説明

車両運行管理システム

【課題】乗り場客と途中客の両者の利便性を両立させる。
【解決手段】車両運行管理システムCSは、複数のタクシー車両Cに対し運行指示を行う運行管理サーバ200と、乗り場における乗り場客の待ち人数を検出する待ち人数検出センサ100とを備える。運行管理サーバ200は、乗り場に戻る複数のタクシー車両Cを乗り場までの所要時間が短い順に並べた場合に、その順番が待ち人数検出センサ100で検出した乗り場客の待ち人数以下の数となるタクシー車両Cに対し、途中客を拾わず乗り場客を優先するように迎車指示を行う。これにより、乗り場に対し必要なタクシー車両Cを供給することで乗り場客の利便性を向上しつつ、余剰分のタクシー車両Cで途中客を拾うことで途中客の利便性をも向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタクシー車両の運行管理を行う車両運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にタクシー業務においては、車両運行管理システムにより複数のタクシー車両の運行管理を行っている。この車両運行管理システムでは、無線基地局が複数のタクシー車両の位置情報を一括して管理しており、この位置情報に基づき、各タクシー車両に対して無線回線を通じて運行指示を行うことにより、配車効率の向上を図っている。
【0003】
このような車両運行システムにおいて、例えば、乗り場を出発したタクシー車両の乗り場への帰着時刻を、利用客を乗せた時刻及び利用客を降ろした時刻に基づき予め無線基地局で判断し、この帰着時刻に応じてその車両に対する運行指示を無線基地局から行うことにより、配車効率の向上を図る技術が存在している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−129694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような車両運行システムによれば、タクシー車両が乗り場へ戻る途中に利用客(以下、途中客と称する)が存在する場合が考慮されていない。このため、途中客を乗せた場合には、途中客の利便性は向上するが、予定帰着時刻に遅れてしまうため、乗り場の利用客(以下、乗り場客と称する)の利便性の低下を招くこととなる。一方で帰着時刻を厳守するために途中客を無視すれば、乗り場客の利便性は向上するが、途中客の利便性の低下を招くこととなる。このように、乗り場客と途中客の両者の利便性を両立することができなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、所定の乗り場から送客を行う複数のタクシー車両の運行管理を行う車両運行管理システムであって、前記複数のタクシー車両に対し運行指示を行う運行管理サーバと、前記乗り場における利用客(以下、乗り場客と称する)の待ち人数を検出する待ち人数検出手段とを備え、前記運行管理サーバは、送客後前記乗り場に戻る前記タクシー車両に対し、前記待ち人数検出手段の検出結果及び前記タクシー車両の配車状況に応じて、前記乗り場への途中に存在する利用客(以下、途中客と称する)を拾わず前記乗り場客を優先するように前記運行指示を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0008】
図1は、本実施形態の車両運行管理システムCSの全体構成例を概念的に示す図である。
【0009】
本実施形態の車両運行管理システムCSは、所定の乗り場から送客を行う複数のタクシー車両Cの運行管理を行うものである。図1に示す例では、車両運行管理システムCSは、乗り場における利用客(以下、乗り場客と称する)の待ち人数を検出する待ち人数検出センサ100(待ち人数検出手段に相当)と、複数のタクシー車両Cに対し運行指示を行う運行管理サーバ200とを有している。
【0010】
待ち人数検出センサ100と運行管理サーバ200とは、ネットワークNWを介して情報送受信可能に接続されており、待ち人数検出センサ100はその検出結果を運行管理サーバ200に送信する。待ち人数検出センサ100としては、例えばカメラ等の撮像手段を用いて画像認識により人数を検出する画像認識手段を採用することができるが、その他にも、例えばゲートを用いて機械的に人数を検出したり、重量センサや赤外線センサ等を用いて検出してもよい。
【0011】
各タクシー車両Cには無線通信装置300がそれぞれ搭載されている。これらの無線通信装置300は、運行管理サーバ200と無線通信を介しデータ通信可能に接続されており、運行管理サーバ200からの運行指示を受信可能となっている。本実施形態では、運行管理サーバ200からタクシー車両Cの無線通信装置300に対し送信される運行指示として、送客後乗り場へ戻る途中に道路脇等に存在する利用客(以下、途中客と称する)を拾わず乗り場客を優先させる迎車指示が行われる。
