説明

車体構造

【課題】車両の通常使用時における車室空間を犠牲にすることなく、側面衝突時のピラーの車両幅方向内側への変形を抑制する。
【解決手段】クロスメンバ14のセンタピラー22側の端部に形成された開口部30にガセット34が配設されている。ガセット34は、クロスメンバ14側の一端34Dがシャフト40によりクロスメンバ14に回動可能に支持されている。ガセット34は、センタピラー22側の他端34Eに延設部36が設けられており、延設部36の係合部36Aがピラーインナパネル26の開口27に係合している。ガセット34のセンタピラー22側の他端34Eは、スプリング42によって上方に付勢されている。ガセット34には、係合部36Aより車両幅方向内側に脆弱部37が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側面衝突に配慮した車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、センタピラーとクロスメンバとの間に斜め方向に連結されるレインフォースを設け、側面衝突時のセンタピラーの荷重をレインフォースを介してクロスメンバに伝達し、センタピラーの変形量を抑制する構造が開示されている。
【特許文献1】特開平10−194162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記先行技術による場合、センタピラーとクロスメンバとの間にレインフォースを斜め方向に掛け渡しているため、車両の通常使用時における車室空間が犠牲にされる。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、車両の通常使用時における車室空間を犠牲にすることなく、側面衝突時のピラーの車両幅方向内側への変形を抑制することができる車体構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、車体フロア上に車両幅方向に沿って延在されたクロスメンバと、このクロスメンバの長手方向の端部側に立設されたピラーと、を含んで構成された車体構造であって、前記クロスメンバの長手方向の端部と前記ピラーとの間に、前記クロスメンバの上面部に沿って設けられ、クロスメンバ側の一端が回動可能に支持されたガセットと、側面衝突時に前記ピラーの下部と前記クロスメンバの長手方向の端部との間に前記ガセットを斜め方向に掛け渡たすように、前記ガセットのピラー側の他端を上方へ回動させる回動手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の車体構造において、前記回動手段は、前記ガセットの前記ピラー側の他端を上方に付勢する付勢部材と、前記ガセットから前記ピラーの下端部側に延設され、前記ピラーの車両幅方向内側の下端部に係合する係合部が形成された延設部と、前記ガセットの前記係合部より車両幅方向内側に設けられた脆弱部と、前記ガセットの前記ピラー側の他端が上方に回動したときの位置を規制する規制部と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1記載の車体構造において、前記回動手段は、車体の側面衝突を検知する検知手段と、前記検知手段によって車体の側面衝突が検知された場合に作動し、前記ガセットの前記ピラー側の他端を上方に回動させるインフレータと、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の本発明によれば、クロスメンバの長手方向の端部とピラーとの間に、クロスメンバの上面部に沿ってガセットが設けられ、ガセットのクロスメンバ側の一端が回動可能に支持されている。側面衝突時に衝突荷重がピラーの下部に入力されると、ピラーの下部は車両幅方向内側へ倒れようとする。そのとき、回動手段によってガセットのピラー側の他端を上方へ回動させることにより、ピラーの下部とクロスメンバの長手方向の端部との間にガセットが斜め方向に掛け渡たされる。これにより、ガセットは、ピラーの下部とクロスメンバの長手方向の端部との間をつっかえ棒のように支える役割を果たし、側面衝突時の衝突荷重がガセットを経由してクロスメンバに伝達される。このため、ピラーが更に車両幅方向内側へ変形しようとしたときに、ガセットによりモーメントが低減されるため、ガセットを経由してクロスメンバに伝達される荷重が増加する。従って、車両の通常使用時における車室空間を犠牲にすることなく、ピラーの車両幅方向内側への変形量を抑制することができる。
【0009】
