間に応じた時刻t6までの間に、同一の種別の指令信号(時刻t5での指令信号)を受信すると、前回に指令信号を受信した時刻t3から今回に指令信号を受信した時刻t5までの期間が第2期間T2として設定される。
そして、この第2期間T2が第1期間T1(つまり時刻t2から時刻t3までの期間)よりも短くなる場合には、操作者が意図的に指令信号を送信している可能性が高いと推定して、携帯機13に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定する。
【0080】
この変形例によれば、少なくとも3回の各指令信号の受信において受信時刻間の時間的間隔が短くなる場合には、車載機器の動作の実行の禁止を解除する。この場合には、操作者が意図的に指令信号を送信している可能性が高いと推定して、携帯機13に対する操作者の所定の操作は誤操作では無いと判定する。これにより、煩雑な特別の操作を必要とせずに、連続操作という簡単な操作のみで、車載機器の動作の実行許可に操作者の意思を適切に反映させることができ、利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0081】
10 車両用遠隔制御装置
11 車両
12 制御装置
13 携帯機
25 スピーカ(音発生手段)
26 インジケータ(発光体)
31 信号強度判定部
32 接近判定部(接近判定手段)
33 誤操作判定部(誤操作判定手段)
34 車両制御部(車両側アンサーバック手段)
42 測位信号受信機(測位信号受信手段)
46 携帯機制御部(携帯機側アンサーバック手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の操作に応じて指令信号を無線送信可能な携帯機と、該携帯機から送信された前記指令信号を受信した場合に前記指令信号の種別に応じた車載機器の動作を実行する車両と、該車両が受信した前記指令信号の信号強度が所定値以下である場合に前記車両による前記車載機器の動作の実行を禁止する制御装置とを備える車両用遠隔制御装置であって、
前記制御装置は、前記所定の操作は誤操作であるか否かを判定する誤操作判定手段を備え、
前記誤操作判定手段は、前記所定の操作が誤操作では無いと判定するための条件として、前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が受信した後の所定時間の間に、該指令信号の種別と同一の種別であって、かつ前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が再度受信するという条件を少なくとも有し、
前記制御装置は、前記誤操作判定手段により前記所定の操作は誤操作では無いと判定された場合には、前記禁止を解除することを特徴とする車両用遠隔制御装置。
【請求項2】
前記誤操作判定手段は、前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が受信した後の所定時間の間に、該指令信号の種別と同一の種別であって、かつ前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が再度受信した場合に、前回に受信した前記指令信号の前記信号強度に対して今回に受信した前記指令信号の前記信号強度が減少した場合に、前記所定の操作が誤操作であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用遠隔制御装置。
【請求項3】
前記車両は、前記携帯機から送信された前記指令信号を受信したことに応じて当該車両に設けられた発光体または音発生手段を駆動することでアンサーバック動作を行う車両側アンサーバック手段を備え、
前記携帯機は、前記車両による前記指令信号の受信結果を報知する携帯機側アンサーバック手段を備え、
前記制御装置は、前記車両が受信した前記指令信号の信号強度が所定値以下である場合には前記車両側アンサーバック手段による前記アンサーバック動作の実行を禁止するとともに、前記車両による前記車載機器の動作の実行が禁止されている旨の報知を前記携帯機側アンサーバック手段により実行させることを指示する報知信号を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用遠隔制御装置。
【請求項4】
前記携帯機は、該携帯機に固有に予め設定された操作に応じて前記指令信号とは異なる特定信号を無線通信可能であり、
前記制御装置は、前記車両が前記特定信号を受信した場合には、該特定信号の信号強度にかかわらず、前記車両側アンサーバック手段による前記アンサーバック動作の実行の禁止を解除することを特徴とする請求項3に記載の車両用遠隔制御装置。
【請求項5】
前記携帯機は、位置情報を含む測位信号を受信可能な測位信号受信手段を備えるとともに、前記測位信号受信手段が受信した前記測位信号に含まれる前記位置情報を前記指令信号とともに無線送信し、
前記制御装置は、前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が受信した後の所定時間の間に、該指令信号の種別と同一の種別であって、かつ前記信号強度が前記所定値以下の前記指令信号を前記車両が再度受信した場合に、前回に前記指令信号と共に受信した前記位置情報と、今回に前記指令信号と共に受信した前記位置情報とに基づいて前記携帯機が前記車両に接近しているか否かを判定する接近判定手段を備え、
前記誤操作判定手段は、前記接近判定手段により前記携帯機が前記車両に接近していないと判定された場合に、前記所定の操作が誤操作であると判定することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の車両用遠隔制御装置。
【請求項6】
前記携帯機は、位置情報を含む測位信号を受信可能な測位信号受信手段を備えるとともに、前記測位信号受信手段が受信した前記測位信号に含まれる前記位置情報を前記指令信号とともに無線送信し、
前記誤操作判定手段は、前記車両が前記指令信号を受信したにもかかわらずに該指令信号と共に前記位置情報を受信することができなかった場合、または、前記車両が前記指令信号と共に受信した前記位置情報が予め設定された所定位置の情報である場合に、前記所定の操作が誤操作であると判定することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1つに記載の車両用遠隔制御装置。
【請求項7】
前記誤操作判定手段は、前記車両が前記所定時間の間に同一の種別の前記指令信号を少なくとも3回受信し、かつ、当該3回において順次受信された第1および第2および第3の前記指令信号に対して、前記第1の前記指令信号と前記第2の前記指令信号との時間的間隔が、前記第2の前記指令信号と前記第3の前記指令信号との時間的間隔よりも長い場合に、前記所定の操作が誤操作では無いと判定することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1つに記載の車両用遠隔制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−87527(P2012−87527A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234871(P2010−234871)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】