説明

車体後部構造

【課題】車両後突時にフロアとロッカとの接着結合部に作用する剥離荷重を低減する。
【解決手段】フロア12の車幅方向外側端がロッカ14に接着結合されている。また、左右一対の操安ブレース40における基部40Aの前端部40Bがロッカ14の後端14Gに結合され、各操安ブレース40の基部40Aの後端部40C、前後方向中間部40D及び第1枝部40Eの前後方向中間部40Gがリヤサスペンションメンバ28に結合されている。さらに、各操安ブレース40の第2枝部40Hの前端部40Jがフロア12の車幅方向外側部12Dの後端部12Gに結合されている。このため、車両後突時にリヤサスペンションメンバ28から各操安ブレース40に入力された荷重は、各操安ブレース40の基部40A、第1枝部40E及び第2枝部40Hとによって、ロッカ14とフロア12の車幅方向外側部12Dとに分散されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車体後部構造に係り、特に、リヤサスペンションが取り付けられた車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リヤサスペンションが取り付けられた車体後部構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、ボデー(車体)の後部に設けられたサスペンションメンバと、ロッカの後端となるキック部の前方下部とが操縦安定性を向上させるための操安ブレースによって連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−114652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、ボデーの主要部となるロッカとフロアとが複合材料、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)にて構成されており、ロッカとフロアとが接着結合されている。また、車両に後方から他車両等が衝突した場合(車両後突時)に、サスペンションメンバに入る衝突荷重の大部分が操安ブレースを介してロッカに入力される。このため、車両後突時にフロアとロッカとの接着結合部に剥離荷重が作用する。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、車両後突時にフロアとロッカとの接着結合部に作用する剥離荷重を低減できる車体後部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る車体後部構造は、車室床部を構成するフロアと、車室床部の車幅方向両端部に車体前後方向に沿って配設され、前記フロアに接着結合された左右一対のロッカと、前記フロアの後方側に設けられたリヤサスペンションメンバと、該リヤサスペンションメンバと前記ロッカとを連結する基部と、前記基部から分岐され前記リヤサスペンションメンバと前記フロアとを連結するフロア連結枝部と、を備えた左右一対の連結補強部材と、を有する。
【0007】
請求項1に記載の車体後部構造では、車室床部を構成するフロアの車幅方向両端部に車体前後に沿って配設された左右一対のロッカがフロアに接着結合されており、フロアの後方側に設けられたリヤサスペンションメンバと左右一対のロッカとを左右一対の連結補強部材の基部が連結していると共に、基部から分岐されフロア連結枝部がリヤサスペンションメンバとフロアとを連結している。このため、車両後突時にリヤサスペンションメンバから連結補強部材に入力された荷重は、連結補強部材の基部とフロア連結枝部とによってロッカとフロアとに分散される。この結果、車両後突時の荷重がロッカに集中するのを抑制でき、ロッカとフロアとの接着結合部に作用する剥離荷重を低減できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車体後部構造において、前記連結補強部材は、前記基部から分岐され前記リヤサスペンションメンバと前記フロアのトンネル部又はトンネル部近傍とを連結するトンネル連結枝部を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の車体後部構造では、連結補強部材の基部から分岐されたトンネル連結枝部がリヤサスペンションメンバとフロアのトンネル部又はトンネル部近傍とを連結しているため、車両後突時にリヤサスペンションメンバから連結補強部材に入力された荷重が、連結補強部材の基部とフロア連結枝部とによってロッカとフロアとに分散されると共に、トンネル連結枝部によってフロアのトンネル部又はトンネル部近傍にも分散される。この結果、ロッカとフロアとの接着結合部に作用する剥離荷重をさらに低減できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車体後部構造において、前記連結補強部材に固定され、少なくとも前記フロアとの結合部、前記ロッカとの結合部、前記リヤサスペンションメンバとの結合部に跨る補強プレートを有することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の車体後部構造では、補強プレートが連結補強部材に固定され、フロアとの結合部、ロッカとの結合部、リヤサスペンションメンバとの結合部に跨っているため、補強プレートによって連結補強部材の補強プレート取付部の剛性が向上し、操縦安定性が向上する。