説明

車両用音輪郭強調装置

【課題】車室内で乗員に会話及びサイレン等の音を聞き取り易くさせることができる車両用音輪郭強調装置を提供する。
【解決手段】本発明の車両用音輪郭強調装置は、音を集音する集音装置2と、集音装置2から集音された音の周波数のうち聴覚が敏感に反応する予め設定された特定周波数帯域の音信号を増幅する信号増幅器3と、増幅された音信号を固体伝搬振動に変換するアクチュエータ4と、アクチュエータ4が固定され車室内に配置された振動伝達可能な固体振動伝達部材5と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内において乗員が会話などを聞き易くするための車両用音輪郭強調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2010−50532号公報(特許文献1)に記載されているように、従来から、イヤホンに入ってくる雑音をキャンセルする技術が研究されている。外来ノイズをキャンセルすることで、本来聞きたい音(すべての音声を含む)をより鮮明に聞こえるようにしている。このように、人が聞きたい音をよりよく聞こえるようにする技術が研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−50532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両内での会話は、例えば車速が上がるほど(例えば50km/h以上で)騒音等により聞こえにくくなる。また、緊急車両のサイレンも、停車時よりも走行時のほうが聞こえにくくなる。走行中において、これらの音を乗員が聞き取り易くなることが求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、車室内で乗員に会話及びサイレン等の音を聞き取り易くさせることができる車両用音輪郭強調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する請求項1に係る車両用音輪郭強調装置の発明は、音を集音する集音装置と、前記集音装置から集音された音の周波数のうち聴覚が敏感に反応する予め設定された特定周波数帯域の音信号を増幅する信号増幅器と、前記増幅された音信号を固体伝搬振動に変換するアクチュエータと、前記アクチュエータが固定され車室内に配置された振動伝達可能な固体振動伝達部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記固体伝搬振動の前記固体振動伝達部材への伝達を制御する伝達制御装置を備え、前記固体振動伝達部材は、運転手の耳位置に近い耳近傍部位を有する第一部材と、前記耳近傍部位から離間した離間部位を有する第二部材と、を備え、前記伝達制御装置は、前記アクチュエータが変換した振動を前記第一部材のみに伝達する第一モードと、前記アクチュエータが変換した振動を前記第一部材及び前記第二部材に伝達する第二モードとを切り替える経路切替機構と、前記経路切替機構を制御する切替制御装置と、をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記第一部材および前記第二部材は、前記アクチュエータに当接されており、前記経路切替機構は、前記アクチュエータと前記第二部材とを接続可能に配置された振動伝達可能なバイパス部材と、前記切替制御装置の指令に基づき前記バイパス部材により前記アクチュエータと前記第二部材とを接続/非接続させる接続機構と、を有し、前記バイパス部材の経路長は、前記第二部材に伝達される振動を減衰させる長さに設定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2において、前記第一部材および前記第二部材は、前記アクチュエータに当接されており、前記経路切替機構は、前記第二部材に固定され音信号を固体伝搬振動に変換するサブアクチュエータを有し、前記切替制御装置は、前記第一モードを選択する場合、前記サブアクチュエータに、前記第二部材に伝達される振動を減衰させる振動に対応する音信号を伝達することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2において、前記アクチュエータは、前記第一部材に固定され、前記経路切替機構は、前記第一部材と前記第二部材との接合部分に配置されたシリンダと、前記シリンダ内に配置された振動伝達可能なピストンと、前記シリンダ内に気体又は液体を流入出させるタンクと、を有し、前記切替制御装置は、前記第一モードを選択する場合、前記シリンダ内の前記接合部分位置を気体又は液体で満たし、前記第二モードを選択する場合、前記シリンダ内の前記接合部分位置に前記ピストンを配置させることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項2において、前記経路切替機構は、前記アクチュエータが、一端面と前記第二部材とが所定間隔となるように前記第一部材に固定されて構成され、前記切替制御装置は、前記第二モードを選択する場合、前記アクチュエータに、前記アクチュエータの振幅が前記所定間隔以上となるよう増幅した音信号を伝達することを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項2〜6の何れか一項において、前記切替制御装置は、集音された音を周波数解析し、当該解析結果に基づいて前記第一モード及び前記第二モードの何れかを選択し、前記経路切替機構に指令することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項7において、前記切替制御装置は、集音された音の周波数のピークが会話音帯域にある場合、前記第二モードを選択し、前記ピークが緊急車両音帯域にある場合、前記第一モードを選択することを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1〜8の何れか一項において、前記第一部材は、運転手のシートのヘッド位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項1〜9の何れか一項において、前記固体振動伝達部材は、シートフレームであることを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項1〜9の何れか一項において、前記固体振動伝達部材は、車両フレームとは別体であることを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項1〜11の何れか一項において、前記信号増幅器の信号増幅度を変更する増幅制御装置を備え、前記増幅制御装置は、車両用駆動源の回転数、車速、室内外の騒音レベル、乗員の状態の少なくともいずれか一つに応じて前記信号増幅器の信号増幅度を可変とすることを特徴とする。
【0018】
請求項13に係る発明は、請求項1〜11の何れか一項において、前記信号増幅器の信号増幅度を変更する増幅制御装置を備え、前記増幅制御装置は、ハイブリッド車両がモータで駆動している場合、室内外の騒音レベル、乗員の状態の少なくともいずれか一つに応じて前記信号増幅器の信号増幅度を可変とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る車両用音輪郭強調装置の発明では、集音装置に入った音のうち聴覚が敏感に反応する周波数帯域(特定周波数帯域)部分が増幅され、固体振動伝達部材が振動して車室内に空気伝搬される。例えば、車体部品全体から振動が音に変換され、空気伝搬する。この時の音は全方位(360°)に放射されるため、他の室内騒音と干渉しにくく、又、自然に響くことになる。これにより、集音装置で集音された車室内での会話やサイレンの音などが強調され、乗員が音(声)の輪郭をはっきりと認識することができる。すなわち、乗員は、会話やサイレンの音が聞こえ易くなる。特定周波数帯域は、人間の耳が敏感に反応する帯域であって、例えばラウドネスカーブに基づき設定できる。
【0020】
請求項2に係る発明では、切替制御装置の制御により、聞こえ易くなる対象が運転手である第一モードと、車室内の広い範囲で聞こえ易くなる第二モードとを切り替えることができる。第一部材は、固体振動伝達部材のうち、運転手の耳位置に近い部位を含んでおり、第一部材にのみアクチュエータの振動を伝達すると、運転手に対して音の輪郭が強調される(第一モード)。一方、第一部材と第二部材とに振動を伝達すると、車室内のより広範囲において音の輪郭が強調される(第二モード)。
【0021】
請求項3に係る発明では、バイパス部材がアクチュエータと第二部材とに接続することで、第二部材の振動を減衰させ、第一部材のみに本来の振動(アクチュエータにより音信号から変換された振動)が伝達される。これにより、単純な構成により、第一モードと第二モードとが切り替えられる。
【0022】
請求項4に係る発明では、サブアクチュエータにより第二部材の振動を減衰させる振動を発生させることで、第二部材の振動を減衰させ、第一部材のみに振動が伝達される。これにより、単純な構成により、第一モードと第二モードとが切り替えられる。
【0023】
請求項5に係る発明では、第一部材と第二部材の接合部分を、気体又は液体とするか、振動伝達可能な部材とするかにより、振動伝達の度合いを変更し、第一モードと第二モードとを切り替えている。
【0024】
請求項6に係る発明では、アクチュエータと第二部材の間に所定間隔を設け、第二モードにする場合に、アクチュエータを第二部材に接するように振幅させることで、両部材に振動を伝達する。これにより、単純な構成により、第一モードと第二モードとが切り替えられる。
【0025】
請求項7に係る発明では、集音された音の周波数帯域に基づいて、第一モードと第二モードとを切り替える。これにより、実状に合った制御が可能となる。
【0026】
