説明

車両窓開閉装置及び車両窓開閉方法

【課題】車両窓の開閉中により迅速に、かつ確実に開閉停止操作を行う車両窓操作装置を提供する。
【解決手段】車両窓の開閉操作を行う車両窓開閉装置1は、操作者の入力を受けつける入力部10と、操作の優先度を制御する優先度制御部20と、優先度に基づき、入力を操作として認識する操作認識部30と、操作認識部30の操作のうち車両窓操作を認識した場合、車両窓の開閉を制御する窓制御部40とを備え、窓制御部40が車両窓を開閉している間、優先度制御部20は、車両窓操作のうち車両窓の開閉停止操作の優先度を、開閉停止操作以外の操作の優先度よりも高め、窓制御部40は、優先度に基づいて操作認識部30が開閉停止操作を認識した場合、車両窓の開閉を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全性を担保した車両窓の開閉停止操作を実現する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両窓の開閉を行う場合、従来、操作者は車両のドアトリムに設置された個別の窓開閉用のハードスイッチを操作することで窓を開閉している。また、近年のカーオーディオシステムやカーナビゲーションシステムの普及に伴い、車両からではなく、上記のカーオーディオシステムやカーナビゲーションシステムの入力部から車両窓の開閉を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、センターコンソールに設置したディスプレイとタッチパネルを用い、ディスプレイ上に窓開閉操作用のGUI(GRAPHICAL USER INTERFACE)を構築し、このGUIの画面操作によってワンタッチで窓の開閉操作を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−146766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなワンタッチ、またはこれに相当する単純な操作により、車両窓の開閉操作を行う構成の場合、車両窓の開閉中に操作者が窓周辺部に何らかの危険を感じ、窓の開閉動作を直ちに停止させたい場合、通常の開閉停止操作では操作者は、操作を誤る可能性が高く、安全性が低い。
【0005】
そこで、本発明は、車両窓の開閉中に操作者がより迅速に、かつ確実に開閉停止操作を行うことを可能にする安全性の高い車両窓操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両窓開閉装置の一態様は、車両窓の開閉を行う車両窓開閉装置であって、操作者の入力を受けつける入力部と、前記車両窓開閉装置の操作の優先度を制御する優先度制御部と、前記優先度に基づき、前記入力を前記操作として認識する操作認識部と、前記操作認識部が前記操作のうち車両窓操作を認識した場合、車両窓の開閉を制御する窓制御部とを備え、前記窓制御部が車両窓を開閉している間、前記優先度制御部は、前記車両窓操作のうち車両窓の開閉停止操作の優先度を、前記開閉停止操作以外の操作の優先度よりも高め、前記窓制御部は、前記優先度に基づいて、前記操作認識部が前記開閉停止操作を認識した場合、車両窓の開閉を停止する。
【0007】
この構成により車両窓開閉中には他の車両窓操作に対して開閉停止操作に対する優先度が高いため、操作者は、より確実に開閉停止操作を行うことができる。
【0008】
また、本発明に係る車両窓開閉装置は、さらに、前記操作の状態を表示する表示部を備え、前記入力部は、前記表示部に重ね合わされ、前記操作者のタッチ入力を受けつけるタッチパネルであり、前記優先度制御部は、前記操作に対応するタッチパネル領域の大小により前記優先度を決定し、前記操作に対応する前記タッチパネル領域を大きくすることで、前記操作の前記優先度を高め、前記操作認識部は、前記タッチパネル領域への前記タッチ入力を前記操作として認識する構成であってもよい。
【0009】
この構成により、車両窓開閉中には開閉停止操作を認識するタッチパネル領域が他の操作を認識するタッチパネル領域よりも大きいため、操作者はタッチ入力のミスを減らすことができ、より確実に開閉停止操作を行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る車両窓開閉装置は、さらに、前記操作認識部が認識する前記操作と音声パターンとの対応を示す音声パターンデータベースを備え、前記入力部は、操作者の音声入力を受けつけるマイクであり、前記優先度制御部は、前記音声パターンデータベースの前記操作に対応する音声パターンの数により前記優先度を決定し、前記操作に対応する音声パターンの数を増やすことで、前記操作の前記優先度を高め、前記操作認識部は、前記音声入力と、前記音声パターンデータベースとを照合し、前記音声入力と前記操作に対応する音声パターンとが一致した場合、前記音声入力を前記操作として認識する構成であってもよい。
【0011】
この構成により、車両窓開閉中には、開閉停止操作として認識される音声パターンの数が他の操作の音声パターン数よりも多いため、操作者は声を発することで迅速に窓の開閉停止操作を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る車両窓開閉装置は、さらに、前記操作認識部が認識する前記操作と音声パターンとの対応を示す音声パターンデータベースを備え、前記入力部は、操作者の音声入力を受けつけるマイクであり、前記操作認識部は、前記音声入力と、前記音声パターンデータベースとを照合し、前記音声入力と前記操作に対応する音声パターンとが一致した場合、前記音声入力を前記操作として認識し、前記窓制御部が車両窓を開閉している間、前記開閉停止操作に対応する音声パターンと、前記開閉停止操作以外の操作に対応する音声パターンとが重複または類似する場合、前記優先度制御部は、重複または類似する前記開閉停止操作に対応する音声パターンの優先度を前記開閉停止操作以外の操作に対応する音声パターンよりも高める構成であってもよい。