また、補強プレートの形状や厚さを変えることで車体後部の剛性の調整が容易に行える。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る車体後部構造では、車両後突時にフロアとロッカとの接着結合部に作用する剥離荷重を低減できる。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る車体後部構造では、車両後突時にフロアとロッカとの接着結合部に作用する剥離荷重をさらに低減できる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る車体後部構造では、操縦安定性が向上すると共に剛性の調整が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車体後部構造を示す車体下方から見た平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車体後部構造を示す車体側方から見た上下反転の側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車体後部構造を示す車体下方斜め内側前方から見た斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車体後部構造を示す車体下方斜め内側前方から見た分解斜視図である。
【図5】図1の5−5断面線に沿った断面図である。
【図6】図1の6−6断面線に沿った拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る車体後部構造を示す車体下方から見た平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る車体後部構造を示す車体下方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
【0017】
次に、本発明の車体後部構造の第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印UPは車体上方方向を示し、矢印FRは車体前方方向を示し、矢印INは車幅内側方向を示している。
【0018】
図1に示される如く、本実施形態のボデー10は、主要部が繊維と樹脂との複合材、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)にて構成されている。より具体的に説明すると、車室床部を構成するフロア12及び車室床部の車幅方向両端部に車体前後に沿って配設された左右一対のロッカ14がCFRPにて構成されている。
【0019】
図5に示すように、ロッカ14の車体前後方向から見た断面形状は矩形状となっており、車幅方向内側壁部14Aの下端(図5においては上端)には車幅方向内側に向かって突部14Bが形成されている。また、ロッカ14の突部14Bは下壁部14Cの車幅方向内側方向への延長線上に形成されている。
【0020】
一方、フロア12は板状となっており、車幅方向中央部にはトンネル部12Aが車体前後方向に沿って形成されている。フロア12のトンネル部12Aの車体前後方向から見た断面形状は、車体上方側へ凸の台形状となっており、フロア12のトンネル部12Aの板厚M1及びトンネル部12Aの近傍12Bの板厚M2は、フロア12の一般部12Cの板厚M3に比べて厚くなっている。また、フロア12の車幅方向外側部12Dの板厚M4もフロア12の一般部12Cの板厚M3に比べて厚くなっている。
【0021】
即ち、フロア12は、トンネル部12A、トンネル部12Aの近傍12B及び車幅方向外側部12Dを除く一般部12Cの板厚M3が他の部位の板厚に比べて薄くなっている。また、フロア12の車幅方向外側端12Eは、ロッカ14の車幅方向内側壁部14Aの下端部14Dと、突部14Bの上面14E及び車幅方向内側面14Fに接着剤によって結合(接着結合)されている。
【0022】
図3に示すように、ボデー10の後部(リヤボデー)10Aにおける車幅方向両端部には、車体前方下側から車体後方上側に向かって傾斜したキック部20が形成されており、キック部20の後端20Bは前端20Aに対して車体上方側にオフセットしている。また、キック部20の後端20Bからは車体後方へ向かってリヤサイドメンバ部22が形成されており、リヤサイドメンバ部22の前端22Bとキック部20の後端20Bとが連続している。一方、キック部20の前端20Aとロッカ14の後端14Gとが連続している。
【0023】
図1に示される如く、左右のリヤサイドメンバ部22の後端部22Bはクロスメンバ部24によって連結されている。即ち、クロスメンバ部24は、ボデー10の後端に長手方向を車幅方向に沿って配置されており、車幅方向両端部24Aが左右のリヤサイドメンバ部22の後端部22Bに連結されている。
【0024】
図2に示すように、ボデー10の後部10Aの下部には左右一対のリヤサスペンション(図示省略)を支持するリヤサスペンションメンバ28が配置されている。
【0025】