請求項8に係る発明では、会話の場合は第二モードにより運転手を含めた広い範囲で聞こえ易くし、サイレンの場合は第一モードにより運転手のみが聞こえ易くなる。これにより、乗員の環境が快適となり、運転手の運転環境は良好となる。
【0027】
請求項9に係る発明では、第一部材がシートのヘッド位置に配置され、より運転手の耳に聞こえ易い配置となる。
【0028】
請求項10に係る発明では、元々車室内に必要な部材であるシートフレームを固体振動伝達部材として用いるため、部品点数の増加を抑えると共に、軽量化も可能となる。
【0029】
請求項11に係る発明では、固体振動伝達部材をシートフレーム等の車両フレームとは別部材とすることで、フレームの強度等を考慮することなく、容易に作製することができる。
【0030】
請求項12に係る発明では、車両用駆動源の回転数、車速、室内外の騒音レベル、乗員の状態の少なくともいずれか一つに応じて変化する騒音に対して、音信号の増幅レベルを可変とすることができ、走行状態に即した制御ができる。
【0031】
請求項13に係る発明では、ハイブリッド車両において、騒音が小さいモータ駆動状態の場合に、室内外の騒音レベル、乗員の状態の少なくともいずれか一つに応じて音信号の増幅レベルを可変とし、走行状態に即した制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第一実施形態の車両用音輪郭強調装置1の構成を示すために内部を透視したシートの斜視図である。
【図2】特定周波数帯域を説明するためのイメージ図である。
【図3】第一実施形態の車両用音輪郭強調装置1の構成を示すために内部を透視したシートの正面図である。
【図4】第二実施形態の車両用音輪郭強調装置1Aの構成を示すために内部を透視したシートの正面図である。
【図5】第二実施形態の変形態様のECU3を示す構成図である。
【図6】第二実施形態の変形態様を示すために内部を透視したシートの正面図である。
【図7】第三実施形態の車両用音輪郭強調装置1Bの構成を示すために内部を透視したシートの正面図である。
【図8】第四実施形態の車両用音輪郭強調装置1Cの構成を示すために内部を透視したシートの正面図である。
【図9】第五実施形態の第一部材51、第二部材52、及びアクチュエータ4を示すシート側方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0034】
<第一実施形態>
第一実施形態の音輪郭強調装置1は、図1に示すように、集音装置2と、ECU3と、アクチュエータ4と、車室内のシートフレーム5と、を備えている。車室内とは、乗員が乗り降り可能な空間を含み、車両のボディ(車体外表面のパネルやドアパネル)より内側を意味する。
【0035】
まず、車両のシート9について説明する。シート9は、主に、ヘッド部91と、背もたれ部92と、座部93と、を有している。ヘッド部91は、乗員がシート9に着座した状態で、乗員の頭位置に対応する部位である。背もたれ部92は、乗員がシート9に着座した状態で、乗員の背中位置に対応する部位である。座部93は、乗員が着座する部位である。シート9内にはシートフレーム5が配置されている。本実施形態では、シート9は運転手側のシートとする。
【0036】
集音装置2は、音を集音するマイクであり、本実施形態では、座部93内に配置されている。
【0037】
ECU3(「信号増幅器」に相当する)は、電子制御ユニットであって、背もたれ部92内に配置されている。ECU3は、配線ケーブルにより、集音装置2及びアクチュエータ4に接続されている。ECU3は、集音装置2から入力される音を音信号に変換し、予め設定された特定周波数帯域について音信号(音声信号)を増幅する。つまり、ECU3は、コンバータにより音(アナログ信号)を音信号(デジタル信号)に変換し、周波数フィルタにより音信号のうちの特定周波数帯域を抽出し、アンプ(増幅器)により音信号のうち特定周波数帯域について増幅する。
【0038】
特定周波数帯域とは、人間の聴覚(鼓膜)が敏感に反応する周波数帯域であって、ラウドネスカーブ(等ラウドネス曲線)に基づいて設定されている。ラウドネスカーブとは、音の周波数を変化させたときに等しいラウドネスになる音圧レベルを測定し、等高線として結んだものである。ラウドネスとは、人の聴覚で感じる、音の大きさの感覚である。ラウドネスカーブによれば、人の聴覚は、およそ500Hz〜4kHzの周波数帯域の音に敏感に反応する。本実施形態では、この500Hz〜4kHzの周波数帯域を特定周波数帯域として設定している。
【0039】
アクチュエータ4は、磁歪材料を用いた磁歪アクチュエータである。アクチュエータ4は、ECU3から送信される増幅された音信号を固体伝搬振動に変換する。アクチュエータ4は、シート9内のシートフレーム5に固定されている。詳細に、アクチュエータ4は、図1に示すように、シートフレーム5のうち背もたれ部92の上部位置に配置されている。アクチュエータ4の振動は、シートフレーム5に伝達される。