【0013】
この構成により、車両窓開閉中には、開閉停止操作として認識される音声パターンが他の操作と重複または類似した場合、開閉停止操作が優先されるため、操作者は、確実に窓の開閉停止操作を行うことができる。
【0014】
また、本発明は、操作者の入力を受けつける入力ステップと、操作の優先度を制御する優先度制御ステップと、前記優先度に基づき、前記入力を前記操作として認識する操作認識ステップと、前記操作認識ステップの前記操作のうち車両窓操作を認識した場合、車両窓の開閉を制御する窓制御ステップとを含み、前記窓制御ステップで車両窓を開閉している間、前記優先度制御ステップでは、前記車両窓操作のうち車両窓の開閉停止操作の優先度を、前記開閉停止操作以外の操作の優先度よりも高め、前記窓制御ステップでは、前記優先度に基づいて、前記操作認識ステップで前記開閉停止操作を認識した場合、車両窓の開閉を停止する車両窓開閉方法や、前記車両窓開閉方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両窓開閉装置及び車両窓開閉方法によれば、車両窓開閉中に車両窓の開閉停止操作に対する優先度を高めることで、安全かつ確実な車両窓の開閉停止操作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、車両窓の開閉停止操作のフローチャートである。
【図3A】図3Aは、表示部の画面表示例を示す図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの表示例に対応するタッチパネル領域を示す図である。
【図3C】図3Cは、図3Aの車両形アイコンを反転させた表示例を示す図である。
【図3D】図3Dは、図3Cの表示例に対応するタッチパネル領域を示す図である。
【図4A】図4Aは、窓開閉中の表示部の画面表示例を示す図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの表示例に対応するタッチパネル領域を示す図である。
【図5A】図5Aは、窓開閉中の表示部の画面表示例を示す図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの表示例に対応するタッチパネル領域を示す図である。
【図6A】図6Aは、窓開閉中の表示部の画面表示例を示す図である。
【図6B】図6Bは、図6Aの表示例に対応するタッチパネル領域を示す図である。
【図7】図7は、車両窓開閉中に優先度によって窓開閉中の表示とタッチパネル領域を変更する例を示す図である。
【図8A】図8Aは、オーディオ機能を備える場合の表示部の画面表示例を示す図である。
【図8B】図8Bは、図8Aの表示例に対応するタッチパネル領域を示す図である。
【図8C】図8Cは、オーディオ機能を備える場合の表示部の車両窓開閉中の画面表示例を示す図である。
【図8D】図8Dは、図8Dの表示例に対応するタッチパネル領域を示す図である。
【図9】図9は、車両窓の開閉中でない場合に用いられる音声パターンデータベースの一例を示す図である。
【図10】図10は、車両窓開閉中に用いられる音声パターンデータベースの一例を示す図である。
【図11】図11は、車両窓開閉中に用いられる音声パターンデータベースの別の例を示す図である。
【図12】図12は、車両窓開閉中に優先度によって音声パターンの数を変更する例を示す図である。
【図13】図13は、オーディオ機能を備える場合に用いられる音声パターンデータベースの一例を示す図である。
【図14】図14は、オーディオ機能を備える場合に用いられる音声パターンデータベースの車両窓開閉中の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する本発明の実施の形態は、本発明の好ましい一具体例を示すものである。本実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素は、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0018】
図1は本発明の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0019】
車両窓開閉装置1は、車両窓を開閉する装置であり、主要な構成要素として、操作者の入力を受けつける入力部10と、操作の優先度を制御する優先度制御部20と、前記優先度に基づき、入力を操作として認識する操作認識部30と、操作認識部30が車両窓操作を認識した場合、車両窓の開閉を制御する窓制御部40とを備える。なお、図1には、窓駆動部90も併せて記載されている。窓駆動部90は、例えば、電動モーターであり、窓制御部40が出力する制御信号に基づき車両の各窓の開閉を行う。
【0020】
また、本発明の実施の形態では、車両窓開閉装置1は、さらに、従属的な構成要素として、表示部50と、表示部50に重ね合わされるタッチパネル60とからなる車載ディスプレイ70を備える。また、音声パターンデータベース95を備える。
【0021】
表示部50は、操作の状態を表示する。表示部50は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であるが、これに限らず、PDP(Plasma Display Panel)や有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Display)であってもよい。
【0022】
音声パターンデータベース95には、操作に対応する音声パターンが記録されている。
【0023】
入力部10は、操作者のタッチ入力を受けつけるタッチパネル60と、操作者の音声入力を受けつけるマイク80とを備える。
【0024】