図1に示すように、リヤサスペンションメンバ28は左右一対のサイドメンバ28Aを備えており、サイドメンバ28Aは長手方向を車体前後方向に沿って配置されている。また、リヤサスペンションメンバ28は、長手方向を車幅方向に沿って配置されたフロントクロスメンバ28Bとリヤクロスメンバ28Cとを備えている。なお、フロントクロスメンバ28Bの車幅方向両端部は、サイドメンバ28Aの前端部に連結されており、リヤクロスメンバ28Cの車幅方向両端部は、サイドメンバ28Aの後端部に連結されている。
【0026】
図1及び図3に示すように、リヤサスペンションメンバ28におけるサイドメンバ28Aの後端部からは、後連結部28Dが略車体上方へ向かって立設されている。また、後連結部28Dの上端には、車幅方向外側に向かって取付部28Eが形成されており、この取付部28Eが左右のリヤサイドメンバ部22の下面にボルト、ナット等の締結部材30によって結合されている。
【0027】
また、リヤサスペンションメンバ28におけるサイドメンバ28Aの前後方向中間部からは、中間連結部28Fが略車体上方へ向かって立設されている。また、中間連結部28Fの上端には、車幅方向外側に向かって取付部28Gが形成されており、この取付部28Gが左右のリヤサイドメンバ部22の下面にボルト、ナット等の締結部材32によって結合されている。
【0028】
図2に示すように、リヤサスペンションメンバ28のサイドメンバ28Aの前端からは、前連結部28Hが略車体上側前方へ向かって立設されている。また、前連結部28Hの上端には、車幅方向外側に向かって取付部28Jが形成されており、この取付部28Jが左右のキック部20の下面にボルト、ナット等の締結部材34によって結合されている。
【0029】
図1に示すように、左右のキック部20は、平面視において車体前方外側から車体後方内側に向かって傾斜しており、キック部20の前方下部となるロッカ14の後端14Gとリヤサスペンションメンバ28とが連結補強部材としての左右一対の操安ブレース40によってそれぞれ連結されている。
【0030】
図3に示すように、操安ブレース40は断面矩形状のパイプ材で構成されており、車幅方向外側前方から車幅方向内側後方へ向かって直線状に延びる基部40Aの前端部40Bがロッカ14の後端14Gにボルト、ナット等の締結部材42によって結合されている。
【0031】
操安ブレース40の基部40Aの後端部40Cは、リヤサスペンションメンバ28のリヤクロスメンバ28Cにおける車幅方向外側部の下面にボルト、ナット等の締結部材44によって結合されている。また、操安ブレース40の基部40Aの前後方向中間部40Dは、リヤサスペンションメンバ28のサイドメンバ28Aにおける車体前後方向中間部の下面にボルト、ナット等の締結部材46によって結合されている。
【0032】
操安ブレース40の基部40Aの前後方向中間部40Dからは、車幅方向内側前方へ向かってトンネル連結枝部としての第1枝部40Eが分岐されており、この第1枝部40Eの前端部40Fは、フロア12のトンネル部12Aの近傍12Bにおける後端部12Fの下面にボルト、ナット等の締結部材47によって結合されている。なお、第1枝部40Eの後部はフロア連結枝部の後部を構成している。
【0033】
操安ブレース40の第1枝部40Eの前後方向中間部40Gは、リヤサスペンションメンバ28のサイドメンバ28Aにおける前端部の下面にボルト、ナット等の締結部材48によって結合されている。また、操安ブレース40の第1枝部40Eの前後方向中間部40Gからは、車幅方向外側前方へ向かって第2枝部40Hが分岐されており、第2枝部40Hは基部40Aと平行に形成されている。
【0034】
操安ブレース40の第2枝部40Hの前端部40Jは、フロア12の車幅方向外側部12Dにおける後端部12Gの下面にボルト、ナット等の締結部材50によって結合されている。
【0035】
即ち、操安ブレース40の基部40Aにおける前後方向中間部40Dから第1枝部40Eの前後方向中間部40Gを経由して第2枝部40Hの前端部40Jへ達する部位がフロア連結枝部となっている。なお、操安ブレース40における基部40Aの前端部40B、後端部40C、前後方向中間部40D、第1枝部40Eの前端部40F、第1枝部40Eの前後方向中間部40G、第2枝部40Hの前端部40Jにはそれぞれ、締結部材42、44、46、47、48、50が挿通される取付孔57が形成されている。
【0036】
従って、左右一対の操安ブレース40は、それぞれ基部40Aがリヤサスペンションメンバ28とロッカ14とを連結すると共に、基部40Aから分岐した第1枝部40Eの後部と第2枝部40Hとがリヤサスペンションメンバ28とフロア12の車幅方向外側部12Dとを連結している。このため、車両後突時にリヤサスペンションメンバ28から左右一対の操安ブレース40に入力された荷重は、各操安ブレース40の基部40A、第1枝部40E、第2枝部40Hによって、図1の矢印F1、F2で示されるように、ロッカ14とフロア12の車幅方向外側部12Dとに分散されるようになっている。
【0037】
また、左右一対の操安ブレース40の基部40Aから分岐した第1枝部40Eがそれぞれリヤサスペンションメンバ28とフロア12のトンネル部12Aの近傍12Bとを連結している。このため、車両後突時にリヤサスペンションメンバ28から左右一対の操安ブレース40に入力された荷重が、各操安ブレース40の第1枝部40Eによって、図1の矢印F3で示されるように、フロア12のトンネル部12Aの近傍12Bにも分散されるようになっている。
【0038】
この結果、車両後突時の荷重がロッカ14に集中しなくなり、ロッカ14とフロア12との接着結合に作用する剥離荷重を低減できるようになっている。
