説明

車両間通信するために車両のローカルピアグループを編成するためのグループヘッダに基づく方法

ローカルピアグループ(LPG)としてグループ化される複数の移動デバイスを有するネットワークを確立及び維持するための方法、及び対応するアドホック移動デバイス間ネットワークが開示される。LPG内の複数の移動無線デバイスから、グループヘッダノード(GH)が選択される。GHは、一定のインターバルで、ハートビートメッセージを含む複数の制御メッセージを送信することによってLPGを制御及び管理する。またLPGは、少なくとも1つのグループノード(GN)も含む。少なくとも1つのGNは、この少なくとも1つのGNとGHとの間に構築されるネットワークリンクを介してGHと通信することができる。GNは、GHを介してLPGに参加する。1つのLPG内に2つ以上のGHが存在する場合には、ヘッダ解決を行って、1つのGHだけが選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は移動環境における通信のためのアドホック無線ネットワークに関する。より具体的には、本発明は、通信をほぼ瞬時に達成するために、移動デバイス間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持することに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許法第119条に基づいて、2005年11月22日にShengwei Cai他によって出願された「Group-Header Based Method to Organize Local Peer Group of Vehicles for Inter-Vehicle Communication」と題する米国特許出願第11/285,593号からの優先権を主張し、また2005年11月22日にWai Chen他によって出願された「Linked Equivalent Cell Header-based Approach and Protocol for organizing an Ad-Hoc Network」と題する米国特許出願第11/284,731号に関連し、それらの特許出願はそれぞれ参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の記載]
無線ホームネットワーク、無線オフィスネットワークや、ローカルカフェ、ファーストフードチェーン又はホテルにおけるいわゆる「ホットスポット」ネットワーク、さらには都市全体でWiFi技術を実施することのいずれにしても、無線技術は、今日の生活のあらゆる面において普及してきている。社会においてこのように無線を推し進める目的は、情報を入手しやすくすること、及び、コンピュータネットワーク、特にインターネットを広く受け入れるとともに利用することによって社会全体が享受してきた生産性をさらに高めることである。802.11a/b/gのような無線ネットワーキング技術によって、WiFi機能を搭載したデバイスが、通信線のような制約を受けることなく、標準的な有線ネットワーク内に存在するかのように互いに接続できるようになる。ネットワーク通信エリア内であれば物理的な場所に関係なく、人々は自由に、ネットワークに接続された状態を維持することができる。
【0004】
これを目指して、いくつかの都市が、その都市のための無線ネットワークを構築しようとしてきた。たとえば、2004年7月29日に、ミシガン州グランドヘブンは、6平方マイルの都市を網羅し、ミシガン湖まで15マイルにわたって広がる、都市全域の無線ネットワークを構築して、「全米最初のWiFi都市」であるという栄誉を主張した。多数の市当局者は、WiFiを、下水・電力・電話及び交通機関と同様に企業を誘致・維持するために不可欠なインフラストラクチャと見ている。そのようなシステムの市当局者にとっての利点は、市職員の間での通信手段を提供することから、市民全体に行政サービス告知、注意報及び他の有用な情報を提供することまで多岐にわたる。
【0005】
このような無線での接続性を向上させる流れの中にあって、日常生活の一領域は立ち遅れている。アメリカの道路及び高速道路は、衛星測位システムや携帯電話システム以外の無線技術に関して、ほとんど手付かずのままである。しかしながら、アメリカの道路において無線ネットワーク技術を実施することには数多くの利点がある。最も注目すべきものの中には、交通情報、アンバーアラート、気象注意報等があり、それらの情報は影響がある全ての車両に即座に中継することができる。
【0006】
さらに、自動車を互いにネットワーク化することによって、近くの他の車両に影響がある車両情報を中継できるようになる。たとえば、自動車が突然ブレーキをかけることがある。この動作を、ブレーキをかけている自動車の後方にいる全ての車両に瞬時に報告することができ、それにより、他の車両のドライバが、差し迫った状況に陥る前に必要な措置を講じることができるようになる。この特徴が、交通事故及び交通渋滞を緩和するために意味があることは明らかである。このタイプの無線ネットワーキングは、限定はしないが、緊急道路障害物警告、交差点での協調、隠れた車道に関する警告、車線変更又は合流の支援を含む、車両安全アプリケーションの数多くの面において現われる可能性がある。
【0007】
車両安全通信(「VSC」)は、大きく、車車間通信とインフラストラクチャを介した車両通信とに分けることができる。車車間通信では、固定されたインフラストラクチャからの支援を受けることなく、車両同士が通信する。車両が互いの無線範囲内にいるとき、または他の車両を介してマルチホップ中継できるときに、車両同士が通信する。インフラストラクチャを介した車両通信では、路側無線アクセスポイントのようなインフラストラクチャの支援を受けて、車両同士が通信する。この場合に、車両はインフラストラクチャだけと通信することもできる。
【0008】
重要なVSC性能要件には、衝突回避のような種々のVSCアプリケーションを支援するために、遅延時間が短いこと(約100ミリ秒)、及びスループットを維持すること(別の言い方をすると、近くにいる車両が警告メッセージを受信するのに成功するパーセンテージ)が含まれる。
【0009】
単に、移動する車両に無線アンテナを取り付けて、その後、協調性なく通信を行うだけでは、これらの要件を満足できないであろう。具体的には、無線帯域幅が限られているため、協調性なくデータを伝送することによって、通信電波が複数のメッセージで溢れることになり、無線波の妨害が生じるであろう。
【0010】
その場合に、これらの車両は、互いの伝送を妨害することになり、伝送用の無線帯域幅を得るために互いに競合することになる。さらに、所望の伝送方向を考慮することなく、全てのメッセージが全ての方向に伝搬することになる。
【0011】
さらに、各車両が他の車両のネットワーク構成と整合しないであろう。
【0012】
移動度が高く、また固有の関係がないので、車両を事前に車両グループとして構成することは難しい(すなわち、どの車両も、予めその近くにいる車両について何も知らない)。車両間安全通信を構築するために必要とされる全ての情報が車両間で概ねリアルタイムに交換されなければならず、また、グループ内の車両は概ねリアルタイムに自らを構成して安全通信を行うことができるようにしなければならない。協調しない車両の移動度が高いということは、近くにいる車両や車両グループが頻繁に変化し、車両グループ内でサポートサーバ(移動度、アドレス、名前、メディアセッションのための)を用いることが難しいということを意味する。これらの重大な違いのせいで、既存のアドホックネットワーキング技術を、安全通信のために車両グループに直に適用できない。
【0013】
ホットスポットのような他の場所で利用されるWiFi方法を用いることは、通信エリア、データトラフィック量、遅延時間の問題のために実用的ではない。大都市の通常のラッシュアワーの通勤は、3車線の高速道路の1200メートル長当たりの車両が600台にもなるという車両密度を生じる可能性がある。さらに、これらの車両は全て、時速30〜60マイルの速度で個々の通信エリアを通り抜けていく。たいていの無線システムは、ネットワーク内でそのような大きな変化率を取り扱うだけの能力がない。
【0014】
具体的には、車両が通信エリアに入るときに、無線アクセスポイントやルータによって識別されるとともに構成命令を受ける必要がある。車両が通信エリアを出るときは、無線アクセスポイントやルータは、レコードを更新して、ネットワークからその車両を削除する必要がある。したがって、特定の通信エリアを車両が通り抜ける速さによって、情報更新の頻度、すなわち無線アクセスポイントやルータによって送信され、その範囲内の全ての車両によって応答されるべきハンドシェーキング要件が決定される。これら全ての車両が情報を同時に送信すると、すぐにシステムの容量を超えてしまう。
【0015】
車車間通信ネットワークを確立するために、いくつかの試みがなされてきた。たとえば、FleetNetおよびCarTalk2000はいずれも、車車間通信ネットワークを構築する。これらのシステムはいずれも、位置情報を得るために、各車両内でGPSシステムを使用する。FleetNetは、「アドホック」ネットワークのためのインフラストラクチャとして固定ノード及び移動ノードの両方を使用する。固定ノードは、サーバルータやゲートウエイルータやクライアントサーバルータとしての役割を果たす。このように複数の固定ノードを用いると、インフラストラクチャを設置、維持、管理するためにかなりの財務費及び間接費が生じる。さらに、FleetNetシステムは、位置に基づくルーティング及び位置認識を用いる。具体的には、実施される通信プロトコルにおいて、それらのシステムのための重要要素として、位置データが決定的な役割を果たす。
【0016】
CarTalk2000も位置に基づくプロトコルを用いる。CarTalk2000による車車間システムに参加する各車両は、常に現在位置を検出するために、GPSデバイスを搭載していなければならない。さらに、CarTalk2000は、トポロジカル情報ルーティングや、手続き型ルーティング、あるいはアドホック・オンデマンド・ディスタンス・ベクター型プロトコル、ダイナミック・ソース・ルーティング、ハイブリッド・ルーティングなどのリアクティブルーティングのような複数の異なるルーティングプロトコルを用いる。これらのプロトコルはそれぞれ、複雑な別個のプロトコルルールを用いる。
【0017】
CarTalk2000システムの主な欠点は、近くにあるノードを発見することが、データ転送量を著しく増やすことである。各ノードが、周期的にビーコンを送信して、その存在を近くの車両に対して通知する。トラフィックが高いエリアでは、この結果として、ビーコンメッセージが衝突する可能性がある。
【0018】
しかしながら、これらのGPSネットワークは大きな欠点を有する。移動度の高い車両環境では、GPS情報はすぐに有効でなくなる。GPS位置ルーティングを実行するために、車両間で絶えず変化するGPS情報を交換すると、過大なプロトコルオーバーヘッドや無線帯域幅の無駄が生じる。結果として、そのようなGPS位置ルーティング技術は、最低限の通信遅延時間やマルチホップスループットの維持を達成することはできない。
【0019】
したがって、過度の帯域幅や著しいプロトコルオーバーヘッドを必要とすることなく、最低限の通信遅延時間やマルチホップスループットの維持を達成しながら、過酷なVSC性能要件を達成することができるアドホックネットワークを構成することが必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
[発明の簡単な概要]
したがって、本発明の目的は、複数の移動デバイスをローカルピアグループ(「LPG」)のような管理グループにグループ化することによって、移動デバイス間通信に適した通信境界を作り出し、メッセージ伝送を調整及び中継し、メッセージ伝搬の範囲及び方向
