車両表示装置および表示方法
【課題】 後方画像に死角が生じていることを知らせることができる「車両表示装置および車両表示方法」を提供する。
【解決手段】 本発明の車両表示装置は、車両後方を撮像しその後方画像を表示するものであって、車両の後方を撮像する撮像カメラ110と、撮像カメラからの撮像データに基づき後方画像をディスプレイ140に表示可能な出力制御部130と、撮像データに基づき自車が斜め駐車されたか否かを判定する駐車方向判定部132と、斜め駐車と判定されたとき後方画像において死角が生じる方向を判定する死角方向判定部134とを有する。出力制御部130は、斜め駐車と判定されたとき、死角方向判定部の判定結果に基づき死角が生じることおよび死角の方向を知らせる表記210、220を、後方画像200上に合成して表示させる。
【解決手段】 本発明の車両表示装置は、車両後方を撮像しその後方画像を表示するものであって、車両の後方を撮像する撮像カメラ110と、撮像カメラからの撮像データに基づき後方画像をディスプレイ140に表示可能な出力制御部130と、撮像データに基づき自車が斜め駐車されたか否かを判定する駐車方向判定部132と、斜め駐車と判定されたとき後方画像において死角が生じる方向を判定する死角方向判定部134とを有する。出力制御部130は、斜め駐車と判定されたとき、死角方向判定部の判定結果に基づき死角が生じることおよび死角の方向を知らせる表記210、220を、後方画像200上に合成して表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方を撮像しその後方画像を表示する機能を備えた車両表示装置に関し、特に、後方画像に死角が生じたときの注意喚起の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車への撮像カメラの搭載が普及し、撮像カメラを用いたアプリケーションが急拡大している。アプリケーションの多くは、運転者を支援し、車両の走行時や駐車時の安全性を向上させるものである。例えば、車両の後部に撮像カメラを搭載し、車両が後退するときに後方画像をディスプレイに表示させることで、車庫入れを支援したり、後方の障害物への注意を喚起させている。また、運転者にとって死角となり易い車両近傍に存在する障害物を撮影するサイドビューカメラシステムなども開発されている。
【0003】
車両後方を撮像するリアビュー(バックビュー)カメラシステムでは、一般に、画角または視野角が比較的大きな広角レンズや魚眼レンズを用い、1つの撮像カメラで広範な範囲を撮像できるようにしている。例えば魚眼レンズであれば、その画角は水平方向に約180度である。特許文献1は、車両後退時の状況に応じた適切な後方映像をディスプレイに表示するものであり、車両が後退するとき水平画角の広い広角画像をディスプレイに表示し、車両が後退しないとき水平画角の狭い狭角画像をディスプレイに表示する車両用後退支援装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−112267号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリアビューカメラシステムには、次のような課題がある。駐車場に駐車する態様には、主に2通りのケースがある。1つは、道路に対して垂直方向に規定された駐車スペースに駐車する場合(以下、便宜上、垂直駐車という)と、もう1つは、道路に対して斜め方向に規定された駐車スペースに駐車する場合(以下、便宜上、斜め駐車という)である。
【0006】
図1Aは、垂直駐車の例、図1Bは、斜め駐車の例を示している。垂直駐車の場合、図1Aに示すように、道路(または走行スペース)10に対してほぼ直角方向に車両を駐車させるための複数の駐車スペース14が併設され、1つの駐車スペース14とこれに隣接する駐車スペース14の境界は、道路10に対して直角方向に延びる白線12によって規定されている。斜め駐車の場合、図1Bに示すように、道路20に対して一定の傾斜角度で車両が駐車されるように複数の駐車スペース24が併設され、1つの駐車スペース24とこれに隣接する駐車スペース24の境界は、道路20に対して一定の傾斜角で延在する白線22によって規定されている。
【0007】
図2は、駐車された車両における画角(視野角)と道路との関係を説明する図であり、図2Aは垂直駐車、図2Bは斜め駐車の例を示している。また、撮像カメラは、画角が約180度の魚眼レンズを用いている。
【0008】
図2Aに示すように、垂直駐車をした車両から後方を撮像すると、撮像カメラの水平方向の画角Sは、光軸Oに関し左右対称であり、自車中心すなわち光軸Oは、道路10の中心線C1と直角に交差する。このため、光軸Oを中心に、駐車スペースに繋がる道路10の両側がすべて撮像されるため、後方画像には、死角が生じない。ここでの死角とは、後方画像に映されていない駐車スペースに繋がる左右いずれかの道路領域の意である。
【0009】
他方、斜め駐車をした場合、図2Bに示すように、車両が道路20に対して傾いているので、撮像カメラの光軸Oは、道路20の中心線C2と角度αで交差する。このため、画角Sは、駐車スペースに繋がる道路10の一方の側を偏ってしまい、その結果、画角Sによって撮像することができない道路領域、すなわち死角が生じてしまう。図2Bの例では、角度βで示した道路上の領域が死角となる。
【0010】
ここで、図2A、図2Bに示すように、車両、自転車、または歩行者などの移動体Pが道路10、20上を走行し自車の前を通過すると仮定する。垂直駐車をした自車の後方画像では、図3Aに示すように、時間t1において、移動体Pが接近し、時間t2において移動体Pが自車の目の前を通過し、時間t3で移動体Pが通り過ぎていく様子を視認することができる。これに対し、斜め駐車をした自車の後方画像では、図3Bに示すように、時間t1では、駐車場の右側の道路領域が死角になっているため移動体Pを撮像することができず、時間t2において自車に接近した移動体Pが突然現れ、時間t3で移動体Pが遠ざかる様子が視認される。運転者は、ディスプレイに映された後方画像だけでは、どこに死角があるのかを直感的に理解することはできないし、後方画像に何も映っていないが故に、運転者が安全確認を怠ると、死角から現れた車両や歩行者等と衝突事故を起こす危険があった。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、後方画像に死角が生じていることを知らせることができる車両表示装置およびその表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る車両表示装置は、車両後方を撮像しその後方画像を表示するものであって、車両の後方を撮像し、撮像データを出力する撮像手段と、前記撮像データに基づき後方画像を表示可能な表示手段と、前記撮像データに基づき自車が斜め駐車されたか否かを判定する判定手段と、斜め駐車と判定されたとき、前記後方画像において死角が生じる方向を判定する死角方向判定手段とを有し、前記表示手段は、斜め駐車と判定されたとき、前記死角判定手段の判定結果に基づき死角が生じることおよび死角の方向を知らせる表示を前記後方画像上に表示させる。