請求項2記載の本発明によれば、ガセットの延設部に形成された係合部が、ピラーの車両幅方向内側の下端部に係合しており、ガセットの係合部より車両幅方向内側に脆弱部が設けられている。側面衝突時にピラーの下部が車両幅方向内側へ変形すると、ピラーの下端部がガセットの延設部に当たり、ガセットの脆弱部が変形する。ガセットのピラー側の他端は、付勢部材によって上方に付勢されているので、ガセットの脆弱部が変形すると、ガセットの係合部とピラーの車両幅方向内側の下端部との係合が外れて、ガセットのピラー側の他端が付勢部材によって上方に回動する。そして、規制部によって、ガセットのピラー側の他端が上方に回動したときの位置が規制され、これにより、ピラーの下部とクロスメンバの長手方向の端部との間に、ガセットが斜め方向に掛け渡たされる。このため、側面衝突時の衝突荷重がガセットを経由してクロスメンバに伝達される。したがって、車両の通常使用時における車室空間を犠牲にすることなく、ピラーの車両幅方向内側への変形量をより確実に抑制することができる。
【0010】
請求項3記載の本発明によれば、検知手段によって車体の側面衝突が検知されると、インフレータが作動してガセットのピラー側の他端を上方に回動させる。これによって、ピラーの下部とクロスメンバの長手方向の端部との間に、ガセットが斜め方向に掛け渡たされる。このため、側面衝突時の衝突荷重がガセットを経由してクロスメンバに伝達される。したがって、車両の通常使用時における車室空間を犠牲にすることなく、ピラーの車両幅方向内側への変形量を更に確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車体構造は、車両の通常使用時における車室空間を犠牲にすることなく、側面衝突時のピラーの車両幅方向内側への変形量を抑制することができるという優れた効果を有する。
【0012】
請求項2記載の本発明に係る車体構造は、車両の通常使用時における車室空間を犠牲にすることなく、側面衝突時のピラーの車両幅方向内側への変形量をより確実に抑制することができるという優れた効果を有する。また、別部品でピラーを補強する場合、一般的にはそれに伴って重量が増加するが、本発明では、クロスメンバを補強しているものではないので、重量の増加にならない。
【0013】
請求項3記載の本発明に係る車体構造は、車両の通常使用時における車室空間を犠牲にすることなく、側面衝突時のピラーの車両幅方向内側への変形量を更に確実に抑制することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図8を用いて、本発明に係る車体構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0015】
図1及び図2には、本発明のガセットが組付けられた車体構造の断面図が示されている。また、図3には、ガセットをクロスメンバに組付けるための部品構成の分解斜視図が示されている。これらの図に示されるように、車両10の車体フロア12の車両前後方向の所定位置には、車両幅方向に沿って延在するクロスメンバ14が配設されている。クロスメンバ14は断面ハット形状に形成されており、下側の前後一対のフランジ部14Aが車体フロア12の上面にスポット溶接されることにより、車体フロア12とで閉断面を形成するようになっている。
【0016】
また、車体フロア12の両サイドには、車両前後方向に沿ってロッカ16が延在されている。さらに、ロッカ16の上部でかつクロスメンバ14の延長上には、センタピラー22が略車両上下方向に沿って立設されている。センタピラー22は、車両幅方向外側に配置されたピラーアウタパネル24と、車両幅方向内側に配置されたピラーインナパネル26とで構成されており、両者の前後のフランジ部同士がスポット溶接されることにより閉断面構造に形成されている。また、センタピラー22の車両幅方向内側と車体フロア12とで囲まれた部分が車室11となっており、車室11内にはフロントシート28が配設されている。
【0017】
クロスメンバ14の上面部14Bのセンタピラー22側の端部には、上面部14Bから下方に段差を介して後退するように屈曲した屈曲部14Cが形成されている。また、クロスメンバ14の上面部14Bのセンタピラー22側には、クロスメンバ14の上面部14Bから段差及び屈曲部14Cにかけて車両幅方向に略矩形状の開口部30が形成されている。クロスメンバ14の車両前後方向の両側面には、開口部30の下部の車両幅方向内側の端部付近に、回動手段としてのシャフト40が挿通される円形状の開孔32が形成されている。
【0018】
クロスメンバ14の開口部30には、ガセット34が配設されている。ガセット34は、矩形状の上面部34Aと、上面部14Bの車両幅方向内側の両側部から下方側に延びた扇状の側壁部34Bと、側壁部34Bの下端縁に前後に形成された規制部としてのフランジ部34Cと、上面部34Aからピラーインナパネル26とピラーアウタパネル24との間に延設された延設部36と、で構成されている。
【0019】