を制御することである。さらに、本発明の目的は、ローカルピアグループを確立及び維持するための簡単なプロトコル、及びローカルピアグループ内においてノード間で管理データを伝送するためのプロトコルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本明細書では、複数の移動ノード間でアドホック無線ネットワークを確立および維持するための方法が提供される。それらのノードは、ノードを順序付けすることなく、ローカルピアグループ(LPG)を動的に形成する。LPGを制御するために、複数の移動ノードからグループヘッダノード(GH)が選択される。GHは、ハートビートメッセージ(heartbeat message)を含む複数の制御メッセージを送信することによって、この制御を行う。ハートビートメッセージは、一定のインターバルで送信される。またGHは、他の移動ノードがLPGに参加することができるか否かを、所定の閾値に基づいて判定する。他の移動ノードがグループノード(GN)としてLPGに参加することができるものと判定される場合には、GHと他の移動ノードとの間にネットワークリンクを確立することによって、アドホックネットワークが構成される。
【0022】
GHは、固有のグループヘッダ識別情報を割り当てられ、上記LPGを制御および管理する機能を果たす。複数の制御メッセージには、さらに、LPG内の全てのGNの識別情報、LPG、GH識別情報およびタイムスタンプを含むグループメンバーシップメッセージ(group membership message)が含まれる。LPG内のGNの識別情報は、GNから送信されるステータスメッセージを介して周期的に更新される。グループメンバーシップリストメッセージは、ハートビートメッセージの中に含むことができ、上記一定のインターバルで送信することができる。
【0023】
LPG内に2つ以上のGHが存在する場合には、そのLPGのただ1つのGHを選択するために、ヘッダ解決(header resolution)が行われる。LPG内の全てのGHが、ヘッダ解決メッセージ(header resolution message)を送信する。その後、GHは、ヘッダ解決モードで動作し、所定の選択判定基準に基づいて、LPGのGHとして唯一のGHを選択してヘッダ解決を実行する。新たなGHが選択された後に、その新たなGHは、GH選択メッセージ(GH selected message)を送信し、他のGHは、その新たなGHを介して、GNとしてそのLPGに参加する。所定の選択判定基準のうちの1つは、ハートビートメッセージを最初に送信したGHが新たなGHとして選択されるというものである。
【0024】
GHの無線通信エリアの範囲内にある全てのノードがハートビートメッセージを受信する。そのノードは、GHに対してローカルピアグループ参加メッセージ(join Local Peer Group message)を送信するか否かを判定する。この判定は、少なくとも1つのパラメータと所定の閾値との比較に基づく。この少なくとも1つのパラメータは、上記LPG内のノードの数及び上記ホップカウントである。所定の閾値は、上記LPG内で許容されるノードの最大数か、最大ホップかのいずれかである。少なくとも1つのパラメータのうちのいずれか又は両方が対応する所定の閾値を超えない場合には、ローカルピアグループ参加メッセージを送信する。少なくとも1つのパラメータのいずれかが、その対応する所定の閾値を超える場合には、LPG参加メッセージを送信しない。
【0025】
別法では、ノードは、判定することなく、GHに対してローカルピアグループ参加メッセージを送信する。そして、GHが、同じパラメータ及び所定の閾値に基づいて、その判定を実行する。
【0026】
アドホックネットワークを確立及び維持する方法はさらに、GNにおいて、GHからのハートビートメッセージを受信するステップと、LPG内の各GNにおいて、タイマをハートビート周期よりも大きな値にランダムに設定するとともに次のハートビートメッセー
ジを待ち受けるステップと、ハートビートメッセージがGNによって受信されないときに、タイマの時間を減らしていくステップとを含み、次のハートビートメッセージを受信する前にタイマが満了する場合には、最初にタイマが満了したGNが自らのハートビートメッセージを送信して、新たなGHとして動作し、ハートビートメッセージを送信する最初のGNがLPGの新たなGHになる。
【0027】
さらに、LPG内のGNリストを最新の状態に保つために、あるGNがLPGから出るとき、所定の時間インターバル後にステータスメッセージがそのGNから受信されなければ、そのGNの識別情報をグループメンバーシップメッセージから削除する。別法では、そのGNは、LPGから出る際に、積極的にメッセージを送信しても良い。
【0028】
本発明の別の実施形態では、LPGの少なくとも1つのゲートウエイノードを選択するステップをさらに含み、その少なくとも1つのゲートウエイノードは、複数のメッセージをGNからGHに中継する機能を果たす。少なくとも1つのゲートウエイノードは、GNから受信される複数のステータスメッセージを収集し、所定の時間が経過した後に、その複数のステータスメッセージをメモリに格納し、その複数のステータスメッセージの集合を含む1つのメッセージをGHに対して送信する。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態では、少なくとも1つの二次GHを選択するステップをさらに含む。GHがLPGから出るとき、その少なくとも1つの二次GHが、LPGの新たなGHになる。
【0030】
また、少なくとも1つのローカルピアグループ(LPG)を含むアドホック無線ネットワークシステムも開示される。そのLPGは、順序付けされない複数の移動無線デバイスから動的に形成される。LPGは、1つのグループヘッダノード(GH)を含み、それは、複数の移動無線デバイスから選択され、固有のグループヘッダ識別情報を割り当てられる。GHは、一定のインターバルで、ハートビートメッセージを含む複数の制御メッセージを送信することによって、LPGを制御するとともに管理する。またLPGは、少なくとも1つのグループノード(GN)を含み、それは、少なくとも1つのLPGにおいて、所定の閾値に達していないときに、GHの無線範囲内にある複数の移動無線デバイスのうちの残りの移動無線デバイスから形成される。少なくとも1つのGNは、この少なくとも1つのGNとGHとの間に形成されるネットワークリンクを介してGHと通信することができる。少なくとも1つのGNは、そのGNについての情報を含むステータスメッセージをGHに送信する。
【0031】
本発明のこれらの、及び他の特徴、利益及び利点は、添付の図面を参照することによって明らかになる。なお、図面を通して、類似の参照符号は類似の構造を指している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[発明の詳細な説明]
本発明によれば、複数のノード又は移動デバイスが管理しやすいグループに編成される。これらのグループを用いて、ノード間のデータ伝送が調整される。グループは、近くにあるノードの相対的な位置に基づいて構築される。このグループ化すなわちローカルピアグループ(「LPG」)は、1つのLPG内や複数のLPG間でのルーティングの基礎および本発明によるアドホック無線ネットワーク内における伝送の組織化の基礎となり、限定はしないが、車両安全や情報アプリケーションを含む、無線通信を支援する。
【0033】
LPGの目的は、近くにあるノード間での種々の程度の連携を確立することである。これらの近くにあるノードは、無線通信能力を有する移動デバイスである。移動無線デバイスは、PDA、ノートパソコン、携帯電話、又は無線デバイスが設置若しくは内蔵された
移動車両であってもよい。具体的には、移動デバイスは、車両内に設置されるか、又は車両内に個別に持ち込まれる、関連する通信デバイスを備える車両、及び通信デバイスを携帯した歩行者を含む。好ましい実施形態は、通信デバイスを内蔵している移動する車両である。
【0034】
連携の程度には、2つのタイプがある。第1のタイプは直ぐ近くにある移動デバイスの密な連携であり、それは、概ね瞬時のメッセージ伝送の支援に利用されるLPG内通信のために用いられる。たとえば、緊急道路障害物警告又は別のタイプの他の緊急メッセージ又は安全メッセージを送信することは、LPG内メッセージ伝送を用いて実行される。これらのメッセージでは、遅延が通常約100msec以下であることが要求する。
【0035】
第2のタイプは、疎な連携、すなわち近くにある移動デバイスをグループ化することである。このタイプの組み合わせは、リンク又は相互接続されているLPG間のLPG間通信を支援するために用いられる。たとえば、LPG間通信は、道路認識アプリケーションや、及びドライバの視界拡張のために用いることができる。
【0036】
LPGは、直ぐ近くにある複数のノードから動的に形成される。具体的には、第1のノードが無線信号を送信し、第1のノードの範囲内にある他のノードが、その無線信号を受信する能力を有する。LPGは無線通信エリアに基づいて形成されるので、LPG内のノードは、固定インフラストラクチャなしに、シングルホップ又はマルチホップで互いに通信することができる。
【0037】
図1は2つのLPGを示しており、第1のLPG100は、4つのノード110、111、112及び113を含む。これら4つのノード110、111、112及び113はそれぞれ、互いにデータを送信することができる。第2のLPG120は、ノード121、122、123、124、125及び126を含む。ノード121〜126はそれぞれ、互いにデータを送信することができる。このタイプの伝送は、LPG内伝送であり、瞬時に行われる。LPG100内のノード110〜113は、LPG間通信を用いることによって、LPG120内のノード121〜125にデータを送信することができる。2つのLPG100、160は、アドホックネットワーク150を形成する。
【0038】
本発明の第1の実施形態では、LPGは2つの異なるタイプのノード、すなわちグループヘッダ(GH)及びグループノード(GN)から形成される。
【0039】
GHは、LPG内の移動デバイス又はノードであり、ノードを順序付けすることなく、また、インフラストラクチャを用いることなく、LPGを維持するとともに制御するために指定される。
【0040】
各ノード又は移動無線デバイスは、GH又はGNとして動作することができる。その場合に、各ノードは、そのノードがそれぞれGH又はGNとして機能又は動作できるようにする構成要素又は手段を含む。図2A及び図2Bは、そのノードがGH(図2A)又はGN(図2B)として動作できるようにする手段又は構成要素のうちのいくつかを示す。しかしながら、或るノードがGH又はGNのいずれかとして動作する場合であっても、GH及びGNの両方のための構造的な構成要素又は手段が全て存在し、動作モードに基づいて、特定の構成要素だけが機能する。
【0041】
さらに、図2A及び図2Bは、そのノードがそれぞれGH又はGNのいずれかであるときに機能する、特定の手段又は特徴のみを示す。しかしながら、図示される特徴は、説明を目的とするものであり、他の特徴及び構成要素が存在することができるし、実際にそのノードの中に含まれる。さらに、説明の目的上、2つの特徴及びそれらの機能の混同を避
けるために、GHのメモリセクションやGNのメモリ手段のような特徴に個別な名称を用いる。しかしながら、実際には、全てのノードの場合に構成要素、すなわちメモリは同じである。ただし、その構成要素は、そのノードがGHとして動作するか、GNとして動作するかによって、異なるように機能する。
【0042】