【0013】
好ましくは前記判定手段はさらに、駐車スペースの左右の境界を規定する白線を検出する白線検出手段と、前記白線検出手段により検出された左右の白線の長さを比較する比較手段とを含み、前記判定手段は、左右の白線の長さの差が閾値以上であるとき、斜め駐車と判定する。好ましくは前記死角方向判定手段は、前記白線検出手段によって検出された左右の白線のうち長さが短い方に死角が生じると判定する。好ましくは前記表示手段は、前記後方画像上に、死角が生じている方向を示す図形表記を表示させる。車両表示装置はさらに、死角が生じていることおよび死角の方向を知らせるための音声出力手段を含むことができる。好ましくは車両表示装置はさらに、自車後方の障害物の位置を検出する障害物検出手段を含み、前記表示手段は、前記検出された障害物の位置が前記後方画像の視野内に存在する場合には、当該視野内に障害物が存在することを知らせる表示を前記後方画像に表示させ、前記検出された障害物の位置が前記後方画像の視野内に存在しない場合には、検出された障害物の位置と前記死角方向判定手段により判定された死角の方向が一致するか否かを判定し、一致するとき死角の方向に障害物が存在することを知らせる表示を前記後方画像上に表示させる。好ましくは前記死角が生じる方向は、前記後方画像の中心に関し左右いずれかの方向であり、好ましくは障害物の位置は、前記後方画像の中心に関し左右いずれかの領域である。
【0014】
本発明に係る撮像カメラにより車両後方を撮像しその後方画像を表示する車両表示方法は、撮像カメラによって撮像された後方画像から斜め駐車か否かを判定するステップと、斜め駐車と判定されたとき、前記後方画像のいずれの方向に死角が生じるか判定するステップと、前記後方画像を表示するとき、前記後方画像上に、死角が生じていることおよび死角の方向を知らせるステップとを有する。
【0015】
好ましくは斜め駐車か否かを判定するステップはさらに、駐車スペースの左右の境界を規定する白線を検出するステップと、前記検出された左右の白線の長さを比較するステップとを含み、前記判定するステップは、左右の白線の長さの差が閾値以上であるとき、斜め駐車と判定する。好ましくは死角の方向を判定するステップは、前記検出するステップによって検出された左右の白線のうち長さが短い方に死角が生じると判定する。好ましくは前記死角の方向を示す図形表記が前記後方画像上に合成して表示される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、斜め駐車であるか否かを判定し、斜め駐車のときは後方画像に死角が生じていることを知らせるようにしたので、ユーザーは、後方画像に死角が生じていることを認識し、後方画像のみならず目視による安全確認をより強く促される。その結果、死角から現れる車両や歩行者などの障害物との衝突事故の発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1Aは垂直駐車の例、図1Bは斜め駐車の例を説明する図である。
【図2】図2Aは垂直駐車のときの撮像カメラの画角と道路との関係を説明する図、図2Bは斜め駐車のときの撮像カメラの画角と道路との関係を説明する図である。
【図3】図3Aは垂直駐車のときの後方画像に映し出される移動体の例を示し、図3Bは斜め駐車のときの後方画像に映し出される移動体の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る車両表示装置の構成を示すブロック図である。
【図5】撮像カメラの搭載位置を示す図である。
【図6】駐車スペースの境界を規制する白線のパターンを示す図である。
【図7】図4に示す画像処理部の構成例を示す図である。
【図8】図4に示す出力制御部の構成例を示す図である。
【図9】駐車方向の判定方法を説明する図である。
【図10】本実施例の車両表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】後方画像に死角が生じていることを知らせる表示例である。
【図12】本実施例における斜め駐車の他の例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例に係る車両表示装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施例に係る動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る車両表示装置は、自車の後部中央に1つの撮像カメラを搭載し、自車が後方に移動するときに撮像カメラによって撮像された後方画像をディスプレイに表示する態様を例示する。
【実施例】
【0019】
図4は、本発明の実施例に係る車両表示装置の構成を示すブロック図である。本実施例に係る車両表示装置100は、撮像カメラ110と、撮像カメラ110により撮像された撮像データを受け取り、後方画像を表示するために必要な画像処理等を行う画像処理部120と、画像処理部120で処理された信号を受け取り、後方画像に死角が生じる場合にはその旨の警告等を表示させる出力制御部130と、出力制御部130により合成された画像等を表示可能なディスプレイ140と、スピーカ150とを含んでいる。
【0020】
撮像カメラ110は、例えばCCDやCMOSイメージセンサを用いて構成される。撮像カメラ110は、図5に示すように、自車後部の車幅方向の中央部に取り付けられる。好ましくは、撮像カメラ110は、画角θが約180度の魚眼レンズを用い、自車後方の広範な範囲を撮像する。撮像カメラ110で撮像された撮像データは、画像処理部120に提供される。
【0021】
画像処理部120は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、画像処理プロセッサなどを用いて構成され、ROMやRAMに格納されたプログラムを実行して画像処理を行うことができる。但し、画像処理部120は、ソフトウエア、ハードウエア、あるいはソフトウエアとハードウエアの組合せによって実現されるようにしてもよい。
【0022】
画像処理部120は、撮像カメラ110から撮像データを受け取り、撮像データを画像処理しそこに映し出された駐車スペースの境界を検出する。駐車スペースは、典型的に白線によって境界を規制しているが、白線以外にも、路面に形成された溝あるいは突起であってもよい。図6は、駐車スペースの境界を表示するために路面に引かれた白線の例(棒状の白線、楕円状の二重線からなる白線、囲いのあるコ字型の白線など)を示している。また、駐車スペースの境界は、路面に形成された溝または突出部と白線とを組合せたり、あるいは路面に形成された溝または突出部のみによって規定されてもよい。さらに画像処理部120は、ディスプレイ140に画像を表示すべく撮像データをトリミングしたり、その他の必要な画像処理を行うようにしてもよい。