優先度制御部20は、操作の優先度を制御する。操作者がタッチパネル60へのタッチ入力で車両窓を操作する場合、優先度は、操作に対応するタッチパネル領域の大きさで決定される。この場合、タッチパネル領域が大きい(広い)ほど優先度は高い。
【0025】
操作者がマイク80への音声入力により操作を行う場合、優先度は、音声パターンデータベース95の操作に対応する音声パターンの数で決定される。この場合、操作に対応する音声パターンの数が多いほど優先度は高い。
【0026】
操作認識部30は、入力部10への入力を操作として認識する。操作認識部30が操作を認識した場合、操作に基づく制御信号を窓制御部40へ出力する。操作者がタッチパネル60へタッチ入力をする場合、操作認識部30は、タッチパネル領域へのタッチ入力を操作として認識する。
【0027】
操作者がマイク80への音声入力により操作をする場合、操作認識部30は、操作者の音声入力と、音声パターンデータベース95とを照合し、音声入力と操作に対応する音声パターンが一致した場合、操作者の音声入力を操作として認識する。
【0028】
窓制御部40は、操作認識部30が操作者の入力を操作として認識し、出力した制御信号により、窓駆動部90を駆動させ、各車両窓の開閉操作を行う。また、窓制御部40は、車両窓を開閉しているか否かを優先度制御部20へ通知する。
【0029】
次に、本発明の実施の形態における車両窓の開閉停止操作の詳細について述べる。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態における窓開閉停止操作を示すフローチャートである。
【0031】
窓制御部40は、車両窓を開閉しているか否かを優先度制御部20へ通知する(S10)。
【0032】
窓制御部40が車両窓を開閉している場合(S10でYes)、優先度制御部20は、操作のうち車両窓の開閉停止操作の優先度を高める(S11)。具体的には、優先度制御部20は、車両窓の開閉停止操作に対応するタッチパネル領域を拡大し、また、開閉停止操作に対応する音声パターンの数を増やす。
【0033】
操作認識部30は、ステップS11で決定された優先度に基づき、開閉停止操作を認識する(S12)。操作認識部30が操作者の入力を開閉停止操作として認識した場合、つまり操作者がステップS11で拡大されたタッチパネル領域へタッチ入力をした場合、または、操作者の音声入力がステップS11で増やされた開閉停止操作に対応する音声パターンに一致した場合(S12でYes)、操作認識部30は、認識した車両窓の開閉停止操作に基づく制御信号を窓制御部40へ出力する。窓制御部40は、操作認識部30の出力に応じて、車両窓の開閉を停止する(S15)。
【0034】
操作認識部30が開閉停止操作に対応するタッチ入力、または開閉停止操作に対応する音声入力を操作として認識しない場合(S12でNo)、優先度制御部20は、窓制御部40が車両窓を開閉している間(S14でYes)は、ステップS12とステップS14を繰り返す。操作認識部30が開閉停止操作に対応するタッチ入力、または音声入力を操作として認識しないまま、窓制御部40が車両窓の開閉制御を終了した場合(S14でNo)、優先度制御部20は、ステップS11で上げた開閉停止操作の優先度を元に戻す(S15)。つまり開閉停止操作に対応するタッチパネル領域と音声パターンの数を、窓制御部40が車両窓を開閉していないときのタッチパネル領域と音声パターンの数に戻す。
【0035】
次に、操作者がタッチパネル60へのタッチ入力にて窓の開閉停止操作を行う場合のユーザインターフェースの詳細について述べる。
【0036】
図3Aは、窓制御部40が車両窓の開閉中でない場合の表示部50の表示例である。
【0037】
本発明の実施の形態では、表示部50には窓開閉操作に対応する図柄として車両窓の操作ボタンを示す車両窓操作表示110が表示される。
【0038】
車両窓の一括操作には、換気操作表示110A、全開操作表示110B、全閉操作表示110Cが対応する。
【0039】
車両窓の個別開閉操作には、車両形アイコン100の窓部分に表示される助手席窓操作表示110D、及び左後席窓操作表示110Eが対応する。
【0040】
図3Bは、図3Aの表示例に対応するタッチパネル領域を示す図である。
【0041】
操作認識部30は、表示部50の車両窓操作表示110に対応するタッチパネル領域120へのタッチ入力を認識する。具体的には、操作認識部30は、車両窓の一括換気操作を示す換気操作表示110Aに対応する領域である換気操作領域120Aへのタッチ入力を一括換気操作として認識する。同様に、操作認識部30は、車両窓の一括全開操作を示す全開操作表示110Bに対応する領域である全開操作領域120Bへのタッチ入力を一括全閉操作として認識し、車両窓の一括全閉を示す全閉操作表示110Cに対応する領域である全閉操作領域120Cへのタッチ入力を一括全開操作として認識する。
【0042】
また、同様に操作認識部30は、車両窓の個別操作を示す助手席窓操作表示110Dに対応する領域である助手席窓操作領域120Dへのタッチ入力を助手席窓開閉操作として認識し、左後席窓操作表示110Eに対応する領域である左後席窓操作領域120Eへのタッチ入力を左後席窓開閉操作として認識する。
【0043】
なお、操作者が運転席側の窓や、右後席の窓を開閉したい場合、操作者は、タッチ入力により車両形アイコン100を回転させ、表示部50に運転席側の窓と、右後席の窓とを表示させることができる。
【0044】
図3Cは、操作者が車両形アイコンを回転させた場合の表示例である。また、図3Dは、図3Cに対応するタッチパネル領域を示す図である。
【0045】
この場合も同様に、操作認識部30は、車両窓の個別操作を示す運転席窓操作表示110Fに対応する領域である運転席窓操作領域120Fへのタッチ入力を運転席窓開閉操作として認識し、右後席窓操作表示110Gに対応する領域である右後席窓操作領域120Gへのタッチ入力を右後席窓開閉操作として認識する。
【0046】