図2Aは、或るノードがGH10として選択されるときに機能する、移動デバイスに接続される無線デバイスの内部構造の一部のブロック図を示す。移動デバイス又はノードがGH10として選択されるとき、少なくとも以下の構成要素が機能する;メモリセクション200、クロック205、タイマ210、ハートビート発生手段215、送信/受信セクション220、制御手段225及び電源230。メモリセクション200は、DRAM、SRAM又はフラッシュを含む、任意のタイプのメモリであってもよい。好ましい実施形態では、短期メモリはキャッシュである。メモリセクションは、LPG ID、GH ID、グループリスト、所定の最大LPGサイズ、LPG内のノードの数、及び他のタイプの制御パラメータのような、そのLPGに関する情報を格納する。
【0043】
クロック205は、GH10のタイミングを維持するために用いられる。具体的には、クロック205は内部クロックとしての役割を果たし、タイマ210を設定するための基準として用いられる。タイマ210は、ハートビートメッセージ510を送信するタイミングを決定するために、すなわちハートビートインターバル(T)を決定するために用いられる。制御手段225又はマイクロプロセッサは、ハートビートメッセージ510の生成、タイマ210に基づくハートビートメッセージ510の送信のタイミング、及び或るノードがGHに入るのを許可するか拒否するかを含む、GHの全ての処理を制御する。さらに、制御手段はヘッダ解決の役割も担っており、それは後に詳細に説明される。ハートビート発生手段215は、メモリセクション200に格納されているデータからハートビートメッセージ510を作成又は生成するための役割を担う。
【0044】
GH10は、LPGを特定するとともにそのLPGに関する情報を提供する「ハートビート」と呼ばれる信号又はハートビートメッセージ510を周期的に送出する。ハートビートメッセージ510は後にさらに詳細に説明される。この周期は一定のインターバル(T)である。そのインターバル(T)の値は、設計又は動作上の要件に基づいて選択することができる。またGH10は、LPG内の全てのノードのリストも維持する。このリストはメモリセクション200に格納される。このリストは、LPGに入るノード及びLPGから出るノードに基づいて絶えず変化する。このリストは、或るノードがLPGに入った時刻、又はそのノードからのステータス更新(それにより、そのノードが依然としてLPG内に存在することが通知される)がGH10によって受信された時刻のタイムスタンプを含む。このリストは、LPGのための種々の管理及び制御機能のために用いられる。たとえば、そのリストを用いて、グループサイズを追跡することができ、特定のノードを遮断することができ、ヘッダ解決を実施することができる。さらに、このリストは、LPG内の全ての他のノードに周期的に送信される。
【0045】
LPGハートビートメッセージ510は、GH10の無線範囲(radio vicinity)内の全てのノードに送信される。そのメッセージは、制御チャネルを介して、GH10から他のノードに送信される。このチャネルは、制御及びシグナリングに専用の無線チャネルであってもよく、又は情報交換のために全てのノードによって共有される無線チャネルであってもよい。そのようなチャネルの使用は、いくつかの無線媒体アクセス制御プロトコルによって支配されることがある。ハートビートメッセージ510は、LPG ID及びGH IDの両方を含む固有の識別子を含み、それについては、後にさらに詳細に説明される。ハートビートメッセージ510又はメッセージはさらに、次のハートビートの時刻、LPG内のノードの数、LPGの所定の最大サイズ、伝送のためのホップの数、及び許容されるホップの数の最大閾値等の、LPGの他のパラメータも含む。本発明の代替の実施
形態では、ハートビートメッセージ510は、グループメンバーシップリストメッセージ540も含むことができる。
【0046】
GH10は、LPG内の全てのアクティブなGN20にグループメンバーシップリストメッセージ540を送出する。グループメンバーシップリストメッセージ540は、ヘッダ解決のために用いられ、またGHがGNのLPGステータスを最新の状態に保つためにも用いられる。グループメンバーシップリストメッセージ540は、LPG ID及びGH ID、グループメンバーシップリストメッセージが送出される時刻のタイムスタンプ、及び各GNのIDを含む。
【0047】
GH10はLPGを制御する。他の全てのノードはGH10を介してLPGに参加する。GH10は、ノードから参加メッセージ550を受信し、そのノードがLPGに参加できるか否かを判定する。その判定は、少なくとも1つの所定の閾値に基づく。所定の閾値は、LPGの最大ノードサイズ、又はLPGに許容できる最大ホップカウントであってもよい。
【0048】
具体的には、GH10が、送信/受信セクションを介してノードからの参加メッセージ550を受信すると、制御手段225が、メモリ200からノードカウント又はホップカウントのいずれかを検索する。さらに、制御手段225は、対応する所定の閾値を検索する。その後、制御手段225は、所定の閾値を、対応するパラメータと比較して、所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。たとえば、GH10は、ノードカウントを最大ノードサイズ値と比較する。別法では、GH10は、ホップカウントを許容される最大ホップカウントと比較することができる。別法では、両方の比較を行うことができる。
【0049】
所定の閾値の一方又は両方よりも大きい場合には、GH10は、そのノードがLPGに入るのを拒否する。その後、GH10は、そのノードに拒否メッセージを送信する。所定の閾値よりも小さい場合には、GH10は、そのノードが入るのを許可する。その後、GH10はそのノードに受諾メッセージを送信する。そのノードがGN20になると、GH10は、ノードカウントをインクリメントし、新たな値をメモリセクションに格納する。
【0050】
通常、LPG内にはただ1つのGH10が存在する。そのLPG内の他の全てのノードは一般的なノード、すなわちグループノード(「GN」)である。GN20は、GH10を通してLPGに入り、GN20に対してステータス信号560を周期的に送信する。これらのノードは、GH10に対してノード参加メッセージ550を送信し、そのノードがLPGに参加したいことを表明する。このメッセージは、ノードID及びタイムスタンプを含む。そのノードは、LPGに参加してGN20になると、GH10に対してノードステータスメッセージ560を周期的に送信する。このGNステータスメッセージ560は、GH10によって、メンバーシップリストを最新の状態に維持するために用いられる。ノードステータスメッセージ560はノードID及びタイムスタンプを含むので、参加メッセージ550に類似である。GN内の外部クロックが、タイムスタンプを決定する。通常、1つのLPG内に2つ以上のGN20が存在する。したがって、一度に複数のノードステータスメッセージ560が送信されることに起因する干渉を避けるために、ノードステータスメッセージ560は、ハートビートインターバル(T)よりも短い、ランダムに選択されたインターバルで送信される。それゆえ、各GN20は、別のGN20とは異なる時刻に、そのノードステータスメッセージ560を送信する。
【0051】
図2Bは、ノードがLPGに参加してGNになるときに機能する、移動デバイスに接続される無線デバイスの内部構造の一部のブロック図を示す。ノード又は移動デバイスに接続される無線デバイスは、メモリ手段250と、クロック255と、タイマ256と、送信/受信セクション260と、制御手段265と、電源270とを備える。メモリ手段2
50は、DRAM、SRAM又はフラッシュを含む、任意のタイプのメモリであってもよい。好ましい実施形態では、短期メモリはキャッシュである。クロック255は、GN20のタイミングを維持するために用いられる。具体的には、クロック255は、内部クロックとしての役割を果たし、タイマ256を設定するための基準として用いられ、タイマ256は、信号を送信するタイミングを決定するために用いられる。制御セクション256又はマイクロプロセッサは、他のGN又はGH10への信号の伝送又は送信、LPGに入るための要求送出、及びメモリ手段への情報の格納を含む、GN20の全ての処理を制御する。
【0052】
GN20は周期的に、GH10に対してステータスメッセージ560を送出し、GH10からハートビートメッセージ510を受信する。LPGの近くにある新たなノードは、既にグループの一部となっている直ぐ近くのノードと通信することによって、又は周期的に送出されるLPGハートビートを検出することによって、LPGを検出する。その後、新たなノードは、GH10に対して、LPGへの参加を要求することができる。特定のLPGに関する情報は、GH10から受信されるハートビートメッセージ510から求められる。
【0053】
GH10は、新たなノードがLPGに参加することができるか否かを判定する。GH10が、新たなノードが参加できるものと判定する場合には、その新たなノードは、そのグループにGN20として参加する。
【0054】
ここで、GN20の動作が説明される。GN20は、GH10からハートビートメッセージ510を受信する。ハートビートメッセージ510は、後にさらに詳細に説明されるように、LPGの固有の識別子、及び他のタイプの制御情報のような情報を含む。ハートビートメッセージ510を受信した後に、GN20内の制御セクション265は、タイマ256を、ハートビート周期に等しい最小値を有するランダム値(T+?)に設定する。その周期内に次のハートビートが受信される場合には、GN20は、依然としてGH10がその近くにあることがわかる。ハートビートが聞こえない場合には、GN20は自らをGH10として選択する。
【0055】
具体的には、現在のGHのハートビートメッセージ510がハートビートインターバルTよりも長い時間にわたって聞こえないときに、新たなGHの選択が行われる。各GN20は、そのタイマ256を、Tよりも大きなランダム値、たとえばT+?に設定し、ハートビートメッセージ510を待ち受ける。現在のGH又は新たなGHからハートビートメッセージ510を受信する前にタイマが満了する場合には、そのノードは自らを新たなGHとして選択して、新たなハートビートメッセージ510を送出する。これにより、LPG内の他のノードは、現時点でGHが存在することがわかる。タイマが満了した最初のノードが、現在既知のLPG IDを含む自らのハートビートメッセージ510を送出し、自らをGH10として選択する。LPGハートビートメッセージ510を受信すると、他のノード(GN)20は、その情報を、メモリ手段250に以前に格納され、LPGを特定する少なくとも1つの固有の識別子を含む、LPGハートビート情報と比較する。LPG IDが同じであるが、GHが変わっていた場合には、そのノードは、グループが分割された可能性があるか、又は以前のGH10が移動した(たとえば、GH車両が高速道路を出たか、道路の交差点で異なる方に曲がったか、又は単に車両の速度が異なることに起因してグループから離れていった)ものと認識する。GH10の変化は、ノードGN20が、以前のグループと同じLPG IDを有するグループに移動したことを意味することもある。LPG IDが異なり、GH10が異なる場合には、ノードは、新たなグループに移動し、GH10を介してそのグループに参加したことがわかる。
【0056】
これらの場合のいずれにおいても、ノードは最終的には、ハートビート情報を介して、
そのLPGの一部であるものと判定する。何らかの理由から、そのノードがそのLPGの一部になっていなかったことがわかった場合には、そのノードは、GHへの要求を介して参加することができる。
【0057】