【0023】
出力制御部130は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、画像処理プロセッサなどを用いて構成され、ROMやRAMに格納されたプログラムを実行して画像や音声を出力させる。但し、その実現方法は、ソフトウエア、ハードウエアまたは両者の組合せのいずれであってもよい。出力制御部130は、自車が後方に進行されるとき、例えば、ギアがバックに入ったとき、撮像カメラ110で撮像された後方画像をディスプレイ140に表示させる。このとき、後方画像に死角が生じれば、その存在を示す警告等を後方画像上に合成して表示させる。同時に死角の存在をスピーカ150から音声出力させることもできる。
【0024】
図7は、画像処理部120の構成例を示すブロック図である。画像処理部120は、撮像カメラ110からの撮像データを保持するフレームバッファ122と、フレームバッファ122から出力された撮像データの歪曲収差を補正する歪曲収差補正部124と、補正された撮像データから駐車スペースを規定する白線を検出する駐車白線検出部126とを有する。白線の検出は、公知の画像処理技術を用いて行われ、例えば路面と白線とのコントラスト比または明度の差から白線の輪郭または外形を抽出することができる。歪曲収差補正部124および駐車白線検出部124で処理されたデータは、出力制御部130へ提供される。
【0025】
図8は、出力制御部130の構成例を示すブロック図である。出力制御部130は、画像処理部120からの撮像データを受け取り、これをディスプレイ140に表示させる画像合成部132と、駐車白線検出部126により検出された白線情報を受け取り、自車の駐車方向を判定する駐車方向判定部134と、駐車方向判定部134により斜め駐車と判定されたとき死角方向を判定する死角方向判定部136とを有する。
【0026】
図9Aは、垂直駐車されたときの後方画像の例を示している。駐車スペースの白線は、道路と直交する方向に延び、自車が白線とほぼ平行となるように駐車されたものとする。後方画像には、左右の白線WL、WRが映し出され、白線WL、WRの輪郭またはその領域が駐車白線検出部126によって検出される。この検出結果は、座標情報として駐車方向判定部134へ提供される。駐車方向判定部134は、左側の白線WLの長手方向の長さDLを算出し、同様に右側の白線WRの長手方向の長さDRを算出し、両者の差分を求める。自車が白線WL、WRに平行に駐車がされていれば理想的であり、DLとDRは等しくなるが、現実的には、白線に対して車両が幾分か傾いて駐車される。このため、|DL−DR|<閾値のとき、垂直駐車であると判定する。また、後方画像に、左右の白線の双方が映っていない場合にも、垂直駐車と判定する。
【0027】
これに対し、斜め駐車の場合には、後方画像に映し出される左右の白線は対称にはならない。図9Bの例は、左側の白線WLが右側の白線WRよりも大きく映されている。すなわち、左右の白線WL、WRの長さDL、DRの差分が閾値以上のとき(|DL−DR|≧閾値)、斜め駐車と判定する。左右のいずれかの白線が映されていないときにも斜め駐車と判定する。
【0028】
死角方向判定部136は、斜め駐車と判定されたときに、死角が後方画像の左右のどちらの方向の生じているのかを判定する。図2Bに示したように、斜め駐車の場合には、駐車スペースに繋がる道路の左右いずれかの領域に、撮像カメラによって撮像されない領域、すなわち死角が生じる。本実施例では、左右の白線WL、WRの長さDL、DRが短い方に死角が生じると判定する。図9Bの例では、右側の白線WRの方向に死角が生じると判定する。
【0029】
次に、本実施例の車両表示装置の動作を図10のフローチャート参照して説明する。先ず、出力制御部130は、自車のギアが後進になったか否かを監視し(ステップS101)、ギアが後進に設定されたことが検出されると、自車の後方画像をディスプレイ140に表示する準備がなされる。撮像カメラ110は、自車の後方の撮像を開始し(ステップS102)、その撮像データは、画像処理部120によって画像処理され、駐車白線検出部126は、撮像データに映された駐車スペースの白線を検出する(ステップS103)。
【0030】
次に、駐車方向判定部134は、駐車白線検出部126の検出結果に基づき白線が検出されたか否かを判定する(ステップS104)。白線が全く検出されなかったとき、駐車方向判定部134は、垂直駐車と判定する(ステップS110)。白線が検出された場合には、駐車方向判定部134は、上記の図9で説明したように左右の白線WL、WRの長さDL、DRを比較し(ステップS105)、差分|DL−DR|が閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS106)。差分が閾値以下であるとき、垂直駐車と判定し(ステップS110)、差分が閾値よりも大きいとき、斜め駐車と判定する(ステップS107)。
【0031】
次に、死角方向判定部136は、撮像カメラを光軸または後方画像の中心を基準としたとき、左右のいずれの方向に死角が生じるかを判定する(ステップS108)。上記したように、死角方向判定部136は、左右の白線WL、WRの長さDL、DRの長さの短い方の白線側に死角が生じると判定する。撮像データに左右の白線の一方しか映されていない場合には、白線が映されていない側に死角が生じると判定する。
【0032】
次に、画像合成部132は、撮像データに基づき後方画像をディスプレイ140に表示させ、かつ死角が生じていることを知らせる警告を後方画像上に表示させる(ステップS109)。好ましくは画像合成部132は、後方画像上に、図形を用いて死角の存在およびその方向を知らせたり、テキストを用いて死角の存在およびその方向を知らせることができる。さらに、出力制御部130は、死角の存在およびその方向をスピーカ150から音声にて知らせることもできる。
【0033】
図11は、斜め駐車されたときの後方画像の表示例である。ディスプレイ140に映された後方画像200には、左側の白線22が表示され、隣の駐車スペースには駐車された車両28が映されている。後方画像200には、右側の白線が映されていないため、後方画像の中心よりも右側の方向に死角が存在することになる。図示の例では、後方画像200に、「右側が死角になっています。目視で安全確認を行ってください」としての文字表記210と、斜め駐車された模式的な平面状態を表した図形表記220とが合成して表示される。さらに図形表記220には、撮像カメラの模式的は画角Sと、画角Sに含まれていない死角となる領域βとが識別できるように示されている。