【0039】
図5に示すように、操安ブレース40の基部40Aと第2枝部40Hとの下面には、補強プレート54が架設されている。
【0040】
図1に示すように、補強プレート54の平面視形状は台形状となっている。
【0041】
図3及び図4に示すように、補強プレート54の車幅方向外側縁部54Aは、操安ブレース40の基部40Aの前端部40Bから前後方向中間部40Dまで重合しており、補強プレート54の車幅方向内側縁部54Bは、操安ブレース40の第2枝部40Hに重合している。また、補強プレート54の後端縁部54Cは、操安ブレース40の基部40Aの前後方向中間部40Dから第1枝部40Eの前後方向中間部40Gまで重合しており、補強プレート54の前端縁部54Dは、操安ブレース40の基部40Aの前端部40Bと第2枝部40Hの前端部40Jとを跨いで重合している。また、補強プレート54の四隅には取付孔59が形成されている。これらの取付孔59には、締結部材42、46、48、50が挿通されており、補強プレート54は締結部材42、46、48、50によって操安ブレース40とともに車体に固定されている。
【0042】
従って、操安ブレース40における補強プレート54を取付けた部位の剛性が向上し、操安ブレース40の第2枝部40Hが車幅方向(図1の矢印A方向)へ変形するのを防止できるようになっている。また、図6に示すように、操安ブレース40の横曲げ力(矢印F4)に対する断面積が増えるため(断面係数がアップするため)、車体後部の横曲げ剛性が向上し、操縦安定性が向上するようになっている。
【0043】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0044】
本実施形態では、図5に示すように、車室床部を構成するフロア12の車幅方向外側端12Eが、ロッカ14の車幅方向内側壁部14Aの下端部14D、突部14Bの上面14E及び車幅方向内側面14Fに接着結合されている。また、図1に示すように、左右一対の操安ブレース40の基部40Aの前端部40Bがロッカ14の後端14Gにボルト、ナット等の締結部材42によって結合されており、各操安ブレース40の基部40Aの後端部40C、前後方向中間部40D及び第1枝部40Eの前後方向中間部40Gがリヤサスペンションメンバ28に結合されている。さらに、左右一対の操安ブレース40における第2枝部40Hの前端部40Jがフロア12の車幅方向外側部12Dの後端部12Gに結合されている。
【0045】
このため、車両後突時にリヤサスペンションメンバ28から左右一対の操安ブレース40に入力された荷重は、左右一対の操安ブレース40の基部40A、第1枝部40E及び第2枝部40Hによって、図1の矢印F1、F2で示されるように、ロッカ14とフロア12の車幅方向外側部12Dとに分散される。
【0046】
この結果、車両後突時の荷重がロッカ14に集中するのを防止できるので、ロッカ14とフロア12との接着結合部に作用する剥離荷重を低減できる。
【0047】
また、本実施形態では、左右一対の操安ブレース40の第1枝部40Eの前端部40Fが、フロア12のトンネル部12Aの近傍12Bに結合されている。このため、車両後突時にリヤサスペンションメンバ28から左右一対の操安ブレース40に入力された荷重が、各操安ブレース40の第1枝部40Eによって、図1の矢印F3で示されるように、フロア12のトンネル部12Aの近傍12Bにも分散される。この結果、車両後突時にロッカ14とフロア12との接着結合部に作用する剥離荷重をさらに低減できる。
【0048】
従って、本実施形態では、車両後突時にフロア12とロッカ14との接着結合部の剥離を防止できる。また、操安ブレース40が第1枝部40E及び第2枝部40Hを持たない基部40Aのみの構成に比べて操縦安定性が向上する。
【0049】
また、本実施形態では、左右一対の操安ブレース40にそれぞれ補強プレート54が固定されており、補強プレート54の車幅方向外側縁部54Aが操安ブレース40の基部40Aの前端部40Bから前後方向中間部40Dまで重合しており、補強プレート54の車幅方向内側縁部54Bが操安ブレース40の第2枝部40Hに重合している。また、補強プレート54の後端縁部54Cが操安ブレース40の基部40Aの前後方向中間部40Dから第1枝部40Eの前後方向中間部40Gまで重合しており、補強プレート54の前端縁部54Dが操安ブレース40の基部40Aの前端部40Bと第2枝部40Hの前端部40Jとを跨いで重合している。このため、操安ブレース40の補強プレート54を取付けた部位の剛性が向上し、操安ブレース40の第2枝部40Hが車幅方向(図1の矢印A方向)へ変形するのを防止できる。また、図6に示すように、操安ブレース40の横曲げ力(矢印F4)に対する断面積が増えるため(断面係数がアップするめ)、車体後部の横曲げ剛性がさらに向上し、操縦安定性がさらに向上する。
【0050】
また、本実施形態では、補強プレート54の形状や厚さを変えることで車体後部の剛性の調整が容易に行える。
【0051】
[第2実施形態]
【0052】
次に、本発明の車体後部構造の第2実施形態を図7に従って説明する。
【0053】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図7に示すように、本実施形態では、補強プレート60の平面視形状が第1実施形態と異なり三角形状となっており、操安ブレース40の基部40Aの前後方向中間部40Dより前方側の部位と第1枝部40Eの全域とに跨って設けられている。