固有の識別子が各LPGを特定する。固有の識別子は、いくつかの形式を取ることができる。LPGは固有の識別子を介して特定することができ、固有の識別子はGH番号に基づいて符号化される。しかしながら、GH10が変化すると、LPGの固有の識別子も変化し、結果として、ノードは、そのLPGが変わったのか、そのLPGのIDだけが変わったのかを見分けることができなくなる。一方、GH10が出て行くときに、LPGの固有の識別子は元のIDに固定することができる。しかしながら、この結果として、1つのLPGが分割すると、LPGの固有の識別子が重複することになる。2つ以上のグループが同じ固有の識別子を有することになる。好ましい実施形態では、LPGを一意に特定するために、固有の識別子は、LPG ID及びGH ID番号の両方に基づいて符号化される。GH10には、GH ID番号を与えられる。そのネットワーク内の第1のGH10にGH1が付され、次のGHがGH2などとなる。最初に、LPG IDがGH番号に結び付けられる。それゆえ、最初はGH番号が固有の識別子を決定するが、GHが変わると、そのLPG IDの固有の識別子は、新たなGH番号を含むように変化する。さらに、1つのLPGが複数のLPGに分割するとき、LPG IDは、2つ以上の新たなLPGに共通になるが、GH IDが異なり、固有の識別子が異なることになるので、GH IDを用いて同じLPG IDを有するLPGを区別することができる。
【0058】
近くにある2つ以上のノードからLPGが形成される。図3は、1つ又は複数のノードから1つのLPGを形成および維持する過程を示す。最初に、各移動デバイスが、自らを(自分自身のみを含むLPGの)GHとして特定してもよい(ステップ1)。複数の移動デバイスが互いに接近してくると(たとえば、車両が交差点にあるとき、高速道路の進入車線にあるとき、又は道路上での車両の速度の差に起因して)、それらのデバイスは、互いに同じ無線通信エリア内に入る(単一ホップ又はマルチホップ)。これらの移動デバイスは、同じ無線通信エリア内にあり、2つ以上のノードを含むLPGを形成し始める。通常、ハートビートメッセージ510を最初に送出するノードがGH10と見なされる。個々のノードはそれぞれ、自らのLPGとして動作を始め、それゆえ、自らのLPG内のGH10と見なされる。その場合に、各GH10は、後に図5において示されるように、ハートビートメッセージ510を送信する。GH10から無線波が進行することができる半径距離によって、LPGの最大の物理的サイズが決定される。この距離内にあるいずれのノードも、LPG内のGN20になることができる。LPG内に2つ以上のGHが存在する場合には、ヘッダ解決が行われる。
【0059】
LPGの近くにある新たなノードは、既にグループの一部となっている直ぐ近くのノードと通信することによって、又は周期的に送出されるLPGハートビートを検出することによって、LPGを検出する。その後、新たなノードは、GH10に対して、LPGへの参加を要求する(ステップ2)。その後、GHは、そのノードがLPGに参加することができるか否かを判定する(ステップ3)。この判定に基づいて、GHは、そのノードを受け入れるか(ステップ4a)、又はそのノードがLPGに入るのを拒む(ステップ4b)。ステップ4bにおいて、所定の数のノードが既にLPG内に存在する場合、又は伝送するために必要なホップの数が閾値限界を超えている場合には、GH10は参加を拒否する。別法では、新たなノードが、受信されたLPGハートビート情報からサイズ限界を検査することによって、図7に示される所定の判定基準に基づいて、自らがそのグループに参加することができるか否かを判定することができる。これによって、既にサイズ限界に達している場合に、GH10に、それ以上の不要なメッセージが送信されるのを避けることができる。これは、参加メッセージ550を送信する前に行われる。
【0060】
具体的には、ステップ700において、GN20は、GH10からハートビートメッセージ510を受信する。このハートビートメッセージ510は、ノードカウント、そのLPHの所定の最大ノードサイズ、ホップカウント及び所定の最大ホップカウントを含む。その後、ステップ710では、GN20が、ノードカウント若しくはホップカウントのいずれか、又は両方を、その対応する閾値、すなわち所定の最大LPGノードサイズ又は所定の最大ホップカウントとの比較に基づいて、LPGに参加することができるか否かを判定する。その後、GN20内の制御セクション265は、所定の最大閾値を、その対応するパラメータと比較し、所定の閾値を超えるか否かを判定する。たとえば、GN20は、ノードカウント値を最大LPGノードサイズ値と比較する。別法では、GN20は、ホップカウントを許容される最大ホップカウントと比較することができる。別法では、両方の比較を行うことができる。
【0061】
所定の最大閾値の一方又は両方を超える場合には、ステップ720において、GN20は、参加メッセージ550をGH10に送信しない。その後、GN20は、異なるGH10を介して、別のLPGに参加する。両方の所定の閾値を超えない場合には、ステップ730において、GN20は、参加メッセージ550をGH10に送信する。GNが既に、いずれの所定の閾値にも達していないものと判定しているので、この参加メッセージ550を受信すると、GN10は受諾メッセージを送信する。その後、GNは、ステータスメッセージ560を周期的に送信し始める。
【0062】
LPG内の全てのGNの現在のリストを維持することはGHの役割であるので、ステップ5において、GHは、GNが出て行ったか否かを絶えずモニタする。或るノードがLPGから出るとき、GH10は、離脱するノードから周期的なメンバーステータス更新を受信できなくなるので、GHのメモリセクション200に格納されるグループリストからGN20を「無効にする(age)」。この無効処理は以下のように機能する。GH10は、GN20からステータスメッセージ560を受信した後に、或る時間にわたって各GN20のメンバーシップを有効状態にしておく(ステップ5a)。GN20がLPGから離脱すると、GH10は、GN20からステータスメッセージ560を受信しなくなり、LPGにおいてGN20のメンバーシップを維持するのを止める。その後、GH10は、或る時間の後に、LPGリストからそのノードを削除する(ステップ5b)。GH20からステータス更新を受信することなく、GH10がGN20のメンバーシップを保持する実際のタイムリミットは、システム設計又は動作パラメータである。たとえば、そのタイムリミットは概ね、T+Dに、GN20がステータスメッセージ560を送信する最大周期を加えた時間にすることができる。そのタイムリミットの終了時に、GH10は、そのメモリ200からGN20の記録を削除する。これは、GH10が更新されたメンバーシップリスト、及びLPG内のノードの数に関する現在のカウントを維持するのを助け、所定の最大サイズ値に達していない場合に、新たなノードがLPGへのメンバーシップを許可されないようにする。別法では、離脱するノードは暗黙のうちに、GH10に対して、もはや自身がLPGの一部でないというメッセージを送信することができる。
【0063】
上記のように、ハートビートメッセージ510は、グループメンバーシップリストメッセージ540を含むことができる。別法では、グループメンバーシップリストメッセージ540は、別個に送信されるメッセージであってもよい。他のいくつかのタイプのメッセージもGH10によって送信される。たとえば、ヘッダ解決の処理を開始するために、ヘッダ解決メッセージ520が送信される。このタイプのメッセージは、1つのLPG内に2つ以上のGH10が存在するときにだけ送信される。さらに、ヘッダ解決メッセージ520は、GH10から、LPG内の別のGH10にだけ送信される。ヘッダ解決メッセージ520は、GH ID、LPG ID及びグループメンバーシップリストを含む。
【0064】
ヘッダ解決が行われた後に、GH10間でさらなるメッセージが送信される。そのLP
Gの新たなGHの選択をGH10に通知するために、GH選択メッセージ530が用いられる。GH選択メッセージ530は、そのグループのGH ID及びLPG IDを含む。
【0065】
同じLPG内に、又は同じ近傍域内に2つ以上の稼動中のGH10が存在する場合には、ヘッダ解決の判定が行われる(ステップ1a)。この目的は、同じLPG内に複数のGH10がある結果として、そのLPG内で余分な(さらには混乱させる可能性がある)制御信号が伝送又は送信され帯域幅及び容量を無駄にすることになるので、同じLPG内に複数のGH10を有するのを避けることである。ヘッダ解決は、少なくとも2つのGHから1つのGHを選択するように機能する。ステップ6において、各GHはGHヘッダ解決メッセージ520を送信する。これは、ステップ7において、全てのGHにヘッダ解決モードにおいて動作するように通知する。新たなGHが、所定の選択判定基準に基づいて選択される。4つの異なる判定基準があり、いずれか1つを用いることができる。第1の判定基準は、最も小さなID番号を有するGHが選択されることである。第2の判定基準は、最も大きなID番号を有するGHが選択されることである。第3の判定基準は、最初にハートビートメッセージ510を送信するGHが選択されることであり得る。最後に、LPG内の最も多くの現在のノードを有するGH、すなわちグループメンバーシップリストと一致する最も多くのノードを有するGHが選択される。
【0066】
図3A〜図3Cは、ヘッダ解決ルールのうちの1つを用いる、本発明の一実施形態によるヘッダ解決の3つの異なる例を示す。図3Aは、2つのGH10(各LPGはサイズ1である)が同じ近傍域に入るときの例を示す。個々のノードは、自らのLPGとして動き始めており、それゆえ、そのLPG内のGH10である。2つの1ノードLPGが互いに接近するとき、それらのLPGは、どちらがサイズ2のLPGの新たなGHになるかを解決する必要がある。それらのGH10のうちの一方は、そのLPGのGH10のままであるのに対して、他方は、そのLPGのGN20になる。
【0067】
図3Aでは、各ノードGH A及びGH E、それぞれ(300及び310)が、互いのハートビートメッセージ510を聞く。GH A300はLPG1の中にあり、GH E301はLPG3の中にある。それを受信すると、GH10は、ヘッダ解決メッセージ520を送信し、ノードGH A300及びGH E301はグループリストを交換して、それらのノードが同じLPG内のGH10を複製しているか否かを判定する。別法では、グループリストは、ヘッダ解決メッセージ520の一部である。LPG内に1つのノードしかないこの構成では、それらのノードは、このグループリストを調べることによって、自身が各LPG内の唯一のノードであることを見いだす。各グループリストは、1つのノードだけを有する。そのグループリストは、メモリ又はキャッシュ内のグループリストと比較される。これは、ノードGH A300及びGH E301のうちの一方が余分なGH10であることを示す。それゆえ、ノードGH A300及びGH E301のうちの一方は、そのLPGのGH10にとどまり、他方はただのレギュラーGN20になり、新たなGH10を介して、そのLPGに参加する。
【0068】
この選択過程は、所定の選択判定基準を用いて、それらのノードのうちのどちらが、そのLPGのGHとして選択されることになるかを判定する。たとえば、小さなIDを有するノードをGHとして選択することができる。別法では、大きなID番号を有するノードをGHとして選択することができる。選択判定基準は、LPGが構成される前に予め決定される。図3Aの例に示されるように、小さいIDを有するノードが、そのLPGのGH10にとどまる。さらに、新たなLPGのGH10としてとどまるGH10のLPG IDが、新たなLPGのLPG IDを決定する。たとえば、図3Aに示されるように、新たなグループのLPG IDはLPG 1 305であり、GNはノードE 306である。ヘッダ解決が終了した後に、GH10は、古いGHに対してGH選択メッセージ53