【0034】
一方、垂直駐車と判定された場合には、画像合成部132は、画像処理部120からの撮像データに基づき後方画像をディスプレイに通常通り表示させる(ステップS111)。
このとき、上記の文字表記210や図形表記220は表示されない。
【0035】
このように本実施例によれば、斜め駐車と判定されたとき、後方画像に死角が生じていることおよびその方向を知らせるようにしたので、運転者は、後方画像を過信することなく、目視による十分な安全確認を促される。これにより、後方を通過する移動体との衝突などを未然に防止することができる。
【0036】
次に、斜め駐車の他の態様を説明する。図12に示すように、道路10に対して垂直方向に白線12が引かれた駐車スペースであっても、自車が白線12に対して斜め方向に駐車された場合には、結果的には、上記した斜め駐車と同じことになる。つまり、撮像カメラによって撮像することができない領域、すなわち死角の領域βが生じる。この場合にも、上記実施例と同様に、後方画像には、死角が存在することおよびその方向の警告が表示される。
【0037】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例に係る車両表示装置は、撮像カメラによって後方画像を表示するが、第2の実施例に係る車両表示装置100Aは、図13に示すように障害物検出手段160を備えている。障害物検出手段160は、ミリ波レーダーや赤外線センサなどを用いて車両周辺(本実施例の場合には、車両の後方)に存在する障害物を検出し、その検出結果を出力制御部130へ提供する。この検出結果は、少なくとも障害物の位置に関する情報を含んでいる。
【0038】
図14は、第2の実施例の動作を説明するフローチャートである。障害物検出手段160によって自車後方の障害物が検出されると(ステップS201)、出力制御部130は、障害物が後方画像の視野内に存在するか否かを判定する(ステップS202)。画像合成部132は、視野内に障害物が存在すると判定した場合には、視野内に障害物が存在することを知らせることを文字表記や図形表記で警告する(ステップS203)。他方、出力制御部130は、視野内に障害物が存在しないと判定した場合には、障害物検出手段160から検出された障害物の位置が、死角の方向に一致するか否かを判定する(ステップS204)。出力制御部130は、例えば、障害物が自車後方の撮像カメラ110の光軸を基準に左右のいずれの方向に存在するか否かを判定し、その障害物が存在する方向が、死角の方向に一致するか否かを判定する。両者が一致すると判定されると、画像合成部132は、後方画像上に、障害物が死角方向に存在することを文字表記または図形表記で警告する(ステップS205)。さらにスピーカ150から音声出力するようにしてもよい。第2の実施例によれば、運転者は、死角の方向から突然現れるかもしれない障害物に十分に注意を払うことが促される。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。上記実施例は、車載表示装置としての例を示したが、車載表示装置は、ナビゲーション装置、オーディオ・ビデオ装置と一体化されたシステム内に含まれるものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10、20:道路 12、22:白線
14:24:駐車スペース 100:車両表示装置
110:撮像カメラ 120:画像処理部
126:駐車白線検出部 130:出力制御部
132:画像合成部 134:駐車方向判定部
136:死角方向判定部 140:ディスプレイ
200:後方画像 210:文字表記
220:図形表記 WL:左側の白線
WR:右側の白線 DL:左側の白線の長さ
DR:右側の白線の長さ S:画角
β:死角の領域 P:移動体
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方を撮像しその後方画像を表示する機能を備えた車両表示装置に関し、特に、後方画像に死角が生じたときの注意喚起の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車への撮像カメラの搭載が普及し、撮像カメラを用いたアプリケーションが急拡大している。アプリケーションの多くは、運転者を支援し、車両の走行時や駐車時の安全性を向上させるものである。例えば、車両の後部に撮像カメラを搭載し、車両が後退するときに後方画像をディスプレイに表示させることで、車庫入れを支援したり、後方の障害物への注意を喚起させている。また、運転者にとって死角となり易い車両近傍に存在する障害物を撮影するサイドビューカメラシステムなども開発されている。
【0003】
車両後方を撮像するリアビュー(バックビュー)カメラシステムでは、一般に、画角または視野角が比較的大きな広角レンズや魚眼レンズを用い、1つの撮像カメラで広範な範囲を撮像できるようにしている。例えば魚眼レンズであれば、その画角は水平方向に約180度である。特許文献1は、車両後退時の状況に応じた適切な後方映像をディスプレイに表示するものであり、車両が後退するとき水平画角の広い広角画像をディスプレイに表示し、車両が後退しないとき水平画角の狭い狭角画像をディスプレイに表示する車両用後退支援装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−112267号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリアビューカメラシステムには、次のような課題がある。駐車場に駐車する態様には、主に2通りのケースがある。1つは、道路に対して垂直方向に規定された駐車スペースに駐車する場合(以下、便宜上、垂直駐車という)と、もう1つは、道路に対して斜め方向に規定された駐車スペースに駐車する場合(以下、便宜上、斜め駐車という)である。
【0006】
図1Aは、垂直駐車の例、図1Bは、斜め駐車の例を示している。垂直駐車の場合、図1Aに示すように、道路(または走行スペース)10に対してほぼ直角方向に車両を駐車させるための複数の駐車スペース14が併設され、1つの駐車スペース14とこれに隣接する駐車スペース14の境界は、道路10に対して直角方向に延びる白線12によって規定されている。斜め駐車の場合、図1Bに示すように、道路20に対して一定の傾斜角度で車両が駐車されるように複数の駐車スペース24が併設され、1つの駐車スペース24とこれに隣接する駐車スペース24の境界は、道路20に対して一定の傾斜角で延在する白線22によって規定されている。
【0007】
図2は、駐車された車両における画角(視野角)と道路との関係を説明する図であり、図2Aは垂直駐車、図2Bは斜め駐車の例を示している。また、撮像カメラは、画角が約180度の魚眼レンズを用いている。
【0008】