表示部50とタッチパネル60は重ね合わされ、車両窓操作ボタンとして機能する。つまり、操作者は表示部50の車両窓操作表示110に対応するタッチパネル領域120にタッチ入力をすることで車両窓操作を行うことができる。具体的には、図3A及び図3Bで操作者が全閉操作表示110Cに対応する全閉操作領域120Cにタッチ入力を行った場合、操作認識部30はタッチ入力を車両窓の一括全閉操作であると認識し、窓制御部40は操作認識部30からの一括全閉操作を示す制御信号に基づき窓駆動部90を駆動させ、車両の全ての窓を一括して閉じる。
【0047】
同様に、例えば、図3A及び図3Bで、操作者が左後席窓操作表示110Eに対応する左後席窓操作領域120Eにタッチ入力を行った場合、車両窓が閉じている場合には、操作認識部30はタッチ入力を左後席窓の開操作であると認識し、窓制御部40は操作認識部30からの制御信号に基づき窓駆動部90のうち左後席窓駆動部を駆動させ、左後席の窓を開く。車両窓が開いている場合には、操作認識部30は、タッチ入力を左後席窓の閉操作であると認識し、窓制御部40は操作認識部30からの制御信号に基づき窓駆動部90のうち左後席窓駆動部を駆動させ、左後席の窓を閉じる。
【0048】
また、窓制御部40が車両窓の開閉をしていない場合、車両窓の開閉停止操作に対応するタッチパネル領域は、設定されない。
【0049】
窓制御部40が車両窓の開閉中である場合、優先度制御部20は、開閉停止操作に対応するタッチパネル領域を大きくすることによって、操作のうち車両窓の開閉停止操作に対する優先度を高める。
【0050】
図4Aは、図3A及び図3Bの状態から、操作者が車両窓の全閉操作を行い、窓制御部40が車両窓を閉じている間の表示部50の表示例である。また、図4Bは、図4Aの表示例に対応するタッチパネル領域120を示す図である。
【0051】
操作認識部30が操作者のタッチ入力を一括全閉操作として認識し、窓制御部40が車両窓を閉じている間、優先度制御部20は、タッチパネル60の全ての領域を、車両窓の開閉停止に対応する開閉停止操作領域120Hに設定する。同時に、表示部50は、窓制御部40が車両窓を閉じている間、操作者がタッチ入力を行った全閉操作領域120Cに対応する全閉操作表示110Cを車両窓の開閉停止を示す開閉停止操作表示110Hに変更して表示する。また、表示部50は、車両窓の開閉中には換気操作、全開操作を受けつけないことを操作者に伝えるため、換気操作表示110A、及び全開操作表示110Bの色調を暗くする。さらに、表示部50は、操作者にタッチパネル60の開閉停止操作領域120Hの大きさを伝えるためにメッセージ130Aを表示する。
【0052】
図4Aは、操作者が一括全閉操作を行った場合の表示例であるが、操作者がその他の車両窓の一括操作、及び個別操作を行った場合も同様である。表示部50は、窓制御部40の車両窓開閉中は、それぞれの操作に応じて表示を変更し、優先度制御部20は、それぞれの表示画面に対応するタッチパネル60の全ての領域を、全て車両窓の開閉停止に対応する開閉停止操作領域120Hに設定する。
【0053】
これにより、操作者は、車両窓の開閉中にはタッチパネル60のどの領域へタッチしても車両窓の開閉停止操作を行うことができる。つまり、操作者は、タッチ入力を誤る可能性が低く、安全に開閉停止操作を行うことができる。
【0054】
また、窓制御部40の車両窓開閉中に、タッチパネル60の領域の一部が開閉停止操作に対応する構成であってもよい。図5Aは、このような構成の車両窓開閉中の表示部50の表示例である。また、図5Bは、図5Aに対応するタッチパネル領域120を示す図である。図5Aに示される表示例では、開閉停止操作表示110Iと、それに対応する図5Bの開閉停止操作領域120Iの大きさは等しい。また、表示部50は、操作者に窓制御部40が窓開閉中であることを伝えるためにメッセージ130Bを表示する。
【0055】
この構成においても、優先度制御部20は、窓制御部40が車両窓を開閉している間、開閉停止操作領域120Iを他の操作に対応するタッチパネルの領域よりも大きくすることで、優先度を高めている。
【0056】
また、窓制御部40が車両窓の開閉中に開閉停止操作以外の車両窓操作が可能な構成であってもよい。図6Aは、このような構成を示す表示部50の表示例である。また、図6Bは図6Aに対応するタッチパネル領域120を示す図である。
【0057】
操作者が全閉操作表示110Cに対応する全閉操作領域120Cにタッチ入力を行った場合、窓制御部40は、車両の全ての窓を一括して閉じる。窓制御部40が車両窓を閉じている間、操作認識部30は、開閉停止操作領域120Jだけではなく、換気操作領域120A、及び全開操作領域120Bへのタッチ入力も操作として認識する。このとき、表示部50は、図6Aのように図6Bのタッチパネル領域120に対応した、車両窓操作表示110(換気操作表示110A、全開操作表示110B、開閉停止操作表示110J)を表示する。この場合、操作認識部30は全閉操作を認識しないため、表示部50は、全閉操作を受けつけないことを操作者に伝えるため、全閉操作表示110Cの色調を暗くする。
【0058】
この構成では、優先度制御部20は、窓制御部40が車両窓を閉じている間、他の操作よりも開閉停止操作の優先度を高めるため、図6Bに示すように、優先度は、開閉停止操作領域120J>換気操作領域120A、全開操作領域120Bである。これにより、操作者は、他の車両窓操作よりも車両窓の開閉停止操作を確実に行える。
【0059】
なお、図6Aは、操作者が一括全閉操作を行った場合の表示例であり、図6Bは、図6Aに対応するタッチパネル領域120を示す図であるが、操作者がその他の車両窓の一括操作等を行った場合も同様である。表示部50は、窓制御部40の車両窓開閉中は、それぞれの操作に応じて表示を変更し、操作認識部30は、それぞれの表示画面に対応するタッチパネル領域120への操作を認識する。
【0060】