0を送信し、そのノードに、そのGH10が新たなGHであることを通知する。
【0069】
図3Bは、ヘッダ解決の第2の例である。この例では、1つ又は複数のGN20内のランダムに設定されたタイマ256のうちの1つが、GH10からハートビートメッセージ510を受信することなく満了したために、1つのLPG内に2つ以上のGH10が存在しており、GH10がLPGから離脱した可能性があることを示している。GN20は、古いGH10がLPGから出たものと仮定し、それゆえ、自らを新たなGH10として選択する。しかしながら、GN20が何故ハートビートメッセージ510を受信し損なったかに関しては、いくつかの理由がある。たとえば、複数の他の信号が同じ帯域幅上で送信されることによって引き起こされる無線チャネルの輻輳が、ハートビートメッセージ510との干渉を引き起こし、GNが信号を受信するのを妨げる可能性がある。
【0070】
したがって、多数のGHハートビートメッセージ510が同じLPG内で送信されるとともに受信される。図3Bに示されるように、LPG330内には3つのGH10、すなわちGH A331、GH C333及びGH E335が存在する。各GH331、333及び335はそれぞれ、受信したヘッダ解決メッセージ520の一部であるグループリストを、メモリセクション200に格納されているグループリストと比較する。しかしながら、GH331、333及び335がそれぞれ、同じLPG330内に既に存在しているので、そのリスト上の全ての、又は概ね全てのノードは同じである。しかし、余分な制御になることから、1つのLPGには2つ以上のGHを有することができないので、ノードGH331、333、335のうちの1つがそのLPGのGHにとどまる。他のノードは、単なるレギュラーGNになり、新たなGHを介してLPGに参加する。
【0071】
この選択過程は、所定の選択判定基準を用いて、それらのノードのうちのどれがLPGのGHとして選択されることになるかを判定する。たとえば、新たなハートビートメッセージ510を既に送出したノードが、LPG330の新たなGHとして選択される。別法では、元のGHを新たなGHとして再び選択することができる。その選択判定基準は、LPGが構成される前に予め決定される。図3Bの例に示されるように、LPG330は、ある時点において、3つのGH331、333、335、それぞれGH A、GH C及びGH Eを有する。この例の便宜上、GH C333が元のGHであるが、GH A331においてタイマ256が満了するとき、GH Aはハートビートメッセージ510を送信し、自らをGH10として選択する。好ましい実施形態では、GH A331が最も新しいハートビートメッセージ510を送出するので、GH A331がそのLPGの新たなGH331になる。他の2つのGH、GH C333及びGH E335はそれぞれ、レギュラーノードGN342及び344になる。さらに、GH A331のLPG IDが、後に残るLPGのLPG IDを決定する。ヘッダ解決が終了した後に、GH10は、古いGHに対してGH選択メッセージ530を送信し、そのノードに、そのGH10が新たなGHであることを通知する。
【0072】
図3Cは、ヘッダ解決の第3の例を示す。第3の例では、別のLPGからのGHが、既に1つのGHを有する1よりも大きなサイズのLPGに移動することにより、1つのLPG内に2つ以上のGHが存在する。図3Cに示されるように、ノードAがLPG362のGH A360であり、ノードEがLPG372のGH E370である。2つのGH360及び370はそれぞれ、そのハートビートメッセージ510を送信し、LPG372のGH EがLPG362の無線受信範囲内に移動したので、2つのGH360及び370はそれぞれ、互いのハートビートメッセージ510を受信する。このハートビートメッセージ510は、それぞれ、そのLPG362及び372の中の全てのノードに関する情報を含むグループリスト信号を含むことができる。別法では、GH360及び370は、別個のグループリスト信号を送信することができる。さらに、そのLPG内に2つ以上のGHが存在するものと判定された場合には、GH360及び370は、グループメンバー
シップリストを含むヘッダ解決メッセージ510を送信する。
【0073】
GH360及び370はそれぞれ、受信されたグループメンバーシップリストを、メモリセクション200に格納されているグループリストと比較する。それらのGHは異なるLPGから来たものなので、そのグループリストは共通のノードを全く、又は少ししか持たない。別法では、各GH360及び370は、そのメモリセクション200内に格納されているグループリスト上にあるいくつか又は全てのノードに問い合わせて、ノードが依然としてLPG内に存在するか否かを判定することができる。あるGHが、ノードが同じでない(たとえば、LPG内にない)と判定する場合には、GH(E)は新たなグループ(LPG362)に入ったことがわかる。ここで、そのLPG(LPG362)内に2つ以上のGHが存在しており、余分な制御になるため、1つのLPGは2つ以上のGHを有することができないので、ヘッダ解決によって、それらのノードのうちのGHになるべきノードを選択しなければならない。それゆえ、図3Cでは、ノードGH360のうちの1つが、そのLPGのGHにとどまり、他のノードが単なるレギュラーGNになり、残ったGHを介して、そのLPGに参加する。
【0074】
この選択過程は、所定の選択判定基準を用いて、それらのノードのうちのどれがLPGのGHとして選択されることになるかを判定する。たとえば、最も多くの現在のノードグループを有するノードが、LPG362のGHとして選択されることになる。たとえば、メモリセクション200の中のグループリストを、他のGHから送信される受信されたグループリストと比較するときに、より多くの数の一致するノードを有するGHを選択する。別法では、別のLPGに移動したと判定するGHは、そのLPGが既に1つのGHを有するので、そのLPG内のGNに降格され、GHを介してLPGに参加することができる。その選択判定基準は、LPGが構成される前に予め決定される。図3Cの例に示されるように、LPG362及び372はそれぞれ、1つのGH360及び370だけを有する。GH E370がLPG362の近傍域に入り、LPG360内に2つのGHが存在することになる。GH360及び370はいずれも、そのハートビートメッセージ510を送信する。
【0075】
好ましい実施形態では、GH360は、いずれかの選択判定基準を用いて、現在のLPGと共通のノードを最も多く有することになるので、そのLPGの新たなGHになる。他方のGH E370は、LPG内のレギュラーノードすなわちGN382になる。さらに、GH A360のLPG IDが、そのLPGのLPG IDを決定する。ヘッダ解決が終了した後に、そのGHは、古いGHに対して、GH選択メッセージ530を送信して、そのノードに、そのGHが新たなGHであることを通知する。ヘッダ解決が終了した後に、ステップ8において、新たなGHはGH選択メッセージ530を送信する。その後、過程はステップ1に戻り、新たなGHがハートビートメッセージ510を送信する。
【0076】
図4は、GHに基づいてLPGを形成するための有限状態機械を示す。グループヘッダ(GH)に基づくLPGの場合、ノード(移動デバイス)がGHとして選択/選出される。各移動デバイスが、ターンオン状態400中に初期化される。車両又はノードが1つしかない場合には、その移動デバイスは、遷移405を介して、自らのLPG及びGHになることによって、状態を状態400から状態410に変更する。他の移動デバイスと出合うとき、その移動デバイスは、遷移415を介して、そのグループにグループノード(GN)として参加することによって、その状態を状態400から状態420に変更する。別法では、他のノードと出合うとき、遷移435において、それぞれが自らのハートビートメッセージ510を送出して、ヘッダ解決が行われる(430)。上記のように、1つのLPG内に2つ以上のGHが存在するときに、ヘッダ解決が行われ、遷移435において複数のハートビートの送信が行われる。ヘッダ解決430によって、1つのノードが、状態430から状態410への遷移445を介してGHになり、他の全てのノードが、状態
430から状態420への遷移455を介してGNになる。各ノードは、GH又はGNになる能力を有する。たとえば、1つのLPG内の1つのGHが出て行ったとき、グループノードが新たなGHになることができ、ヘッダ解決が行われるとき、GHがグループノードになることができる。さらに、GN内の設定されたタイマ256が満了する場合には、状態420から状態410への遷移425を介して、グループノードがGHになることができる。
【0077】
図5は、本発明の一実施形態による、GHによって制御されるLPGに基づいて、2つのノードから1つのLPGを形成する一例を示す。
【0078】
図5は、2つのノードA500及びB502を示しており、これらのノードはそれぞれ最初に、自らのLPGを形成してGHになる。いずれも、ハートビートメッセージ510を送信し、互いのハートビートメッセージ510を受信する。信号を受信すると、GH10はいずれも、別のGHがその近傍域内に存在することを理解し、ヘッダ解決メッセージ520を送信する。その後、両方のGHがヘッダ解決モード(ステップ7)に入り、2のグループサイズを有するLPGに対して、1つのGH10が選択される。先に説明され図3Aに示されるように、所定の選択判定基準を用いて、1つのノードが選択される。ノードA500がGH10として選択され、GH A504になり、ノードB502が、GH
A504を介して、そのLPGに参加しなければならない。GH A504は、GH選択メッセージ530を送信して、ノードB502に通知する。それぞれ予め決定された一定の周期(T)で、GH A504は、そのハートビートメッセージ510を送信する。またGH A504は、グループメンバーシップリストメッセージ540も送出する。このメンバーシップリスト540は、ハートビートメッセージ510に含まれることができる。別法では、グループメンバーシップリストメッセージ540は別個のメッセージであってもよく、より低い頻度(T+b)で伝送又は送信されることができる。ノードB502がこのハートビートメッセージ510を受信すると、ノードB502は、GH10にLPG参加メッセージ550を送信し、そのノードがそのLPGに参加することを要求する。
【0079】
GH A504は、ノードB502がLPGに入るのを許可するか否かを判定する。この判定は、そのLPGの最大許容サイズに基づくことができる。さらに、これは、そのグループの最大許容ホップによって判定することもできる。これらの判定基準を設けて、LPG内の全てのGN20に対して情報が送信されるのにかかる時間を制限し、且つLPG内の制御メッセージ送信の回数を制限する。これは、LPGが車両安全通信の用途に対応する場合に考慮すべき重要な事柄である。
【0080】
具体的には、GH10は、送達されるまでにLPGハートビートが進むことができるホップの数を制限することができる。しかしながら、GH10が変化するとき、新たなGHが、LPGの異なる部分の中に存在することがあり、同じホップカウントでもLPGの構造が変化し、たとえば、LPGの一部であったいくつかのノードが出て行って、LPGの一部でないノードが、その時点で、LPGの一部になることができるので、グループのメンバーが変化する可能性がある。GH10が変化しても、LPGのメンバーシップを安定させておくための1つの方法は、GH10から1ホップだけ離れているノードが、よりの多くのホップだけ離れているノードよりも早く満了するように、タイマ256の周期を変更することである。これは、GH10が出て行く場合に、古いGHに近いノードほど、それを引き継ぐ傾向が強くなるという可能性を高めることができる。こうして、遠く離れたノードの場合を除いて、LPGのメンバーシップが過度に変化しないようにすることができる。