【0012】
また車両運行管理システムCSは、各タクシー車両Cにそれぞれ設けられ、車両の運行状況を表示する運行状況表示部310(運行状況表示手段に相当)を有している。この運行状況表示部310は、無線通信装置300と接続されており、無線通信装置300の制御部301の制御により車両の運行状況に応じて自動的に表示が切り替えられるようになっている。
【0013】
例えば図1に示す例では、複数のタクシー車両Cとして3台のタクシー車両C1,C2,C3を図示している。この例では、各タクシー車両Cの運行状況は以下のようになっている。すなわち、タクシー車両C1は、乗り場で利用客を乗せて指定場所にメータ走行中であり、運行状況表示部310は「乗車」表示に切り替えられている。またタクシー車両C2は、指定場所に送客後乗り場へ回送中であり、運行状況表示部310は「回送」表示に切り替えられている。この回送中においては、運転手は途中客が存在する場合には途中客を拾うことが可能であり、途中客が存在しない場合には乗り場に戻ることになる。またタクシー車両C3は、回送中に運行管理サーバ200から迎車指示を受信することにより乗り場に迎車中であり、運行状況表示部310は「迎車」表示に切り替えられている。この迎車中においては、運転手は途中客の有無に拘わらず乗り場に直行し、乗り場客を優先することになる。
【0014】
図2は、運行管理サーバ200の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0015】
運行管理サーバ200は、各構成要素が図示しないCPU等を含む制御部201により制御されて動作する。
【0016】
運行管理サーバ200から各タクシー車両Cの無線通信装置300に対し送信される運行指示信号は、制御部201から無線送受信部202へ送られ、無線送受信部202により変調されてアンテナ203へ供給され、アンテナ203を介し電波として送信される。一方、各タクシー車両Cの無線通信装置300から送信される信号は、アンテナ203、無線送受信部202により処理される。すなわち、無線通信装置300からの送信電波はアンテナ203で受信され、無線送受信部202で復調されて受信信号が生成される。この受信信号は制御部201へ供給される。
【0017】
また制御部201には、メモリ204及び大容量記憶部205がそれぞれ接続されており、さらに上述した待ち人数検出センサ100がネットワークNWを介して接続されている。メモリ204は、種々の処理において一時的にデータを記憶するために使用される。また大容量記憶部205は、例えばハードディスクや大容量メモリ等で構成されるものであり、運行管理サーバ200の有する種々の機能を実行するためのプログラムや地図データ等が予め記憶されている。
【0018】
図3は、タクシー車両Cに搭載された無線通信装置300の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0019】
無線通信装置300は、各構成要素が図示しないCPU等を含む制御部301により制御されて動作する。
【0020】
運行管理サーバ200から送信される運行指示信号は、アンテナ302、無線送受信部303により処理される。すなわち、運行管理サーバ200からの送信電波はアンテナ302で受信され、無線送受信部303で復調されて受信信号が生成される。この受信信号は制御部301へ供給される。一方、制御部301から運行管理サーバ200へ送信される送信信号は、無線送受信部303へ送られ、無線送受信部303により変調されてアンテナ302へ供給され、アンテナ302を介し電波として送信される。
【0021】
GPSアンテナ304は、複数のGPS衛星からの電波を受信し、受信信号をGPS受信部305へ供給する。GPS受信部305は、複数の電波を利用して無線通信装置300の現在位置を求め、位置情報として制御部301へ供給する。
【0022】
さらに制御部301には、メモリ306、タクシーメータ部307、ユーザが各種操作入力を行うための操作部308及び上述した運行状況表示部310がそれぞれ接続されている。メモリ306は、種々の処理において一時的にデータを記憶するために使用される。またタクシーメータ部307は、予め入力されたタイヤ1回転あたりの走行距離に検出したタイヤの回転数を乗算することでメータ走行中の走行距離を算出し、この距離に基づき料金を算出する。なお、メータ走行の開始・終了は、運転手が操作部308を介して所定の操作入力を行った際に行われるようになっており、メータ走行開始操作が行われるとタクシーメータ部307による走行距離・料金の算出が開始され、メータ走行終了操作が行われるとタクシーメータ部307による算出は停止される。
【0023】