図2Aに示すように、垂直駐車をした車両から後方を撮像すると、撮像カメラの水平方向の画角Sは、光軸Oに関し左右対称であり、自車中心すなわち光軸Oは、道路10の中心線C1と直角に交差する。このため、光軸Oを中心に、駐車スペースに繋がる道路10の両側がすべて撮像されるため、後方画像には、死角が生じない。ここでの死角とは、後方画像に映されていない駐車スペースに繋がる左右いずれかの道路領域の意である。
【0009】
他方、斜め駐車をした場合、図2Bに示すように、車両が道路20に対して傾いているので、撮像カメラの光軸Oは、道路20の中心線C2と角度αで交差する。このため、画角Sは、駐車スペースに繋がる道路10の一方の側を偏ってしまい、その結果、画角Sによって撮像することができない道路領域、すなわち死角が生じてしまう。図2Bの例では、角度βで示した道路上の領域が死角となる。
【0010】
ここで、図2A、図2Bに示すように、車両、自転車、または歩行者などの移動体Pが道路10、20上を走行し自車の前を通過すると仮定する。垂直駐車をした自車の後方画像では、図3Aに示すように、時間t1において、移動体Pが接近し、時間t2において移動体Pが自車の目の前を通過し、時間t3で移動体Pが通り過ぎていく様子を視認することができる。これに対し、斜め駐車をした自車の後方画像では、図3Bに示すように、時間t1では、駐車場の右側の道路領域が死角になっているため移動体Pを撮像することができず、時間t2において自車に接近した移動体Pが突然現れ、時間t3で移動体Pが遠ざかる様子が視認される。運転者は、ディスプレイに映された後方画像だけでは、どこに死角があるのかを直感的に理解することはできないし、後方画像に何も映っていないが故に、運転者が安全確認を怠ると、死角から現れた車両や歩行者等と衝突事故を起こす危険があった。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、後方画像に死角が生じていることを知らせることができる車両表示装置およびその表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る車両表示装置は、車両後方を撮像しその後方画像を表示するものであって、車両の後方を撮像し、撮像データを出力する撮像手段と、前記撮像データに基づき後方画像を表示可能な表示手段と、前記撮像データに基づき自車が斜め駐車されたか否かを判定する判定手段と、斜め駐車と判定されたとき、前記後方画像において死角が生じる方向を判定する死角方向判定手段とを有し、前記表示手段は、斜め駐車と判定されたとき、前記死角判定手段の判定結果に基づき死角が生じることおよび死角の方向を知らせる表示を前記後方画像上に表示させる。
【0013】
好ましくは前記判定手段はさらに、駐車スペースの左右の境界を規定する白線を検出する白線検出手段と、前記白線検出手段により検出された左右の白線の長さを比較する比較手段とを含み、前記判定手段は、左右の白線の長さの差が閾値以上であるとき、斜め駐車と判定する。好ましくは前記死角方向判定手段は、前記白線検出手段によって検出された左右の白線のうち長さが短い方に死角が生じると判定する。好ましくは前記表示手段は、前記後方画像上に、死角が生じている方向を示す図形表記を表示させる。車両表示装置はさらに、死角が生じていることおよび死角の方向を知らせるための音声出力手段を含むことができる。好ましくは車両表示装置はさらに、自車後方の障害物の位置を検出する障害物検出手段を含み、前記表示手段は、前記検出された障害物の位置が前記後方画像の視野内に存在する場合には、当該視野内に障害物が存在することを知らせる表示を前記後方画像に表示させ、前記検出された障害物の位置が前記後方画像の視野内に存在しない場合には、検出された障害物の位置と前記死角方向判定手段により判定された死角の方向が一致するか否かを判定し、一致するとき死角の方向に障害物が存在することを知らせる表示を前記後方画像上に表示させる。好ましくは前記死角が生じる方向は、前記後方画像の中心に関し左右いずれかの方向であり、好ましくは障害物の位置は、前記後方画像の中心に関し左右いずれかの領域である。
【0014】
本発明に係る撮像カメラにより車両後方を撮像しその後方画像を表示する車両表示方法は、撮像カメラによって撮像された後方画像から斜め駐車か否かを判定するステップと、斜め駐車と判定されたとき、前記後方画像のいずれの方向に死角が生じるか判定するステップと、前記後方画像を表示するとき、前記後方画像上に、死角が生じていることおよび死角の方向を知らせるステップとを有する。
【0015】
好ましくは斜め駐車か否かを判定するステップはさらに、駐車スペースの左右の境界を規定する白線を検出するステップと、前記検出された左右の白線の長さを比較するステップとを含み、前記判定するステップは、左右の白線の長さの差が閾値以上であるとき、斜め駐車と判定する。好ましくは死角の方向を判定するステップは、前記検出するステップによって検出された左右の白線のうち長さが短い方に死角が生じると判定する。好ましくは前記死角の方向を示す図形表記が前記後方画像上に合成して表示される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、斜め駐車であるか否かを判定し、斜め駐車のときは後方画像に死角が生じていることを知らせるようにしたので、ユーザーは、後方画像に死角が生じていることを認識し、後方画像のみならず目視による安全確認をより強く促される。その結果、死角から現れる車両や歩行者などの障害物との衝突事故の発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1Aは垂直駐車の例、図1Bは斜め駐車の例を説明する図である。
【図2】図2Aは垂直駐車のときの撮像カメラの画角と道路との関係を説明する図、図2Bは斜め駐車のときの撮像カメラの画角と道路との関係を説明する図である。
【図3】図3Aは垂直駐車のときの後方画像に映し出される移動体の例を示し、図3Bは斜め駐車のときの後方画像に映し出される移動体の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る車両表示装置の構成を示すブロック図である。
【図5】撮像カメラの搭載位置を示す図である。
【図6】駐車スペースの境界を規制する白線のパターンを示す図である。
【図7】図4に示す画像処理部の構成例を示す図である。
【図8】図4に示す出力制御部の構成例を示す図である。
【図9】駐車方向の判定方法を説明する図である。
【図10】本実施例の車両表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】後方画像に死角が生じていることを知らせる表示例である。