【0040】
シートフレーム5は、運転手のシート9内に配置されたシート9の骨格を形成する部材である。シートフレーム5は、金属材料(例えば鋼板)からなり、振動を伝達することができる。シートフレーム5は、アクチュエータ4の振動を、シートフレーム5全体に伝達(固体伝搬)すると共に、シートフレーム5周囲の空気等にも振動を伝達(空気伝搬)する。つまり、特定周波数帯域が増幅された音(すなわち聴覚が敏感に反応する音)は、シートフレーム5によって、車室内に伝搬される。これにより、車室内の乗員、特にシート9に着座する運転手に、輪郭が強調された音が伝搬される。
【0041】
図2に示すように、一般に、男性の発する音(声)がもつ強い主成分は約50Hz前後であり、女性の場合約150Hz前後である。また、救急車等の緊急車両が鳴らすサイレンの主成分は約1kHz前後である。これら音の周波数のうち特定周波数領域を増幅することで、人にとって聞き取り易い音となる。
【0042】
本実施形態によれば、乗員は、車両走行中であっても、車室内での会話が聞き取りやすくなり、緊急車両のサイレンも聞き取り易くなる。また、本実施形態によれば、車両のシートフレームを固体振動伝達部材として用いているため、車両の部品点数増加及び重量化を抑えることができる。また、本実施形態によれば、乗員は、何も身に付ける必要はなく、ただ着座するだけでよく、煩わしさも排除されている。
【0043】
なお、本実施形態において、アクチュエータ4の取り付け位置は上記に限られない。アクチュエータ4は、固体振動伝達部材(金属部材や木材)に固定されればよく、例えば他のシートフレーム、車両のドアフレーム又は天井の内装パネル等に固定されてもよい。この場合、シートフレーム5の代わり、ドアフレーム又は天井の内装パネル等が固体振動伝達部材として機能する。
【0044】
また、図3に示すように、車両がもつフレーム等の部材とは別に、サブパネル5aを用意し、サブパネル5aにアクチュエータ4を取り付けてもよい。この場合、サブパネル5aを車室内(図3ではシート9内)に配置することで、上記同様の効果が発揮される。この場合、部品点数が増加するが、強度を考慮する必要がないため、サブパネル5aとしてより薄い板を用いることができる。これにより、音輪郭強調装置1は、より高い音(特定周波数帯域)を伝搬させやすくなる。
【0045】
また、本実施形態は、ECU3の代わりに、特定周波数帯域を通過させるアナログフィルタと、アナログフィルタを通過した音を増幅させる増幅器と、を備えてもよい。また、特定周波数帯域は、設定により変更可能である。
【0046】
<第二実施形態>
第二実施形態の音輪郭強調装置1Aは、図4に示すように、集音装置2と、ECU3と、アクチュエータ4と、固体振動伝達部材50と、伝達制御装置6と、を備えている。第一実施形態と同構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0047】
固体振動伝達部材50は、金属で形成された薄板であって、運転手のシート9内(背もたれ部92内)に長手方向が上下方向となるように配置されている。固体振動伝達部材50は、第一部材51と、第二部材52とからなっている。
【0048】
第一部材51は、固体振動伝達部材50のうち上端部を含む上側の部位である。固体振動伝達部材50が背もたれ部92に配置されていることから、第一部材51は、固体振動伝達部材50のうち、乗員がシート9に着座した状態で乗員の耳位置に最も近い部位を有している。
【0049】
第二部材52は、第一部材51とは別体であって、固体振動伝達部材50のうち下端部を含む下側の部位である。つまり、第二部材52は、固体振動伝達部材50のうち、第一部材51の耳近傍部位とは離間した反対側の端部(「離間部位」に相当する)を含んでいる。第一部材51および第二部材52は、アクチュエータ4に当接されている。つまり、アクチュエータ4は、第一部材51の下端部と第二部材52の上端部とに接続されている。接続は、バネ部材(図示せず)により上方から下方に押し付けられた第一部材51と、バネ部材(図示せず)により下方から上方に押し付けられた第二部材52とによりアクチュエータ4を挟みこんで為されている。なお、接続は、接着剤等による接着でもよい。本実施形態では、第二部材52が第一部材より長くなっている。
【0050】
伝達制御装置6は、固体伝搬振動の固体振動伝達部材50への伝達を制御するものであって、経路切替機構60、切替制御装置および増幅制御装置を含む。経路切替機構60は、バイパス部材61と、接続機構62と、を有している。バイパス部材61は、金属で形成された薄板であって、略L字型に形成されている。バイパス部材61は、一端がアクチュエータ4に接続され、他端が第二部材52に対して所定間隔をもって配置されている。バイパス部材61の全長(一端から他端までの長さ)は、他端が第二部材52に接続した状態で、第二部材の振動を減衰させることができる長さに設定されている。
【0051】