図4は、無線通信装置300の制御部301により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。制御部301は、例えばタクシー車両Cが乗り場で利用客を乗せてメータ走行を開始した際に、このフローを実行するようになっている。
【0024】
まずステップS5では、制御部301は、タクシー車両Cのメータ走行が終了したか否かを操作部308からの操作入力信号に基づき判定する。制御部301は、運転手が操作部308を介してメータ走行終了操作を行うことによりタクシー車両Cのメータ走行が終了するまで本判定を繰り返し、メータ走行が終了した場合には、次のステップS10を実行する。
【0025】
ステップS10では、制御部301は、運行状況表示部310に制御信号を出力し、「回送」表示に切り替える。この「回送」表示中には、運転手は乗り場に戻るようにタクシー車両Cを運転しつつ、乗り場までの間に途中客が存在する場合には、その途中客を拾うことが可能である。なお、途中客が存在しない場合にはそのまま乗り場に戻る。
【0026】
次にステップS15では、制御部301は、タクシー車両Cの戻り先である乗り場の情報を取得する。この乗り場の情報は、例えば乗り場の名称や識別番号、地図情報等であり、運転手が操作部308を介して予め定められた複数の乗り場から選択入力するようになっている。なお、操作者が回送の度に選択するのではなく、タクシー車両Cごとに予め特定の乗り場が定められていてもよい。また、回送の度に運行管理サーバ200が乗り場を指定するようにしてもよい。
【0027】
次にステップS20では、制御部301は、タクシー車両Cの車両ナンバーを取得する。この車両ナンバーは、例えばメモリ306等に予め登録されており、制御部301はメモリ306から読み出すことにより取得する。
【0028】
次にステップS25では、制御部301は、GPS衛星から受信した複数の電波を利用してGPS受信部305により求められた位置情報を取得する。
【0029】
次にステップS30では、制御部301は、ステップS15乃至ステップS25で取得した乗り場情報、車両ナンバー及び位置情報を、無線送受信部303及びアンテナ302を介して運行管理サーバ200に送信する。
【0030】
次にステップS35では、制御部301は、アンテナ302及び無線送受信部303を介し、運行管理サーバ200より迎車指示を受信したか否かを判定する。制御部301は、迎車指示を受信した場合には、次のステップS40を実行する。一方、迎車指示を受信しない場合には、後述のステップS50を実行する。
【0031】
ステップS40では、制御部301は、運行状況表示部310に制御信号を出力し、「迎車」表示に切り替える。この「迎車」表示中には、運転手は、途中客の有無に拘わらず乗り場に直行するようにタクシー車両Cを運転し、乗り場客を優先する。
【0032】
次にステップS50では、制御部301は、途中客が乗車したか否かを操作部308からの操作入力信号に基づき判定する。制御部301は、運転手により操作部308を介してメータ走行開始操作が行われず、途中客が乗車しなかったと判定した場合には、本フローを終了する一方、運転手により操作部308を介してメータ走行開始操作が行われた場合には、途中客が乗車したと判定し、次のステップS55を実行する。
【0033】
ステップS55では、制御部301は、運行状況表示部310に制御信号を出力し、「乗車」表示に切り替える。
【0034】
次にステップS60では、制御部301は、タクシーメータ部307に制御信号を出力し、メータ走行を開始する。その後、上述したステップS5に戻り、同様の手順を実行する。
【0035】
図5は、運行管理サーバ200の制御部201により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【0036】
まずステップS110では、制御部201は、アンテナ203及び無線送受信部202を介し、タクシー車両Cの無線通信装置300から送信される乗り場情報、車両ナンバー及び位置情報を受信したか否かを判定する。制御部201は、無線通信装置300から位置情報等を受信するまで本判定を繰り返し、受信した場合には、次のステップS120を実行する。
【0037】
ステップS120では、制御部201は、受信した乗り場情報及び位置情報に基づき、タクシー車両Cが現在位置から乗り場に戻るまでに要する所要時間を計算する。
【0038】
次にステップS130では、制御部201は、位置情報等を受信したタクシー車両Cを、乗り場に戻り中であるタクシー車両Cを乗り場までの所要時間が短い順に並べた配車リストにおける、ステップS120で計算した所要時間に対応する位置に追加し、その配車リストにおける順番nを取得する。なお、配車リストは例えばメモリ204に記憶されており、制御部201により逐次情報の更新が行われている。
【0039】