ガセット34は、上面部34Aの車両前後方向の幅が開口部30の車両前後方向の幅より若干短く形成されている。ガセット34のクロスメンバ14側の一端34Dには、側壁部34Bにシャフト40が挿通される円形状の開孔38が形成されている。シャフト40は、軸部40Aと、軸部40Aの端部に着脱可能に装着されるフランジ部40Bとを備えており、ガセット34の開孔38とクロスメンバ14の開孔32とを合致させて軸部40Aを貫通させ、フランジ部40Bを装着することで、ガセット34のクロスメンバ14側の一端34Dがクロスメンバ14に回動可能に支持されている。また、シャフト40には、回動手段としてのスプリング42が巻き掛けられており、ガセット34のセンタピラー22側の他端34Eを上方に付勢するようになっている。
【0020】
また、ピラーインナパネル26の下部には、ガセット34の延設部36が挿通される矩形状の開口27が形成されている。この開口27の上縁が、クロスメンバ14の上面部14Bの下面の延長線上に配置されている。また、ガセット34の延設部36は、略コ字状に形成されており、上面が上面部34Aと連続して形成されている。ガセット34の延設部36には、上面にピラーインナパネル26の開口27の上縁と係合する係合部36Aが形成されており、車両幅方向外側端部には、下方に段差を介して屈曲された屈曲部36Bが形成されている。また、ガセット34の延設部36には、係合部36Aより車両幅方向内側に、車両前後方向の両側をスリット状に切り欠いた脆弱部37が形成されている。
【0021】
ガセット34は、スプリング42によってセンタピラー22側の他端34Eが上方に付勢されており、延設部36の係合部36Aがピラーインナパネル26の開口27の上縁と係合している。また、ガセット34のフランジ部34Cの車両前後方向の先端部は、開口部30の車両前後方向の幅より大きく形成されている。これによって、ガセット34のセンタピラー22側の他端34Eが上方に回動したときに、フランジ部34Cの上面が開口部30の両側下面に当接し、ガセット34のセンタピラー22側の他端34Eの回動が所定位置で停止するようになっている。
【0022】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0023】
図1及び図2に示されるように、車両10の通常使用時には、ガセット34のセンタピラー22側の他端34Eがスプリング42によって上方に付勢されており、ガセット34の延設部36の係合部36Aがピラーインナパネル26の開口27の上縁と係合した状態となっている。すなわち、車両10の通常使用時には、ガセット34の上面部34Aがクロスメンバ14の上面部14Bに沿って配置されており、ガセット34の上面部34Aとクロスメンバ14の上面部14Bがほぼ同一の高さにあるため、ガセット34が車室11内の空間を犠牲にしない。
【0024】
図1に示されるように、車両10の側部に衝突体50が衝突すると、図4に示されるように、側面衝突時の衝突荷重がピラーアウタパネル24の下部に入力され、ピラーアウタパネル24の下部が車両幅方向内側へ倒れようとする。そして、ピラーアウタパネル24の下部が、ガセット34の延設部36先端の屈曲部36Bに当たる。ガセット34の延設部36には、係合部36Aよりも車両幅方向内側に脆弱部37が設けられているので、図5に示されるように、ピラーアウタパネル24の下部からの入力によって脆弱部37が折れ曲がり、屈曲部36Bが下方へ変形する。これによって、延設部36の係合部36Aとピラーインナパネル26の開口27上縁と係合が外れ、図6に示されるように、ガセット34がスプリング42によって上方に付勢されていることから、ガセット34のセンタピラー22側の他端34Eが上方に回動する。そして、ガセット34のフランジ部34Cの上面が開口部30の両側下面に当接し、ガセット34のセンタピラー22側の他端34Eの回動が停止する。これによって、ガセット34がセンタピラー22の下部とクロスメンバ14の長手方向の端部との間に斜め方向に掛け渡される。
【0025】
これにより、ガセット34は、センタピラー22の下部とクロスメンバ14の長手方向の端部との間をつっかえ棒のように支える役割を果たし、側面衝突時の衝突荷重がガセット34を経由してクロスメンバ14に伝達される。このため、センタピラー22が更に車両幅方向内側へ変形しようとしたときに、ガセット34によりモーメントが低減されるため、ガセット34を経由してクロスメンバ14に伝達される荷重が増加する。これにより、センタピラー22の車両幅方向内側への変形量を抑制することができる。従って、車両10の通常使用時における車室11内の空間を犠牲にすることなく、側面衝突時にガセット34が回動することで、センタピラー22の車両幅方向内側への変形量を抑制することができる。また、クロスメンバ14に吸収される荷重が増加するため、センタピラー22の強度を下げることが可能である。また、本実施形態の車両10では、側面衝突時にガセット34のセンタピラー22側の他端34Eを上方へ回動させる回動手段の構成を簡略化でき、低コスト化が可能である。
【0026】