つまり、アクチュエータ4からバイパス部材61に伝搬された振動は、バイパス部材61の全長(経路長)により、アクチュエータ4から直接第二部材52に伝わる振動をキャンセルする位相(例えば逆位相)で第二部材52に到達する。第二部材52での振動のキャンセルは、バイパス部材61の経路長を調整することで実現できる。
【0052】
接続機構62は、ECU3の指令に基づいて、バイパス部材61の他端と第二部材52とを接続/非接続させる機構である。接続機構62は、例えば、電磁スイッチであって、ECU3からハイ信号を受けるとバイパス部材61を第二部材52に接続させ、ロー信号を受けるとバイパス部材61を元の位置に戻す。
【0053】
バイパス部材61が第二部材52に接続されると、第二部材52の振動が減衰される。つまり、この場合、アクチュエータ4の本来の振動は、第一部材51のみに伝達される(第一モード)。一方、バイパス部材61と第二部材52が接続していない場合、第一部材51及び第二部材52にそれぞれ本来の振動が伝達される(第二モード)。つまり、経路切替機構60は、アクチュエータ4が変換した振動(本来の振動)を第一部材51のみに伝達する第一モードと、アクチュエータ4が変換した振動(本来の振動)を第一部材51及び第二部材52に伝達する第二モードとを切り替えるための機構である。
【0054】
ECU3は、第一実施形態の機能に加えて、接続機構62を制御する機能を有している。つまり、ECU3は、切替制御装置を兼ねている。ECU3は、第一モードを選択する場合、接続機構62に接続命令を出し、第二モードを選択する場合、接続機構62に非接続命令を出す。モード選択は、乗員の手動(物理スイッチ等)でも、予め設定した条件により自動的に行うものでも、あるいはその両方であってもよい。手動の場合、ECU3は、乗員の操作(スイッチ)に連動して指令を出す。
【0055】
第二実施形態によれば、第一モードを選択することで、アクチュエータ4の振動は運転手の耳位置に近い部位を含む第一部材51のみに伝達される。したがって、第一モードでは、輪郭が強調された音が特に運転手に対して伝搬される。第一モードは、例えば、乗員が運転手のみの場合や、運転手にのみ聞こえれば足りる音(例えばサイレン)を伝搬する場合などに選択されると有効である。
【0056】
一方、第二モードを選択した場合、振動は第一部材51及び第二部材52の両方に伝達される。したがって、第二モードでは、第一モードよりも広範囲な車室内に対して、輪郭が強調された音が伝搬される。第二モードは、例えば、乗員が複数の場合や、乗員全員が聞きたい音(例えば会話)を伝搬する場合などに選択されると有効である。このように、第二実施形態では、第一モードと第二モードを切り替えることができる。なお、第一部材51がヘッド部91内に配置され、第二部材52が背もたれ部92に配置されてもよい。これによれば、第一部材51が、運転手の耳位置にさらに近くなり、より効果的である。なお、第一部材51及び第二部材52の形状は、上記に限られず、例えば第二部材52をL字型や逆T字型としてもよい。
【0057】
(変形態様)
ECU3は、予め設定された条件によりモードを選択するように設定できる。例えば、ECU3は、集音装置2から集音された音の周波数を解析し、そのうちの強い周波数帯域に基づいてモードを決定してもよい。ECU3は、図示しない周波数解析部及びモード決定部を有しているといえる。この場合、ECU3は、集音された音の周波数のピークが会話音帯域(会話音声帯域)(およそ40〜150Hz)にある場合には第二モードを選択し、ピークがサイレン等の緊急車両音帯域(およそ1kHz前後)にある場合には第一モードを選択するように設定されてもよい。これにより、サイレン等の運転手のみに聞こえれば足りる音は運転手を対象とし、場面に応じた輪郭強調が可能となる。さらに、この場合において、ピーク位置が会話音帯域及び緊急車両音帯域のいずれでもない場合、輪郭強調(増幅動作)を行わないと設定してもよい。
【0058】
また、図5に示すように、ECU3は、特定周波数帯域に対する増幅度を、所定条件、例えば室内外の騒音、エンジン回転数、車両ネットワークを介した車両情報(EVモード、モータ回転数、車速、ウインカー、ドア開閉、窓開閉、乗員の状態の少なくともいずれか一つ)に基づいて変更してもよい(可変としてもよい)。この場合、ECU3は、増幅制御装置を兼ねている。例えば、ECU3は、エンジンの回転数(タコメータ:TACH)の情報を受けて、回転数の増減に応じて増幅度を増減させてもよい。ECU3は、例えば、回転数が所定値超えた場合に増幅度を増加させるように設定されてもよい。エンジン回転数が増加するほど騒音が大きくなるが、増幅度を大きくすることで、聞き易さを維持することができる。これによれば、走行状態に応じた輪郭強調が可能である。また、モータ回転数、車速、室内外の騒音レベルの増減や、乗員の状態に応じて増幅度を増減させてもよい。
【0059】