次にステップS140では、制御部201は、待ち人数検出センサ100の検出結果をネットワークNWを介して受信し、乗り場における乗り場客の待ち人数pを取得する。
【0040】
次にステップS150では、制御部201は、ステップS130で取得した配車リストにおける順番nが、ステップS140で取得した乗り場の待ち人数p以下であるか否かを判定する。制御部201は、順番nが待ち人数pより大きい数である場合には、本フローを終了する一方、順番nが待ち人数p以下の数である場合には、次のステップS160を実行する。
【0041】
ステップS160では、制御部201は、タクシー車両Cに対し乗り場へ戻る途中に途中客を拾わず乗り場客を優先させる迎車指示を、無線送受信部202及びアンテナ203を介してタクシー車両Cの無線通信装置300に送信する。
【0042】
図6は、運行管理サーバ200のメモリ204等に記憶された配車リストの例を示す図である。
【0043】
図6に示す例では、乗り場に戻り中であるタクシー車両Cは、車両ナンバーがNo.003、No.007及びNo.001である3台のタクシー車両Cであり、それぞれのタクシー車両Cの乗り場までの所要時間はそれぞれ5分、12分、15分となっている。このため、所要時間の短い順に、車両ナンバーがNo.003、No.007及びNo.001の順番で3台のタクシー車両Cがリストに含まれている。
【0044】
この場合において、例えば車両ナンバーがNo.001であるタクシー車両C(以下、第1号車Cと称する)が指定場所で乗客を下ろしてメータ走行を終了し、乗り場へ回送する際に、乗り場における乗り場客の待ち人数が2人以下であった場合には、第1号車Cのリスト中における順番nは3であり、待ち人数pは1又は2であるため、n≦pとはならず、運行管理サーバ200から第1号車Cの無線通信装置300に対し迎車指示は送信されない。このため、第1号車Cは、運行状況表示部310を「回送」表示としたまま乗り場への回送を行い、乗り場に戻るまでの間に途中客が存在する場合にはその途中客を拾うことが可能であり、途中客が存在しない場合にはそのまま乗り場に戻ることになる。
【0045】
一方、第1号車Cがメータ走行を終了して乗り場へ回送する際に、乗り場における乗り場客の待ち人数が3人以上であった場合には、第1号車Cのリスト中における順番nは3であり、待ち人数pは3以上であるため、n≦pとなり、運行管理サーバ200から第1号車Cの無線通信装置300に対し迎車指示が送信される。これにより、運行状況表示部310は「迎車」表示に切り替えられ、その後第1号車Cは、途中客の有無に拘わらず乗り場に直行し、乗り場客を優先することになる。
【0046】
なお、一旦n≦pとなり、運行管理サーバ200から第1号車Cの無線通信装置300に対し迎車指示を送信した場合でも、その後例えば乗り場客の一部があきらめて帰る等により待ち人数pが減少し、n>pとなった場合には、運行管理サーバ200から回送指示を送信し、第1号車Cを再度回送中とするようにしてもよい。
【0047】
以上のように、上記実施形態における車両運行管理システムCSは、所定の乗り場から送客を行う複数のタクシー車両Cの運行管理を行う車両運行管理システムCSであって、複数のタクシー車両Cに対し運行指示を行う運行管理サーバ200と、乗り場における利用客(以下、乗り場客と称する)の待ち人数を検出する待ち人数検出手段100(待ち人数検出センサに相当)とを備え、運行管理サーバ200は、送客後乗り場に戻るタクシー車両Cに対し、待ち人数検出手段100の検出結果及びタクシー車両Cの配車状況に応じて、乗り場への途中に存在する利用客(以下、途中客と称する)を拾わず乗り場客を優先するように運行指示を行う。
【0048】
このようにすると、乗り場客の待ち人数に対し配車状況が充分でない場合には、タクシー車両Cに対し途中客を拾わず乗り場客を優先するように運行させることができる一方、乗り場客の待ち人数に対し配車状況が充分である場合には、余剰なタクシー車両Cに対し、途中客を拾うのを許容しつつ運行させることが可能となる。これにより、乗り場に対し必要なタクシー車両Cを供給することで乗り場客の利便性を向上しつつ、余剰分のタクシー車両Cで途中客を拾うことで途中客の利便性をも向上することができる。したがって、乗り場客と途中客の両者の利便性を両立することができる。また、乗り場に対し過剰なタクシー車両Cを供給することを防止できるので、配車効率を向上できる効果もある。
【0049】
上記実施形態における車両運行管理システムCSにおいては、上述した構成に加えてさらに、運行管理サーバ200は、乗り場に戻る少なくとも1台のタクシー車両Cを乗り場までの所要時間が短い順に並べた場合に、その順番が待ち人数検出手段100で検出した乗り場客の待ち人数以下の数となるタクシー車両Cに対し、途中客を拾わず乗り場客を優先するように運行指示を行う。