これをより詳細に説明すると、図7に示されるように、本実施形態の車両10では、衝突荷重Fが入力される入力点に対するガセット34の上端部のモーメント長がlである。これに対して、図8に示されるように、ガセット34を設けない従来の車両100では、衝突荷重Fが入力される入力点に対するクロスメンバ14の上端部のモーメント長がlであり、l>lとなっている。これにより、本実施形態の車両10のクロスメンバ14に入る軸力をfとし、従来の車両100のクロスメンバ14に入る軸力をfとしたとき、f<fとなる。すなわち、本実施形態の車両10では、モーメント長がlが小さいため、ガセット34を経由してクロスメンバ14に伝達される荷重が増加する。従って、本実施形態の車両10では、クロスメンバ14でより大きな荷重を受けることができ、センタピラー22の車室11側への侵入を抑えることができる。
【0027】
〔第2実施形態〕
以下、図9及び図10を用いて、本発明に係る車体構造の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0028】
図9及び図10に示されるように、この第2実施形態の車両60では、ガセット64は、上面部64Aのクロスメンバ14側の一端64Bがシャフト40によってクロスメンバ14に回動可能に支持されている。また、ガセット64は、上面部64Aのセンタピラー22側の他端64Cがセンタピラー22のピラーインナパネル26の内側面と対向している。
【0029】
また、ガセット64の下部には、インフレータ70がクロスメンバ14と車体フロア12との間に固定支持されており、インフレータ70のロッド72の先端に設けられた軸部72Aがガセット64の上面部34Aの下面の取付部73の開孔に挿入されている。また、インフレータ70は、側面衝突を検知するためのセンサー74にケーブル76で接続されている。このセンサー74は、側面衝突時にエアバック装置(図示省略)を作動させるためのセンサーと兼用している。インフレータ70は、作動することによりガスが発生し、ロッド72を上方に進出させることができるものである。
【0030】
なお、本実施形態では、ガセット64の上面部64Aのセンタピラー22側の他端64Cに延設部が設けられておらず、またピラーインナパネル26の下部に開口は設けられていない。また、シャフト40には、スプリングは巻き掛けられていない。
【0031】
この車両60では、図9に示されるように、車両60の通常使用時には、ガセット64の上面部64Aがクロスメンバ14の上面部14Bに沿った位置に配置されている。すなわち、ガセット64の上面部64Aとクロスメンバ14の上面部14Bがほぼ同一の高さにあるため、ガセット64が車室11内の空間を犠牲にすることはない。
【0032】
図10に示されるように、車両60の側部に衝突体50が衝突すると、側面衝突時の衝突荷重がピラーアウタパネル24の下部に入力され、ピラーアウタパネル24の下部が車両幅方向内側へ倒れようとする。一方、側面衝突がセンサー74で検知され、センサー74からの信号が図示しないECUに入力され、ECUで側面衝突状態と判定されることによりECUからインフレータ70に所定電流が通電され、インフレータ70が作動してロッド72が上方に進出する。なお、図9及び図10ではECUは省略している。これにより、ガセット64の上面部64Aのセンタピラー22側の他端64Cが上方に回動し、ロッド72が所定位置まで進出することで、ガセット64の上面部64Aのセンタピラー22側の他端64Cが所定位置で停止する。
【0033】
これによって、ガセット64がセンタピラー22の下部とクロスメンバ14の長手方向の端部との間に斜め方向に掛け渡される。
【0034】
このような車両60では、ガセット64は、センタピラー22の下部とクロスメンバ14の長手方向の端部との間をつっかえ棒のように支える役割を果たし、側面衝突時の衝突荷重がガセット64を経由してクロスメンバ14に伝達される。このため、センタピラー22が更に車両幅方向内側へ変形しようとしたときに、ガセット64によりモーメントが低減されるため、ガセット64を経由してクロスメンバ14に伝達される荷重が増加する。これにより、センタピラー22の車両幅方向内側への変形量を抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態の車両60では、センサー74が側面衝突を検知してインフレータ70によってガセット64のセンタピラー22側の他端64Cを上方へ回動させるので、ガセット64を素早く動作させることが可能であり、センタピラー22の車両幅方向内側への変形量をより一層抑制することができる。
【0036】
〔実施形態の補足説明〕
上述した各実施形態では、クロスメンバ14に開口部30を設けてガセット34、64の一端を回転可能に支持したが、これに限定されず、他の構成でもよい。すなわち、クロスメンバの長手方向の端部とピラーとの間にガセットが設けられる構造であればよい。
【0037】