また、窓駆動部90の状態によって優先度を変更してもよい。例えば、車両窓に異物が挟まっているなどの場合、窓駆動部90は、車両窓の開閉駆動時に通常よりも大きな駆動力を必要とする。この駆動力を窓制御部40で検知し、駆動力に応じて開閉停止操作の優先度を決定する構成であってもよい。この構成では、駆動力が大きいほど車両窓に異常が発生している可能性が高く、車両窓周辺に危険が存在する確率が高いため、優先度制御部20は、開閉停止操作領域を拡大する。
【0061】
図7は、このような構成の一例を示す図である。本構成では、窓駆動部90の駆動力に対して第一の閾値と、第一の閾値よりも大きい第二の閾値とを設定し、窓制御部40が車両窓を開閉している間の窓駆動部90の駆動力に応じて、車両窓操作表示110、及びこれに対応するタッチパネル領域120を変更する。
【0062】
図7では、車両窓開閉操作中の閾値と、表示部50及びタッチパネル領域120との関係が示されている。窓駆動部90の駆動力が通常程度である場合、つまり第一の閾値未満である場合、表示部50は、図7の(a)に相当する表示画面を表示し、優先度制御部20は、開閉停止操作に対応するタッチパネルの領域を開閉停止操作領域120Hとする。駆動力が通常よりもやや大きく、第一の閾値以上、第二の閾値未満である場合、表示部50は、図7の(b)に相当する表示画面を表示し、優先度制御部20は、開閉停止操作に対応するタッチパネルの領域を、開閉停止操作領域120Iに設定する。駆動力が通常よりもかなり大きく、第二の閾値以上である場合、表示部50は、図7の(c)に相当する表示画面を表示し、優先度制御部20は、開閉停止操作に対応するタッチパネルの領域を、開閉停止操作領域120Hに設定する。
【0063】
このような構成では、優先度は、開閉停止操作領域120J<開閉停止操作領域120I<開閉停止操作領域120Hという関係であり、危険度が大きいほど、優先度制御部20は、開閉停止操作に対する優先度を高めている。これにより、操作者は、危険度が大きいほど、確実に開閉停止操作を行うことができる。
【0064】
なお、車両窓操作以外の操作も含めて、車両窓の開閉操作中に開閉停止操作の優先度を高める構成も本発明に含まれる。例えば、本発明を車載機器の機能の一部として使用する場合である。図8A〜図8Dは、オーディオ機能を備えた車載機器の機能の一部として本発明を実施した場合の一例である。
【0065】
オーディオ機能を備えた車載機器の機能の一部として本発明を実施した場合、図8Aように表示部50は、オーディオ操作に対応するオーディオ操作表示140として、再生操作表示140A、早送り操作表示140B、巻き戻し操作表示140Cを表示する。図8Bは、図8Aに対応するタッチパネル領域を表す図である。操作認識部30は、車両窓の開閉に対応するタッチパネル領域120へのタッチ入力を車両窓操作として認識し、加えてオーディオ操作に対応するタッチパネル領域150へのタッチ入力をオーディオ操作として認識する。具体的には、操作認識部30は、再生操作領域150Aへのタッチ入力を再生操作として認識し、早送り操作領域150Bへのタッチ入力を早送り操作として認識し、巻き戻し操作領域150Cへのタッチ入力を巻き戻し操作として認識する。
【0066】
図8Cは、図8Aの状態から窓の一括全閉操作を行い、窓制御部40が車両窓の開閉中である場合の表示部50の表示例である。また、図8Dは、図8Cに対応するタッチパネル領域を示す図である。
【0067】
図8Cでは窓制御部40は、一括全閉を行っているため、操作認識部30は、全閉操作を認識しない。このため、表示部50は、全閉操作を受けつけないことを操作者に伝えるため、全閉操作表示110Cの色調を暗くする。
【0068】
優先度制御部20は、窓制御部40が車両窓の開閉している間、他の車両窓開閉操作よりも開閉停止操作への優先度を高めているため、優先度は、開閉停止操作領域120J>換気操作領域120A、全開操作領域120Bである。さらに、優先度は、開閉停止操作領域120J>再生操作領域150A、早送り操作領域150B、巻き戻し操作領域150Cであり、優先度制御部20は、各オーディオ操作に対しても車両窓の開閉停止操作の優先度を高めている。
【0069】
次に、操作者がマイク80への音声入力によって窓の開閉停止操作を行う場合のユーザインターフェースの詳細について述べる。
【0070】
図9は、窓制御部40が車両窓の開閉中でない場合に用いられる、音声パターンデータベース95を示す図である。
【0071】
音声パターンデータベース95は、操作認識部30が認識する操作と音声パターンとの対応を示す。図9に示すように、窓制御部40が車両窓の開閉中でない場合、一括換気操作には「カンキ」という音声パターン、一括全開操作には「オープン」という音声パターン、一括全閉操作には「クローズ」という音声パターン、というように各車両窓操作のそれぞれに音声パターンが対応している。また、図9は、窓制御部40が車両窓の開閉中でない場合であるため、開閉停止操作には音声パターンは対応しない。
【0072】
例えば、操作者が車両窓の全閉操作を意図し、マイク80へ「クローズ」という音声を入力した場合、操作認識部30は、周知の音声認識技術により、操作者の「クローズ」という音声入力と、音声パターンデータベース95とを照合する。音声パターンデータベース95には「クローズ」という音声パターンが存在するため、操作者の「クローズ」という音声入力と、「クローズ」という音声パターンは一致する。図9では、「クローズ」という音声パターンは、一括全閉操作に対応しているため、操作認識部30は、「クローズ」という音声入力を一括全閉操作として認識し、窓制御部40は操作認識部30からの制御信号に基づき窓駆動部90を駆動させ、全ての車両窓を一括して閉じる。
【0073】
窓制御部40が車両窓の開閉中である場合、優先度制御部20は、操作のうち車両窓の開閉停止操作に対する優先度を高める。具体的には、音声パターンデータベース95の操作に対応する音声パターンの数を増やすことで優先度を高める。