また、図5に示すように、ハイブリッド車両である場合、ECU3は、車両が現在エンジンで駆動しているのか、モータで駆動しているのかにより増幅度を変更してもよい。例えば、ECU3は、車両の情報(EV走行)等により車両がモータ駆動か否かを検知し、モータ駆動の場合は、増幅度を小さくし、エンジン駆動の場合は、増幅度を大きくする。これにより、比較的騒音が小さいモータ駆動時には増幅度が小さくなり、走行状態に応じた輪郭強調が可能となる。更に、モータ駆動の場合には、例えば室内外の騒音レベル、乗員の状態の少なくともいずれか一つに応じて信号増幅器の信号増幅度を可変としてもよい。例えば、比較的騒音が小さいモータ駆動時において、室内外の騒音レベルの増減や乗員の状態に応じて増幅度を増減することで、より走行状態に応じた輪郭強調が可能となる。なお、ECU3が走行状態に応じて増幅度を変更する制御は、第一実施形態にも適用可能である。車両情報としては、例えば、EV走行情報、車速情報、ウインカー情報、ドア開閉情報、窓開閉情報、及び室内騒音情報などが挙げられる。
【0060】
また、図6に示すように、固体振動伝達部材50は、運転手シート9のシートフレーム7であってもよい。この場合、シートフレーム7は、例えば、ヘッド部91のフレームである第一部材71と、背もたれ部92のフレームである第二部材72と、を備えている。第一部材71は、下方が開口した略U字型の金属フレームである。第二部材72は、上方が開口した略U字型の金属フレームであり、第一部材71とは間隔を空けて配置されている。
【0061】
この場合、アクチュエータ4は、第一部材71の一方端部と第二部材72の一方端部とに接続されている。第一部材71の他方端部と第二部材72の他方端部とは接続していない。そして、経路切替機構60が第二部材72の一方端部側に配置されている。
【0062】
シートフレーム7を固体振動伝達部材50として用いることで、部品点数の増加及び車両の重量化を抑制することができる。また、上記の場合は、結果としてヘッド部91に第一部材71が配置されているため、運転手により聞こえ易くなっている。
【0063】
<第三実施形態>
第三実施形態の車両用音輪郭強調装置1Bについて図7を参照して説明する。第三実施形態は、第二実施形態における経路切替機構を変更したものであり、その他の部位については同符号を付して説明を省略する。
【0064】
経路切替機構60は、サブアクチュエータ63が第二部材52に固定されて構成されている。固定はどの位置でもよいが、本実施形態では、第二部材52の上端部のアクチュエータ4付近に固定されている。サブアクチュエータ63は、ECU3からの音信号を固体伝搬振動に変換する。
【0065】
ECU3は、第一モードを選択する場合、アクチュエータ4と共にサブアクチュエータ63にも音信号を送信する。サブアクチュエータ63に送信する音信号は、アクチュエータ4の音信号を減衰させる信号(例えば逆位相の信号)に設定されている。つまり、ECU3は、第一モードの際、アクチュエータ4から第二部材52に伝達される振動を減衰させる振動に対応する音信号をサブアクチュエータ63に伝達する。これにより、第一モード時には、第二部材52にアクチュエータ4及びサブアクチュエータ63の両方から振動が伝達され、両振動が互いに打ち消しあう。したがって、第一モード時には、第二部材52の振動がキャンセルされ、第一部材51のみに振動が伝達される。これにより、第一モードと第二モードが切り替えられる。
【0066】
第三実施形態においても、第二実施形態同様の変形態様が可能である。例えば、固体振動伝達部材50は、シートフレーム7であってもよい。
【0067】
<第四実施形態>
第四実施形態の車両用音輪郭強調装置1Cについて図8を参照して説明する。第四実施形態は、第二実施形態におけるアクチュエータ4の固定位置及び経路切替機構を変更したものであり、その他の部位については同符号を付して説明を省略する。
【0068】
アクチュエータ4は、第一部材51中央に固定されており、第二部材52には直接接続されていない。
【0069】
経路切替機構60は、弾性部材64と、ポンプ65と、を有している。弾性部材64は、ゴムにより略筒形状に形成されている。弾性部材64は、嵌合凸部64aと、圧力室64bと、を備えている。嵌合凸部64aは、内周面全周に亘り、内周面から径方向内側に向けて突出した部位である。嵌合凸部64aは、上下に1箇所ずつ設けられている。上側の嵌合凸部64aは、第一部材51の嵌合凹部51aに嵌合し、下側の嵌合凸部64aは、第二部材52の嵌合凹部52aに嵌合している。
【0070】
弾性部材64は、上下方向に若干伸ばした状態で第一部材51と第二部材52とに嵌合させている。つまり、弾性部材64は、第一部材51及び第二部材52を互いに近づける方向に付勢して当接させている。
【0071】
圧力室64bは、第一部材51と第二部材52との当接部分の周囲において、弾性部材64の内周面の凹部によって形成されている。圧力室64b内は、密封状態であり、ポンプ65からの管が挿入されている。ポンプ65は、モータ65aを有し、ECU3の制御により、圧力室64bに空気を流入させる。