【0081】
図5に示されるように、GH A504が、ノードB502がLPGに入るのを許可す
る場合には、ノードB502はGN Bになる。その後、GN Bは、GH A504に対してステータスメッセージ560を送信して、GH A504にステータス更新を送信し、GH A504が、そのグループ内の全てのノードの更新されたメンバーシップリストを維持できるようにする。ステータスメッセージ560は、無線チャネルを介して、ランダムな時間インターバル(ハートビートインターバルTより短い時間)で、GN20からGH10に送信される。これは、ステータスメッセージ560が全て、一斉にGN20からGH10に送信されて、無線チャネルが輻輳するのを避けるためである。理想的には、各GN20は、異なる時刻に、ステータスメッセージ560を送信する。
【0082】
さらに多くのノードがLPGの近傍域に入るとき、新たな各ノードは、GHのハートビートメッセージ510を受信し、参加メッセージ550を送信することによってLPGに参加することを要求する。LPGの最大許容サイズ又は最大許容ホップに達していない限り、GH10は、ノードがグループのGN20になるのを許可する。
【0083】
2つ以上のLPGが同じ近傍域内に存在するときに、LPGの合併(merge)が行われる。しかしながら、LPG全体が、他のLPGとまとめて合併するわけではない。あるLPGのノードは、1ノードずつGH10を介して他のLPGに参加することによって、他のLPGと「合併」する。これは、個々の車両がそれぞれの速度で、且つ他の車両との間に特定の間隔を空けて進行している路上の車両の場合に典型的である。それゆえ、LPG内への車両の合併は典型的には、一度に1台ずつ行われる。これは、LPGの最大許容サイズ又は最大許容ホップカウントに達していないことも確保する。
【0084】
図6A〜図6Cは、起こり得る合併シナリオの3つの異なる例を示す。図6Aは第1の例を示しており、この場合、2つのLPGグループのうちの一方だけがGH10、GH A600を有する。LPG1 650は、4つのノードA、B、C、Dから成り、ノードA600はGH10であり、ノードB、C及びDはそれぞれ、GN601、602及び603である。LPG2 660は3つのノード、E、P及びQ、それぞれ605、606及び607を含む。LPG2 660にはGHがない。LPG2 660は、各ノードE、P及びQに、GH A600に対する信号の送信によりLPG1(LPG650)への参加を要求させることによって、LPG1 650と合併する。ノードE、P及びQは、GH A600からハートビートメッセージ510を受信し、GH A600に対して参加メッセージ550を送信することによって応答する。GH A600は、LPGの最大許容サイズ又は最大許容ホップカウントを判定することによって、ノードE605、P606及びQ607がLPGに入るのを許可するか否かを判定する。LPGの最大許容サイズ又は最大許容ホップカウントを超えていない場合には、GH A600は、それらのノードがGNになるのを許可し、カウンタをインクリメントして、LPG内のノードの数を更新する。その後、新たなGNは、GH10に対して、そのステータスメッセージを周期的に送信する。
【0085】
図6Bは第2の例を示しており、この場合、いずれのグループともGH10を持たない。図6Bでは、LPG1 650は、4つのノードA、B、C、D、それぞれ610〜613から成る。LPG2は、先に示されたのと同じ3つのノード、E、P、Q605〜607から成る。この状況では、必要であれば(すなわち2つ以上のGH10があれば)、上記のようなヘッダ解決ルールを用いて、ハートビートメッセージ510を送信する最初のノードが、GH10になる。各ノードはランダムに設定されたタイマ256を有し、それは、ノードがハートビートメッセージ510を受信しない場合には満了する。それゆえ、新たなGH10は、そのタイマが最初に満了したノードである。
【0086】
その後、新たなGH10は、新たなLPGを編成する。新たなLPG ID番号は、GH番号に基づく。新たなGH10は、そのハートビートメッセージ510を周期的に送信
し、他のノードは、新たなGHを介してLPGに参加する。
【0087】
具体的には、他のノードは、新たなGHに対して参加メッセージ550を送信する。新たなGHは、LPGの最大許容サイズ又は最大許容ホップカウントに達しているか否かを判定することによって、ノードがLPGに入るのを許可するか否かを判定する。LPGの最大許容サイズ又は最大許容ホップカウントに達していない場合には、新たなGHは、それらのノードがGN20になるのを許可し、カウンタをインクリメントして、LPG内のノードの数を更新する。その後、新たなGNは、GH10に対して、そのステータスメッセージ560を周期的に送信する。
【0088】
図6Cは、両方のLPGがGH10を有し、且つ異なるLPGからのノードが参加する、合併の第3の例を示す。図6Cでは、LPG1 650がGH A600を有し、LPG2 660がGH Q640を有する。LPG1 650はGN B、C及びD、それぞれ601〜603を有し、LPG2 660はGN E606及びGN P607を有する。ヘッダ解決を用いて、合成されたLPGの1つのGH10が決定される。GH A600及びGH Q640は、ヘッダ解決メッセージ520を送信し、ヘッダ解決モードに入る。新たに合成されたLPGのGH10は、上記のヘッダ解決ルールに基づいて、たとえば、所定の選択判定基準に基づいて決定される。新たなGH10が選択されると、新たなGH10はその後、新たなLPGを編成する。その後、新たなGHは、そのハートビートメッセージ510を周期的に送信し、他のノードは、新たなGH10を介してLPGに参加する。
【0089】
他のノードは、新たなGH10に対して参加メッセージ530を送信する。新たなGHは、LPGの最大許容サイズ又は最大許容ホップカウントに達しているか否かを判定することによって、ノードがLPGに入るのを許可するか否かを判定する。LPGの最大許容サイズ又は最大許容ホップカウントに達していない場合には、新たなGHは、それらのノードがGN20になるのを許可し、カウンタをインクリメントして、LPG内のノードの数を更新する。その後、新たなGN20は、GH10に対して、そのステータスメッセージ560を周期的に送信する。新たなLPG ID番号は、GH番号に基づく。
【0090】
LPG内のいずれかのノードが、通信できないようにGH10から離隔されるとき、たとえば無線伝送の範囲外になるとき、LPGの分割が行われる。この場合、GH10を有するグループは、それまでと同様に動作を継続する。GH10からもはやハートビートメッセージ510を受信できないノードは、そのLPGから分割し、自らのLPGを形成するか、又は別のLPGに参加する。或るノードがLPGから分割するとき、GH10は、離れつつあるノードから周期的な更新又はステータスメッセージ560を受信しなくなるので、上記のように、GHのメモリセクション200に格納されるグループリストからGN20を「無効にする(age)」。その後、GH10は、予め設定された時間が経過した後に、LPGリストから、そのノードを削除する。これは、GHが更新されたメンバーシップリスト、及びLPG内のノードの数に関する現在のカウントを維持するのを助け、所定の最大サイズ値に達していない場合に、新たなノードがLPGへのメンバーシップを許可されないようにする。
【0091】
元のLPGから分割するノードが、新たなグループを形成する場合には、新たなGH10を選択する必要がある。ハートビートインターバル(T)中にハートビートメッセージ510が聞こえなかった後にタイマ256が満了すると、ノードのうちの1つが新たなGH10になる。新たなGH10は、必要であれば(すなわち2つ以上のGH10があれば)、ヘッダ解決ルールを用いて選択される。新たなグループは、古いグループと同じLPG IDを用いることになるが、新たなGH IDを用いて固有性を与える。元のLPGから分割する他のノードは、新たなGH10を通して新たなLPGに参加する。ノードは
、新たなGH10からハートビートメッセージ510を受信し、参加メッセージ550を送信する。GH10は、LPGのための所定の最大サイズに達するまで、又は最大ホップカウントに達するまで、全てのノードが参加するのを許可する。別法では、ノードがこの判定を行うことができる。
【0092】
一方、元のLPGから分割するノード、たとえばノードE、P及びG、Fは、別のLPGに参加することができる。これらのノードは、他のLPGのGH10を介して参加する。それらのノードは、GH10からハートビートメッセージ510を受信し、参加メッセージ550を送信して、他のLPGへの参加を要求する。GH10は、予め決定された閾値に基づいて、それらのノードがLPGに参加できるか否かを判定する。
【0093】
或るノードがLPGから出るとき、他のノードは、LPGのステータスの変化を通知されなければならない。GN20がそのグループから出る場合には、そのGN20は、自身が離れつつあることをGH10に積極的に通知することができる。その後、GH10は、そのメモリセクション200から、そのGN IDを積極的に削除する。別法では、GN20がLPGから出る場合には、GH10は、GN20からランダムに送信されるステータスメッセージ560を受信しなくなる。その際、上記のように、GH10はノードを「無効」にし、予め設定された時間が経過した後に、GH10は、そのメモリセクションからGN IDを削除する。
【0094】
離脱するノードがGH10である場合には、ハートビートメッセージ510が送信されなくなり、GN20がいずれもハートビートメッセージ510を受信しなくなる。それゆえ、新たなGH10が選択されなければならない。新たなハートビートメッセージ510を最初に送信するGN20が、新たなGH10と見なされる。タイマ256が満了したノードが、このハートビートメッセージ510を送信する。その後、新たなGH10はハートビートメッセージ510と、メモリに格納される最新の既知のグループリストとを送出する。その他のノードは、LPG内にGN20のまま存在し続ける。ここで、それらのノードは、新たなGH10に対して、ステータスメッセージ560を送信する。
【0095】
図8は本発明の第2の実施形態を示す。第2の実施形態によれば、複数の二次ヘッダノード又はコアノード800を用いて、LPG810の調整及び制御を助けることができる。複数の二次ヘッダノード800は、GH10と同じように動作し、且つグループリスト情報を受信するように選択される。一次GH10が依然としてLPG810内に存在するとき、LPG810内の二次GHノード800は、一次GH10に対するホットスタンバイとしての役割を果たすために情報を収集する。すなわち、二次GHノード800は情報を収集するが、他の点では、LPG810を管理するための一次GH10ノードとしての役割は果たさない。二次GHノード800は、一次GH10がLPG800から出るときに、新たなGHがLPG810の構造に最小限の影響しか及ぼさないように、すなわち、一次GHへの最大ホップカウント内にあるノードが依然として新たなGH10への最大ホップカウント内に存在するように、そのノードの一次GHへの近さに基づいて選択される。LPG構造の安定性を助長するための1つの方法は、一次GH10からのホップの数に基づいて、二次GHノード800を選択することである。
【0096】