【0074】
図10は、窓制御部40が車両窓を閉じている場合に用いられる音声パターンデータベース95の例である。
【0075】
図10に示すように、本発明の実施の形態では、窓制御部40が車両窓の開閉中である場合、優先度制御部20は、音声パターンデータベース95の操作と音声パターンの対応を変更し、車両窓操作に関連する音声パターンを全て車両窓の開閉停止に対応させる。
【0076】
具体的には、優先度制御部20は、窓制御部40が車両窓の開閉中でない場合は、換気操作には「カンキ」という音声パターン、一括全開操作には「オープン」という音声パターン、一括全閉操作には「クローズ」という音声パターン、というように各車両窓操作にそれぞれ対応している音声パターンを、車両窓の開閉中は、全て開閉停止操作に対応させる。また、本発明の実施の形態では、優先度制御部20は、開閉停止操作にのみ対応する音声パターンとして「ストップ」、「トマレ」、「アブナイ」も開閉停止操作に対応づけている。
【0077】
なお、図10は、操作者が一括全閉操作を行った場合の音声パターンデータベース95の例であるが、操作者がその他の車両窓の一括操作等を行った場合も同様である。
【0078】
これにより操作者は、車両窓の開閉中には、開閉停止操作以外の車両窓操作に関連する「カンキ」、「オープン」、「クローズ」や、開閉停止操作に対応する「ストップ」、「トマレ」、「アブナイ」などの、いずれの音声を入力しても車両窓の開閉停止操作を行うことができる。つまり、操作者は、車両窓開閉中は、開閉停止操作に対応する音声パターンの数が多いため、確実に開閉停止操作を行うことができる。
【0079】
また、窓制御部40が車両窓の開閉中に開閉停止操作以外の車両窓操作が可能な構成であってもよい。つまり、車両窓の開閉中に、開閉停止操作以外の車両窓操作に関連する音声パターンが車両窓開閉中でない場合のままである構成でもよい。
【0080】
図11は、このような構成において、操作者が車両窓の全閉操作を行い、窓制御部40が車両窓の開閉中である場合に用いられる音声パターンデータベース95の例である。
【0081】
図11では、操作者が車両窓の全閉操作を行った場合であるため、車両窓を閉じる操作である一括全閉操作や、運転席窓を閉じる操作には音声パターンは対応しない。優先度制御部20は、開閉停止操作には「ストップ」、「トマレ」、「アブナイ」の3つの音声パターンが対応づけている。開閉停止操作以外の車両窓操作に対応する音声パターンが1つまたは0であるのに対し、優先度制御部20は、開閉停止操作に3つの音声パターンを対応づけている。つまり、窓制御部40が車両窓を開閉している間は、優先度制御部20は、開閉停止操作に対応する音声パターンの数を他の操作よりも増やすことで開閉停止操作の優先度を、他の操作よりも高めている。
【0082】
また、窓駆動部90の状態によって優先度を変更してもよい。例えば、車両窓に異物が挟まっているなどの場合、窓駆動部90は、車両窓の開閉駆動時に通常よりも大きな駆動力を必要とする。この駆動力を窓制御部40で検知し、駆動力に応じて開閉停止操作の優先度を決定する構成であってもよい。この構成では、駆動力が大きいほど車両窓に異常が発生している可能性が高く、車両窓周辺に危険が存在する確率が高いため、優先度制御部20は、開閉停止操作に対応する音声パターンの数を増やす。
【0083】
図12は、このような構成の一例を示す図である。本構成では、窓駆動部90の駆動力に対して第一の閾値と、第一の閾値よりも大きい第二の閾値とを設定し、窓制御部40が車両窓を開閉している間の窓駆動部90の駆動力に応じて、音声パターンデータベース95の開閉停止操作に対応する音声パターンの数を変更する。
【0084】
図12では、車両窓開閉操作中の閾値と、音声パターンデータベース95との関係が示されている。窓駆動部90の駆動力が通常程度である場合、つまり第一の閾値未満である場合、音声パターンデータベース95は、図12の(a)に相当し、優先度制御部20は、「ストップ」、「トマレ」、「アブナイ」の3つの音声パターン160Aを開閉停止操作に対応づける。駆動力が通常よりもやや大きく、第一の閾値以上、第二の閾値未満である場合、音声パターンデータベース95は、図12の(b)に相当し、優先度制御部20は、「ストップ」、「トマレ」、「アブナイ」、「テイシ」、「キケン」の5つの音声パターン160Bを開閉停止操作に対応づける。駆動力が通常よりもかなり大きく、第二の閾値以上である場合、音声パターンデータベース95は、図12の(c)に相当し、優先度制御部20は、「ストップ」、「トマレ」、「アブナイ」、「テイシ」、「キケン」の5つの音声パターンに開閉停止操作以外の車両窓操作に関連する音声パターンを加えた音声パターン160Cを開閉停止操作に対応づける。
【0085】
このような構成では、優先度は、音声パターン160Aの数<音声パターン160Bの数<音声パターン160Cの数という関係であり、危険度が大きいほど、優先度制御部20は、開閉停止操作に対応する音声パターンの数を増やし、優先度を高めている。
【0086】
これにより操作者は、危険度が大きいほど、確実に開閉停止操作を行うことができる。
【0087】
なお、本発明を車載機器の機能の一部として使用し、車両窓操作以外の操作も含めて、車両窓の開閉操作中に開閉停止操作の優先度を高める構成も本発明に含まれる。例えば、開閉停止操作に対応する音声パターンと、開閉停止操作以外の操作に対応する音声パターンとが重複する場合、優先度制御部20は、重複する開閉停止操作に対応する音声パターンの優先度を開閉停止操作以外の操作に対応する音声パターンよりも高める構成である。
【0088】
図13及び図14は、オーディオ機能を備えた車載機器の機能の一部として本発明を実現した場合の音声パターンデータベース95の例である。図13は、窓制御部40が車両窓の開閉中でない場合の音声パターンデータベース95の例であるため、開閉停止操作には音声パターンは対応しないが、他の車両窓操作や、オーディオ操作へは、それぞれの音声パターンが対応づけられている。例えば、「ストップ」という音声パターン170はオーディオ停止操作に対応づけられている。