【図12】本実施例における斜め駐車の他の例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例に係る車両表示装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施例に係る動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る車両表示装置は、自車の後部中央に1つの撮像カメラを搭載し、自車が後方に移動するときに撮像カメラによって撮像された後方画像をディスプレイに表示する態様を例示する。
【実施例】
【0019】
図4は、本発明の実施例に係る車両表示装置の構成を示すブロック図である。本実施例に係る車両表示装置100は、撮像カメラ110と、撮像カメラ110により撮像された撮像データを受け取り、後方画像を表示するために必要な画像処理等を行う画像処理部120と、画像処理部120で処理された信号を受け取り、後方画像に死角が生じる場合にはその旨の警告等を表示させる出力制御部130と、出力制御部130により合成された画像等を表示可能なディスプレイ140と、スピーカ150とを含んでいる。
【0020】
撮像カメラ110は、例えばCCDやCMOSイメージセンサを用いて構成される。撮像カメラ110は、図5に示すように、自車後部の車幅方向の中央部に取り付けられる。好ましくは、撮像カメラ110は、画角θが約180度の魚眼レンズを用い、自車後方の広範な範囲を撮像する。撮像カメラ110で撮像された撮像データは、画像処理部120に提供される。
【0021】
画像処理部120は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、画像処理プロセッサなどを用いて構成され、ROMやRAMに格納されたプログラムを実行して画像処理を行うことができる。但し、画像処理部120は、ソフトウエア、ハードウエア、あるいはソフトウエアとハードウエアの組合せによって実現されるようにしてもよい。
【0022】
画像処理部120は、撮像カメラ110から撮像データを受け取り、撮像データを画像処理しそこに映し出された駐車スペースの境界を検出する。駐車スペースは、典型的に白線によって境界を規制しているが、白線以外にも、路面に形成された溝あるいは突起であってもよい。図6は、駐車スペースの境界を表示するために路面に引かれた白線の例(棒状の白線、楕円状の二重線からなる白線、囲いのあるコ字型の白線など)を示している。また、駐車スペースの境界は、路面に形成された溝または突出部と白線とを組合せたり、あるいは路面に形成された溝または突出部のみによって規定されてもよい。さらに画像処理部120は、ディスプレイ140に画像を表示すべく撮像データをトリミングしたり、その他の必要な画像処理を行うようにしてもよい。
【0023】
出力制御部130は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、画像処理プロセッサなどを用いて構成され、ROMやRAMに格納されたプログラムを実行して画像や音声を出力させる。但し、その実現方法は、ソフトウエア、ハードウエアまたは両者の組合せのいずれであってもよい。出力制御部130は、自車が後方に進行されるとき、例えば、ギアがバックに入ったとき、撮像カメラ110で撮像された後方画像をディスプレイ140に表示させる。このとき、後方画像に死角が生じれば、その存在を示す警告等を後方画像上に合成して表示させる。同時に死角の存在をスピーカ150から音声出力させることもできる。
【0024】
図7は、画像処理部120の構成例を示すブロック図である。画像処理部120は、撮像カメラ110からの撮像データを保持するフレームバッファ122と、フレームバッファ122から出力された撮像データの歪曲収差を補正する歪曲収差補正部124と、補正された撮像データから駐車スペースを規定する白線を検出する駐車白線検出部126とを有する。白線の検出は、公知の画像処理技術を用いて行われ、例えば路面と白線とのコントラスト比または明度の差から白線の輪郭または外形を抽出することができる。歪曲収差補正部124および駐車白線検出部124で処理されたデータは、出力制御部130へ提供される。
【0025】
図8は、出力制御部130の構成例を示すブロック図である。出力制御部130は、画像処理部120からの撮像データを受け取り、これをディスプレイ140に表示させる画像合成部132と、駐車白線検出部126により検出された白線情報を受け取り、自車の駐車方向を判定する駐車方向判定部134と、駐車方向判定部134により斜め駐車と判定されたとき死角方向を判定する死角方向判定部136とを有する。
【0026】
図9Aは、垂直駐車されたときの後方画像の例を示している。駐車スペースの白線は、道路と直交する方向に延び、自車が白線とほぼ平行となるように駐車されたものとする。後方画像には、左右の白線WL、WRが映し出され、白線WL、WRの輪郭またはその領域が駐車白線検出部126によって検出される。この検出結果は、座標情報として駐車方向判定部134へ提供される。駐車方向判定部134は、左側の白線WLの長手方向の長さDLを算出し、同様に右側の白線WRの長手方向の長さDRを算出し、両者の差分を求める。自車が白線WL、WRに平行に駐車がされていれば理想的であり、DLとDRは等しくなるが、現実的には、白線に対して車両が幾分か傾いて駐車される。このため、|DL−DR|<閾値のとき、垂直駐車であると判定する。また、後方画像に、左右の白線の双方が映っていない場合にも、垂直駐車と判定する。
【0027】
これに対し、斜め駐車の場合には、後方画像に映し出される左右の白線は対称にはならない。図9Bの例は、左側の白線WLが右側の白線WRよりも大きく映されている。すなわち、左右の白線WL、WRの長さDL、DRの差分が閾値以上のとき(|DL−DR|≧閾値)、斜め駐車と判定する。左右のいずれかの白線が映されていないときにも斜め駐車と判定する。
【0028】
死角方向判定部136は、斜め駐車と判定されたときに、死角が後方画像の左右のどちらの方向の生じているのかを判定する。図2Bに示したように、斜め駐車の場合には、駐車スペースに繋がる道路の左右いずれかの領域に、撮像カメラによって撮像されない領域、すなわち死角が生じる。本実施例では、左右の白線WL、WRの長さDL、DRが短い方に死角が生じると判定する。図9Bの例では、右側の白線WRの方向に死角が生じると判定する。
【0029】
次に、本実施例の車両表示装置の動作を図10のフローチャート参照して説明する。先ず、出力制御部130は、自車のギアが後進になったか否かを監視し(ステップS101)、ギアが後進に設定されたことが検出されると、自車の後方画像をディスプレイ140に表示する準備がなされる。撮像カメラ110は、自車の後方の撮像を開始し(ステップS102)、その撮像データは、画像処理部120によって画像処理され、駐車白線検出部126は、撮像データに映された駐車スペースの白線を検出する(ステップS103)。
【0030】