【0050】
このようにすると、乗り場までの距離が近い順に、乗り場客の待ち人数に対応する台数分のタクシー車両Cに対し、途中客を拾わず乗り場客を優先するように運行させることができる一方、待ち人数を超える台数分のタクシー車両に対しては、途中客を拾うのを許容しつつ運行させることが可能となる。これにより、乗り場に対し必要なタクシー車両Cを供給して乗り場客の利便性を向上しつつ、余剰分のタクシー車両Cで途中客を拾うことで途中客の利便性をも向上することができる。また、例えば単に待ち人数と乗り場に戻るタクシー車両Cの台数とを比べ、車両台数が待ち人数以下の数である場合に乗り場客優先とするような場合に比べて、乗り場に近いタクシー車両Cから順番に乗り場を優先して運行させることができるので、配車効率をさらに向上することができる。
【0051】
上記実施形態における車両運行管理システムCSにおいては、上述した構成に加えてさらに、複数のタクシー車両Cにそれぞれ設けられ、タクシー車両Cの運行状況を表示する運行状況表示手段310(運行状況表示部に相当)を備え、運行状況表示手段310は、タクシー車両Cが送客後乗り場に戻る際には回送表示を行い、運行管理サーバ200より途中客を拾わず乗り場客を優先するように運行指示を受けた場合には、迎車表示に切り替わる。
【0052】
このようにすると、途中客は、タクシー車両Cの運行状況表示手段310の表示を確認し、その表示が迎車表示である場合には、その車両Cを諦めて次の車両Cを探すことができ、その表示が回送表示である場合には、その車両Cを呼び止めて利用することができる。これにより、途中客の利便性をさらに向上することができる。
【0053】
なお、本実施形態は、上記に限られず、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0054】
(1)タクシー乗り場に配車状況の表示を行う場合
本変形例は、タクシー車両Cの乗り場への配車状況を表示する表示板を乗り場に設ける構成としたものである。なお、本変形例における車両運行管理システムCSは、前述した実施形態とほぼ同様の構成であり、部分的には同様の動作を実行する。このため、本変形例では、同一の構成及び動作については前述した実施形態における図1乃至図6と同一の符号を用いると共に、その説明を適宜省略し、以下では異なる点を中心として説明する。
【0055】
図7は、本変形例の車両運行管理システムCSの全体構成例を概念的に示す図である。
【0056】
この図7において、前述の実施形態と異なる点は、タクシー車両Cの乗り場への配車状況、具体的には、迎車中及び回送中の両方を含む全ての乗り場に戻るタクシー車両Cの車両ナンバー(車両識別情報に相当)と乗り場までの所要時間とを表示する表示板400(配車状況表示手段に相当)を、乗り場に設置した点である。この表示板400と運行管理サーバ200とは、ネットワークNWを介して情報送受信可能に接続されており、表示板400は運行管理サーバ200の制御部201の制御に基づき表示を行う。
【0057】
なお、所要時間の表示は、計算時点からの経過時間を減算しつつ表示してもよいし、常時又は一定時間おきにタクシー車両Cの位置を追跡し、その位置に応じて見直しつつ表示するようにしてもよい。また、所要時間の代わりに、現在時刻に所要時間を加算した予定到着時刻を表示するようにしてもよい。また、乗り場の表示板400に加え、例えば利用客の携帯端末や情報端末等にも情報を送信し、表示を行うようにしてもよい。
【0058】
図8は、本変形例において、無線通信装置300の制御部301により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。この図8において、ステップS5〜ステップS60は、前述の図4と同様であるので説明を省略する。
【0059】
次にステップS65では、制御部301は、乗り場への回送中に途中客を拾ったことにより、回送状態をキャンセルすることを知らせるための回送キャンセル通知を、無線送受信部303及びアンテナ302を介して運行管理サーバ200に送信する。
【0060】
図9は、本変形例において、運行管理サーバ200の制御部201により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。この図9において、ステップS110乃至ステップS130は、前述の図5と同様であるので説明を省略する。
【0061】
次にステップS135では、制御部201は、ネットワークNWを介して表示板400に制御信号を送信し、前述したステップS130において、車両情報の追加が行われた配車リストを表示板400に表示させる。これにより、表示板400には、乗り場に戻り中であるタクシー車両Cの車両ナンバーを乗り場までの所要時間が短い順に並べた配車リストが表示される。例えば図7の例では、表示板400に、前述の図6に示すものと同内容の配車リストが表示されている。