【0055】
より具体的に説明すると、補強プレート60の車幅方向外側縁部60Aが操安ブレース40の基部40Aの前端部40Bから前後方向中間部40Dまで重合しており、補強プレート60の車幅方向内側縁部60Bが操安ブレース40の第1枝部40Eの全域に重合している。また、補強プレート60の前端縁部60Cは、操安ブレース40の基部40Aの前端部40B、第2枝部40Hの前端部40J及び第1枝部40Eの前端部40Fに跨って重合している。
【0056】
また、補強プレート60の三隅と、車幅方向内側縁部60Bの中間部及び前端縁部60Cの中間部にはそれぞれ取付孔(図示省略)が形成されており、これらの取付孔に挿通された締結部材42、46、47、48、50によって、補強プレート60が操安ブレース40とともに車体に固定されている。
【0057】
従って、本実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果に加えて、補強プレート60を第1実施形態に比べて大きくしたことによって、車体後部の剛性をさらに向上できる。
【0058】
[第3実施形態]
【0059】
次に、本発明の車体後部構造の第3実施形態を図8に従って説明する。
【0060】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
図8に示すように、本実施形態では、補強プレート54に補強用のビード62が車体上方又は車体下方に向かって複数本突出形成されている。これらのビード62は車幅内側前方から車幅外側後方へ向かって直線状に形成されており、所定の間隔を開けて互いに平行に形成されている。
【0062】
従って、本実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果に加えて、補強プレート54に複数のビード62を設けて補強プレート54の剛性を向上させることよって、車体後部の剛性をさらに向上できる。また、ビード62の数や形状を変えることで、補強プレート54の剛性の調整が容易に行える。
【0063】
〔上記実施形態の補足説明〕
【0064】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、第1枝部40Eの前端部40Fを、フロア12のトンネル部12Aの近傍12Bにおける後端部12Fの下面にボルト、ナット等の締結部材47によって結合したが、これに代えて、操安ブレース40における第1枝部40Eの前端部40Fを、フロア12のトンネル部12Aの後端部にボルト、ナット等の締結部材によって結合してもよい。
【0065】
また、上記各実施形態では、左右の一対の操安ブレース40を使用したが、左右の一対の操安ブレース40を一部材とした構成としてもよい。
【0066】
また、リヤサスペンションメンバ28の形状や補強プレート54、60の平面視形状も上記各実施形態の形状に限定されなし、補強プレート54に形成するビード62の方向や数についても上記実施形態に限定されない。また、補強プレート54の剛性の調整する剛性調整手段としては、孔、スリット等を形成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 ボデー
10A ボデーの後部
12 フロア
12A フロアのトンネル部
12B フロアのトンネル部の近傍
12C フロアの一般部
14 ロッカ
22 リヤサイドメンバ部
28 リヤサスペンションメンバ
40 操安ブレース(連結補強部材)
40A 操安ブレースの基部
40E 操安ブレースの第1枝部(トンネル連結枝部、フロア連結枝部)
40H 操安ブレースの第2枝部(フロア連結枝部)
54 補強プレート
60 補強プレート
62 ビード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室床部を構成するフロアと、
車室床部の車幅方向両端部に車体前後方向に沿って配設され、前記フロアに接着結合された左右一対のロッカと、
前記フロアの後方側に設けられたリヤサスペンションメンバと、
該リヤサスペンションメンバと前記ロッカとを連結する基部と、前記基部から分岐され前記リヤサスペンションメンバと前記フロアとを連結するフロア連結枝部と、を備えた左右一対の連結補強部材と、
を有する車体後部構造。
【請求項2】
前記連結補強部材は、前記基部から分岐され前記リヤサスペンションメンバと前記フロアのトンネル部又はトンネル部近傍とを連結するトンネル連結枝部を有することを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記連結補強部材に固定され、少なくとも前記フロアとの結合部、前記ロッカとの結合部、前記リヤサスペンションメンバとの結合部に跨る補強プレートを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−241318(P2010−241318A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93692(P2009−93692)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】