【0072】
ECU3は、第一モードを選択する場合、ポンプ65に指令し、圧力室64bに空気を流入させる。これにより圧力室64b内の圧力が高くなり、当該圧力が弾性部材64の付勢力に打ち勝って第一部材51と第二部材52を隔離させる。つまり、ECU3は、空気圧により第一部材51と第二部材52の当接状態を解除する。これにより、第一モードでは、両部材51、52間に空気が介入され、アクチュエータ4が固定された第一部材51のみに振動が伝達される。
【0073】
ECU3は、第二モードを選択する場合、ポンプ65に指令し、空気の流入を止め、圧力室64bに流入した空気を回収させる。この結果、第一部材51と第二部材52は、弾性部材64の付勢力により当接する。これにより、第二モードでは、両部材51、52に振動が伝達される。なお、圧力室に流入させるのは液体でもよい。
【0074】
第四実施形態においても、第二実施形態同様の変形態様が可能である。例えば、固体振動伝達部材50は、シートフレーム7であってもよい。この場合、第一部材71の両端部それぞれに弾性部材64が設置される。
【0075】
<第五実施形態>
第五実施形態の車両用音輪郭強調装置について図9を参照して説明する。第五実施形態は、第二実施形態におけるアクチュエータ4の固定位置及び経路切替機構を変更したものであり、その他の部位の説明を省略する。図9は、第一部材51、第二部材52、及びアクチュエータ4を車両側方から見た図である。本実施形態では、アクチュエータ4の配置位置が経路切替機構を構成する。
【0076】
アクチュエータ4は、第一部材51の下端部に固定され、第二部材52とは車両前後方向に所定間隔ΔLを空けて配置されている。つまり、経路切替機構は、アクチュエータ4が、アクチュエータ4の一端面と第二部材52とが所定間隔ΔLとなるように第一部材51に固定されて構成されている。第一部材51及びアクチュエータ4と第二部材52とは接続していない。
【0077】
ECU3は、第一モードの際は、アクチュエータ4の振動が第二部材52に接触しない振動となる音信号をアクチュエータ4に伝達し、第二モードの際は、アクチュエータ4の振動が第二部材52に接触する振動となる音信号をアクチュエータ4に伝達する。換言すると、ECU3は、第二モードを選択する場合、アクチュエータ4に、アクチュエータ4の振幅が所定間隔ΔL以上となるよう増幅した音信号を伝達する。これにより、第二モードでは、アクチュエータ4の振動が第一部材51及び第二部材52の両方に伝達される。つまり、ECU3は、アクチュエータ4の振幅の大きさを制御することにより、モードを切り替えることができる。
【0078】
第五実施形態においても、第二実施形態同様の変形態様が可能である。例えば、固体振動伝達部材50は、シートフレーム7であってもよい。
【0079】
なお、第二〜第五実施形態において、第一モードと第二モードの切り替えは、単純なスイッチ機構によるものでもよい。本発明は、例えば、アクチュエータ4が固定された第一部材51と、第一部材51と離間して配置された第二部材52と、アクチュエータ4と第二部材52とを接続/非接続させるスイッチ(図示せず)と、を備えてもよい。スイッチの一端がアクチュエータ4に固定されている場合、ECU3は、第一モードの際に、スイッチの他端を第二部材52から物理的に切り離し、第二モードの際に、スイッチの他端を第二部材52に接触させればよい。これにより、モードの切り替えが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1,1A,1B,1C:車両用音輪郭強調装置、
2:集音装置、 3:ECU、 4:アクチュエータ、 5,7:シートフレーム、
5a:サブパネル、 50:固体振動伝達部材、
51,71:第一部材、 52,72:第二部材、 6:伝達制御装置、
60:経路切替機構、 61:バイパス部材、 62:接続機構、
63:サブアクチュエータ、
64:弾性部材、 64b:圧力室、 65:ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を集音する集音装置と、
前記集音装置から集音された音の周波数のうち聴覚が敏感に反応する予め設定された特定周波数帯域の音信号を増幅する信号増幅器と、
前記増幅された音信号を固体伝搬振動に変換するアクチュエータと、
前記アクチュエータが固定され車室内に配置された振動伝達可能な固体振動伝達部材と、
を備えることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記固体伝搬振動の前記固体振動伝達部材への伝達を制御する伝達制御装置を備え、
前記固体振動伝達部材は、運転手の耳位置に近い耳近傍部位を有する第一部材と、前記耳近傍部位から離間した離間部位を有する第二部材と、を備え、
前記伝達制御装置は、