【0089】
図14は、図13の状態から操作者が車両窓の一括全閉操作を行い、窓制御部40が車両窓の全閉中の場合の音声パターンデータベース95の例である。図14の音声パターンデータベース95では、車両窓の全閉操作中のため、一括全閉操作と、運転席窓を閉じる操作には音声パターンは対応しない。この場合、優先度制御部20は、車両窓の開閉停止操作に「ストップ」という音声パターン170を対応づける。「ストップ」という音声パターン170は、オーディオの停止操作にも対応する。車両窓の開閉中には優先度制御部20は、車両窓の開閉停止操作の優先度をオーディオの開閉停止操作よりも高める。したがってこの場合、車両窓の開閉中には操作認識部30は、操作者の「ストップ」という音声入力を車両窓の開閉操作として認識する。
【0090】
このような構成により、操作者が車両窓操作中に危険を感じ、咄嗟に停止を意味する「ストップ」という音声を発した場合、オーディオの停止ではなく、車両窓の開閉停止が優先され、安全に窓の開閉操作を実現できる。
【0091】
なお、優先度制御部20は、車両窓の開閉中に、開閉停止操作に対応する音声パターンに類似する音声パターンを、開閉停止操作に対応づけることで、開閉停止操作の優先度を高める構成であってもよい。
【0092】
例えば、車両窓の開閉停止操作に「テイシ」という音声パターンが対応づけられ、開閉停止操作以外の操作に「テイシャ」という「テイシ」に類似した音声パターンが対応づけられていた場合、車両窓の開閉中には優先度制御部20は、「テイシャ」という類似した音声パターンを車両窓の開閉停止操作に対応づける。
【0093】
これにより、車両窓の開閉中には、操作者が誤って「テイシ」ではなく、「テイシャ」と発声してしまった場合も、操作認識部30は、「テイシャ」という音声入力を車両窓の開閉停止操作として認識する。つまり、車両窓の開閉中は、車両窓の開閉停止が優先される。
【0094】
このような構成により、車両窓操作中には、開閉停止操作に対応する音声パターンに類似する音声入力は、開閉停止操作として認識されるため、操作者は、確実に窓の開閉操作を行える。
【0095】
以上のように、本発明の一態様に係る車両窓開閉装置では、車両窓開閉中に車両窓の開閉停止操作に対する優先度を高めることで、安全かつ確実な車両窓の開閉停止操作を実現することができる。
【0096】
また、本発明は車両窓の開閉方法として、操作者の入力を受けつける入力ステップと、操作の優先度を制御する優先度制御ステップと、優先度に基づき、入力を操作として認識する操作認識ステップと、操作認識ステップの操作のうち車両窓操作を認識した場合、車両窓の開閉を制御する窓制御ステップとを含み、窓制御ステップで車両窓を開閉している間、優先度制御ステップでは、車両窓操作のうち車両窓の開閉停止操作の優先度を、開閉停止操作以外の操作の優先度よりも高め、窓制御ステップでは、優先度に基づいて、操作認識ステップで開閉停止操作を認識した場合、車両窓の開閉を停止する車両窓開閉方法としても実現できる。
【0097】
以上、本発明の一態様に係る車両窓開閉装置について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態またはその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態またはその変形例に施したもの、あるいは異なる実施の形態またはその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0098】
さらに、本発明は、以下のように変形することもできる。
【0099】
(1)上記の車両窓開閉装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムで実現できる。前記ROMまたは前記ハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、車両窓開閉装置は、その機能を達成する。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。なお、各装置は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどの全てを含むコンピュータシステムに限らず、これらの一部から構成されているコンピュータシステムでもよい。
【0100】
(2)上記の車両窓開閉装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0101】
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0102】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0103】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、などから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含んでもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有してもよい。
【0104】
(4)本発明は、上記に示す車両窓開閉装置が備える特徴的な構成部の動作をステップとする方法であってもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであってもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であってもよい。
【0105】