次に、駐車方向判定部134は、駐車白線検出部126の検出結果に基づき白線が検出されたか否かを判定する(ステップS104)。白線が全く検出されなかったとき、駐車方向判定部134は、垂直駐車と判定する(ステップS110)。白線が検出された場合には、駐車方向判定部134は、上記の図9で説明したように左右の白線WL、WRの長さDL、DRを比較し(ステップS105)、差分|DL−DR|が閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS106)。差分が閾値以下であるとき、垂直駐車と判定し(ステップS110)、差分が閾値よりも大きいとき、斜め駐車と判定する(ステップS107)。
【0031】
次に、死角方向判定部136は、撮像カメラを光軸または後方画像の中心を基準としたとき、左右のいずれの方向に死角が生じるかを判定する(ステップS108)。上記したように、死角方向判定部136は、左右の白線WL、WRの長さDL、DRの長さの短い方の白線側に死角が生じると判定する。撮像データに左右の白線の一方しか映されていない場合には、白線が映されていない側に死角が生じると判定する。
【0032】
次に、画像合成部132は、撮像データに基づき後方画像をディスプレイ140に表示させ、かつ死角が生じていることを知らせる警告を後方画像上に表示させる(ステップS109)。好ましくは画像合成部132は、後方画像上に、図形を用いて死角の存在およびその方向を知らせたり、テキストを用いて死角の存在およびその方向を知らせることができる。さらに、出力制御部130は、死角の存在およびその方向をスピーカ150から音声にて知らせることもできる。
【0033】
図11は、斜め駐車されたときの後方画像の表示例である。ディスプレイ140に映された後方画像200には、左側の白線22が表示され、隣の駐車スペースには駐車された車両28が映されている。後方画像200には、右側の白線が映されていないため、後方画像の中心よりも右側の方向に死角が存在することになる。図示の例では、後方画像200に、「右側が死角になっています。目視で安全確認を行ってください」としての文字表記210と、斜め駐車された模式的な平面状態を表した図形表記220とが合成して表示される。さらに図形表記220には、撮像カメラの模式的は画角Sと、画角Sに含まれていない死角となる領域βとが識別できるように示されている。
【0034】
一方、垂直駐車と判定された場合には、画像合成部132は、画像処理部120からの撮像データに基づき後方画像をディスプレイに通常通り表示させる(ステップS111)。
このとき、上記の文字表記210や図形表記220は表示されない。
【0035】
このように本実施例によれば、斜め駐車と判定されたとき、後方画像に死角が生じていることおよびその方向を知らせるようにしたので、運転者は、後方画像を過信することなく、目視による十分な安全確認を促される。これにより、後方を通過する移動体との衝突などを未然に防止することができる。
【0036】
次に、斜め駐車の他の態様を説明する。図12に示すように、道路10に対して垂直方向に白線12が引かれた駐車スペースであっても、自車が白線12に対して斜め方向に駐車された場合には、結果的には、上記した斜め駐車と同じことになる。つまり、撮像カメラによって撮像することができない領域、すなわち死角の領域βが生じる。この場合にも、上記実施例と同様に、後方画像には、死角が存在することおよびその方向の警告が表示される。
【0037】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例に係る車両表示装置は、撮像カメラによって後方画像を表示するが、第2の実施例に係る車両表示装置100Aは、図13に示すように障害物検出手段160を備えている。障害物検出手段160は、ミリ波レーダーや赤外線センサなどを用いて車両周辺(本実施例の場合には、車両の後方)に存在する障害物を検出し、その検出結果を出力制御部130へ提供する。この検出結果は、少なくとも障害物の位置に関する情報を含んでいる。
【0038】
図14は、第2の実施例の動作を説明するフローチャートである。障害物検出手段160によって自車後方の障害物が検出されると(ステップS201)、出力制御部130は、障害物が後方画像の視野内に存在するか否かを判定する(ステップS202)。画像合成部132は、視野内に障害物が存在すると判定した場合には、視野内に障害物が存在することを知らせることを文字表記や図形表記で警告する(ステップS203)。他方、出力制御部130は、視野内に障害物が存在しないと判定した場合には、障害物検出手段160から検出された障害物の位置が、死角の方向に一致するか否かを判定する(ステップS204)。出力制御部130は、例えば、障害物が自車後方の撮像カメラ110の光軸を基準に左右のいずれの方向に存在するか否かを判定し、その障害物が存在する方向が、死角の方向に一致するか否かを判定する。両者が一致すると判定されると、画像合成部132は、後方画像上に、障害物が死角方向に存在することを文字表記または図形表記で警告する(ステップS205)。さらにスピーカ150から音声出力するようにしてもよい。第2の実施例によれば、運転者は、死角の方向から突然現れるかもしれない障害物に十分に注意を払うことが促される。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。上記実施例は、車載表示装置としての例を示したが、車載表示装置は、ナビゲーション装置、オーディオ・ビデオ装置と一体化されたシステム内に含まれるものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10、20:道路 12、22:白線
14:24:駐車スペース 100:車両表示装置
110:撮像カメラ 120:画像処理部
126:駐車白線検出部 130:出力制御部
132:画像合成部 134:駐車方向判定部
136:死角方向判定部 140:ディスプレイ
200:後方画像 210:文字表記
220:図形表記 WL:左側の白線
WR:右側の白線 DL:左側の白線の長さ
DR:右側の白線の長さ S:画角
β:死角の領域 P:移動体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方を撮像しその後方画像を表示する車両表示装置であって、
車両の後方を撮像し、撮像データを出力する撮像手段と、
前記撮像データに基づき後方画像を表示可能な表示手段と、
前記撮像データに基づき自車が斜め駐車されたか否かを判定する判定手段と、
斜め駐車と判定されたとき、前記後方画像において死角が生じる方向を判定する死角方向判定手段とを有し、
前記表示手段は、斜め駐車と判定されたとき、前記死角判定手段の判定結果に基づき死角が生じることおよび死角の方向を知らせる表示を前記後方画像上に表示させる、車両表示装置。