【0062】
その後のステップS140乃至ステップS160は、前述の図5と同様であるので説明を省略する。
【0063】
次にステップS170では、制御部201は、アンテナ203及び無線送受信部202を介し、タクシー車両Cの無線通信装置300から送信される回送キャンセル通知を受信したか否かを判定する。制御部201は、無線通信装置300から回送キャンセル通知を受信しない場合には本フローを終了する一方、回送キャンセル通知を受信した場合には、次のステップS180を実行する。
【0064】
ステップS180では、制御部201は、メモリ204等に記憶された配車リストからキャンセル通知を送信したタクシー車両Cの情報を削除し、当該車両Cに対応する情報の表示板400での表示も停止する。
【0065】
上記変形例における車両運行管理システムCSは、上述した構成に加えてさらに、乗り場に設けられ、乗り場に戻る少なくとも1台のタクシー車両Cの車両識別情報(車両ナンバーに相当)と、乗り場までの所要時間とを表示する配車状況表示手段400(表示板に相当)を備える。
【0066】
このようにすると、乗り場でタクシー車両Cを待っている乗り場客が、どの車両Cが乗り場に向かい、且つその車両Cが到着するまでどのくらいかかるのかを把握することができる。したがって、乗り場客の利便性をさらに向上することができる。
【0067】
上記変形例における車両運行管理システムCSは、上述した構成に加えてさらに、配車状況表示手段400は、車両識別情報と乗り場までの所要時間とを、所要時間が短い順に表示する。
【0068】
このようにすると、乗り場でタクシー車両Cを待っている乗り場客は、自分の待ち順と配車状況表示手段400の表示順とを比較することにより、自分がどのタクシー車両Cにいつ頃乗車できるかを容易に把握することができる。したがって、乗り場客の利便性をさらに向上することができる。
【0069】
上記変形例における車両運行管理システムCSは、上述した構成に加えてさらに、配車状況表示手段400は、乗り場に戻るタクシー車両Cのうち、運行管理サーバ200より途中客を拾わず乗り場客を優先するように運行指示を受けたタクシー車両C以外の車両が、途中客を拾った場合に、そのタクシー車両Cの表示を停止する。
【0070】
このようにすると、乗り場において、途中客を拾うことで乗り場への回送がキャンセルされたタクシー車両Cが配車状況表示手段400により誤って表示されることを防止し、乗り場へ迎車及び回送されるタクシー車両Cのみを確実に表示することができる。したがって、乗り場客の利便性をさらに向上することができる。
【0071】
(2)その他
以上では、タクシー車両Cが乗り場に迎車中である場合、途中客が存在しても拾わないようにしたが、例えば運行状況表示部310で「迎車」表示に加えて行き先である乗り場の表示を行い、同一方向の途中客である場合には乗車させるようにしてもよい。
【0072】
また以上では、タクシー車両Cが送客後乗り場へ回送する際に、運行状況表示部310が自動的に「回送」表示に切り替わるようにしたが、例えば回送する都度運行管理サーバ200に問い合わせ、運行管理サーバ200からの指示に応じて切り替えるようにしてもよい。また、この運行状況表示部310の表示は、無線通信装置300の制御部301の制御により車両の運行状況に応じて自動的に表示が切り替えられるようにしたが、これに限らず、例えば運転手が手動で切り替えるようにしてもよい。または自動、手動のいずれで切り替えるかを予め設定できるようにしてもよい。
【0073】
さらに、以上ではタクシー車両Cが送客後乗り場へ回送する際に、運行状況表示部310が一律に「回送」表示に切り替わるようにしたが、例えば乗り場に戻る「回送」表示と、特定の乗り場に戻らずに流しで客を拾う場合の「空車」表示とを、運転者が選択可能な構成としてもよい。また、「回送」表示と「空車」表示とを区別せずに、乗客を乗せていない場合には全て「空車」表示としてもよい。さらに、運転者が休憩する場合の「休憩」表示等も選択可能としてもよい。
【0074】
また以上では特に記載しなかったが、乗り場において表示板400で配車リストの表示を行う場合、乗り場客が所望のタクシー車両Cの予約を行えるような構成としてもよい。この際、回送中のタクシー車両Cについて予約がなされた場合には、当該タクシー車両Cを迎車中に切り替え、途中客を乗せないようにしてもよい。なお、この予約は、乗り場客の乗り場での並び順に沿って行えるようにしてもよい。
【0075】
なお、以上において、図4、図5等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0076】