一次GH10がLPG810から出るとき、二次ヘッダノード800のうちの1つがGHを引き継ぐ。一次GH10ノードがLPG810から出るとき、そのGH10は、コアノードに対して新たなGH10ノードになるよう通知する。二次GHノード800に通知できない場合には、二次GHノード800は、出て行った一次GH10ノードからのハートビートメッセージが聞こえないためにタイマが満了することによって、一次GH10ノードが出て行ったことを見出す。その後、二次GHノード800は、新たなGH10ノードになる。二次GHノード800はGHと同じように動作し、グループリスト情報を受信
しているので、GHの移行は概ね瞬時に行われる。ホットスタンバイ状態の二次ノード800が2つ以上存在する場合には、それらのうちの1つが選択される。その選択は、GH10ノードの引き継ぎに関して予め確立された序列に基づくこともできるし、あるいは離れつつある一次GH10ノードに最も近い(すなわち、ホップ数が最も小さい)ものが、新たなGH10ノードを引き継ぐこともできる。LPG810内の残りのノードはレギュラーノード815である。
【0097】
図9は、本発明の第3の実施形態を示す。この実施形態では、LPG910は、1つのグループヘッダノード(GH)10、複数のゲートウエイノード900及びレギュラーノード905から形成される。GH10は、特別なゲートウエイノード又はクラスタヘッドである。この実施形態では、GH10及びゲートウエイノード900だけがメッセージを転送することができる。これは、上記のように、GHだけを基にする編成から、無線チャネル内のメッセージの流れを削減する。上記の実施形態では、GH10と各ノードとの間で情報を交換するために、またLPG910の構造を維持するために、複数の制御メッセージが送出される。この結果として、無線チャネルが、これらのメッセージによって占有され、妨害されることがある。
【0098】
この実施形態では、GH10は、第1の実施形態の場合に開示されたのと同じヘッダ解決を用いて選択され、LPG910は、LPG910内に1つの中心を成すGH10を有する。この時点で、LPG内に他のノードは存在せず、他の構造も存在しない。その後、GH10は、無線伝送範囲内(そのGHへの第1のホップ距離内)にある任意のノードに対して、ハートビートメッセージ510を送信する。ハートビートメッセージ510を受信するノードは、その無線伝送範囲内にハートビートメッセージ510を送信し直す。ハートビートメッセージ510は、ホップカウント限界に達するまで、ノードによって再送信され続ける。各ノードは、種々の近くにあるノードから、ハートビートメッセージ510の複数のコピーを受信することができる。最初の複製でないハートビートメッセージ510を転送する各ノードは、そのゲートウエイノード900になり、ゲートウエイノード900は通知される。GH10又はゲートウエイノード900でない全てのノードはレギュラーノード905になる。
【0099】
所定の選択判定基準に基づいて、いくつかのノードは、LPG910のためのゲートウエイノード900として選択されることになり、他の全てのノードはレギュラーノード905になる。レギュラーノード905はメッセージを送信することができる。しかしながら、レギュラーノード905は、メッセージを転送することはできない。LPG910内のGH10及び少なくとも1つのゲートウエイノード900が、メッセージ送達を扱う。さらに、ハートビートメッセージ510そのものが、LPG構造を維持するために用いられるので、LPGを編成する目的を果たすために、他の制御メッセージを生成する必要はない。さらに、いくつかのノードが異なる場所に移動した場合であっても、その度に、ハートビートメッセージ510を用いて新たな構造が構成される。
【0100】
具体的には、ゲートウエイノード900は、GHの初期最大伝送範囲915を越えてGH10の無線範囲を拡張するために用いられる(拡張された範囲920)。各レギュラーノード905は、ゲートウエイノード900にステータスメッセージ560を送信することができ、ゲートウエイノードは、ステータスメッセージ560をGH10に中継する。ゲートウエイノード900は、所定の時間(P)だけ待機し、受信する全てのステータスメッセージ560を収集する。ステータスメッセージ(複数可)560は、メモリに格納される。所定の時間が満了すると、ゲートウエイノード(複数可)900は、所定の時間(P)中にゲートウエイノード(複数可)900が受信した複数のステータスメッセージ560の集合を含む1つのメッセージを送信する。このメッセージは、他のゲートウエイノード900を介してGH10に中継することができる。
【0101】
グループヘッダに基づくLPGの1つの利点は、各LPGの無線帯域幅負荷を制限するようにLPGのサイズ(すなわち、各LPG内のノードの数)を制御して、各LPG内の通信待ち時間に下限を与えることができることである。グループヘッダに基づくLPGの別の利点は、各LPG内のGHノード及びGNノードの知識である。そのような知識を用いて、各ノードが、そのルーティングテーブルを作成する際に、宛先として、(LPG内の)全ての他のノードに向かって次のホップノードをより効率的に選択できるようになるので、GHノードから離れるホップの数によって、ルーティング及びマルチキャストプロトコル(LPG内通信用)を効率的にすることができる。コアノードを使用することによって、グループヘッダに基づくLPGの安定性がさらに増す。これはルーティング及びマルチキャスト通信にとって極めて重要である。ゲートウエイノードを使用することによって、(LPGを維持するための)制御トラフィックの量を削減することができ、それにより、無線帯域幅の利用を改善し、通信遅延時間を短縮することができる。
【0102】
各移動無線デバイス又はノードは、そのデバイスが上記の機能を実行できるようにする、メモリ手段に導入されるプログラムを含む。
【0103】
このプログラム又はソフトウエアパッケージは、製造時に、移動中の無線デバイスに導入することができる。別法では、そのプログラムは、導入後に、遠隔の場所から移動中の無線デバイスにアップロードすることができる。
【0104】
本明細書において、本発明が、特定の例示的な実施形態を参照しながら説明されてきた。本発明の範囲から逸脱することなく、特定の改変又は変更が当業者には明らかであろう。それらの例示的な実施形態は、説明することを意図しており、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明による2つのローカルピアグループの一例を示す図である。
【図2A】本発明によるグループヘッダノード(GH)内の内部構造の一部のブロック図である。
【図2B】本発明によるグループノード(GN)の内部構造の一部のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態によるLPGの形成及び維持のフローチャートである。
【図3A】本発明の一実施形態による、ヘッダ解決ルールを用いるヘッダ解決の一例を示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態による、ヘッダ解決ルールを用いるヘッダ解決の異なる例を示す図である。
【図3C】本発明の一実施形態による、ヘッダ解決ルールを用いるヘッダ解決の異なる例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による、GHに基づくLPG形成のための有限状態機械(finite state machine)を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による2つのノードからのLPGの形成を示す図である。
【図6A】本発明の一実施形態による、起こり得る合併シナリオの一例を示す図である。
【図6B】本発明の一実施形態による、起こり得る合併シナリオの異なる例を示す図である。
【図6C】本発明の一実施形態による、起こり得る合併シナリオの異なる例を示す図である。
【図7】或るノードがLPGに参加することができるか否かを判定する別の方法を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態によるLPGを示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態によるLPGを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法であって、該複数の移動ノードは、該複数の移動ノードを順序付けすることなく、動的に形成されるローカルピアグループ(LPG)に分割され、該方法は、
前記複数の移動ノードから、一意のグループヘッダ識別情報が割り当てられるとともに前記LPGを制御及び管理する、前記LPGのグループヘッダノード(GH)を選択するステップと、
前記選択されたGHから、ハートビートメッセージ信号を含む複数の制御メッセージを、一定のインターバルで送信するステップと、
前記複数の移動ノードのうちの他のノードが前記LPGに参加することができるか否かを、所定の閾値に基づいて判定するステップと、
前記複数の移動ノードのうちの前記他のノードがグループノード(GN)として前記LPGに参加することができるものと判定される場合には、前記複数の移動ノードのうちの前記他のノード間にネットワークリンクを構築するステップと
を含む、複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項2】
前記LPG内に2つ以上のGHが存在する場合には、前記選択するステップは、
前記2つ以上のGHのそれぞれからヘッダ解決メッセージを送信するステップと、
所定の選択判定基準に基づいてヘッダ解決を実行して、前記LPGのGHとしてGHを1つだけ選択するステップと、
選択された新たなGHによってGH選択メッセージを送信し、前記2つ以上のGHの他のGHが、前記新たなGHを介して前記LPGに参加するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項3】
前記所定の選択判定基準は、前記ハートビートメッセージを送信する前記2つ以上のGHのうちの最初のノードに基づく、請求項2に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項4】
前記ハートビートメッセージは、ローカルピアグループ識別情報と、GH識別番号と、前記LPG内のノードの数と、該LPG内で許可されるノードの最大数と、ホップカウントと、最大ホップと、次のハートビートメッセージの時刻とを含む、請求項1に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項5】
無線範囲内の前記複数の移動ノードのうちの前記他のノードによって前記ハートビートメッセージを受信するステップと、
前記GHに対してローカルピアグループ参加メッセージを送信するか否かを判定するステップと
をさらに含み、
前記判定は、少なくとも1つのパラメータと前記所定の閾値との比較に基づき、
前記少なくとも1つのパラメータは、前記LPG内の前記ノードの数及び前記ホップカウントを含み、
前記所定の閾値は、該LPG内で許可されるノードの前記最大数及び前記最大ホップであり、
前記複数の移動ノードのうちの前記他のノードは、前記少なくとも1つのパラメータが前記所定の閾値を超えない場合には、前記ローカルピアグループ参加メッセージを送信し、前記少なくとも1つのパラメータが前記所定の閾値を超える場合には、該LPG参加メッセージを送信しない、
請求項4に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持す
る方法。
【請求項6】
前記ハートビートメッセージを受信すると、前記複数の移動ノードのうちの前記他のノードは、前記GHに対してローカルピアグループ参加信号を送信し、
前記GHによって実行される、前記複数の移動ノードのうちの前記他のノードが参加できるか否かを判定する前記ステップは、少なくとも1つのパラメータと前記所定の閾値との比較に基づき、