前記アクチュエータが変換した振動を前記第一部材のみに伝達する第一モードと、前記アクチュエータが変換した振動を前記第一部材及び前記第二部材に伝達する第二モードとを切り替える経路切替機構と、
前記経路切替機構を制御する切替制御装置と、
をさらに備えることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第一部材および前記第二部材は、前記アクチュエータに当接されており、
前記経路切替機構は、前記アクチュエータと前記第二部材とを接続可能に配置された振動伝達可能なバイパス部材と、前記切替制御装置の指令に基づき前記バイパス部材により前記アクチュエータと前記第二部材とを接続/非接続させる接続機構と、を有し、
前記バイパス部材の経路長は、前記第二部材に伝達される振動を減衰させる長さに設定されていることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記第一部材および前記第二部材は、前記アクチュエータに当接されており、
前記経路切替機構は、前記第二部材に固定され音信号を固体伝搬振動に変換するサブアクチュエータを有し、
前記切替制御装置は、前記第一モードを選択する場合、前記サブアクチュエータに、前記第二部材に伝達される振動を減衰させる振動に対応する音信号を伝達することを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記アクチュエータは、前記第一部材に固定され、
前記経路切替機構は、付勢により前記第一部材と前記第二部材とを当接させる弾性部材と、前記第一部材と前記第二部材の当接部分の周囲に設けられた圧力室と、前記切替制御装置の指令に基づき前記圧力室に気体又は液体を流入出させるポンプと、を有し、
前記切替制御装置は、前記第一モードを選択する場合、前記圧力室に気体又は液体を流入させて第一部材と第二部材とを隔離させることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項6】
請求項2において、
前記経路切替機構は、前記アクチュエータが、一端面と前記第二部材とが所定間隔となるように前記第一部材に固定されて構成され、
前記切替制御装置は、前記第二モードを選択する場合、前記アクチュエータに、前記アクチュエータの振幅が前記所定間隔以上となるよう増幅した音信号を伝達することを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項7】
請求項2〜6の何れか一項において、
前記切替制御装置は、集音された音を周波数解析し、当該解析結果に基づいて前記第一モード及び前記第二モードの何れかを選択し、前記経路切替機構に指令することを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記切替制御装置は、集音された音の周波数のピークが会話音帯域にある場合、前記第二モードを選択し、前記ピークが緊急車両音帯域にある場合、前記第一モードを選択することを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項において、
前記第一部材は、運転手のシートのヘッド位置に配置されていることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項において、
前記固体振動伝達部材は、シートフレームであることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項11】
請求項1〜9の何れか一項において、
前記固体振動伝達部材は、車両フレームとは別体であることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項において、
前記信号増幅器の信号増幅度を変更する増幅制御装置を備え、前記増幅制御装置は、車両用駆動源の回転数、車速、室内外の騒音レベル、乗員の状態の少なくともいずれか一つに応じて前記信号増幅器の信号増幅度を可変とすることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。
【請求項13】
請求項1〜11の何れか一項において、
前記信号増幅器の信号増幅度を変更する増幅制御装置を備え、前記増幅制御装置は、ハイブリッド車両がモータで駆動している場合、室内外の騒音レベル、乗員の状態の少なくともいずれか一つに応じて前記信号増幅器の信号増幅度を可変とすることを特徴とする車両用音輪郭強調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−70291(P2013−70291A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208282(P2011−208282)
【出願日】平成23年9月24日(2011.9.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】