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc(登録商標))、半導体メモリなど、に記録したもので実現してもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号で本発明を実現してもよい。
【0106】
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
【0107】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、車両窓開閉装置として、特に車両窓開閉中に、車両窓の開閉停止操作に対する優先度を高めることで、安全に車両窓の開閉停止操作ができる車両窓開閉システムなどに利用できる。
【符号の説明】
【0109】
1 車両窓開閉装置
10 入力部
20 優先度制御部
30 操作認識部
40 窓制御部
50 表示部
60 タッチパネル
70 車載ディスプレイ
80 マイク
90 窓駆動部
95 音声パターンデータベース
100 車両形アイコン
110 車両窓操作表示
110A 換気操作表示
110B 全開操作表示
110C 全閉操作表示
110D 助手席窓操作表示
110E 左後席窓操作表示
110F 運転席窓操作表示
110G 右後席窓操作表示
110H、110I、110J 開閉停止操作表示
120、150 タッチパネル領域
120A 換気操作領域
120B 全開操作領域
120C 全閉操作領域
120D 助手席窓操作領域
120E 左後席窓操作領域
120F 運転席窓操作領域
120G 右後席窓操作領域
120H、120I、120J 開閉停止操作領域
130A、130B メッセージ
140 オーディオ操作表示
140A 再生操作表示
140B 早送り操作表示
140C 巻き戻し操作表示
150A 再生操作領域
150B 早送り操作領域
150C 巻き戻し操作領域
160A、160B、160C、170 音声パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両窓の開閉を行う車両窓開閉装置であって、
操作者の入力を受けつける入力部と、
前記車両窓開閉装置の操作の優先度を制御する優先度制御部と、
前記優先度に基づき、前記入力を前記操作として認識する操作認識部と、
前記操作認識部が前記操作のうち車両窓操作を認識した場合、車両窓の開閉を制御する窓制御部と
を備え、
前記窓制御部が車両窓を開閉している間、
前記優先度制御部は、前記車両窓操作のうち車両窓の開閉停止操作の優先度を、前記開閉停止操作以外の操作の優先度よりも高め、
前記窓制御部は、前記優先度に基づいて、前記操作認識部が前記開閉停止操作を認識した場合、車両窓の開閉を停止する
車両窓開閉装置。
【請求項2】
前記車両窓開閉装置は、さらに、前記操作の状態を表示する表示部を備え、
前記入力部は、前記表示部に重ね合わされ、前記操作者のタッチ入力を受けつけるタッチパネルであり、
前記優先度制御部は、前記操作に対応するタッチパネル領域の大小により前記優先度を決定し、前記操作に対応する前記タッチパネル領域を大きくすることで、前記操作の前記優先度を高め、
前記操作認識部は、前記タッチパネル領域への前記タッチ入力を前記操作として認識する
請求項1に記載の車両窓開閉装置。
【請求項3】
前記車両窓開閉装置は、さらに、前記操作認識部が認識する前記操作と音声パターンとの対応を示す音声パターンデータベースを備え、
前記入力部は、操作者の音声入力を受けつけるマイクであり、
前記優先度制御部は、前記音声パターンデータベースの前記操作に対応する音声パターンの数により前記優先度を決定し、前記操作に対応する音声パターンの数を増やすことで、前記操作の前記優先度を高め、
前記操作認識部は、前記音声入力と、前記音声パターンデータベースとを照合し、前記音声入力と前記操作に対応する音声パターンとが一致した場合、前記音声入力を前記操作として認識する
請求項1に記載の車両窓開閉装置。
【請求項4】
前記車両窓開閉装置は、さらに、前記操作認識部が認識する前記操作と音声パターンとの対応を示す音声パターンデータベースを備え、
前記入力部は、操作者の音声入力を受けつけるマイクであり、
前記操作認識部は、前記音声入力と、前記音声パターンデータベースとを照合し、前記音声入力と前記操作に対応する音声パターンとが一致した場合、前記音声入力を前記操作として認識し、
前記窓制御部が車両窓を開閉している間、
前記開閉停止操作に対応する音声パターンと、前記開閉停止操作以外の操作に対応する音声パターンとが重複または類似する場合、前記優先度制御部は、重複または類似する前記開閉停止操作に対応する音声パターンの優先度を前記開閉停止操作以外の操作に対応する音声パターンよりも高める
請求項1に記載の車両窓開閉装置。
【請求項5】
操作者の入力を受けつける入力ステップと、
操作の優先度を制御する優先度制御ステップと、
前記優先度に基づき、前記入力を前記操作として認識する操作認識ステップと、
前記操作認識ステップの前記操作のうち車両窓操作を認識した場合、車両窓の開閉を制御する窓制御ステップと
を含み、
前記窓制御ステップで車両窓を開閉している間、
前記優先度制御ステップでは、前記車両窓操作のうち車両窓の開閉停止操作の優先度を、前記開閉停止操作以外の操作の優先度よりも高め、
前記窓制御ステップでは、前記優先度に基づいて、前記操作認識ステップで前記開閉停止操作を認識した場合、車両窓の開閉を停止する
車両窓開閉方法。
【請求項6】
請求項5に記載の車両窓開閉方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−49968(P2013−49968A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187900(P2011−187900)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】