前記少なくとも1つのパラメータは前記LPG内のノードの数及びホップカウントを含み、
前記所定の閾値は、該LPG内で許可されるノードの最大数及び最大ホップであり、
前記GHは、前記少なくとも1つのパラメータが前記所定の閾値を超えない場合には、前記複数の移動ノードのうちの前記他のノードがGNとして前記LPGに参加するのを許可し、前記少なくとも1つのパラメータが前記所定の閾値を超える場合には、前記複数の移動ノードのうちの前記他のノードがGNとして該LPGに参加するのを許可しない、
請求項1に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項7】
前記複数の制御メッセージは、前記LPG内の全てのGNの識別情報と、ローカルピアグループ識別情報と、GH識別情報と、タイムスタンプとを含むグループメンバーシップメッセージをさらに含み、
前記LPG内のGNの前記識別情報は、該GNから送信されるステータスメッセージを介して周期的に更新される、
請求項1に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項8】
所定の時間インターバル後に前記ステータスメッセージが前記GNから受信されない場合、又は前記GNからの積極的な離脱メッセージが前記GHによって受信された場合には、該GNの前記識別情報が前記グループメンバーシップメッセージから削除される、
請求項7に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項9】
前記GNにおいて前記GHからの前記ハートビートメッセージを受信するステップと、
前記LPG内の各GNにおいて、タイマを前記ハートビート周期よりも大きな値にランダムに設定するとともに次のハートビートメッセージを待つステップと、
ハートビートメッセージが受信されないときに前記タイマの時間を減らしていくステップと
をさらに含み、
次のハートビートメッセージを受信する前に前記タイマが満了する場合には、最初にタイマが満了した前記GNが自らのハートビートメッセージを送信して、新たなGHとして動作し、該ハートビートメッセージを送信する最初のGNが、前記LPGの前記新たなGHになる、
請求項1に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項10】
前記グループメンバーシップメッセージは前記ハートビートメッセージに含まれ、前記一定のインターバルで送信される、
請求項7に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項11】
前記LPGに対して少なくとも1つのゲートウエイノードを選択するステップをさらに
含み、該少なくとも1つのゲートウエイノードは、複数のメッセージを前記GNから前記GHに中継する機能を果たす、
請求項1に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのゲートウエイノードは、前記GNから受信される複数のステータスメッセージを収集し、該複数のステータスメッセージをメモリに格納し、所定の時間が経過した後に、前記GHに対して、該複数のステータスメッセージの集合を含む1つのメッセージを送信する、
請求項11に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項13】
少なくとも1つの二次GHを選択するステップをさらに含み、
前記GHが前記LPGから出る場合に、該少なくとも1つの二次GHが該LPGの新たなGHになる、
請求項1に記載の複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持する方法。
【請求項14】
アドホック無線ネットワークシステムであって、
順序づけされない複数の移動無線デバイスから動的に形成される、少なくとも1つのローカルピアグループ(LPG)を含み、該LPGは、
前記複数の移動無線デバイスから選択され、一意のグループヘッダ識別情報を割り当てられるグループヘッダノード(GH)であって、ハートビートメッセージを含む複数の制御メッセージを一定のインターバルで送信することによって、前記LPGを制御及び管理する、グループヘッダノード(GH)と、
前記少なくとも1つのLPGにおいて、所定の閾値に達していないときに、前記GHの無線範囲内の前記複数の移動無線デバイスのうちの残りの移動無線デバイスから生成される少なくとも1つのグループノード(GN)と
を備え、
前記少なくとも1つのGNは、該少なくとも1つのGNと前記GHとの間に形成されるネットワークリンクを介して前記GHと通信することができ、また、該GNについての情報を含むステータスメッセージを前記GHに送信する、アドホック無線ネットワークシステム。
【請求項15】
前記複数の移動無線デバイスのうちの前記残りの移動無線デバイスから選択される少なくとも1つのゲートウエイノードをさらに備え、
該少なくとも1つのゲートウエイノードは、複数のメッセージを前記少なくとも1つのGNから前記GHに中継する機能を果たし、
該複数のメッセージは、前記少なくとも1つのGNから前記GHへのステータスメッセージを含み、
前記少なくとも1つのゲートウエイノードは、前記少なくとも1つのGNから受信される前記ステータスメッセージを収集し、該ステータスメッセージを格納し、所定の時間が経過した後に、該所定の時間中に該少なくとも1つのゲートウエイノードによって受信される全ての該ステータスメッセージの集合を含む1つの集合ステータスメッセージを前記GHに対して送信する、
請求項14に記載のアドホック無線ネットワーク。
【請求項16】
前記移動無線デバイスは、メモリセクションと、タイマと、制御手段と、送受信セクションと、ハートビート生成手段とを備え、
前記ハートビート生成手段は、前記一定のインターバルでハートビートメッセージを生
成し、
該ハートビートメッセージは、LPG識別番号、GH識別情報、前記LPGのノードの数、該LPGにおいて許可されるノードの最大数、ホップカウント、最大ホップ及び次のハートビートメッセージの時刻を含み、
前記移動無線デバイスが前記GHとして選択されるとき、前記一定のインターバルは前記タイマによってカウントされ、
該タイマが満了するとき、前記ハートビート発生セクションは、前記メモリセクションに格納されている情報に基づいて、前記ハートビートメッセージを送信し、
前記制御セクションは、所定の値と少なくとも1つのパラメータとを比較することによる前記複数の移動デバイスのうちの前記残りの移動無線デバイスのうちの1つが前記LPGに参加できるか否かの判定を含む、前記GHの制御を行い、
前記複数の移動デバイスのうちの前記残りの移動無線デバイスのうちの前記1つが前記LPGに参加できるものと判定される場合には、前記制御セクションは、前記送信受信セクションに、GN受諾メッセージを送信するように指示し、一方、該制御セクションが、前記複数の移動デバイスのうちの前記残りの移動無線デバイスのうちの前記1つが参加できないものと判定する場合には、該制御手段は、該送受信セクションに、GN拒否メッセージを送信するように指示する、
請求項14に記載のアドホック無線ネットワーク。
【請求項17】
前記残りの複数の移動無線デバイスがGNとして選択されるとき、該ノードは、メモリ手段と、タイマと、制御セクションと、送受信セクションとを備え、
前記送受信セクションは、前記GHに対して一定のインターバルでステータスメッセージを送信し、
前記一定のインターバルは前記タイマによってカウントされ、
該タイマが満了するとき、前記送受信セクションは、前記メモリ手段に格納されている情報に基づいて、前記ステータスメッセージを送信し、
また前記タイマは前記ハートビート周期よりも長いランダムな時間に設定され、
前記送受信セクションが前記ハートビートメッセージを受信すると、前記タイマは別のハートビートメッセージを受信するためにリセットされ、
該タイマが満了する前に、該送受信セクションがハートビートメッセージを受信しない場合には、前記制御手段は、該送受信セクションに、前記メモリ手段に格納されている、前記LPGに関する情報を含む自らのハートビートメッセージを送信し、該LPGの新たなGHとして動作するように指示する、
請求項14に記載のアドホック無線ネットワーク。
【請求項18】
前記LPG内に2つ以上のGHが存在する場合には、該2つ以上のGHは、互いに対してヘッダ解決メッセージを送信し、ヘッダ解決モードに入って、所定の選択判定基準に基づいて、前記LPGの前記GHとして1つのGHを選択し、1つのGHが選択された後に、該1つのGHは、前記LPG内の他の全てのGNに対してGH選択メッセージを送信し、その後、前記ハートビートメッセージを送信し、前記2つ以上のGHの他のGHは、前記新たなGHを介して、前記LPGに参加する、
請求項14に記載のアドホック無線ネットワーク。
【請求項19】
前記残りの複数の移動無線デバイスが前記ハートビートメッセージを受信するとき、該残りの複数の移動無線デバイスは、前記GHに対してLPG参加メッセージを送信するか否かを判定し、
該判定は、少なくとも1つのパラメータを所定の閾値と比較することに基づき、
該少なくとも1つのパラメータが前記所定の閾値を超えないものと判定される場合には、前記残りの複数の移動無線デバイスは、前記LPG参加メッセージを送信し、該少なくとも1つのパラメータが前記所定の閾値を超える場合には、前記LPG参加メッセージを
送信しない、
請求項14に記載のアドホック無線ネットワーク。
【請求項20】
複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持するためのアドホックネットワークであって、該複数の移動デバイスは、該複数の移動ノードを順序付けすることなく、動的に形成されるローカルピアグループ(LPG)に分割され、該ネットワークはコンピュータ読取り可能記憶媒体上に与えられるコンピュータ読取り可能プログラムコードを実行するためのプロセッサを備え、該コンピュータ読取り可能プログラムコードは命令を有し、該命令によって、該プロセッサは、
前記複数の移動ノードから、一意のグループヘッダ識別情報を割り当てられるとともに前記LPGを制御及び管理する、前記LPGのグループヘッダノード(GH)を選択するステップと、
前記選択されたGHから、ハートビートメッセージを含む複数の制御メッセージを一定のインターバルで送信するステップと、
前記複数の移動ノードのうちの他のノードが前記LPGに参加することができるか否かを、所定の閾値に基づいて判定するステップと、
前記複数の移動ノードのうちの前記他のノードがグループノード(GN)として前記LPGに参加することができるものと判定される場合には、該複数の移動ノードのうちの前記他のノード間にネットワークリンクを構築するステップと
を実行する、複数の移動ノード間にアドホック無線ネットワークを確立及び維持するためのアドホックネットワーク。
【請求項21】
前記複数の無線デバイスは少なくとも1つの車両である、請求項14に記載のアドホック無線ネットワーク。
【請求項22】
前記複数の無線デバイスは、車両に接続されるか、又は内蔵される少なくとも1つの無線デバイスである、請求項14に記載のアドホック無線ネットワーク。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−516957(P2009−516957A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541192(P2008−541192)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/042136
【国際公開番号】WO2007/061573
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】