【請求項2】
前記判定手段はさらに、駐車スペースの左右の境界を規定する白線を検出する白線検出手段と、前記白線検出手段により検出された左右の白線の長さを比較する比較手段とを含み、前記判定手段は、左右の白線の長さの差が閾値以上であるとき、斜め駐車と判定する、請求項1に記載の車両表示装置。
【請求項3】
前記死角方向判定手段は、前記白線検出手段によって検出された左右の白線のうち長さが短い方に死角が生じると判定する、請求項2に記載の車両表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記後方画像上に、死角が生じている方向を示す図形表記を表示させる、請求項1に記載の車両表示装置。
【請求項5】
車両表示装置はさらに、死角が生じていることおよび死角の方向を知らせるための音声出力手段を含む、請求項1に記載の車両表示装置。
【請求項6】
車両表示装置はさらに、自車後方の障害物の位置を検出する障害物検出手段を含み、前記表示手段は、前記検出された障害物の位置が前記後方画像の視野内に存在する場合には、当該視野内に障害物が存在することを知らせる表示を前記後方画像に表示させ、前記検出された障害物の位置が前記後方画像の視野内に存在しない場合には、検出された障害物の位置と前記死角方向判定手段により判定された死角の方向が一致するか否かを判定し、一致するとき死角の方向に障害物が存在することを知らせる表示を前記後方画像上に表示させる、請求項1ないし5いずれか1つに記載の車両表示装置。
【請求項7】
前記死角が生じる方向は、前記後方画像の中心に関し左右いずれかの方向である、請求項1ないし6いずれか1つに記載の車両表示装置。
【請求項8】
障害物の位置は、前記後方画像の中心に関し左右いずれかの領域である、請求項6に記載の車両表示装置。
【請求項9】
撮像カメラにより車両後方を撮像しその後方画像を表示する車両表示方法であって、
撮像カメラによって撮像された後方画像から斜め駐車か否かを判定するステップと、
斜め駐車と判定されたとき、前記後方画像のいずれの方向に死角が生じるか判定するステップと、
前記後方画像を表示するとき、前記後方画像上に、死角が生じていることおよび死角の方向を知らせるステップと、
を有する車両表示方法。
【請求項10】
斜め駐車か否かを判定するステップはさらに、駐車スペースの左右の境界を規定する白線を検出するステップと、前記検出された左右の白線の長さを比較するステップとを含み、前記判定するステップは、左右の白線の長さの差が閾値以上であるとき、斜め駐車と判定する、請求項9に記載の車両表示方法。
【請求項11】
死角の方向を判定するステップは、前記検出するステップによって検出された左右の白線のうち長さが短い方に死角が生じると判定する、請求項10に記載の車両表示方法。
【請求項12】
前記死角の方向を示す図形表記が前記後方画像上に合成して表示される、請求項9に記載の車両表示方法。
【請求項1】
車両後方を撮像しその後方画像を表示する車両表示装置であって、
車両の後方を撮像し、撮像データを出力する撮像手段と、
前記撮像データに基づき後方画像を表示可能な表示手段と、
前記撮像データに基づき自車が斜め駐車されたか否かを判定する判定手段と、
斜め駐車と判定されたとき、前記後方画像において死角が生じる方向を判定する死角方向判定手段とを有し、
前記表示手段は、斜め駐車と判定されたとき、前記死角判定手段の判定結果に基づき死角が生じることおよび死角の方向を知らせる表示を前記後方画像上に表示させる、車両表示装置。
【請求項2】
前記判定手段はさらに、駐車スペースの左右の境界を規定する白線を検出する白線検出手段と、前記白線検出手段により検出された左右の白線の長さを比較する比較手段とを含み、前記判定手段は、左右の白線の長さの差が閾値以上であるとき、斜め駐車と判定する、請求項1に記載の車両表示装置。
【請求項3】
前記死角方向判定手段は、前記白線検出手段によって検出された左右の白線のうち長さが短い方に死角が生じると判定する、請求項2に記載の車両表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記後方画像上に、死角が生じている方向を示す図形表記を表示させる、請求項1に記載の車両表示装置。
【請求項5】
車両表示装置はさらに、死角が生じていることおよび死角の方向を知らせるための音声出力手段を含む、請求項1に記載の車両表示装置。
【請求項6】
車両表示装置はさらに、自車後方の障害物の位置を検出する障害物検出手段を含み、前記表示手段は、前記検出された障害物の位置が前記後方画像の視野内に存在する場合には、当該視野内に障害物が存在することを知らせる表示を前記後方画像に表示させ、前記検出された障害物の位置が前記後方画像の視野内に存在しない場合には、検出された障害物の位置と前記死角方向判定手段により判定された死角の方向が一致するか否かを判定し、一致するとき死角の方向に障害物が存在することを知らせる表示を前記後方画像上に表示させる、請求項1ないし5いずれか1つに記載の車両表示装置。
【請求項7】
前記死角が生じる方向は、前記後方画像の中心に関し左右いずれかの方向である、請求項1ないし6いずれか1つに記載の車両表示装置。
【請求項8】
障害物の位置は、前記後方画像の中心に関し左右いずれかの領域である、請求項6に記載の車両表示装置。
【請求項9】
撮像カメラにより車両後方を撮像しその後方画像を表示する車両表示方法であって、
撮像カメラによって撮像された後方画像から斜め駐車か否かを判定するステップと、
斜め駐車と判定されたとき、前記後方画像のいずれの方向に死角が生じるか判定するステップと、
前記後方画像を表示するとき、前記後方画像上に、死角が生じていることおよび死角の方向を知らせるステップと、
を有する車両表示方法。
【請求項10】
斜め駐車か否かを判定するステップはさらに、駐車スペースの左右の境界を規定する白線を検出するステップと、前記検出された左右の白線の長さを比較するステップとを含み、前記判定するステップは、左右の白線の長さの差が閾値以上であるとき、斜め駐車と判定する、請求項9に記載の車両表示方法。
【請求項11】
死角の方向を判定するステップは、前記検出するステップによって検出された左右の白線のうち長さが短い方に死角が生じると判定する、請求項10に記載の車両表示方法。
【請求項12】
前記死角の方向を示す図形表記が前記後方画像上に合成して表示される、請求項9に記載の車両表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−114467(P2011−114467A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267477(P2009−267477)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]