また、上述した各実施形態では、ガセット34、64の上面部がクロスメンバ14の上面部14Bに沿って配置され、ガセット34、64の上面部とクロスメンバ14の上面部14Bがほぼ同一の高さとなるように配置されているが、ガセット34、64の上面部とクロスメンバ14の上面部14Bとを所定の段差をもって配置する構造であってもよい。すなわち、本発明の「クロスメンバの上面部に沿って設けられ」とは、ガセットの上面部とクロスメンバ14の上面部14Bとを所定の段差をもって配置する場合も含む趣旨である。
【0038】
また、上述した第1実施形態では、ガセット34にスリット状に切り欠いた脆弱部37を設けたが、ガセット34の両側の上面部34Aと延設部36に対して相対的に弱い構造であれば、ガセットに孔や薄肉部を形成して脆弱部とする構成でもよい。
【0039】
また、上述した第1実施形態では、ガセット34の係合部36Aが開口27の上縁に当接して係合する構成であるが、これに限定されず、他の構成でもよい。
【0040】
上述した各実施形態では、センタピラー22とクロスメンバ14との間に掛け渡たされるように回動するガセット34、64を用いたが、これに限らず、他のピラーとクロスメンバとの連結に本発明のガセットを適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態に係る車体構造の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の車体構造のガセット付近の構造を示す縦断面図である。
【図3】図1に示されるガセット及びクロスメンバの単品構造を示す斜視図である。
【図4】側面衝突時の車体構造の変形過程を示す縦断面図である。
【図5】側面衝突時の車体構造の変形過程を示す縦断面図であって、ガセットの脆弱部が折れ曲がった状態を示す図である。
【図6】側面衝突時の車体構造の変形過程を示す縦断面図であって、ガセットのセンタピラー側の他端が上方に回動した状態を示す図である。
【図7】側面衝突時の車体構造におけるクロスメンバに入る軸力を示す図である。
【図8】従来の車体構造におけるクロスメンバに入る軸力を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る車体構造のガセット付近の構造を示す縦断面図である。
【図10】側面衝突時の車体構造の変形過程を示す縦断面図であって、ガセットのセンタピラー側の他端が上方に回動した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10 車両
11 車室
12 車体フロア
14 クロスメンバ
22 センタピラー(ピラー)
27 開口(ピラーの下端部)
34 ガセット
34C フランジ部(規制部)
34D 一端
34E 他端
36 延設部
36A 係合部
37 脆弱部
42 スプリング(付勢部材)
60 車両
64 ガセット
64B 一端
64C 他端
70 インフレータ
74 センサー(検知手段)
76 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フロア上に車両幅方向に沿って延在されたクロスメンバと、このクロスメンバの長手方向の端部側に立設されたピラーと、を含んで構成された車体構造であって、
前記クロスメンバの長手方向の端部と前記ピラーとの間に、前記クロスメンバの上面部に沿って設けられ、クロスメンバ側の一端が回動可能に支持されたガセットと、
側面衝突時に前記ピラーの下部と前記クロスメンバの長手方向の端部との間に前記ガセットを斜め方向に掛け渡たすように、前記ガセットのピラー側の他端を上方へ回動させる回動手段と、
を有することを特徴とする車体構造。
【請求項2】
前記回動手段は、
前記ガセットの前記ピラー側の他端を上方に付勢する付勢部材と、
前記ガセットから前記ピラーの下端部側に延設され、前記ピラーの車両幅方向内側の下端部に係合する係合部が形成された延設部と、
前記ガセットの前記係合部より車両幅方向内側に設けられた脆弱部と、
前記ガセットの前記ピラー側の他端が上方に回動したときの位置を規制する規制部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の車体構造。
【請求項3】
前記回動手段は、
車体の側面衝突を検知する検知手段と、
前記検知手段によって車体の側面衝突が検知された場合に作動し、前記ガセットの前記ピラー側の他端を上方に回動させるインフレータと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−265416(P2008−265416A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108200(P2007−108200)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】