なお、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0077】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施形態の車両運行管理システムの全体構成例を概念的に示す図である。
【図2】運行管理サーバの機能構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】タクシー車両に搭載された無線通信装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】無線通信装置の制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【図5】運行管理サーバの制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【図6】運行管理サーバのメモリ等に記憶された配車リストの例を示す図である。
【図7】タクシー乗り場に配車状況の表示を行う変形例における車両運行管理システムの全体構成例を概念的に示す図である。
【図8】タクシー乗り場に配車状況の表示を行う変形例において、無線通信装置の制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【図9】タクシー乗り場に配車状況の表示を行う変形例において、運行管理サーバの制御部により実行される処理の手順例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
100 待ち人数検出センサ(待ち人数検出手段に相当)
200 運行管理サーバ
310 運行状況表示部(運行状況表示手段に相当)
400 表示板(配車状況表示手段に相当)
C タクシー車両
CS 車両運行管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の乗り場から送客を行う複数のタクシー車両の運行管理を行う車両運行管理システムであって、
前記複数のタクシー車両に対し運行指示を行う運行管理サーバと、
前記乗り場における利用客(以下、乗り場客と称する)の待ち人数を検出する待ち人数検出手段とを備え、
前記運行管理サーバは、送客後前記乗り場に戻る前記タクシー車両に対し、前記待ち人数検出手段の検出結果及び前記タクシー車両の配車状況に応じて、前記乗り場への途中に存在する利用客(以下、途中客と称する)を拾わず前記乗り場客を優先するように前記運行指示を行う
ことを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記運行管理サーバは、前記乗り場に戻る少なくとも1台の前記タクシー車両を前記乗り場までの所要時間が短い順に並べた場合に、その順番が前記待ち人数検出手段で検出した前記乗り場客の待ち人数以下の数となる前記タクシー車両に対し、前記途中客を拾わず前記乗り場客を優先するように前記運行指示を行う
ことを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記乗り場に設けられ、前記乗り場に戻る少なくとも1台の前記タクシー車両の車両識別情報と、前記乗り場までの所要時間とを表示する配車状況表示手段を備える
ことを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記配車状況表示手段は、前記車両識別情報と前記乗り場までの所要時間とを、前記所要時間が短い順に表示する
ことを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の車両運行管理システムにおいて、
前記配車状況表示手段は、前記乗り場に戻るタクシー車両のうち、前記運行管理サーバより前記途中客を拾わず前記乗り場客を優先するように運行指示を受けたタクシー車両以外の車両が、前記途中客を拾った場合に、そのタクシー車両の表示を停止する
ことを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の車両運行管理システムにおいて、
前記複数のタクシー車両にそれぞれ設けられ、前記タクシー車両の運行状況を表示する運行状況表示手段を備え、
前記運行状況表示手段は、前記タクシー車両が送客後前記乗り場に戻る際には回送表示を行い、前記運行管理サーバより前記途中客を拾わず前記乗り場客を優先するように運行指示を受けた場合には、迎車表示に切り替わる
ことを特徴とする車両運行管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−117965(P2010−117965A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291790(P2008−291790)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】